文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は創業以来、橋梁、鉄骨など鋼構造物の設計、製作、架設を専門に行う企業として全国に事業を展開してまいりました。そしてこの間一貫して社会に貢献することを目標とし、高度な技術力で安全を重視した施工を行い良質な社会資本を提供することで、顧客の皆様の信頼を得ることを経営の基本としております。
また、和歌山工場内に設置した技術研究所を中心に、常に時代の先端を捉えた技術開発に努め、顧客の皆様の多種多様な要望にお応えし、新しい技術が拓く豊かな未来社会に向けて、経済・文化の発展に貢献する企業として研鑽を重ねております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動停滞の影響から策定を見送っていた第6次中期経営計画を2021年5月14日に開示いたしました。第6次中期経営計画におきましては、数値目標は2024年3月期の売上高200億円、経常利益12億円のみとし、2032年の会社設立100周年に向けての会社の進んでいく方向の記載に重点を置いております。
(3)経営環境
当社の主要な柱である橋梁事業を取り巻く環境は『新設』から『保全』へ大きな流れの中にあり、2021年3月期においては、金額ベースで保全工事の割合が50%に迫る勢いとなりました。保全工事が優先的に実施される状況ではありますが、高速道路網の未整備区間、暫定2車線区間の4車線化、国土強靭化による河川改修に伴う架け替え等、一定量の新設橋梁は並行して発注されると予想されます。
鉄構事業におきましては、長期化したコロナ禍の影響が大きく「端境期」が予想以上に長引いております。首都圏を中心とした大型再開発案件により2022年3月期の後半以降には需要が回復するとの前向きな見方もありますが、端境期の長期化によりゼネコン各社の手持ち工事が少なくなる中での厳しい価格交渉、鋼材価格のみならず、人件費・輸送費の値上げ等厳しい事業環境が予想されます。
(4)経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当事業年度の2大目標であった橋梁事業での「大型保全工事の受注確保」と鉄構事業の再生にむけての「体制の再構築」はともに一定の結果を残すことができ、相応の受注残高を新年度に繰越しております。新年度におきましては、受注した工事の採算向上に向けて全社を挙げての取り組みが大きな目標となります。当社は2022年3月に会社設立90周年を迎え、その大半の期間を橋梁と鉄構を主力製品として社会に貢献してまいりました。今後も橋梁と鉄構が主力製品であることは変わりませんが、人口の減少・高年齢化が進み低成長の時代になる中で、新設鋼橋やビル建設が活況を呈することは考えにくく、近い将来の頭打ちが考えられます。このような事業環境の下で当社がこの先100周年からその先へと継続して繁栄していくためには、これまでの、鋼構造物の製造にこだわることなく、新たな事業への展開も必要と考えております。2021年5月14日に開示いたしました第6次中期経営計画におきましては、2032年の会社設立100周年に向けての会社の進んでいく方向の記載に重点を置き、「良質な社会資本を提供し、環境と人の優しい未来を考える」を経営理念といたしました。今後、安定した収益基盤の構築・企業価値の向上・魅力的な企業創りの実施により、2032年を見据えた経営基盤の構築を図ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)公共事業への依存について
当社は、鋼構造物の設計から製作、現場施工を主事業としており、2021年3月期末の受注残高においては鋼橋が7割以上を占め、その大部分は公共工事であります。国及び地方公共団体の厳しい財政状態を反映し、公共事業は発注量の減少が続き、今後の市場動向は不透明であります。そのため、実際の発注量と金額が予測と大幅に乖離する可能性は否定できず、その場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として2021年3月期は全社を挙げて鉄構事業をバックアップする体制を構築し、前事業年度を大幅に上回る受注高を確保することが出来ました。今後も体制は継続し更なる受注の獲得を目指します。
(2)法的規制について
事業を営むにあたり建設業法等の法的規制を受けております。法令遵守の意識は社内で徹底しておりますが、万一法令違反があった場合には行政処分等により、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策といたしましては、社内通報制度の導入により、社内での業務運営上の問題点を吸い上げるなどを通じて、リスクマネジメントに努めております。また、コンプライアンス室からコンプライアンスに係る情報を定期的に全社に発信し、社員の法令順守の意識を高めております。
(3)自然災害・事故等による影響について
当社は、生産設備を和歌山工場に集中し、業務の効率化を図っております。そのため自然災害等で和歌山工場の機能がストップした場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の製品は規模及び重量ともに非常に大きいことから、工場製作・輸送・現場施工の各工程に危険な作業を含んでおり、万一事故を起こした場合は、事故による損害だけでなく、顧客の信頼を失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策といたしましては、現在拠点ごとの対応となっている緊急時対策や備蓄品確保を、従業員等の安全確保を最優先とした全社レベルでの「災害対策BCPマニュアル」へ統合すべく作業を急いでおります。また、和歌山工場では毎年「安全衛生管理計画」を策定し実行することで安全意識の徹底を図っております。工事本部では、役員による現場パトロールを安全週間と衛生週間に毎年実施し、安全意識の向上に努めております。
