文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、グローバル市場における競争力強化施策の実行と成長戦略の展開により、収益力と財務体質の強化を図り、お客様の視点に立ったサービスの提供をベースに、社会に一層貢献できる企業価値の高い会社を目指します。
長期的ヴィジョンとして、当社グループでは「トータル・ケーブル・テクノロジーの追求」を掲げております。
当社は、ワイヤ、ワイヤロープ及び繊維ロープとそれらの派生商品(エンジニアリング事業等)を広範に保持し、日本のあらゆる産業へ提供する中で、技術を蓄積してきました。これに加え診断技術等のソフト面やカーボンファイバー等異素材の技術開発にも取組んでおります。
これを踏まえ、当社は、ケーブルに関して様々な対応が可能な世界的にもユニークかつ競争力あるサプライヤーとして、新たな成長のステージに挑戦してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、平成32年3月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画「TCT-Focus2020」を策定し、「国内事業基盤の強化」、「新素材・新技術への挑戦」、「海外展開」の3つをキーワードとして、全事業の活性化に取り組み、経営目標数値としては、最終年度に売上高800億円、営業利益80億円、EBITDA100億円超(いずれも連結ベース)等を目指しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
今後当社グループを取り巻く経営環境は、新興国経済の減速、金融情勢や資源価格の動向等懸念すべき課題があり、引き続き予断を許さない状況が続くものと思われます。
当社グループは中期経営計画の5ヵ年を「事業基盤の更なる強化」と「成長戦略の着手・実行」期間と位置付け、既述の中期経営計画「TCT-Focus2020」の課題に鋭意取り組んでまいります。
取り組みとしては、以下の通りです。
①CFCC事業の推進について
送電線事業において現在注力しているインドネシア、北米、インド、ロシア等の市場については、現地特有事情によりプロジェクトの進捗に遅延が生じているところもありますが、ユーザーとの共同開発等は概ね順調に進んでおり、また、北米土木事業においては全米高速道路協会のガイドスペックが平成30年度中に制定される見通しで、今後、全米での採用が期待されております。当社グループとしては、平成30年4月に分社化した新会社「東京製綱インターナショナル株式会社」の機動的な事業展開により、引き続き、当事業に注力してまいります。
②海外インフラ需要、新規マーケットへの積極的展開
中東諸国、ロシア、中央アジアへの当社防災製品の販売拡大に向けた事業活動が進捗しております。サウジアラビアでは同国の経済改革計画「VISION2030」に沿った当社落石対策工事が促進事業に選定され、また、既に現地法人を設立したカザフスタンでは、今後の見通しから業容拡大に向けた工場移転を行っております。ロシアにおいても、現地ゼネコンとの合弁による工場を建設中であり、各拠点での受注活動を展開中であります。
③スチールコード事業の体質転換
グローバル市場での競争が加速するタイヤコード業界においては、生産品種と品質レベルでの差別化が益々重要となっており、質の転換を進める必要があります。環境性能が強く求められるタイヤ産業等高強度・極細ワイヤを求める各分野に対する高付加価値の製品提供を強化し、商品ポートフォリオの拡充と利益率向上を図ってまいります。
④インフラ需要に対応した国内市場の確実な捕捉
鋼索鋼線、開発製品のそれぞれの業界における当社グループの高い信頼、ブランド力を活かし、「安全・防災・環境・エコ」に関するニーズが強い国内市場において、貢献度アップと収益最大化に努めてまいります。
⑤財務基盤の強化
今後も着実に利益を積み上げていくことにより、安定的な株主還元の実現と拡大を目指すと共に、更なる財務基盤の強化を図ってまります。
今後当社グループでは、以上の取り組みを通じて、変動の激しい事業環境に対応し、成長し続ける強靭な企業体質を構築し、株主・お客様・サプライヤー・従業員等様々なステークホルダーの信頼に応えられる企業となるために全力を尽くす所存であります。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
当社は、当社グループの企業価値と株主共同利益の維持・持続的発展を実現し、株主の皆様に還元すべき適正な利潤を獲得するためには、長年の事業活動によって培った柔軟な技術力と多様な事業構造、ブランド力、川上・川下の各取引先との強い連携といった当社グループの企業価値・株主共同利益の源泉の維持が不可欠であり、このためには株主の皆様をはじめ、お客様、お取引先、従業員や地域社会といった当社グループのステークホルダーとの適切な関係を維持しつつ、社会の基盤整備への貢献を通じて当社グループの社会的存在意義を高めていく経営が必要であると考えております。
また、株式会社の支配権の移転を伴う当社株式の買付提案がなされた場合に、その買付が当社グループの企業価値・株主共同利益を高めるものかどうかを株主の皆様が適切に判断するためには、事業間のシナジー効果や当社グループの企業価値の源泉への影響を適正に把握する必要があると考えます。
当社取締役会では、以上の要請を実現することが当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方であると考えており、以上の要請を実現することなく当社株式の大量取得行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配するものとして不適切であると考えます。
当社は平成27年度からの5年間を「事業基盤の更なる強化」と「成長戦略の着手・実行」期間と位置付け、将来に亘り成長・社会貢献し続けるための諸施策を展開しております。
