当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は創業以来、橋梁、鉄骨など鋼構造物の設計、製作、架設を専門に行う企業として全国に事業を展開してまいりました。そしてこの間一貫して社会に貢献することを目標とし、高度な技術力で安全を重視した施工を行い良質な社会資本を提供することで、顧客の皆様の信頼を得ることを経営の基本としております。
2024年5月10日に開示した「中期経営計画2024」において、当社が目指す姿として、ビジョンを「世代を超えて、感動と笑顔あふれる豊かな世界を創造する」、ミッションを「人とまちをつなぎ、空間に価値を創り出す」といたしました。
持続的な豊かな社会創造と成長を続ける企業を目指し、橋梁・鉄構事業で培ってきた「設計・施工技術」を基に、新たな素材の活用、技術の開発に取り組むとともに、市場要請に応える新たな事業の創造に挑戦してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2024年5月10日に開示した「中期経営計画2024」においては、数値目標は期間平均の売上高205億円、営業利益10億円とし、2032年の会社設立100周年に向けて本中期経営計画で『持続的な企業成長』を実現するために「基幹事業の集中と選択」及び「事業変革への挑戦」の3ヶ年と位置づけておりました。「中期経営計画2024」の初年度の結果は売上高184.5億円、営業利益2.3億円となり、売上高は計画を下回るものの、次年度以降での挽回が可能な水準を確保できました。一方、営業利益は計画を大きく下回り、非常に厳しい結果となりました。
また、株主還元方針として配当性向50%以上、下限配当50円を設定しておりましたが、厳しい事業環境下で橋梁事業の採算悪化から期末配当は下限配当での対応となりました。
保全事業及び競争優位性のある生研トラス事業に経営資源を集中し、「中期経営計画2024」の実現に向けて努力してまいります。
(3)経営環境
新設鋼橋の発注環境は想定以上に厳しい状況にあることから、2026年3月期は和歌山工場の生産体制の最適化と人財の再配分を最優先の課題とし、成長分野である保全事業及び生研トラスの受注拡大による売上高の補完と採算性の向上に努める方針です。
なお、保全事業は工場製作物が限定的であり、生研トラスは協力会社での製作が中心であるため、投下資本に対する収益性の改善が見込まれることから、ROE並びに企業価値の向上に努めてまいります。
2026年3月期の重点施策
①工場生産体制の見直し
②成長分野への積極的な投資
③全社でのDX及び自動化の推進
④人的資本の強化
⑤組織体系及び意思決定体系の最適化
(4)経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
「中期経営計画2024」の進捗
<総括>
「中期経営計画2024」の計画初年度にあたる2025年3月期は、体制整備と成長分野への経営資源集中を重点的に取組みました。中期経営計画の全社的な実効性を高めるため、代表取締役社長を委員長とする「経営計画推進委員会」並びに管掌取締役を委員長とする「業務プロセス改善委員会」「サスティナビリティ委員会」を設置いたしました。また、今後の成長が期待される保全事業及び競争優位性のある生研トラス事業に経営資源を集中するため、「保全推進室」並びに「空間創造部」を設置いたしました。なお「保全推進室」につきましては、本格的に当社事業の柱に成長させるため、2025年4月1日付で「保全本部」に再編しております。2025年3月期末の受注残高には、橋梁に保全事業15.5億円、鉄構に生研トラス7.8億円が含まれております。
<キャピタル・アロケーション>
2025年3月期は事業投資・成長投資・人財投資の合計で9.1億円の投資を実施しております。
事業投資については、ヤード整備や基幹システム更新関連等に2.1億円(3ヶ年累計計画15億円)を実施いたしました。
成長投資については、ソーラーカーポート設置他で3.5億円(3ヶ年累計計画15億円)を実施しております。
人財投資は賃上げや人財の確保並びに東京本社移転拡張等で3.5億円(3ヶ年累計計画10億円)となりました。
株主還元については、下限配当を設定していることから年50円配当(配当性向86.4%)を実施し、配当総額は2.9億円(3ヶ年累計計画10億円)となりました。なお、自社株取得3.5億円を実施したことにより、株主還元総額は6.5億円(総還元性向190.0%)となりました。
「中期経営計画2024」の概要は以下のとおりであります。
・計画期間 2024年4月 ~ 2027年3月
・主要戦略
①事業ポートフォリオの高度化戦略
「橋梁事業」「鉄構事業」の新設工事市場を主力としてきた事業ポートフォリオを再編し高度化を図り、事業の持続的な成長・安定化・高収益化を目指す。
②経営基盤戦略
迅速な経営判断を可能とする経営管理基盤の強化及び、生産部門の品質・生産性強化を目指す。
③サスティナビリティ戦略
環境や社会の配慮、企業統治を重視することにより、「持続可能な社会」への貢献と「企業価値の向上」を目指す。
・財務目標及び株主還元策
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財務指標 |
数値目標 |
備考 |
