第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は創業以来、橋梁、鉄骨など鋼構造物の設計、製作、架設を専門に行う企業として全国に事業を展開してまいりました。そしてこの間一貫して社会に貢献することを目標とし、高度な技術力で安全を重視した施工を行い良質な社会資本を提供することで、顧客の皆様の信頼を得ることを経営の基本としております。

 また、和歌山工場内に設置した技術研究所を中心に、常に時代の先端を捉えた技術開発に努め、顧客の皆様の多種多様な要望にお応えし、新しい技術が拓く豊かな未来社会に向けて、経済・文化の発展に貢献する企業として研鑽を重ねております。

 なお、2021年5月14日に開示した「第6次中期経営計画」において、経営理念を「良質な社会資本を提供し、環境と人に優しい未来をささえる」と定めております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2021年5月14日に開示した「第6次中期経営計画」においては、数値目標は2024年3月期の完成工事高200億円、経常利益12億円のみとし、2032年の会社設立100周年に向けての会社の進んでいく方向の記載に重点を置いております。なお、数値目標達成に向けては期末受注残高が最低でも200億円以上必要であると認識しております。

 

(3)経営環境

 当社の主要な柱である橋梁事業を取り巻く環境は『新設』から『保全』への大きな流れの中にありますが、業界サイドがニーズに対応しきれない状況にあります。そのため、2021年3月期においては金額ベースで保全工事の割合が50%に迫る勢いとなりましたが、2022年3月期の金額は2021年3月期から大きく減少する結果となりました。保全工事が優先的に実施される状況ではありますが、2022年3月期も高速道路網の未整備区間、暫定2車線区間の4車線化、国土強靭化による河川改修に伴う架け替え等、一定量の新設鋼橋の発注は有り、当面の間継続すると予想されます。

 鉄構事業では、首都圏を中心とした大型再開発事業だけでなく、物流倉庫・データセンター・製造業の工場建設等、大型案件の出件が相次ぎ、鉄骨需要はようやく端境期を脱し回復基調へ向かいました。しかしながら、鋼材価格高騰と納期の長期化だけでなく、工期・工程ずれの常態化・技能者人材不足・燃料費高騰等多くの課題が立ちはだかり、受注に向けては慎重な取組みが必要な状況にあります。

 

(4)経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 2021年5月に当社は、30年後40年後の将来を見据えた「第6次中期経営計画」を示しました。中期経営計画の2年目に当たる2023年3月期においても、長引くコロナ禍と不安定な海外情勢により先行き不透明な状況ではありますが、掲げた主要戦略を推し進めてまいります。

 橋梁事業では新設鋼橋・保全工事ともに2023年3月期も2022年3月期並みの発注量は期待されています。新設鋼橋の受注確保が最重要課題であることに変わりはありませんが、新たな保全工事の受注も視野に入れております。7月には建設中の全天候型塗装工場も完成し、製作期間の短縮や品質の更なる向上を推進いたします。鉄構事業では需要の回復傾向が更に進み、2023年3月期の後半以降には首都圏の大型再開発工事を中心に繁忙期となると予想されています。仕事量確保に向けて、社内体制を見直すとともに、生産性を向上させるため経営資源の分配強化を進めます。新規事業の一つとして、各種デバイス製品の開発と販売強化に向け、専任者を置き「デバイス推進室」として業務を進めてまいります。

 企業価値の向上に向けては、老朽化した社内の基幹システムの更新を急ぎます。また、既に動き出している地域活性化への取組みとして、産学官連携による交流は大きな前進が期待されます。

 魅力的な企業創りの一環として、多様な働き方への取組み、人材育成への取組みも、規程の見直しによる具体的な運用を始めることで成果は出ており、2023年3月期は人事制度の改革にも着手いたします。

 2022年3月期は、「第6次中期経営計画」開示後、新たな可能性の種を探すことから始め、いくつかの見つけ出した種については種蒔きを行い、小さな芽が出ようとしている状況にあります。2023年3月期は2022年3月期に実施した様々な挑戦を更に続け、できるだけ多くの種を見つけるとともに、その種を蒔くことを目標にしており、そこから出た芽が将来は成木となり、大きな果実を実らせることを目指しております。

