当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は創業以来、橋梁、鉄骨など鋼構造物の設計、製作、架設を専門に行う企業として全国に事業を展開してまいりました。そしてこの間一貫して社会に貢献することを目標とし、高度な技術力で安全を重視した施工を行い良質な社会資本を提供することで、顧客の皆様の信頼を得ることを経営の基本としております。
2024年5月10日に開示した「中期経営計画2024」において、当社が目指す姿として、ビジョンを「世代を超えて、感動と笑顔あふれる豊かな世界を創造する」、ミッションを「人とまちをつなぎ、空間に価値を創り出す」といたしました。
2026年度は「中期経営計画2024」の最終年度であるとともに、これからの成長戦略を描く年でもあり、持続的に成長できる企業へと進化するため、次の10年に向けて当社のありたい姿を示す長期ビジョン「VISION2035」を策定し2026年5月15日に開示しております。その中で、当社の社是である「高い技術」「不断の努力」「豊かな未来」を私たちのDNAとし、
パーパス-私たちの存在意義を「しなやかな発想と確かな技術で未来へつなげる新たな価値を創造する」
ビジョン2035-私たちの目標を「持続可能な社会を支える都市空間創造企業への進化」
と定めました。
当社は、橋梁・鉄骨の提供を超え、それらを含む都市空間そのものに新たな価値を生み出す「都市空間創造企業」への進化を目指してまいります。そこに込められた心が行き交う空間を創り支えることで、都市と社会の持続的成長に貢献してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2024年5月10日に開示した「中期経営計画2024」においては、数値目標は期間平均の売上高205億円、営業利益10億円とし、2032年の会社設立100周年に向けて本中期経営計画で『持続的な企業成長』を実現するために「基幹事業の集中と選択」及び「事業変革への挑戦」の3ヶ年と位置づけておりました。しかしながら「中期経営計画2024」2年目は売上高143.0億円、営業損失4.4億円と非常に厳しい結果となりました。橋梁事業の数値目標と実績値に大きな乖離が生じたため、2026年5月15日「中期経営計画2024」の数値目標を修正するとともに長期ビジョン「VISION2035」を開示いたしました。
また、株主還元方針として配当性向50%以上、下限配当50円を設定しておりますが、厳しい事業環境下での業績悪化から2年続けて下限配当での対応となりました。
(3)経営環境
橋梁事業における新設鋼橋の事業環境は低迷が続いており、2027年3月期の業績予想は売上高145億円、営業利益2.2億円、当期純利益2.2億円と厳しい数字となっております。このため、2024年5月10日に開示した「中期経営計画2024」につきましては、策定時の想定と大きく乖離したことを踏まえ、数値目標の修正を開示いたしました。数値目標については大幅な下方修正となりましたが、会社が目指す姿に向けての戦略は着実に実施を進めており、いかなる経営環境であろうとも、持続的に成長可能な企業へと進化するために、次の10年に向けて会社のありたい姿を示す長期ビジョン「VISION2035」を策定し開示しております。
(4)経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
「中期経営計画2024」の進捗
<主要戦略>
「中期経営計画2024」の主要戦略につきましては、事業ポートフォリオの強化として設置した「保全本部」及び「空間創造部」に経営資源の投入を進め、体制構築に一定の目途がついた状況です。2026年3月末における受注残高は、保全事業について9.3億円(2025年3月末比△6.2億円)、生研トラス事業について9.4億円(2025年3月末比+1.6億円)となっておりますが、2027年3月末時点において、両事業合計で50億円以上の受注残高確保を目指しております。
経営基盤戦略としての生産部門の競争力強化は、和歌山工場の生産体制見直しと効率化を進め、更なる収益性の改善に取組みました。経営基盤の強化として、人事及び人財育成体系を再構築し、教育環境の充実を図りました。また経営の意思決定スピード向上を目的に、組織体系の見直しも進めております。
サステナビリティ戦略につきましては、カーボンニュートラルの推進は順調であり、全社版BCPの策定も進んでおります。また、人的資本施策として、福利厚生の増進と社員が当社の株主として一層の価値共有を進めることを目的に、社員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度を導入いたしました。さらに、働きやすい職場環境の実現に向けて、社員にエンゲージメントアンケートを実施し、その結果を基に今後の対応を検討中であります。
<キャピタル・アロケーション>
2026年3月期は事業投資・成長投資・人財投資の合計で12.0億円の投資を実施しております。