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売上高 |
205億円 |
期間平均 |
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営業利益 |
10億円 |
期間平均 |
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ROE |
5.0%以上 |
最終年度 |
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配当性向 |
50%以上 |
期間中 |
新設鋼橋の発注量が2024年3月期から2025年3月期にかけて2年連続で大きく減少した影響により、2025年3月期末の受注残高は180億円に届かない厳しい数字となっています。そのため、2026年3月期の業績予想は売上高175億円、営業利益2.5億円、当期純利益2.45億円と厳しい数字となっておりますが、「中期経営計画2024」の主要戦略を確実に実行し、最終年度での目標達成に向け、全社一丸となって取り組んでまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社では、橋梁事業と鉄構事業を通じた良質な社会資本の提供により人に優しい未来を支えることで収益を確保し、その収益から更なる投資を行って、事業の継続、企業価値の向上を図っております。当社のサステナビリティは社会のサステナビリティと同期化を図ることが重要と考えており、環境負荷低減と社会貢献及びガバナンス・コンプライアンスの強化を目的として、環境問題担当取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。
(1)ガバナンス及びリスク管理
サステナビリティ関連のリスクと機会については、サステナビリティ委員会において統括管理を行っております。その取組み内容や進捗状況は、環境問題担当取締役が取締役会へ四半期毎に報告を行っております。
気候変動を含む環境関連のリスクと機会については、ISO14001環境マネジメントシステムにおけるISO事務局にて、環境側面の抽出、環境影響評価を行っております。環境影響評価の結果重要と判断したリスクと機会については、環境目標を設定する等、当社のISO14001環境マネジメントシステムにおいて管理しております。当社のISO14001環境マネジメントシステムは、当社内の内部監査、外部審査機関における更新審査又は定期審査を毎年受けており、適切に維持されております。その取組み内容や進捗状況は、環境問題担当取締役が取締役会へ四半期毎に報告を行っております。
人的資本に関連するリスクと機会については、管理部門担当取締役から取締役会へ報告を行っております。
それぞれの取組み内容や進捗状況について、半期毎に、取締役会へ報告を行い、取締役会が当社の総合的リスクとして統合して管理しております。
(2)戦略
当社では、2032年に会社設立100周年を迎えるに際し、「中期経営計画2024」(2024年4月~2027年3月)をその助走期間と位置づけ、主要戦略の1つとして「人財育成戦略」を掲げ、投資家、取引先、従業員、潜在的求職者などのステークホルダーから支持される会社創りに注力した人的資本経営に取り組んでおります。
当社の進める「人財育成戦略」について、「人財育成」と「社内環境整備」の2つの視点から記載すると以下のとおりであります。
① 人財育成方針
当社における人財育成方針は、「専門性の強化」、「多様性ある人財の確保」、「経営人財の育成」の3つを柱としております。
「専門性の強化」については、社会資本を提供する当社の事業特性上、品質と安全の維持向上が最重要課題であると認識しており、そのために必要な公的資格の取得を奨励しております。「多様性ある人財の確保」については、最近の人手不足への対応と新しい価値提供に不可欠な生産性向上や新技術開発を促進するため、多様な価値観を受け入れ、融合を図ることを重視しております。「経営人財の育成」については、高い専門性を有する人財や多様性ある人財を束ねるマネジメント人財を確保・育成していくことが重要と考えております。
② 社内環境整備方針
社内環境整備方針としては、従業員のパフォーマンス向上と人財定着を促進するため、「ワークライフバランス」に重点を置いております。
(3)指標及び目標
「人財育成」と「社内環境整備」についての指標及び目標は以下のとおりであります。
① 人財育成についての指標及び目標
イ.専門性の強化
当社の事業を推進するうえで必要となる知識やスキルはOJTによる指導のほか、自己啓発を目的とした公的資格の取得奨励制度を設け、報奨金や受験料・受講料の支給も行っております。
また、工場では毎年「安全衛生管理計画」を策定し実行することで安全意識の徹底を図っております。工事本部では、役員による現場パトロールを安全週間と衛生週間に毎年実施し、安全意識の向上に努めております。
主な取得奨励資格の新規合格者率
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2024年3月期 |
2025年3月期 |
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(実績) |
(実績) |
(目標) |