 2023年3月期は急激なインフレが続く中で、今後の市場環境は2022年3月期以上の大きな変化が予想されます。このような厳しい環境下ではありますが、会社設立から90年をかけて培ってきた技術と社会貢献の精神を活かし、持続可能な社会の創造と経営基盤の強化に向けて取組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)公共事業への依存について

 当社は、鋼構造物の設計から製作、現場施工を主事業としており、2022年3月期末の受注残高においては鋼橋が7割以上を占め、その大部分は公共工事であります。国及び地方公共団体の厳しい財政状態を反映し、公共事業は発注量の減少が続き、今後の市場動向は不透明であります。そのため、実際の発注量と金額が想定を大きく下回る場合、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、橋梁事業の中での比率が高まっている保全工事への取組強化を図るとともに、民需関連事業である鉄構事業の体質改善に向けて経営資源の配分強化を進めております。

 

(2)法的規制について

 事業を営むにあたり建設業法等の法的規制を受けております。法令遵守の意識は社内で徹底しておりますが、万一法令違反があった場合には行政処分等により、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、社内通報制度の導入により、社内での業務運営上の問題点を吸い上げるなどを通じて、リスクマネジメントに努めております。また、コンプライアンス室からコンプライアンスに係る情報を定期的に全社に発信し、社員の法令順守の意識を高めております。

 

(3)自然災害・事故等による影響について

 当社は、生産設備を和歌山工場に集中し、業務の効率化を図っております。そのため自然災害等で和歌山工場の機能がストップした場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の製品は非常に大きく重いことから、工場製作・輸送・現場施工の各工程に危険な作業を含んでおり、万一事故を起こした場合は、事故による損害だけでなく、顧客の信頼を失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、現在拠点ごとの対応となっている緊急時対策や備蓄品確保を、従業員等の安全確保を最優先とした全社レベルでの「災害対策BCPマニュアル」へ統合すべく作業を開始しております。また、和歌山工場では毎年「安全衛生管理計画」を策定し実行することで安全意識の徹底を図っております。工事本部では、役員による現場パトロールを安全週間と衛生週間に毎年実施し、安全意識の向上に努めております。

 

(4)品質管理について

 当社にて製作・施工される製品について、万一重大な瑕疵担保責任が発生した場合には、補修費用の発生だけでなく顧客からの信頼も失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、ISO9001に基づく品質マネジメントシステムを運用することで、全社レベルでの品質向上に取り組んでおります。

 

(5)主要原材料の価格変動等について

 当社の主力事業である鋼構造物事業は、鋼材が主要原材料であります。鋼材価格はここ数年値動きが大きく、今後鋼材価格が上昇を続け、上昇分が受注価格に転嫁されない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、鋼材の需給関係が逼迫し、数量の確保が困難になる可能性は否定できず、鋼材の納入が遅延した場合や、必要数量を確保できない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、株式の政策保有を含め製鉄会社等との取引の維持強化に努めております。

 

 

(6)金利変動による影響について

 当社の借入金残高は2022年3月期末において20億円であります。借入金の縮小に取り組む必要性がある一方で、主要原材料の値上げ等、急激なインフレが予想される状況に備え、やや厚めの借入金残高を維持しております。そのため、今後の金利上昇は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)固定資産の減損に関わるリスク

 当社は橋梁事業及び鉄構事業に係る固定資産を主に和歌山工場において保有しております。2021年3月期に続き2022年3月期においても、収益性に不安の残る鉄構事業について減損損失を計上いたしました。今後も各事業における経営環境の著しい悪化等により減損損失を計上する場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、第6次中期経営計画の策定があります。今後、安定した収益基盤の構築・企業価値の向上・魅力的な企業創りの実施により、2032年を見据えた経営基盤の構築を図ってまいります。

 

