当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
東プレグループは、卓越した技術を駆使して製品・サービスを創造し、社会に貢献することを使命とします。経済的成果を追い求めるだけでなく、国際企業として社会から必要とされ、尊敬される企業として、高い倫理観と良識をもって企業活動を遂行します。世界中で働く東プレグループの職員はこの理念を共有し、社会への貢献と企業の永続的な繁栄を求めて行動します。
こうした基本理念に基づき、株主やお客様、取引先からの信頼と期待に応え、社会とともに成長することを念頭においた経営を実践しております。
(2)経営戦略等
当社グループは、2024年度を初年度とし、2026年度を最終年度とする中期経営計画を定めております。
<第16次中期経営計画ビジョン>
2035年に創立100周年を迎える私たちは、これからも、多様な技術で様々なお客様に商品を提供し続けます。
<第16次中期経営計画基本方針>
・人材育成と働き易い環境整備に努めて、多様性の意識を持つ人材が
活躍できる場を広げ、次代を担う社員に責任ある企業であり続けます。
・生産手段の効率化や技術革新を推進しながら
お客様が求める技術力を追求し、企業の競争力を向上させ続けます。
・サステナビリティの実現に向かって常に高い意識を持ち、
グローバル企業として社会的責任を果たし続けます。
また、計画の概要については、当社ホームページをご参照ください。
(3)経営環境
世界経済におきましては、ウクライナ情勢の悪化や中東情勢の影響による資源価格の高騰、物価上昇等による経済活動へのリスクを抱えております。気候変動および人権侵害等の問題は深刻化を増して、社会からの関心がさらに高まっております。
国内経済におきましても、円安や資源価格の高騰、物価上昇等により、依然として先行きは不透明な状況であります。
このような環境の中で、自動車業界におきましては、CASEやMaaS等、技術革新やモビリティの在り方の変化を受けて、業界全体の再編が進んでおります。当社グループを取り巻く環境も大きく影響を受けることが予想されます。
冷凍車業界におきましては、部材供給が安定化すると見込んでおりますので、受注・生産は前年を上回るとみております。一方で環境問題など社会の課題に即した製品ニーズが増していくと考えられます。車両の電動化に対応した冷凍装置の開発等、さらなる技術力の向上が求められます。
その他の空調機器と電子機器の業界におきましても、高付加価値製品へと切り替えが進んでいることやキーボード「REALFORCE」のラインナップ拡充などにより、受注・生産は堅調に推移するとみております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
このような状況のもと、当社グループにおきましては、コア技術の開発、コスト低減、生産体制の強化に努めてまいります。
①事業別戦略
プレス関連製品事業におきましては、年々増大する軽量化ニーズに対応するため、プレス加工技術の強化により、他社との差別化を図ってまいります。それに加え、コスト低減等による財務状況の改善を図り、自己資本比率の改善に努めてまいります。
定温物流関連事業におきましては、技術力の強化を図るとともに、社会の課題やお客様の多様なニーズに対応した商品の提供とサービス体制の拡充に取り組んでまいります。
その他の事業におきましては、空調機器部門では、高付加価値換気システムの拡販や、日本で培った技術を生かし、グローバルで快適な空調環境を提供する基盤を整えてまいります。電子機器部門では、高級キーボード「REALFORCE」ブランド力強化とともに、さらなる品質の向上に努めてまいります。
②情報セキュリティへの取組み
コンピュータウイルスや不正アクセス等、外部からのサイバー攻撃による情報システムの機能不全や混乱を防ぐため、システム対応人材の確保や育成、社内周知、定期確認などにより、情報セキュリティ体制の強化に取り組んでおります。
しかしながら、2023年12月に当社子会社が管理する一部のサーバーへの不正アクセスが確認されました。確認後、ただちに関係機関への報告を行うとともに、セキュリティ関連部門と外部専門機関による調査・復旧作業を行いました。調査の結果、お取引先様の皆様に影響を及ぼす個人情報を含めたデータの流出はございませんでした。今回の事態を受けて、セキュリティ対策チームを新たに設置し、今後はグループ会社全体として、継続して情報セキュリティの強化を進めてまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業別の損益管理を行っております。「売上」、「営業利益率」、「ROE」、「ROIC」を経営指標とし、損益の達成状況を管理しております。また、財務状況の健全性を維持するために、「自己資本比率」についても経営指標としております。
(6)会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社グループは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を目的に、グループ内の会計処理基準の整備及びIFRSへの適用について、検討を進めております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般
