文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「鉄骨で日本を支える」を経営理念(ビジョン)に掲げ、主力の鉄骨をはじめ、プレキャストコンクリートなどの鋼構造物メーカーとして、お客様の唯一無二のパートナーとなり、日本の空間、街づくりに貢献していくことを、経営の基本方針としています。
また、ビジョンの実現に向け、「3つの基軸」①使命(ミッション)②信条(バリュー)③行動指針(プリンシプル)を定めています。
・使命(ミッション) :持続可能な社会の実現に向けて、モノづくりで貢献
・信条(バリュー) :良い品質、低い原価、早い仕事
・行動指針(プリンシプル) :和を尊び、言い訳をせず、頭を使おう
なお、2024年4月22日に開示した「第1次中期経営計画」において、目指すべき姿を「100年先も建築鉄骨で日本を支えるトップ企業」と定めております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2024年4月22日に開示した「第1次中期経営計画(2024年9月度―2026年9月度)」においては、3ヶ年累計の数値目標として、売上高835億円、営業利益45.6億円、純利益36.5億円に設定し、最終年度に営業利益率6%、ROE5%以上、期間中の配当性向を30%以上と設定しております。
初年度(2024年9月度)の単年度の数値目標は、売上高265億円、営業利益13.6億円、純利益11億円に設定しており、結果は、売上高275.6億円、営業利益16.7億円、純利益14.7億円と目標を上回り、全項目で達成することが出来ました。
また、初年度の配当性向は30.1%で、一株当たりの配当金額も前年から50円増加の150円とし、自己株式取得も期間累計で3.7億円実施致しました。
2年目となる2025年9月期におきましては、市場環境の厳しさから、業績予想は計画値を下回る見込みではございますが、計画は据え置き、最終年度の目標達成に向けて取組を継続してまいります。
(3)経営環境及び優先的に対処すべき課題
当社を取り巻く事業環境は、首都圏の大型物件を中心に当面底堅い一方で、長期的には横這いで推移する見通しであり、案件の選別と管理能力の強化が求められるとともに、担い手不足に対して人財の確保と育成、働き方改革、DXによる省力化・省人化の推進が必須と認識しています。加えて、持続可能な企業価値向上への取り組みと、予測が難しく変化が激しい社会、経済情勢に対するリスク管理と対応力強化が急務であります。
当社は、長期ビジョンである「鉄骨で日本を支える」を目指し、使命として掲げる「持続可能な社会の実現に向けて、モノづくりで貢献する」を達成するため、「第1次中期経営計画」で公表しました下記の課題に取り組んでまいります。
①基本方針
②数値目標
2025年9月期の業績予想は、売上高270億円、営業利益12億円、当期純利益10億円と厳しい数字となっておりますが、上記記載の施策・取り組みを推進していくことで、数値目標の達成を目指してまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、本文章は、提出日時点での情報に基づいて作成されています。但し、文中の将来に関する事項については、当事業年度末現在での当社の判断に基づいています。
(1)全般
①サステナビリティ基本方針
当社は、企業理念を踏まえ、「持続可能な社会の実現」と「企業の持続的成長」を両立させるため、サステナビリティ基本方針を以下のとおり定め、社会貢献と企業価値の向上に努めていきます。
「モノづくりで社会の発展に貢献することにより、持続可能な社会の実現を目指します。」
②マテリアリティ(重要課題)
当社は、上記基本方針の下、サステナビリティに関わる重要課題(マテリアリティ)を以下のとおり特定しております。これらの課題について、当社の事業戦略と一体化して解決に取り組んでいきます。
当社は、気候変動対策をはじめとするサステナビリティへの取り組みを推進し、その統括管理を目的としたサステナビリティ委員会を設置しております。
同委員会は、代表取締役社長を委員長とし、社内取締役、常勤監査役、執行役員により構成され、リスク評価と対策検討、目標設定を行います。同委員会の主な役割は以下の通りです。
A)基本方針、戦略、マテリアリティ、リスクの評価と目標設定、実行計画などの検討
B)当社の社内推進体制の整備
C)各種施策の進捗管理
D)取組状況の取締役会への定期的報告
取締役会は同委員会の取組状況について指揮・監督を行います。
(3)人的資本
①戦略
当社は、マテリアリティとして「安全・安心な労働環境の確保」を掲げており、従業員のキャリア形成や働きがい等が向上し、従業員の成長と共に企業価値が向上していくことを目的として、将来を担う人財の確保と育成に主眼を置き、多様な人財が自律的かつ継続的に活躍できる環境を整えていきます。
