第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当事業年度のわが国経済は、特に今年に入っての大幅な株価下落に象徴される金融市場の混乱の影響等もあり、個人消費の停滞、設備投資の鈍化など、足踏み感が見られましたが、日銀のマイナス金利の導入や、8月に決定された経済対策に伴う公共投資の増加を背景に、緩やかな回復基調をたどりました。
 当業界におきましては、昨年度に引き続き首都圏を中心とした大型再開発物件、東京五輪関連施設の建設等の影響もあり、鉄骨需要量は堅調に推移してまいりました。一方で人件費の上昇や人手不足などによる工期遅れなどにより、事業主によっては発注や着工を見合わせるなど、一部に不透明感も見受けられました。
 当社におきましては旺盛な建設需要に対し、積極的な営業活動に取り組んだことにより、鉄骨事業の受注高は、前期比6.7%増となりました。また、プレキャストコンクリート事業の受注高は、主力製品の一つである高層型マンション向けの受注が回復したことで、前期比202.7%増となりました。
 事業全体としましては、受注に鋭意努力した結果、当期末の受注残高は前期比15.0%増の13,106百万円となりました。
 また、完成工事高は前期に比べ、1.7%増の18,361百万円となりました。

 

(鉄骨事業)

主な受注工事は、「西品川一丁目地区第一種市街地再開発事業(A街区)施設建築物新築工事及び公共施設工事」、「大手町二丁目地区再開発施設建築物B棟工区建設工事」、「渋谷駅街区東棟新築工事」、「(仮称)広島西部SCプロジェクト」、「山口大学(医病)診療棟・病棟新営工事」、「(仮称)有楽町二丁目再開発計画」であります。

主な完成工事は、「(仮称)大手町1-1計画B棟新築工事」、「武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)サブアリーナ・プール棟新築工事」、「(仮称)住友不動産三田一丁目ビル計画新築工事」、「(仮称)三井製糖株式会社岡山事業所物流倉庫新築工事」、「株式会社神戸製鋼所加古川製鉄所6号連鋳工場新設に伴う土木建築工事」であります。

 

(プレキャストコンクリート事業)

主な受注工事は、「二俣川駅南口地区第一種市街地再開発事業」、「国分寺都市計画事業国分寺駅北口第一種市街地再開発事業施設建築物(東街区棟)」であります。

主な完成工事は、「小学館ビル新築工事」、「東京大学(本郷)クリニカルリサーチセンター施設整備事業工事」、「港区六本木四丁目計画」であります。

 

損益面では、工事の採算性が改善したことに伴い、営業利益は2,176百万円(前期比271.9%増)、経常利益は2,277百万円(同212.5%増)となりました。
 
 特別利益に平成23年に閉鎖した旧千葉第五工場跡地の売却益88百万円を計上した一方で特別損失に労働災害にかかる損害賠償損失引当金繰入額等221百万円を計上し、当期純利益は2,051百万円(同187.6%)と大幅な増益になりました。

なお、当社は建設業以外の事業を営んでいないため、セグメントに関する業績は記載しておりません。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益が2,144百万円であることにより、2,279百万円の資金増加となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等による支出があるものの、旧千葉第五工場跡地の売却による収入等により、186百万円の資金増加となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済による支出等により、623百万円の資金減少となりました。

以上の結果、「現金及び現金同等物」は1,841百万円増加し、当期末残高は2,766百万円となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 

前事業年度

(自 平成26年10月1日

  至 平成27年9月30日)

当事業年度

(自 平成27年10月1日

  至 平成28年9月30日)

製品別

数量

(屯・m3)

金額

(千円)

構成比

(%)

数量

(屯・m3)

金額

(千円)

構成比

(%)

鉄骨

68,919

17,429,355

93.8

60,509

17,730,913

96.4

プレキャスト

コンクリート

16,565

1,146,500

6.2

6,028

659,626

3.6

合計

18,575,856

100.0

18,390,540

100.0

 

 

(注) 1.生産実績は、契約高に出来高比率を乗じて算出しています。

2.生産高には、外注生産を含んでいます。

 

(2) 受注状況

イ.受注高

 

前事業年度

(自 平成26年10月1日

  至 平成27年9月30日)

当事業年度

(自 平成27年10月1日

  至 平成28年9月30日)

製品別

数量

(屯・m3)

金額

(千円)

構成比

(%)

数量

(屯・m3)

金額

(千円)

構成比

(%)

鉄骨

65,281

17,731,803

97.9

63,673

18,911,885

94.2

プレキャスト

コンクリート

2,781

382,058

2.1

11,276

1,156,403

5.8

合計

18,113,861 

100.0

20,068,289 

100.0

 

 

ロ.受注残高

 

前事業年度

(自 平成26年10月1日

  至 平成27年9月30日)

当事業年度

(自 平成27年10月1日

  至 平成28年9月30日)

製品別

数量

(屯・m3)

金額

(千円)

構成比

(%)

数量

(屯・m3)

金額

(千円)

構成比

(%)

鉄骨

40,789

11,190,944

98.2

43,731

12,481,698

95.2

プレキャスト

コンクリート

1,944

208,448

1.8

6,707

624,608

4.8

合計

11,399,392 

100.0

13,106,306 

100.0

 

 

 

(3) 販売実績

 

前事業年度

(自 平成26年10月1日

  至 平成27年9月30日)

当事業年度

(自 平成27年10月1日

  至 平成28年9月30日)

製品別

数量

(屯・m3)

金額

(千円)

構成比

(%)

数量

(屯・m3)

金額

(千円)

構成比

(%)