・サステナビリティに関する考え方
当社の基本理念である「社会に貢献し永続的に繁栄する企業へ」の内容はまさしくCSR/サステナビリティに即しております。そのために、当社グループが一体となり環境をはじめとする社会的各種課題にスピード感を持って取り組むことによって、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
① ガバナンス
当社グループは、CSR推進と気候変動対策(「CO2排出量の削減」など)を含むサステナビリティへの取り組み体制として、取締役会をトップとした体制を構築しております。当社の取締役会は社外取締役を含めた全員の取締役で構成され、議長は社長が担っております。サステナビリティに関しては、CSR・気候変動対策担当役員の指示のもと事務局より取締役会へ報告が行われます。
当社グループの気候変動対策を含むサステナビリティの推進・管理を担う専門部署として、「CSR推進室兼気候変動対策部」を設置するとともに、各事業部やグループ会社においても担当者を選任しております。各部門でのサステナビリティに関する取り組み情報やCSR・気候変動対策担当役員からの指示などが、当社全体で認識できる体制になっております。
定期的に年2回開催する東プレグループCSR全体会議において、各部門からサステナビリティへの取り組みの実績や計画が報告され、各部門に向けてCSR・気候変動対策担当役員から指示が出されます。東プレグループCSR全体会議の結果は、取締役会に報告されております。また、サステナビリティへの取り組みにおける計画や実行について重要な事案が生じた際も、CSR・気候変動対策担当役員を通じて取締役会にて審議されております。
② リスク管理
当社グループは、各部門におけるサステナビリティのリスクを含む企業リスクに関して、詳細に分析を実施しております。年1回、各部門でリスクの再評価を行い、リスク管理部会に結果を報告しております。その中でも重要度が高いと判断されるリスクは、リスト化されてリスク管理部会にて管理されております。
新たに策定が必要と判断される新しいリスクや、見直しが必要と判断される既存リスクに関しては、リスク再評価のタイミングに限らず各部門で検討され対処しております。この結果は、リスク再評価の際に反映されております。
また、当社グループの「CO2排出量の削減」に関しては「気候変動対策部」にて推進しておりますが、事業規模の大きい自動車機器事業本部においては、事業本部内にカーボンニュートラル活動推進を担う専門部署を別に設置して、気候変動に関する展開が早い自動車業界に対して迅速対応ができる体制を構築しております。TCFDの枠組みにおける気候関連のリスクと機会は、関連事業ごとに専門知識を持つ関係者で年1回の評価・見直しを行い、取締役会への報告を行う事としております。
(2) 気候変動
・気候変動に対する取り組み
国内外のサステナビリティ開示で広く利用されている「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」のフレームワークに基づき、取り組みを開示しております。
当社の主要な事業であるプレス関連製品事業に続き、2024年度からは当社のもう一つの大きな事業である定温物流関連事業においても、取り組みを開示しております。
① ガバナンス
気候変動におけるガバナンスは、「
② 戦略
サステナビリティに関する重要課題の中でも「CO2排出量の削減」は緊急度、持続可能な社会の実現、及び当社財務影響からしても最重要課題と認識しております。
そのために、気候変動による当社事業への影響について、地球の平均気温上昇「4℃シナリオ」「2℃未満シナリオ」の2つのシナリオ分析を実施し、影響度の大きさを考慮し「移行」および「物理的」におけるリスクと機会を特定いたしました。プレス関連製品事業と定温物流関連事業では事業形態に違いがあるため、表を分けて開示しております。
当社グループとしましては、このリスクを最小に留め機会を創出できるよう対応を推進してまいります。
プレス関連製品事業において、ホットスタンプの更なる加工技術開発に加え、ホットスタンプ加工の代替技術として生産時の燃料削減や軽量化によるCO2排出削減に効果がある「冷間超ハイテン材加工技術」等の技術開発を継続的に行っており、将来のCO2排出削減へ貢献すべく取り組んでおります。
定温物流関連事業において、冷凍冷蔵トラックのBEV・FCEVへの転換を見越した高効率化・軽量化された商品開発および生産設備への対応と、フロン排出抑制法に関わる新冷媒対応商品開発を継続的に行っており、将来のCO2排出削減へ貢献すべく取り組んでおります。
利益や費用に関する財務影響については、専門部署および関係者による将来を想定した検討を行い、下記の範囲で重要度を選別しております。
財務影響重要度 :大(100億円以上)、 中(10~100億円未満)、 小(10億円未満)
設定した時間軸は、下記のとおりです。
時間軸 :短期(~2026年)、 中期(~2030年)、 長期(~2050年)
想定するシナリオ
<2℃未満シナリオ>
