第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は創業以来、橋梁、鉄骨など鋼構造物の設計、製作、架設を専門に行う企業として全国に事業を展開してまいりました。そしてこの間一貫して社会に貢献することを目標とし、高度な技術力で安全を重視した施工を行い良質な社会資本を提供することで、顧客の皆様の信頼を得ることを経営の基本としております。

 また、和歌山工場内に設置した技術研究所を中心に、常に時代の先端を捉えた技術開発に努め、顧客の皆様の多種多様な要望にお応えし、新しい技術が拓く豊かな未来社会に向けて、経済・文化の発展に貢献する企業として研鑽を重ねております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2017年4月から3年間の第5次中期経営計画は2022年の設立90周年に向けた成長の基盤作りの期間と位置づけ、安定した受注の確保と、セグメント利益の黒字継続を目標といたしました。数値目標は、最終年度の2020年3月期において売上高200億円、経常利益10億円(5.0%)と設定して業務に取り組んでまいりました。

 その結果、数値目標については、売上高は2年目の2019年3月期に185億円を計上したものの、最終年度において200億円は未達となりました。経常利益につきましては、初年度こそ10億円に届きませんでしたが、2年目10億円、最終年度11億円と目標を達成することが出来ました。経常利益率につきましては初年度から5.7%と目標を上回り、期間を通じて良好な結果を残すことが出来、最終年度は6.4%となりました。

 安定した受注の確保については、橋梁事業では相応の結果を残せたものの、鉄構事業は3年連続の前年度割れと結果を残せず、その影響からセグメント利益の黒字継続は、最終年度の鉄構事業のみ途切れる結果となりました。

 一方、第6次の中期経営計画の数値目標につきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動停滞の影響を想定することは極めて難しい状況であることから、2021年3月期の策定は見送ることとし、2022年3月期に新たな経営計画を策定し報告するものといたします。

 この機会を、わが社の将来のロードマップを考える1年とし、第6次中期経営計画は長期的な展望を踏まえ策定する予定であります。

 

(3)経営環境

 当社の主要な柱である橋梁事業を取り巻く環境は『新設』から『保全』へ大きく変わろうとしており、この流れに如何に対応するかが重要な課題であります。一方で、保全工事が優先的に実施される状況においても、高速道路網の未整備区間、暫定2車線区間の4車線化、国土強靭化による河川改修に伴う架け替え等、一定量の新設橋梁も並行して発注されると予想されます。しかしながら、新年度に入り新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言の発令後、入札関連日程の延期、新規発注見合わせ、施工中工事の一時中断等の事例が発生し、先行きは不透明な状況にあります。

 鉄構事業におきましては、鉄骨需要は今後も堅調に推移すると見込まれ、東京五輪等の閉幕後から各地で相当量の案件が始動することは確実との見方が大半でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大による東京五輪等の延期や経済活動の停滞により、各地で計画されている大規模再開発案件がどの程度影響を受けるかは現在見通せない状況にあります。

 

(4)経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 橋梁事業におきましては、新設橋梁の受注維持を最大の目標としておりますが、新年度におきましては、新体制の下で立ち上げた「保全工事検討委員会」を中心として大型保全工事の確実な受注を目指し、体制の構築が足踏み状態である保全・中大規模改修工事への対応を推し進めることが重要な課題であると認識しております。また、橋梁事業の環境変化から保全工事への対応が不可欠な状況下では、新設橋梁の受注量減少から橋梁工場の稼働率低下が危惧されます。そのため、ここ数年間低迷を続けている鉄構事業を再生すべく鉄構本部の組織を見直すとともに、「鉄骨事業復活委員会」を立ち上げ、全社を挙げてバックアップする体制を構築いたしました。新年度は「保全工事への対応」と「鉄骨事業の復活」を柱に、社会の変化に対応した魅力的な企業の実現と、更なる業績の改善を目指します。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)公共事業への依存について