事業投資は、基幹システム更新プロジェクトを中心に5.2億円であります。
成長投資は、バンドソーマシンやH形鋼ショットブラスト機など生産設備の更新を実施し3.5億円となりました。
人財投資は、賃上げや人事・評価制度の見直し、教育システムの整備等で3.3億円となりました。
株主還元は、下限配当を設定していることから1株につき年50円配当を予定しており、配当金総額は2.9億円となります。
<財務目標及び株主還元策>
|
財務指標 |
数値目標 |
修正前 |
備考 |
|
売上高 |
157億円 |
205億円 |
期間平均 |
|
営業利益 |
0.05億円 |
10億円 |
期間平均 |
|
ROE |
1.0% |
5.0% |
最終年度 |
|
配当性向 |
50%以上 |
50%以上 |
期間中 |
2027年3月期の最重要課題は業績予想の達成でありますが、将来に向けた2027年3月期の重点課題は以下の4項目を掲げています。
①再編による組織の効率化と成長分野の増強
②DX・AI活用による経営の高度化及び業務の効率化
③情報セキュリティを含む安全の徹底
④人的資本経営の高度化
当社を取り巻く事業環境は依然として厳しい状況にありますが、「中期経営計画2024」の主要戦略を着実に遂行し、収益構造の改善を進めることで、早期の黒字化及び持続的な成長と新たな価値を生み出す「都市空間創造企業」への進化に向け、全社一丸となって取り組んでまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社では、橋梁事業と鉄構事業を通じた良質な社会資本の提供により人に優しい未来を支えることで収益を確保し、その収益から更なる投資を行って、事業の継続、企業価値の向上を図っております。当社のサステナビリティは社会のサステナビリティと同期化を図ることが重要と考えており、環境負荷低減と社会貢献及びガバナンス・コンプライアンスの強化を目的として、環境問題担当取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。
(1)環境負荷低減と社会貢献
当社は、製造工程及び施工工程における省エネルギー化、資源の有効活用、廃棄物の削減及び適正処理に取り組むとともに、和歌山工場に太陽光発電を導入、かつ購入電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えることで、温室効果ガス排出量削減に取り組んでおります。また、環境負荷の低減に資する技術・工法の採用及び改善活動を継続しております。
今後もさらなる省エネルギー設備の導入や業務効率化を通じて継続的な排出量削減に努め、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目標に掲げ、次世代へ豊かな地球環境を引き継ぐための挑戦を続けてまいります。
(2)ガバナンス及びリスク管理
当社は、経営の透明性及び健全性の確保を重要課題と認識し、取締役会による監督機能の強化、内部統制の整備、リスク管理体制の充実、コンプライアンス教育の徹底に取り組んでおります。これにより、持続的な成長を支える経営基盤の強化を図っております。
サステナビリティ関連のリスクと機会については、サステナビリティ委員会において統括管理を行っております。その取組内容や進捗状況は、環境問題担当取締役が取締役会へ四半期毎に報告を行っております。
気候変動を含む環境関連のリスクと機会については、ISO14001環境マネジメントシステムにおけるISO事務局にて、環境側面の抽出、環境影響評価を行っております。環境影響評価の結果重要と判断したリスクと機会については、環境目標を設定する等、当社のISO14001環境マネジメントシステムにおいて管理しております。当社のISO14001環境マネジメントシステムは、当社内の内部監査、外部審査機関における更新審査又は定期審査を毎年受けており、適切に維持されております。
(3)戦略
当社では、2032年に会社設立100周年を迎えるに際し、「中期経営計画2024」(2024年4月~2027年3月)をその助走期間と位置づけ、主要戦略の1つとして「人財育成戦略」を掲げ、投資家、取引先、従業員、潜在的求職者などのステークホルダーから支持される会社創りに注力した人的資本経営に取り組んでおります。
当社の進める「人財育成戦略」について、「人財育成」と「社内環境整備」の2つの視点から記載すると以下のとおりであります。
① 人財育成方針
当社における人財育成方針は、「専門性の強化」、「多様性ある人財の確保」、「経営人財の育成」の3つを柱としております。
「専門性の強化」については、社会資本を提供する当社の事業特性上、品質と安全の維持向上が最重要課題であると認識しており、そのために必要な公的資格の取得を奨励しております。「多様性ある人財の確保」については、人手不足への対応と新しい価値提供に不可欠な生産性向上や新技術開発を促進するため、多様な価値観を受け入れ、融合を図ることを重視しております。「経営人財の育成」については、高い専門性を有する人財や多様性ある人財を束ねるマネジメント人財を確保・育成していくことが重要と考えております。