・気温上昇を2℃未満に抑える事を前提にしたシナリオであり、達成においてCO2排出の無いエネルギー使用が十分に実施され、そのプロセスが循環できる状態を想定しております。
〈参考資料〉
・IPCC(気候変動に関する政府間パネル) SSP1-1.9/2.6
・IEA(国際エネルギー機関) NZE (Net-Zero Emissions by 2050 Scenario)
<4℃シナリオ>
・脱炭素政策が強化されず平均気温が上昇を続け、自然災害が頻発化・激甚化するシナリオであり、CO2排出の無いエネルギー使用が十分に実施されない状態を想定しております。
〈参考資料〉
・IPCC(気候変動に関する政府間パネル) SSP5-8.5
・IEA(国際エネルギー機関) STEPS (Stated Policies Scenario)
(プレス関連製品事業)
(定温物流関連事業)
③ リスク管理
気候変動におけるリスク管理は、「
④ 指標及び目標
「CO2排出量の削減」においては、東プレグループとして「CO2排出量削減目標 (生産活動におけるCO2排出量[Scope1+2])」を掲げ、2050年度までの長期削減目標を設けて取り組みを進めております。
当社グループ CO2排出量削減目標 (生産活動におけるCO2排出量)
基準年度:2020年度
CO2排出量:68.8(千t-CO2)
当社グループのCO2排出削減対策(省エネ対策および太陽光パネル設置等)は、2023年度から徐々に、太陽光パネルによるCO2排出量削減効果が増えてきております。 また、「再生可能エネルギー由来電力への切替」や「トラッキング付き非化石証書購入」などにより、一部の拠点では前倒ししてカーボンニュートラル達成予定となります。
当社は、CO2排出削減目標達成に向けて積極的な対応を推進してまいります。
a. CO2排出量[Scope1,Scope2](グローバル)
|
(千t-CO2) |
|
|
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
||
|
Scope1+2 |
合計 |
|
|
|
|
|
|
|
内訳 |
Scope1 |
合計 |
|
|
|
|
|
|
国内 |
11.6 |
11.6 |
12.0 |
13.0 |
13.8 |
||
|
海外 |
4.8 |
4.9 |
5.7 |
6.2 |
5.2 |
||
|
Scope2 |
合計 |
|
|
|
|
|
|
|
国内 |
20.2 |
20.6 |
21.3 |
21.8 |
24.7 |
||
|
海外 |
31.0 |
31.7 |
41.3 |
39.3 |
40.9 |
||
b. CO2売上高原単位[Scope1+Scope2](グローバル)
|
(t-CO2/百万円) |
|
|
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
CO2売上高原単位 |
0.32 |
0.32 |
0.34 |
0.28 |
0.24 |
c. CO2排出量[Scope3](グローバル)
|
(千t-CO2) |
|
|
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
Scope3 |
|
|
|
|
|
内訳 |
カテゴリ1 購入した製品・サービス |
1,779.6 |
1,885.0 |
2,258.2 |
|
カテゴリ2 資本財 |
68.0 |
59.0 |
70.8 |
|
|
カテゴリ3 Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動 |
12.0 |
12.2 |
13.2 |
|
|
カテゴリ4 輸送、配送(上流) |
82.6 |
90.2 |
77.9 |
|
|
カテゴリ5 事業から出る廃棄物 |
2.3 |
1.8 |
2.1 |
|
|
カテゴリ6 出張 |
0.8 |
0.8 |
0.9 |
|
|
カテゴリ7 雇用者の通勤 |
5.8 |
5.7 |
6.5 |
|
|
カテゴリ8 リース資産(上流) |
算定除外(Scope1,2に計上している) |
|||
|
カテゴリ9 輸送、配送(下流) |
算定除外(合理的な算出ができない) |
|||
|
カテゴリ10 販売した製品の加工 |
算定除外(合理的な算出ができない) |
|||
|
カテゴリ11 販売した製品の使用 |
1,412.9※ |
1,295.4※ |
1,431.8※ |
|
|
カテゴリ12 販売した製品の廃棄 |
14.0 |
14.0 |
16.1 |
|
|
カテゴリ13 リース資産(下流) |
算定除外(資産の外部リースは行っていない) |
|||
|
カテゴリ14 フランチャイズ |
算定除外(フランチャイズ展開をしていない) |
|||
|
カテゴリ15 投資 |
16.4 |
18.5 |
18.2 |
|
※ 自社製品(自社設計商品)のみ算出。
d. サプライチェーン排出量(グローバル)
|
(千t-CO2) |
|
|
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
