第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は創業以来、橋梁、鉄骨など鋼構造物の設計、製作、架設を専門に行う企業として全国に事業を展開してまいりました。そしてこの間一貫して社会に貢献することを目標とし、高度な技術力で安全を重視した施工を行い良質な社会資本を提供することで、顧客の皆様の信頼を得ることを経営の基本としております。

 また、和歌山工場内に設置した技術研究所を中心に、常に時代の先端を捉えた技術開発に努め、顧客の皆様の多種多様な要望にお応えし、新しい技術が拓く豊かな未来社会に向けて、経済・文化の発展に貢献する企業として研鑽を重ねております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 平成29年3月に創立85周年を迎えた当社は、平成29年4月からの第5次中期経営計画を創立90周年に向けた成長の基盤作りの期間と位置付けます。その2年目である平成31年3月期は、目標である「セグメント利益の黒字継続」は達成することができ、第5次中期経営計画の最終の数値目標である売上高200億円には届かないものの、経常利益は1,052,554千円、経常利益率は5.7%と計画を上回る数値を残すことができました。しかしながら、「安定した受注量の確保」は叶わず、令和2年3月期において当事業年度並みの結果を残すことは非常に厳しい状況にあります。新事業年度においても着実に受注を積み上げることで受注量を確保し、工場の操業度を保ち、現場が安全確実な施工を実施することでセグメント利益の黒字継続を達成することが目標となります。橋梁事業の受注量回復だけでなく、ここ数年低調に推移した鉄構事業の受注高を回復させ売上高の増加を図ることが第5次中期経営計画の数値目標達成には不可欠であります。

 第5次中期経営計画の数値目標は、令和2年3月期において売上高200億円、経常利益10億円、経常利益率5%であります。

 

(3)経営環境

 当社を取り巻く経営環境は、橋梁事業では、新設鋼橋の発注量は今後も低水準で推移すると見込まれ、技術提案力・積算精度ともに秀でた企業のみが受注を確保できる、極めて厳しい受注環境が今後も継続することが予想されます。橋梁需要は鋼橋の新設から既設鋼橋の保全・改築に重点が移っており、更新の時期を迎えた多くの橋梁に対する保全・中大規模改修工事の発注は今後更に増加すると思われます。鉄構事業では、当面、需要は堅調に推移すると思われます。超高層ビル等大型再開発案件は首都圏一極集中が継続しておりましたが、大阪万博の誘致決定を受けて関西圏でも大型案件の出件が始まっております。

 

(4)経営戦略と事業上及び財務上の対処すべき課題

 橋梁事業におきましては、新設鋼橋の受注の確保が最優先課題であり、技術提案力・積算精度の更なる向上に努めてまいります。また、体制の構築がいまだ足踏み状態である保全・中大規模改修工事への対応を推し進めることが重要な課題であると認識しております。一方で、制震関連製品は順調な伸びを示しており、今後も独自技術による更なる改善と新たなニーズに適合する新製品の開発を進めてまいります。

 鉄構事業におきましては、大阪万博の誘致決定もあり、出件が始まった関西圏での大型案件の受注確保を基本としながら、採算の見込める首都圏の案件には積極的に対応し、更には生研トラスやシェイプアップ・ブレースといった付加価値の高い製品の扱いを増やすことで、採算ベースでの事業展開を継続してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)公共事業への依存について

 当社は、鋼構造物の設計から製作、現場施行を主事業としており、平成31年3月期末の受注残高においては鋼橋が約9割を占め、その大部分は公共工事であります。国及び地方公共団体の厳しい財政状態を反映し、公共事業は発注量の減少が続き、今後の市場動向は不透明であります。そのため、実際の発注量と金額が予測と大幅に乖離する可能性は否定できず、その場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法的規制について

 事業を営むにあたり建設業法等の法的規制を受けております。法令遵守の意識は社内で徹底しておりますが、万一法令違反があった場合には行政処分等により、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)自然災害・事故等による影響について