(8)時価変動による影響について

 当社が保有する資産の時価の変動によっては、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、保有する資産の時価を管理部門が定期的に確認し、必要に応じて売却等の処理を行っております。特に政策保有株式については、その保有の適否を管理部門が精査し、取締役会にて報告し見直しを行っております。見直しの結果、保有意義の薄れた銘柄につきましては、順次売却を進めることとし、保有額を縮減することでリスク低減に努めております。

 

(9)繰延税金資産の回収可能性の評価について

 当社は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率の変更等を含む税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり基準とした利益計画の実現可能性について慎重に検討を行い、合理的かつ保守的に見積った課税所得についてのみ繰延税金資産を計上することとしております。

 

(10)新型コロナウイルス感染症の影響について

 当社の工場内や施工現場内で新型コロナウイルス感染者が発生した場合、一定期間の操業停止を余儀なくされ、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため当社では、国内の各拠点に対して感染拡大防止策の周知徹底を図り、従業員等の安全と健康の確保を最優先に事業継続を可能とする体制を整備しております。業務の性質上在宅勤務を実施できない和歌山工場においては、国の方針に従い感染拡大防止策を講じることで、平常時と同水準の稼働率を維持しております。

 

(11)人材確保について

 当社の事業継続には専門性を有する技術者・技能者の確保が不可欠ですが、少子高齢化が進むなかで必要な人材の確保が出来なかった場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、新卒者・中途採用者を問わず採用活動を強化するとともに、定年を迎えた社員の継続雇用を図ることで人材確保に努めております。

 

(12)情報システムに関するリスクについて

 当社は、業務の効率化や情報共有の手段として全社的な情報システムを構築し運営しております。情報システムの安全性確保には細心の注意を払っておりますが、外部からの不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等による機密情報・個人情報の漏洩や、事故等による情報システムの不稼働は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、常に最新のセキュリティ対策を整備するだけでなく、日常的に担当部署から全社員に対して情報セキュリティに関するメッセージを発信することで、情報セキュリティに関する教育を実施しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、感染対策の浸透やワクチン接種の進展等から一部経済活動に回復の動きが見られましたが、第3四半期末以降は新たな変異株のまん延に加えて、原油価格や原材料価格の高騰、円安の進行など、先行きは極めて不透明な状況で推移しました。

 当業界におきましては、橋梁事業では、新設鋼橋の発注金額が前事業年度比で増加であったにも関わらず、前事業年度に大きく増加した保全工事の発注金額が減少したことで、全体の発注金額は減少しました。鉄構事業では、首都圏を中心とした大型再開発事業だけでなく、物流倉庫・データセンター・製造業の工場建設等、大型案件の出件が相次ぎ、鉄骨需要はようやく端境期を脱し回復基調へ向かいました。しかしながら、鋼材価格高騰と納期の長期化だけでなく、工期・工程ずれの常態化・技能者人材不足・燃料費高騰等多くの課題が立ちはだかり、受注に向けては慎重な取組みを求められました。

 このような状況のもとで当社は、橋梁事業では限られた経営資源を最大限に活用するため、対象案件を絞った受注活動を継続し、第3四半期以降徐々に受注高を伸ばしましたが、第4四半期に受注高を積み増すことが叶わず、前事業年度並みの受注高を確保することが出来ませんでした。鉄構事業では、上半期での目標案件の失注を補うべく、工場の稼働確保と採算の改善を目指した営業活動を継続し、年度末には近畿圏での目標案件も受注しましたが、受注高は低調な結果に終わりました。

 これらの結果、当事業年度の受注高は橋梁事業11,079,011千円、鉄構事業2,982,423千円、総額14,061,434千円となり前事業年度の6割強にとどまりました。

 

 また、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

イ.財政状態

(資産の部)

 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ2,101,501千円減少し、24,546,118千円となりました。

 流動資産は12,960,223千円(前事業年度末15,706,830千円から当事業年度末12,960,223千円)となりました。これは主に、年度末における完成工事高の計上が前事業年度比で減少したことで完成工事未収入金が2,100,213千円減少したことと、収益認識に関する会計基準等の適用から未成工事支出金が427,170千円減少したことによるものです。

