第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

  当連結会計年度における日本経済につきましては、個人消費には弱さが見られるものの、良好な企業収益や雇用環境の改善などがあり、景気の回復は緩やかながらも継続しております。

  一方、世界経済につきましては、欧州は景気回復の動きが減速しておりますが、米国は雇用環境の回復と好調な個人消費により、拡大基調が堅調に継続しております。アジア地域においては、中国は引き続き景気回復に減速が見受けられ、タイは回復の動きが緩やかなものにとどまっております。その他の地域でも、経済成長に減速が見られるようになっております。

  当社グループの主要な事業分野であります自動車関連は、国内販売は軽自動車税の増税の影響などがあり、4,937千台で前期比6.7%の減少となりました。完成車輸出は、4,582千台で前期比2.0%の増加となりました。これにより、国内の自動車生産台数は、9,187千台で前期比4.2%の減少となりました。

  また、もう一方の主要な事業分野であります情報通信関連は、データセンター向けは堅調なものの、パソコン向けが減少したことにより、HDD(ハードディスクドライブ)の受注は前期比で減少いたしました。

  以上のような経営環境および円安環境のもと、売上高は640,516百万円(前期比6.5%増)となりました。また収益面では、営業利益は35,041百万円(前期比7.2%増)、経常利益は36,111百万円(前期比7.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は21,592百万円(前期比9.6%減)となりました。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(2)当連結会計年度のセグメント別の概況

[懸架ばね事業]

  懸架ばね事業は、自動車生産が日本で減少したものの、北米で増加したことにより、売上高は124,511百万円(前期比2.3%増)、前年度発生した北米での増産対応費用が減少したことにより、営業利益は12,062百万円(前期比37.4%増)となりました。

 

[シート事業]

  シート事業は、主要客先の自動車生産が国内外で増加したことにより、売上高は296,054百万円(前期比11.2%増)となりましたが、受注車種構成の変化等により、営業利益は9,824百万円(前期比11.2%減)となりました。

 

[精密部品事業]

  精密部品事業は、海外での自動車生産の増加と為替効果により、売上高は142,943百万円(前期比4.3%増)、営業利益は10,074百万円(前期比15.7%増)となりました。

 

[産業機器ほか事業]

  産業機器ほか事業は、国内での売上増加により、売上高は77,006百万円(前期比0.8%増)、一部事業での費用増加により、営業利益は3,080百万円(前期比25.7%減)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 営業活動の結果得られた資金は、42,674百万円で前期と比べ2,179百万円の減少となりました。これは主に運転資金が増加したことによるものです。

 投資活動の結果支出した資金は、35,127百万円と前期と比べ10,694百万円の増加となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出の増加によるものです。

 財務活動によるキャッシュ・フローの結果、13,672百万円の支出超過となり、前期と比べ8,407百万円の支出増加となりました。これは主に社債の償還による支出によるものです。

 営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは7,546百万円となりました。

 以上の結果、当期における現金及び現金同等物は前期末に比べ11,200百万円減少し、72,238百万円となりました。また、社債、コマーシャル・ペーパー及び長期・短期借入金は57,331百万円と前期末に比べて7,187百万円減少しました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

懸架ばね事業

122,713

2.0

シート事業

280,288

12.2

精密部品事業

148,165

3.3

産業機器ほか事業

23,628

△1.5

合計

574,796

7.0

(注)1 上記の生産実績は、製造会社における生産実績を販売価額により表示しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

懸架ばね事業

123,088

△0.6

22,845

△5.9

シート事業

284,987

6.9

47,304

8.5

精密部品事業

139,811

△1.1

22,361

△12.3

産業機器ほか事業

77,610

1.6

5,616

12.1

合計

625,497

2.8

98,128

△0.2

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

懸架ばね事業

124,511

2.3

シート事業

296,054

11.2

精密部品事業

142,943

4.3

産業機器ほか事業

77,006

0.8

合計

640,516

6.5

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

富士重工業株式会社

65,021

10.8

66,628

10.4

 

3【対処すべき課題】

 日本経済は、輸出の増加や雇用環境の改善を背景に、緩やかな回復基調が維持されると見込まれますが、為替の動向は引き続き不透明な状況が予想されます。世界経済は、中国やアジア新興国は依然として経済成長に減速が見込まれますが、欧州の緩やかな回復と米国の好調な個人消費に牽引された拡大基調により、緩やかな成長が続くと予想されます。

 このような環境のもと、中長期的な経営目標を達成するための当面の課題として、さらなる成長のための収益力の向上に取り組んでまいります。

 また、着実な成長に向けて、顧客志向の徹底を図り、付加価値の源泉となる新製品・新技術を生み出すための製品・技術開発の強化に取り組んでまいります。

 