鉄骨

66,646

16,984,999

94.0

60,731

17,621,131

96.0

プレキャスト

コンクリート

16,211

1,076,617

6.0

6,513

740,243

4.0

合計

18,061,616 

100.0

18,361,375 

100.0

 

 

(注) 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高およびその割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

販売高(千円)

割合(%)

鹿島建設㈱

8,158,179

45.2

㈱竹中工務店

1,940,267

10.7

㈱大林組

1,913,391

10.6

大成建設㈱

1,876,842

10.4

 

 

相手先

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

鹿島建設㈱

9,056,795

49.3

㈱大林組

2,725,028

14.8

 

 

3 【対処すべき課題】

受注環境は好転して来たものの、一方で原材料価格、人件費、輸送価格等が高騰し、人材の確保や設備の改善等に投資しなければなりません。今後、超高層鉄骨工事の増加が見込まれることから、生産部門の技術力強化、生産設備の充実、品質管理の徹底、人材の確保・育成などを行ってまいります。

具体的には、 

① 昨年新設した生産設計部を中心に、工程管理の充実と迅速な生産工程の順守に努めてまいります。

② 超高層鉄骨工事の増加に対応した製造設備の新設・更新に取り組んでまいります。

③ 品質管理に取組むことにより、手直しの削減をはかり、より一層顧客より信頼される企業を目指してまいります。

④ 人材の確保に努め、技術の継承、安全の徹底等の教育に取組んでまいります。

 

4 【事業等のリスク】

当社の経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因については、以下のものがあります。

① 事業環境について

当社の主力製品である建築鉄骨は、オフィスビル、マンション、工場、商業施設、公共施設等に使用されます。需要家区分では、民間向けが主であります。したがって、当社の業績は民間の建築投資の動向により影響を受ける可能性があります。

 

 

② 完成工事未収入金等の債権回収リスクについて

当社の主な顧客は総合工事業者(いわゆる「ゼネコン」)であります。決済条件の関係から未成工事の収支差を加えた「広義」の売上債権は多額となっております。成約および決済条件の約定に際しては、顧客の信用状態に十分留意するとともに、その早期の回収を旨としております。 

 

③ 品質管理について

当社の製品である鉄骨・プレキャストコンクリートは、建築物に使用されるため、耐久性等高い品質が求められます。そのため、製品に瑕疵等があり顧客の求める品質に至らない場合、作り直し等の要求や、補修、改修等が求められることが考えられ、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 労働災害について

当社ではグループを含めた従業員、協力会社従業員に対する安全教育を行い、労働災害の未然防止に努めております。しかしながら当社グループ、協力会社従業員に不測の事態が発生した場合、取引先からの取引停止、損害賠償の請求がなされる等により、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当事業年度において、経営上の重要な契約等はありません。

 

6 【研究開発活動】

当事業年度は、前事業年度から取組んできた板厚55mm以上を用いる場合における4面BOX柱角継手部の溶接法をテーマとして、「下盛サブマージアーク溶接+上盛CO2溶接」による混合溶接法を、実用化を目的とした実証試験等を行ってきました。

一方で「下盛サブマージアーク溶接+上盛CO2溶接工法」の場合は、上盛溶接をCO2溶接で行うため、極端に溶接工期が増加する鉄骨製作上の問題があります。そこで、来年度は、鉄骨製作(溶接施工)の高能率化を図る目的として、板厚55mm~70mmを対象に高能率化が図れる1パスサブマージアーク溶接工法を採用して、その溶接施工が図れる溶接条件を把握することを主な目的としております。

なお、日本鋼構造協会、日本鉄鋼連盟、鉄骨建設協会の委員会にも積極的に参加し、鉄骨業界全体の発展と先端技術情報の入手、当社技術レベルのボトムアップに努めております。

当事業年度における研究開発費は、2百万円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 財政状態の分析

総資産は、前事業年度末の21,323百万円から当事業年度末は23,184百万円となり、1,860百万円増加しました。これは大型物件の完成による資金回収がなされたこと及び旧千葉第五工場跡地の売却等により、現金預金が1,841百万円増加したこと、一方で旧千葉第五工場跡地の売却等に伴い土地が340百万円減少したことが主な要因です。
 負債合計は、前事業年度末の4,470百万円から当事業年度末は4,412百万円となり、58百万円減少しました。これは主に未払法人税等が212百万円、未払金が140百万円及び損害賠償損失引当金が135百万円増加したものの、短期借入金500百万円の返済及び工事未払金が232百万円減少したこと等によるものです。
 純資産は、前事業年度末の16,852百万円から当事業年度末は18,771百万円と1,918百万円増加しました。これは主に当期純利益の計上に伴い利益剰余金が1,934百万円増加したことによるものです。

 

(2) 経営成績の分析

損益面では、工事の採算性が改善したことに伴い、営業利益は2,176百万円(前期比271.9%増)、経常利益は2,277百万円(同212.5%増)となりました。
 特別利益に平成23年に閉鎖した旧千葉第五工場跡地の売却益88百万円を計上した一方で特別損失に労働災害にかかる損害賠償損失引当金繰入額等221百万円を計上し、当期純利益は2,051百万円(同187.6%)と大幅な増益になりました。

キャッシュ・フローは、短期借入金の返済及び有形固定資産の取得等による支出があるものの、税引前当期純利益が2,144百万円であることに加え旧千葉第五工場跡地の売却による収入等により、前期比1,841百万円増加し、期末残高は2,766百万円となりました。

次期は、引き続き首都圏を中心とした大型の再開発計画はあるものの、発注・着工の後ろ倒しや工事の遅れが予想されます上に、人件費の上昇、材料費の高騰、輸送費の増加等、コストの増加も見込まれております。

当社は、経営の原点に立ち戻り、「良い品質・低い原価・早い仕事」を目指します。