(4)品質管理について
当社にて製作・施工される製品について、万一重大な瑕疵担保責任が発生した場合には、補修費用の発生だけでなく顧客からの信頼も失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策といたしましては、全社レベルでの品質向上に係る取り組みとしてISO9001に基づく品質マネジメントシステムを運用しております。
(5)主要原材料の価格変動等について
当社の主力事業である鋼構造物事業は、鋼材が主要原材料であります。鋼材価格はここ数年値動きが大きく、今後鋼材価格が上昇を続け、上昇分が受注価格に転嫁されない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、鋼材の需給関係が逼迫し、数量の確保が困難になる可能性は否定できません。鋼材の納入が遅延した場合や、必要数量を確保できない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策といたしましては、株式の政策保有を含め製鉄会社等との取引の維持強化に努めております。
(6)金利変動による影響について
当社の借入金残高は2021年3月期末において22億円であります。借入金の縮小に取り組む必要性がある一方で、新型コロナウイルス感染症の影響による資金需要に備え、やや厚めの借入金残高を維持しております。そのため、今後の金利上昇は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)固定資産の減損に関わるリスク
当社は橋梁事業及び鉄構事業に係る固定資産を主に和歌山工場において保有しております。2021年3月期におきましては、受注高は回復したものの、収益性に不安の残る鉄構事業について所有資産の回収可能性を検討し、311,444千円の減損損失を計上いたしました。今後も各事業における経営環境の著しい悪化等により減損損失を計上する場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、第6次中期経営計画の策定があります。今後、安定した収益基盤の構築・企業価値の向上・魅力的な企業創りの実施により、2032年を見据えた経営基盤の構築を図ってまいります。
(8)時価変動による影響について
当社が保有する資産の時価の変動によっては、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策といたしましては、保有する資産の時価を管理部門が定期的に確認し、必要に応じて売却等の処理を行っております。特に政策保有株式については、その保有の適否を管理部門が精査し、取締役会にて報告し見直しを行っております。見直しの結果、保有意義の薄れた銘柄につきましては、順次売却を進めることとし、保有額を縮減することでリスク低減に努めております。
(9)繰延税金資産の回収可能性の評価について
当社は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率の変更等を含む税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策といたしましては、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり基準とした利益計画の実現可能性について慎重に検討を行い、合理的かつ保守的に見積った課税所得についてのみ繰延税金資産を計上することとしております。
(10)新型コロナウイルス感染症の影響について
当社の工場内や施工現場内で新型コロナウイルス感染者が発生した場合、一定期間の操業停止を余儀なくされ、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため当社では、国内の各拠点に対して感染拡大防止策の周知徹底を図り、従業員等の安全と健康の確保を最優先に事業継続を可能とする体制を整備しております。業務の性質上在宅勤務を実施できない和歌山工場においては、国の方針に従い感染拡大防止策を講じることで、平常時と同水準の稼働率を維持しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響に翻弄され、先行き不透明感が漂う厳しい状況で推移いたしました。
当業界におきましては、橋梁事業の新設鋼橋の発注量が滞り、前事業年度実績は上回るものの、期初の予想には届かない結果となりました。また、新設工事から保全工事への流れは更に加速し、金額ベースでは保全工事の割合が50%に迫る勢いとなりました。鉄構事業では、長期化したコロナ禍の影響が大きく、鉄骨需要の「端境期」が予想以上に長引き、発注量は「端境期」と言われた前事業年度をさらに下回りました。
このような状況のもとで当社は、新体制の下で立ち上げた「保全工事検討委員会」を中心として大規模保全工事の確実な受注を目指し、並行して新設鋼橋の受注維持に努めました。結果として目標とした大規模保全工事を受注し、新設鋼橋の受注維持につきましても、発注量が非常に少ない中で、国土交通省の案件を中心に良好な成果を上げることが出来ました。鉄構事業におきましても、鉄構本部を全社挙げてバックアップする体制を構築し、受注の増大を目指した結果、受注高は前事業年度を大幅に上回りました。これらの結果、当事業年度の受注高は橋梁事業15,747,143千円、鉄構事業6,400,427千円、総額22,147,570千円となり前事業年度を大きく上回る数値を確保いたしました。
