建設業は人間社会に不可欠の事業であるとの信念のもと、当社は、斯業の発展、高度化に身を投じ、進んで変革、脱皮を遂げ続けるということを経営の基本方針としております。
当社は、日々の事業活動において、「より良い品を、より安く、より早く」を貫き通すことを社是としておりますが、この原則が人々の営みの基礎にあってこそ、社会は発展するということを信じて疑わないからであります。
首都圏を中心とした多数の大型物件の計画が進められるなど、今後も鉄骨需要は堅調に推移することが見込まれる一方で、技術者・技能者の確保、原材料価格等の高騰、東京五輪閉幕後の需要変動への備え等、当社を取り巻く経営環境は予断を許さない状態が続いております。当社はこのような経営環境の中、引続き生産部門の技術力強化、生産設備の充実、品質管理の徹底、人材の確保・育成などに取り組んでまいります。
具体的には、
① 3D-CADソフトを積極的に活用すべく、生産設計部から担当者を作図専門業者に派遣し、操作技術の習得を行わせました。引き続き、高度な要求品質に応えられる生産体制構築に努めるとともに、効率的な業務運営に努めてまいります。
② 生産性向上および品質確保を目的に、工場レイアウトの見直し、工場建屋の増設、製造設備の新設・更新に取り組んでまいります。
③ 品質管理をより一層強化し、手直しの削減をはかり、さらに顧客より信頼される企業を目指してまいります。
④ 人材の確保に努め、技術の継承、安全の徹底等の教育に取り組んでまいります。
当社の経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因については、以下のものがあります。
当社の主力製品である建築鉄骨は、オフィスビル、マンション、工場、商業施設、公共施設等に使用されます。需要家区分では、民間向けが主であります。したがって、当社の業績は民間の建築投資の動向により影響を受ける可能性があります。
当社の主な顧客は総合工事業者(いわゆる「ゼネコン」)であります。決済条件の関係から未成工事の収支差を加えた「広義」の売上債権は多額となっております。成約および決済条件の約定に際しては、顧客の信用状態に十分留意するとともに、その早期の回収を旨としております。
当社の製品である鉄骨・プレキャストコンクリートは、建築物に使用されるため、耐久性等高い品質が求められます。そのため、製品に瑕疵等があり顧客の求める品質に至らない場合、作り直し等の要求や、補修、改修等が求められることが考えられ、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社ではグループを含めた従業員、協力会社従業員に対する安全教育を行い、労働災害の未然防止に努めております。しかしながら当社グループ、協力会社従業員に不測の事態が発生した場合、取引先からの取引停止、損害賠償の請求がなされる等により、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度の我が国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和政策を背景に、企業業績の向上や雇用情勢の改善等が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、一方で日本国内で多発した自然災害による景気への影響、米国を中心とした世界的な貿易摩擦と世界経済の下振れリスク等が懸念され、景気の先行きについては依然として不透明な状況が続いております。
当業界におきましては、首都圏を中心とした大型再開発案件等の展開が継続し、各社とも工場稼働率が高水準で推移する等、堅調に推移しておりますが、一方で鋼材価格の高騰、溶接・輸送をはじめとした専門業者の確保難による人件費の上昇等について懸念材料も多く、工場運営や経営環境に与える影響は予断を許さない状態が続いております。
このような状況において、当社は受注に鋭意努力しましたが、受注高は通期で前期比9.6%減の22,773百万円となりました。当期末の受注残高も、前期比15.9%減の15,732百万円にとどまりました。
一方、完成工事高は工場の稼働率が高水準で推移した事により、前期比31.4%増の25,746百万円となりました。
損益面では、工場の稼働率が高水準で推移し売上高が増加したことから、営業利益は2,880百万円(前期比1.1%増)、経常利益は3,078百万円(同3.9%増)となりました。
当期純利益については、税金費用が増加したため2,124百万円(同1.2%減)となりました。
なお、当社は建設業以外の事業を営んでいないため、セグメントに関する業績は記載しておりません。
製品別の経営成績は、次のとおりであります。
(鉄骨)
受注高は、「(仮称)浜松町二丁目4地区A街区A3棟建設工事」、「大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業(A棟)」、「(仮称)山下町A街区ホテル計画新築工事」、「コナミクリエイティブセンター銀座新築工事」、「プロジェクト維新 3号棟新築工事」、「(仮称)三井不動産ロジスティクスパーク広島Ⅰ新築工事」、「(仮称)銀座六丁目ホテル計画」等の工事で22,572百万円(前期比3.1%減)であります。
売上高は、「(仮称)丸ノ内3―2計画」、「日本橋室町三丁目地区第一種市街地再開発事業A地区新築工事」、「新国立競技場整備事業(第Ⅱ期)」、「(仮称)ベルコ難波ホテル新築工事」、「マイクロンメモリ ジャパン株式会社 B2棟及びCUP棟建設プロジェクト」、「(仮称)ヒューリック有楽町二丁目再開発計画」等の工事で24,242百万円(同29.5%増)となり、これにより受注残高は15,394百万円(同9.8%減)となっております。
(プレキャストコンクリート)
受注高は、「(仮称)赤坂5丁目プロジェクト」等の工事で201百万円(同89.3%減)であります。
売上高は、「順天堂大学キャンパス・ホスピタル再編事業(仮称)新研究棟建築工事」、「乃木坂ナショナルコートマンション建替事業」、「(仮称)湊二丁目計画」等の工事で1,504百万円(同74.0%増)となり、これにより受注残高は337百万円(79.4%減)となっております。
(資産の部)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末の25,650千万円から当事業年度末は29,061百万円となり、3,411百万円増加しました。
流動資産は前事業年度末の18,699百万円から当事業年度末は21,834百万円となり、3,135百万円増加しました。これは現金預金が974百万円減少したものの、売上高の増加に伴い完成工事未収入金が4,646百万円増加したことなどによるものです。固定資産は前事業年度末の6,951百万円から当事業年度末は7,227百万円となり、275百万円増加しました。これは寄宿舎新築等により有形固定資産が138百万円増加したことなどによるものです。
