文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、企業理念を経営の基本方針として、常にお客様に魅力ある商品・サービスを提供して健全な成長を図ることにより、お客様、株主の皆様、協力先をはじめ社会から常にベストと認められる企業集団を目指しております。
|
当社の企業理念 |
|
グローバルな視野に立ち、常に新しい考え方と行動で企業の成長をめざすと共に、魅力ある企業集団の実現を通じて豊かな社会の発展に貢献する。 |
企業理念の背景として、当社は自動車関連事業と情報通信関連事業の二大事業構造の確立を経営戦略の主眼とし、自動車部品分野で長年培った「ばねの挙動解析」「金属材料ノウハウ」「金属加工技術」に、情報通信部品分野における「精密・微細加工技術」などの新しいコアコンピタンスを加えた次世代技術を駆使し、自動車及び情報通信分野へ多くのキーパーツを提供することにより、企業の永続と企業価値を最大化することを目標としております。
今後も世界最適調達がますます進むものと見込まれる自動車産業・情報通信産業において、顧客対応力に優れたグローバルサプライヤーとしての確固たる地位を築くと同時に、全てのステークホルダーの方々と良好な関係を維持できるよう努めてまいります。
(2)経営戦略等
当社グループでは、2020年度を最終年度とする中期経営計画「2020中計」を2017年度にスタートさせました。この「2020中計」におきまして、既存拠点の収益向上と海外拠点の充実、現製品の拡販による売上増により、新製品・新拠点に対する積極的な設備投資を継続しつつ、最高益の更新を目標としました。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「2020中計」で2020年度の経営目標を下記の表のとおり定めております。
2020年度目標経営指標
|
|
2020年度 目 標 |
|
売上高 |
7,100億円 |
|
営業利益 |
540億円 |
|
経常利益 |
570億円 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
380億円 |
|
経常利益率 |
8%以上 |
|
ROE |
10%以上 |
|
配当性向 |
30%程度 |
主な前提条件:全世界自動車生産台数105百万台、HDD生産台数300百万台、105円/米$
(4)経営環境
当連結会計年度におきまして、世界経済は米中貿易摩擦、地政学的リスク等により経済成長が鈍化し、成長率もリーマンショック以来の低水準となりました。国内経済は、世界経済減速の影響で弱まった外需を堅調な内需が補い、かろうじて回復基調を維持してきましたが、10月の消費税率引き上げを機に転換期にさしかかり、さらに新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、一気に景気が下押しされております。
このようなグローバルな経済の減速、景気後退の影響を受け、当連結会計年度の自動車生産台数は、以下のとおり、軒並み前年を下回っており、当社グループの主要な事業分野であります自動車関連事業につきましても影響は不可避な状況にあります。
全世界:89,421千台(前年比△8.8%)、内日系 28,262千台(前年比△6.3%)
国別 :日本国内 9,476千台(前年比△1.9%)、
北米(米国・カナダ)12,132千台(前年比△9.0%)、内日系 4,453千台(前年比△2.0%)
メキシコ 3,857千台(前年比△5.7%)、内日系 1,161千台(前年比△13.5%)
中国 25,656千台(前年比△10.7%)、内日系 4,593千台(前年比△6.6%)
タイ 2,030千台(前年比△6.5%)、内日系 1,855千台(前年比△6.4%)
*上記台数は各拠点の決算期に応じた集計
競合他社との受注競争は激しさを増しており、また自動車メーカー各社からの価格協力要請もあり、受注価格は引き続き厳しいものとなっております。
なお、当社グループの財務数値に対する新型コロナウイルス感染症の影響につきまして、日本国内は企業の生産調整、稼働調整が2020年4月以降となりましたので、当連結会計年度への影響は軽微なものにとどまっております。一方、米欧では、ロックダウンによる得意先の稼働調整が2020年3月半ばから始まりましたことを受け、2020年3月の当社グループ米欧拠点の売上高は想定に対し30%程度落ち込んでおりますが、メキシコ、中国、タイ、マレーシアの拠点は決算日が12月31日であるため、当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けておりません。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
<懸架ばね事業>
ばね事業はグローバル市場において事業環境が大きく変化してきており、特に米国、中国などの保護主義の拡大とその対立が世界経済や材料調達にも影響を及ぼしております。加えて、日本、米欧をはじめ競合他社の参入によりグローバル市場において価格競争が益々厳しくなってきております。米欧拠点につきまして、省人化等による収益改善を目的とした設備投資が当初の計画通りに成果を出せておらず、さらに競争激化の影響もあって、収益力が低下しております。この米欧拠点の収益力の回復を懸架ばね事業の最重要課題として対応をしてまいります。
さらに、電動化、自動運転車両への対応として、懸架ばねの需要そのものには大きな影響は無いと考えておりますが、軽量化、高品質化のニーズが一層高まっております。このニーズに対応すべく、加工技術の開発、新鋼種の開発等を進めてまいります。主にハイブリッド自動車等に使用されるブレーキ用アキュムレータにつきましては、軽量化を図った新世代製品の本格量産を開始いたしました。