具体的には、①CFCC事業の推進、②海外におけるインフラ整備需要を捉えた積極的な新規マーケットの開拓、③スチールコード事業の体質転換、④国内インフラ需要の確実な捕捉、⑤成長戦略を支える財務基盤の強化、等に取り組んでまいります。
以上の取組みを通じて、当社グループでは、中長期的視点に立ち、当社グループの企業価値・株主共同利益の向上を目指してまいります。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定が基本方針に照らして不適切である者によって支配されることを防止する取組みとして、第208回定時株主総会においてご承認を得て「当社株式の大規模な取得行為への対応策(買収防衛策)」の導入を決議いたしました。その後、第211回定時株主総会、第214回定時株主総会及び第217回定時株主総会において株主の皆様にご承認頂き、買収防衛策を更新いたしております。(以下、更新後の買収防衛策を「現行プラン」といいます。)
現行プランは、当社が発行者である株式の大量買付または公開買付を実施する場合の手続を明確化し、株主の皆様が適切な判断を行えるよう必要かつ十分な情報と時間を確保することや買付者との交渉機会を確保することで企業価値・株主共同利益の維持・向上させることを目的としております。
具体的には、当社株式の発行済株式総数の20%以上となる買付または公開買付を行おうとする者(以下、「大量買付者等」といいます。)には、事前に必要な情報を当社取締役会に提出いただき、当社取締役会が一定の検討期間を設けたうえでこれらの情報に対し意見表明や代替案等の提示、必要に応じて大量買付者等との交渉等を行うこととしており、これらの情報については適宜株主の皆様に情報提供を行うこととしています。
また、大量買付者等と当社取締役会から提出された情報、当社取締役会の代替案等については、当社経営陣から独立した社外者のみで構成される独立委員会に提供され、独立委員会において調査・検討・審議を行い、その結果を取締役会に勧告します。
独立委員会では、大量買付者等が現行プランにおいて定められた手続に従うことなく当社株式の大量買付等を行う場合または当社の企業価値・株主共同利益が毀損されるおそれがあると認められる場合は、対抗措置の発動(大量買付者が権利行使できない条件付の株主割当による新株予約権の無償割当)を取締役会に勧告することとしています。
取締役会では、本必要情報等を検討し、独立委員会の勧告を最大限尊重したうえで、本対抗措置を発動することを決定することがあり、その決定内容について速やかに情報開示を行います。
当社取締役会では以下の理由により、現行プランが基本方針に整合し当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであり、かつ当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
①買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること
現行プランは経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針」に定める三原則を完全に充足している。
②株主意思を重視するものであること
現行プランは平成28年6月開催の第217回定時株主総会において株主の皆様のご承認を得て3年間の有効期限を設定している。また、有効期限内においても毎年株主総会で選任される取締役を通じて廃止することができる(いわゆるデッドハンド型ではないこと)ことから導入・廃止とも株主の皆様の意思が反映される。
③独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
現経営陣からは独立した社外取締役、社外監査役及び有識者により構成される独立委員会が、現経営陣による恣意的運用がないかどうか監視するとともに対抗措置の発動等について独立委員会の勧告を行うこと、独立委員会の判断の概要を含めて株主の皆様には情報開示することで現行プランが透明性をもって運営される仕組みを構築している。
④合理的な客観的要件の設定
現行プランは対抗措置の具体的発動要件を定めているほか、発動に際しては必ず独立委員会の判断と勧告を経て行うこととしており、現経営陣による恣意的な対抗措置の発動を抑制する仕組みを構築している。
当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、次のとおりであります。なお、以下の記述のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年3月31日)現在における当社グループの判断に基づくものであります。
世界並びに日本経済の動向により、当社グループの主要需要業界であるタイヤ業界や建設業界などの活動水準が影響を受けた場合には、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
当社グループの国内・海外における生産・販売活動における競争環境は厳しさを増しております。当社グループでは、継続的なコスト削減と同時に新製品の開発、新規事業の展開を推進しておりますが、市場価格の低下が当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは主材料である線材や亜鉛・心綱等を購入しておりますが、いずれの材料も数社の仕入先に依存しております。仕入先の業績不振、操業停止等に起因する原材料の供給停止や遅延、また世界的な需給逼迫による仕入量の制約、鉄鉱石や原料炭の価格高騰に起因する鋼材価格の上昇が当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中国、ベトナム等に海外事業拠点を有しておりますが、当該国における政治・経済的混乱、疫病・テロといった社会的混乱、法的規制などにより、当社グループの事業活動が制約される可能性があります。
