文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、下記の企業理念を経営の基本方針として、常にお客様に魅力ある商品・サービスを提供して持続的な成長を図ることにより、お客様、株主の皆様、協力先をはじめ社会から常にベストと認められる企業集団を目指しております。
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当社の企業理念 |
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グローバルな視野に立ち、常に新しい考え方と行動で企業の成長をめざすと共に、魅力ある企業集団の実現を通じて豊かな社会の発展に貢献する。 |
当社は自動車関連事業と情報通信関連事業の二大事業構造の確立を経営戦略の主眼とし、自動車部品分野で長年培った「ばねの挙動解析」「金属材料ノウハウ」「金属加工技術」に、情報通信部品分野における「精密・微細加工技術」などの新しいコアコンピタンスを加えた次世代技術を駆使し、自動車及び情報通信分野へ多くのキーパーツを提供することにより、企業の永続と企業価値を最大化することを目標としております。
今後も世界最適調達がますます進むものと見込まれる自動車産業・情報通信産業において、顧客対応力に優れたグローバルサプライヤーとしての確固たる地位を築くと同時に、全てのステークホルダーの方々と良好な関係を維持できるよう努めてまいります。
(2)経営戦略等
当連結会計年度は、2017年度にスタートさせた2020年度を最終年度とする中期経営計画「2020中計」の最終年度となりました。この「2020中計」においては、既存拠点の収益向上と海外拠点の充実、現製品の拡販による売上増により、新製品・新拠点に対する積極的な設備投資を継続しつつ、最高益の更新を目標としました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響及び景気の不透明感等により、全世界の自動車生産台数は計画策定時の想定比72%、日系は71%と大幅に下回ったことの影響が大きく、売上高は、7,100億円の計画に対し1,373億円の減収となる5,726億円の実績となりました。また、この需要増に備えた設備投資が収益を圧迫したこと等により、営業利益は、540億円の計画に対し435億円の減益となる104億円の実績となりました。
2021年度は、2023年度を最終年度とする中期経営計画「2023中計」の初年度となります。この「2023中計」において、CSR活動のさらなる推進、激変する事業環境への対応加速、持続的な成長に向けての“もうけ”の確保を基本方針として掲げ、経営目標の達成に取り組んでまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「2023中計」における経営目標を次のとおり定めております。
自動車生産台数の回復、データセンター向けHDD関連部品の受注増、及び半導体市場拡大局面における半導体プロセス部品の受注増による増収に加え、合理化による原価低減により収益の回復を目指します。
2020年度目標経営指標と実績及び2023年度目標経営指標
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2020年度 目 標 |
2020年度 実 績 |
目標比 |
2023年度 目 標 |
2020年度 実績比 |
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売上高 |
(億円) |
7,100 |
5,726 |
△1,373 |
6,500 |
773 |
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営業利益 |
(億円) |
540 |
104 |
△435 |
400 |
295 |
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経常利益 |
(億円) |
570 |
145 |
△424 |
420 |
274 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
(億円) |
380 |
93 |
△286 |
250 |
156 |
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経常利益率 |
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8.0% |
2.5% |
- |
6.5% |
- |
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ROE |
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10.0% |
3.4% |
- |
8.0% |
- |
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配当性向 |
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30%程度 |
42.0% |
- |
30%程度 |
- |
(注)1 2023年度目標値の主な前提条件:全世界自動車生産台数94百万台、HDD生産台数212百万台、100円/米ドル
2 2023年度の売上高については、「収益認識に関する会計基準」等の適用による影響を反映しております。
(4)経営環境
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦並びに地政学的リスク等による前年からの経済成長の鈍化に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、前半は非常に厳しい状況で推移しましたが、後半より持ち直しつつあります。
当連結会計年度における自動車生産台数は、前半の厳しい事業環境のもと以下のとおり各国で前期を下回っており、当社グループの主要な事業分野である自動車関連事業の減収減益の大きな要因となっております。
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台 数 |
前期比 |
内日系 |
前期比 |