<シート事業>
競争激化の影響、海外拠点の人件費上昇等による固定費増により従来のレベルの収益を確保することが難しくなっておりますが、VA等の推進による原価低減、生産性の改善等により収益力の強化に努めてまいります。
また、2021年度上期稼働開始を計画しております米国NHKシーティングオブアメリカ社新工場につきましては、スムーズな稼働開始を図るべく準備を進めてまいります。
当該事業におきましても、現状での軽量化のニーズは大きく、これは電動化、自動運転車両にもつながるニーズと考えております。乗り心地を向上させ軽量化を図るべく開発を継続しております。
<精密部品事業>
自動車関連事業につきましては、トランスミッション関連の線ばねの需要増を見込み、長野県伊那地区において能力増強を進めてまいりましたが、中国市場の伸びの弱さ等により計画通りの受注を確保できず、固定費の負担が増える結果となっております。今後、既存設備と新規設備との生産の最適化を図り、収益力の向上を目指してまいります。また、電動化のキーパーツであるモーターの部品としてモーターコアの納入を行っております。工法の見直し等を進め、収益力の向上に努め、採算性を見極めながら拡販による事業規模拡大を進めてまいります。
情報通信関連事業のHDD用サスペンションにつきましては、開発力・技術力・品質によりお客様の信頼を得ております。今後も高容量化は進み、サスペンションに要求される機能が高まり、かつ需要も増加すると考えております。引き続き開発力・技術力・品質を維持しつつ、適切な能力増強対応を行い収益確保に努めてまいります。さらなる競争力向上を目指し、AIを活用したAOIの導入も検討中であります。
<産業機器ほか事業>
半導体プロセス部品につきましては、将来的な需要拡大に対応するため、2017年度に宮田工場の建設を決定し2019年度稼働を目標に進めてまいりました。しかしながら2019年度はシリコンサイクルの影響で一時的に需要が低迷したため稼働を延期いたしました。今後、需要の回復を見込んでおりますので、宮田工場をスムーズに稼働開始し、既存工場との最適配分による収益力向上に取り組んでまいります。
<事業全般>
2020年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大が世界的な景気の下押し要因となると想定しております。受注状況に合わせた適切な生産対応、固定費等の効率的なコントロールに努めてまいります。
当社グループは、公正取引委員会及び米国司法省から独占禁止法違反の被疑を受け、2018年2月に、公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。また、2019年7月に、米国シャーマン法(独占禁止法)に違反したとして、罰金を支払うこと等を内容とする司法取引契約を米国司法省と合意した後、略式裁判による判決が確定し、当連結会計年度に31億円の罰金の支払いを行いました。この度の命令及び判決を厳粛かつ真摯に受け止め、改めて企業倫理の重要性を認識し、独占禁止法をはじめとする法令順守に関する社内研修やモニタリング体制の一層の強化・充実を進め、再発防止、コーポレートガバナンスの充実、法令順守のさらなる徹底に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項について、以下のとおり記載いたします。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事業は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)世界経済の急激な変動
当社グループでは、主要な事業分野であります自動車関連及び情報機器関連の製品をグローバルに供給していることから、世界的な景気の変動に強く影響されます。日本、アジア、米国及び欧州など世界の主要市場での、予測を超える急激な景気後退と需要の縮小は、当社グループの経営成績及び財政状態に多大な影響を与える可能性があります。
加えて、今般の新型コロナウイルス感染症による影響は、世界的な景気の大きな下振れ要因であり、当社グループの経営成績及び財政状態への影響は不可避ですが、現時点においては、今後の感染拡大の規模、収束時期についての見通しは立っておらず、そのリスクを合理的に算定、想定することは困難であります。
(2)為替レートの変動
当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
また、日本で生産し輸出する事業において、他の通貨に対する円高は、グローバル市場における当社グループ製品の相対的な価格競争力を低下させます。
当社グループは、機動的な通貨ヘッジ取引を行い、短期的な変動による悪影響を最小限に抑えるよう努めておりますが、リスクを完全に排除することは困難であり、当社グループの経営成績及び財政状態に少なからず影響を与える可能性があります。
(3)原材料の価格変動並びに、原材料・部品の不足
当社グループは、鋼材などの主要原材料を外部より調達しております。これらの供給元とは、取引基本契約を締結し、安定的な取引を行っております。市況の変化による原材料価格の大幅な変動については、販売価格への転嫁を前提としておりますが、価格転嫁の反映時期がずれることにより、業績に与える影響が会計期間を超える可能性があります。
また、供給元の不慮の事故や輸出又は輸入規制の変更などにより、原材料や部品の不足が生じないという保証はありません。その場合は、生産活動の低下を招くことで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)新製品開発力