 当社は、鋼構造物の設計から製作、現場施工を主事業としており、2020年3月期末の受注残高においては鋼橋が9割以上を占め、その大部分は公共工事であります。国及び地方公共団体の厳しい財政状態を反映し、公共事業は発注量の減少が続き、今後の市場動向は不透明であります。そのため、実際の発注量と金額が予測と大幅に乖離する可能性は否定できず、その場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策といたしましては、今後、民間事業の受注を着実に増加させるために、鉄構本部の組織を見直すとともに「鉄骨事業復活委員会」を立ち上げ、鉄構事業の再生に向けて全社を挙げてバックアップする体制を構築いたしました。

 

(2)法的規制について

 事業を営むにあたり建設業法等の法的規制を受けております。法令遵守の意識は社内で徹底しておりますが、万一法令違反があった場合には行政処分等により、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策といたしましては、社内通報制度の導入により、社内での業務運営上の問題点を吸い上げるなどを通じて、リスクマネジメントに努めております。また、コンプライアンス室からコンプライアンスに係る情報を定期的に全社に発信し、社員の法令順守の意識を高めております。

 

(3)自然災害・事故等による影響について

 当社は、生産設備を和歌山工場に集中し、業務の効率化を図っております。そのため自然災害等で和歌山工場の機能がストップした場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の製品は規模及び重量ともに非常に大きいことから、工場製作・輸送・現場施工の各工程に危険な作業を含んでおり、万一事故を起こした場合は、事故による損害だけでなく、顧客の信頼を失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策といたしましては、現在拠点ごとの対応となっている緊急時対策や備蓄品確保を、従業員等の安全確保を最優先とした全社レベルでの「災害対策BCPマニュアル」へ統合すべく作業を急いでおります。また、和歌山工場では毎年「安全衛生管理計画」を策定し実行することで安全意識の徹底を図っております。工事本部では、役員による現場パトロールを安全週間と衛生週間に毎年実施し、安全意識の向上に努めております。

 

(4)品質管理について

 当社にて製作・施工される製品について、万一重大な瑕疵担保責任が発生した場合には、補修費用の発生だけでなく顧客からの信頼も失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策といたしましては、全社レベルでの品質向上に係る取り組みとしてISO9001に基づく品質マネジメントシステムを運用しております。

 

(5)主要原材料の価格変動等について

 当社の主力事業である鋼構造物事業は、鋼材が主要原材料であります。鋼材価格はここ数年値動きが大きく、今後鋼材価格が上昇を続け、上昇分が受注価格に転嫁されない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、鋼材の需給関係が逼迫し、数量の確保が困難になる可能性は否定できません。鋼材の納入が遅延した場合や、必要数量を確保できない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策といたしましては、株式の政策保有を含め製鉄会社等との取引の維持強化に努めております。

 

(6)金利変動による影響について

 当社の借入金残高は2020年3月期末において18億円であります。借入金の縮小に取り組む一方で、全天候型塗装工場新設による資金需要もあり、長期借入等による固定金利での資金調達も検討し金利変動リスクに対応予定であります。しかしながら、将来の金利上昇は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)固定資産の減損に関わるリスク

 当社は橋梁事業及び鉄構事業に係る固定資産を主に和歌山工場において保有しております。2020年3月期におきましては、鉄構事業で166,607千円のセグメント損失を計上しており、今後、各事業における経営環境の著しい悪化等により減損損失を計上する場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策といたしましては、橋梁事業を取り巻く環境が『新設』から『保全』へ大きく変わろうとしている流れに対応して、新体制の下で立ち上げた「保全工事検討委員会」を中心として、保全・中大規模改修工事に向けた体制の構築を推し進めております。鉄構事業では、鉄構本部の組織を見直すとともに「鉄骨事業復活委員会」を立ち上げ、鉄構事業の再生に向けて全社を挙げてバックアップする体制を構築いたしました。

 

(8)時価変動による影響について

 当社が保有する資産の時価の変動によっては、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。2020年3月期におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響もあり株式市況が大きく変動したことで、投資有価証券評価損1.5憶円を計上しております。

 当該リスクへの対応策といたしましては、政策保有株式の保有の適否を管理部門において精査し、取締役会にて報告し見直しを行っております。見直しの結果、保有意義の薄れた株式につきましては、順次売却を進めることとし、保有額を縮減することによるリスク低減にも努めております。

 

