当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営の基本方針
当社は2019年度に「10年後に日工グループがありたい姿(ビジョン)」を描いたうえで、長期(10年)の基本方針を策定しました。この方針の達成に向けて、3年ごとの中期経営計画を作成しています。
①長期基本方針について
当社グループは2030年ビジョンの中で、メーカーとして技術力・製品力の日工ブランドを維持・強化しつつ、サービスビジネスを拡張させることで、経済価値として売上高700億円、営業利益70億円(営業利益率10.0%)を目指しています。また、社会・環境価値は4つのマテリアリティのうち環境価値に関わる「カーボンニュートラルの実現」と「資源循環型社会の確立」、社会価値に関わる「人財育成と働きがいの向上」を挙げています。経済価値と社会・環境価値を同時に引き上げることで、企業価値の向上を目指します。
2030年ビジョン達成へのプロセスを進める上で、2024年度迄は「内部投資フェーズ」と位置づけており、人的資本や知的資本への先行投資を積極化し、製造資本へも高水準の設備投資をおこないました。具体的に、カーボンニュートラルへの対応が必要なAP事業領域の社員増強34名を始めとして、日工単体で86名の人員増(過去3年間は69名増)をおこないました。研究開発費においても、AP事業領域の環境対応新製品、遠隔化・自動化サポートなどを始めとして、18億円強(同12億円弱)をおこないました。
2025年度以降は「内部投資フェーズ」から、先行投資が具現化する「ビジネス拡大フェーズ」に入ります。新たに策定しました「新中期経営計画2025‐2027」に基づき収益を拡大していきます。
②長期基本方針(ビジョン)達成のための重要な経営課題
日工グループは新たに策定した2030年ビジョンに伴い、持続的に企業価値創造するためのマテリアリティ(重要課題)を見直しました。経営理念に掲げる「広く社会から信頼され、お客様とともに発展する“ソリューションパートナー”となることを使命に自己変革する」ことを念頭にして、マテリアリティを解決することが、2030年ビジョンにある日工グループが目指す姿「高い技術に裏打ちされたプラント設備・環境機器製品のトップメーカー」「且つ、運用・保全サービスによる顧客の経営パートナー」につながります。今後はマテリアリティでKPI(重要業績評価指標)を設定して実効性を高めると同時に、取締役会でのモニタリングも必要と考えています。
日工グループのマテリアリティは、社会課題や業界環境の変化をもとにした2030年ビジョンの目指す姿から、ステークホルダーと日工グループが企業価値を上げるために重要度が高いと想定する、
1.「カーボンニュートラルの実現」
2.「資源循環型社会の確立」
3.「新たな顧客価値の創造」
4.「人材育成と働きがいの向上」
の4つです。2023年に位置づけを少し変更しました。位置づけ変更のポイントは、4.「人材育成と働きがいの向上」を2023年4月から開始された新人事制度の効果も含めて、マテリアリティマップの最も右側に移動し、日工グループの企業価値向上で重要度を高めたことです。「カーボンニュートラルの実現」は引き続き、最も重要なマテリアリティであり、この達成なくして日工グループの長期的な企業価値向上はありえません。また、顧客の経営パートナーになるには「新たな顧客価値の創造」はマテリアリティとして妥当であり、強みを持つメンテナンス・サービス事業でDXやAIなど使いながら、お客様の満足度向上に繋げます。
③長期(10年)基本方針 5つのポイント
長期計画の前提となる当社を取り巻く事業環境につきましては、当社グループに関係の深い建設関連業界は今まで民間建設投資が大幅に増加するなど総じて堅調に推移してきました。今後も2021年度に始まりました防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策などを背景に好調に推移していくと思われます。しかし、長期的にはこうしたプロジェクトも一服が見込まれます。このため、当社では既存事業における収益基盤強化と成長余地が大きい海外売上の確立、カーボンニュートラルに向けた製品開発への取組、既存プラントにおけるメンテナンスのサブスクリプションなどの新しいビジネスモデルへの取組、さらには新規分野を伸ばすことが中期経営計画の達成に必要と考えております。
これらを踏まえて、長期経営計画での基本方針は以下となります。
イ. 国内の収益基盤の強化は全部門のレベルアップにより製品力を向上させて、現状一桁の国内売上高営業利益率を10%にする。
ロ. 海外売上の確立は実績を積み上げているタイ、インドネシアにおいて攻め方を変えて強化する。
ハ. 新規事業の推進はM&Aだけでなく現在取り組んでいる新規事業に対して経営資源を投入、柱とすべく10年後に100億円の売上を創出する。
ニ. 働き方改革の実践は当社製品でお客様の働き方改革に貢献できるような製品を展開し、当社においては労働生産性を高めて余力を作り、新規領域に投入する。
ホ. 以上の結果として、10年後に時価総額500億円以上、ROEで10%以上を目指す。また配当性向を60%以上とし、株主還元も強化する。
④長期目標を達成するに当たっての経営者の認識
長期経営目標を達成するにあたり、当社の価値創造プロセス(=ビジネスモデル)との関連性を示しつつ、コアとなる4つの技術、すなわち混練、加熱、制御、搬送で参入障壁の高い独自技術(=競争力の源泉)をより強化させることが重要と考えております。これらは強固な財務基盤や顧客ニーズに応える研究・開発体制、ソリューションパートナーとしての顧客企業からの信頼、調達先とのパートナーシップ、代理店・協力工事店との協働に支えられています。
国内のアスファルトプラント(AP)関連事業は、顧客の8割が大手舗装会社で固定化しており、アスファルト合材製造量も4,000万トンをやや下回った水準が続くと考えられます。当面の国内需要は、1980年代に製造されたAPの更新需要に支えられた高原横這いの状況が続くと予想されますが、中長期的には成長余地が大きい海外事業の拡大が不可欠と見ています。国内の当社APシェアは8割程度(国内メーカーは他1社)ですが、リサイクル合材をメインに差別化したVPシリーズの拡販、カーボンニュートラルに向けた製品開発への取組、慢性的な人手不足を抱える顧客への遠隔化・自動化による工場運営のサポートサービス、などのビジネスモデル刷新を進めてまいります。海外は主力の中国に加えて、現地法人を設立、工場を新設したタイを起点としたASEANの顧客基盤の拡大を目指します。