当社グループの生産拠点において、地震・火災等の大規模な災害や設備事故等が発生した場合、生産活動に支障をきたすことになり、その復旧費用を含め、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、取引先との中長期的な経営戦略を共有するために株式を保有しており、その時価が下落した場合、当該株式について、減損処理が必要となる可能性があります。また、当社は従業員の退職給付に関して、株価の下落により年金資産が目減りし、退職給付費用が増加する可能性があります。
当社グループは、取引先に対して様々な形で信用供与を行っており、債権の回収が不可能になる等の信用リスクを負っております。これらのリスクを回避するため、当社グループでは取引先の信用状態に応じて、信用限度額の設定や必要な担保・保証の取得等の対応策を講じております。しかし、取引先の信用状態の予期せぬ悪化や経営破綻等により債権が回収不能となった場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多額の固定資産を所有しており、経営環境の変化などに伴う収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、その回収可能性を反映させるように固定資産の帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失とすることになるため、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、コンプライアンスの徹底に努めておりますが、法令違反等の有無に関わらず、万が一当社グループに対する重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動により発生する廃棄物や有害物質等について、環境関連法令の適用を受け、適切に処理しておりますが、今後、CO₂排出規制をはじめ、環境基準等が強化された場合には、新たな対策費用の発生や操業停止等により、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、新製品開発を通じて多くの新技術やノウハウを生み出しており、これらの知的財産を特許出願し、権利保護と経営資源としての活用を図っております。しかし、当社グループの知的財産権への無効請求、第三者からの知的財産権侵害等が当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外での事業において各国の法的規制を受けており、コンプライアンス、財務報告の適正性確保をはじめ、適切な内部統制システムを構築・運用しておりますが、将来法令違反等が発生する可能性は皆無ではなく、また法規制等の変更により、法令遵守のための費用が発生し、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、製品等の輸出入及び原材料の輸入において外貨建取引を行っていること並びに外貨建の資産を保有していることから、急激な為替変動があった場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度のわが国経済は、米国を中心とした世界経済の回復を受けて輸出や設備投資が持ち直し、企業収益や雇用環境の改善が続くなど、緩やかな回復基調で推移しました。
このような状況のもと、当社グループでは、中期経営計画「TCT-Focus2020」の3年目となる当連結会計年度において、前年度に引き続き「国内事業の基盤強化」、「新素材・新技術への挑戦」、「海外展開」の3つをキーワードとして、国内外の施策に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高63,537百万円(前年同期比2.2%減)、営業利益3,094百万円(前年同期比11.4%減)、経常利益3,114百万円(前年同期比4.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,523百万円(前年同期比34.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、売上高は外部顧客に対するものであります。
当事業の経営成績は、売上高27,531百万円(前連結会計年度比4.2%減)、セグメント利益1,912百万円(前連結会計年度比12.4%減)となりました。
当事業の売上高11,436百万円(前連結会計年度比21.2%減)、セグメント利益534百万円(前連結会計年度比53.9%減)となりました。
当事業の売上高14,799百万円(前連結会計年度比14.5%増)、セグメント損失401百万円(前連結会計年度は622百万円の損失)となりました。
当事業の売上高1,215百万円(前連結会計年度比7.6%減)、セグメント利益329百万円(前連結会計年度比1.9%増)となりました。
当事業の売上高8,553百万円(前連結会計年度比13.9%増)、セグメント利益719百万円(前連結会計年度比59.8%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度比1,207百万円増加し、4,352百万円になっております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上等により4,202百万円の収入(前連結会計年度は3,491百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や子会社への出資等により3,475百万円の支出(前連結会計年度は100百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、連結子会社株式の追加取得や配当金の支払に対応する借入を実行したため123百万円の収入(前連結会計年度は5,319百万円の支出)となりました。