② 社内環境整備方針
社内環境整備方針としては、従業員のパフォーマンス向上と人財定着を促進するため、「ワークライフバランス」に重点を置いております。また、社員のエンゲージメントを定期的に計測し、その向上に努めております。
(4)指標及び目標
「人財育成」と「社内環境整備」についての指標及び目標は以下のとおりであります。
① 人財育成についての指標及び目標
イ.専門性の強化
当社の事業を推進するうえで必要となる知識やスキルはOJTによる指導のほか、自己啓発を目的とした公的資格の取得奨励制度を設け、報奨金や受験料・受講料の支給も行っております。
また、工場では毎年「安全衛生管理計画」を策定し実行することで安全意識の徹底を図っております。工事本部では、役員による現場パトロールを安全週間と衛生週間に毎年実施し、安全意識の向上に努めております。
主な取得奨励資格の新規合格者率
|
|
2025年3月期 |
2026年3月期 |
|
|
|
(実績) |
(実績) |
(目標) |
|
|
0% |
|
|
|
|
0% |
|
|
|
|
54% |
|
|
|
|
33% |
|
|
(注)新規合格率=新規資格取得者数/資格取得奨励者数
安全に関する指標
|
|
2025年3月期 |
2026年3月期 |
|
|
|
(実績) |
(実績) |
(目標) |
|
|
94% |
|
|
|
|
3件 |
|
|
(注)休業災害件数は、工場と施工現場を含む
ロ.多様性ある人財の確保
生産性の向上や新しい価値の創出を実現するには新しい知識やスキル、広い視野が不可欠であるため、新卒採用のみならずキャリア人財や障碍者雇用を進めております。
新卒採用については、学校種類や募集学部を限定せずに門戸を広げた募集活動を実施し、応募者の意向を踏まえた配属を行うことで、入社当初から主体的なキャリア形成を促進しております。また、女性の管理職比率を向上させるため、まずは女性社員の比率向上に取り組んでおります。その一環としてウエブサイトを通じて女性社員の活躍を紹介しており、一方では女性社員の比率向上に向けて社内制度の見直しを進めております。
採用者に占める割合
|
|
2025年3月期 |
2026年3月期 |
|
|
|
(実績) |
(実績) |
(目標) |
|
|
44% |
|
|
|
|
0% |
|
|
|
|
19% |
|
|
(注)各年度の当該採用者数/各年度の全採用者数
定着率
|
|
2025年3月期 |
2026年3月期 |
|
|
|
(実績) |
(実績) |
(目標) |
|
|
99% |
|
|
|
|
91% |
|
|
|
|
98% |
|
|
(注)定着率=100%―(期中の当該離職者数/[{期初の当該従業員数+(期初の当該従業員数+期中の当該採用者数―期中の当該離職者数)}/2])
ハ.経営人財の育成
経営人財の確保・育成に向け、今後、指名報酬委員会での審議を通じて経営人財の育成を含む後継者計画を策定し、計画を適正に運用することで、経営人財の確保・育成を進めてまいります。また、次世代の部長を中心としたチームで次期中期経営計画を作成することで、経営人財の早期育成に取り組んでおります。
② 社内環境整備についての指標及び目標
イ.健康経営
社員が健康かつ安心して業務遂行できるよう、生活習慣病の防止や在宅勤務下での不安の払拭を目指して、社内コミュニケーションの活発化等に取り組んでおります。2026年3月には前年に引き続き健康経営優良法人2026(大規模法人部門)に認定されました。
ロ.時差出勤制度
コロナ禍で導入した時差出勤制度については、理由を問わず適用できるよう制度化しております。
時差出勤制度利用率
|
|
2025年3月期 |
2026年3月期 |
|
|
|
(実績) |
(実績) |
(目標) |
|
|
15% |
|
|
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)公共事業への依存について
当社は、鋼構造物の設計から製作、現場施工を主事業としており、2026年3月期末の受注残高においては鋼橋が7割以上を占め、その大部分は公共工事であります。国及び地方公共団体の厳しい財政状態を反映し、公共事業は発注量の減少が続き、今後の市場動向は不透明であります。そのため、実際の発注量と金額が想定を大きく下回る場合、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、橋梁事業の中でも今後の成長が期待される保全事業と、民需関連事業である鉄構事業において競争優位性のある生研トラス事業に優先的に経営資源を投下し拡大を図っております。
(2)法的規制について