国内のコンクリートプラント(BP)関連事業は、生コンクリートの工場数が2015年末の3,396箇所から2024年度末には3,007箇所へ減少、中期的にも工場数の減少が予想されます。市場は成熟化しており、競合2社と静態シェアが拮抗した状況にあります。当社の強みである自社製操作盤による最適なプラントの保守運用、運営状況の把握による生コン工場のトータル管理やプラントの標準化を推進することが、シェアアップと収益確保に寄与するものと考えています。加えて、プラントの集約化に伴う遠隔地域での需要や災害復興など向けにモバイルBPの拡販をおこない、地場ゼネコンに向けても新しい需要の創出をおこないます。
また、世界的に気候変動リスクへの対応が叫ばれる中、日工グループの事業内容は社会や環境課題と深い関係があります。現在稼働する国内アスファルト合材工場全体から排出されるCO2は年間約130万トンであり、日本の年間CO2排出量10億トンの0.1%に相当します。日工グループは2050年にCO2排出量実質ゼロを目指すことを経営方針として明確に打ち出しており、プラント製造時に自社で排出するCO2だけではなく、販売先の日工製プラントが稼働時に排出するCO2を含めてカーボンニュートラルを達成できるよう顧客企業様と緊密に連携していきます。
最後に株主様からお預かりした資金を最大限活用して、その期待に応えるため、資本コストを全社で共有し、それを上回るリターンを上げることも重視いたします。この結果として、2030年度末には株式の時価総額500億円以上、ROE10%以上をKPIとして目指します。また成長投資と株主還元を同時に強化し、配当性向60%以上を継続致します。これらが中長期の企業価値向上に欠かせないと考えております。
< 日工のビジネスモデル >
日工グループ統合レポート2024
(2)中期経営計画のセグメント別実績
当連結会計年度よりはじまりました前中期経営計画(2022~2024年度)の3年目は、売上高、利益項目ともに対前年比増となりましたが計画未達に終わりました。国内事業は回復基調となり製造請負関連事業が大きく伸長したものの、破砕機事業の特需の剥落、受注遅延、タイ事業の計画遅れなどにより未達となりました。
前中期経営計画である2022年度から2024年度における各セグメントの財務実績は次のとおりです。
※AP=アスファルトプラント、BP=バッチャープラント(コンクリートプラント)
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①アスファルトプラント事業の収益性向上
道路舗装業界は、2023年度同様原材料費並びにエネルギーコストの高騰が続き、一部改善されたものの、価格転嫁の途上にあり、厳しい状況が続いております。そのような環境の中、当社はユニット化した生産効率の高い新型アスファルトプラントVPシリーズの販売比率を上げることで、収益を改善してまいります。さらに、GX対応の中温化合材普及などに伴う対応設備の開発、市場投入を推進するとともに、引き続き、水素バーナ、バイオマス燃料バーナなど脱炭素製品の開発や市場投入を行い将来的なさらなる収益性改善に向けて取り組んでおります。
②コンクリートプラント事業の国内シェア拡大
生コン業界は、出荷量が減少する中で、電力や原材料、輸送コストなどのコストアップ分を経済産業省、国土交通省、生コン議員連盟の協力を得て適正に価格転嫁し物価資料の掲載価格などにも反映されたことにより好調な収益性を維持しており、今後も継続的な設備投資需要を見込むことができます。
コンクリートプラントのトップメーカーとして更なるシェアを拡大するため、生コン工場におけるトータル管理、プラント支援センター、モバイルプラントの拡販、プレキャストの高い要求水準を満たす製品開発によって差別化を図ってまいります。
また、引き続き経済産業省及びNEDO等による『グリーンイノベーション基金事業/CO₂を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト』にも積極的に参画してまいります。
③メンテナンス事業の安全対策
当社ではメンテナンス工事を中心に年間12,000件以上のプラント工事に携わる中、安全対策を最優先事項としております。労働災害撲滅に向けプラント安全対策プロジェクトを立ち上げ、安全対策マニュアルや注意喚起動画の制作、見直しを継続して行っております。
その取組のなかで、作業管理アプリ「みまもり君」を開発しリスクアセスメントの強化を図ってまいりました。
注意喚起動画の一般公開・積極活用も呼び掛けており、当社社員だけではなく、工事協力店やお客様にも安全衛生のサポート業務を展開しており、さらなる信頼性の向上と労働災害撲滅に努めてまいります。
④海外市場の深耕
中国経済は回復期待があるものの先行きは不透明で、道路工事もメンテナンス工事が主体になりつつあり、再生材の混入率は都市部を中心に、より大きくなっております。リサイクル設備がメーカー選定に及ぼす影響も大きく、当社は新型プラントNHRシリーズや大型リサイクル設備によって差別化を進めております。
タイにおいてもリサイクル設備の市況が活性化しており、当社も2024年度にASEAN向け新型機種を販売開始いたしました。しかしながら市場の拡大速度は予想よりも鈍く、各メーカーによる価格競争となっております。タイにおける更なるリサイクル合材の普及とタイでのトップメーカーを目指し、他社の追随を許さない性能による差別化と新型機種のコストダウンを進めてまいります。
⑤新規発展領域の拡充
国内砕石プラントの多くが老朽化による更新時期を迎え、扱いやすい自走式破砕機の需要が増加しております。この需要に応えるべくモバイルプラント事業部では、在庫管理体制や人員の強化、積極的な販促イベントを行い更なる事業規模拡大に取り組んだ結果、事業規模は前々中期経営計画期間(2019年度~2021年度)と前中期経営計画期間(2022年度~2024年度)とを比較し2倍に成長いたしました。2025年度も積極的な販促イベントにより更なるシェア拡大を目指してまいります。
また、製造請負事業の強化のためM&Aを実施し、2022年3月に宇部興機株式会社を、2023年7月に株式会社松田機工を当社グループに迎えました。本社工場での製造請負事業は20年以上にわたる実績から信頼を積み重ね、2024年度は近年最高の受注を獲得いたしました。
さらに、当社と宇部興機株式会社、株式会社松田機工の3社での共同展示会出展や、相互の製造協力を行いました。2025年度以降もさらなる連携強化し高収益な事業として注力いたします。
⑥環境負荷低減への取組
「脱炭素社会」の実現に向け、アスファルトプラント用燃料として、天然ガス、各種バイオマス燃料、アンモニア、水素などを利用できる燃焼装置、技術の開発を進めております。これらの低・脱炭素燃料については既存燃料と比べ、コスト、流通量の面で発展途上ではありますが、環境が整い次第これらの新技術を用いた製品を市場に投入することで、先行優位性を確保いたします。また、引き続き省エネルギー、省コストへの取組にも注力し、長期・短期での環境負荷低減に寄与してまいります。
