第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業収益や雇用環境の改善が続くなか、政府の経済政策や金融緩和政策の継続により、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、英国のEU離脱や米国の保護主義的な諸政策への転換憶測、また中国をはじめとする新興国の景気減速への警戒感等から、国内景気の先行きは不透明な状況となっております。

このような事業環境のなか、当社グループ(当社及び連結子会社)の主たる事業である建設・梱包向のうち建設向は、平成28年度の新設住宅着工戸数は97.4万戸(前年度比5.8%増)と特に、住宅着工利用関係区分での貸家・一戸建ての伸びが大きく、釘の需要環境は良好に推移いたしました。一方、電気・輸送機器向は、弱電・OA機器向け及びゲーム機器用ネジは、中国での現地調達化が定着し、国内での需要は低調であり、価格競争も激しくなるなか、事業環境は依然厳しい状況が続いています。

この結果、当連結会計年度の売上高は、5,114百万円(前年度5,213百万円、1.9%減)となりました。営業利益は、昨年末からの原油・鋼材価格の値上がりにより、原材料価格は値上がりしているものの、生産性の向上による製造原価単価の低下や製造コストの低減効果等により159百万円(前年度84百万円、89.0%増)となり、経常利益は、147百万円(前年度69百万円、110.3%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として固定資産除却損8百万円と100%子会社(非連結)の株式会社接合耐力試験技術センターの保有株式評価損6百万円を計上し、法人税、住民税及び事業税が23百万円であり、繰延税金資産を建設・梱包向は6百万円計上し、電気・輸送機器向は5百万円取崩した結果、112百万円(前年度149百万円、25.1%減)となりました。

当連結会計年度におけるセグメント別業績は次のとおりであります。

(建設・梱包向)

建設・梱包向セグメントは、住宅着工利用区分のなかの持家・貸家等の木造住宅の伸長もあり、釘全体の需要は大きく増加しましたが、当社においては、昨年末まで為替の影響もあり、輸入商品の一部で販売価格が下がり、価格競争が激しくなったことにより、釘の販売は伸び悩みました。利益面では、昨年末までの資材価格の安定と生産性の向上による製造原価単価の低下や製造コストの低減効果等により、増益となりました。この結果、当セグメントの売上高は4,138百万円(前年度比0.1%減)となり、セグメント利益は前年度に比べ95百万円増加し、360百万円となりました。

(電気・輸送機器向)

電気・輸送機器向セグメントは、弱電・OA機器向け及びゲーム機器向けネジの中国での現地調達化が定着し、国内での需要は低調でありました。需要の落ち込みに対して、4月より8月にかけて、休業による生産調整を実施し、労務費を含む製造コストの低減を行いました。この結果、当セグメントの売上高は、975百万円(前年度比8.8%減)となり、セグメント利益は前年度に比べ2百万円減少し、1百万円となりました。

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により268百万円の収入があり、投資活動により147百万円、財務活動により10百万円の支出があったことにより、資金は前連結会計年度末に比べ111百万円増加し、572百万円となりました。

・営業活動によるキャッシュ・フロー

建設・梱包向、電気・輸送機器向ともに売上債権が増加し、たな資産が減少し、また、税金等調整前当期純利益が131百万円、減価償却費が162百万円であった等のため、営業活動で得られた資金は268百万円となりました。(前連結会計年度は120百万円の収入)

・投資活動によるキャッシュ・フロー

有形固定資産の取得による支出が109百万円、無形固定資産の取得による支出が22百万円等であったため、投資活動に使用した資金は147百万円となりました。(前連結会計年度は41百万円の収入)

・財務活動によるキャッシュ・フロー

長期借入金を新規に580百万円借入れ、返済による支出が531百万円であり、自己株式の取得による支出が46百万円等であったため、財務活動に使用した資金は10百万円となりました。(前連結会計年度は158百万円の支出)

 

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績及び仕入実績

当連結会計年度における生産高及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高及び仕入実績(千円)