近年、自動車産業では「CASE」といわれるコネクテッド・自動運転・シェアリング&サービス・電動化に代表される技術革新が進展しており、技術革新がもたらす開発ニーズに適切に対応していくことが当社グループの重要な課題の一つであります。
当社グループでは、当社研究開発本部が主体となって、新技術の基礎研究及び応用研究を積極的に行っており、継続して魅力ある新製品を開発できるものと考えておりますが、新製品の開発と市場への投入プロセスは複雑かつ不確実であり、以下をはじめとする、様々なリスクが含まれます。
・長期の開発期間を要する新製品開発について、必要となる資金と資源を継続的に充当できないリスク。
・大規模投資・資源投入により新製品を開発するも、回収不能となるリスク。
・競合他社との競争激化による販売価格の下落により、収益性が低下するリスク。
・競合他社による新技術の開発や市場ニーズの変化に伴う開発途中段階での技術の新規性の喪失により、コスト優位性が低下するリスク。
上記のリスクをはじめとする諸要因から、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)知的財産権の侵害
当社グループの製品は、広範囲にわたる技術を利用していることから、第三者による知的財産権不正利用の防止や第三者による知的財産権の侵害抑止への対策が完全とは言い切れません。その場合、係争となることやライセンス費用又は和解費用を負担することで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)製品の品質不具合
当社グループは各生産拠点において、世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しております。しかし、全ての製品において欠陥がなく、将来にわたってリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物賠償責任については保険に加入していますが、最終的に負担すべき賠償額が、この保険によって十分にカバーされるという保証はありません。大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7)法的規制等
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障又はその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替、雇用、環境・リサイクル関連等の法規制を受けております。
このような多岐にわたる法的規制等に対しては、継続的にコンプライアンスの実践に努めておりますが、万一、これらを順守できなかった場合、当社グループには、直接的な費用の増加や社会的制裁、風評被害等、有形無形の損害が発生する可能性があります。
(8)海外市場への事業進出
当社グループの事業展開においては、海外市場の重要性が高まっており、アジア地域を中心に現地グループ会社の生産が増加しております。海外市場では、地域・国によっては、文化的な違い、法制度の違い、社会的・政治的不安定さ等から、社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの事業活動の制限等、以下に掲げるような予期せぬ事態が発生するリスクが内在しており、これらが発生した場合には、現地での生産に支障が起きる可能性があります。
・予期しない法律又は規制の変更や、労働市場の変化などによる人材確保の難しさ、労働争議の発生及び人件費の急激な上昇
・過激なデモ、暴動、テロその他の要因による社会的混乱
また、これらの事態が長期化すれば、当社グループの経営成績及び財政状態に一層大きな影響を与えるおそれもあります。
(9)災害等による影響
地震、台風、水害等の自然災害や火災、停電等が発生した場合、製造拠点の設備故障、損壊による追加費用発生や最適なサプライチェーンが維持できないことにより、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
当社は、当社グループのリスク管理も対象範囲とするCSR推進委員会を設置し、対象となる事象の予見と未然の防止、事象発生の報告、再発防止策の検討等を実施しております。平時においては企業活動に関わるリスクについての洗い出し、BCP(事業継続計画)やリスク管理規程等を定めるとともに、教育・啓発活動の実施によりリスク発生の事前防止の推進を実施しております。リスクが顕在化した場合には、迅速に対策本部を設置し、その指揮のもとに所管部門及び関係部門が一体となって対応を行う体制となっております。しかし、各生産拠点で発生する大規模災害や、広範囲にわたる停電、当社グループの保有する設備の損壊、製品の輸送手段や経路の断絶等、生産・納入活動の中断事象が発生した場合には、これらのリスク管理活動の実施にもかかわらず、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(10)感染症等による影響
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、一部の工場でロックダウンによる一時的な操業停止など当社グループの生産活動に影響があります。
感染拡大防止とお客様、取引先及び従業員の安全を守るため、来訪者の制限・検温、出張の制限、Web会議の推奨、従業員の出勤時の検温、マスク着用の徹底、時差出勤・在宅勤務の推奨、消毒の徹底、感染者発生時の対応方法を定め、実施しております。
当社グループでは、適時適切に対応して、感染症による事業活動への影響の低減に努めてまいりますが、影響が長期化した場合、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。なお、現時点では、今後の感染拡大の規模、収束時期についての見通しは立っておらず、当社グループの経営成績及び財政状態に与える影響を合理的に予測することは困難であります。