人財の確保と育成に関する取組方針は、以下のとおりであります。
A)働き方改革を踏まえ、働きやすい就労環境を整備し、労働条件の改善を図ります。
B)期待役割や成果を重視した人事制度により自律的に考えて行動することを促し、企業価値の向上に繋げます。
C)知識・技能の伝承、生活安定を図るため、従業員が74歳まで当社で活躍できる環境を積極的に整備します。
D)ポストに関係なく、活躍する人財を積極的に評価・登用していきます。
E)性別、年齢によらず、能力と役割に応じた人財の積極的な登用、活躍促進を行っていきます。
F)具備すべき知識・スキル・資格を明確化し、会社として自己啓発を支援する社内外の研修制度を充実します。
G)キャリアパスを踏まえた、現在の能力と要求水準を測り、自律的に研修・資格に挑戦する仕組みを構築します。
②指標及び目標
当社は、前述の戦略を通じて、以下の指標の目標達成に向けて取り組んでまいりました。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の主力製品である建築鉄骨は、オフィスビル、マンション、工場、商業施設、公共施設等に使用されます。需要家区分では、民間向けが主であります。したがって、当社の業績は民間の建築投資の動向により影響を受ける可能性があるため、外部環境の変化やお客様のニーズを的確に捉えてビジネスチャンスに繋げていけるよう、全社一丸となって努力し、リスクの最小化に努めております。
当社の主な顧客は総合工事業者(いわゆる「ゼネコン」)であります。工事代金を受領する前に取引先が信用不安に陥った場合には、工事代金の回収不能のリスクがあるため、成約及び決済条件の約定に際しては、顧客の信用状態に十分留意するとともに、その早期の回収に努めております。
当社の製品である鉄骨・プレキャストコンクリートは、建築物に使用されるため、耐久性等高い品質が求められます。そのため、製品に契約不適合等があり顧客の求める品質に至らない場合、作り直し等の要求や、補修、改修等が求められることが考えられ、当社の業績に影響を与える可能性があるため、仕様や品質等に関する契約上の要求水準を的確に把握するとともに、過去の不具合事例の周知等を実施しております。
当社ではグループを含めた従業員、協力会社従業員に対する安全教育を行い、労働災害の未然防止に努めております。しかしながら当社グループ、協力会社従業員に不測の事態が発生した場合、取引先からの取引停止、損害賠償の請求がなされる等により、当社の業績に影響を与える可能性があるため、毎月、安全衛生の会議を行い周知・徹底しております。
(6)人財確保について
当社の事業は、専門性を有した技術者・技能者により支えられており、優秀な人財の確保と育成、定着率が重要な課題となります。しかしながら、少子高齢化による労働人口の減少により、必要な人財が確保出来なかった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があるため、新たな人員の獲得に向けた採用活動を積極的に展開するとともに、社員の定年後の継続雇用を図り、人員の確保に努めております。
(7)情報システムに関するリスクについて
当社は、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運用しており、情報システム運営上の安全性確保に取り組んでおりますが、外部からの不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、事故等により情報システムが不稼働になる可能性を完全に排除することができません。このような場合は、システムに依存している業務の効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては事業を中断する可能性があるため、関連部門を中心に情報管理体制を整えております。
(8)自然災害その他に関するリスクについて
当社は、地震・洪水等の自然災害や火災等の事故災害により社会的混乱等が発生し、設備の損壊や事業活動の停止があった場合、復旧の規模により、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があるため、東日本地区と西日本地区に工場を分散しており、自然災害等が発生した場合には関連部門を中心に対応策を協議の上、実行する体制を整えております。
(9)感染症によるリスクについて
