第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1)経営の基本方針

当社は2019年度に今後10年間を見据えた長期(10年)の基本方針を策定した上で、この達成を図るべく最初の3年の数値目標を策定しました。

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①今までの中期経営計画との違いについて

今までの中期経営計画策定は市場の需要前提を出して、それに基づいて各事業が数字を組み立てていました。これに対して、今回の中期経営計画は「10年後に日工グループがありたい姿(ビジョン)」を描いた上で、最初の3年間に必要な数値目標(=中期経営計画)を決めたことが異なります。

長期の基本方針は1.国内収益基盤の強化、2.海外売上の確立、3.新規事業(M&A)の推進、4.働き方改革の実践、5.ROEをKPIに、が骨子となります。これら5つの方針を軸にして、コーポレートガバナンスの強化、透明性の高い活力ある企業運営を展開してまいります。

 

②長期(10年)基本方針で5つのポイント

長期計画の前提となる当社を取り巻く事業環境につきましては、当社グループに関係の深い建設関連業界は今まで民間建設投資が大幅に増加するなど総じて堅調に推移してきました。今後も首都圏再開発の継続や大阪万博の大型プロジェクトなどが見込まれます。しかし長期的にはこうしたプロジェクトも一服が見込まれ、既存事業の収益基盤強化と成長余地が高い海外売上確立、新規分野を伸ばすことが中期経営計画の達成に必要と考えております。

 

これらを踏まえて、長期経営計画での基本方針は以下と致します。

 

 イ. 国内の収益基盤の強化は全部門のレベルアップにより製品力を向上させて、現状一桁の国内売上高営業利益率を10%にする。

 ロ. 海外売上の確立は実績を積み上げているタイ、インドネシアにおいて攻め方を変えて強化する。

 ハ. 新規事業の推進はM&Aだけでなく現在取り組んでいる新規事業に対して経営資源を投入、柱とすべく10年後に100億円の売上を創出する。

 ニ. 働き方改革の実践は当社製品でお客様の働き方改革に貢献できるような製品を展開し、当社においては労働生産性を高めて余力を作り、新規領域に投入する。

 ホ. 以上の結果として、10年後に時価総額500億円以上、ROEで8%以上を目指す。また配当性向を60%以上とし、株主還元も強化する。

 

③長期目標を達成するに当たっての経営者の認識

長期経営目標を達成するに当たり、当社の価値創造プロセス(=ビジネスモデル)との関連性を示せば、コアの4つの技術、すなわち混練、加熱、制御、搬送で参入障壁の高い独自技術(=競争力の源泉)をより強化させることが重要と考えております。これらは強固な財務基盤や顧客ニーズに応える研究・開発体制、ソリューションパートナーとしての顧客企業からの信頼、調達先とのパートナーシップ、代理店・協力工事店との協働に支えられています。

 

国内のアスファルトプラント(AP)関連事業は、顧客の8割が大手舗装会社で固定化しており、アスファルト合材製造量も4,000万トンをやや下回った水準が続くと考えられます。当面は更新需要が先延ばしされたAP需要の顕在化で国内は高原横這いの状況が続くと予想されますが、中長期的には成長余地が高い海外の拡大が不可欠と見ています。国内の当社APシェアは7割程度で競合先は1社ですが、リサイクル合材をメインに差別化したVPシリーズの拡販、新CSCでメンテナンス・サービスのビジネスモデル刷新を進めてまいります。海外は主力の中国に加えて、当社の中古機が大量に稼働するタイで現地法人設立を2020年2月に行なうなど顧客基盤の拡大を致します。

 

国内のコンクリートプラント(BP)関連事業は、生コンクリートの工場数が2019年度末で3,298箇所など2012年度末の3,456箇所から減少しており、中期的にも工場数は減少が予想されます。市場は成熟化しておりますが、競合2社と比べて静態シェアが低いため、シェアアップを図ることが重要な経営目標で2021年度にシェア50%以上を目指します。当社の強みである操作盤内製化やサービス・メンテナンス体制強化がシェアアップに寄与するものと考えております。また、最近はコンクリート二次製品や建設現場の人手不足でi-constructionのニーズも高まっており、これらの分野に注力致します。