サプライチェーン排出量(Scope1+Scope2+Scope3) |
|
|
|
|
|
内訳 |
Scope1 |
17.7 |
19.3 |
19.1 |
|
Scope2 |
62.5 |
61.1 |
65.6 |
|
|
Scope3 |
3,394.3 |
3,382.6 |
3,895.8 |
|
(3) 人的資本経営
・人的資本経営の取り組み
当社グループが、社会に貢献し永続的に繁栄する企業を目指していくためには、従業員の多様性確保が必要不可欠と考えております。人種、信条、性別、国籍、身体的特徴等を問わず、多様な人材を採用し、その一人ひとりが自分の能力を最大限に発揮して生き生きと活躍できる環境づくりに取り組んでまいります。
人材育成方針/社内環境整備方針
https://www.topre.co.jp/sustainability/social/policy/human_resources.html
① ガバナンス
人的資本経営におけるガバナンスは、「
② 戦略
a. 基本方針
当社グループは、「何事にも主体性を持ち、常に事態を俯瞰し、論理的に仕事に取り組む人材の育成」を人事方針としております。経済活動がグローバル化し、国内では少子高齢化が進む中で、「客観的に状況を把握し、目標達成に向けて論理的に行動する集団」になることを目指してまいります。
また、2024年度からスタートした第16次中期経営計画の中では、「人材育成と働き易い環境整備に努めて、多様性の意識を持つ人材が活躍できる場を広げ、次代を担う社員に責任ある企業であり続ける」ことを方針のひとつとして掲げております。
b. 重点テーマ/目指す姿
イ. 人権の尊重
・人権と多様性に関する教育の継続的な実施による理解/浸透
・人権デュー・デリジェンスの実施によるガバナンスリスクの低減
ロ. 多様な人材の活躍
・受容性と多様性のある職場づくり
・柔軟な働き方のできる組織づくり
・従業員一人ひとりの個性にあわせた育成/指導
c. 実行施策
<健康経営>
イ. 健康経営優良法人2024(大規模法人部門)の認定
当社グループでは、代表取締役を責任者とした専門組織による健康経営施策の展開を図っております。また、事業所毎に「健康経営推進者」を設置し、事業所単位/職場単位での施策推進や状況確認を行っております。
具体的な施策としましては、
・喫煙率の低下に向けた喫煙ルール強化(喫煙時間や場所の制限拡大、禁煙デーの設定など)
・「従業員の健康/メンタルヘルス」や「仕事と育児の両立」等に関する社内教育の定期的な実施
・労働時間の短縮推進(フレックスタイムや在宅勤務の有効活用、年次有給休暇の計画的取得など)
等を進めており、一定の効果が得られております。これらの取り組みの結果、2024年3月には「健康経営優良法人(大規模法人部門)2024」の認定をいただくことができました。
ロ. ワークライフバランス
当社グループでは、フレックスタイム制度や業務内容に応じた在宅勤務、時差出勤など、個々の業務特性や業務量等にあわせて柔軟な働き方ができるよう、環境整備を進めております。また、年次有給休暇に加えて、勤続年数に応じた「特別休暇(リフレッシュ休暇)」の付与や、従業員及びその家族が約350万コンテンツのメニューの中から選択して利用できる「福利厚生サービス」の提供を行っております。このような制度・サービスの利用を通じて従業員一人ひとりが日々充実した生活をおくることで、心身ともに常に健康であり、それによってモチベーション高く活き活きと働き続けられる環境の実現を目指しております。
<ダイバーシティ推進>
イ. 女性の活躍
ものづくりの企業である当社グループには、技能職・技術職の従業員が多く在籍しておりますが、これらの職種は女性の割合が少なく、また、過去においては当社の募集に対する応募者も少数であったことから、結果的に女性従業員比率が低くなっております。この状況を改善するため、定期(新卒)採用/通年(経験者)採用両面で、女性の採用を積極的に行っております。
女性管理職は現在3名ですが、前述の女性積極採用に加え、従来から性別や国籍等を問わず公平な人事評価と人材育成を行っている影響により、今後は段階的に増加していく見通しでおります。
育児休業に関しましては、女性従業員の育児休業取得率、及びその復帰率は100%であります。近年は、男性従業員の育児休業取得も推進しており、2023年度には18名の利用実績でありました。
今後はワーキンググループの立ち上げや、女性活躍啓発セミナー/キャリア開発教育の実施など、女性がより働きやすい職場環境の構築に向けて、様々な施策を行っていく計画であります。
ロ. 多様な人材の採用
人材の採用活動を継続的に行っている中で、女性はもちろん、外国人、障がい者の採用にも積極的に取り組んでおります。特に、障がい者雇用に関しましては、企業が果たすべき責任として認識するとともに、多様性の実現による新たな価値の創出に向けた重要課題と捉えております。雇用維持と今後の拡大に向けて、個々人の事情にあわせた職場単位での配慮・安全対策や社内教育・啓蒙活動を行い、障がい者の方がより安心して就業できる環境の構築/整備を進めております。
ハ. リファラル/アルムナイ採用の導入