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0% |
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0% |
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30% |
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20% |
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(注)新規合格率=新規資格取得者数/資格取得奨励者数
安全に関する指標
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2024年3月期 |
2025年3月期 |
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(実績) |
(実績) |
(目標) |
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94% |
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3件 |
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(注)休業災害件数は、工場と施工現場を含む
ロ.多様性ある人財の確保
生産性の向上や新しい価値の創出を実現するには新しい知識やスキル、広い視野が不可欠であるため、新卒採用のみならずキャリア人財や障碍者雇用を進めております。
新卒採用については、学校種類や募集学部を限定せずに門戸を広げた募集活動を実施し、応募者の意向を踏まえた配属を行うことで、入社当初から主体的なキャリア形成を促進しております。また、女性の管理職比率を向上させるため、まずは女性社員の比率向上に取り組んでおります。その一環としてウエブサイトを通じて女性社員の活躍を紹介しており、一方では女性社員の比率向上に向けて社内制度の見直しを進めております。
キャリア採用の一環としては、当社のことをよく知る元社員の採用も実施しております。
採用者に占める割合
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2024年3月期 |
2025年3月期 |
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(実績) |
(実績) |
(目標) |
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41% |
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5% |
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18% |
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(注)各年度の当該採用者数/各年度の全採用者数
定着率
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2024年3月期 |
2025年3月期 |
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(実績) |
(実績) |
(目標) |
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99% |
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100% |
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98% |
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(注)定着率=100%―(期中の当該離職者数/[{期初の当該従業員数+(期初の当該従業員数+期中の当該採用者数―期中の当該離職者数)}/2])
ハ.経営人財の育成
経営人財の確保・育成に向け、今後、指名報酬委員会での審議を通じて経営人財の育成を含む後継者計画を策定し、計画を適正に運用することで、経営人財の確保・育成を進めてまいります。
②社内環境整備についての指標及び目標
イ.健康経営
社員が健康かつ安心して業務遂行できるよう、生活習慣病の防止や在宅勤務下での不安の払拭を目指して、社内コミュニケーションの活発化等に取り組んでおります。2025年3月には前年に引き続き健康経営優良法人2025に認定されました。
ロ.時差出勤制度
コロナ禍で導入した時差出勤制度については、理由を問わず適用できるよう制度化いたしました。
時差出勤制度利用率
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2024年3月期 |
2025年3月期 |
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(実績) |
(実績) |
(目標) |