 

また世界的に気候変動リスクへの対応が叫ばれる中、日工グループの事業内容は社会や環境の課題と深い関係があり、サステナビリティに基づいた企業の対応や自社が貢献出来る分野で価値を創出することも重要と認識しております。

 

最後に株主様からお預かりした資金を最大限活用して、その期待に応えるため、資本コストを全社で共有し、それを上回るリターンを上げることも重視致します。この結果として、10年後(2029年度末)には株式の時価総額500億円以上、ROE8%以上をKPIとして目指します。また現在の自己資本水準や手元流動性に鑑みて、成長投資と株主還元を同時に強化致します。配当性向は今まで30%程度を基準にしておりましたが、中期経営計画期間中は60%以上に引き上げます。これらが中長期の企業価値向上に欠かせないと考えております。

 

< 日工のビジネスモデル >

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(2)中期経営計画のセグメント別見通し

前中期経営計画(2016~2018年度)は売上高こそ当初予想に近い実績となりましたが、利益項目を含めて実態として未達で厳しい結果に終わりました。中身を精査しますと、可能性を見込んでいた海外売上高や新規分野(発展領域)の伸び悩みが顕著でした。

前中期経営計画では以下を目標にして主力のAP、BPの新型プラントや操作盤を開発し、中国向けにAPリサイクル設備の拡販を行ないました。

・国内基盤の安定化 ・・・国内外の顧客価値を高めて、需要を連鎖する商品企画を立案

・(国内)成長戦略 ・・・各事業のコア技術、強みを融合し新たな商品価値を創造

・(海外)成長戦略 ・・・国外の顧客価値を高めて、需要を連鎖する商品企画を立案

現在の当社を取り巻く経営環境は、主力事業であるAP、BPの市場環境は微減傾向が継続しており、脱炭素社会に対する取り組み、働き方改革、人手不足、熟練工不足などの社会的な課題もあります。そのような状況で中期経営計画(2019~2021年度)の活動方針を作成しました。

 

中期経営計画である2019年度から2021年度における各セグメントの財務目標は次のとおりです。

 

現中期経営計画初年度である2019年度の連結業績は売上高351億円、営業利益20億円(営業利益率5.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益15億円、ROE5.2%となりました。セグメント別の営業利益はAP関連事業が高収益なメンテナンス事業の伸び悩みで計画比未達となりましたが、破砕機や防水板等のその他事業が好調で補いました。

 

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 ※AP=アスファルトプラント、BP=バッチャープラント(コンクリートプラント)

 ※計画=中期経営計画、予想=連結業績予想

 

(3)会社の対処すべき課題

①アスファルトプラント関連事業の収益性向上

国内の既存事業の市場は集約化傾向であり、市場シェアの向上もさることながら収益性向上が最大の課題と認識しております。中でも、主力事業であるアスファルトプラントは国内シェア約7割と高いものの、同関連事業の2019年度営業利益率は6.4%に留まっており、収益性の改善のため、戦略製品であるVPシリーズの拡販及び製造原価低減などにより一層努めてまいります。

 

②コンクリートプラント関連事業の国内シェア拡大

コンクリートプラント関連事業は保守メンテナンスの時代へとユーザーニーズが変化しており、生コン出荷量、プラント出荷台数は減少傾向が続くと見ております。このような事業環境下、コンクリートプラントの現状動態シェア約40%を50%とすべく新しい高性能ミキサの開発による差別化、二次製品コンクリート工場へのアプローチ強化を進め、また、近年自然災害が多発していることから、被災地で活動できる新型モバイルプラントを開発し、昨年より市場投入しており、引き続き拡販に努めてまいります。

 

③メンテナンス事業のビジネスモデル変革

アスファルトプラント関連事業やコンクリートプラント関連事業の収益性を改善する上で、両事業の国内売上高で約6割を占めるメンテナンス事業のビジネスモデル変革も課題と見ております。土木、建設業界の人手不足や熟練工不足の問題が今後も続くと見られ、お客様の課題解決のためにもメンテナンス事業のビジネスモデル変革に取り組んでまいります。