 固定資産は11,585,894千円(前事業年度末10,940,789千円から当事業年度末11,585,894千円)となりました。これは主に建設中の全天候型塗装工場に係る費用が建設仮勘定として749,000千円増加したことと、減損損失の計上等により有形固定資産の貸借対照表計上額が130,782千円減少したことによるものです。

(負債の部)

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ2,305,888千円減少し、5,509,574千円となりました。

 流動負債は5,384,786千円(前事業年度末7,591,974千円から当事業年度末5,384,786千円)となりました。これは主に工事未払金の減少1,403,368千円、短期借入金の減少200,000千円、工事損失引当金の減少262,591千円によるものです。

 固定負債は124,788千円(前事業年度末223,489千円から当事業年度末124,788千円)となりました。これは主に繰延税金資産との相殺消去による繰延税金負債の減少90,960千円によるものです。

(純資産の部)

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ204,387千円増加し、19,036,543千円となりました。これは当期純利益の計上747,728千円とその他有価証券評価差額金の減少98,844千円、剰余金の配当による減少198,237千円及び自己株式の取得246,259千円によるものです。この結果、自己資本比率は77.6%(前事業年度は70.7%)となりました。

ロ.経営成績

 損益面につきましては、前事業年度を上回る完成工事高を確保できたものの、橋梁事業の構成比率が減少した影響で営業利益と経常利益は前事業年度実績を下回りました。また、2年続けての特別損失計上となったものの、金額的には、前事業年度から大きく減少したことで、当期純利益は前事業年度を上回る結果となりました。

 当事業年度の業績は、完成工事高15,669,637千円(前期比2.9%増)、営業利益763,620千円(前期比11.1%減)、経常利益937,831千円(前期比2.0%減)、当期純利益747,728千円(前期比52.7%増)であります。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 橋梁事業

 橋梁事業におきましては、前事業年度からの各工事の進捗に停滞感が漂う状況から抜け出すことが出来ず、完成工事高は12,169,607千円(前期比10.9%減)と減少し、セグメント利益も1,018,179千円(前期比17.0%減)と前事業年度を下回る結果となりました。受注面では、充分でない経営資源の中で新設鋼橋の受注維持に努め、相応の成果を上げましたが、限られた応札回数では数字は伸びず、当事業年度の受注高は11,079,011千円(前期比29.6%減)となり、堅調に推移した前事業年度を大きく下回る結果となりました。これらの結果、当事業年度末の受注残高は16,212,471千円(前期比6.7%減)となり前年度末残高を確保することが出来ませんでした。

 鉄構事業

 鉄構事業におきましては、前事業年度の受注高の改善から、当事業年度の完成工事高は3,500,030千円(前期比123.7%増)と増加しましたが、利益確保に必要な完成工事高には届かず、セグメント利益は△254,559千円(前期はセグメント利益△367,711千円)と赤字が継続する結果となりました。受注面では、目標としていた大型案件の失注が尾を引き、年度末には近畿圏での目標案件を受注したものの、前事業年度を大幅に下回る極めて低調な結果となりました。当事業年度の受注高は2,982,423千円(前期比53.4%減)、受注残高は4,933,358千円(前期比14.4%減)であります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より39,180千円減少し、3,667,653千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は1,430,486千円(前期は1,830,121千円の使用)となりました。これは主に売上債権の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は825,320千円(前期比328.9%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は644,347千円(前期は200,940千円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の返済と自己株式の取得によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

橋梁事業(千円)

11,997,933

△11.3

鉄構事業(千円)

3,556,567

+97.5

合計(千円)

15,554,501

+1.5

 

ロ.受注実績

 当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

前期比(%)

受注残高

前期比(%)

橋梁事業(千円)

11,079,011

△29.6

16,212,471

△6.7

鉄構事業(千円)

2,982,423

△53.4

4,933,358

△14.4

合計(千円)

14,061,434

△36.5

21,145,829

△8.6

 

 

ハ.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

橋梁事業(千円)

12,169,607

△10.9

鉄構事業(千円)