(9)繰延税金資産の回収可能性の評価について

 当社は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率の変更等を含む税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策といたしましては、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり基準とした利益計画の実現可能性について慎重に検討を行い、合理的かつ保守的に見積った課税所得についてのみ繰延税金資産を計上することとしております。

 

(10)新型コロナウイルス感染症の影響について

 当社の工場内や施工現場内で新型コロナウイルス感染者が発生した場合、一定期間の操業停止を余儀なくされ、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため当社では、国内の各拠点に対して感染拡大防止策の周知徹底を図り、従業員等の安全と健康の確保を最優先に事業継続を可能とする体制を整備しております。業務の性質上在宅勤務を実施できない和歌山工場においては、国の方針に従い感染拡大防止策を講じることで、平常時と同水準の稼働率を維持しております。

 また、感染拡大時期に一部自治体において新規発注見合わせの時期が発生いたしました。発注見合わせが自治体から国土交通省、高速道路会社へと拡大した場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、雇用情勢や所得環境の改善が続き、企業収益は底固く推移し、景気は緩やかな回復基調を辿りました。しかしながら2020年に入り、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により先行きは一気に不透明な状態となりました。

 当業界におきましては、橋梁事業の当事業年度の発注は、前事業年度を大きく下回る結果となりました。大規模保全・特定更新関連の発注は堅調に推移しましたが、新設鋼橋は発注の端境期に当たり、前事業年度の7割程度の発注量にとどまりました。鉄構事業においても、東京五輪関連施設の工事完了や高力ボルトの納期長期化等の影響により、鉄骨需要は前事業年度を下回る結果となりました。首都圏では、東京五輪等の開催に伴う規制や制約が不透明なことから着工を延期した案件も多く、また大阪、名古屋等でも大型案件の計画が控えているものの、当事業年度は大型案件の端境期にあったと思われます。

 このような状況のもとで当社は、橋梁事業では対象案件を絞り込み、限られた経営資源を最大限に活用する営業活動を継続し、受注高の確保に努めました。その結果、新設鋼橋の発注案件が非常に少ない中で、地方自治体の案件を中心に良好な成果を上げることが出来ました。しかしながら鉄構事業では、目標案件で結果を残せず、当事業年度の受注高は低調に終わった前事業年度を更に下回る厳しい結果となりました。

 これらの結果、当事業年度の受注高は橋梁事業13,913,543千円、鉄構事業1,103,438千円、総額15,016,981千円となり受注高合計では前事業年度を上回ることが出来ました。

 また、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

イ.財政状態

(資産の部)

 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ1,099,667千円減少し、24,828,673千円となりました。

 流動資産は14,266,155千円(前事業年度末14,225,586千円から当事業年度末14,266,155千円)となりました。これは主に工事代金の回収に伴い完成工事未収入金が1,570,487千円減少したものの、現金預金が969,617千円、有価証券が999,974千円増加したことによるものです。

 固定資産は10,562,517千円(前事業年度末11,702,753千円から当事業年度末10,562,517千円)となりました。これは主に投資有価証券の時価が下落し、投資有価証券の貸借対照表計上額が950,861千円減少したことによるものです。

(負債の部)

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ995,998千円減少し、6,902,337千円となりました。

 流動負債は6,771,688千円(前事業年度末7,623,982千円から当事業年度末6,771,688千円)となりました。これは主に工事代金の回収が堅調に推移したことによる短期借入金の返済600,000千円と工事損失引当金の減少71,741千円によるものです。

 なお、支払手形の減少929,610千円と工事未払金の増加813,293千円は、工事未払金を期日現金払いに変更したためであり、仕入債務としての減少は鉄構事業の受注案件減少に伴うものであります。

 固定負債は130,649千円(前事業年度末274,353千円から当事業年度末130,649千円)となりました。これは主に投資有価証券の時価が下落したことに伴う繰延税金負債の減少125,818千円によるものです。

(純資産の部)

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ103,669千円減少し、17,926,335千円となりました。これは主に当期純利益の計上771,850千円とその他有価証券評価差額金の減少676,632千円及び剰余金の配当による減少198,272千円によるものです。この結果、自己資本比率は72.2%(前事業年度は69.5%)となりました。