さらに、ITを活用した省力化を推進させ、お客様の満足度を向上する取り組みを推進すべく、15年以上前から行なっているリモートメンテナンスをセンサー類の活用などにより、予防保全へと進化させてまいります。また、ウエアラブル端末のスマートグラスを利用してお客様と当社をつなぎ、リモート対応するなど、点検手法の改革にも取り組んでまいります。

 

④海外事業領域の開拓

現在の海外事業は中国での売上高が大半を占めており、米中関係悪化や新型コロナウイルスの影響により不安定な状況が予想されますものの、中国国内のインフラ投資は総じて旺盛と見ております。中国市場に加え、さらに海外市場領域の拡大を図るため、当社の中古機が多いタイに現地法人 Nikko Asia(Thailand)Co.,Ltd.を2020年2月に設立、新規プラントだけでなく中古機やリニューアル、メンテナンス・部品など様々なバリューチェーンへビジネスを広げてまいります。

 

⑤新規発展領域の拡充

国内砕石プラントの多くが更新時期を迎えており、定置式に替わり自走式破砕機の需要が増加しています。そうした需要拡大への対応として、販売力とサービス体制の強化、管理及びバックアップ体制の構築、モバイルセンターの製品在庫の充実やパーツセンター機能の強化を進め事業規模拡大に取り組んでまいります。

また、近年の気候変動による水害防止製品として、建物、地下などへの雨水侵入を防ぐ防水板の需要が急増しており、製造拠点を新設するなど増産体制を強化しております。防災関連商品として、超軽量のショベル・スコップを新発売するなど、防災関連製品の拡販を日工グループ全体で取り組んでまいります。

 

⑥環境負荷低減への取り組み

「脱炭素社会」を目指す取り組みとして、これまで燃焼効率を高めることによるアスファルトプラントの省エネ化を行なってまいりました。今後はカーボンニュートラルな代替燃料を使用するアスファルトプラントを更に拡販することにより、地球温暖化の要因となるCO2削減に根本から取り組んでまいります。

また、コンクリートプラント関連事業においては、環境負荷の高い建設現場から戻ってくる「戻りコン」、製造過程で発生する「残コン」などを処理する製品の普及に努めてまいります。

 

⑦成長投資と株主還元

財務面は現在、純資産約300億円と十分な規模にありますが、今後とも海外事業や新規事業等の成長投資や株主還元に充当してまいります。そのために、政策投資株の売却、キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)の改善でキャッシュ創出を図ります。これらにより捻出したキャッシュは成長投資や株主還元の強化に使わせて頂きます。

情報開示においての課題は財務情報に比べて数値化が遅れている非財務情報の開示を増やすことですが、2019年から統合報告書を作成しており、この充実を今後も続ける事で改善を進めてまいる方針です。

 

 以上の対処すべき課題を踏まえた上で、目標とする経営指標の推移は以下となります。中期経営計画ではROEをKPIに設定し、2029年度にROE8%以上を目指します。

 

中期経営計画の数値計画

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※計画=中期経営計画、予想=連結業績予想

※2019年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行いました。2019年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり配当金を算出しております。

 

(4)新型コロナウィルス感染拡大の影響

 今般の新型コロナウィルスの感染拡大について、国内の建設関連業界全般については影響度合いは小さいものと予想しておりますが、中国でのアスファルトプラント関連事業は工場が実質1ヵ月停止していた事による影響が出ることが予想され、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、現在において顕在化した重要な影響はありません。

 また、社員に感染者が出た場合、当社は受注製品ごとに設計を行い、それからモノづくりを行うという流れであるため、顧客への納期対応で大きな支障が出る可能性があります。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

これらのリスクを認識した上で、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している方法などにより、事態の発生の回避及び発生した場合の対応に努めます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

また、前連結会計年度までは為替レートの変動を事業等のリスクに掲げておりましたが、為替レートの変動が事業等に与えるリスクの重要度は低くなったと判断し、削除しております。

 