3,500,030

+123.7

合計(千円)

15,669,637

+2.9

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

国土交通省

6,436,995

42.3

6,807,912

43.4

大成建設㈱

2,588,261

16.5

静岡県

1,777,510

11.7

2.前事業年度の大成建設㈱及び当事業年度の静岡県については、売上高に占める割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度の完成工事高は15,669,637千円(前期比2.9%増)を確保しましたが、橋梁事業の構成比率が減少した影響で営業利益は763,620千円(前期比11.1%減)、経常利益は937,831千円(前期比2.0%減)となりました。しかしながら特別損失(固定資産の減損損失)が前事業年度から大きく減少したことで当期純利益は前事業年度を上回る747,728千円(前期比52.7%増)となりました。

イ.財政状態の分析

 財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

 

ロ.経営成績の分析

(完成工事高)

 当事業年度は、橋梁事業・鉄構事業ともに受注は低調で、手持ち工事の進捗にも停滞感が漂う状況ではありましたが、前事業年度末に相応の受注残高を確保していたため、完成工事高は微増の15,669,637千円(前期比2.9%増)となりました。その内訳は、橋梁事業12,169,607千円(前期比10.9%減)、鉄構事業3,500,030千円(前期比123.7%増)であります。

 

(営業利益)

 完成工事高は増加したものの、橋梁事業の完成工事高の減少に伴う利益の減少を、鉄構事業の完成工事高の増加による利益で補いきれず、販売費及び一般管理費は1,261,553千円(前期比0.6%減)と前事業年度実績を下回りましたが、営業利益は763,620千円(前期比11.1%減)となりました。そのため、売上高営業利益率は4.9%となり前事業年度実績5.6%には届きませんでした。

 

(当期純利益)

 営業外収益につきましては、受取配当金の増加と有価証券売却益の発生により前事業年度より61,260千円増加し199,371千円となりました。営業外費用につきましては、支払利息と投資有価証券売却損の減少から前事業年度より15,381千円減少し25,160千円となりました。これらの結果、経常利益は937,831千円(前期比2.0%減)となり、経常利益率は6.0%と前事業年度実績6.3%をわずかに下回りました。

 特別損益につきましては、黒字回復が実現せず、受注高も伸びなかった鉄構事業について2年連続で特別損失(固定資産の減損損失)を計上いたしましたが、金額的には、前事業年度から大きく減少したことで、税引前当期純利益は前事業年度を上回る803,183千円(前期比24.5%増)となりました。

 法人税等合計(法人税等調整額を含む)が前事業年度より少ない55,455千円の計上となったことで、当期純利益は、前事業年度より257,979千円増加し747,728千円(前期比52.7%増)となりました。この結果当期純利益率は前事業年度から1.6%改善した4.8%となりました。

 

ハ.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末より39,180千円減少し、3,667,653千円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(資金需要)

 当社の主な運転資金需要は、製品製造のための原材料仕入や協力会社への外注費用、人件費等の販売費及び一般管理費が主なものであります。また、設備資金需要は生産効率の向上や品質確保のための設備投資が主なものであります。

(財務政策)

 当社は内部留保金を有効に活用することで、事業活動に必要な流動性の確保に努めております。また、品質確保のための設備投資や資本参加も見据えた事業展開に活用することで、経営基盤の強化を目指しております。運転資金は自己資金を基本としつつ、金融機関からの借入を有効活用することで円滑に業務を推進しております。

 当事業年度末における短期借入金の残高は2,000,000千円であり、当事業年度末における現金預金の残高は3,667,653千円であります。

 

 経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成にあたっては、当事業年度における経営成績等に影響を与えるような見積りを必要としております。当社は過去の実績や現在の状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき継続的に見積りを行っておりますが、見積りには不確実性を伴うことから、実際の結果とは異なる場合があります。

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 特に記載すべき事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社では、急変する事業環境に対応していくため、橋梁事業につきましては技術研究所の開発スタッフ及び設計部の担当者を中心として研究開発に取り組んでおります。鉄構事業につきましては鉄構本部の担当者を中心に実工事に対応しながら研究開発に取り組んでおります。