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18% |
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)公共事業への依存について
当社は、鋼構造物の設計から製作、現場施工を主事業としており、2025年3月期末の受注残高においては鋼橋が7割以上を占め、その大部分は公共工事であります。国及び地方公共団体の厳しい財政状態を反映し、公共事業は発注量の減少が続き、今後の市場動向は不透明であります。そのため、実際の発注量と金額が想定を大きく下回る場合、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、橋梁事業の中でも今後の成長が期待される保全事業及び民需関連事業である鉄構事業において競争優位性のある生研トラス事業に優先的に経営資源を投下し拡大を図っております。
(2)法的規制について
事業を営むにあたり建設業法等の法的規制を受けております。法令遵守の意識は社内で徹底しておりますが、万一法令違反があった場合には行政処分等により、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、社内通報制度の導入により、社内での業務運営上の問題点の吸い上げ等を通じて、リスクマネジメントに努めております。また、コンプライアンス室からコンプライアンスに係る情報を定期的に全社に発信し、社員の法令遵守の意識を高めております。
(3)自然災害・事故等による影響について
当社は、生産設備を和歌山工場に集中し、業務の効率化を図っております。そのため自然災害等で和歌山工場の機能がストップした場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の製品は非常に大きく重いことから、工場製作・輸送・現場施工の各工程に危険な作業を含んでおり、万一事故を起こした場合は、事故による損害だけでなく、顧客からの信頼も失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、現在拠点ごとの対応となっている緊急時対策や備蓄品確保を、従業員等の安全確保を最優先として全社レベルでの「災害対策BCPマニュアル」へ統合すべく作業を進めております。また、現在各本部にある安全管理をつかさどる部署を全社統括する組織へと再編し、全社レベルでの安全管理体制の構築に向けて準備を進めております。
(4)品質管理について
当社にて製作・施工される製品について、万一重大な瑕疵担保責任が発生した場合には、補修費用の発生だけでなく顧客からの信頼も失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、ISO9001に基づく品質マネジメントシステムを運用することで、全社レベルでの品質向上に取り組んでおります。
(5)主要原材料の価格変動等について
当社の主力事業である鋼構造物事業は、鋼材が主要原材料であります。鋼材価格はここ数年値動きが大きく、今後鋼材価格が上昇を続け、上昇分が受注価格に転嫁されない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、鋼材の需給関係が逼迫し、数量の確保が困難になる可能性は否定できず、鋼材の納入が遅延した場合や、必要数量を確保できない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、株式の政策保有を含め製鉄会社等との取引の維持強化に努めております。
(6)金利変動による影響について
当社の借入金残高は2025年3月期末において64億円でありますが、資金繰りに合わせ毎月短期借入金残高で調整を行っております。国内金利上昇や主要原材料の値上げ等の急激なインフレが当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
2025年3月期は固定長期資金を30億円調達し、今後の金利上昇に備えるとともに資金繰りの安定化を図っております。
(7)固定資産の減損に関わるリスク
当社は、橋梁事業及び鉄構事業に係る固定資産を主に和歌山工場において保有しております。受注状況により今後も各事業における経営環境の著しい悪化等により減損損失を計上する場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対応すべく、中長期的な市場動向を見越した生産体制を再構築し、「中期経営計画2024」の着実な実施による事業の持続的な成長・安定化・高収益化を目指してまいります。
(8)時価変動による影響について
当社が保有する資産の時価の変動によっては、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、保有する資産の時価を管理部門が定期的に確認し、必要に応じて売却等の処理を行っております。特に政策保有株式については、その保有の適否を管理部門が精査し、取締役会にて報告し見直しを行っております。見直しの結果、保有意義の薄れた銘柄につきましては、順次売却を進めることとし、保有額を縮減することでリスク低減に努めております。
(9)繰延税金資産の回収可能性の評価について