(1)国内アスファルトプラント関連事業に関するリスク

<競合相手との差別化が十分にできないリスク>

 国内のアスファルトプラント市場は当社と競合会社の2社でほぼ100%の市場シェアを占める寡占市場です。当社の市場シェアは70%以上あり、トップメーカーとしての位置づけは永年にわたって変わっておりません。当社としては、圧倒的なトップメーカーの地位を将来にわたって維持するために、製品開発力を磨き、きめ細かなメンテナンスサービス体制を維持強化することで差別化を図っております。しかしながら、十分な製品開発ができない場合や、競合相手が当社と遜色のないきめ細かなメンテナンス体制を整備してきた場合、顧客に対して差別化の訴求力が弱まる可能性があります。

 

<海外メーカーの日本市場への参入リスク>

 近年には、国内アスファルトプラント市場には海外メーカーの参入はありませんが、中国・韓国メーカーは徐々に技術力をつけてきており、日本市場参入を計画している可能性があります。十分なメンテナンス体制がない中での海外メーカーの日本市場参入は容易ではありませんが、母国市場での成長が止まった暁には日本市場参入を本格的に検討してくる可能性があります。海外メーカーが国内市場に参入してきた場合にはメーカー間での競争が激化する可能性があります。

 

<環境規制に当社の技術革新が間に合わないリスク>

 アスファルトプラントの燃焼装置の燃料であるA重油、更にはガス等化石燃料に対する環境規制が厳しくなった場合、従来技術では対応できないため、技術革新が必要となります。環境規制が今後厳しくなることを想定し、燃焼装置の技術開発には取り組んでおりますが、規制が厳しくなるスピードが、想定を上回る速さで進んだ場合に、技術革新が間に合わない可能性があります。

 

<道路舗装業界再編による市場縮小のリスク>

 道路舗装会社大手2社による資本業務提携の話がありましたが、今後、道路舗装業界で再編が進む可能性があります。業界再編により、アスファルトプラント工場の集約化が進めば市場が縮小する可能性があります。

 

(2)海外事業に関するリスク

<中国のアスファルトプラント・ハイエンド市場が競争激化するリスク>

 中国のアスファルトプラント市場で当社はハイエンド機種のカテゴリーですでに一定のポジションを確保し、毎年、安定的に売上・利益を計上しております。これまでのところ、ハイエンド市場の競合相手はヨーロッパ企業2社と中国のトップ企業1、2社であり、激しい競争環境にはありません。しかしながら最近、中国企業が全般的に技術力をつけており、将来的にはハイエンド市場においても多くの中国メーカーが参入し、激しい競争が繰り広げられる可能性があります。

 

<ASEAN市場で計画どおりの販売計画が達成できないリスク>

 当社の成長戦略として、2020年度、タイに製造現法を設立し、10億円を超える工場への投資を決めましたが、タイ及びASEAN諸国で毎年、安定的に当社のアスファルトプラントが販売できることがこの投資の前提となっております。しかしながら計画に反して当社のプラントがタイを始めとするASEAN諸国の顧客の支持を十分に得られず、計画台数を販売できなかった場合には工場が赤字となり、工場の減損リスクが生じます。

 

(3)公共投資予算削減に関するリスク

 過去、自民党政権から民主党政権に代わった際に「コンクリートから人へ」がスローガンになり、その当時、当社の多くの顧客は、設備投資を抑制する動きに出ました。その結果、当社の売上は大きく減少しました。将来、自民党政権から公共投資抑制策をかかげる政権に代わった場合、前回の民主党政権交代時と同様、顧客に投資抑制の動きが出る可能性があります。

 

(4)新型コロナウィルス感染拡大のリスク

 新型コロナウィルス感染が拡大し、社員に感染者が出た場合、濃厚接触者も含めて多くの社員が一時的に業務から離れざるを得ません。特に技術部門で感染者が出た場合、一定期間、設計作業が止まることになります。当社の製品は、受注製品ごとに設計を行い、それからモノづくりを行うという流れであるため、顧客への納期対応で大きな支障が出る可能性があります。