 当社は、生産設備を和歌山工場に集中し、業務の効率化を図っております。そのため自然災害等で和歌山工場の機能がストップした場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の製品は非常に大きく重く、工場製作・輸送・現場施工の各工程に危険な作業を含んでおります。安全を最優先に業務を進めておりますが、万一事故を起こした場合は、事故による損害だけでなく、顧客の信頼を失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)品質管理について

 当社にて製作・施工される製品の品質管理には細心の注意を払っておりますが、万一重大な瑕疵担保責任が発生した場合には、手直し費用の発生だけでなく顧客からの信頼も失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)主要原材料の価格変動等について

 当社の主力事業である鋼構造物事業は、鋼材が主要原材料であります。鋼材価格はここ数年値動きが大きく、今後鋼材価格が上昇を続け、上昇分が受注価格に転嫁されない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、鋼材の需給関係が逼迫し、数量の確保が困難になる可能性は否定できません。鋼材の納入が遅延した場合や、必要数量を確保できない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)金利変動による影響について

 将来の金利上昇は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)時価変動による影響について

 当社が保有する資産の時価の変動によっては、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)繰延税金資産の回収可能性の評価について

 当社は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率の変更等を含む税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、夏場の相次ぐ自然災害の影響を受けながらも、企業収益や雇用環境の改善等を背景に緩やかな回復基調を辿りました。しかしながら、米中貿易摩擦の長期化や不安定な欧州情勢による海外経済の減速に伴い輸出が低迷し、年度末にかけては弱含みの動きとなりました。

 当業界におきましては、橋梁事業の新設鋼橋では年度初めに高速道路会社から大型案件の発注が続いたものの、年間発注量はここ数年ほぼ横這いの状態が続いております。一方で保全・中大規模改築工事の発注は増加を続け、橋梁需要は鋼橋の新設から既設鋼橋の保全・改築に重点が移っております。

 鉄構事業では鉄骨需要は依然首都圏中心ながら高水準を維持し、東京五輪終了後も継続して需要が見込まれる大型案件が進行しております。さらに全国的にも再開発案件が始動し、大阪万博の誘致決定を受けて関西圏でも大型案件の出件が近づいております。

 このような状況のもとで当社は、橋梁事業では技術提案力の強化と入札価格の精度向上により受注案件を積み上げましたが、当事業年度の受注高は順調だった前事業年度の実績を大きく下回る結果となりました。鉄構事業においても、目標案件の成約には至らず前事業年度に引き続き低調な結果となりました。

 これらの結果、当事業年度の受注高は橋梁事業9,825,496千円、鉄構事業1,306,615千円、総額11,132,111千円となり堅調に推移した前事業年度を大きく下回る結果となりました。

 また、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

イ.財政状態

(資産の部)

 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ2,041,166千円減少し、25,928,340千円となりました。

 流動資産は14,225,586千円(前事業年度末15,774,681千円から当事業年度末14,225,586千円)となりました。これは主に工事代金の回収に伴い完成工事未収入金が2,545,039千円減少したことによるものです。

 固定資産は11,702,753千円(前事業年度末12,194,826千円から当事業年度末11,702,753千円)となりました。これは主に投資有価証券の時価評価が下落し、投資有価証券の貸借対照表計上額が301,088千円減少したことによるものです。

(負債の部)

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ2,499,806千円減少し、7,898,335千円となりました。

 流動負債は7,623,982千円(前事業年度末10,034,466千円から当事業年度末7,623,982千円)となりました。これは主に受注高の減少に伴い未成工事受入金及び仕入債務がそれぞれ473,293千円、1,035,825千円減少したことと、工事代金の回収が堅調に推移したことによる短期借入金の返済1,000,000千円によるものです。

 固定負債は274,353千円(前事業年度末363,676千円から当事業年度末274,353千円)となりました。これは主に投資有価証券の時価評価が下落したことに伴う繰延税金負債の減少83,101千円によるものです。