当社は、感染症予防対策に対して、政府や都道府県等関係機関の指針に沿った感染拡大防止策の徹底をはじめとして、従業員に対する安全衛生に関する意識・知識向上のための注意喚起、WEB会議や時差出勤、在宅勤務等の実施による感染抑制策を講じております。しかしながら、感染症が国内において爆発的に流行した場合には、工場や施工現場等で一定期間の操業が停止するなど、当社の経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、半導体市況の回復、価格転嫁の進展、活発なインバウンド需要に加え、非製造業を中心とした雇用・所得環境の改善の進展により個人消費が持ち直し、全体の景況感は底堅く推移しております。
一方で、国際的な政治情勢に起因した資源、エネルギーの高止まりによる原材料コスト高、また、「2024年問題」の顕在化による人手不足と人件費高騰、物流コストの上昇も加わり、利益水準の押し下げ圧力が継続しております。長期化するロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の悪化をはじめとした地政学的リスクの解消が見通せない状況が続くとともに、国内外の政局、金融市場の変動等による景気への影響が継続するなか、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当業界におきましては、大型案件の潜在需要は底堅いものの、資材価格の高止まり、2024年問題による物流コストの上昇、人手不足や人件費高騰の顕在化を背景に、予算不足による発注控えや計画の停止、延期等が続いており、その影響が大型案件にもおよび、業界全体の鉄骨需要は低い水準で推移しております。このため、当社を取り巻く経営環境は、「受注の確保」と「適正な受注価格」の両面で厳しい状況となっております。
このような状況のなか、当社は「受注の確保」が最優先であると鋭意努力し、受注高は通期で前期比10.4%増の26,729百万円となりました。なお、当期末の受注残高は、前期比3.2%減の25,645百万円となりました。
イ.財政状態
(資産の部)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末の32,440百万円から当事業年度末は34,170百万円となり、1,730百万円増加しました。
流動資産は前事業年度末の23,564百万円から当事業年度末は25,456百万円となり、1,891百万円増加しました。これは、現金預金が2,336百万円減少したものの、完成工事未収入金が4,007百万円増加したことなどによるものです。
固定資産は前事業年度末の8,875百万円から当事業年度末は8,713百万円となり、161百万円減少しました。これは、有形固定資産が減価償却費等により153百万円減少したことなどによるものです。
(負債の部)
当事業年度末における総負債は、前事業年度末の5,180百万円から当事業年度末は5,967百万円となり、787百万円増加しました。
流動負債は前事業年度末の4,819百万円から当事業年度末は5,462百万円となり、643百万円増加しました。これは未成工事受入金が131百万円減少したものの、工事未払金が794百万円増加したことなどによるものです。
固定負債は前事業年度末の360百万円から当事業年度末は504百万円となり、144百万円増加しました。これは、投資有価証券の時価の上昇に伴い繰延税金負債が99百万円増加したことなどによるものです。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末の27,260百万円から当事業年度末は28,203百万円となり、943百万円増加しました。これは自己株式の取得により358百万円減少したものの、利益剰余金が1,171百万円増加、保有している投資有価証券の時価の上昇によりその他有価証券評価差額金が118百万円増加したことなどによるものです。
ロ.経営成績
完成工事高は、原材料価格の高騰を受けて販売価格の上昇が進んだことと、大型物件の完成及び工場稼働率の向上等により、前期に比べ6.0%増の27,566百万円となりました。
損益面については、前期に受注した採算性の良い大型工事の完成したことにより、営業利益は1,669百万円(前期比17.9%増)、経常利益は1,977百万円(同15.8%増)となりました。なお、当期純利益は、第一次中期経営計画に掲げる人財投資として社員の処遇向上に積極的に取り組み、賃上げ促進税制の適用により税負担が50百万円軽減され1,469百万円(同17.7%増)となりました。
なお、当社は建設業以外の事業を営んでいないため、セグメントに関する業績は記載しておりません。
製品別の経営成績は、次のとおりであります。
(鉄骨)