(5)現場作業従事者の人材確保に関するリスク

 当社の事業モデルでは、プラント製造から現場での据付工事、更にはメンテナンスサービス提供を自社で行っております。メンテナンスサービスにおいては、IoTの活用等によるメンテナンス業務のシステム化を通じた省人化を進めていますが、近年、メンテナンスサービス要員、工事施工要員などの現場作業従事者の採用が、人手不足の中で難しくなっております。これら現場作業従事者の採用が必要人数に満たない場合、競争優位性のある当社事業モデルを維持することが難しくなる可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の国内外の経済は、新型コロナウィルス感染問題が発生するまでは、総じて堅調に推移していましたが、新型コロナウィルス感染拡大後は、国内外の経済情勢が一変しました。新型コロナウィルス感染拡大後は、国内外の経済活動は大幅にスローダウンし、今後、経済成長率が大きくマイナスで推移することが見込まれています。また、国内外の経済活動がいつ元の状態に戻るのかも見通せない状況となっています。

 このような状況の中ではありましたが、当社グループに関係の深い建設関連業界は、これまでのところは、あまり直接的な影響を受けることなく、堅調に推移しました。今後についても、建設関連業界全般について影響度合いは小さいものと予想しておりますが、当社のお客様の今後の投資動向については従来以上に注視してまいります。

 当社では、2019年8月に2019年度~2021年度の中期経営計画を策定し、公表しました。中期経営計画では、10年後に日工グループがありたい姿(ビジョン)を描いた上で、最初の3年間に必要な数値目標を決めました。具体的には10年後に売上高を現状の約1.5倍である500億円を目指しますが、中期経営計画の最終年度の目標は売上高380億円、営業利益30億円としました。これにあたって5つの長期基本方針を定めました。具体的には『国内収益基盤の強化による国内売上高営業利益率10%の確保』、『ASEANに拠点を構築し海外売上を現状の45億円から倍増』、『新規事業を推進し、産業機械・建設機械分野で新たな製品の柱を構築し、新規事業で売上高100億円を創出』、『事務集中化、IoT・AIの活用による働き方改革を通じ、労働生産性の大幅な向上』『ROEをKPIとし、ROE8%以上の達成、同時に株主還元を強化』です。この5つの基本方針を軸に、コーポレート・ガバナンスの強化、透明性の高い活力ある企業運営を目指してまいります。

 当期の経営成績ですが、国内では、当社の主力事業であるアスファルトプラント関連事業の売上高が対前期比で増加しました。これは、全国的に道路関連公共事業の発注が順調であったことと、前々期は、大手道路会社のプラント更新が減少したものの、その後増加に転じたことで前期後半に受注残高が積みあがっていたためです。また、コンクリートプラント関連事業の売上高も、期初の受注残高が対前期比で多かったため、対前期比で増加しました。

 海外では、中国でのアスファルトプラント関連事業の売上高は、政府の積極的なインフラ投資政策と環境規制の高まりを受け、大きく売上高を伸ばした前期の実績を更に上回る結果となりました。中国以外の海外市場での売上は、台湾では大きく売上を伸ばすことができましたが、戦略市場と位置付けているASEAN市場では売上が伸び悩みました。

 こうした事業活動の結果としての当社グループの財政状態及び連結経営成績は以下のとおりであります。

 財政状態につきましては、総資産が456億77百万円となり、前期と比較し17億7百万円増加となりました。負債は153億83百万円となり、前期と比較し18億29百万円増加となりました。純資産は302億93百万円となり、前期と比較し1億21百万円減少となりました。

 売上高につきましては、アスファルトプラント関連事業、コンクリートプラント関連事業、その他事業において前期を上回りましたが、環境及び搬送関連事業が前期を下回った結果、前期比10.6%増の351億51百万円となりました。

 損益面につきましては、売上増と売上原価率の改善により、連結営業利益は前期比43.9%増の20億53百万円となりました。また、連結経常利益は前期比35.9%増の21億42百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比18.1%増の15億88百万円となりました。

 なお部門別の概況は以下のとおりであります。

 

<アスファルトプラント関連事業>

 国内のアスファルトプラント関連事業の売上高は、製品の売上高は前期比増加した一方でメンテナンス事業の売上高が減少し、前期比4.2%増となりました。一方、海外の売上高は中国事業及び輸出ともに前期比増加し、前期比14.2%増となりました。この結果、当事業の売上高は、前期比6.5%増の175億18百万円となりました。当期間の受注高、受注残高は前期比減少しました。