(純資産の部)

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ458,640千円増加し、18,030,004千円となりました。これは主に当期純利益の計上874,887千円とその他有価証券評価差額金の減少239,538千円及び剰余金の配当による減少176,256千円によるものです。この結果、自己資本比率は69.5%(前事業年度は62.8%)となりました。

ロ.経営成績

 損益面につきましては、前事業年度末の受注残高を背景に、年間を通じて橋梁工場は高い操業度を保ち現場施工も順調に推移したことに加え、設計変更による契約金額の増加もあり、橋梁事業の採算は前事業年度から更に改善いたしました。鉄構事業も売上高は減少したものの、セグメント利益は前事業年度を上回ることができました。

 当事業年度の業績につきましては、売上高18,502,629千円(前年同期比7.9%増)、営業利益942,207千円(前年同期比8.6%増)、経常利益1,052,554千円(前年同期比7.7%増)、当期純利益874,887千円(前年同期比9.3%減)であります。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 橋梁事業

 橋梁事業における当事業年度の売上高は、前事業年度末の豊富な受注残高を順調に消化することで15,193,660千円(前年同期比16.3%増)と増加いたしました。しかしながら、設計変更による追加契約未了の工事も多く、原価先行状態での決算となったこともあり、セグメント利益は863,217千円(前年同期比0.2%増)にとどまりました。受注面では、応札案件の絞り込み、技術提案の内容強化、入札価格の精度向上を徹底したことで着実に受注を積み上げましたが、年度初めに大型案件を受注できなかった影響は大きく、当事業年度の受注高は9,825,496千円(前年同期比46.1%減)となり、順調だった前事業年度を大きく下回る結果となりました。この結果、当事業年度末の受注残高は16,785,523千円(前年同期比24.2%減)となりました。

 鉄構事業

 鉄構事業におきましては、前事業年度末の受注残高が少なかった影響で当事業年度の売上高は3,308,968千円(前年同期比19.0%減)となりました。しかしながら、不採算工事が一掃され、附帯鉄骨の追加精算等による契約額の増加もあったことから、セグメント利益は前事業年度の6,008千円から78,989千円(前年同期比1,214.7%増)に改善いたしました。受注面では、採算性重視の基本方針を保ちつつ、地域、製作時期等を横にらみしながらの活動となったことで、目標案件の成約には至らず前事業年度に引き続き低調な結果1,306,615千円(前年同期比35.3%減)となりました。当事業年度末の受注残高は2,064,130千円(前年同期比49.2%減)であります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より819,488千円増加し、3,558,835千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は2,204,588千円(前年同期比49.0%増)となりました。これは主に当事業年度の堅調な決算による税引前当期純利益の計上及び工事代金の回収に伴う売上債権の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は208,659千円(前年同期比11.2%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は1,176,440千円(前年同期比23.3%減)となりました。これは主に短期借入金の減少と配当金の支払いによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成30年4月1日

至 平成31年3月31日)

前年同期比(%)

橋梁事業(千円)

16,122,590

+23.3

鉄構事業(千円)

3,156,955

△29.4

合計(千円)

19,279,545

+9.9

 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

ロ.受注実績

 当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

橋梁事業(千円)

9,825,496

△46.1

16,785,523

△24.2

鉄構事業(千円)

1,306,615

△35.3

2,064,130

△49.2

合計(千円)

11,132,111

△45.0

18,849,653

△28.1

 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

ハ.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成30年4月1日

至 平成31年3月31日)

前年同期比(%)

橋梁事業(千円)

15,193,660

+16.3

鉄構事業(千円)

3,308,968

△19.0

合計(千円)