労働人口の減少による人材調達競争の激化や転職市場の活発化・人材の流動化等を鑑み、当社グループが求める人材を安定的に獲得していくための施策のひとつとして、2024年4月から「リファラル/アルムナイ」の導入を開始いたしました。まだ試験運用レベルではありますが、人材の確保と定着率の向上に繋がるように仕組みを整備し、今期中に本格的な運用へと移行させていく計画であります。
<人材育成>
イ. 管理職のマネジメント力、及び従業員全員のキャリア意識向上
現在、当社グループでは、
・多様性を活かした組織と人のマネジメント力向上
・従業員のキャリア自律支援
・次世代人材の計画的な育成
を重点テーマとして、全社教育体系の再構築を進めております。特に重要視している「多様性を活かした組織と人のマネジメント力向上」に関しては、組織のリーダーに対して、人材が多様化した組織における価値観や思考スタイルの違いを認識し、コミュニケーション力を中心としたヒューマンスキルを磨く機会を設けております。
また、「従業員のキャリア自律支援」としては、20代新入社員/30代中堅社員/40~50代ベテラン社員と、年代別に研修の機会を設け、人生における自分のキャリアを様々な視点から考えることで、主体性を高めて業務パフォーマンスの向上に繋げる仕組みを用意しております。
ロ. 次世代生産人材育成プログラム
ものづくりの考え方や手法を主とした「東プレ独自の強み」の着実な伝承、及びものづくり人材の更なるスキルアップを目指して、希望者が参加できる育成プログラムを複数用意し、受講できる仕組みを構築しております。中には執行役員が講師になるプログラムもあり、所属や資格、担当業務等を問わず参加できるため、全社的なスキルの底上げと部門間の情報共有、機能連携を促進する効果を生み出しております。
<従業員エンゲージメント>
当社グループの現状把握、及び今後の発展に向けた課題の抽出を意図し、2023年度に初めて「エンゲージメント調査」を行いました。今回は、オンラインで参画可能な従業員を対象としたトライアルの位置づけでしたが、人材育成と人事評価に関わる改善や新たな施策を推し進めることで、エンゲージメントスコア全体の底上げが見込めることを認識いたしました。エンゲージメント調査は、2024年度から全ての従業員を対象として定期的に実施していく計画であります。
当社グループのエンゲージメント状態を定点観測して優先的に解決すべき課題や変化点を把握し、新たな打ち手の実行と効果測定に繋げてまいります。
③ リスク管理
人的資本経営におけるリスク管理は、「(1)サステナビリティ全般 ②リスク管理」並びに後述する「
④ 指標及び目標
特に「ダイバーシティ推進」を重要視し、定量的な目標を下表のとおり設定しております。
|
指標 |
実 績(2023年度) |
目 標( |
|
・ |
|
|
|
・ |
|
|
|
・ |
|
|
|
・ |
|
|
また、上記以外にも、人事評価の透明性向上やタレントマネジメントに向けた人事情報整備、人権デュー・デリジェンスによるリスクマネジメント強化など、様々な施策の検討を進めております。あわせて、長・中期的な視点で人的資本への投資を行い、従業員一人ひとりの価値を持続的に高めていく方針であります。
なお、上記以外の取り組みにつきましては、当社ウェブサイトにて紹介しておりますのでご参照ください。
https://www.topre.co.jp/sustainability/social/
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<海外事業について>
当社グループでは、プレス関連製品事業における海外拠点として、北米地区におきましては米国アラバマ州、テネシー州、オハイオ州、ミシシッピ州のTopre America Corporation、メキシコ合衆国ケレタロ州のTopre Autoparts Mexico, S.A. de C.V.、アジア地区におきましては中国広東省の東普雷(佛山)汽車部件有限公司、中国湖北省の東普雷(襄陽)汽車部件有限公司、中国湖北省の東普雷(武漢)汽車部件有限公司、中国広東省の広州三池汽車配件有限公司、タイ王国サムットプラカーン県のTOPRE(THAILAND)CO.,LTD.、またインド共和国グジャラート州のTopre India Pvt. Ltd.を設けております。それぞれの国内の景気変動、自動車の販売状況、各種の法律および規制の発動または変更、為替の変動、また感染症・疫病などの発生・蔓延等により当社グループの経営成績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
<製品の不具合について>
当社グループは、自動車用プレス部品をはじめ、冷凍機器、空調機器、電子機器等の多様な製品を生産しており、それぞれの製品に合わせた品質保証体制のもとに製品を出荷しております。製品の不具合を防止するため、品質保証に関わる組織の充実を図るとともに、新たな品質管理手法を取り入れるなど体制の強化を進めております。
また、万が一当社の品質不具合を原因として製造物責任賠償を請求されるような事態に備えるため保険に加入し、こうした事態の発生にともなう費用負担に対応しております。しかしながら、不具合の内容や規模によっては製造業としての当社グループの評価に重大な損失を与え、当社グループの経営成績に影響をおよぼす可能性があります。