<コンクリートプラント関連事業>

 コンクリートプラント関連事業の売上高は、製品、メンテナンス事業の売上高ともに前期比増加し、この結果、当事業の売上高は、前期比16.0%増の91億58百万円となりました。当期間の受注高、受注残高は前期比増加しました。

<環境及び搬送関連事業>

 環境製品の売上高は、前期比31.9%減となりました。搬送製品の売上高は、ほぼ前期並みとなりました。この結果、当事業の売上高は、前期比5.0%減の26億34百万円となりました。当期間の受注高、受注残高は前期比減少しました。

<その他>

 仮設機材製品の売上高は、前期比11.5%増となりました。土農工具製品の売上高は、前期比4.3%減となりました。破砕機製品の売上高は前期比4.7%増となりました。その他事業のその他はモバイル事業及び防水板事業が大きく伸長したことで前期比48.9%増となりました。この結果、当事業の売上高は、前期比24.8%増の58億40百万円となりました。当期間の受注高、受注残高は増加しました。

 

   ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は125億75百万円(前期103億円)となり、前連結会計年度に比べ22億75百万円増加いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、38億9百万円の収入となりました。(前期2億18百万円の支出)

これは、税金等調整前当期純利益が24億40百万円、売上債権の減少による収入6億86百万円、減価償却費6億11百万円、仕入債務の増加による収入が13億17百万円あったものの、投資有価証券売却及び評価益3億73百万円の計上、たな卸資産の増加による支出が6億87百万円、法人税等の支払額が7億69百万円あったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、6億9百万円の支出となりました。(前期10億21百万円の支出)

 これは、主に投資有価証券の売却及び償還による収入が7億72百万円あったものの、有形及び無形固定資産の取得による支出が13億92百万円あったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、8億68百万円の支出となりました。(前期5億26百万円の支出) これは、主に配当金の支払額が10億2百万円あったことによるものであります。

 ③生産、受注及び販売の実績

 イ.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

アスファルトプラント関連事業(百万円)

18,476

108.63

コンクリートプラント関連事業(百万円)

8,629

101.86

環境及び搬送関連事業(百万円)

2,537

97.58

報告セグメント計(百万円)

29,642

105.57

その他(百万円)

4,549

107.51

合計(百万円)

34,191

105.82

 (注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 ロ.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

アスファルトプラント関連事業

16,133

85.43

7,423

84.28

コンクリートプラント関連事業

9,478

112.32

3,760

109.31

環境及び搬送関連事業

2,401

86.59

152

39.43

報告セグメント計

28,012

93.08

11,335

89.72

その他

5,902

117.87

883

107.62

合計

33,915

96.62

12,219

90.82

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 ハ.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

アスファルトプラント関連事業(百万円)

17,518

106.59

コンクリートプラント関連事業(百万円)

9,158

116.02

環境及び搬送関連事業(百万円)

2,634

94.95

報告セグメント計(百万円)

29,311

108.15

その他(百万円)

5,840

124.85

合計(百万円)

35,151

110.61

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績

  2018年度実績、2019年度計画・実績値は次のとおりであります。

  当連結会計年度の経営成績等の状況につきまして、新型コロナウィルス感染拡大の影響はございません。

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  ※AP=アスファルトプラント、BP=バッチャープラント(コンクリートプラント)

(売上高)

 売上高は、前連結会計年度に比べ10.6%増の351億51百万円となりました。

 国内のアスファルトプラント関連事業につきましては、リサイクル合材をメインに差別化したVPシリーズの拡販が奏功し、製品の売上高は前期比増加しました。一方で、メンテナンス事業はシステム製品の売上高が減少したため、売上高が減少しました。海外の売上高も前期比増加しました。その要因は、中国で環境規制の高まりを受けて当社の強みである環境対応製品が伸びたことと、リサイクル合材の使用比率の上昇を受けリサイクルプラントの売上高が伸びたためです。更には、台湾の環境規制の高まりを受け、ガスバーナーの新たな需要を取り込み、拡販ができたこと、また前期、売上高がゼロであったタイ向けにプラント2台を販売したことも海外の売上高増加につながりました。

 この結果、当事業の売上高は前期比6.5%増の175億18百万円となりましたが、計画値の187億円を下回る結果となりました。これは、国内メンテナンス事業の売上高を前期並みと計画していた中で前期比減少したこと、国内製品の納期のズレが生じたこと、更にはタイ・インドネシアの販売計画が未達に終わったためです。