事業を営むにあたり建設業法等の法的規制を受けております。法令遵守の意識は社内で徹底しておりますが、万一法令違反があった場合には行政処分等により、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、社内通報制度の導入により、社内での業務運営上の問題点の吸い上げ等を通じて、リスクマネジメントに努めております。また、コンプライアンス室からコンプライアンスに係る情報を定期的に全社に発信し、社員の法令遵守の意識を高めております。
(3)自然災害・事故等による影響について
当社は、生産設備を和歌山工場に集中し、業務の効率化を図っております。そのため自然災害等で和歌山工場の機能がストップした場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の製品は非常に大きく重いことから、工場製作・輸送・現場施工の各工程に危険な作業を含んでおり、万一事故を起こした場合は、事故による損害だけでなく、顧客からの信頼も失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、現在拠点ごとの対応となっている緊急時対策や備蓄品確保を、従業員等の安全確保を最優先として全社レベルでの「事業継続計画書(BCP)」へ統合いたしました。また、全社レベルでの安全管理体制を構築するため、「安全品質本部」を立ち上げ、各本部にあった安全管理をつかさどる部署を「安全品質本部」へ再編しております。
(4)品質管理について
当社にて製作・施工される製品について、万一重大な瑕疵担保責任が発生した場合には、補修費用の発生だけでなく顧客からの信頼も失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、全社レベルでの品質管理体制を構築するため、「安全品質本部」を立ち上げ、各本部にあった品質管理をつかさどる部署を「安全品質本部」へ再編しております。
(5)主要原材料の価格変動等について
当社の主力事業である鋼構造物事業は、鋼材が主要原材料であります。鋼材価格はここ数年値動きが大きく、今後鋼材価格が上昇を続け、上昇分が受注価格に転嫁されない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、鋼材の需給関係が逼迫し、数量の確保が困難になる可能性は否定できず、鋼材の納入が遅延した場合や、必要数量を確保できない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、株式の政策保有を含め製鉄会社等との取引の維持強化に努めております。
(6)金利変動による影響について
当社の借入金残高は2026年3月期末において39億円でありますが、資金繰りに合わせ毎月短期借入金残高で調整を行っております。国内金利上昇や主要原材料の値上げ等の急激なインフレが当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、2025年3月期に固定長期資金を30億円調達し、今後の金利上昇に備えるとともに資金繰りの安定化を図っております。
(7)固定資産の減損に関わるリスク
当社は、橋梁事業及び鉄構事業に係る固定資産を主に和歌山工場において保有しております。受注状況により今後も各事業における経営環境の著しい悪化等により減損損失を計上する場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対応すべく、中長期的な市場動向を見越した生産体制を再構築し、「VISION2035」に記載した戦略の着実な実施による事業改革を進めてまいります。
(8)時価変動による影響について
当社が保有する資産の時価の変動によっては、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、保有する資産の時価を管理部門が定期的に確認し、必要に応じて売却等の処理を行っております。特に政策保有株式については、その保有の適否を管理部門が精査し、取締役会にて報告し見直しを行っております。見直しの結果、保有意義の薄れた銘柄につきましては、順次売却を進めることとし、保有額を縮減することでリスク低減に努めております。
(9)繰延税金資産の回収可能性の評価について
当社は、将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率の変更等を含む税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり基準とした利益計画の実現可能性について慎重に検討を行い、合理的かつ保守的に見積った課税所得についてのみ繰延税金資産を計上することとしております。
(10)人財確保について
当社の事業継続には専門性を有する技術者・技能者の確保が不可欠ですが、少子高齢化が進むなかで必要な人財の確保が出来なかった場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、新卒者・中途採用者を問わず採用活動を強化するとともに、重要拠点である東京本社の規模拡大と機能向上を図り関東圏での採用活動の強化に努めております。さらに、元社員の採用や定年を迎えた社員の継続雇用を図ることで多様な人財確保に努めております。