当社は、将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率の変更等を含む税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり基準とした利益計画の実現可能性について慎重に検討を行い、合理的かつ保守的に見積った課税所得についてのみ繰延税金資産を計上することとしております。
(10)人財確保について
当社の事業継続には専門性を有する技術者・技能者の確保が不可欠ですが、少子高齢化が進むなかで必要な人財の確保が出来なかった場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、新卒者・中途採用者を問わず採用活動を強化するとともに、重要拠点である東京本社の規模拡大と機能向上を図り関東圏での採用活動の強化に努めております。さらに、元社員の採用や定年を迎えた社員の継続雇用を図ることで多様な人財確保に努めております。
また、採用活動の強化と並行して、人的資本の強化を目的とした人事体系・人財育成体系の見直しを進め、多様な働き方・働きやすい職場環境の提供に努めております。
(11)情報システムに関するリスクについて
当社は、業務の効率化や情報共有の手段として全社的な情報システムを構築し運営しております。情報システムの安全性確保には細心の注意を払っておりますが、外部からの不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等による機密情報・個人情報の漏洩や、事故等による情報システムの不稼働は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、情報システム担当部門の人財強化を図り、常に最新のセキュリティ対策を整備するだけでなく、定期的に担当部署から全社員に対して情報セキュリティ教育を実施し、社員の情報セキュリティに対する意識を高めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、物価高・コスト高・人手不足という悪材料はあったものの、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加等により、緩やかな回復傾向をたどりました。一方では、海外景気の下振れや、金融資本市場の動き、米国の今後の政策動向などは引き続き注意が必要な状況が続いております。
この間、公共投資は底堅く推移し、民間設備投資も持ち直し傾向が見られましたが、当業界におきましては、橋梁事業、鉄構事業ともに、前事業年度から続く低調な需要に回復は見られず、厳しい経営環境が継続しております。特に新設鋼橋の発注量は、大きく減少した前事業年度から更に減少し、受注競争は一層熾烈なものとなりました。鉄構事業では首都圏での大型再開発案件、関西地区のIR関連事業等の潜在需要があるものの、鋼材・労務費等、建設コストの高騰により、ゼネコンの選別受注姿勢が恒常化したことで、計画工事と実施工事のギャップが拡大し、鉄骨需要は底這いの状態が続きました。
このような厳しい環境下ではありましたが、橋梁事業・鉄構事業ともに前事業年度を上回る受注高確保を目標に、限られた経営資源を最大限に活用して営業活動を展開いたしました。橋梁事業では、採算面で厳しい案件も受注することで前事業年度を上回りましたが、鉄構事業では、目標案件の契約が次年度にずれ込んだことで前事業年度を下回り、当事業年度の受注高合計は前事業年度に届かない結果となりました。
これらの結果、当事業年度の受注高は橋梁事業11,021,544千円、鉄構事業3,124,699千円、総額14,146,243千円となり前事業年度比3.3%の減少となりました。
また、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ.財政状態
(資産の部)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ1,129,168千円増加し、31,129,293千円となりました。
流動資産は17,467,664千円(前事業年度末比935,830千円増加)となりました。これは主に完成工事高の計上に伴い受取手形が470,941千円、完成工事未収入金が120,979千円増加したことによるものです。
固定資産は13,661,629千円(前事業年度末比193,338千円増加)となりました。これは主に設備投資実施による増加536,414千円とソフトウェア仮勘定の増加93,316千円、減価償却費の計上315,195千円によるものです。
(負債の部)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ1,555,559千円増加し、10,647,463千円となりました。
流動負債は7,067,646千円(前事業年度末比1,520,211千円減少)となりました。これは主に短期借入金の減少1,200,000千円と未払法人税等の減少372,258千円によるものです。
固定負債は3,579,817千円(前事業年度末比3,075,770千円増加)となりました。これは主に長期借入金の新規設定によるものです。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ426,390千円減少し、20,481,829千円となりました。これは主に自己株式の取得356,562千円と、剰余金の配当による減少355,634千円及びその他有価証券評価差額金の減少82,158千円によるものです。この結果、自己資本比率は65.8%(前事業年度は69.7%)となりました。