ロ.経営成績

 損益面につきましては、前事業年度の受注が低調だった影響もあり、完成工事高は前事業年度を下回りました。しかしながら、橋梁事業において設計変更による契約金額の増額が堅調に推移し、原価の低減も進んだことで、営業利益は前事業年度を上回る結果を残すことができました。

 当事業年度の業績につきましては、売上高17,645,537千円(前年同期比4.6%減)、営業利益1,025,301千円(前年同期比8.8%増)、経常利益1,126,831千円(前年同期比7.1%増)、当期純利益771,850千円(前年同期比11.8%減)であります。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 橋梁事業

 橋梁事業におきましては、前事業年度の受注が低調に推移し受注残高が減少していたにも関わらず、当事業年度完成工事の設計変更による契約金額の増額が堅調に推移したことと、原価の低減が進んだこと等により、売上高15,403,979千円(前年同期比1.4%増)セグメント利益1,191,909千円(前年同期比38.1%増)と前事業年度を上回る結果を残すことができました。受注面では、応札案件を絞り込み、限られた経営資源を最大限に活用する営業活動を継続し、受注高の確保に努めました。その結果、新設鋼橋の発注案件が非常に少ない中で、地方自治体の案件を中心に良好な成果を上げることが出来ました。当事業年度の受注高は13,913,543千円(前年同期比41.6%増)となり、低調に推移した前事業年度を大きく上回る結果となりました。しかしながら、当事業年度末の受注残高は15,295,087千円(前年同期比8.9%減)と前年度末残高を下回る結果となりました。

 鉄構事業

 鉄構事業におきましては、経営資源の減少に起因する受注の低迷が長引き、当事業年度の売上高は2,241,558千円(前年同期比32.3%減)にとどまりました。また、附帯鉄骨の追加精算等による契約金額の増加が翌期に持ち越しとなった案件もあり、セグメント利益は△166,607千円(前年同期はセグメント利益78,989千円)と悪化し第85期以来のセグメント損失となりました。受注面でも、採算性重視の基本方針を保ちつつ、地域、製作時期等を横にらみしながらの活動を継続したことで、目標案件の成約には至らず1,103,438千円(前年同期比15.5%減)と3期連続で低調な結果となりました。当事業年度末の受注残高は926,010千円(前年同期比55.1%減)であります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より1,969,591千円増加し、5,528,427千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は2,843,118千円(前年同期比29.0%増)となりました。これは主に当事業年度の堅調な決算による税引前当期純利益の計上及び工事代金の回収に伴う売上債権の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は75,305千円(前年同期比63.9%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は798,221千円(前年同期比32.1%減)となりました。これは主に短期借入金の減少と配当金の支払いによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

橋梁事業(千円)

15,274,493

△5.3

鉄構事業(千円)

1,901,862

△39.8

合計(千円)

17,176,356

△10.9

 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

ロ.受注実績

 当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

橋梁事業(千円)

13,913,543

+41.6

15,295,087

△8.9

鉄構事業(千円)

1,103,438

△15.5

926,010

△55.1

合計(千円)

15,016,981

+34.9

16,221,097

△13.9

 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

ハ.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

橋梁事業(千円)

15,403,979

+1.4

鉄構事業(千円)

2,241,558

△32.3

合計(千円)

17,645,537

△4.6

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

国土交通省

9,215,435

49.8

8,704,108

49.3

中日本高速道路㈱

2,272,936

12.3

1,857,807

10.5

大成建設㈱

2,977,624

16.1

2.当事業年度の大成建設㈱については、売上高に占める割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度の売上高は17,645,537千円(前年同期比4.6%減)と減少しましたが、営業利益は1,025,301千円(前年同期比8.8%増)、経常利益は1,126,831千円(前年同期比7.1%増)と増加しました。しかしながら、繰延税金資産の回収可能性の検討にあたり、翌期の課税所得の見積りの前提となる事業計画の数値算定に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を加味したことで当期純利益は771,850千円(前年同期比11.8%減)に減少いたしました。

イ.財政状態の分析

 財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

 

ロ.経営成績の分析

(売上高)