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全世界 |
79,464千台 |
△8.9% |
23,627千台 |
△13.3% |
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国別 |
国内 |
7,745千台 |
△15.7% |
- |
- |
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北米(米国・カナダ) |
10,220千台 |
△17.9% |
3,255千台 |
△14.9% |
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メキシコ |
3,171千台 |
△21.1% |
960千台 |
△17.5% |
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タイ |
1,412千台 |
△30.4% |
1,179千台 |
△22.1% |
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中国 |
25,048千台 |
△3.2% |
4,687千台 |
0.7% |
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(注)上記台数は各拠点の決算期に応じて集計しております。
一方、情報通信関連事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響は軽微であり、高容量のデータセンター向け需要増により、HDD関連部品の受注は堅調に推移いたしました。また、半導体市場拡大により、半導体プロセス部品の受注も堅調に推移いたしました。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
<事業全般>
新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況が続く中、感染の再拡大や半導体供給不足の長期化による下振れ等のリスクはあるものの、持ち直しの動きが続くことが期待されます。一方、自動車の電動化の進展や情報通信の高度化等、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しており、このような激変する事業環境への対応を加速させながら、持続的に成長していくことが当社グループの課題であります。
<懸架ばね事業>
懸架ばね事業では、近年グローバル市場における事業環境が大きく変化しており、特に米国、中国の保護主義の拡大とその対立が、世界経済はもとより材料調達市場にも影響を及ぼしております。加えて、日本、米欧をはじめ競合他社の参入により、グローバル市場における価格競争がますます激しくなっております。この環境下において当社グループでは、これまで収益改善を目的として実施してきた設備投資を成果につなげる等、さらなる原価低減活動を進めてまいります。
自動車業界では、電動化並びに自動運転車両化が急速に進展しております。懸架ばねそのものの需要に大きな影響はないと考えておりますが、こうした事業環境の変化の中で軽量化への要請がますます強まっております。高まる軽量化ニーズに対応するため、当社グループでは、加工技術並びに新鋼種の開発等を加速させてまいります。主にハイブリッド自動車等に使用されるブレーキ用アキュムレータにつきましては、軽量化を図った新世代製品の本格量産を開始いたしました。
<シート事業>
競争激化の影響並びに海外拠点の人件費上昇等による固定費増により、従来レベルの収益を確保することが難しくなっておりますが、VA等の推進による原価低減、生産性の改善等により収益力の強化に努めてまいります。
米国のNHKシーティングオブアメリカ社新工場につきましては、2021年度上期に稼働を開始する予定です。
当該事業においても軽量化ニーズは高まっており、乗り心地の向上と軽量化の実現の両立を目指し、開発に取り組んでおります。
<精密部品事業>
自動車関連事業につきましては、長野県伊那市にて自動車向けトランスミッション用スプリング生産設備を拡充し、当連結会計年度より量産を開始いたしました。今後の需要動向に応じ既存設備との最適生産配分を行い、収益力の向上を目指してまいります。また、電動車向けモーターコアにつきましては、電動化のキーパーツであることからその注目度が高まっており、工法の見直し等により収益力の向上に努め、採算性を見極めながら拡販による事業規模拡大を進めてまいります。さらに、今後ますます進展する自動車の電動化に向けた関連部品の開発も進めてまいります。
情報通信関連事業のHDD用サスペンションにつきましては、開発力・技術力・品質によりお客様の信頼を得ております。今後も高容量化は進み、サスペンションに要求される機能は高度化し、かつ需要も増加すると考えております。引き続き開発力・技術力・品質を維持しつつ、適切に生産能力を増強し収益確保に努めてまいります。また、さらなる競争力の向上を目指し、AIを活用したAOIの導入を進めております。
<産業機器ほか事業>
半導体プロセス部品につきましては、前連結会計年度において半導体市場落ち込みの影響から稼働を延期しておりました宮田工場が、需要回復に伴い当連結会計年度後半より本格稼働いたしました。既存工場との最適な生産配分を実施し、さらなる需要増に備え一層の収益力の向上に取り組んでまいります。また、金属基板につきましては、車載LED向けをはじめとした従来製品の拡販、パワーモジュール、AC-DC、DC-DCコンバーターといった自動車の電動化に対応した製品の開発及び拡販を進めてまいります。その他事業につきましては、選択と集中を進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項について、以下のとおり記載いたします。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事業は、有価証券報告書提出日(2021年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)世界経済の急激な変動
当社グループでは、主要な事業分野であります自動車関連及び情報通信関連の製品をグローバルに供給していることから、世界的な景気の変動に強く影響されます。日本、アジア、米国及び欧州など世界の主要市場での、予測を超える急激な景気後退と需要の縮小は、当社グループの経営成績及び財政状態に多大な影響を与える可能性があります。