(会社の支配に関する基本方針)

基本方針の内容

 当社は、当該基本方針につきましては、特に定めておりません。

 また、当社では、中期経営計画の着実な実行やコーポレートガバナンスの強化に取組み、持続的な成長により企業価値を向上させ、市場から適正な評価を得ることが最重要課題と認識しており、買収防衛策の導入予定はありません。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項について、以下のとおり記載いたします。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めていきます。

 なお、文中における将来に関する事業は、有価証券報告書提出日(平成28年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)世界経済の急激な変動

 当社グループでは、主要な事業分野であります自動車関連及び情報機器関連の製品をグローバルに供給していることから、世界的な景気の変動に強く影響されます。日本、アジア、米国及び欧州など世界の主要市場での、予測を超える急激な景気後退と需要の縮小は、当社グループの経営成績及び財政状態に多大な影響を与える可能性があります。

 

(2)為替レートの変動

 当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 また、日本で生産し輸出する事業において、他の通貨に対する円高は、当社グループの製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させます。

 当社グループは、機動的な通貨ヘッジ取引を行い、短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしておりますが、リスクを完全に排除することは困難であり、当社グループの経営成績及び財政状態に少なからず影響を与える可能性があります。

 

(3)原材料の価格変動並びに、原材料・部品の不足

 当社グループは、鋼材などの主要原材料を外部より調達しております。これらの供給元とは、取引基本契約を締結し、安定的な取引を行っております。市況の変化による原材料価格の大幅な変動については、販売価格への転嫁を前提としておりますが、価格転嫁の反映時期がずれる事により、業績に与える影響が会計期間を超える可能性があります。

 また、供給元の不慮の事故や予想を超える規模の自然災害などにより、原材料や部品の不足が生じないという保証はありません。その場合は、生産活動の低下を招くことで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)新製品開発力及び知的財産権

 当社グループでは、当社研究開発本部が主体となって、新技術の基礎研究及び応用研究を積極的に行っており、継続して魅力ある新製品を開発できると考えておりますが、新製品の開発と市場への投入プロセスは複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする、様々なリスクが含まれます。

・新製品等の開発に対して、必要かつ十分な資金と資源を、継続的に充当できるか。

・長期的な投資と大量の資源投入の結果創られた新製品等が、次代の事業基盤を担うまでに成長するか。

・競合他社による新技術の開発や市場ニーズの変化により、開発途中で技術の新規性が失われたり、コスト面での優位性が低下したりすることはないか。

 上記のリスクをはじめとする諸要因から、当社グループが新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、新しい技術や製品を保護するために知的財産権の取得等の方策を講じておりますが、当社グループの製品が広範囲にわたる技術を利用していることから、第三者による知的財産権不正利用の防止や、第三者の知的財産権の侵害抑止に対して、完全とは言い切れない可能性が将来的にあります。その場合、係争となることや、ライセンス費用又は和解費用を負担することで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)製品の品質不具合

 当社グループは各生産拠点において、世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しております。しかし、全ての製品において欠陥がなく、将来にわたってリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物賠償責任については保険に加入していますが、最終的に負担すべき賠償額が、この保険によって十分にカバーされるという保証はありません。大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(6)法的規制等

 当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障又はその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替、雇用、環境・リサイクル関連等の法規制を受けております。

 このような多岐にわたる法的規制等に対しては、継続的にコンプライアンスの実践に努めておりますが、万一、これらを順守できなかった場合、当社グループには、直接的な費用の増加や社会的制裁、風評被害等、有形無形の損害が発生する可能性があります。

 

(7)新興国市場への事業進出

 当社グループの事業展開においては、とりわけ新興国市場の重要性が高まっており、アジア地域を中心に現地グループ会社の生産が増加しております。新興国市場では、社会的・政治的不安定さから、社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの事業活動の制限等、以下に掲げるような予期せぬ事態が発生するリスクが内在しており、これらが発生した場合には、現地での生産に支障が起きる可能性があります。

・予期しない法律又は規制の変更や、労働市場の変化などによる人材確保の難しさ、労働争議の発生及び人件費の急激な上昇

・過激なデモ、暴動、テロ、感染症、その他の要因による社会的混乱

 また、これらの事態が長期化すれば、当社グループの経営成績及び財政状態に一層大きな影響を与えるおそれもあります。

 