 コンクリートプラント関連事業につきましては、製品、メンテナンス事業ともに前期比増加しました。この結果、当事業の売上高は前期比16.0%増の91億58百万円となりました。製品に関しては、目標としている単年度シェア40%以上を確保し、メンテナンス事業もマージン率の高い部品販売や、計画修理の売上高がほぼ計画通りに達成でき、計画値に近い結果となりました。

 環境製品につきましては、前期が大型物件の売上があった関係で、売上高は前期比減少しました。

 搬送製品につきましては、ほぼ前期並みとなりました。

 この結果、当事業の売上高は、前期比5.0%減の26億34百万円となり、計画値に近い結果となりました。

 その他の事業といたしまして、防水板製品につきましては、売上高が前期比大幅に増加しました。

 破砕機(モバイルプラント)製品につきましては、顧客層が拡大し、前期比大幅に増加しました。

この結果、当事業の売上高は、前期比24.8%増の58億40百万円となり、計画値を大幅に上回る結果となりました。

 

(売上原価)

 売上原価は、前連結会計年度と比べ20億27百万円増加し255億12百万円となりましたが、売上原価率は1.3%改善しました。これは主として、売上高の増加によるものであります。

 

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ7億17百万円増加し75億85百万円となりました。これは主として、新規事業開拓のための支払手数料の増加、開発部門強化による試験研究費の増加、売上高増加による運賃の増加によるものであります。

 

(営業利益)

 連結営業利益は、前期比43.9%増の20億53百万円となりました。これは主として、売上高が大幅に増加したことによるものであります。売上高営業利益率は、前期比1.4%増加し5.8%となりました。これは主に、原価率の低減効果によるものであります。

 

(営業外収益、営業外費用)

 営業外収益は、前連結会計年度と比べ6百万円減少し2億36百万円となりました。これは主として、受取配当金の減少等によるものであります。営業外費用は、前連結会計年度と比べ54百万円増加し1億47百万円となりました。これは主として、為替差損の増加等によるものであります。

 

(特別利益、特別損失)

 特別利益は、前連結会計年度と比べ1億36百万円増加し5億45百万円となりました。これは前期に引続き政策投資株の売却を進めたことにより、投資有価証券売却益が増加したことによるものです。特別損失は、前連結会計年度と比べ1億93百万円増加し2億47百万円となりました。これは主として、100周年記念事業費の計上と、投資有価証券評価損計上によるものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の結果、前連結会計年度に比べ2億43百万円増加し15億88百万円となりました。

 

(ROE)

 当社はROEをKPIとしております。前連結会計年度に比べ0.8%増加し5.2%となりましたが、計画値の6.5%を下回る結果となりました。これは、純資産額はほぼ計画通りでしたが、国内アスファルトプラント関連事業の営業利益が計画比未達に終わったことと、販売費及び一般管理費が計画以上に増加したため、営業利益が計画比未達に終わったためです。対処すべき課題にも挙げていますが、国内アスファルトプラント関連事業の収益性の改善につながる戦略製品のVPシリーズは顧客ニーズをつかみ、売上高は計画通りに伸びていますが、製造原価が計画を上回り、計画通りのマージンが得られていません。新製品であるため、当初は製造原価が想定通りに収まらないのは一般的です。それ故に製造原価の低減余地は大きく、今後この課題に取り組んでまいります。また、メンテナンス事業のビジネスモデルの変革、すなわち、事後的メンテナンスから予防保全的メンテナンスに変えることによる収益性の改善にも今後取り組んでまいります。

 