一方、コンクリート業界においても低炭素化は大きな潮流となっております。当社としましては廃コンクリートへCO₂を吸着する技術を利用した各種プラント装置の開発を進めており、今後普及が見込まれ、社会的に大きなインパクトを与えることが期待されます。上記を一例として、引き続き環境負荷低減に関わる技術開発、製品開発に取り組んでまいります。
⑦成長投資と株主還元
前中期経営計画期間では、今後の成長に備えた基盤づくりとして、タイ工場稼働、企業買収、生産性改善を目的とした投資に加え、人的資本の充実に向け、積極的な社員採用を行い、新卒94名、キャリア採用84名を採用した結果、日工単体で123名の純増を実現することができました。2025年度からスタートする新たな中期経営計画においても、2030年ビジョン達成に向けて積極的な人材採用を継続するとともに、社員の成長を支える研修制度の充実、一人一人のスキルやエンゲージメント向上のための取組を実施し、働き続けたい企業・働いてみたい企業を目指してまいります。
株主還元に関しましては、引き続き配当性向60%以上を維持してまいります。
以上の対処すべき課題を踏まえた上で、目標とする経営指標の計画と実績の推移は以下となります。中期経営計画ではROEをKPIに設定し、2027年度にROE8%以上を目指します。
中期経営計画の数値計画と実績
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
日工グループの事業はさまざまなステークホルダーとの信頼の上に成り立っています。ステークホルダーの皆様との継続的な対話を通じて、日工グループのビジョンである「世界を、強くやさしい街に。」の実現を目指します。
(1)サステナビリティ基本方針・委員会
①日工グループサステナビリティ基本方針
<社会に対する責任>
・持続可能な社会を実現するため、人権の保護を支持、尊重し企業倫理を高め、バリューチェーン全体で共有するとともに公正な事業活動を実践します。
・新しい働き方を推進し、多様性に富み、健康的で安全・安心かつ働きがいのある職場づくりを実践します。
・市場のリーダーとしての役割を認識し、提供する製品やサービス&ソリューションを通じて、豊かな未来とレジリエントな社会の実現に貢献します。
<地球環境に対する責任>
・脱炭素経済への移行を促進し、資源循環の効率化と汚染防止に努め、生物多様性の保全に寄与すべく、地球環境の未来に対する責任ある企業として行動します。
②日工グループ人権基本方針
日工グループは、2024年9月に「日工グループ人権基本方針」を制定致しました。
当社グループの事業に関わるすべての人たちへ、国際的な人権規範を尊重し、人権尊重の責任を積極的に
果たしてまいります。
<日工グループ人権基本方針>
日工グループは、NIKKO CORPORATE IDENTITY に基づき、すべてのステークホルダーに対する責任を果たすため、人権尊重の取組を約束します。
そのため、役員・従業員一人ひとりが、お互いの多様性・人格・個性を尊重し、人種・宗教・国籍・年齢・性別・性自認・性的指向・障害の有無その他による差別、個人の尊厳を傷つけるハラスメントを行いません。
人権尊重の取組を推進し、その責務を果たす指針として、国連「国際人権章典」やILO中核的労働基準など、国際的な人権規範を尊重し、本方針を策定します。
1.適用範囲
本方針は日工グループのすべての役員・従業員に適用されます。
また、サプライチェーンに関して本方針の支持を働きかけていきます。
2.適用法令
国連「国際人権章典」やILO中核的労働基準など、国際的な人権規範を尊重します。
事業活動を行う国・地域の法令を遵守し、当該国・地域の法令が国際的に認められた人権と法令と
矛盾する場合には、国際的な人権原則を最大限に尊重します。
3.人権尊重の責任
事業活動においては、負の影響を及ぼす可能性を完全には排除できないことを認識しています。
日工グループは、自らの事業活動において他者の人権を侵害しないこと、また自らの事業活動において人権への負の影響が生じた場合は是正に向けて適切な対応をとることにより、人権尊重の責任を果たしていきます。
サプライチェーンにおいて関係先が人権に対する負の影響に関わっている場合、人権の尊重を働きかけていきます。
人権デュー・ディリジェンス等を通じ、人権に対する負の影響を及ぼした、または助長したことが明らかになった場合は、適切な救済・是正に努めます。
4.情報開示
日工グループは、自らの人権尊重の取組について、ウェブサイト等で定期的な情報開示を行います。
2024年9月25日
日工株式会社
代表取締役社長 辻 勝
③サステナビリティ委員会
当社グループのサステナビリティに関する議論を集約、コンプライアンス・リスク管理委員会と連携し、実行の質・スピードをさらに高めることを目的として、サステナビリティ委員会を2023年6月1日に設置しました。
サステナビリティ委員会は委員長を取締役経営企画部長とし、委員は、コンプライアンス・リスク管理委員会委員長で財務・人事を統括する取締役副社長を含む経営層4名で構成、当社のサステナビリティに関する課題を議論し、取締役会に報告・提案を行ないます。事務局は委員長~委員の部署に関連する5名であり、原則として、年4回開催します。
サステナビリティ委員会での役割、機能としては、以下を定めています。
<役割>
1.長期ビジョンの実現に向けたマテリアリティの特定
2.マテリアリティのリスク・機会の特定、進捗管理方向(指標と目標)の明示
3.長期ビジョンからバックキャストした中期経営計画の叩き台づくり
4.ステークホルダーへの価値提供に向けた体制整備
5.コンプライアンス・リスク委員会との連携
<機能>
1.サステナビリティ基本方針の策定
2.人権方針の策定、人権DDの実施
3.腐敗防止(企業倫理)方針の策定
4.方針に基づいた啓発活動の推進
5.環境方針(脱炭素・資源循環・水資源・生物多様性保全)の策定
6.サプライチェーンへの適用(調達ガイドラインの策定)
7.人的資本の拡充(エンゲージメント・多様性・ライフサポート・健康と安全衛生)
8.ステークホルダーとの対話
サステナビリティ推進体制
④マテリアリティの抽出・特定
日工グループは2030年ビジョンに伴い、持続的に企業価値創造するためのマテリアリティを2022年に見直しました。経営理念に掲げるミッション「一歩先ゆくエンジニアリングから、社会基盤をアップデートする。」を遂行しながら、マテリアリティを解決することが、2030年ビジョンにある日工グループが目指す姿「高い技術に裏打ちされたプラント設備・環境機器製品のトップメーカー」「且つ、運用・保全サービスにより顧客の経営パートナー」につながります。今後は以下の4つのマテリアリティでKPI(最重要業績評価指標)を設定して、実効性を高めると同時に、取締役会でのモニタリングも強化します。
・カーボンニュートラルの実現
・資源循環型社会の確立
・新たな顧客価値の創造
・人材育成と働きがいの向上
(2)気候変動への取組