 前事業年度の受注が低調に推移した影響もあり、売上高は前事業年度を下回りました。鉄構事業の売上高は大きく減少となりましたが、橋梁事業においては設計変更による契約金額の増額が堅調に推移したことで微増となり、合計では前事業年度に比べ857,091千円減少の17,645,537千円(前年同期比4.6%減)となりました。その内訳は、橋梁事業15,403,979千円、鉄構事業2,241,558千円であります。

 

(営業利益)

 売上高は減少したものの、橋梁事業の採算改善に伴い、売上総利益が2,311,557千円(前年同期比7.4%増)となり、販売費及び一般管理費1,286,255千円(前年同期比6.3%増)の増加幅を上回ったことで、営業利益は1,025,301千円(前年同期比8.8%増)となりました。

 以上の結果、売上高営業利益率は5.8%となり前事業年度を上回る数値を残すことができました。

 

(当期純利益)

 営業外収益につきましては、主に投資有価証券売却益の減少から前事業年度より23,317千円減少し141,497千円となりました。営業外費用につきましては、主に投資有価証券売却損と支払保証料の減少から前事業年度より14,500千円減少し39,967千円となりました。これらの結果、経常利益は1,126,831千円(前年同期比7.1%増)となり、経常利益率は6.4%と前事業年度を上回る数値を残すことができました。

 特別利益につきましては、投資有価証券売却益を計上し、特別損失につきましては、投資有価証券評価損を計上しております。これらの結果、税引前当期純利益は6,726千円増加し1,067,212千円(前年同期比0.6%増)となりました。

 当期純利益につきましては、法人税等合計(法人税等調整額を含む)295,362千円を計上した結果、前事業年度より103,036千円減少し771,850千円(前年同期比11.8%減)となり、当期純利益率も4.4%と前事業年度に比べわずかに悪化しました。

 

ハ.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末より1,969,591千円増加し、5,528,427千円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(資金需要)

 当社の主な運転資金需要は、製品製造のための原材料仕入や協力会社への外注費用、人件費等の販売費及び一般管理費が主なものであります。また、設備資金需要は生産効率の向上や品質確保のための設備投資が主なものであります。

(財務政策)

 当社は内部留保金を有効に活用することで、事業活動に必要な流動性の確保に努めております。また、品質確保のための設備投資や資本参加も見据えた事業展開に活用することで、経営基盤の強化を目指しております。運転資金は自己資金を基本としつつ、金融機関からの借入を有効活用することで円滑に業務を推進しております。

 当事業年度末における短期借入金の残高は1,800,000千円であり、当事業年度末における現金預金の残高は4,528,452千円であります。

 

 経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい

 売上高以外の数値目標を達成できた第5次中期経営計画の結果を受け、第6次中期経営計画の策定が必要な時期となりましたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動停滞の影響を想定することは極めて難しい状況であることから、2021年3月期の策定は見送ることとし、2022年3月期に新たな経営計画を策定し報告するものといたします。

 この機会を、わが社の将来のロードマップを考える1年とし、第6次中期経営計画は長期的な展望を踏まえ策定する予定であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成にあたっては、当事業年度における経営成績等に影響を与えるような見積りを必要としております。当社は過去の実績や現在の状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき継続的に見積りを行っておりますが、見積りには不確実性を伴うことから、実際の結果とは異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成にあたり使用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

イ.完成工事高、完成工事原価及び工事損失引当金の計上

 当事業年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。また、工事原価総額の見積りが工事収益総額を上回る可能性が高く、かつ、その損失見込額を合理的に算定できる場合、当該損失見込額を損失が見込まれた期に工事損失引当金として計上しております。

 なお、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度については信頼性をもって見積っておりますが、その見積りが変更された場合には、当該事業年度の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.繰延税金資産