(11)情報セキュリティに関するリスク
当社グループの事業活動における情報システムの重要性は非常に高まっており、ハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策を講じております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、想定を超えるサイバー攻撃、不正アクセスなどにより、基幹情報システムの停止や機密情報の流出等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度における日本経済は、輸出や生産に弱さがみられるものの、緩やかな回復基調で推移しました。また、世界経済につきましては、米国では個人消費の増加などから景気は回復が続いてきました。アジア地域においては、中国では景気は緩やかに減速し、タイやインドでは景気は弱い動きで推移しました。一方、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年3月以降の景気は世界的に厳しい状況にあります。
当社グループの主要な事業分野であります自動車関連市場においては、国内販売は、5,039千台で前期比4.2%の減少となりました。完成車輸出は、4,714千台で前期比2.5%の減少となりました。日本経済は、昨年10月以降、消費税10%への増税もあり、当社事業に影響を及ぼす国内自動車生産台数は伸び悩みました。
このような経営環境のもと、当社グループは持続可能な成長に向けて「真直ぐ」な姿勢の堅持、収益力の回復と向上、収益に繋がる新たな技術・商品の開発、ものづくり力の強化、安心・安全な会社、働きがいのある働きやすい職場づくりをグループの経営方針として掲げ、取り組みました。
近年、自動車関連市場では、グローバルでの競合他社との競争が激しさを増しており、当社グループの収益性に影響を与える大きな要因となっております。収益力の回復と向上は当社の重要な課題と認識しており、生産部門・販売部門・本社部門が一体となり、課題解決に取り組んでおります。
売上高は664,499百万円(前期比2.4%減)、営業利益は20,715百万円(前期比22.3%減)、経常利益は21,266百万円(前期比32.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益については、特別損失として減損損失4,687百万円、独占禁止法関連損失3,202百万円を計上したことから、4,612百万円(前期比35.1%減)となりました。
(2)当連結会計年度のセグメント別の売上高及び営業利益の概況
新型コロナウイルス感染症の影響によるロックダウンに伴い、自動車メーカー各社が操業を停止したため、自動車関連事業の売上高が減少しております。日本、米欧、インド地域の会社は、業績に影響が生じておりますが、感染拡大による影響額を合理的に算定することは困難であります。なお、タイ、中国地域の会社の決算日は12月31日であるため、影響はございません。
[懸架ばね事業]
懸架ばね事業の売上高は126,332百万円(前期比2.0%減)、営業利益は2,708百万円(前期比56.3%減)となりました。
売上高は、前第4四半期に連結範囲に含めたNHKスプリングハンガリー社の増収はありましたが、タイ、米国、インドの数量減により懸架ばね事業全体で減収となりました。
営業利益はグローバルでの競合他社との競争激化を背景とする厳しい販売価格や合理化目的の設備投資増強に伴う償却費増により、減益となりました。
営業利益の主な増減要因は以下のとおりです。
売上変動及び品種構成差 △26億円
固定費増減(償却費含む) △20億円
その他合理化ほか 12億円
[シート事業]
シート事業の売上高は302,573百万円(前期比0.2%減)、営業利益は6,960百万円(前期比56.9%増)となりました。
売上高は、主に中国の受注車種の数量減により減収となりましたが、営業利益は米国子会社の収支改善や各拠点での合理化が進んだことにより、増益となりました。
営業利益の主な増減要因は以下のとおりです。
売上変動及び品種構成差 △15億円
固定費増減(償却費含む) 8億円
その他合理化ほか 32億円
[精密部品事業]
精密部品事業の売上高は142,982百万円(前期比6.5%減)、営業利益は6,243百万円(前期比36.2%減)となりました。
売上高は、米中貿易摩擦影響による自動車関連事業向け製品の数量減やHDDサスペンション市場の縮小影響により、減収となりました。また、営業利益は、数量減のほか伊那地区での設備投資など新規受注のための先行投資負担が重く、減益となりました。
営業利益の主な増減要因は以下のとおりです。
売上変動及び品種構成差 △36億円
固定費増減(償却費含む) △11億円
その他合理化ほか 12億円
[産業機器ほか事業]
産業機器ほか事業の売上高は92,611百万円(前期比3.5%減)、営業利益は4,802百万円(前期比22.9%減)となりました。
売上高は、半導体市場縮小に伴う半導体プロセス部品の数量減により減収となりました。営業利益は、受注拡大対応のため宮田工場建設など先行投資の償却費増により減益となりました。
営業利益の主な増減要因は以下のとおりです。
売上変動及び品種構成差 6億円
固定費増減(償却費含む) △25億円
その他合理化ほか 5億円
(3)経営成績の分析
①売上高、営業利益
「(2)当連結会計年度のセグメント別の売上高及び営業利益の概況」に記載のとおりです。
②営業外損益