ロ.経営成績
損益面につきましては、橋梁事業での設計変更による契約金額の増額確保や、鉄構事業での生産体制の見直しによる採算の改善はありましたが、影響は限定的でありました。一方で、前事業年度から続く橋梁事業の受注低迷による工場の稼働率低下や原価高騰の影響は大きく、橋梁事業の採算悪化から当期の業績は前年同期を大きく下回る結果となりました。
当事業年度の業績は、完成工事高18,455,160千円(前期比6.3%減)、営業利益235,330千円(前期比82.5%減)、経常利益360,342千円(前期比74.9%減)、当期純利益343,687千円(前期比61.7%減)であります。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
橋梁事業
橋梁事業におきましては、設計変更による契約金額の増額を確保できましたが、前事業年度から続く受注低迷による工場の稼働率低下や原価高騰の影響は大きく、完成工事高は13,025,931千円(前期比16.6%減)と減少し、セグメント利益は118,779千円(前期比92.5%減)と前事業年度を大きく下回る結果となりました。受注面では、限られた経営資源を効率的に活用して営業活動を展開し、採算面で厳しい案件も受注したことで、前事業年度実績を上回る結果となりました。当事業年度の受注高は11,021,544千円(前期比3.8%増)、当事業年度末の受注残高は13,785,544千円(前期比12.7%減)であります。
鉄構事業
鉄構事業におきましては、前事業年度の着実な受注により、当事業年度の完成工事高は5,429,228千円(前期比33.2%増)と増加し、生産体制の見直しによる採算の改善もあり、セグメント利益は116,550千円(前期はセグメント利益△229,921千円)と5期連続のセグメント損失を回避することができました。受注面では、目標案件を確実に受注につなげましたが、一部案件が次年度にずれ込み前事業年度を下回る結果となりました。当事業年度の受注高は3,124,699千円(前期比22.0%減)、受注残高は4,171,553千円(前期比35.6%減)であります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より147,014千円増加し、2,288,699千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は547,359千円(前期比726.4%増)となりました。これは主に売上債権の増加及び法人税等の支払いによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は393,734千円(前期比125.7%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は1,088,108千円(前期は503,669千円の使用)となりました。これは長期借入金の新規設定による増加と短期借入金の返済、配当金の支払い及び自己株式の取得によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
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橋梁事業(千円) |
12,769,425 |
△17.2 |
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鉄構事業(千円) |
5,423,175 |
+32.1 |
|
合計(千円) |
18,192,600 |
△6.9 |
ロ.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高 |
前期比(%) |
受注残高 |
前期比(%) |
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橋梁事業(千円) |
11,021,544 |
+3.8 |
13,785,544 |
△12.7 |
|
鉄構事業(千円) |
3,124,699 |
△22.0 |
4,171,553 |
△35.6 |
|
合計(千円) |
14,146,243 |
△3.3 |
17,957,097 |
△19.4 |
ハ.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
|
橋梁事業(千円) |
13,025,931 |
△16.6 |
|
鉄構事業(千円) |
5,429,228 |
+33.2 |
|
合計(千円) |
18,455,160 |
△6.3 |
(注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
国土交通省 |
10,750,050 |
54.6 |
7,702,158 |
41.7 |
|
大成建設㈱ |
2,207,004 |
11.2 |
3,993,595 |