前年同期比(%)

建設・梱包向

3,246,486

△4.9

電気・輸送機器向

808,791

△18.0

合計

4,055,278

△7.8

 

(注) 1 金額は、生産高は製造原価、仕入実績は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

建設・梱包向

4,176,777

+0.8

358,412

+11.8

電気・輸送機器向

1,010,368

△7.0

142,169

+31.9

合計

5,187,145

△0.8

500,582

+16.9

 

(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

建設・梱包向

4,138,829

△0.1

電気・輸送機器向

975,979

△8.8

合計

5,114,808

△1.9

 

(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成28年4月1日

至  平成29年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

大東スチール株式会社

1,085,361

20.8

1,182,135

23.1

 

3 上記金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、釘・ネジの専業メーカーとして、「1本の釘・ネジで、ものともの、人と人とを繋ぎ、豊かな社会づくりに貢献します」を企業理念として定め、多様なニーズに応えられる高品質の製品を開発・提供して、社会に貢献することを使命として事業活動を続けています。また、法令や社会規範を遵守する透明でわかりやすい経営によって収益力をあげ、安定した利益を継続的に確保し企業価値を高めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループが事業展開に際し重視している経営指標は、売上高、営業利益、自己資本比率であります。徹底した合理化、原価低減により生産性を高め、総資産を圧縮し、業績及び企業価値の向上を図ってまいります。

(経営指標)  売上高    60億円、営業利益   1.8億円、自己資本比率    25%超

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループの持つ技術力、開発力、設備能力、ブランド力、情報力等を活かし、下記の施策を実行しながら、コスト競争力の強化、財務体質の改善に努めてまいります。

建設・梱包向セグメント

釘は国内総需要の約7割が輸入商品で賄われている品種であり、当社の場合もここ数年海外委託生産品(OEM)の販売量が国内自社生産品を上回っているのが現状です。しかし、長年の経験に培われた当社の技術力・開発力・品質管理能力は、高付加価値品の製造においては圧倒的な優位性を保っていますし、またOEM商品の品質安定にも大きく寄与しています。汎用品から高付加価値品に至るまで、お客様の様々なニーズにお答えできる企業として勝ち残っていくため、コスト削減と売上高拡大を実現し、収益力のレベルアップを図ってまいります。

具体的施策は以下の通りです。

①コスト削減

1.国内生産品種を再検討・選別の上増産する。

2.OEM提携先との関係強化により仕入コストを削減する。

3.物流を合理化・再構築する。

4.副資材の大幅な見直しを行う。

5. 省エネ対策と新電力の活用によりエネルギーコストを削減する。

②売上高の拡大

1.営業スタッフを拡充する。

2.メリハリをつけた営業戦略により適正価格での売上増を追求する。

3.技術力を活かした新製品を開発する。

電気・輸送機器向セグメント

かつての主力製品であった弱電・家電向けのネジは、平成22年以降の円高局面で需要家が生産拠点の海外シフトを加速させ、結果日本国内の需要は急激に減少しました。平成24年末以降の円高修正局面でも、これら需要の戻りは限定的のままとなっております。このため、自動車産業並びにOA機器メーカー向けを主なターゲットとして、高付加価値機能部品の製造を行う多段冷間圧造設備を平成26年に導入し、平成27年より本格的な量産体制に移行しつつあります。

高付加価値機能部品の製造・販売は、従来主力のネジ類拡販にも相乗効果が期待できるため、この投資効果の極大化に注力して営業活動を推進してまいります。

 

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

今後の当社グループ(当社及び連結子会社)を取り巻く経営環境を展望しますと、建設・梱包向事業は、少子化の進行と住宅の長寿命化による住宅需要の減少に伴う釘需要の減少、国内品及び中国を中心とする安価な釘の輸入増による価格競争の激化による市場価格・販売価格の硬直化及び為替変動による輸入商品の仕入価格の上昇等の懸念があります。また、電気・輸送機器向事業は、最終需要家の生産拠点の海外へのシフト等に伴う、国内ネジ需要の減少等の懸念があります。