また、採用活動の強化と並行して、人的資本の強化を目的とした人事体系・人財育成体系の見直しを進め、多様な働き方・働きやすい職場環境の提供に努めております。
(11)情報システムに関するリスクについて
当社は、業務の効率化や情報共有の手段として全社的な情報システムを構築し運営しております。情報システムの安全性確保には細心の注意を払っておりますが、外部からの不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等による機密情報・個人情報の漏洩や、事故等による情報システムの不稼働は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、情報システム担当部門の人財強化を図り、常に最新のセキュリティ対策を整備するだけでなく、定期的に担当部署から全社員に対して情報セキュリティ教育を実施し、社員の情報セキュリティに対する意識を高めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善、企業業績の堅調な推移等緩やかな回復基調を辿りました。一方で、不安定な国際情勢や、円安による原材料価格・エネルギー価格の上昇など、依然として先行き不安定な状況が続きました。
当業界におきましては、橋梁事業、鉄構事業ともに低調に推移した前々事業年度以降、需要に回復が見られず、当事業年度も厳しい受注環境が継続いたしました。特に新設鋼橋の発注量は前事業年度から更に減少しており、受注競争は一段と厳しいものとなりました。鉄構事業では、首都圏再開発案件や半導体関連の設備投資など大型案件は数多く計画されていますが、建設コストの高止まり状況の影響で中断・延期の動きもあり、先行き不透明感はぬぐえない状況であります。
このような厳しい環境下ではありましたが、橋梁事業・鉄構事業ともに高い受注目標を掲げ、限られた経営資源を最大限に活用して営業活動を展開いたしました。橋梁事業では、複数の大規模工事が受注でき、わずかながらも前事業年度を上回る受注高を確保いたしました。鉄構事業では目標案件の契約が次年度以降にずれ込みながらも、前事業年度実績は上回りました。橋梁事業・鉄構事業ともに、目標未達となりましたが、厳しい環境下でも前事業年度実績を上回る受注高を確保し、次年度以降の業績回復に向けて最低限の結果は残すことができました。
当事業年度の受注高は橋梁事業11,137,679千円、鉄構事業4,179,240千円、総額15,316,919千円となり前事業年度比8.3%の増加となりました。
また、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ.財政状態
(資産の部)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ2,257,631千円減少し、28,871,661千円となりました。
流動資産は13,044,000千円(前事業年度末比4,423,663千円減少)となりました。これは主に工事代金の回収に伴い受取手形が500,093千円、完成工事未収入金が3,980,462千円減少したことによるものです。
固定資産は15,827,661千円(前事業年度末比2,166,031千円増加)となりました。これは主に保有する投資有価証券の時価が上昇し、貸借対照表計上額が1,755,208千円増加したことによるものです。
(負債の部)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ2,707,644千円減少し、7,939,819千円となりました。
流動負債は3,597,668千円(前事業年度末比3,469,977千円減少)となりました。これは主に短期借入金の減少2,500,000千円と工事未払金の減少788,076千円によるものです。
固定負債は4,342,150千円(前事業年度末比762,333千円増加)となりました。これは主に保有する投資有価証券の時価上昇に伴う繰延税金負債の増加753,822千円によるものです。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ450,012千円増加し、20,931,842千円となりました。これは主に利益剰余金の減少824,175千円とその他有価証券評価差額金の増加1,205,425千円によるものです。この結果、自己資本比率は72.5%(前事業年度は65.8%)となりました。
ロ.経営成績
損益面につきましては、前々事業年度以降の発注量減少の影響により、充分な仕事量を確保出来ず、厳しい決算数値となりました。