21.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度は18,455,160千円(前期比6.3%減)の完成工事高を計上したものの、完成工事総利益は1,926,523千円(前期比33.4%減)にとどまったことで、営業利益は235,330千円(前期比82.5%減)、経常利益は360,342千円(前期比74.9%減)と利益面では前期比で大きく減少する結果となりました。特別利益(投資有価証券売却益)の計上はありましたが、当期純利益は前事業年度を大きく下回る343,687千円(前期比61.7%減)となりました。
イ.財政状態の分析
財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
ロ.経営成績の分析
(完成工事高)
新設鋼橋の発注量減少が前事業年度から続く受注低迷となり、工場稼働率が低下した影響により、完成工事高は減少し18,455,160千円(前期比6.3%減)となりました。その内訳は、橋梁事業13,025,931千円(前期比16.6%減)、鉄構事業5,429,228千円(前期比33.2%増)であります。
(営業利益)
完成工事高が減少する一方で、人手不足・コスト高等に起因する原価高騰と、工場の仕事量確保のために採算面で厳しい案件を受注した影響により完成工事総利益が1,926,523千円(前期比33.4%減)と悪化し、更には販売費及び一般管理費が1,691,193千円(前期比9.5%増)と前事業年度実績を上回ったこともあり、営業利益は235,330千円(前期比82.5%減)、売上高営業利益率1.3%(前事業年度実績6.8%)と大きく悪化いたしました。
(当期純利益)
営業外収益につきましては、受取配当金の増加はありましたが、投資有価証券売却益の減少により前事業年度より15,176千円減少し、186,177千円となりました。営業外費用につきましては、支払利息の増加はありましたが、投資有価証券売却損の減少により前事業年度より50,410千円減少し、61,165千円となりました。営業外収支は改善いたしましたが、大きく悪化した営業利益を補うには至らず、経常利益は360,342千円(前期比74.9%減)、経常利益率2.0%(前事業年度実績7.3%)となりました。
特別利益は、政策保有株式の売却による投資有価証券売却益121,978千円と補助金収入31,815千円を計上し、特別損失は補助金収入により取得した固定資産の圧縮損31,815千円を計上しております。その結果、税引前当期純利益は482,321千円(前期比62.8%減)となりました。
法人税等合計(法人税等調整額を含む)は前事業年度より減少し138,633千円の計上となりましたが、当期純利益は343,687千円(前期比61.7%減)となり、前事業年度より554,427千円減少いたしました。この結果当期純利益率は1.9%となり、前事業年度の4.6%から2.7%悪化いたしました。
ハ.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末より147,014千円増加し、2,288,699千円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社の主な運転資金需要は、製品製造のための原材料仕入や協力会社への外注費用、人件費等の販売費及び一般管理費が主なものであります。また、設備資金需要は生産効率の向上や品質確保のための設備投資が主なものであります。
(財務政策)
当社は内部留保金を有効に活用することで、事業活動に必要な流動性の確保に努めております。また、品質確保のための設備投資や資本参加も見据えた事業展開に活用することで、経営基盤の強化を目指しております。運転資金は自己資金を基本としつつ、金融機関からの借入を有効活用することで円滑に業務を推進しております。
当事業年度末における短期借入金の残高は3,400,000千円、長期借入金の残高は3,000,000千円であり、当事業年度末における現金預金の残高は2,288,699千円であります。
経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成にあたっては、当事業年度における経営成績等に影響を与えるような見積りを必要としております。当社は過去の実績や現在の状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき継続的に見積りを行っておりますが、見積りには不確実性を伴うことから、実際の結果とは異なる場合があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
特に記載すべき事項はありません。
当社では、急変する事業環境に対応していくため、橋梁事業につきましては技術開発部及び設計部のスタッフを中心として研究開発に取り組んでおります。鉄構事業につきましては鉄構本部の担当者を中心に実工事に対応しながら研究開発に取り組んでおります。
当事業年度における各セグメント別の主たる研究の目的、主要課題及び研究成果は以下のとおりであり、研究開発費の総額は
(1)橋梁事業
① DXの推進
近年脚光を浴びておりますICT、AIなどデジタル技術を活用した生産性・品質の向上と労働環境改善を目指して、DXの最新技術動向を調査・検討及び開発に取り組んでおります。
② デジタルツイン施工管理システムの開発