加えて、今般の新型コロナウイルス感染症による影響は、世界的な景気の大きな下振れ要因であり、当社グループの経営成績及び財政状態への影響は不可避です。現時点においては、ワクチンの普及などにより感染症拡大以前の状況に近づきつつある国・地域もありますが、一方で感染症拡大が再燃する国・地域もあり、今後の感染動向、収束時期についての見通しを立てることは難しく、そのリスクを合理的に算定、想定することは困難であります。
(2)為替レートの変動
当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
また、日本で生産し輸出する事業において、他の通貨に対する円高は、グローバル市場における当社グループ製品の相対的な価格競争力を低下させます。
当社グループは、機動的な通貨ヘッジ取引を行い、短期的な変動による悪影響を最小限に抑えるよう努めておりますが、リスクを完全に排除することは困難であり、当社グループの経営成績及び財政状態に少なからず影響を与える可能性があります。
(3)原材料の価格変動並びに、原材料・部品の不足
当社グループは、鋼材などの主要原材料を外部より調達しております。これらの供給元とは、取引基本契約を締結し、安定的な取引を行っております。市況の変化による原材料価格の大幅な変動については、販売価格への転嫁を前提としておりますが、価格転嫁の反映時期がずれることにより、業績に与える影響が会計期間を超える可能性があります。
また、供給元の不慮の事故や自然災害、輸出又は輸入規制の変更などにより、原材料や部品の不足が生じないという保証はありません。その場合は、生産活動の低下を招くことで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
さらに、現在、需給のアンバランスから、半導体が不足し自動車メーカーにおいて生産調整が行われており、当社グループの主力事業であります自動車関連事業部門の受注が減少しております。翌連結会計年度の損益予想に反映させているものの、需給のアンバランス解消の動向を予想することは困難であり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)新製品開発力
近年、自動車産業では「CASE」といわれるコネクテッド・自動運転・シェアリング&サービス・電動化に代表される技術革新が進展しており、技術革新がもたらす開発ニーズに適切に対応していくことが当社グループの重要な課題の一つであります。
当社グループでは、当社研究開発本部が主体となって、新技術の基礎研究及び応用研究を積極的に行っており、継続して魅力ある新製品を開発できるものと考えておりますが、新製品の開発と市場への投入プロセスは複雑かつ不確実であり、以下をはじめとする、様々なリスクが含まれます。
・長期の開発期間を要する新製品開発について、必要となる資金と資源を継続的に充当できないリスク。
・大規模投資・資源投入により新製品を開発するも、回収不能となるリスク。
・競合他社との競争激化による販売価格の下落により、収益性が低下するリスク。
・競合他社による新技術の開発や市場ニーズの変化に伴う開発途中段階での技術の新規性の喪失により、コスト優位性が低下するリスク。
上記のリスクをはじめとする諸要因から、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)知的財産権の侵害
当社グループの製品は、広範囲にわたる技術を利用していることから、第三者による知的財産権不正利用の防止や知的財産権の侵害抑止への対策が完全とは言い切れません。また、当社グループが意図せず他社の知的財産権を侵害したとして製品の販売中止や賠償金の支払いを求められる可能性もあります。その場合、係争となることやライセンス費用又は和解費用を負担することで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)製品の品質不具合
当社グループは各生産拠点において、世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しております。しかし、全ての製品において欠陥がなく、将来にわたってリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物賠償責任については保険に加入していますが、最終的に負担すべき賠償額が、この保険によって十分にカバーされるという保証はありません。大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7)法的規制等
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障又はその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替、雇用、環境・リサイクル関連等の法規制を受けております。
このような多岐にわたる法的規制等に対しては、継続的にコンプライアンスの実践に努めておりますが、万一、これらを順守できなかった場合、当社グループには、直接的な費用の増加や社会的制裁、風評被害等、有形無形の損害が発生する可能性があります。
(8)海外市場への事業進出
当社グループの事業展開においては、海外市場の重要性が高まっており、現地グループ会社の生産が増加しております。海外市場では、地域・国によっては、文化的な違い、法制度の違い、社会的・政治的不安定さ等から、社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの事業活動の制限等、以下に掲げるような予期せぬ事態が発生するリスクが内在しており、これらが発生した場合には、現地での生産に支障が起きる可能性があります。
・予期しない法律又は規制の変更や、労働市場の変化などによる人材確保の難しさ、労働争議の発生及び人件費の急激な上昇
・過激なデモ、暴動、テロその他の要因による社会的混乱
また、これらの事態が長期化すれば、当社グループの経営成績及び財政状態に一層大きな影響を与えるおそれもあります。
(9)災害等による影響