当社グループとして、このような事業等のリスクに対応すべく、次の事項について積極的に挑戦し、業容の維持・拡大を図っていく所存であります。

①コスト競争力の強化

1.TPM初期清掃活動、計画的な予防保全、多能工化、生産性向上活動、コストダウン活動を推進し、儲かる工場を目指します。

2.国内生産能力を最大限活用し、高品質で収益性の高い品種を優先的に増産します。

3.省エネをはじめコストダウン案件を発掘し、推進します。

4.自社製品と輸入商品とのバランスを柔軟に執ります。

②販売価格の是正

資源価格の変動や為替変動に即応した販売価格の是正を行います。

③新製品の開発推進

製販一体で、顧客ニーズを満足する新製品の開発に取り組みます。

④新規事業への展開

 既存事業とのシナジー効果の見込める分野への参入により、事業の多角化と収益規模の拡大を図ります。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

建設・梱包向セグメント

①少子化による住宅需要の減少に伴う釘需要の減少

少子化の進行と住宅の長寿命化によって、国内の新設住宅着工戸数が減少し、それに伴い釘の需要も長期的に減少するリスクがあります。一方、高齢化や生涯未婚率の上昇等によって世帯数は当面減少せず、建替え需要にも下支えされて賃貸住宅需要はむしろ増加傾向にある、という説もあります。

②販売価格の硬直性

釘製品は、国内メーカーの製品のみならず、中国からの輸入品も含めた過当競争状態にあるため、販売価格の是正には時間を要します。したがって、材料費やエネルギーコストの高騰、為替変動による輸入商品の仕入コスト増等により一時的に採算が悪化するリスクがあります。

③為替変動

円安により、輸入商品の仕入価格上昇というリスクがあります。

電気・輸送機器向セグメント

今後の為替動向によっては、最終需要家の生産拠点の海外シフト等に伴って、国内ネジ需要の減少のリスクがあります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1)技術受入契約

契約会社名

相手方の名称

契約品目

契約内容

契約期間

㈱ナテック

EJOT社(独国)

DELTA PT SCREW 
VARIOBOSS

製造、販売、
技術情報の提供

平成13年3月1日から当該製品取扱い期間内

 

(注) 対価として一定率のロイヤリティーを支払っています。

 

(2)合併契約

 当社は平成29年2月24日開催の取締役会決議に基づき株式会社接合耐力試験技術センターを平成29年4月1日に吸収合併いたしました。 

 詳細は「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりです。

(1) 経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高につきましては、5,114百万円(前連結会計年度比1.9%減)となりました。損益につきましては、営業利益は、特に、中国での鋼材価格の低下による資材価格の安定と増産に伴う生産性の向上による製造原価の低減効果等により、159百万円(前連結会計年度84百万円、89.0%増)となり、経常利益は147百万円(前連結会計年度69百万円、110.3%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として、固定資産除却損8百万円及び100%子会社の株式会社接合耐力試験技術センターの保有株式評価損6百万円を計上し、法人税、住民税及び事業税が23百万円であり、また、繰延税金資産を建設・梱包向は6百万円を計上し、電気・輸送機器向は5百万円取崩した結果、112百万円(前連結会計年度149百万円)となりました。

(売上高及び営業利益)

建設・梱包向事業は、平成28年度の新設住宅着工戸数が97.4万戸(前年度比5.8%増)と特に、住宅建設利用関係区分での貸家・一戸建ての伸びが大きく、需要環境は良好に推移いたしました。しかし、当社は価格競争力のある輸入品において、販売が伸びなかったため、売上高は前年度とほぼ横ばいの4,138百万円(前年度比0.1%減)となりました。営業利益、経常利益は、資材価格の低位安定と国内品の増産に伴う生産性の向上による製造原価の低減効果等により、大幅な増益となりました。一方、電気・輸送機器向事業は、弱電・OA機器向け及びゲーム機器の海外での現地調達化が定着し、国内での需要は低迷しました。また、価格競争が激しく、資材や電力料・外注加工費等の製造コストの増加分を価格に転嫁できなかったため、売上高は前年度に比べ8.8%減の975百万円となり、営業利益は前年度に比べ2百万円の減益となりました。