また、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ.財政状態
(資産の部)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ1,818,946千円増加し、26,647,619千円となりました。
流動資産は15,706,830千円(前事業年度末14,266,155千円から当事業年度末15,706,830千円)となりました。これは主に完成工事高の計上に伴い完成工事未収入金が3,068,894千円増加したことと、現金預金が821,618千円、有価証券が899,234千円減少したことによるものです。
固定資産は10,940,789千円(前事業年度末10,562,517千円から当事業年度末10,940,789千円)となりました。これは主に保有する投資有価証券の時価が上昇し投資有価証券の貸借対照表計上額が561,875千円増加したことと、減損損失の計上等により有形固定資産の貸借対照表計上額が166,148千円減少したことによるものです。
(負債の部)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ913,125千円増加し、7,815,463千円となりました。
流動負債は7,591,974千円(前事業年度末6,771,688千円から当事業年度末7,591,974千円)となりました。これは主に短期借入金の増加400,000千円、工事損失引当金の増加269,923千円、未払金の増加229,341千円によるものです。
固定負債は223,489千円(前事業年度末130,649千円から当事業年度末223,489千円)となりました。これは主に保有する投資有価証券の時価が上昇したことに伴う繰延税金負債の増加90,960千円によるものです。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ905,821千円増加し、18,832,156千円となりました。これは主に当期純利益の計上489,749千円とその他有価証券評価差額金の増加614,810千円及び剰余金の配当による減少198,256千円によるものです。この結果、自己資本比率は70.7%(前事業年度は72.2%)となりました。
ロ.経営成績
損益面につきましては、前々事業年度の受注が低調だった影響が尾を引き、完成工事高及び各利益は前事業年度を下回る結果となりました。また、受注高は回復したものの、収益性に不安の残る鉄構事業については所有資産の回収可能性を検討し、特別損失(固定資産の減損損失)を計上いたしました。そうした状況ではありましたが、全社を挙げて新型コロナウイルス感染症対策の実施に取り組んだことから、新型コロナウイルス感染症が業績に与える影響は軽微なものにとどまりました。また、橋梁事業における設計変更による契約金額の増額が業績に大きく寄与し、当事業年度の完成工事高及び各利益は2020年8月7日に公表した業績予想を上回る結果を残すことが出来ました。
当事業年度の業績につきましては、売上高15,223,703千円(前年同期比13.7%減)、営業利益858,980千円(前年同期比16.2%減)、経常利益956,549千円(前年同期比15.1%減)、当期純利益489,749千円(前年同期比36.5%減)であります。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
橋梁事業
橋梁事業におきましては、前々事業年度の受注が低調だった影響が尾を引き、更に各工事の進捗に停滞感が漂う状況となり完成工事高は13,659,238千円(前年同期比11.3%減)と減少いたしましたが、当事業年度末完成工事の設計変更による契約金額の増額により、セグメント利益は1,226,692千円(前年同期比2.9%増)と前事業年度を上回る結果を残すことができました。受注面では、新体制の下で立ち上げた「保全工事検討委員会」を中心として大規模保全工事の確実な受注を目指し、並行して新設鋼橋の受注維持に努めました。結果として目標とした大規模保全工事を受注し、新設鋼橋の受注維持につきましても、発注量が非常に少ない中で、国土交通省の案件を中心に良好な成果を上げることが出来ました。当事業年度の受注高は15,747,143千円(前年同期比13.2%増)となり、堅調に推移した前事業年度を更に上回る結果となりました。これらの結果、当事業年度末の受注残高は17,382,992千円(前年同期比13.7%増)となり前年度末残高を上回りました。
鉄構事業
鉄構事業におきましては、経営資源の減少に起因する受注の低迷が長引き、当事業年度の完成工事高は1,564,464千円(前年同期比30.2%減)にとどまりました。また、当事業年度末に一部工事の採算悪化が判明し工事損失引当金を計上したこともあり、セグメント利益は△367,711千円(前年同期はセグメント利益△166,607千円)とさらに悪化する結果となりました。受注面では、鉄構本部を全社挙げてバックアップする体制を構築し、受注の増大を目指した結果、前事業年度を大幅に上回る成果を上げることが出来ました。当事業年度の受注高は6,400,427千円(前年同期比480.0%増)、受注残高は5,761,972千円(前年同期比522.2%増)であります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より1,821,592千円減少し、3,706,834千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は1,830,121千円(前年同期は2,843,118千円の獲得)となりました。これは主に売上債権の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は192,412千円(前年同期比155.5%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は200,940千円(前年同期は798,221千円の使用)となりました。これは主に短期借入金の増加によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