<災害等のリスクについて>
当社グループは国内及び海外において事業を展開しており、台風やハリケーン、地震などの自然災害や、ストライキ、騒乱、感染症・疫病等の発生・蔓延などの影響を受けることが考えられます。これらの事態が発生した事業所では生産活動の停滞や停止、設備投資の遅延が生じる可能性があります。また、取引先においても同様に生産活動に支障をきたす可能性があり、いずれも長期間におよんだ場合には当社グループの経営成績に影響をおよぼす可能性があります。
<移転価格税制について>
当社は、海外連結子会社各社との間でロイヤリティの受領、製品の輸出などの海外取引を行っております。当該取引は、独立した第三者間で通常行われる取引価格に準じて取引価格を決定しておりますが、税務当局との見解に相違が生じた場合、当社の経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
<情報セキュリティについて>
当社グループは、国内外の全ての拠点・事業において、様々なIT技術やネットワーク等を活用しております。当社グループは、システム対応人材の確保や育成、社内周知、定期確認などにより、情報セキュリティ体制の強化に取り組んでおります。
しかし、日々高度化・巧妙化するサイバー攻撃等による不測の事態が発生した場合、情報漏洩による社会的信用の低下、損害賠償責任の発生、システムダウンによる顧客や調達先全体を巻き込んだ業務の停止、復旧のための費用等により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響をおよぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ261億4千9百万円増加の3,655億2千5百万円、負債合計は、前連結会計年度末に比べ39億7千4百万円増加の1,487億9千9百万円、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ221億7千4百万円増加の2,167億2千6百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高3,549億2千2百万円(前年同期比22.2%増)、営業利益224億6百万円(同205.6%増)、経常利益378億4千万円(同129.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益170億9千9百万円(同70.8%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、当社グループ内の業績管理区分の一部見直しに伴い、従来「プレス関連製品事業」及び「定温物流関連事業」に含めていた輸送事業の業績は「その他」に含めており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
プレス関連製品事業は、売上高2,945億5百万円(同23.6%増)、セグメント利益(営業利益)163億1千3百万円(同404.8%増)、定温物流関連事業は、売上高451億8千7百万円(同24.1%増)、セグメント利益(営業利益)45億5千6百万円(同75.6%増)、その他(空調機器部門、電子機器部門、輸送事業)は、売上高152億3千万円(同3.5%減)、セグメント利益(営業利益)15億2千7百万円(同5.0%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は514億2千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億7千万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは387億7千1百万円の増加、投資活動によるキャッシュ・フローは265億4千3百万円の減少、財務活動によるキャッシュ・フローは120億6千5百万円の減少となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
プレス関連製品事業 |
297,706 |
125.8 |
|
定温物流関連事業 |
45,714 |
127.7 |
|
その他 |
10,705 |
103.5 |
|
合計 |
354,126 |
125.3 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
プレス関連製品事業 |
304,916 |
124.8 |
50,089 |
126.2 |
|
定温物流関連事業 |
51,615 |
120.9 |
19,688 |
148.5 |
|
その他 |
15,601 |
155.6 |
1,839 |
125.3 |
|
合計 |
372,133 |
125.3 |
71,616 |
131.6 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
プレス関連製品事業 |
294,505 |
123.6 |
|
定温物流関連事業 |
45,187 |