当事業年度の業績は、完成工事高14,306,842千円(前期比22.5%減)、営業損失440,953千円(前期は営業利益235,330千円)、経常損失301,419千円(前期は経常利益360,342千円)、当期純損失535,286千円(前期は当期純利益343,687千円)であります。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
橋梁事業
橋梁事業におきましては、設計変更による契約金額の増額を確保できましたが、前事業年度から続く受注低迷による工場の稼働率低下や原価高騰の影響は大きく、完成工事高は10,618,883千円(前期比18.5%減)と減少し、セグメント損失は451,146千円(前期はセグメント利益118,779千円)と前事業年度を大きく下回る結果となりました。受注面では、限られた経営資源を最大限に活用して営業活動を展開し、複数の大規模工事が受注でき、わずかながらも前事業年度実績を上回る結果となりました。当事業年度の受注高は11,137,679千円(前期比1.1%増)、当事業年度末の受注残高は14,304,340千円(前期比3.8%増)であります。
鉄構事業
鉄構事業におきましては、前事業年度の受注が低迷したことにより、当事業年度の完成工事高は3,687,958千円(前期比32.1%減)と大きく減少しましたが、追加契約の獲得や生産体制の見直しによる採算の改善があり、セグメント利益10,193千円(前期比91.3%減)を確保することができました。受注面では、一部案件が次年度にずれ込んだものの、目標案件を確実に受注につなげたことで前事業年度を上回る結果となりました。当事業年度の受注高は4,179,240千円(前期比33.7%増)、受注残高は4,662,834千円(前期比11.8%増)であります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より97,221千円増加し、2,385,920千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は3,587,849千円(前期は547,359千円の使用)となりました。これは主に売上債権の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は701,630千円(前期比78.2%増)となりました。これは主に有形固定資産及び無形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2,788,997千円(前期は1,088,108千円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の返済と配当金の支払いによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
前期比(%) |
|
橋梁事業(千円) |
10,555,860 |
△17.3 |
|
鉄構事業(千円) |
3,701,972 |
△31.7 |
|
合計(千円) |
14,257,832 |
△21.6 |
ロ.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 |
前期比(%) |
受注残高 |
前期比(%) |
|
橋梁事業(千円) |
11,137,679 |
+1.1 |
14,304,340 |
+3.8 |
|
鉄構事業(千円) |
4,179,240 |
+33.7 |
4,662,834 |
+11.8 |
|
合計(千円) |
15,316,919 |
+8.3 |
18,967,175 |
+5.6 |
ハ.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
前期比(%) |
|
橋梁事業(千円) |
10,618,883 |
△18.5 |
|
鉄構事業(千円) |
3,687,958 |
△32.1 |
|
合計(千円) |
14,306,842 |
△22.5 |
(注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
国土交通省 |
7,702,158 |
41.7 |
5,472,145 |
38.2 |
|
大成建設㈱ |
3,993,595 |
21.6 |
2,177,532 |
15.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度は14,306,842千円(前期比22.5%減)の完成工事高を計上したものの、完成工事総利益は1,310,250千円(前期比32.0%減)にとどまったことで販売費及び一般管理費を賄うことが出来ず、営業損失440,953千円(前期は営業利益235,330千円)、経常損失301,419千円(前期は経常利益360,342千円)、当期純損失535,286千円(前期は当期純利益343,687千円)と厳しい決算数値となりました。
イ.財政状態の分析
財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
ロ.経営成績の分析
(完成工事高)