(営業外損益)

営業外収益は、前連結会計年度に比べ3百万円減少しました。これは、受取配当金と保険解約返戻金が減少したこと等によるものであります。営業外費用は、前連結会計年度に比べ5百万円減少しました。これは、支払利息が金利低減の取り組みにより、前連結会計年度に比べ4百万円減少したこと等によるものであります。この結果、営業外損益は、費用が収益を12百万円上回りました。

(特別損益)

特別損失は、固定資産除却損が8百万円であり、その内訳は建設・梱包向5百万円、電気・輸送機器向3百万円であります。また、子会社株式評価損6百万円は、100%子会社の株式会社接合耐力試験技術センターの保有株式評価損によるものであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税23百万円を計上し、建設・梱包向で繰延税金資産を6百万円計上し、電気・輸送機器向で5百万円を取崩した結果、112百万円となりました。前連結会計年度に比べ37百万円の減益となりましたが、前連結会計年度は兵庫県福崎町の土地・建物の売却益101百万円があったことによるものであります。この結果、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度に比べ2.81円減の9.40円となり、自己資本当期純利益率は、前連結会計年度に比べ4.6%減の10.2%となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当社グループは、適切な流動性の維持、設備投資を含む事業活動のための資金の確保、総資産及び有利子負債の圧縮を前提とした健全なバランスシートの維持、そして自己資本比率を高めていくことを財務方針としています。

当連結会計年度末の総資産は5,161百万円(前連結会計年度末〔以下「前年度末という」〕比149百万円増)となりました。負債は4,005百万円(前年度末比97百万円増)となり、純資産は1,156百万円(前年度末比51百万円増)となりました。

 

(流動資産)

流動資産は、建設・梱包向、電気・輸送機器向とも第4四半期における売上高が前連結会計年度に比べ増加したため、受取手形及び売掛金が111百万円増加し、また、現金及び預金が111百万円増加したこと等により、前年度末に比べ191百万円増の3,076百万円となりました。

(固定資産)

固定資産は、前年度末に比べ42百万円減少し、2,084百万円となりました。これは有形・無形固定資産の設備投資額が121百万円に対して、減価償却費が162百万円であり、また、投資有価証券は、保有する100%子会社の株式会社接合耐力試験技術センターの株式を6百万円評価減したことによるものであります。

(流動負債・固定負債)

流動負債は、支払手形及び買掛金が14百万円、未払消費税等が12百万円増加したことにより、前年度末に比べ25百万円増加し、2,694百万円となりました。固定負債は、長期借入金が55百万円増加したこと等により、前年度末に比べ72百万円増加し、1,310百万円となりました。

(純資産)

株主資本のうち利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益が112百万円であるのに対して、配当金の支払いが12百万円であり、自己株式の取得を46百万円行ったこと等により、前年度末に比べて51百万円増加し、1,156百万円となりました。この結果、自己資本比率は前年度末の21.4%から21.8%となり、1株当たり純資産は87.32円から95.56円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの分析

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が131百万円であり、売上債権が111百万円増加し、減価償却費が162百万円であったこと等により268百万円の増加(前連結会計年度は120百万円の増加)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が109百万円、無形固定資産の取得による支出が22百万円等により147百万円の減少(前連結会計年度は41百万円の増加)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入が、長期借入金の返済による支出を48百万円上回り、自己株式の取得による支出が46百万円あったこと等により、10百万円の減少(前連結会計年度は158百万円の減少)となりました。