(8)災害や停電等による影響

 当社は、当社グループのリスク全般を管理するためにCSR推進委員会を設置し、当社グループが不測の事態に対応するための危機管理体制を構築しております。平時においては企業活動に関わるリスクについての洗い出し、BCP(事業継続計画)やリスク管理規程等を定めるとともに、教育・啓発活動の実施によりリスク発生の事前防止の推進を実施しております。リスクが顕在化した場合には、迅速に対策本部を設置し、その指揮のもとに所管部門及び関係部門が一体となって対応を行う体制となっております。しかし、各生産拠点で発生する大規模災害や、広範囲にわたる停電、当社グループの保有する設備の損壊、製品の輸送手段や経路の断絶等、生産・納入活動の中断事象が発生した場合には、これらのリスク管理活動の実施にもかかわらず、当社グループの事業活動の一部が停止する可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

技術受入契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

日発精密工業㈱

アキュメントグローバルテクノロジーズ社

オランダ

トルクスパンチ

特許及び製造技術の実施権の許諾(注)

平成26年4月23日~

平成29年4月22日

㈱スミハツ

パンドロールUK社

イギリス

パンドロール

eクリップ

OEM契約(注)

平成20年5月1日~

平成30年3月22日

(注)ロイヤルティとして売上高の一定率を支払っております。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、「創造挑戦型」の基礎技術の研究開発から「開発提案型」の新製品開発、更には生産技術の開発にいたるまで、積極的な研究開発活動を行っております。

 現在、研究開発体制は、本社研究開発本部及び技術本部、各生産本部及び事業本部の開発部門、技術部門、設計部門等、また、各子会社の開発部門等により鋭意推進されております。研究開発スタッフは全体で1,032名であり、これは全従業員数の6.1%に当たります。当連結会計年度における当社グループ全体にて支出した研究開発費総額は、16,328百万円であり、これはグループ全体の売上高の2.5%に当たります。

 当連結会計年度における事業の種類別セグメントの研究開発活動は、以下のとおりであります。なお、上記の研究開発費には、本社研究開発本部及び技術本部で行われている各事業部門に共通する材料技術、加工技術、分析技術、解析技術等の基礎研究開発の費用355百万円が含まれております。

 

(1)懸架ばね事業

 自動車の燃費向上、CO2排出量低減に向けた小型軽量かつ高耐久化に注力した開発に加え、省人化技術の開発を進めております。主要課題は、FSD(Fully Stressed Design:部位によらず、応力分布を均等にする設計法)化、高強度化及びそれに用いる新材料の開発、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)化、これらを実現する新工法の開発等であります。当連結会計年度の主な成果は、耐久性・品質に優れた製品の開発を実現したことであります。今後の課題は、低廉な材料を用い、高強度かつ軽量化を実現する加工法及び、自動化等による低コストな生産方法の開発であります。

 当事業に関する研究開発費の金額は、3,199百万円であります。

 

(2)シート事業

 軽量化、生体信号利用のシート応用製品、快適な動性能を持つシートに重点を置き、開発活動に取り組んでおります。軽量化については、板金部品をFRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)に材料置換を進めたフレーム最適構造・構成の開発に取り組んでおり、射出成形CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)フロントシートフレームで、現行比約20%の軽量化を達成しました。更にCAEでの衝突試験予測技術の確立を進めているところであります。

  生体信号利用のシート応用製品開発については、リフレッシュシートの開発に取り組んでおります。リフレッシュシートについては、改善試作と客先プレゼン、展示を実施し、客先の受注に繋げられる様に進めております。

 快適な動性能を持つシートの開発については、人体及びシート動性能を持つシートの開発に取り組んでおります。コーナリング時の低周波乗員挙動を予測する人体基本モデルが完成し、人体揺動低減に必要なシート特性予測に目処がつきました。また、着座時のシート上圧力分布データから快適性を自動評価するシステムの構築に着手し、基本的分類アルゴリズムに目処がつきました。更に精度の高いCAEシートモデルを効率的に開発するプロセスを構築しました。

 当事業に関する研究開発費の金額は、6,263百万円であります。

 

 

(3)精密部品事業

 精密ばね分野においては、エンジン・トランスミッション部品に代表される自動車関連製品をはじめとして、住宅関連の制震装置、医療関連機構品、情報通信関連のHDD(ハードディスクドライブ)用部品等、幅広い分野での製品開発を行っております。

 次世代自動車分野では、世界的な環境規制の強化により、自動車業界はガソリン車に代わるエコカーの開発を迫られている中で、高精度プレス加工技術を基盤とした、モーター部品、燃料電池用部品、および燃費向上に寄与する軽量化技術の開発を行っております。

 また、これらの基となる素材についても、更なる高強度材の開発を進め、製品の高性能化、高信頼性化を進めています。その一方で廉価材の開発を進め、製品のコスト低減化にも努めております。