前々事業年度以降の受注量の減少により、完成工事高は減少し14,306,842千円(前期比22.5%減)となりました。その内訳は、橋梁事業10,618,883千円(前期比18.5%減)、鉄構事業3,687,958千円(前期比32.1%減)であります。
(営業損益)
完成工事高が減少する一方で、受注量減少に起因する工場稼働率の低下、人手不足・コスト高等に起因する原価高騰等の影響により完成工事総利益が1,310,250千円(前期比32.0%減)と悪化し、更には販売費及び一般管理費が1,751,204千円(前期比3.5%増)と前事業年度実績を上回ったこともあり、営業損失440,953千円(前期は営業利益235,330千円)、売上高営業利益率△3.1%(前事業年度実績1.3%)と大きく悪化いたしました。
(当期純損益)
営業外収益につきましては、受取配当金の増加により前事業年度より7,117千円増加し、193,294千円となりました。営業外費用につきましては、支払利息の増加はありましたが、支払保証料の減少により前事業年度より7,403千円減少し、53,761千円となりました。営業外収支は改善いたしましたが、大きく悪化した営業利益を補うには至らず、経常損失301,419千円(前期は経常利益360,342千円)、経常利益率△2.1%(前事業年度実績2.0%)となり、税引前当期純損失301,419千円(前期は税引前当期純利益482,321千円)となりました。
当社を取り巻く厳しい事業環境に鑑み、繰延税金資産を取り崩したことで、法人税等合計(法人税等調整額を含む)は前事業年度より増加した233,866千円を計上したことにより、当期純損失は535,286千円(前期は当期純利益343,687千円)となりました。この結果当期純利益率は△3.7%となり、前事業年度の1.9%から5.6ポイント悪化いたしました。
ハ.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末より97,221千円増加し、2,385,920千円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社の主な運転資金需要は、製品製造のための原材料仕入や協力会社への外注費用、人件費等の販売費及び一般管理費が主なものであります。また、設備資金需要は生産効率の向上や品質確保のための設備投資が主なものであります。
(財務政策)
当社は内部留保金を有効に活用することで、事業活動に必要な流動性の確保に努めております。また、品質確保のための設備投資や資本参加も見据えた事業展開に活用することで、経営基盤の強化を目指しております。運転資金は自己資金を基本としつつ、金融機関からの借入を有効活用することで円滑に業務を推進しております。
当事業年度末における短期借入金の残高は900,000千円、長期借入金の残高は3,000,000千円であり、当事業年度末における現金預金の残高は2,385,920千円であります。
経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成にあたっては、当事業年度における経営成績等に影響を与えるような見積りを必要としております。当社は過去の実績や現在の状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき継続的に見積りを行っておりますが、見積りには不確実性を伴うことから、実際の結果とは異なる場合があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
特に記載すべき事項はありません。
当社では、急変する事業環境に対応していくため、橋梁事業につきましては橋梁技術部のスタッフを中心として研究開発に取り組んでおります。鉄構事業につきましては鉄構本部の担当者を中心に実工事に対応しながら研究開発に取り組んでおります。
当事業年度における各セグメント別の主たる研究の目的、主要課題及び研究成果は以下のとおりであり、研究開発費の総額は
(1)橋梁事業
① DXの推進
近年脚光を浴びておりますICT、AIなどデジタル技術を活用した生産性・品質の向上と労働環境改善を目指して、DXの最新技術動向を調査・検討及び開発に取り組んでおります。
② デジタルツイン施工管理システムの開発
当社では、ICT技術により収集した多様なデータを基にしたデジタルツインによる施工管理システム「DX ツインビュー」を千代田測器株式会社と共同で研究・開発いたしました。
施工状況をリアルタイムでクラウド上のデジタルツインモデルに再現し、管理値をウィジェット表示で可視化します。本システムは、送出し工法やトラッククレーン工法に加え、多軸台車や台船を用いた大ブロック架設にも適用可能で、特に時間制約のある架設工事で高い効果を発揮します。
当社では自社工事での活用を図り、DXによる生産性の効率化を目指すとともに、外部にも販売することでDXを活用した良質な社会資本の貢献にも努めてまいります。
③ 塗膜厚自動帳票システムの開発