温室効果ガス(GHG)の排出による気候変動が社会・経済に与える影響は膨大で、日工グループとして取り組むべき最重要のサステナビリティ課題だと認識しています。パリ協定が目指す脱炭素社会の実現に向け、日工グループは2030年度の中間目標として、自らの事業活動に加えてお客様の日工製プラントから排出される二酸化炭素(CO2)排出量の50%削減(2021年度実績比)の実現を目指しています。
2050年のカーボンニュートラルに向けて、CO2排出量の低減を実現する関連技術の開発と製品・サービスの提供を推進していきます。2021年10月にTCFD提言への賛同を表明し、気候変動問題に関して株主・投資家をはじめとするステークホルダーとの円滑なコミュニケーションのため、TCFDフレームワークに沿った情報開示を充実させていきます。
①ガバナンス
各部門から選抜されたメンバーで構成されたローカーボンタスクフォース(LCTF)が、カーボンニュートラルの実現を推進しています。毎月開催されるLCTF会議では、データ検証やエビデンスに基づいてカーボンニュートラル実現に向けた課題を横断的に検討・議論しています。
LCTFで作成された企画案を社内役員会で討議し、目標値の設定とともに目標達成に向けた具体的な戦略を策定します。必要に応じて取締役が委員長を務めるサステナビリティ委員会や財務委員会とも連携を行っています。社内役員会で策定された投資計画、製品開発計画およびリスク対応策は取締役会で審議を通してその妥当性と進捗状況を監督します。
②戦略
ア.気候変動に対するシナリオ分析
当社グループでは、将来における気温上昇のシナリオとして、2℃と4℃の温度帯を想定し、2030年
および2050年におけるシナリオ分析を実施しています。
(参照シナリオ)
IEA “World Energy Outlook 2020”・STEPS(現行政策シナリオ)・SDS(持続可能な開発シナリオ)
IPCC AR5・RCP2.6(2℃シナリオ)・RCP8.5(4℃シナリオ)
イ.低・脱炭素関連製品開発計画及び市場投入計画の策定
当社グループでは、シナリオ分析、スコープ1,2&3の詳細分析に基づき脱・低炭素関連製品の開発計画、市場への投入計画を策定し、製品開発を行っています。計画に沿って順次市場へ投入してまいります。
③リスク管理
カーボンニュートラルに関する企画立案については、LCTFがこれを行い、全社的な気候変動への対応を推進しています。
コンプライアンス・リスク管理委員会は、気候変動に関する自社への影響を評価・識別し、その影響を管理しています。さらに社内役員会と緊密に連携しつつ、気候変動リスクの影響を全社リスクに統合する役割をになっています。
社内役員会は、気候変動の影響と対応について討議を行い、評価します。さらに気候リスクの最小化に向けた対応方針、重点施策・目標・行動計画を策定いたします。社内役員会で討議された内容は、取締役会に定期的に報告されます。
取締役会は、社内役員会およびコンプライアンス・リスク管理委員会から気候変動に関する行動計画およびリスク評価について定期的に報告を受け審議を行って監督機能を果たします。
④指標と目標
当社グループは、自社の事業活動および販売する製品からのCO2排出量を2030年に50%削減、2050年には実質ゼロとすることを目指し、CO2排出量低減に寄与する製品開発を進めるとともに徹底した省エネ活動や再生可能エネルギーの積極的な利活用を推進しています。
(3)人的資本
「世界を、強くやさしい街に。」という当社のビジョン実現に向け、日工の高い技術力を活かして、新たな市場・製品・サービスの開発に取り組む人材として以下の3つの人材像を定義しています。
・将来に向けて改革する人材
・失敗を恐れず挑戦する人材
・多様な仲間を尊重し協働する人材
これらをふまえ、人材育成方針及び社内環境整備方針を定め、社内外に発信しています。
①戦略
<人材育成方針>
「世界を、強くやさしい街に。」という当社のビジョン実現に向けては、日工の高い技術力を活かして、新たな市場・製品・サービスの開発に取り組む人材が必要です。なかでも、従業員一人ひとりが自律的に改革・挑戦を行うこと、社内外の多様な仲間を尊重し協働することは、従業員自身のさらなる成長や当社のビジョン実現に向けて重要な要素であると考えています。そのためにも、自律的な人材の育成、社内外の多様な仲間とのつながりを生み出す仕組みづくり、新たな改革・挑戦に向けた協働を支援する仕組みづくりに取り組みます。
上記方針を踏まえた具体的な取組として「ビジョン浸透に向けた対話機会の創出」や「研修体系の整備」、「組織としての人材育成のあり方の定着・浸透」などに取り組みます。
<社内環境整備方針>
当社のビジョン実現に向けた人材育成に取り組む前提として、社内外の多様な仲間を尊重すること、仲間から尊重されていると感じること、またその結果としてイキイキと安心して協働ができる環境を整えることが重要であると考えています。そのためにも、従業員一人ひとりが多様な仲間の価値観を尊重する風土づくりや、従業員自身及び家族や仲間の安全とウェルビーイングの実感・働きがいの向上に向けて取り組みます。
上記方針を踏まえた具体的な取組として「多様な人材の受け入れ促進」や「挑戦や協働を評価する仕組みの整備」、「労働時間の適正化に向けた業務改善」などに取り組みます。
②指標及び目標
人材育成方針及び社内環境整備方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績については、以下の通りです。(注)
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区分 |
指標 |
実績 (2024.4~2025.3) |
目標 (特に記載がない場合は |
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人材育成方針 |
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1名あたり (延べ10,058時間) |
1名あたり |
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1名あたり (延べ57,830千円) |
1名あたり |
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社内環境整備方針 |
育児休業取得率 |
女性:100% 男性:61.9% |
女性:100% 男性:50%(2025年) |
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女性比率 ※役員を含む |
女性比率 |
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ウェルビーイング アンケートスコア |
全項目平均 |
全項目平均 |