地震、台風、水害等の自然災害や火災、停電等の事故、感染症が発生した場合、製造拠点の設備故障、損壊による追加費用発生や最適なサプライチェーンが維持できないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社は、当社グループのリスク管理も対象範囲とするCSR推進委員会を設置し、対象となる事象の予見と未然防止、事象発生の報告、再発防止策の検討等を実施しております。平時においては企業活動に関わるリスクについての洗い出し、BCP(事業継続計画)やリスク管理規程等を定めるとともに、教育・啓発活動の実施によりリスク発生の未然防止の推進を実施しております。リスクが顕在化した場合には、迅速に対策本部を設置し、その指揮のもとに所管部門及び関係部門が一体となって対応を行う体制となっております。しかし、各生産拠点で発生する大規模災害や、広範囲にわたる停電、当社グループの保有する設備の損壊、製品の輸送手段や経路の断絶等、生産・納入活動の中断事象が発生した場合には、これらのリスク管理活動の実施にもかかわらず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10)感染症等による影響
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、お客様の稼働状況に起因する受注量の減少、当社グループ内製造拠点でのロックダウンによる一時的な操業停止など当社グループの生産活動に影響を与えております。
感染拡大防止とお客様、取引先及び従業員の安全のため、来訪者の制限・検温、出張の制限、Web会議の推奨、従業員の出勤時の検温、マスク着用の徹底、時差出勤・在宅勤務の推奨、消毒の徹底、感染者発生時の対応方法を定め、実施しております。
当社グループでは、適時適切に対応して、感染症による事業活動への影響の低減に努めておりますが、影響が長期化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。現時点においては、ワクチンの普及などにより流行以前の状況に近づきつつある国・地域もありますが、一方で感染症拡大が再燃する国・地域もあり、今後の感染動向、収束時期について見通しを立てることは難しく、当社グループの経営成績及び財政状態に与える影響を合理的に予測することは困難であります。
(11)情報セキュリティに関するリスク
当社グループの事業活動における情報システムの重要性は非常に高まっており、ハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策を講じております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、想定を超えるサイバー攻撃、不正アクセスなどにより、基幹情報システムの停止や機密情報の流出等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度は、日本、米国において、新型コロナウイルス感染症の影響により、景気は厳しい状況で推移しましたが、後半より持ち直しつつあります。
中国でも同様の影響から経済活動は大幅に縮小しましたが、他の地域に比べ早期に景気は持ち直しています。一方で、タイの景気は、下げ止まりつつあるものの厳しい状況が続きました。
当社グループの主要な事業分野である自動車関連市場においては、国内の自動車生産台数は7,745千台で前期比15.7%の減少となりました。また、北米(米国・カナダ)においては10,220千台で前期比17.9%の減少、中国では25,048千台で前期比3.2%の減少、タイでは1,412千台で前期比30.4%の減少となりました(いずれも台数は各拠点の決算期に応じた集計)。
もう一方の主要な事業分野である情報通信関連市場につきましては、HDD(ハードディスクドライブ)の世界生産台数は前期比で減少しましたが、高容量のデータセンター向けが堅調に推移したことにより、当社の主力製品であるサスペンションの総需要は増加いたしました。
このような経営環境のもと、当社グループは持続可能な成長に向けて「真直ぐ」な姿勢の堅持、収益力の向上、収益に繋がる新たな技術・商品の開発、ものづくり力強化のスピードアップ、安心・安全な会社、働きがいのある働きやすい職場づくりをグループの経営方針として掲げ、取り組みました。
近年、自動車関連市場では、グローバルでの競合他社との競争が激しさを増しており、当社グループの収益性に影響を与える大きな要因となっております。収益力の回復と向上は当社グループの重要な課題と認識しており、生産部門・販売部門・本社部門が一体となり、課題解決に取り組んでおります。
以上の事業環境及びグループ内の取り組みの結果、売上高は572,639百万円(前期比13.8%減)、営業利益は10,463百万円(前期比49.5%減)、経常利益は14,533百万円(前期比31.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,396百万円(前期比103.7%増)となりました。
(2)当連結会計年度のセグメント別の売上高及び営業利益の概況
新型コロナウイルス感染症によるロックダウンに伴い自動車メーカーが操業停止したこと、需要低迷及び半導体供給不足を背景とする生産調整により自動車生産台数が減少したことから、自動車関連事業の売上高は前期に比べ減少しております。
一方、HDD関連部品においてデータセンター向けが堅調に推移したこと、市場拡大に伴い半導体プロセス部品が好調に推移したことから、情報通信関連事業の売上高は前期に比べ増加しております。
[懸架ばね事業]
懸架ばね事業の売上高は102,071百万円(前期比19.2%減)、営業損失は4,687百万円(前期は営業利益2,708百万円)となりました。
売上高については、新型コロナウイルス感染症拡大、需要低迷及び半導体供給不足の影響を受けて自動車メーカー各社が生産調整を実施し、自動車生産台数が減少したことで減収となりました。営業損益については、固定費削減に取り組んだものの、減収による影響が大きく事業全体で減益となりました。
営業利益の主な増減要因は以下のとおりです。
売上変動及び品種構成差 △164億円
固定費増減(償却費含む) 74億円
合理化ほか 17億円
[シート事業]
シート事業の売上高は242,514百万円(前期比19.8%減)、営業利益は1,972百万円(前期比71.7%減)となりました。
売上高は、懸架ばね事業と同様の状況により減収となりました。また営業利益についても懸架ばね事業と同様の状況により減益となりました。
営業利益の主な増減要因は以下のとおりです。