当社では、DX技術を用いた塗膜厚自動帳票システムを株式会社レックスと共同で研究・開発いたしました。
本システムは従来、アナログ膜厚計を使用して2人1組の作業を、デジタル膜厚計と携帯端末を連携させることで、計測結果を自動記録し、1人での作業を可能にしました。
当社では自社の工場製作や自社工事での活用を図り、DXによる生産性の効率化を目指すとともに、外部にも販売することでDXを活用した良質な社会資本の貢献にも努めてまいります。
④ 耐震に関する技術開発
川金コアテック株式会社との共同研究により、橋梁用制震ダンパーとして鋼製ベローズ型ダンパー(SBD)を開発いたしました。従来のダンパーに比べてエネルギー吸収性能が高く、構造が単純なため安価に提供が可能となります。今後の鋼製ベローズ型ダンパー(SBD)の採用と受注確保に向けて積極的に取り組んでまいります。
⑤ 維持管理に関する技術開発
鋼橋の連結部に使用する高力ボルトは、一般的に塗装による防錆を施しますが、高力ボルトは形状が複雑で、他に比べて腐食しやすい部位となっており、腐食対策が求められています。当社では高力ボルトに被せる、維持管理に配慮した透明タイプの防錆キャップ「透明ボルトキャップ(シェルポンズ高力ボルト用)」を開発しました。また、道路照明や標識、トンネルなどのボルトの落下対策と腐食対策に寄与する「透明ボルトキャップ(シェルポンズ標識用)」を開発しました。
現在のところ、国土交通省、沖縄総合事務局、西日本高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社、関西空港、秋田県、群馬県、静岡県、滋賀県、和歌山県の実工事や試験施工で採用されており、今後、適用拡大の検討を進めてまいります。
⑥ 鋼橋製作の技術開発及び検討
イ.効率的かつ一定の品質水準を保持した鋼橋製作を目指して、有効な技術資料を作成し、社内での共有化を推進しております。また従来、経験データで対処していた溶接変形や溶接割れ等について、実構造物における出来形精度向上を目的に、大学機関と共同で先進的な数値解析を行っています。今後は、溶接変形や溶接割れに影響を与えるパラメータの解明を目的に、実験と解析の両面からアプローチし、更なる鋼橋の品質確保・向上に繋げてまいります。
ロ.効率的かつ高い溶接品質の確保を目指して、保有溶接技術の更新及び最新溶接技術の動向を調査・検討し、実施工への適用に向け各種試験を進めてまいります。また、作業人員の限られる現場溶接において、技量及び溶接機器の汎用を考慮した鋼床版デッキ溶接方法を開発し、実工事に適用しております。
ハ.鋼橋の耐久性並びに維持管理の向上を目指して、各種高性能鋼材の基礎的検討及び溶接施工試験等を実施しており、基礎データの蓄積と適用実績の拡大に努めてまいります。
ニ.技術研究棟内の載荷実験装置として、業界でも有数であるサーボ制御方式1000kNアクチュエータを保有しており、前述の耐震関連デバイスの性能評価実験時にも、本アクチュエータによる有効なデータを取得しております。今後も各種載荷実験に適用し、迅速にデータが得られる優位性を活かして独自の開発を進めてまいります。
(2)鉄構事業
① 高規格鋼材・極厚鋼板を用いた建築鉄骨の製作技術の確立
近年の超高層建築鉄骨用の鋼材は、耐震設計に対応した高規格化が進み、鉄骨部材に使用される鋼板も板厚が厚い鋼材の使用が増加する傾向にあります。それに伴い鋼材を接合する上で必要な溶接材料も鋼材の高規格化に合わせ開発されております。
鋼材の高規格化に対応するため和歌山工場に設置のサブマージアーク溶接機、エレクトロスラグ溶接機、柱大組立ロボット等の溶接設備を活用し、高規格鋼材と溶接材料の組み合わせの選定及び溶接品質を確保する溶接施工試験を行い、顧客が要求する継手性能を満足する鉄骨製造技術の研究・開発を推進してまいります。
② 摩擦制振ダンパー事業の受注・生産体制の確立
2022年より大成建設株式会社への製品開発協力として、地震による揺れを低減させる摩擦制振ダンパーの製品化に取り組んでおります。これまでに試験体の製作を行い、実工事で2件を納入しており、2026年度も3物件の納入を予定しております。
当事業は、建物本体の躯体がS造のみならずSRC造、RC造にも対応できるため、今後需要の拡大が期待できるものと考えております。
更に和歌山工場の実験棟設備(アクチュエータ)を用いて動的載荷試験を行い、試験結果をもとに実工事における高力ボルトM27の導入軸力を決定する試験を計画しております。
今後の摩擦制震ダンパーの採用と継続的な受注確保に向けて積極的に取り組んでまいります。
③ デジタル技術を活用した生産性・品質の向上
生研トラス事業では、汎用3D構造解析ソフト(MIDAS iGen)を用いて設計を行っております。設計から製作に至る生産性・品質の向上を目指して、設計汎用3D構造解析ソフト(MIDAS iGen)のデータを3D現寸CADソフト(Tekla)に変換・連動させる技術の調査・試行を生産部門と協力して行い、業務の効率化を図ってまいります。