営業外損益は、550百万円の利益となり、前連結会計年度に比べ4,255百万円の減少となりました。為替レートの変動による為替差損が3,866百万円発生したことが主な要因となります。
③特別損益
特別損益は、減損損失および独占禁止法関連損失、非連結子会社に対する関係会社株式評価損などの計上により、9,052百万円の損失となり、前連結会計年度に比べ、2,288百万円の損失の減少となりました。
減損損失および独占禁止法関連損失の詳細につきましては、「第5[経理状況]連結損益計算書 [注記事項](連結損益計算書関係)」に記載のとおりです。
④法人税等
税金等調整前当期純利益に対する税効果会計適用後の法人税等の負担率は、51.9%となり、前連結会計年度の56.3%と比べ減少いたしました。連結財務諸表提出会社の法定実効税率は30.4%でありますが、連結子会社における固定資産減損損失に係る将来減算一時差異に対する評価性引当額の計上や、損金不算入となる独占禁止法関連損失の計上などにより、税負担率との差が生じております。
⑤非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の1,691百万円に対し、1,256百万円となりました。
⑥親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、4,612百万円で前期比35.1%の減益となりました。1株当たり当期純利益は19.46円となり、前連結会計年度に比べ10.51円減少しました。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は74,314百万円で前期比24.5%の減少となりました。
営業活動の結果得られた資金は36,621百万円で、前期と比べ173百万円の減少となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の減少により法人税等の支払額が減少した一方で、仕入債務が減少したことによるものです。
投資活動の結果支出した資金は45,809百万円で、前期と比べ3,510百万円の増加となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。
財務活動の結果支出した資金は16,950百万円で、前期と比べ24,278百万円の増加となりました。これは主に長期借入金の返済及び転換社債型新株予約権付社債の償還によるものです。
営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは△9,188百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ24,088百万円減少し、74,314百万円となりました。また、有利子負債は前期末に比べて10,623百万円減少し、57,591百万円となりました。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
|
懸架ばね事業 |
123,363 |
△1.5 |
|
シート事業 |
287,340 |
6.8 |
|
精密部品事業 |
153,142 |
△6.6 |
|
産業機器ほか事業 |
31,883 |
△9.5 |
|
合計 |
595,728 |
0.4 |
(注)1 上記の生産実績は、製造会社における生産実績を販売価額により表示しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前期比 (%) |
|
懸架ばね事業 |
116,410 |
△10.9 |
19,147 |
△34.1 |
|
シート事業 |
285,735 |
△6.0 |
33,034 |
△33.8 |
|
精密部品事業 |
143,608 |
△4.3 |
26,724 |
2.4 |
|
産業機器ほか事業 |
94,765 |
0.1 |
8,844 |
32.2 |
|
合計 |
640,519 |
△5.7 |
87,751 |
△21.5 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
懸架ばね事業 |
126,332 |
△2.0 |
|
シート事業 |
302,573 |
△0.2 |
|
精密部品事業 |
142,982 |
△6.5 |
|
産業機器ほか事業 |
92,611 |
△3.5 |
|
合計 |
664,499 |
△2.4 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
|
金額 (百万円) |
割合 (%) |
金額 (百万円) |
割合 (%) |
|
|
㈱SUBARU |
60,944 |
8.95 |
68,294 |
10.28 |
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債の報告金額、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積り及び仮定を設定する必要があります。当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
① 収益の認識
当社グループの売上高は、通常、発注書に基づき顧客に対して製品が出荷された時点、又はサービスが提供された時点に計上されます。ある特定のケースでは、売買契約書で顧客の検査に合格することが要求されており、その場合には顧客が当社グループの製品を検収した時点で売上を計上しております。特許料収入は、ライセンシーからの特許料計算書に基づいて計上されます。
② 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に再建計画などを考慮したうえで、回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