18,502,629

+7.9

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

当事業年度

(自 平成30年4月1日

至 平成31年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

国土交通省

5,488,929

32.0

9,215,435

49.8

大成建設㈱

2,060,011

12.0

2,977,624

16.1

中日本高速道路㈱

1,628,887

9.5

2,272,936

12.3

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり使用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 重要な会計方針」に記載しております。また、この財務諸表作成にあたっては、当事業年度における経営成績等に影響を与えるような見積りを必要としております。当社は過去の実績や現在の状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき継続的に見積りを行っております。しかしながら、見積りには不確実性を伴うことから、実際の結果とは異なる場合があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度の売上高が18,502,629千円(前年同期比7.9%増)と増加したことで、営業利益は942,207千円(前年同期比8.6%増)、経常利益は1,052,554千円(前年同期比7.7%増)に増加しましたが、税金計算の影響で当期純利益は874,887千円(前年同期比9.3%減)に減少いたしました。

イ.経営成績の分析

(売上高)

 売上高は、橋梁事業において前事業年度末の豊富な受注残高を背景に、年間を通じて橋梁工場が高い操業度を保ち、現場施工も順調に推移したことで橋梁各工事の進捗率が上昇し売上高は増加いたしました。鉄構事業の売上高は減少となりましたが、合計では前事業年度に比べ1,351,935千円増加し18,502,629千円(前年同期比7.9%増)となりました。その内訳は、橋梁事業15,193,660千円、鉄構事業3,308,968千円であります。

(営業利益)

 売上高の増加に伴い、売上原価も1,293,507千円増加し16,350,332千円(前年同期比8.6%増)となりましたが、販売費及び一般管理費は16,456千円減少し1,210,088千円(前年同期比1.3%減)となったことで、営業利益は942,207千円(前年同期比8.6%増)となりました。

 以上の結果、売上高営業利益率は5.1%となり前事業年度と同じ数値を維持することができました。

(当期純利益)

 営業外収益につきましては、主に受取配当金の減少から前事業年度より9,175千円減少し164,815千円となりました。営業外費用につきましては、主に支払利息の減少から前事業年度より9,850千円減少し54,468千円となりました。これらの結果、経常利益は1,052,554千円(前年同期比7.7%増)となり、経常利益率は5.7%と前事業年度と同じ数値を維持することができました。

 特別利益につきましては、受取保険金及び補助金収入を計上し、特別損失につきましては、災害による損失及び固定資産圧縮損を計上しております。これらの結果、税引前当期純利益は128,112千円増加し1,060,486千円(前年同期比13.7%増)となりました。

 当期純利益につきましては、法人税等合計(法人税等調整額を含む)185,599千円を計上した結果、前事業年度より89,329千円減少し874,887千円(前年同期比9.3%減)となり、当期純利益率も4.7%と前事業年度に比べ悪化しました。

 

ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

ハ.財政状態の分析

 財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

 

ニ.資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フロー)

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末より819,488千円増加し、3,558,835千円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(資金需要)

 当社の主な運転資金需要は、製品製造のための原材料仕入や協力会社への外注費用、人件費等の販売費及び一般管理費が主なものであります。また、設備資金需要は生産効率の向上や品質確保のための設備投資が主なものであります。

(財務政策)

 当社は内部留保金を有効に活用することで、事業活動に必要な流動性の確保に努めております。また、品質確保のための設備投資や資本参加も見据えた事業展開に活用することで、経営基盤の強化を目指しております。運転資金は自己資金を基本としつつ、金融機関からの借入を有効活用することで円滑に業務を推進しております。

 当事業年度末における短期借入金の残高は2,400,000千円であり、当事業年度末における現金預金の残高は3,558,835千円であります。

 

 経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい当社の数値目標は令和2年3月期において売上高200億円、経常利益10億円、経常利益率5%であります。

 当事業年度における当社の経営成績は売上高185億円、経常利益10.5億円、経常利益率5.7%となり、売上高以外は数値目標を上回りましたが、この結果を継続することは容易ではないと認識しております。橋梁事業・鉄構事業ともに厳しい受注環境が続きますが、受注量を確保することで、最終の数値目標である売上高200億円での経常利益率5%の達成に向けて全社一丸となって取り組んでまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 特に記載すべき事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社では、急変する事業環境に対応していくため、橋梁事業につきましては技術研究所の開発スタッフ及び設計部の担当者を中心として研究開発に取り組んでおります。鉄構事業につきましては鉄構本部の担当者を中心に実工事に対応しながら研究開発に取り組んでおります。

