当連結会計年度における世界経済は、中国経済に対する減速懸念が強まったものの、引き続き緩やかな回復基調にて推移しました。米国は個人消費が引き続き拡大を維持し堅調に推移しました。欧州はイギリス、ドイツ、フランス等主要国での消費を中心に緩やかな回復傾向を維持しました。中国をはじめとするアジアの新興国は、以前の高い伸びと比べて鈍化したものの一定の成長を持続しました。一方、国内においては消費増税以降、消費の低迷は続いていますが、総じて堅調な輸出需要に支えられ回復基調を持続しました。
当社グループにおいても、期末にかけて中国市場低迷の影響を受けたものの、海外需要が総じて堅調に推移するとともに国内も回復傾向を維持し、主要ユーザーである自動車関連産業、航空機関連産業からの実需に加え流通在庫の動きも堅調に推移しました。このような状況のもと、当社グループは販売網や物流拠点の拡充を図るとともに、超硬製品の生産能力の増強に努めてきました。売上高は主力のタップ、超硬製品を中心に増加し、また海外売上高比率は為替変動による換算の影響もあり57.8%(前連結会計年度(以下、「前期」という)は54.6%)と増加しました。営業利益は、タップ等の増産効果による日本セグメントでの改善、米国をはじめとする在外子会社での業績向上に加えて為替に起因する輸出採算性の向上や換算の影響もあり前期と比較して増加しました。
以上の結果、売上高は1,119億1千7百万円(前期比10.8%増)、営業利益215億9千7百万円(前期比24.0%増)、経常利益215億1千万円(前期比22.4%増)、当期純利益は125億1千8百万円(前期比25.3%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
(日本)
売上高は678億4千万円(前期比7.3%増)、営業利益は114億円(前期比22.4%増)となりました。
主要ユーザーである自動車関連産業向け需要は高い水準を維持し、加えて航空機関連産業向けが伸び輸出需要も好調を維持する等、市況は総じて堅調に推移しました。主力製品のタップの需要増加に加え円高是正の定着による輸出採算性の改善もあり売上高、営業利益ともに前期と比較して増加しました。
(米州)
売上高は219億8千4百万円(前期比19.5%増)、営業利益は34億8千8百万円(前期比74.0%増)となりました。
主要市場の北米では、期末にかけて減速感はあったものの、自動車関連産業、航空機関連産業等の主要ユーザー向けの需要は総じて堅調に推移しました。一方、ブラジルでは国内景気の低迷は続いていますが、航空機関連産業は堅調であり、加えてレアル安による輸出採算性の改善により業績は回復に転じました。米州セグメント全体では、超硬エンドミル、超硬ドリルの売上増加による業績向上に加えて為替換算の影響もあり、売上高、営業利益ともに前期と比較して増加しました。
(欧州)
売上高は114億1千3百万円(前期比15.1%増)、営業利益は12億4千6百万円(前期比10.7%増)となりました。
欧州では自動車関連産業に伸び悩みもありましたが、航空機関連産業向けが引き続き好調で業績は回復を持続しました。相対的にシェアの低い当地域では営業力の強化に注力しております。既存市場での新製品の拡販、東欧、トルコ等新興市場での販売力の拡充等によりシェア向上を図っています。主力のタップに加えて航空機関連産業向けの需要が伸びたことにより超硬エンドミルが増加し、売上高、営業利益ともに前期と比較して増加しました。なお、当期よりドイツ、トルコ、ルーマニア等に所在する子会社5社を新たに連結子会社として加えております。
(アジア)
売上高は328億5千6百万円(前期比17.6%増)、営業利益は62億9千6百万円(前期比18.5%増)となりました。
中国では期末にかけて最大ユーザーである自動車関連産業の低迷及び価格競争激化の影響を受け業績は低調となりました。韓国では自動車関連産業向けの停滞を好調なスマートフォン向け需要が補ったことにより増収増益となりました。台湾、タイでは市況は回復基調を維持しました。アジアセグメント全体では、スマートフォン向けの超硬エンドミルをはじめ、超硬ドリル等の需要増加に加えて為替換算の影響もあり売上高、営業利益ともに前期と比較して増加しました。
当連結会計年度末における連結ベースでの現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は194億2百万円となり、前連結会計年度末と比較して20億7千1百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は195億8千8百万円(前期比9千9百万円減)となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益213億6千3百万円、減価償却費77億5百万円、法人税等の支払額79億6千4百万円、たな卸資産の増加額23億2百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は169億7千6百万円(前期比138億5千6百万円増)となりました。主な要因は有形固定資産の取得による支出124億8千7百万円、子会社株式の取得による支出21億3千7百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は62億1千6百万円(前期比65億9千6百万円減)となりました。主な要因は配当金の支払額43億6千8百万円、長期未払金の返済による支出13億9千万円等であります。
当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であってもその形状は一様ではなく、正確な生産規模としての把握が困難であり、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメント別に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
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日本 |
48,150 |
+3.2 |
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米州 |
21,758 |
+19.3 |