当事業年度における各セグメント別の主たる研究の目的、主要課題及び研究成果は以下のとおりであり、研究開発費の総額は29,917千円であります。

 

(1)橋梁事業

① BIM/CIMの研究

近年脚光を浴びておりますICT、AIなどデジタル技術を活用した生産性・品質の向上と労働環境改善を目指して、BIM/CIMの最新技術動向を調査・検討しております。

また、MRデバイスを用いた複合現実による鋼橋の架設計画の高度化研究に取り組んでおります。

 

② FRP製ハンドホールの開発

当社では、橋梁用壁高欄コンクリート充填性を改善し防護柵機能を向上させるとともに、管路の点検や補修がしやすい通信・電気設備配管用FRP製ハンドホールを中日本高速道路株式会社と共同で研究・開発いたしました。現在のところ、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、東日本高速道路株式会社の工事でも導入されており、今後も適用拡大の検討を行ってまいります。

 

③ 耐震に関する技術開発

2016年の熊本地震以降、耐震補強のニーズは従来にも増して高まっており、当社では自社開発の耐震関連デバイス装置の研究に取り組んでおります。

 

④ 維持管理に関する技術開発

跨線橋、跨道橋などの上下線間から、積雪やゴミ等の落下物による第三者被害を防止するための技術が必要とされており、当社では従来の落下防止網による落下防止対策に代えて、アルミ製の落下防止板を開発いたしました。現在のところ高速道路会社で3橋採用されました。今後は、より使用性の良い構造の検討など継続的改善を進めてまいります。

 

⑤ 鋼橋製作の技術開発及び検討

イ.効率的かつ一定の品質水準を保持した鋼橋製作を目指して、有効な技術資料を作成し、社内での共有化を推進しております。また従来、経験データで対処していた溶接変形等について、実構造物における出来形精度向上を目的に、大学機関と共同で先進的な数値解析を行っています。今後は、溶接変形に影響を与えるパラメータの解明を目的に、実験と解析の両面からアプローチし、更なる鋼橋の品質確保・向上に繋げてまいります。

ロ.効率的かつ高い溶接品質の確保を目指して、保有溶接技術の更新及び最新溶接技術の動向を調査・検討し、実施工への適用に向け各種試験を進めてまいります。また、作業人員の限られる現場溶接において、技量及び溶接機器の汎用を考慮した鋼床版デッキ溶接方法を開発し、実工事に適用しております。

ハ.鋼橋の耐久性向上を目指して、各種高性能鋼材の基礎的検討及び溶接施工試験等を実施しており、基礎データの蓄積と適用実績の拡大に努めてまいります。

ニ.技術研究所内の載荷実験装置として、業界でも有数であるサーボ制御方式1000kNアクチュエータを保有しており、前述の耐震関連デバイスの性能評価実験時にも、本アクチュエータによる有効なデータを取得しております。今後も各種載荷実験に適用し、迅速にデータが得られる優位性を活かして独自の開発を進めてまいります。

 

(2)鉄構事業

高品質・高性能化鋼材を用いた建築鉄骨の製作技術の推進

現在の大型都市再開発プロジェクトにおける超高層建築鉄骨は、耐震を目指した単なる高強度化だけではなく、制震・免震といった言葉に代表される、高品質化・高性能化へと進化を遂げております。また、鉄骨用鋼材においてもJIS規格品並びに既存の大臣認定品に加えて、各高炉メーカーによる独自の新規格鋼材の開発も継続しており、それに追随する形で溶接材料メーカーによる新溶接材料の開発も進んでおります。このような新規格鋼材の開発が旺盛である近年、特に超高層ビル用柱材としてコラム材(BCP、BCR)の需要量が拡大しており、当社ではコラム柱製作の効率化を図るためのコラム柱大組立ロボットの追加導入及び簡易型溶接ロボットの導入を行いました。今後も、これらの溶接設備と新溶接材料を活用し、新規格鋼材を用いた鉄骨製作技術の研究・開発を推進してまいります。