新型コロナウイルス感染症の影響による一般債権の貸倒は当連結会計年度末時点では生じていないため、貸倒引当金の計上の際の貸倒実績率には含まれておりませんが、その後の経済環境の変化による貸倒率の増加や再建計画の変更により回収可能額が減少する可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループが有する固定資産について、損益報告や経営計画などの企業内部の情報、経営環境や市場価格などの企業外部の要因に関する情報に基づき、資産又は資産グループ別に減損の兆候の有無を確認しております。この判定により減損損失を認識すべきと判断した場合には、その帳簿価額を回収可能価額まで減損処理を行っております。
回収可能価額は、不動産鑑定結果などに基づく売却可能価額または将来の経営計画に基づく将来キャッシュ・フローの割引現在価値で算出しており、経済環境の変化などによる、時価の変動、経営計画との乖離、割引率の変動により、減損額の算定に影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響については、減損の兆候の有無への大きな影響は与えていないものの、将来キャッシュ・フローの算出における仮定に対して影響を与えております。
当連結会計年度までに一部の連結子会社において、収益性の低下に伴う固定資産の減損処理を行ってまいりましたが、当連結会計年度末で得られていた将来の経営計画に基づく仮定に対して、その後の得意先の稼働調整などにより大きな差が生じているため、今後の固定資産の減損処理に影響を与える可能性があります。
④ 投資の減損
当社グループは、投資の評価にあたっては、時価の回復可能性があると認められる場合を除き、時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に減損処理を実施し、下落率が30%以上50%未満の場合には時価の回復可能性の判定を行い、回復可能性がないと判断した場合は減損処理を行っております。
回復可能性の判断においては、帳簿価額を下回った期間の長さ及び下落幅、当該会社の財務状況及び将来の展望を考慮しますが、市場の変化や経済環境の変化などにより投資の評価額が影響を受ける可能性があります。
新型コロナウイルス感染症による影響に関して、特に上場有価証券の当連結会計年度末時点における時価の下落については、当連結会計年度の連結財務諸表に反映されておりますが、その後の市場や経済環境の変化による影響や非上場有価証券の純資産価値の下落が影響を与える可能性があります。
⑤ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたっては、連結会計年度末時点の将来減算一時差異に対して翌期以降で適用される法定実効税率を用いて計上しておりますが、将来的な課税当局による法定実効税率の変更により、繰延税金資産が増減し、利益を増減させる可能性があります。
また、繰延税金資産を回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために、評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するにあたっては、将来減算一時差異の解消スケジュール、将来の経営計画に基づく課税所得及び、慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、経営環境・経営計画の変化により、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産の調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響については、次のとおりです。
日本地区においては、前連結会計年度までに一部の連結子会社において、収益性の低下に伴う繰延税金資産の取崩しを行ってまいりましたが、当連結会計年度末で得られていた将来の経営計画に基づく課税所得の計画に対して、その後の得意先の稼働調整などにより大きな差が生じているため、今後の繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
米欧地区においては、前連結会計年度までに評価性引当額を計上し繰延税金資産の全額取崩しを行っていることから、当連結会計年度および今後の経営成績への影響は軽微であります。
アジア地区においては、タイ・中国・マレーシアに所在する会社における決算日が12月31日であることから、当連結会計年度への影響はありませんが、今後の処理に影響を与える可能性があります。
⑥ 退職給付費用
当社グループにおける退職給付費用及び債務は、その計算の際に使われた仮定により変動いたします。これらの仮定には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の期待収益率及び死亡率などの要因が含まれております。
割引率は、国債などの低リスクの債券の利回りに基づいて設定しており、年金資産の期待収益率は、企業年金基金などの年金資産における長期の収益率を基に設定しております。