 さらに、半導体関連分野では、超精密加工技術をベースにした半導体検査用ソケットやプローブ製品を商品化しており、今後も微細化が進む半導体技術に対応した高品質な狭ピッチプローブの開発に努めております。

 HDD用サスペンションにつきましては、HDDの高容量化が益々加速することから、次世代サスペンション(Co-Located DSA)の量産化に向けて小ロット生産ラインを導入し、量産技術の確立を目指して開発を進めてきました。その結果、2016年初めには量産ラインの導入・立ち上げを完了致しました。

 今後は、HDDの高容量化に必要なヘリウム環境下での解析を行い、評価技術を更に高め、最適製品のデザイン設計に活かしていきます。

 当事業に関する研究開発費の金額は、3,741百万円であります。

 

(4)産業機器ほか事業

 半導体製造プロセスは、積層化と微細化が進み顧客要求が厳しさを増しております。半導体製造装置開発では、顧客別の要望に応えるために開発段階から深く入り込み、設計/試作/評価をトータルに実施できる体制を整えました。半導体製造装置の心臓部品の開発に必要となる接合技術の深耕を図るために、ろう付技術のほかに、拡散接合技術やコールドスプレー技術を駆使し、安価でコンタミレスの金属製ヒータや冷却板を開発しております。更にはセラミック溶射技術を応用し、絶縁特性、均熱特性、大型化対応などを図り、北米2社向けでヒータ製品の業界トップシェアを維持しております。

 メタルベース基板については、近年、自動車向けの基板の需要が多く、高品質、高信頼性に対する要求が高まっております。メタルベース基板は高密度・高容量化に伴い、放熱性ニーズが高まっており、それにこたえるべく高放熱絶縁材料の開発を行ってまいりました。開発した絶縁材は高い放熱性を持つとともに高い耐熱性も持ち、セラミック代替を目指しております。

 その一方で安価な絶縁材料を使ったメタルベース基板や、より耐久性に優れたメタルベース基板の開発にも着手しております。

 ゴルフシャフト事業では、重量シャフトがメインの北米のシェアを拡充すべく、肉厚調整・熱処理技術・解析技術を駆使して、北米市場のニーズである高弾道・低スピンのスチールシャフトを開発し商品化すると共に、更なる超軽量化シャフト開発にも取り組んでおります。

 当事業に関する研究開発費の金額は、2,769百万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債の報告金額、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積り及び仮定を設定する必要があります。当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

 

① 収益の認識

 当社グループの売上高は、通常、発注書に基づき顧客に対して製品が出荷された時点、又はサービスが提供された時点に計上されます。ある特定のケースでは、売買契約書で顧客の検査に合格することが要求されており、その場合には顧客が当社グループの製品を検収した時点で売上を計上しております。特許料収入は、ライセンシーからの特許料計算書に基づいて計上されます。

 

② 貸倒引当金

 当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

 

③ 投資の減損

 当社グループは、投資の公正価値が帳簿価額を下回り、かつその下落が一時的ではない場合、その帳簿価額を回復可能価額に合わせて減損処理を行っております。下落が一時的かどうかを判断する際には、帳簿価額を下回った期間の長さ及び下落幅、当該会社の財務状況及び将来の展望を考慮します。

 

④ 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得及び、慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産の調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。

 

⑤ 退職給付費用

 退職給付費用及び債務は、その計算の際に使われた仮定により異なります。これらの仮定には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の期待収益率及び死亡率などの要因が含まれております。これらの仮定と実際の結果との差額は即時認識されます。当社グループは、使用した仮定は妥当なものだと考えていますが、実績との差異又は仮定自体の変更により、退職給付費用及び退職給付に係る負債に影響を与える可能性があります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 概要

 当連結会計年度における日本経済につきましては、個人消費には弱さが見られるものの、良好な企業収益や雇用環境の改善などがあり、景気の回復は緩やかながらも継続しております。

  一方、世界経済につきましては、欧州は景気回復の動きが減速しておりますが、米国は雇用環境の回復と好調な個人消費により、拡大基調が堅調に継続しております。アジア地域においては、中国は引き続き景気回復に減速が見受けられ、タイは回復の動きが緩やかなものにとどまっております。その他の地域でも、経済成長に減速が見られるようになっております。

  当社グループの主要な事業分野であります自動車関連は、国内販売は軽自動車税の増税の影響などがあり、4,937千台で前期比6.7%の減少となりました。完成車輸出は、4,582千台で前期比2.0%の増加となりました。これにより、国内の自動車生産台数は、9,187千台で前期比4.2%の減少となりました。