売上変動及び品種構成差 △131億円
固定費増減(償却費含む) 46億円
合理化ほか 35億円
[精密部品事業]
精密部品事業の売上高は138,529百万円(前期比3.1%減)、営業利益は6,833百万円(前期比9.4%増)となりました。
売上高については、HDD関連部品は堅調に推移したものの、自動車生産台数の減少による自動車関連事業の減収影響が大きく、事業全体で減収となりました。営業利益については、自動車関連事業の減収影響がある一方、HDD関連部品が堅調に推移したこと、固定費削減効果等により事業全体で増益となりました。
営業利益の主な増減要因は以下のとおりです。
売上変動及び品種構成差 △45億円
固定費増減(償却費含む) 48億円
合理化ほか 3億円
[産業機器ほか事業]
産業機器ほか事業の売上高は89,523百万円(前期比3.3%減)、営業利益は6,344百万円(前期比32.1%増)となりました。
売上高については、半導体プロセス部品は好調に推移したものの、自動車関連事業の減収影響が大きく、事業全体で減収となりました。営業利益については、自動車関連事業の減収影響がある一方、半導体プロセス部品が好調に推移したこと、固定費削減効果等により事業全体で増益となりました。
営業利益の主な増減要因は以下のとおりです。
売上変動及び品種構成差 △4億円
固定費増減(償却費含む) 10億円
合理化ほか 9億円
(3)経営成績の分析
①売上高、営業利益
「(2)当連結会計年度のセグメント別の売上高及び営業利益の概況」に記載のとおりです。
②営業外損益
営業外損益は、4,069百万円の利益となり、前連結会計年度に比べ3,518百万円の増加となりました。為替レートの変動による為替差損がなくなった一方で、為替差益が1,229百万円発生したことが主な要因となります。
③特別損益
特別損益は、225百万円の利益となり、前連結会計年度に比べ9,278百万円の損益改善となりました。独占禁止法関連損失の計上がなくなり、減損損失が大きく減少したほか、投資有価証券売却益を計上したことが主な要因となります。
減損損失及び前期に計上した独占禁止法関連損失の詳細につきましては、「第5[経理の状況]連結損益計算書の[注記事項](連結損益計算書関係)」をご参照ください。
④法人税等
税金等調整前当期純利益に対する税効果会計適用後の法人税等の負担率は29.2%となり、前連結会計年度の51.9%と比べ大きく減少いたしました。連結子会社における固定資産減損損失に係る将来減算一時差異に対する評価性引当額の計上が大きく減少したことや、損金不算入となる独占禁止法関連損失の計上がなくなったことにより、負担率が大きく減少いたしました。
⑤非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の1,256百万円に対し1,044百万円となりました。
⑥親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は9,396百万円で、前期比103.7%の増益となりました。1株当たり当期純利益は40.45円となり、前連結会計年度に比べ20.99円増加しました。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は78,986百万円で前期比6.3%の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上により、29,636百万円の増加(前期は36,621百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出により、24,107百万円の減少(前期は45,809百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に新型コロナウイルス感染症の拡大に備えた手元流動性確保のための短期借入れにより、2,792百万円の増加(前期は16,950百万円の減少)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは5,528百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前期末に比べ4,671百万円増加し、78,986百万円となりました。また、有利子負債は69,264百万円と前期末に比べて11,673百万円増加しました。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
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懸架ばね事業 |
98,398 |
△20.2 |
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シート事業 |
226,759 |
△21.1 |
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精密部品事業 |
149,462 |
△2.4 |
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産業機器ほか事業 |
33,010 |
3.5 |
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合計 |
507,631 |
△14.8 |
(注)1 上記の生産実績は、製造会社における生産実績を販売価額により表示しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前期比 (%) |
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懸架ばね事業 |
106,377 |
△8.6 |
23,453 |
22.5 |
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シート事業 |
267,511 |
△6.4 |
58,031 |
75.7 |
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精密部品事業 |
141,464 |
△1.5 |
29,659 |
11.0 |
|
産業機器ほか事業 |
88,624 |
△6.5 |
7,946 |
△10.2 |