これらの仮定と実際の結果との差額は連結包括利益計算書を通じて即時認識されます。当社グループは使用した仮定が妥当なものだと考えておりますが、実績との差異又は仮定自体の変更により、退職給付費用及び退職給付に係る資産・負債に影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、株価の変動などにより、当連結会計年度末において年金資産の時価が下落し、退職給付に係る資産が減少いたしました。今後の年金資産の時価が変動する可能性や想定した収益率に達しない可能性があり、退職給付費用および退職給付に係る資産・負債に影響を与える可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要」に記載のとおりです。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要」に記載のとおりです。
② 財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、企業価値向上のために、適宜適切なタイミングで経営資源を配分することを財務戦略の基本としており、強固な財務体質及び高い資本効率を兼ね備えることが重要だと考えております。
当社グループは、自己資本比率の水準を50%程度に保つことで、「シングルA-」の信用格付(格付投資情報センター(R&I)による格付)を維持し、リスク耐性の強化を図ってまいります。
また、営業キャッシュ・フローによる債務償還能力に留意しつつ、金融機関からの外部借入を有効に活用し、資本コストの低減にも努めてまいります。
一方、株主還元についても、株主の皆様への利益配当を最重要事項と認識しており、連結業績及び配当性向等を総合的に勘案し、安定的な配当を継続することを基本としております。2020年2月の当社取締役会において、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行し、資本効率を向上させ株主還元に資することを目的に、株式数で3,700千株、取得価額で3,000百万円を上限とした自己株式取得を決議し、取得を進めてまいりました。その結果、3,511千株、2,690百万円の自己株式を取得いたしました。今後も、純資産の効率的な運用を目指すための選択肢の一つとして、財務状況や事業環境などを考慮しながら、機動的な自己株式の取得を検討してまいります。
③ 資金調達の考え方
当社グループ製品製造のための材料及び部品、研究開発費等、事業活動にかかる運転資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、債権回収までに必要な資金については、コマーシャル・ペーパーや銀行借入によって、連結売上高の1.5~2ヶ月分を目安に流動性の保持を図ります。
設備投資資金については、設備投資計画に基づき、国内外での資金調達について、市場金利動向や為替動向、あるいは既存借入金の返済時期等を総合的に勘案し、銀行借入及び社債の発行等によって資金を賄っております。
また、当社グループでは、グループ間融資によって資金融通を行う事で資金効率を高めております。一部の海外関係会社については、現地金融機関より各社の使用する現地通貨にて調達をしております。その際、当社が関係会社の借入に対し債務保証の差入れを行うことがあります。
なお、新型コロナウィルス感染症の影響が長期化した場合に備えて、コミットメントライン契約の増額及び当座貸越枠の増額等、資金調達枠の確保に努めてまいります。
技術受入契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
日発精密工業㈱ |
アキュメントグローバルテクノロジーズ社 |
オランダ |
トルクスパンチ |
特許及び製造技術の実施権の許諾(注) |
2017年4月23日~ 2023年4月22日 |
|
㈱スミハツ |
パンドロールUK社 |
イギリス |
パンドロール eクリップ |
OEM契約(注) |
2018年3月23日~ 2028年3月22日 |
(注)ロイヤルティとして売上高の一定率を支払っております。
当社グループは、「創造挑戦型」の基礎技術の研究開発から「開発提案型」の新製品開発、さらには生産技術の開発にいたるまで、積極的な研究開発活動を行っております。また、昨今の四輪車、二輪車の電動化に伴い、市場動向や顧客ニーズを迅速に研究開発へ反映させるため、マーケティング機能を有する電動化事業推進室にて、新製品及び新規事業開拓を進めております。
現在、研究開発は、本社研究開発本部、技術本部及び電動化事業推進室、各生産本部の開発部門、技術部門、設計部門等、また、各関連会社の開発部門等により鋭意推進されております。研究開発スタッフは全体で1,102名であり、これは全従業員数の6.0%に当たります。当連結会計年度における当社グループ全体にて支出した研究開発費総額は、
当連結会計年度における事業の種類別セグメントの研究開発活動は、以下のとおりであります。なお、上記の研究開発費には、本社研究開発本部、技術本部及び電動化事業推進室で行われている各事業部門に共通する材料技術、加工技術、接合技術、分析技術、解析技術等の基礎研究開発の費用1,219百万円が含まれております。
(1)懸架ばね事業
自動車業界おいて、100年に一度の大変革期と言われている中、電動化や自動運転車両へのニーズに対応するため、軽量化と高品質化、さらには高い付加価値のある製品の技術開発を進めております。
これらの具現化に向けて、高強度材料や繊維強化プラスチック材料といった材料開発、最適な成形、熱処理及びショットピーニング等の加工技術開発に取り組んでおります。一方、原価低減を目的とした低廉材の開発、無人化や省エネルギー化を実現する生産技術開発にも並行して取り組んでおります。
加えて、2004年より量産を開始した、主にハイブリッド自動車や大型SUVに使用されるブレーキ用アキュムレータの構造変更を行い、耐久性の向上、部品点数の削減と軽量化を図った新世代アキュムレータの本格量産を開始いたしました。
今後も、材料、加工、製造技術の開発とそのグローバル展開を進め、お客様にとって魅力ある製品の技術開発に取り組んでまいります。
当事業に関する研究開発費の金額は、