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離職率: 入社後1年間離職率:0% 入社後3年間離職率:15.6% |
離職率: 入社後1年間離職率:3.0% 入社後3年間離職率:7.0% |
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労働災害発生件数 |
休業災害:2件 不休災害:8件 |
休業災害:0件 不休災害:3件以下 |
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ゼロ災 |
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健康・労働安全に関する研修 |
・中央安全研修会 ・中央衛生研修会 ・健康教室 |
同左(継続的に開催) |
(注)連結子会社はいずれも従業員数が 100 名以下のため、重要性の観点から記載を省略しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
これらのリスクを認識した上で、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している方法などにより、事態の発生の回避及び発生した場合の対応に努めます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)国内アスファルトプラント関連事業に関するリスク
<競合相手との差別化が十分にできないリスク>
国内のアスファルトプラント市場は当社と他1社でほぼ100%の市場シェアを占める寡占市場です。当社の市場シェアは70%以上あり、トップメーカーとしての位置づけは永年にわたって変わっておりません。当社としては、圧倒的なトップメーカーの地位を将来にわたって維持するために、カーボンニュートラル・CO2削減に貢献できる新製品開発や、メンテナンス事業のビジネスモデル変革を進めること、遠隔化・自動化サポートで差別化を図っております。しかしながら、十分な製品開発ができない場合や、他社が当社と遜色のないきめ細かなメンテナンス体制を整備してきた場合、顧客に対して差別化の訴求力が弱まる可能性があります。
<海外メーカーの日本市場への参入リスク>
近年には、国内アスファルトプラント市場への海外メーカーの参入はありませんが、中国・韓国メーカーは徐々に技術力をつけてきており、日本市場参入を計画している可能性があります。十分なメンテナンス体制がない中での海外メーカーの日本市場参入は容易ではありませんが、母国市場での成長が止まった暁には日本市場参入を本格的に検討してくる可能性があります。海外メーカーが国内市場に参入してきた場合にはメーカー間での競争が激化する可能性があります。
<道路舗装業界再編による市場縮小のリスク>
大手道路舗装会社の組織再編が活発になっており、今後、道路舗装業界の再編が進む可能性があります。その場合、業界再編によりアスファルトプラント工場の集約化が進めば市場が縮小する可能性があります。
(2)環境負荷低減への取組に当社の技術革新が間に合わないことに関するリスク
アスファルトプラントでは主に化石燃料をエネルギー源として使用しています。アスファルト合材製造のため、国内で年間約130万トンのCO2が排出されていると推計され、市場シェアからそのうち7割は当社製プラントからの排出と考えられます。当社としてはお客様である道路会社と緊密に連携しながら、アスファルトプラントの燃料効率向上や熱源の転換(カーボンニュートラル燃料、エレクトロヒート等)、合材の搬送方法の革新による輸送効率向上、アスファルトプラントで排出されたCO2の回収、生コンへの吸着技術など、より早い時期での社会実装を目指して取り組んでいますが、今後、世界の環境負荷低減の動きが想定を上回る速さで進んだ場合に、当社の技術革新が間に合わない可能性があります。
(3)海外事業に関するリスク
<中国のアスファルトプラント・ハイエンド市場が競争激化するリスク>
中国のアスファルトプラント市場で当社はハイエンド機種のカテゴリーですでに一定のポジションを確保し、毎年、安定的に売上・利益を計上しております。これまでのところ、ハイエンド市場の競合相手はヨーロッパ企業2社と中国のトップ企業1、2社であり、激しい競争環境にはありません。しかしながら最近、中国企業が全般的に技術力をつけており、将来的にはハイエンド市場においても多くの中国メーカーが参入し、激しい競争が繰り広げられる可能性があります。
<ASEAN市場で計画どおりの販売計画が達成できないリスク>
当社の成長戦略として、2020年度、タイに製造現法を設立し、10億円を超える工場への投資をしておりますが、タイ及びASEAN諸国で毎年、安定的に当社のアスファルトプラントが販売できることがこの投資の前提となっております。しかしながら計画に反して当社のプラントがタイを始めとするASEAN諸国の顧客の支持を十分に得られず、販売台数が伸びない場合や工場の生産性が改善せず赤字が続く場合には工場の減損リスクが生じます。
(4)公共投資予算削減に関するリスク
過去、自民党政権から民主党政権に代わった際に「コンクリートから人へ」がスローガンになり、その当時、当社の多くの顧客は、設備投資を抑制する動きに出ました。その結果、当社の売上は大きく減少しました。将来、公共投資抑制策をかかげる政権に代わった場合、前回の民主党政権交代時と同様、顧客に投資抑制の動きが出る可能性があります。
(5)現場作業従事者の人材確保に関するリスク
当社の事業モデルでは、プラント製造から現場での据付工事、更にはメンテナンスサービス提供を自社で行っております。メンテナンスサービスにおいては、IoTの活用等によるメンテナンス業務のシステム化を通じた省人化を進めていますが、近年、メンテナンスサービス要員、工事施工要員などの現場作業従事者の採用が、人手不足の中で難しくなっております。これら現場作業従事者の採用が必要人数に満たない場合、競争優位性のある当社事業モデルを維持することが難しくなる可能性があります。
(6)材料等の価格上昇に関するリスク
依然として物価上昇、インフレ懸念は高い状況が続いており、今後もこの状況が続く場合は、当社が購入する材料等の価格も上昇し収益が悪化する可能性があります。また、物価上昇が当社顧客に与える影響により、当社顧客が設備投資計画を延期、見合わせる可能性があり、当社の売上高が減少する可能性があります。
(7)地域紛争の増加、激化に関するリスク
ロシアのウクライナ侵攻、中東紛争等地域紛争の増加、激化影響による原油等の価格上昇や世界経済の変調によって、当社顧客の設備投資計画等が影響を受ける可能性があります。
(8)為替相場変動に関するリスク