橋梁事業(千円) |
13,528,524 |
△11.4 |
|
鉄構事業(千円) |
1,800,837 |
△5.3 |
|
合計(千円) |
15,329,361 |
△10.8 |
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
ロ.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 |
前年同期比(%) |
受注残高 |
前年同期比(%) |
|
橋梁事業(千円) |
15,747,143 |
+13.2 |
17,382,992 |
+13.7 |
|
鉄構事業(千円) |
6,400,427 |
+480.0 |
5,761,972 |
+522.2 |
|
合計(千円) |
22,147,570 |
+47.5 |
23,144,964 |
+42.7 |
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
ハ.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
橋梁事業(千円) |
13,659,238 |
△11.3 |
|
鉄構事業(千円) |
1,564,464 |
△30.2 |
|
合計(千円) |
15,223,703 |
△13.7 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
国土交通省 |
8,704,108 |
49.3 |
6,436,995 |
42.3 |
|
静岡県 |
- |
- |
1,777,510 |
11.7 |
|
中日本高速道路㈱ |
1,857,807 |
10.5 |
- |
- |
2.前事業年度の静岡県及び当事業年度の中日本高速道路㈱については、売上高に占める割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の完成工事高が15,223,703千円(前年同期比13.7%減)にとどまったことから、営業利益は858,980千円(前年同期比16.2%減)、経常利益は956,549千円(前年同期比15.1%減)となりました。また、受注高は回復したものの、収益性に不安の残る鉄構事業について所有資産の回収可能性を検討し、特別損失(固定資産の減損損失)を計上いたしました。これらの結果、当期純利益は489,749千円(前年同期比36.5%減)に減少いたしました。
イ.財政状態の分析
財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
ロ.経営成績の分析
(売上高)
前々事業年度の受注が橋梁事業・鉄構事業ともに低調だった影響が尾を引き、不十分な受注残高で当事業年度が始まりました。橋梁事業・鉄構事業ともに受注は堅調に推移したものの、手持ち工事の進捗に停滞感が漂う状況となり完成工事高は15,223,703千円(前年同期比13.7%減)と減少いたしました。その内訳は、橋梁事業13,659,238千円、鉄構事業1,564,464千円であります。
(営業利益)
完成工事高は減少したものの、当事業年度末完成工事の設計変更による契約金額の増額により、橋梁事業の採算は大きく改善しセグメント利益は1,226,692千円(前年同期比2.9%増)と前事業年度を上回る結果を残すことができました。一方で鉄構事業におきましては、当事業年度末に一部工事の採算悪化が判明し工事損失引当金を計上したこともありセグメント利益は△367,711千円(前年同期はセグメント利益△166,607千円)とさらに悪化する結果となりました。そのため、販売費及び一般管理費は1,268,795千円(前年同期比1.4%減)と前事業年度実績を下回りましたが、営業利益は858,980千円(前年同期比16.2%減)となりました。
以上の結果、売上高営業利益率は5.6%となり前事業年度実績5.8%には届きませんでした。
(当期純利益)
営業外収益につきましては、主に受取配当金の減少から前事業年度より3,386千円減少し138,111千円となりました。営業外費用につきましては、主に投資有価証券売却損の増加から前事業年度より573千円増加し40,541千円となりました。これらの結果、経常利益は956,549千円(前年同期比15.1%減)となり、経常利益率は6.3%と前事業年度実績6.4%をわずかに下回りました。
特別損益につきましては、受注高は回復したものの、収益性に不安の残る鉄構事業について所有資産の回収可能性を検討し、特別損失(固定資産の減損損失)311,444千円を計上いたしました。これらの結果、税引前当期純利益は422,108千円減少し645,104千円(前年同期比39.6%減)となりました。
当期純利益につきましては、法人税等合計(法人税等調整額を含む)155,355千円を計上した結果、前事業年度より282,100千円減少し489,749千円(前年同期比36.5%減)となり、当期純利益率も3.2%と前事業年度に比べ1.2%悪化しました。