  また、もう一方の主要な事業分野であります情報通信関連は、データセンター向けは堅調なものの、パソコン向けが減少したことにより、HDD(ハードディスクドライブ)の受注は前期比で減少いたしました。

  以上のような経営環境および円安環境のもと、売上高は640,516百万円(前期比6.5%増)となりました。また収益面では、営業利益は35,041百万円(前期比7.2%増)、経常利益は36,111百万円(前期比7.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は21,592百万円(前期比9.6%減)となりました。

 

② 売上高

 売上高は640,516百万円で前期比6.5%の増収となりました。国内売上高は321,324百万円で前期比1.4%の増収となりました。海外売上高は319,192百万円で前期比12.2%の増収となりました。

 懸架ばね事業は、自動車生産が日本で減少したものの、北米で増加したことにより、売上高は124,511百万円(前期比2.3%増)、前年度発生した北米での増産対応費用が減少したことにより、営業利益は12,062百万円(前期比37.4%増)となりました。

 シート事業は、主要客先の自動車生産が国内外で増加したことにより、売上高は296,054百万円(前期比11.2%増)となりましたが、受注車種構成の変化等により、営業利益は9,824百万円(前期比11.2%減)となりました。

 精密部品事業は、海外での自動車生産の増加と為替効果により、売上高は142,943百万円(前期比4.3%増)、営業利益は10,074百万円(前期比15.7%増)となりました。

 産業機器ほか事業は、国内での売上増加により、売上高は77,006百万円(前期比0.8%増)、一部事業での費用増加により、営業利益は3,080百万円(前期比25.7%減)となりました。

 

③ 営業費用

 売上原価は561,668百万円で、前期比6.7%の増加となりました。売上高に対する売上原価の比率は87.7%で、前期比0.2%の増加となりました。

 販売費及び一般管理費は43,806百万円で、前期比3.6%の増加となりました。売上高に対する比率は6.8%で、前期比0.2%の減少となりました。

 

④ 営業利益

 営業利益は、前年度発生した北米での増産対応費用が減少したことにより、35,041百万円で前期比7.2%の増益となりました。

 

⑤ 営業外損益

 営業外損益は、1,070百万円の利益となり、前連結会計年度に比べ5,302百万円の減益となりました。このうち、為替影響により6,441百万円の減益となっております。受取利息から支払利息を差引いた純額は779百万円で、前連結会計年度に比べ170百万円増加しました。持分法による投資利益は、21百万円で前期比91.0%の減益となりました。

 

⑥ 特別損益

 特別損益は、2,539百万円の損失で、前連結会計年度に比べ655百万円の損失の増加となりました。

 

⑦ 法人税等

 税金等調整前当期純利益に対する法人税の比率(実効税率)は、30.6%となりました。

 

⑧ 非支配株主に帰属する当期純利益

 非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の1,559百万円に対し、1,721百万円となりました。

 

⑨ 親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、21,592百万円で前期比9.6%の減益となりました。1株当たり当期純利益は、88.90円で前連結会計年度に比べ9.39円減少しました。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

 営業活動の結果得られた資金は、42,674百万円で前期と比べ2,179百万円の減少となりました。これは主に運転資金が増加したことによるものです。

 投資活動の結果支出した資金は、35,127百万円と前期と比べ10,694百万円の増加となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出の増加によるものです。

 財務活動によるキャッシュ・フローの結果、13,672百万円の支出超過となり、前期と比べ8,407百万円の支出増加となりました。これは主に社債の償還による支出によるものです。

 営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは7,546百万円となりました。

 以上の結果、当期における現金及び現金同等物は前期末に比べ11,200百万円減少し、72,238百万円となりました。また、社債、コマーシャル・ペーパー及び長期・短期借入金は57,331百万円と前期末に比べて7,187百万円減少しました。

 

② 資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは人件費であります。当社グループの研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費及び試作材料費が研究開発費の主要な部分を占めております。

 

③ 財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備投資資金については、内部資金、借入金、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行により資金調達しております。

 このうち、運転資金については短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの発行により調達しており、当連結会計年度末の短期借入金の残高は1,545百万円、コマーシャル・ペーパーの残高は10,000百万円となっております。

 設備投資資金については、長期借入金(1年以内返済分を含む)及び社債により調達しており、連結会計年度末の長期借入金の残高は24,517百万円、社債の残高は21,268百万円となっております。

 グループ会社における資金調達に関しては、グループ資金の有効活用を目的としてグループファイナンスの展開を進めております。

 なお、一部の海外関係会社については、現地金融機関より各々の使用する現地通貨にて調達をしております。その際、当社が関係会社の借入に対し債務保証を実施することがあります。