当社のモバイルプラント事業における主力商品はヨーロッパから輸入し、販売しております。輸入する場合は、事前の外貨購入や為替予約をすることにより為替変動に関するリスクをヘッジしておりますが、ヘッジができていない場合には為替相場の変動リスクを受ける可能性があり、円安が進む場合は当社販売商品の価格競争力が低下する可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界の経済は、中国経済の景気減速やウクライナや中東で紛争が続く状況にあるものの緩やかな成長を続けていましたが、米国の新政権の関税をはじめとする今後の政策に対する不透明感より緊張が高まり、世界経済への影響が懸念される状況となりました。日本経済も緩やかな回復基調を続けるも、物価上昇が実質購買力を抑制、賃金引上げにも関わらず実質賃金が低下するなどし個人の消費が停滞、企業活動にも物価上昇、人手不足等が重しになっています。
当社では、2022年3月に日工グループの2030年のありたい姿を示した2030年ビジョン「高い技術力に裏打ちされたプラント設備・環境製品のトップメーカー且つ、運用・保全サービスによる顧客の経営パートナー」と2022年度から始まる「3ヶ年中期経営計画(23/3~25/3)」を発表いたしました。当中期経営計画は2030年ビジョンの実現に向けた体制・プロセス・制度を構築する内部投資フェーズと位置付け、新製品・新サービスの市場投入と目標達成に必要な組織能力の強化に向けて積極投資を行う方針とし、数値目標は、最終年度に連結売上高500億円、営業利益30億円(営業利益率6.0%)としてきました。
そうした状況下、3ヶ年の中期経営計画の最終年度を迎えた当連結会計年度は、連結売上高491億62百万円(前期比11.5%増)、連結営業利益27億66百万円(前期比40.5%増)、連結経常利益30億71百万円(前期比43.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益20億9百万円(前期比53.1%増)となり、連結売上高、連結営業利益、連結経常利益は過去最高となりました。
3ヶ年の中期経営計画の連結売上高500億円、連結営業利益30億円に対して、売上高、営業利益とも若干の未達となりました。また当連結会計年度の修正業績予想の売上高480億円、営業利益27億円に対して、売上高、営業利益とも予想を上回ることができました。
当連結会計年度の経営成績ですが、国内では主力事業であるアスファルトプラント関連事業ではメンテナンスサービスを中心に売上が増加いたしました。コンクリートプラント関連事業においては、生コン業界で原材料価格等上昇の販売価格への転嫁がすすんでいることから引続き設備投資意欲が強く売上が増加いたしました。環境及び搬送関連事業は売上は微減ながら利益面で改善が見られました。破砕機関連事業はウクライナ復興支援案件が前期比減少したこともあり売上が減少しましたが、製造請負関連事業ではM&Aによりグループ入りした株式会社松田機工が通年で寄与、大口の案件も重なったこともあり売上が増加しております。海外においては、中国では中国経済の不況の影響を受けているものの底打ち感もあり増収、黒字化いたしました。また、タイにおきましては売上は増加しましたが、中国製品の低価格での流入等もあり引続き赤字となっております。
部門別の概況は以下のとおりであります。
<アスファルトプラント関連事業>
アスファルトプラント関連事業の売上高は前期比8.6%増の194億80百万円となりました。受注残高も、前期比
0.3%増の90億6百万円となっています。
<コンクリートプラント関連事業>
コンクリートプラント関連事業の売上高は前期比19.8%増の142億66百万円となりました。受注残高も、前期比
11.4%増の95億28百万円となっています。
<環境及び搬送関連事業>
環境及び搬送関連事業の売上高は前期比1.7%減の32億54百万円となりました。受注残高は大幅に増加し、前期
比61.8%増の12億59百万円となっています。
<破砕機関連事業>
破砕機関連事業の売上高は前期比29.5%減の22億56百万円となりました。受注残高も、前期比61.1%減の3億74
百万円となっています。
<製造請負関連事業>
製造請負関連事業の売上高は前期比56.3%増の48億2百万円となりました。受注残高は、前期比17.4%減の19億
61百万円となっています。
<その他事業>
その他事業の売上高は前期比9.2%増の51億1百万円となりました。受注残高は、前期比3.9%減の6億94百万円となっています。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は139億77百万円(前期155億4百万円)となり、前連結会計年度に比べ15億26百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、29億94百万円の収入となりました。(前期43億32百万円の収入)
これは、税金等調整前当期純利益が31億97百万円、減価償却費が11億27百万円あったものの、売上債権の増加による支出が3億19百万円、法人税等の支払額が13億46百万円あったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、28億5百万円の支出となりました。(前期23億33百万円の支出)
これは、投資有価証券の売却及び償還による収入が1億36百万円あったものの、有形及び無形固定資産の取得による支出が29億18百万円あったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、17億49百万円の支出となりました。(前期31億85百万円の収入)
これは、長期借入れによる収入が7億96百万円あったものの、短期借入金の返済による支出が6億83百万円、長期借入金の返済による支出が6億34百万円、配当金の支払額が11億52百万円あったことによります。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
アスファルトプラント関連事業(百万円) |
19,510 |
110.51 |
|
コンクリートプラント関連事業(百万円) |
14,821 |
130.16 |
|
環境及び搬送関連事業(百万円) |
3,394 |
88.32 |
|
破砕機関連事業(百万円) |
356 |
31.04 |
|
製造請負関連事業(百万円) |
4,863 |
178.88 |
|
報告セグメント計(百万円) |
42,946 |
116.85 |
|
その他(百万円) |
3,343 |
95.03 |
|
合計(百万円) |
46,289 |
114.95 |
(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
ロ.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 |
前年同期比(%) |
受注残高 |
前年同期比(%) |
|