 当社は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率の変更等を含む税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当該事業年度の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、収束時期が見通せず、経済活動の停滞が当社業績に与える影響を想定することは極めて困難でありますが、2021年3月期の一定期間においてはその影響が及ぶとの仮定の下で、2020年3月期末の受注残高や業界団体の2021年3月期の発注予想値を基礎として、2021年3月期の課税所得の見積りを行っております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響は不確実性が高いことから、2021年3月期の結果とは乖離が生じる可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 特に記載すべき事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社では、急変する事業環境に対応していくため、橋梁事業につきましては技術研究所の開発スタッフ及び設計部の担当者を中心として研究開発に取り組んでおります。鉄構事業につきましては鉄構本部の担当者を中心に実工事に対応しながら研究開発に取り組んでおります。

当事業年度における各セグメント別の主たる研究の目的、主要課題及び研究成果は以下のとおりであり、研究開発費の総額は29,160千円であります。

 

(1)橋梁事業

① FRP製ハンドホールの開発

当社では、橋梁用壁高欄コンクリート充填性を改善し防護柵機能を向上させるとともに、管路の点検や補修がしやすい通信・電気設備配管用FRP製ハンドホールを中日本高速道路株式会社と共同で研究・開発いたしました。現在のところ新東名高速道路の建設において、順次導入されており、今後も適用拡大の検討を行ってまいります。

 

② 耐震に関する技術開発

2016年の熊本地震以降、耐震補強のニーズは従来にも増して高まっており、当社では自社開発の耐震関連デバイス装置の研究に取り組んでおります。

 

③ 維持管理に関する技術開発

跨線橋、跨道橋などの上下線間から、積雪やゴミ等の落下物による第三者被害を防止するための技術が必要とされており、当社では従来の落下防止網による落下防止対策に代えて、アルミ製の落下防止板を開発いたしました。現在のところ高速道路会社で3橋採用されました。今後は、より使用性の良い構造の検討など継続的改善を進めてまいります。

 

④ 鋼橋製作の技術開発及び検討

イ.効率的かつ一定の品質水準を保持した鋼橋製作を目指して、有効な技術資料を作成し、社内での共有化を推進しております。また従来、経験データで対処していた溶接変形等について、実構造物における出来形精度向上を目的に、大学機関と共同で先進的な数値解析を行っています。今後は、溶接変形に影響を与えるパラメータの解明を目的に、実験と解析の両面からアプローチし、更なる鋼橋の品質確保・向上に繋げてまいります。

ロ.効率的かつ高い溶接品質の確保を目指して、保有溶接技術の更新及び最新溶接技術の動向を調査・検討し、実施工への適用に向け各種試験を進めてまいります。また、作業人員の限られる現場溶接において、技量及び溶接機器の汎用を考慮した鋼床版デッキ溶接方法を開発し、2021年3月期において実工事に実施する予定です。

ハ.鋼橋の耐久性向上を目指して、各種高性能鋼材の基礎的検討及び溶接施工試験等を実施しており、基礎データの蓄積と適用実績の拡大に努めてまいります。

ニ.技術研究所内の載荷実験装置として、業界でも有数であるサーボ制御方式1000kNアクチュエータを保有しており、前述の耐震関連デバイスの性能評価実験時にも、本アクチュエータによる有効なデータを取得しております。今後も各種載荷実験に適用し、迅速にデータが得られる優位性を活かして独自の開発を進めてまいります。

 

(2)鉄構事業

建築鉄骨の高性能化に対応した溶接技術の開発

近年の大型都市再開発プロジェクトにおける建築鉄骨は、耐震を目指した単なる高強度化だけではなく、制震・免震といった言葉に代表される、高品質化・高性能化へと進化を遂げております。

鋼材においても、JIS規格品並びに既存の大臣認定品に加えて、各鋼材メーカーによる独自の新規鋼材の開発も続いており、それに追随する形で溶接材料メーカーによる新溶接材料の開発も進んでおります。

このような状況下、国内の著名再開発案件に参画し、鋼材と溶接材料の各種組合せにより実施した施工試験結果を分析、更には鋼材メーカー・溶接材料メーカーとの協議・実験を重ねることで、高性能化に対応できる溶接技術の開発を続けております。また、採用が拡大するロールコラム柱に対応すべく大組立ロボットの新設及び簡易溶接ロボットの導入計画を策定しております。これらの溶接技術と溶接設備により更なる受注の拡大を図り、実工事での実績を重ねることで、今後も溶接技術の研究・開発を推し進めてまいります。