ロ.財政状態

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は、314億26百万円となり、前連結会計年度末293億90百万円に比べ20億36百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金の22億75百万円、たな卸資産の6億19百万円のそれぞれ増加、受取手形及び売掛金の8億29百万円、未収消費税等の2億9百万円のそれぞれ減少によるものです。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は、142億50百万円となり、前連結会計年度末145億78百万円に比べ3億28百万円減少いたしました。主な要因は、建物及び構築物の2億79百万円、機械装置及び運搬具の2億8百万円、土地の2億55百万円、繰延税金資産の3億77百万円それぞれ増加、投資有価証券の16億34百万円減少によるものです。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、125億45百万円となり、前連結会計年度末107億81百万円に比べ17億63百万円増加しました。主な要因は、電子記録債務の2億38百万円、ファクタリング未払金の10億36百万円、未払法人税等の2億5百万円それぞれ増加、未払金の92百万円減少によるものです。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は、28億38百万円となり、前連結会計年度末27億73百万円に比べ65百万円増加しました。主な要因としては、長期借入金の53百万円増加したこと等があげられます。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、302億93百万円となり、前連結会計年度末304億14百万円に比べ1億21百万円減少いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の15億88百万円の計上による増加、その他有価証券評価差額金の8億91百万円減少、配当金10億5百万円の支払いによる減少等であります。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度に比べ22億75百万円増加し、125億75百万円となりました。なお、詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 当社の主な資金需要は、原材料等の購入費用等の製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用のための運転資金及び設備投資資金であります。資本の財源は、主として営業活動により得られた資金であります。

 今後の財務戦略としましては、貸借対照表に眠っている資産をさらに現金化します。具体的には、政策投資株の売却と、CCC(キャッシュ・コンバージェンス・サイクル)の改善を推進してまいります。

 政策投資株の売却につきましては、事業上の繋がりが強くない取引先の株式は原則すべて売却の方針で進めてまいります。株主還元については、2019年3月期までは配当性向30%を基準にしてまいりましたが、2022年3月期までの中期経営計画期間においては同60%以上といたします。

 CCCの改善は、プラントの受注時に前受金を原則受領することとして、また手形サイトも120日を超えるものを無くすことで達成可能と考えております。

 引き続き、将来にむけての成長投資は積極的に進めますが、現在の利益剰余金の水準も高い水準にあることから、成長投資と株主還元の強化を共に進めてまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の数値、報告期間における収益・費用の数値に与える要因は色々ありますが、継続した会計基準で評価を行っております。見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて、合理的と考えられる基準に基づき作成しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。

 また、当連結会計年度で行った見積り及び判断・評価については、新型コロナウィルス感染拡大の影響はございません。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、ソリューションパートナーとしてお客様の期待に応える研究開発及び製品開発を研究開発部門が中核となって関連部門と連携協力して推進しております。

 当連結会計年度に係る研究開発費は379百万円であります。

(1)アスファルトプラント関連事業

アスファルトプラント関連事業では,地域循環型社会の創生に寄与するため、炭化燃料バーナの開発を進めております。各地域適所に設置されているアスファルトプラントの特性を活かし、地域内でのエネルギー循環社会の構築に貢献します。また、アスファルト合材の加熱温度低減を目的としたアスファルトフォームド装置を開発し、合材生産時のエネルギー消費をより一層抑制できる技術を提供いたします。

当事業に係る研究開発費は195百万円であります。

 

(2)コンクリートプラント関連事業

コンクリートプラント関連事業では、引き続きDASH Hyperミキサの国内最大となる6㎥/バッチ練りから最小0.5㎥/バッチ練りまでのミキサをラインナップし拡販に努めて参りました。このDASH Hyperミキサは、従来ミキサの瞬発力を踏襲するとともに、練混ぜ性能を大きく向上させており、例えば高層ビルの建設に用いられるプレキャスト製品の軽量化に必要不可欠な超高強度繊維補強コンクリートの練混ぜ性能の向上により拡販に努めております。さらに昨今のコンクリートの高強度化、高流動化に伴うコンクリート製品の多様化に対応すべく、従来ミキサと異なる練混ぜ理論を基にした高性能な次世代ミキサの研究開発を進めております。

当事業に係る研究開発費は126百万円であります。

 

(3)環境、搬送関連事業及びその他

 環境、搬送関連事業及びその他では、様々な現場、シーンで要求される少量の破砕ニーズに応えるべく、関係会社である前川工業所製の破砕機を搭載した移動式小型破砕装置を開発しました。また、土木会社向けに廃石膏を加熱処理後その生成物を適正に混合してできる固化材製造設備を開発中です。

当事業に係る研究開発費は57百万円であります。