(2)シート事業
軽量化、自動運転に対応するシート、生体信号利用のシート応用製品、快適な動性能・静性能を持つシートに重点を置き、開発活動に取り組んでおります。
軽量化への取り組みとしては、超ハイテン材の120kg級の高延性材などの使用部位を拡大することや、近い将来の材料動向を踏まえた150kg級の高強度材を採用したフロントシートフレームの開発を行っております。
また、さらなる軽量化としてアルミ材やマグネ材などへ材料置換したフレームの開発も検討しております。
将来予想される自動運転車市場の拡大に備え、自動運転時に必要なシート機能を検討し、その中から当社独自のアイテム開発を進めております。例えば、自動運転Level3、4となると、自動運転から手動運転への切換えシーンが発生します。そのため、リラックス姿勢から運転姿勢にスムーズに戻せるシートや、眠気等の状態を検知し、乗員に注意喚起を行うといった自動運転車向けシートの開発に取り組んでおります。また、自動運転になると従来よりも車で過ごす時間が長くなると予測されており、長時間着座による疲労も増加すると考えられます。長時間着座によって乗員が感じる違和感、痛み、むくみ、圧迫感等を分析して、それらを改善できる疲労低減アイテムの開発にも取り組んでおります。
快適な動性能・静性能を持つシートの開発については、人間の特性、感覚に合った動・静性能を持つシート開発に取り組んでおります。シートの振動乗心地評価には,乗員が着座した状態でのシート上振動データが必要になります。これまでに、シートと人間の解析用モデル(有限要素解析モデル)を用いて、着座時のシート上振動を予測する手法を開発済みです。しかし、2列目、3列目のシートは、車両走行中に生じるフロアの動的な変形(振動)がシート振動に影響を与えてしまうため、新たに車体フロアの動的変形を考慮したシート上振動の予測手法を開発いたしました。静的な座り心地に関しても、シート及び人体の解析用モデルを用いた着座時シート上圧力分布予測に取り組んでおります。また温熱快適性については、評価やデータのばらつきが大きな人間の代わりに温熱計測用のマネキンを用いて、ヒーターシートやベンチレーションシートの性能を安定的に計測・評価する技術を開発しております。
当事業に関する研究開発費の金額は、
(3)精密部品事業
精密ばね分野においては、エンジン・トランスミッション部品に代表される自動車関連製品をはじめとして、HDD(ハードディスクドライブ)用部品、半導体の検査用プローブ等、幅広い分野での製品開発を行っており、特に現在はHEV(ハイブリッド車)・EV(電気自動車)向けの製品開発、ばねの高品質化・低コスト化に向けた生産技術開発、高強度材料の開発に注力しております。
HEV・EV分野については、高精度プレス加工技術を基盤とした、モーター部品、パワーモジュール部品及び燃費向上に寄与する軽量化技術の開発を行っております。
ばねの高品質化・低コスト化については、線ばね・皿ばねの全自動品質保証設備、及び省人化・無人化を実現する一貫生産ラインの開発を行っており、その生産技術のグローバル展開も進めております。
また、これらの基となる素材についても、さらなる高強度材の開発を進め、製品の高性能化、高信頼性化を進めています。その一方で廉価材の開発を進め、製品のコスト低減化にも努めております。
HDD関連分野においては、9・10枚Disk搭載のデータセンター向け高容量HDDに対応したサスペンション開発を継続しております。多盤化によりサスペンションを含めたHDD部品の薄型化が進むため、冷却用高速ファン等の外部外乱による磁気ヘッド位置決め特性劣化が著しく、TSA (Triple Stage Actuator)サスペンションの高性能化が必須となっており、生産技術、品質向上、コスト低減と合わせて開発に取り組んでおります。9枚Disk用TSAは生産効率を20%改善した量産設備を確立し量産開始、10枚Disk用TSAの試作は共振特性とSwage特性の最適化がほぼ終了し、さらなる最適化を実施中であります。
当事業に関する研究開発費の金額は、
(4)産業機器ほか事業
半導体プロセス部品事業においては、半導体の多積層化と微細化がさらに進み、その実現のために求められる機能、特性の多様化、高精度化に応えるための開発に取り組んでおります。
プロセスの多様化から、耐熱、耐食性に優れた、一般的に難削材料とされる金属、合金を用いた製品の試作・開発にも取り組み、中核となる接合技術に加え、それら難削材料の高精度・高効率加工の深耕を図っております。
一方、固相拡散接合技術を用いた半導体製造装置上部部品では、コンタミの発生リスクを極限まで低減した高清浄度製品の提供を実現しています。
IMS(金属基板:Integrated Metal Substrate)については、近年、パワー半導体市場の活況に伴いEV/HEV車載用及び産業用途向けの基板の需要が増加し、高品質、高信頼性に加え高清浄度に対する要求が高まっております。IMSは高密度・大容量化に伴い、放熱性や耐ノイズ性のニーズが高まっており、それに応えるべく優れた高放熱絶縁材料の開発を継続的に推進しています。開発した絶縁材は高い放熱性を持つとともに優れた耐熱性と耐久性を備え、セラミック代替を目指しております。
その一方で安価な絶縁材料を使ったIMSや、より耐久性に優れたIMSの開発も行っております。
ゴルフシャフト事業では、北米のシェアを拡充すべく、肉厚調整・熱処理技術・解析技術を駆使して、弾道、距離、方向性の3ポイントをコントロールした商品開発を実施し、更にグローバルスタンダード化を目指しております。
一方でさらなる超軽量化シャフト開発並びに材料開発を継続し、その技術を応用したカーボンとスチールの複合シャフトを開発、商品化しております。
当事業に関する研究開発費の金額は、