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欧州 |
11,382 |
+15.2 |
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アジア |
30,626 |
+16.6 |
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合計 |
111,917 |
+10.8 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な販売先については、総販売実績の100分の10以上の販売先がないため記載を省略しております。
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
当社グループは、中期経営計画において目標とする経営指標や対処すべき課題を掲げ、諸施策を実施しております。
海外市場でのシェアアップを最重要課題とし、大手ユーザー開拓とフラッグシップ製品戦略を柱にグローバル市場における経済情勢、技術のパラダイムシフト等経営環境の変化に対応し、グループの持続的成長と世界トップの穴加工切削工具メーカーを目指します。具体的には以下の諸施策を推進することにより、2020年11月期に売上高1,500億円の達成を目指します。
最適な加工方法の提案、最先端技術を取り入れた製品を投入するとともに、対面型販売組織をグローバルで拡充することにより、自動車、航空機関連産業をはじめとする大手ユーザー開拓を推進します。
主力製品ごとにフラッグシップである「Aブランド製品」のラインナップを拡充することにより、OSGブランドの価値向上を図るとともに、海外販売代理店網の強化に取り組むことにより、ボリュームゾーンでのシェアアップを目指します。
注力すべき主要ユーザーを自動車、金型、航空機関連産業に加え、エネルギー、建機、IT部品、塑性加工、精密加工、医療分野へと拡大し、成長分野での顧客開拓を推進します。
グローバルで積極的に経営資源を投入し、競合他社との差別化を図るための生産、販売組織の増強を図ります。またM&Aを効果的に行うことで、そのスピードを高めて参ります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの製品は、自動車関連産業、金型産業をはじめIT関連産業等の広汎な製造業にて使用されています。また、当社グループの販売先は、日本国内のほか、米州、欧州、アジア等にわたっています。従って、当社グループの業績及び財政状態はこれら関連業界の需要の減少や、日本及び世界各地域における景気の減退の影響を受ける可能性があります。
当社グループは為替変動に係るリスクに対して為替予約によるヘッジを行っておりますが、当社グループの業績及び財政状態は、為替変動の影響を受ける可能性があります。
当社グループの主要な製品である工具の主な原材料は超硬合金、高速度工具鋼、ダイス鋼であり、これらの原材料にはコバルト、バナジュウム、モリブデン、タングステン等のレアメタルが使用されています。レアメタルは、産地及び供給者が限定され、市況により価格が急激に変動する可能性があり、当社グループの原材料調達価格もこの変動の影響を受ける可能性があります。
原材料価格の高騰に対しては、販売価格に反映する努力を行っておりますが、原材料価格の上昇と販売価格の改定のタイムラグがあること及び必ずしも原材料価格の上昇分のコストを販売価格に転嫁できない場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは自動車関連産業をはじめとする主要ユーザーの海外進出への対応と市場に近接した最適地での生産・販売体制の確立のため米州、欧州及びアジアなど世界各地への海外拠点の構築を行っております。従って、海外各国における法律や税制規則の変更、その他の社会的、政治的な諸情勢の変動による事業活動上の障害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、株式等の有価証券を保有しており、これらの有価証券の価格の下落は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、当社の本社、生産及び研究開発拠点が愛知県内の東三河地区に集中しております。そのため同地区に大規模な地震等の自然災害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、世界市場におけるシェア拡大を目指し、国際競争力のある製品を開発すべく、基礎研究から応用研究に至るまで積極的な研究開発活動を行っています。研究開発活動は当社のデザインセンター、R&Dセンターを中心に行っており、長期的な基礎研究については、大学、国公立の研究機関との共同研究も行っています。
デザインセンターは、タップ、エンドミル、ドリル、転造工具及びゲージ等の製品開発や改良を行っています。また、当部門は切削試験専用の各種工作機械及び開発設備を有し、多様な使用条件下での切削試験による製品開発への迅速なフィードバックと、工具性能を最大限に生かす加工技術の開発を行っています。
R&Dセンターは、PVDコーティング、CVDダイヤモンドコーティング及び窒化処理等の表面改質技術、高速度鋼及びダイス鋼材料の開発改良技術、及び熱処理技術の研究開発を行っています。超硬合金材料の研究開発は、連結子会社である日本ハードメタル㈱との共同研究開発体制を採っています。
当連結会計年度の研究開発費の総額は14億9千4百万円であります。
当社グループは、精密機械工具の生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、研究開発活動は主に当社を中心とした日本セグメントで行っております。当該セグメントにおける主な製品別の研究開発の成果は、次のとおりであります。
穴あけ加工工具の主力製品であるタップとドリルは、金属切削加工の汎用的な工具として多様なユーザー業界において使用されるため、高能率加工と安定性の向上を基本とした製品開発に取り組んでいます。
当期においては、フラッグシップ製品であるAブランドの新製品として、フラットドリル(ADFシリーズ)の開発を行いました。
金型、航空機、重電機を主要なユーザーとして生産性の向上及び難削材加工の高能率化を重点課題とする開発に取り組んでいます。