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合計 |
603,978 |
△5.7 |
119,091 |
35.7 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
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懸架ばね事業 |
102,071 |
△19.2 |
|
シート事業 |
242,514 |
△19.8 |
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精密部品事業 |
138,529 |
△3.1 |
|
産業機器ほか事業 |
89,523 |
△3.3 |
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合計 |
572,639 |
△13.8 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
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金額 (百万円) |
割合 (%) |
金額 (百万円) |
割合 (%) |
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㈱SUBARU |
68,294 |
10.28 |
- |
- |
(注)前連結会計年度に記載しております株式会社SUBARUについては、当連結会計年度においては当該割合が100分の10未満であったため、記載を省略しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月28日)現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債の報告金額、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積り及び仮定を設定する必要があります。当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
また、当連結会計年度末時点において行った重要な会計上の見積もりのうち、翌年度以降の連結財務諸表に特に重要な影響を及ぼすリスクがあると考えている項目については、「第5[経理の状況](重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
① 収益の認識
当社グループの売上高は、原則として顧客が当社グループの製品を検収した時点、又はサービスの提供が完了した時点に計上されます。
② 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に再建計画などを考慮した上で、回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
新型コロナウイルス感染症の影響による一般債権の貸倒は当連結会計年度末時点では生じていないため、貸倒引当金の計上の際の貸倒実績率には含まれておりませんが、その後の経済環境の変化による貸倒率の増加や再建計画の変更により回収可能額が減少する可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループが有する固定資産について、損益報告や経営計画などの企業内部の情報、経営環境や市場価格などの企業外部の要因に関する情報に基づき、資産又は資産グループ別に減損の兆候の有無を確認しております。この判定により減損損失を認識すべきと判断した場合には、その帳簿価額を回収可能価額まで減損処理を行っております。
回収可能価額は、不動産鑑定結果などに基づく売却可能価額又は将来の経営計画に基づく将来キャッシュ・フローの割引現在価値で算出しており、経済環境の変化などによる、時価の変動、経営計画との乖離、割引率の変動により、減損額の算定に影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による自動車生産台数の減少に関して、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき、2022年3月期の一定期間にわたり当影響が引き続き影響するものとの仮定に基づいております。これらの仮定に対して、その後の得意先の稼働調整などにより大きな差が生じた場合には、今後の固定資産の減損処理に影響を与える可能性があります。
④ 投資の減損
当社グループは、投資の評価にあたっては、時価の回復可能性があると認められる場合を除き、時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に減損処理を実施し、下落率が30%以上50%未満の場合には時価の回復可能性の判定を行い、回復可能性がないと判断した場合は減損処理を行っております。
回復可能性の判断においては、帳簿価額を下回った期間の長さ及び下落幅、当該会社の財務状況及び将来の展望を考慮しますが、市場の変化や経済環境の変化などにより投資の評価額が影響を受ける可能性があります。
⑤ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたっては、連結会計年度末時点の将来減算一時差異に対して翌期以降で適用される法定実効税率を用いて計上しておりますが、将来的な課税当局による法定実効税率の変更により、繰延税金資産が増減し、利益を増減させる可能性があります。
また、繰延税金資産を、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために、評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するにあたっては、将来減算一時差異の解消スケジュール、将来の経営計画に基づく課税所得及び、慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、経営環境・経営計画の変化により、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産の調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による自動車生産台数の減少に関して、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき、2022年3月期の一定期間にわたり当影響が引き続き継続するものとの仮定に基づいております。これらの仮定に対して、その後の得意先の稼働調整などにより大きな差が生じた場合には、今後の繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