また、新規連結に伴い現金及び現金同等物が332百万円増加しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
鋼索鋼線関連 |
27,535 |
△2.6 |
|
スチールコード関連 |
11,405 |
△15.6 |
|
開発製品関連 |
14,907 |
17.6 |
|
その他 |
3,788 |
8.0 |
|
合計 |
57,636 |
△0.6 |
(注) 1 上記の金額は販売価格によっております。
2 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
鋼索鋼線関連 |
26,468 |
△9.2 |
2,552 |
△29.4 |
|
スチールコード関連 |
11,426 |
△10.8 |
1,088 |
△1.0 |
|
開発製品関連 |
15,083 |
5.8 |
3,688 |
12.9 |
|
その他 |
8,700 |
12.3 |
947 |
18.3 |
|
合計 |
61,678 |
△3.6 |
8,277 |
△5.8 |
(注) 1 上記の金額は外部顧客に対する受注に基づくものであります。
2 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
鋼索鋼線関連 |
27,531 |
△4.2 |
|
スチールコード関連 |
11,436 |
△21.2 |
|
開発製品関連 |
14,799 |
14.5 |
|
不動産関連 |
1,215 |
△7.6 |
|
その他 |
8,553 |
13.9 |
|
合計 |
63,537 |
△2.2 |
(注) 1 上記の金額は外部顧客に対する売上に基づくものであります。
2 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社経営陣は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社経営陣は、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、取引先の支払不能時に発生する損失について、過去からの損失発生実績に基づいた見積り額により貸倒引当金を計上しております。過去からの実績と大きな相違があった場合、引当不足が生じる可能性があります。
b.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係維持のために、特定の取引先及び金融機関の株式を所有しております。これらの株式には価格変動性の高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。当社グループは投資価格の下落が一時的でないと判断した場合には、投資の減損を計上しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要になる可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいて合理的かつ保守的にその回収可能性を検討し判断して計上しております。繰延税金資産の全部または一部について将来回収できないと判断した場合には、繰延税金資産の調整額を費用として計上します。
d.退職給付費用
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算で設定されている前提条件に基づいて算出されており、これらの前提条件には、将来の給与・賃金水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期運用収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。未認識数理計算上の差異の償却は、退職給付費用の一部を構成しており、前提条件の変化や前提条件と実際との結果の差異の影響を費用として認識したものであります。当連結会計年度において、この償却費は528百万円ありました。
a. 経営成績等の状況に関する分析
当連結会計年度における当社グループの売上高は、前期に在庫ワイヤソー(太陽電池製造装置)の売上を計上したことにより、63,537百万円(前年同期比2.2%減)となりました。
利益面においても、前期の在庫ワイヤソーの売上の影響により、営業利益は3,094百万円(前年同期比11.4%減)となりましたが、前期に貸倒引当金を繰り入れたことや持分法投資損益が改善したことにより、経常利益は3,114百万円(前年同期比4.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,523百万円(前年同期比34.0%増)となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当連結会計年度末の借入金及びリース債務からなる有利子負債残高は28,556百万円となっており、また、現金及び現金同等物を4,352百万円保有しております。
現在展開中の中期経営計画「TCT-Focus2020」で計画している設備投資の資金調達については、基本的に自己資金及び借入金に拠る方針であります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、中期経営計画「TCT-Focus2020」の目標数値及び当連結会計年度における各指標の状況については下表のとおりです。なお、「TCT-Focus2020」の詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。
|
[中期経営計画「TCT-Focus2020」の目標数値と当連結会計年度における各指標の状況] |