受注高は、「品川開発プロジェクト(第I期)2街区」、「八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業施設建築物」、「東京駅前八重洲一丁目東A地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事」、「大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業Torch Tower(B棟)新築工事」、「虎ノ門一丁目東地区市街地再開発事業に係る施設建築物新築工事」、「(仮称)Walkプロジェクト新築工事」、「熊本TEC NExT-PJ建設工事KS第1工場棟」、「脱ガス処理能力向上対策製鋼工場東棟5号RH建屋」、「日鉄ステンレス連続鋳造設備5設置工事(CC棟)」等の工事で25,223百万円であります。
売上高は、「中野駅自由通路・新駅舎及び駅ビル新築他」、「(仮称)浜松町二丁目4地区A街区A2棟建設工事」、「イビデン株式会社河間事業場セル6棟建設工事」、「名古屋/次世代熱延新設2工区建築本体工事」、「(仮称)新TODAビル計画新築工事」、「(仮称)うめきた2期地区開発事業新築工事のうち南街区賃貸棟工事」、「(仮称)沢井製薬第二九州工場新棟建設工事」、「山口市新本庁舎棟新築工事」等の工事で25,711百万円となり、これにより受注残高は24,467百万円となりました。
(プレキャストコンクリート)
受注高は、「品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)1街区」、「自由が丘1-29再開発事業」等の工事で1,506百万円であります。
売上高は、「浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業」、「イビデン株式会社河間事業場セル6棟建設工事」、「平井五丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」等の工事で1,854百万円となり、これにより受注残高は1,177百万円となっております。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より2,336百万円減少し、1,259百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、支出した資金は1,422百万円(前事業年度2,582百万円の支出)となりました。これは主に税引前当期純利益が1,977百万円の計上、減価償却費の計上及び仕入債務の増加等があったものの、売上債権の増加及び法人税等の支払等などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は213百万円(前事業年度643百万円の支出)となりました。これは投資有価証券の償還による収入があったものの、有形固定資産の取得等による支出等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は700百万円(前事業年度40百万円の支出)となりました。これは自己株式の取得により支出及び配当金の支払等によるものです。
当事業年度における受注実績を製品ごとに示すと、次の通りであります。
当事業年度における販売実績を製品ごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次の通りであります。
2.前事業年度の清水建設株式会社については、売上高に占める割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
イ.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
ロ.経営成績の分析
(売上高)
売上高は、原材料価格の高騰を受けて販売価格の上昇が進んだことと、大型物件の完成及び工場稼働率の向上等により、前事業年度に比べ1,567百万円増加し27,566百万円(前事業年度比6.0%増)となりました。その内訳は、鉄骨25,711百万円、プレキャストコンクリート1,854百万円であります。
(営業利益)
売上原価で鋼材価格やエネルギー関連等の高騰がありましたが、前期に受注した採算性の良い大型工事の完成が影響した結果、売上総利益が356百万円増加し2,609百万円(前年同期比15.8%増)となり、販売費及び一般管理費は102百万円増加し940百万円(同12.2%増)となりました。
以上の結果、営業利益は、253百万円増加し1,669百万円(同17.9%増)となりました。
(当期純利益)
営業外収益は、鉄屑売却益の増加等により前事業年度と比較して39百万円増加し348百万円(前事業年度比12.8%増)となりました。営業外費用は、固定資産解体費用及び減損損失等により前事業年度と比較して24百万円増加し39百万円(同156.3%増)となりました。
以上の結果、当期純利益は、220百万円増加し1,469百万円(同17.7%増)となりました。