当期においては、イギリスにあるAdvanced Manufacturing Research Centre(AMRC)にTier1メーカーとして参画し、航空機関連産業向けエンドミル及び炭素繊維複合材(CFRP)加工用工具の開発を行いました。
転造工具は全てが受注生産であり、多様なユーザーニーズに基づく迅速な製品開発と改良に対応する研究開発を行っています。
当期においては、主にラック形転造ダイスの受注拡大を目的に、製品品質の向上に注力しました。
PVDコーティング、CVDダイヤモンドコーティング及び窒化処理等の表面改質技術の基礎研究と応用開発を主に行っています。
当期においては、主に超硬工具及び高速度鋼工具の切削性能を高めることを目的に、コーティング被膜の耐摩耗性と耐熱性の向上を課題とした開発を行いました。また、大学等の外部研究機関と共同にてDLCコーティングや超硬工具用ダイヤモンドコーティング処理技術の開発を進めており、DLCコーティングの被膜開発技術が、愛知県の「新あいち創造研究開発補助金」に採択されました。
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。また、本文の将来に関する事項は当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度(以下、「当期」という)の売上高は前連結会計年度(以下、「前期」という)と比較して108億8千5百万円増加し、1,119億1千7百万円となりました。
期末にかけて中国市場低迷の影響を受けたものの、主要ユーザーである自動車関連産業、航空機関連産業向けの需要が国内外で堅調に推移したことに加え、在外子会社の為替変動による換算の影響もあり売上高は増加しました。
需要の増加に伴う国内外の製造部門の稼働率の向上及び為替に起因する輸出採算性の向上により、売上原価率は前期の57.5%から55.3%に減少しました。
販売費及び一般管理費は、従業員給与賞与等の増加及び為替換算の影響により、前期と比較して28億9千9百万円増加の284億5千4百万円となり、売上高に対する比率は前期の25.3%から25.4%に増加しました。
以上の結果、営業利益は前期と比較して41億8千1百万円増加の215億9千7百万円を計上しております。
営業外損益は、前期の為替差益が当期は為替差損に転じたこと等により、8千6百万円の損失(前期は1億5千2百万円の収益)となりました。
当期は前述の要因により、前期と比較して39億4千2百万円増加の215億1千万円を計上しております。
当期は関係会社株式評価損、関係会社貸倒引当金繰入額を計上したことにより、1億4千7百万円の損失となりました。
当期は前述の要因により、前期と比較して39億4千3百万円増加の213億6千3百万円を計上しております。
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は、前期と比較して11億7千2百万円増加の72億2千5百万円となりました。税金等調整前当期純利益に対する比率(税効果適用後の法人税等の負担率)は33.8%となりました。
当期は前述の要因により、前期と比較して27億7千1百万円増加の141億3千7百万円を計上しております。
少数株主利益は、主に国内、アジア及び欧州の子会社における少数株主に帰属する利益からなっております。当期は、主に韓国における対象子会社の利益が増加したことにより、少数株主利益は前期と比較して2億4千2百万円増加の16億1千9百万円となりました。
当期は前述の要因により、前期と比較して25億2千8百万円増加の125億1千8百万円を計上しております。1株当たり当期純利益は前期の105.20円から131.78円に増加しました。自己資本利益率は前期の11.7%から12.9%に増加しました。
当連結会計年度末(以下「当期末」という)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という)と比較して128億2千7百万円増加し、1,551億2千9百万円となりました。流動資産は、現金及び預金等が減少しましたが、商品及び製品等が増加したことにより、前期末と比較して32億3千2百万円増加の786億9千2百万円となりました。固定資産は、機械装置及び運搬具(純額)、土地等が増加したことにより、前期末と比較して95億9千5百万円増加の764億3千7百万円となりました。
一方負債は、前期末と比較して1億3千3百万円増加し、414億9千1百万円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金等が増加したことにより、前期末と比較して12億7千9百万円増加の235億1千5百万円となりました。固定負債は、長期未払金等が減少したことにより、前期末と比較して11億4千5百万円減少の179億7千6百万円となりました。
また、当期末の純資産は、為替換算調整勘定、利益剰余金、少数株主持分等の増加により、前期末と比較して126億9千4百万円増加の1,136億3千7百万円となりました。この結果、自己資本比率は66.1%(前期末は64.3%)となりました。
当連結会計年度末における連結ベースでの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末と比較して20億7千1百万円減少し、194億2百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は前連結会計年度(以下、「前期」という)と比較して9千9百万円減少し、195億8千8百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益等が増加した一方で、法人税等の支払額、たな卸資産の増加に係る支出等が増加したことによるものであります。
投資活動の結果支出した資金は前期と比較して138億5千6百万円増加し、169億7千6百万円となりました。これは主に、生産設備の設備投資に係る支出、定期預金の預入による支出等が増加したことによるものであります。
財務活動の結果支出した資金は前期と比較して65億9千6百万円減少し、62億1千6百万円となりました。これは主に、配当金の支払額、長期未払金の返済額等が増加した一方で、長期借入金の返済額等が減少したことによるものであります。