(負債の部)
当事業年度末における総負債は、前事業年度末の4,798百万円から当事業年度末は6,336百万円となり、1,537百万円増加しました。
流動負債は前事業年度末の3,993百万円から当事業年度末は5,573百万円となり、1,579百万円増加しました。これは工事未払金が1,182百万円増加したことなどによるものです。固定負債は前事業年度末の804百万円から当事業年度末は762百万円となり、41百万円減少しました。これは繰延税金負債が18百万円減少したことなどによるものです。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末の20,852百万円から当事業年度末は22,725百万円となり、1,873百万円増加しました。これは利益剰余金が1,833百万円増加したことなどによるものです。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より974百万円減少し、3,099百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は74百万円(前事業年度2,350百万円の収入)となりました。これは売上高の増加に伴う売上債権の増加がありましたが、税引前当期純利益の計上、仕入債務の増加及び減価償却費の計上等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は748百万円(前事業年度802百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得等による支出等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は301百万円(前事業年度240百万円の支出)となりました。これは配当金の支払等によるものです。
(注) 1.生産実績は、契約高に出来高比率を乗じて算出しています。
2.生産高には、外注生産を含んでいます。
イ.受注高
ロ.受注残高
(注) 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高およびその割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われており、資産・負債や収益・費用の金額に反映されております。
これらの見積りにつきましては、過去の実績等を踏まえながら継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当事業年度の売上高は、25,746百万円(前事業年度比31.4%増)と増加し、営業利益2,880百万円(同1.1%増)、経常利益3,078百万円(同3.9%増)、当期純利益2,124百万円(同1.2%減)となりました。
イ.経営成績の分析
(売上高)
売上高は、前事業年度末の受注残高を背景に、工場の稼働率が高水準で推移したことから、前事業年度に比べ6,159百万円増加し25,746百万円(前事業年度比31.4%増)となりました。その内訳は、鉄骨24,242百万円、プレキャストコンクリート1,504百万円であります。
(営業利益)
売上原価は、売上高の増加に伴う原価の上昇のほか、鋼材価格の高騰、溶接・輸送などの専門業者の確保難による人件費の上昇等が影響し、6,140百万円増加し22,137百万円(前事業年度比38.4%増)となりました。販売費及び一般管理費は、経費削減に努めたことから13百万円減少し728百万円(同1.8減)となりました。
以上の結果、営業利益は32百万円増加し2,880百万円(同1.1%増)となりました。
(当期純利益)
営業外収益につきましては、鉄屑売却益の増加等により前事業年度と比較して16百万円増加し218百万円(前事業年度比8.3%増)となりました。営業外費用につきましては、固定資産除却損の減少等により前事業年度と比較して65百万円減少し19百万円(同76.7%減)となりました。
以上の結果、当期純利益は、税金費用が増加したため前事業年度と比較して26百万円減少し2,124百万円(同1.2%減)となりました。
ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2事業等のリスク」をご参照ください。
ハ.財政状態の分析
「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。
ニ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社における資金需要の主なものは、製品製作のための原材料の購入、協力会社への人件費等の運転資金及び品質確保や作業効率化のための設備資金であり、営業活動により得られた資金でまかなうことを基本として、必要に応じて金融機関からの調達を実施致します。
ホ.経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
なお、平成31年9月期の見通しとして、オリンピック需要の影響等を受け今年末から来年末にかけて、わが社が得意とする超高層ビルの工事が端境期となることから、工場稼働率が大幅に落ちることが予想され、売上高を押し下げる要因となっております。さらに、鋼材価格の高騰、輸送費の高騰、人件費の上昇等の不安材料もあります。
上記のような厳しい環境が想定されることから、平成31年9月期は、完成工事高20,000百万円(当期比22.3%減)、営業利益1,440百万円(同50.0%減)、経常利益1,570百万円(同49.0%減)、当期純利益1,090百万円(同48.7%減)を見込んでおります。
当事業年度において、経営上の重要な契約等はありません。
当事業年度は、基礎実験結果(71期研究)を踏まえ、実大実験として、①溶接組立箱形断面柱(4面BOX柱)の板厚55㎜~70㎜角継手を対象に1パスサブマージアーク溶接工法、②大断面(径1300㎜以上)内ダイアフラムESWの実験を実施しました。また、4面BOX柱角継手の板厚が70㎜を超える場合は、1パスサブマージアーク溶接(SAW)ができないので、新溶接工法として「2パスSAW+仕上げCO2溶接法」を開発し、板厚100㎜の角継手を用いて実験を実施し、健全な溶接継手が得られました。
来年度は、鉄骨製作(溶接施工)の高能率を目的として、以下の研究を計画しております。
①4面BOX柱の生産性向上として、板厚85㎜、90㎜角継手2パスSAW溶接実験
②実用化を考慮した板厚60㎜、65㎜角継手1パスSAW溶接実験
③550N,590N級の冷間成形角形鋼管溶接施工試験
一方、外部活動としては、日本建築学会、日本鋼構造協会、鉄骨建設協会の技術研究委員会にも積極的に参加し、鉄骨業界全体の発展と先端技術情報の入手、当社技術レベルのボトムアップに努めております。
当事業年度における研究開発費は、6百万円であります。