ハ.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末より2,336百万円減少し、1,259百万円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社における資金需要の主なものは、製品製作のための原材料の購入、協力会社への人件費等の運転資金及び品質確保や作業効率化のための設備資金であります。
(財務政策)
当社は、運転資金につきましては、自己資金で対応することを原則としておりますが、金利動向や負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要に応じて金融機関からの借入を実施しております。
資金の流動性については、余剰資金の有効活用に努めるとともに、さらに金融機関との間で当座貸越契約を締結する等により、急な資金需要にも備えております。
なお、当事業年度末において借入金の残高はありません。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,259百万円となっております。
③経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
なお、2025年9月期の見通しにつきましては、半導体市況の回復、価格転嫁の進展、活発なインバウンド需要に加え、非製造業を中心とした雇用・所得環境の改善の進展により個人消費が持ち直し、引き続き我が国経済の全体の景況感は底堅く推移することが期待されます。
一方で、国際的な政治情勢に起因した資源、エネルギーの高止まりによる原材料コスト高及び人手不足と人件費高騰、物流コストの上昇による、利益水準の押し下げ圧力が、今後も継続するものと思われます。
建設業界においては上記の影響を強く受けており、大型案件の潜在需要はあるものの、足許では予算不足による発注控えや計画の停止・延期が散見される状態の継続が懸念されます。また、この端境期が長引くことにより鉄骨需要は低水準で推移する事が想定されます。
このため、当社においても、受注案件の工程遅れ及び受注予定案件の発注延期が予想されます。
上記のような厳しい環境が想定されることから、来期の完成工事高は27,000百万円、営業利益1,200百万円、経常利益1,400百万円、当期純利益1,000百万円を見込んでおります。
④経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するために、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行っております。当社は、過去の実績や現在の状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき継続的に見積りを行っておりますが、見積りには不確実性を伴うことから、実際の結果とは異なることがあります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当事業年度において、経営上の重要な契約等はありません。
当事業年度は、鉄骨製作(溶接施工)の高能率化及び生産性向上を目的として、BOX柱板厚60mm、65mmの角継手を対象に、1パスサブマージアーク溶接工法として先行極にワイヤ5.1mmの適用した基礎実験を行い、溶接条件および溶接継手の健全性を確認しました。
また、鋼材の組合せによる溶接施工試験実績作成を目的として、エレクトロスラグ溶接材料(KW-60AD)と590N級鋼材及び550N級鋼材の組合せによる溶接施工試験を実施しました。
第79期は、鉄骨製作(溶接施工)の高能率化及び生産性向上を目的に、当事業年度継続テーマ及び新規テーマとして、以下の研究を計画しております。
①当事業年度継続テーマとして、第78期基礎実験結果を踏まえBOX柱板厚60㎜、65㎜の各継手を対象に、1パスサブマージアーク溶接工法の実現を目的として、溶接電流抑制を目的に先行極にワイヤ5.1mmの適用について溶接施工実験(本試験)を予定しております。
なお、550N級及び590N級鋼材を対象としています。
②新規テーマとして、BOX柱板厚70mm以上を対象に2パスサブマージアーク溶接工法の溶接条件および溶接施工性を確認する目的として、基礎実験を予定しております。
③溶接施工試験実績作成を目的として、550N級の冷間成形角形鋼管(G385TF)溶接施工試験を計画しています。
一方、外部活動は、日本建築学会の鉄骨工事運営委員会、日本鋼構造協会の研究委員会及び鉄骨建設協会の技術研究委員会にも積極的に参加し、当社技術レベルアップに努めております。
当事業年度は、研究開発活動を行っておりますが、少額のため記載を省略しております。