当事業年度における各セグメント別の主たる研究の目的、主要課題及び研究成果は以下のとおりであり、研究開発費の総額は29,328千円であります。

 

(1)橋梁事業

① 支圧板方式による鋼ポータルラーメン橋の推進

当社では、施工品質向上及び剛結部の合理化を目指すとともに、維持管理の確実性と容易さに配慮した孔あき鋼板ジベルを配置した支圧板方式による鋼ポータルラーメン橋を、東日本高速道路株式会社、大阪市立大学と共同で研究・開発いたしました。現在のところ高速道路会社で4橋採用されました。今後も、自治体等への適用拡大の検討を行ってまいります。

 

② 耐震に関する技術開発

熊本地震以降、耐震補強のニーズは従来にも増して高まっており、当社では自社開発の耐震関連デバイス装置の研究に取り組んでおります。

 

③ 維持管理に関する技術開発

跨線橋、跨道橋などの上下線間から、積雪やゴミ等の落下物による第三者被害を防止するための技術が必要とされており、当社では従来の落下防止網による落下防止対策に代えて、アルミ製の落下防止板を開発いたしました。現在のところ高速道路会社で3橋採用されました。今後は、より使用性の良い構造の検討など継続的改善を進めてまいります。

 

④ 鋼橋製作の技術開発及び検討

イ.効率的かつ一定の品質水準を保持した鋼橋製作を目指して、有効な技術資料を作成し、社内での共有化を推進しております。また従来、経験データで対処していた溶接変形等について、実構造物における出来形精度向上を目的に、大学機関と共同で先進的な数値解析を行っています。今後は、溶接変形に影響を与えるパラメータの解明を目的に、実験と解析の両面からアプローチし、更なる鋼橋の品質確保・向上に繋げてまいります。

ロ.効率的かつ高い溶接品質の確保を目指して、保有溶接技術の更新及び最新溶接技術の動向を調査・検討し、実施工への適用に向け各種試験を進めてまいります。

ハ.鋼橋の耐久性向上を目指して、各種高性能鋼材の基礎的検討及び溶接施工試験等を実施しており、基礎データの蓄積と適用実績の拡大に努めてまいります。

ニ.技術研究所内の載荷実験装置として、業界でも有数であるサーボ制御方式1000kNアクチュエータを保有しており、前述の耐震関連デバイスの性能評価実験時にも、本アクチュエータによる有効なデータを取得しております。今後も各種載荷実験に適用し、迅速にデータが得られる優位性を活かして独自の開発を進めてまいります。

 

(2)鉄構事業

建築鉄骨の高性能化に対応した溶接技術の開発

近年の大型都市再開発プロジェクトにおける建築鉄骨は、耐震を目指した単なる高強度化だけではなく、制震・免震といった言葉に代表される、高品質化・高性能化へと進化を遂げております。

鋼材においても、JIS規格品並びに既存の大臣認定品に加えて、各鋼材メーカーによる独自の新規鋼材の開発も続いており、それに追随する形で溶接材料メーカーによる新溶接材料の開発も進んでおります。

このような状況下、国内の著名再開発案件に参画し、鋼材と溶接材料の各種組合せにより実施した施工試験結果を分析、更には鋼材メーカー・溶接材料メーカーとの協議・実験を重ねることで、高性能化に対応できる溶接技術の開発を続けております。また、大型化するビルドボックス柱に対応すべくエレクトロスラグ溶接装置の溶接電源と補機類のリプレースを行いました。これらの溶接技術と溶接設備により更なる受注の拡大を図り、実工事での実績を重ねることで、今後も溶接技術の研究・開発を推し進めてまいります。