アスファルトプラント関連事業(百万円) |
19,512 |
102.97 |
9,006 |
100.35 |
|
コンクリートプラント関連事業(百万円) |
15,239 |
106.39 |
9,528 |
111.37 |
|
環境及び搬送関連事業(百万円) |
3,735 |
97.98 |
1,259 |
161.76 |
|
破砕機関連事業(百万円) |
1,668 |
49.00 |
374 |
38.93 |
|
製造請負関連事業(百万円) |
4,388 |
121.02 |
1,961 |
82.56 |
|
報告セグメント計(百万円) |
44,544 |
100.97 |
22,131 |
102.23 |
|
その他(百万円) |
5,072 |
109.45 |
694 |
96.06 |
|
合計(百万円) |
49,617 |
101.78 |
22,826 |
102.03 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
ハ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
アスファルトプラント関連事業(百万円) |
19,480 |
108.39 |
|
コンクリートプラント関連事業(百万円) |
14,266 |
120.14 |
|
環境及び搬送関連事業(百万円) |
3,254 |
98.16 |
|
破砕機関連事業(百万円) |
2,256 |
70.52 |
|
製造請負関連事業(百万円) |
4,802 |
156.29 |
|
報告セグメント計(百万円) |
44,060 |
111.73 |
|
その他(百万円) |
5,101 |
109.35 |
|
合計(百万円) |
49,162 |
111.48 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績
2023年度実績、2024年度予想・実績値は次のとおりであります。

※AP=アスファルトプラント、BP=バッチャープラント(コンクリートプラント)
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に比べ11.5%増の491億62百万円となりました。
国内のアスファルトプラント関連事業につきましては、主要顧客である道路舗装会社の業績が改善基調にあり、プラント製品の売上は減少するもメンテナンスサービスの売上が増加、プラント製品、メンテナンスサービスの売上高はそれぞれ前年比5.4%の減少、12.4%の増加となりました。海外においては、タイはプロモーションにより受注した案件が売上に寄与し売上高は前年比増加、中国事業も依然として厳しい中国経済の影響を受けるも底打ち感もあり売上高は前年比増加、海外事業の売上高は前年比25.9%の増加となりました。この結果、当事業の売上高は、前年比8.6%増の194億80百万円となり予想値の182億円を上回りました。
コンクリートプラント関連事業につきましては、ユーザーの強い設備投資需要が継続しており、プラント製品を中心に売上が増加、プラント製品、メンテナンスサービスの売上高はそれぞれ前年比34.8%の増加、3.3%の増加となりました。この結果、当事業の売上高は前年比19.8%増の142億66百万円となり、予想値である137億円を上回りました。
環境及び搬送関連事業につきましては、堅調に推移するも大口案件の減少等により売上高は前年比1.7%減の32億54百万円となりましたが、予想値である32億円は上回りました。
破砕機関連事業につきましては、ODAによるウクライナ案件の反動や商談の長期化による受注の遅れもあり、売上高は29.5%減の22億56百万円となりました。当事業の売上高予想値である28億20百万円を下回りました。
製造請負関連事業につきましては、2023年7月にグループ入りした株式会社松田機工の売上が通年で寄与、大口案件が重なったこともあり売上高は56.3%増の48億2百万円となり、予想値である46億40百万円を上回りました。
その他の事業につきましては、2024年3月にグループ入りした西日本不動産が寄与し売上が増加、売上高は9.2%増の51億1百万円となりましたが、予想値の54億40百万円は下回りました。
(売上原価)
売上原価は、前連結会計年度と比べ31億77百万円増加し351億69百万円となりました。外注費をはじめとした製造経費の上昇はありましたが、売上高の増加に加え、材料費の圧縮と生産性の改善を行い、売上原価率は1.0ptの減少となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ10億89百万円増加し112億25百万円となりました。これは主として、給料及び手当、運送費、事務費のそれぞれ増加によるものであります。
(営業利益)
連結営業利益は、前期比40.5%増の27億66百万円となりました。これは主として、売上高の増加、売上原価率の低下によるものであります。売上高営業利益率は、前期比1.1pt増加し5.6%となりました。これは主に、売上原価率の低下によるものであります。
(営業外収益、営業外費用)
営業外収益は、前連結会計年度と比べ27百万円増加し4億43百万円となりました。これは主として、受取配当金および受取保険金の増加によるものであります。営業外費用は、前連結会計年度と比べ1億円減少し1億39百万円となりました。これは主として、損害賠償金の減少によるものであります。
(特別利益、特別損失)
特別利益は、前連結会計年度と比べ47百万円増加し1億34百万円となりました。これは主として投資有価証券売却益が増加したことによるものです。特別損失は、前連結会計年度と比べ7百万円増加し8百万円となりました。これは主として、特別退職金の増加によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の結果、前連結会計年度に比べ6億96百万円増加し20億9百万円となりました。
(ROE)
当社はROEをKPIとしております。当連結会計年度におけるROEは、前連結会計年度に比べ1.8pt増加し5.9%となりましたが、予想値の6.1%は若干下回る結果となりました。対処すべき課題にも挙げていますが、アスファルトプラントにおける高い国内シェアを活かしたメンテナンスサービス事業での新たな商品開発、事後的メンテナンスから予防保全的メンテナンスへのビジネスモデルの変革、カーボンニュートラル・CO2削減に貢献できる新製品開発、機能向上と現地工程短縮化に寄与するユニット製品の拡販などによる収益性向上と製造原価低減に取組んでまいります。