⑥ 退職給付費用
当社グループにおける退職給付費用及び債務は、その計算の際に使われた仮定により変動いたします。これらの仮定には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の期待収益率及び死亡率などの要因が含まれております。
割引率は、国債などの低リスクの債券の利回りに基づいて設定しており、年金資産の期待収益率は、企業年金基金などの年金資産における長期の収益率を基に設定しております。
これらの仮定と実際の結果との差額や、年金資産の時価の増減による影響は連結包括利益計算書を通じて即時認識されます。当社グループは使用した仮定が妥当なものであると考えておりますが、実績との差異又は仮定自体の変更により、退職給付費用及び退職給付に係る資産・負債に影響を与える可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要」に記載のとおりです。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要」に記載のとおりです。
② 財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、企業価値向上のために、適宜適切なタイミングで経営資源を配分することを財務戦略の基本としており、強固な財務体質及び高い資本効率を兼ね備えることが重要だと考えております。
当社グループは、自己資本比率の水準を50%程度に保つことで、「シングルA-」の信用格付(格付投資情報センター(R&I)による格付)を維持し、リスク耐性の強化を図ってまいります。
また、営業キャッシュ・フローによる債務償還能力に留意しつつ、金融機関からの外部借入を有効に活用し、資本コストの低減にも努めてまいります。
一方、株主還元については、株主の皆様への利益配当を最重要事項と認識しており、連結業績及び配当性向等を総合的に勘案し、安定的な配当を継続することを基本としております。2020年12月の当社取締役会において、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行し、資本効率を向上させ株主還元に資することを目的に、株式数で5,559千株、取得価額で4,085百万円の自己株式取得を決議し、取得いたしました。今後も、純資産の効率的な運用を目指すための選択肢の一つとして、財務状況や事業環境などを考慮しながら、機動的な自己株式の取得を検討してまいります。
③ 資金調達の考え方
当社グループ製品製造のための材料及び部品、研究開発費等、事業活動に係る運転資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、債権回収までに必要な資金については、コマーシャル・ペーパーや銀行借入によって、連結売上高の1.5~2ヶ月分を目安に流動性の保持を図ります。
設備投資資金については、設備投資計画に基づき、国内外での資金調達について、市場金利動向や為替動向、あるいは既存借入金の返済時期等を総合的に勘案し、銀行借入及び社債の発行等によって資金を賄っております。
また、当社グループでは、グループ間融資によって資金融通を行う事で資金効率を高めております。一部の海外関係会社については、現地金融機関より各社の使用する現地通貨にて調達をしております。その際、当社が関係会社の借入に対し債務保証の差入れを行うことがあります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に加え、足下では半導体の供給不足による影響が懸念されておりますが、コミットメントライン契約及び当座貸越枠により手元流動性を確保する体制を整えております。今後も、非常時に備えた資金調達枠の確保に努めてまいります。
技術受入契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
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日発精密工業㈱ |
アキュメントグローバルテクノロジーズ社 |
オランダ |
トルクスパンチ |
特許及び製造技術の実施権の許諾(注) |
2017年4月23日~ 2023年4月22日 |
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㈱スミハツ |
パンドロールUK社 |
イギリス |
パンドロール eクリップ |
OEM契約(注) |
2018年3月23日~ 2028年3月22日 |
(注)ロイヤルティとして売上高の一定率を支払っております。
当社グループは、「創造挑戦型」の基礎技術の研究開発から「開発提案型」の新製品開発、さらには生産技術の開発にいたるまで、積極的な研究開発活動を行っております。また、昨今の四輪車、二輪車の電動化に伴い、市場動向やお客様のニーズを迅速に研究開発へ反映させるため、マーケティング機能を有する電動化事業推進室にて、新製品及び新規事業開拓を進めております。
現在、研究開発は、本社研究開発本部、技術本部及び電動化事業推進室、各生産本部の開発部門、技術部門、設計部門等、また、各関連会社の開発部門等により鋭意推進されております。研究開発スタッフは全体で1,103名であり、これは全従業員数の6.0%に当たります。当連結会計年度における当社グループ全体にて支出した研究開発費総額は、
当連結会計年度における事業の種類別セグメントの研究開発活動は、以下のとおりであります。なお、上記の研究開発費には、本社研究開発本部、技術本部及び電動化事業推進室で行われている各事業部門に共通する材料技術、加工技術、接合技術、分析技術、解析技術等の基礎研究開発の費用1,189百万円が含まれております。
(1)懸架ばね事業
懸架ばね事業では、CASEやMaaSといったキーワードに含まれる電動化や自動運転車両への対応、各国の環境規制に対応するため、更なる軽量化と高品質化に注力した製品や新技術開発、生産工程の省エネルギー化、自動化を進めるための生産技術開発に取り組んでおります。