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|
|
当連結会計年度 |
平成31年3月期 |
平成32年3月期 |
|
|
売上高 |
635億円 |
710億円 |
800億円 |
|
|
(売上高)海外比率 |
13.2% |
20.0% |
26.0% |
|
|
営業利益 |
31億円 |
42億円 |
80億円 |
|
|
EBITDA |
51億円 |
67億円 |
108億円 |
|
|
自己資本比率 |
29.9% |
31.7% |
35.7% |
|
|
ROE |
10.2% |
10.9% |
15.9% |
|
|
D/Eレシオ |
1.09 |
0.96 |
0.74 |
|
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
a.鋼索鋼線関連
国内におけるワイヤロープの販売量が増加したものの、中国向けのエレベータロープや繊維ロープの販売数量が減少したため、当事業の売上高は27,531百万円(前連結会計年度比4.2%減)、セグメント利益は1,912百万円(前連結会計年度比12.4%減)となりました。
b.スチールコード関連
前期に在庫ワイヤソーの売上を計上したことに加え、当期においてスチールコード製品の販売量が一時的に減少したことにより、当事業の売上高は11,436百万円(前連結会計年度比21.2%減)、セグメント利益は534百万円(前連結会計年度比53.9%減)となりました。
国内における開発製品関連の増加、及び中期経営計画「TCT-Focus2020」の成長事業の柱である海外防災製品、CFCCの増加により、当事業の売上高は14,799百万円(前連結会計年度比14.5%増)、セグメント損失は401百万円(前連結会計年度は622百万円の損失)となり、前期より改善しました。
平成29年3月に神奈川県の賃貸用不動産を譲渡した影響により、当事業の売上高は1,215百万円(前連結会計年度比7.6%減)となりましたが、既存不動産の減価償却費の減少によりセグメント利益は329百万円(前連結会計年度比1.9%増)となりました。
原油価格の上昇に伴い石油製品関連の売上が増加し、当事業の売上高は8,553百万円(前連結会計年度比13.9%増)、セグメント利益は産業機械関連等の利益率の改善により、719百万円(前連結会計年度比59.8%増)となりました。
当社は平成30年2月9日開催の取締役会決議に基づき、当社の炭素繊維複合材事業並びに海外防災製品事業につき、当社の子会社である東京製綱インターナショナル株式会社との間において、当社を分割会社、東京製綱インターナショナルを承継会社とする吸収分割契約を締結することを決定いたしました。
当該契約に基づく会社分割(簡易吸収分割)は、平成30年4月1日に完了いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 2 財務諸表 (1)財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。
当社グループは、中長期的ヴィジョンとして「トータルケーブルテクノロジーの追求」を掲げ、日々前進を続けております。「トータルケーブルテクノロジー」とは、①超高強度スチール、高機能繊維、炭素繊維等多くの先端素材によるケーブル製造技術、②使用される様々なフィールドに即したケーブル加工技術、③健全性診断やエンジニアリングといったソリューションを融合する派生技術、④グローバル市場に画期的な商品・サービスを提供する展開技術であり、それらを追求しております。
当社の商品群の多様性(素材、サイズ、用途)と奥行き(ケーブル本体、端末機器、健全性診断技術、製造機械、エンジニアリング)を最大限に活かした事業展開を行うべく、基礎研究、製造技術開発から顧客ニーズを踏まえた高付加価値・高機能製品の開発まで一貫した取り組みを行っております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,363百万円であり、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。
(1) 鋼索鋼線関連
当セグメントにおいては、ワイヤロープ・ワイヤに関する製品の高強度化,長寿命化,多機能化に向けての研究開発や製品の健全性を診断する評価技術開発と並行して、スチール以外の素材を用いた新製品の開発を行っております。
また、競合他社に対しコスト競争力で優位に立つことができるよう、画期的な新製造技術の開発にも取り組んでおります。
当連結会計年度における当事業に係る研究開発費の金額は454百万円であります。
(2) スチールコード関連
当セグメントにおいては、顧客の省エネタイヤ開発に対応するスチールコードの高強度化・軽量化に取り組んでおります。
また、太陽光発電関連事業用ソーワイヤに関しては、多様化する顧客ニーズに応える新製品・新技術の開発を進めております。
当連結会計年度における当事業に係る研究開発費の金額は116百万円であります。
(3) 開発製品関連
当セグメントにおいては、道路安全施設(落石防護・雪害防止製品、遮音壁等)における差別化新商品・新工法の開発、鋼構造物用ケーブルの設計、炭素繊維複合材ケーブル(CFCC)の世界市場での実用化に向けての研究開発等を進めております。
CFCCに関しては、その軽量・高強度・高耐食という特性を活かした橋梁の補強材分野や架空送電線用心材分野における用途に対応すべく、改良・開発を進めております。
当連結会計年度における当事業に係る研究開発費の金額は779百万円であります。
(4) その他
当セグメントにおいては、粉末冶金製品事業において、長年培った技術力・開発力を活かし、高度化する顧客ニーズにマッチした超硬工具等の開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における当事業に係る研究開発費の金額は13百万円であります。