ハ.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末より1,821,592千円減少し、3,706,834千円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社の主な運転資金需要は、製品製造のための原材料仕入や協力会社への外注費用、人件費等の販売費及び一般管理費が主なものであります。また、設備資金需要は生産効率の向上や品質確保のための設備投資が主なものであります。
(財務政策)
当社は内部留保金を有効に活用することで、事業活動に必要な流動性の確保に努めております。また、品質確保のための設備投資や資本参加も見据えた事業展開に活用することで、経営基盤の強化を目指しております。運転資金は自己資金を基本としつつ、金融機関からの借入を有効活用することで円滑に業務を推進しております。
当事業年度末における短期借入金の残高は2,200,000千円であり、当事業年度末における現金預金の残高は3,706,834千円であります。
経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成にあたっては、当事業年度における経営成績等に影響を与えるような見積りを必要としております。当社は過去の実績や現在の状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき継続的に見積りを行っておりますが、見積りには不確実性を伴うことから、実際の結果とは異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
特に記載すべき事項はありません。
当社では、急変する事業環境に対応していくため、橋梁事業につきましては技術研究所の開発スタッフ及び設計部の担当者を中心として研究開発に取り組んでおります。鉄構事業につきましては鉄構本部の担当者を中心に実工事に対応しながら研究開発に取り組んでおります。
当事業年度における各セグメント別の主たる研究の目的、主要課題及び研究成果は以下のとおりであり、研究開発費の総額は
(1)橋梁事業
① BIM/CIMの研究
近年脚光を浴びておりますICT、AIなどデジタル技術を活用した生産性・品質の向上と労働環境改善を目指して、BIM/CIMの最新技術動向を調査・検討しております。
② FRP製ハンドホールの開発
当社では、橋梁用壁高欄コンクリート充填性を改善し防護柵機能を向上させるとともに、管路の点検や補修がしやすい通信・電気設備配管用FRP製ハンドホールを中日本高速道路株式会社と共同で研究・開発いたしました。現在のところ、中日本高速道路株式会社の新東名高速道路以外に西日本高速道路株式会社の工事でも導入されており、今後も適用拡大の検討を行ってまいります。
③ 耐震に関する技術開発
2016年の熊本地震以降、耐震補強のニーズは従来にも増して高まっており、当社では自社開発の耐震関連デバイス装置の研究に取り組んでおります。
④ 維持管理に関する技術開発
跨線橋、跨道橋などの上下線間から、積雪やゴミ等の落下物による第三者被害を防止するための技術が必要とされており、当社では従来の落下防止網による落下防止対策に代えて、アルミ製の落下防止板を開発いたしました。現在のところ高速道路会社で3橋採用されました。今後は、より使用性の良い構造の検討など継続的改善を進めてまいります。
⑤ 鋼橋製作の技術開発及び検討
イ.効率的かつ一定の品質水準を保持した鋼橋製作を目指して、有効な技術資料を作成し、社内での共有化を推進しております。また従来、経験データで対処していた溶接変形等について、実構造物における出来形精度向上を目的に、大学機関と共同で先進的な数値解析を行っています。今後は、溶接変形に影響を与えるパラメータの解明を目的に、実験と解析の両面からアプローチし、更なる鋼橋の品質確保・向上に繋げてまいります。
ロ.効率的かつ高い溶接品質の確保を目指して、保有溶接技術の更新及び最新溶接技術の動向を調査・検討し、実施工への適用に向け各種試験を進めてまいります。また、作業人員の限られる現場溶接において、技量及び溶接機器の汎用を考慮した鋼床版デッキ溶接方法を開発し、実工事に適用しております。
ハ.鋼橋の耐久性向上を目指して、各種高性能鋼材の基礎的検討及び溶接施工試験等を実施しており、基礎データの蓄積と適用実績の拡大に努めてまいります。
ニ.技術研究所内の載荷実験装置として、業界でも有数であるサーボ制御方式1000kNアクチュエータを保有しており、前述の耐震関連デバイスの性能評価実験時にも、本アクチュエータによる有効なデータを取得しております。今後も各種載荷実験に適用し、迅速にデータが得られる優位性を活かして独自の開発を進めてまいります。
(2)鉄構事業
建築鉄骨の高品質・高性能化鋼材に対応した製作技術の推進
近年の大型都市再開発プロジェクトにおける建築鉄骨は、耐震を目指した単なる高強度化だけではなく、制震・免震といった言葉に代表される、高品質化・高性能化へと進化を遂げております。また、鋼材においても、JIS規格品並びに既存の大臣認定品に加えて、各鋼材メーカーによる独自の新規鋼材の開発も続いており、それに追随する形で溶接材料メーカーによる新溶接材料の開発も進んでおります。このような新規鋼材開発が旺盛である近年、特に超高層ビル用柱材としてコラム材(BCP、BCR)の需要が拡大しており、弊社でもコラム柱製作の効率化を図るためにロボット導入を進めております。コラム柱大組立ロボットの新設および簡易型溶接ロボットの導入完了後は、これらの溶接設備と新溶接材料を活用し、実工事で新規鋼材を用いた鉄骨製作技術の研究・開発を推し進めてまいります。