当社では、ICT技術により収集した多様なデータを基にしたデジタルツインによる施工管理システム「DX ツインビュー」を千代田測器株式会社と共同で研究・開発いたしました。
施工状況をリアルタイムでクラウド上のデジタルツインモデルに再現し、管理値をウィジェット表示で可視化します。本システムは、送出し工法やトラッククレーン工法に加え、多軸台車や台船を用いた大ブロック架設にも適用可能で、特に時間制約のある架設工事で高い効果を発揮します。
当社では自社工事での活用を図り、DXによる品質向上に取り組んでまいります。
③ 塗膜厚自動帳票システムの開発
当社では、DX技術を用いた塗膜厚自動帳票システムを株式会社レックスと共同で研究・開発いたしました。
本システムは従来、アナログ膜厚計を使用して2人1組の作業を、デジタル膜厚計と携帯端末を連携させることで、計測結果を自動記録し、1人での作業を可能にしました。
当社では自社の工場製作や自社工事での活用を図り、DXによる生産性の効率化を目指すとともに、外部にも販売することでDXを活用した良質な社会資本の貢献にも努めてまいります。
④ 耐震に関する技術開発
2024年1月には能登半島地震が発生しており大きな被害が発生しました。当社では引き続き地震による被害を最小限に抑えることのできる耐震関連デバイス装置の研究に取り組んでおります。
⑤ 維持管理に関する技術開発
鋼橋の連結部に使用する高力ボルトは、一般的に塗装による防錆を施しますが、高力ボルトは形状が複雑で、他に比べて腐食しやすい部位となっており、腐食対策が求められています。当社では高力ボルトに被せる、維持管理に配慮した透明タイプの防錆キャップ「透明ボルトキャップ(シェルポンズ高力ボルト用)」を開発しました。また、道路照明や標識、トンネルなどのボルトの落下対策と腐食対策に寄与する「透明ボルトキャップ(シェルポンズ標識用)」を開発しました。
現在のところ、国土交通省、沖縄総合事務局、西日本高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社、秋田県、群馬県、静岡県、滋賀県、和歌山県の実工事や試験施工で採用されており、今後、適用拡大の検討を進めてまいります。
⑥ 鋼橋製作の技術開発及び検討
イ.効率的かつ一定の品質水準を保持した鋼橋製作を目指して、有効な技術資料を作成し、社内での共有化を推進しております。また従来、経験データで対処していた溶接変形や溶接割れ等について、実構造物における出来形精度向上を目的に、大学機関と共同で先進的な数値解析を行っています。今後は、溶接変形や溶接割れに影響を与えるパラメータの解明を目的に、実験と解析の両面からアプローチし、更なる鋼橋の品質確保・向上に繋げてまいります。
ロ.効率的かつ高い溶接品質の確保を目指して、保有溶接技術の更新及び最新溶接技術の動向を調査・検討し、実施工への適用に向け各種試験を進めてまいります。また、作業人員の限られる現場溶接において、技量及び溶接機器の汎用を考慮した鋼床版デッキ溶接方法を開発し、実工事に適用しております。
ハ.鋼橋の耐久性並びに維持管理の向上を目指して、各種高性能鋼材の基礎的検討及び溶接施工試験等を実施しており、基礎データの蓄積と適用実績の拡大に努めてまいります。
ニ.技術研究棟内の載荷実験装置として、業界でも有数であるサーボ制御方式1000kNアクチュエータを保有しており、前述の耐震関連デバイスの性能評価実験時にも、本アクチュエータによる有効なデータを取得しております。今後も各種載荷実験に適用し、迅速にデータが得られる優位性を活かして独自の開発を進めてまいります。
(2)鉄構事業
① 高規格鋼材を用いた建築鉄骨の製作技術の確立
近年の超高層建築鉄骨用の鋼材は、耐震設計に対応した高規格化が進み、鉄骨部材に使用される厚板も板厚が厚い鋼材の使用が増加する傾向にあります。それに伴い鋼材を接合する上で必要な溶接材料も鋼材の高規格化に合わせ開発されております。
鋼材の高規格化に対応するため和歌山工場に設置のサブマージアーク溶接機、エレクトロスラグ溶接機、柱大組立ロボット等の溶接設備を活用し、高規格鋼材と溶接材料の組み合わせの選定及び溶接品質を確保する溶接施工試験を行い、顧客が要求する継手性能を満足する鉄骨製造技術の研究・開発を推進してまいります。
② 摩擦制振ダンパー事業の受注体制の確立
2022年より大成建設株式会社との共同開発により、地震による揺れを低減させる摩擦制振ダンパーの製品化に取り組んでおります。これまでに試験体の製作を行い、実工事で2件を納入しております。
当事業は、建物本体の躯体がS造のみならずSRC造、RC造にも対応できるため、今後需要の機会が増えるものと考えております。
更に和歌山工場の実験棟設備(アクチュエータ)を用いて動的載荷試験を行い、試験結果をもとに実工事における高力ボルトM27の導入軸力を決定する試験を計画しております。
今後の摩擦制震ダンパーの採用と継続的な受注確保に向けて積極的に取り組んでまいります。
③ デジタル技術を活用した生産性・品質の向上
生研トラス事業では、汎用3D構造解析ソフト(MIDAS igen)を用いて設計を行っています。設計から製作に至る生産性・品質の向上を目指して、設計汎用3D構造解析ソフト(MIDAS igen)のデータを3D現寸CADソフト(Tekla)に変換・連動させる技術の調査・試行を生産部門と協力して行い、業務の効率化を図ってまいります。