懸架ばねでは、軽量化・高品質化への取り組みとして、ショットピーニングや熱処理などの加工技術開発、高強度材料や繊維強化プラスチック材料などの材料開発を進めております。また、低廉な材料に独自の設計・加工技術を適用し、高品質な製品の開発も進めております。
金属ベローズを用いたアキュムレータでは、部品点数の削減と軽量化を図り前連結会計年度よりブレーキ用として本格量産を開始した新世代アキュムレータを、新たにサスペンション用にも展開しております。
生産技術開発では、自動化や工程の最適化を進めることで、生産性向上に取り組んでおります。
当事業に関する研究開発費の金額は、
(2)シート事業
シート事業の開発アイテムとしては、軽量化、自動運転に対応するシート、体信号利用のシート応用製品、快適な動性能・静性能を持つシートに重点を置き、開発活動に取り組んでおります。
軽量化への取り組みとしては、超ハイテン材の1,200Mpa級の高延性材などの使用部位を拡大することや、近い将来の材料動向を踏まえた1,500Mpa級の高強度材を採用したフロントシートフレームの開発を行っております。
また、さらなる軽量化としてアルミ材やマグネ材などへ材料置換したフレームの開発も検討しております。
将来予想される自動運転車市場の拡大に備え、自動運転時に必要なシート機能を検討し、その中から当社独自のアイテム開発を進めております。例えば、自動運転Level3、4となると、自動運転から手動運転への切換えシーンが発生します。そのため、リラックス姿勢から運転姿勢にスムーズに戻せるシートや、眠気等の状態を検知し、乗員に注意喚起を行うといった自動運転車向けシートの開発に取り組んでおります。また、自動運転になると従来よりも車で過ごす時間が長くなると予測されており、長時間着座による疲労も増加すると考えられます。長時間着座によって乗員が感じる違和感、痛み、むくみ、圧迫感等を分析して、それらを改善できる疲労低減アイテムの開発にも取り組んでおります。(左右大腿部の圧迫をコントロールできるシート開発、骨盤をしっかりサポートできるユニット開発、温度を利用して血流循環を促進させるシートヒーターユニットの開発等)
また、自動運転車では、ドライバーが同乗者と同様に運転以外のタスクを行うようになるため、車酔い発症の増加が懸念されています。そこで、車酔いの発生メカニズムに基づき、自動運転中でも車酔いになりにくいシートの開発を進めています。
現状では、車酔いの定量評価指標を開発するとともに、ヘッドレスト形状を中心として乗員の体の支持方法を工夫することにより、従来シート比で車酔いを50%低減することが可能になっております。(試作品にて効果確認済み)
引き続き、業界の変革に遅れないよう差別化を狙いつつ、各カーメーカーの要望に応えながら先行開発を進めてまいります。
当事業に関する研究開発費の金額は、
(3)精密部品事業
精密ばね分野においては、エンジン・トランスミッション部品に代表される自動車関連製品をはじめとして、HDD(ハードディスクドライブ)用部品、半導体の検査用プローブ等、幅広い分野での製品開発を行っており、特に現在はHEV(ハイブリッド車)・EV(電気自動車)向けの製品開発、ばねの高品質化、低コスト化に向けた生産技術開発、解析技術構築に注力しております。
HEV・EV分野については、高精度プレス加工技術を基盤とした、モーターコア部品、パワーモジュール部品、及び燃費向上に寄与する軽量化技術の開発を行っております。
ばねの高品質化・低コスト化については、線ばね・皿ばねの全自動品質保証設備、及び自動化ラインの開発を行っており、その生産技術のグローバル展開も進めております。加えて、ばねの解析システムを構築し、これら製品の最適設計、及び更なる高信頼性化を進めております。
HDD関連分野においては、9枚Disk搭載のデータセンター向け高容量HDDに対応したCLA(Co-Located Actuator)及びTSA(Triple Stage Actuator)サスペンションは開発が終了し、生産効率を20%改善した量産設備の海外展開を実施しております。10枚Disk搭載のHDDに対応したCLA/TSAサスペンションについては開発を継続しております。HDD多盤化によりサスペンションを含めたHDD関連部品の薄型化がさらに進むため、冷却用高速ファン等の外部外乱による磁気ヘッド位置決め特性劣化が著しく、共振特性高性能化が必須となっており、実試作及びFEM検討によるデザイン最適化を、生産技術、品質向上、コスト低減と合わせて進めております。
当事業に関する研究開発費の金額は
(4)産業機器ほか事業
半導体プロセス部品事業においては、半導体の多積層化と微細化がさらに進み、その実現のために求められる機能、特性の多様化、高精度化に応えるための開発に取り組んでおります。
プロセスの多様化から、耐熱、耐食性に優れた、一般的に難削材料とされる金属、合金を用いた製品の試作・開発にも取り組み、中核となる接合技術に加え、それら難削材料の高精度・高効率加工の深耕を図っております。また、耐絶縁性、耐プラズマ性に優れたセラミック溶射を金属基材に施すことにより付加価値の高い製品の開発、生産を継続しています。
一方、固相拡散接合技術を用いた半導体製造装置上部部品では、コンタミの発生リスクを極限まで低減した高清浄度製品の提供を実現しています。
金属基板(IMS:Integrated Metal Substrate)については、近年、パワー半導体市場の活況に伴いEV/HEV車載用及び産業用途向けの基板の需要が増加し、高品質、高信頼性に加え高清浄度に対する要求が高まっております。金属基板は高密度・大容量化に伴い、放熱性や耐ノイズ性のニーズが高まっており、それに応えるべく優れた高放熱絶縁材料の開発を継続的に推進しています。開発した絶縁材は高い放熱性を持つとともに優れた耐熱性と耐久性を備え、セラミック代替を目指しております。
その一方で安価な絶縁材料を使った金属基板や、より耐久性に優れた金属基板の開発も行っております。
ゴルフシャフト事業では、北米におけるシェアを拡充すべく、肉厚調整・熱処理技術・解析技術を駆使して、弾道、距離、方向性の3ポイントをコントロールした商品開発を実施し、さらにグローバルスタンダード化を目指しております。
一方でさらなる超軽量化シャフト開発並びに材料開発を継続し、その技術を応用したカーボンとスチールの複合シャフトを開発、商品化しております。
当事業に関する研究開発費の金額は、