ロ.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、401億26百万円となり、前連結会計年度末に比較して9億6百万円減少いたしました。主な要因は、売掛金の11億77百万円、仕掛品の7億20百万円のそれぞれ増加、現金及び預金の15億12百万円、受取手形の5億5百万円、商品及び製品の4億11百万円のそれぞれ減少によるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、235億98百万円となり、前連結会計年度末と比較して24億2百万円増加いたしました。主な要因は、建物及び構築物の21億4百万円、土地の4億23百万円、機械装置及び運搬具の3億75百万円のそれぞれ増加、建設仮勘定の9億43百万円の減少によるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、215億15百万円となり、前連結会計年度末に比較して2億28百万円減少いたしました。主な要因は、契約負債の4億66百万円、未払金の2億61百万円、電子記録債務の1億47百万円のそれぞれ増加、短期借入金の6億76百万円、支払手形及び買掛金3億23百万円のそれぞれ減少によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、76億49百万円となり、前連結会計年度末に比較して2億50百万円増加いたしました。主な要因は、長期借入金の2億10百万円の増加によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、345億60百万円となり、前連結会計年度末に比較して14億74百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金の8億56百万円、為替換算調整勘定の2億87百万円、その他有価証券評価差額金の2億74百万円のそれぞれ増加によるものです。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の53.1%から54.2%になりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度に比べ15億26百万円減少し、139億77百万円となりました。なお、詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社の主な資金需要は、原材料等の購入費用等の製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用のための運転資金及び設備投資資金であります。資本の財源は、主として営業活動により得られた資金と借入れにより得られた資金であります。
今後の財務戦略としましては、政策投資株の売却と、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の改善を推進してまいります。政策投資株の売却につきましては、事業上の影響がない取引先の株式は原則すべて売却の方針で進めてまいります。CCCの改善は、プラントの受注時に前受金を原則受領することと、アスファルトプラントの標準化等による棚卸資産の縮減により進めてまいります。
将来にむけて人的資本投資を含む成長投資は積極的に進めますが、株主還元についても2026年3月期からの中期経営計画期間において引続き配当性向を60%以上とし、成長投資と株主還元の強化を共に進めてまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の数値、報告期間における収益・費用の数値に与える要因は色々ありますが、継続した会計基準で評価を行っております。見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて、合理的と考えられる基準に基づき作成しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
該当事項はありません。
当社グループは、ソリューションパートナーとしてお客様の期待に応える研究開発及び製品開発を研究開発部門が中核となって関連部門と連携協力して推進しております。
当連結会計年度に係る研究開発費は
(1)アスファルトプラント関連事業
アスファルトプラント関連事業では、この度(一社)環境共創イニシアチブが実施している“省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金”事業の先進設備に採択されたことにより、当該補助金の対象となる合材工場更新の引き合いを多数いただいております。今回この“先進設備”に対応するためにバイオマス燃料と重油、都市ガス、LPGとの混焼用低NOXバーナを開発し、1号機を実装いたしました。今後もこの補助金事業への対応は当面つづくものと予想されておりますので、引き続き省エネ・脱炭素製品の開発を進めております。
また、アスファルト合材工場用として世界で初めてアンモニアを現地で水素に変換して骨材加熱を行う実証実験を成功させました。これにより次世代脱炭素燃料である水素、アンモニアそれぞれの需要に対応できる技術を獲得しております。
当事業に係る研究開発費は
(2)コンクリートプラント関連事業
コンクリートプラント関連事業では、今後も伸長が予想される高強度コンクリートの生産需要に対応すべく、従来の普通コンクリートも含めて多様なコンクリートに対して効率的なコンクリート製造ができるミキサの開発を進めております。このミキサにさらにメンテナンス性を向上させた新開発ミキサを本年度開催予定の弊社社内展示会で“コンセプトモデル”として皆さまにご覧いただきます。また、昨年度より引き続き環境改善製品としてエコタンカル製造設備とエコCSパウダー製造設備の実装を進めております。コンクリートスラッジを再活用し、ボイラの排ガスに含まれるCO2を吸着させて炭酸カルシウムを製造する設備です。この設備によってCO2固定化と産業廃棄物の削減が同時に可能となることから、コンクリート2次製品の拠点工場への納入が予定されております。
当事業に係る研究開発費は
(3)環境及び搬送関連事業、破砕機関連事業、製造請負事業、その他事業
環境、搬送関連事業では、引き続き需要が広がっている建設発生泥土を再利用するためのプラント設備対応のため、従来の定置式に加えて、現場での運用がしやすい小型移動式プラントの開発を進めております。また、この度当社の混練技術、エンジニアリング技術を評価頂き大型の土壌リサイクルプラントを受注いたしました。今後、このリサイクル事業用のプラント・設備を当社技術を活用してより幅広く提供できるように装置開発を進めております。
また、昨年度より販売開始しております建設発生土の有効利用、現場内利用のための自走式土質改良機(MOBIX-ECO)は、弊社の高い混練技術により本来の“土壌改良”の用途からより幅広い用途での引き合いをいただいております。今後は本装置のシリーズ化を進め、自走式機械の分野でも弊社ブランドの確立を目指して参ります。
当事業に係る研究開発費は