124.0 |
|
その他 |
15,230 |
96.5 |
|
合計 |
354,922 |
122.2 |
(注)主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
日産自動車㈱ |
121,575 |
41.9 |
144,482 |
40.7 |
|
本田技研工業㈱ |
54,357 |
18.7 |
59,286 |
16.7 |
|
トヨタ自動車㈱ |
36,363 |
12.5 |
54,280 |
15.3 |
(注)上記金額には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客への販売高を集約して記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、低価法による売却用金型等の正味売却価額の見積り、減価償却資産の耐用年数の設定、有価証券の減損、貸倒引当金、退職給付債務、税効果会計等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。その際、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
イ.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ261億4千9百万円増加の3,655億2千5百万円となりました。流動資産は、主に受取手形及び売掛金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ208億9千9百万円増加の1,684億9千8百万円となりました。固定資産は、主に建物及び構築物の増加などにより、前連結会計年度末に比べ52億5千万円増加の1,970億2千7百万円となりました。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ39億7千4百万円増加の1,487億9千9百万円となりました。流動負債は、主に1年内償還予定の社債の増加により、1,184億3千8百万円となりました。固定負債では、主に社債の減少により、303億6千1百万円となりました。
(純資産合計)
主に利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ221億7千4百万円増加の2,167億2千6百万円となりました。
ロ.経営成績
(売上高と営業利益)
主にプレス関連製品事業において、半導体不足の影響が緩和し、国内や北米において、前期より物量が増加したことにより、売上高・営業利益ともに前期を上回りました。
この結果、当社グループの業績は、売上高3,549億2千2百万円、前年同期比645億5百万円の増収(22.2%増)となりました。
営業利益は、224億6百万円、前年同期比150億7千5百万円の増益(205.6%増)となりました。
(営業外損益と経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は、為替差益134億4千1百万円、受取利息11億8千9百万円の計上などにより、154億3千4百万円の利益となり、前連結会計年度に比べ、62億4千6百万円の増益となりました。これは、主に前連結会計年度より為替差益が56億8千5百万円増加したことなどによります。
この結果、経常利益は、378億4千万円、前年同期比213億2千2百万円の増益(129.1%増)となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は、主に減損損失25億2千9百万円の計上などにより、30億2千5百万円の損失となり、前連結会計年度に比べ、20億1千万円の減益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比70億8千9百万円の増益(70.8%増)となり、170億9千9百万円となりました。
ハ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は514億2千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億7千万円増加しました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、387億7千1百万円の増加となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益348億1千5百万円、減価償却費276億8百万円です。主な減少要因は、為替差益116億3千7百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、265億4千3百万円の減少となりました。主な増加要因は、定期預金の払戻による収入20億2千2百万円です。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出223億3千9百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、120億6千5百万円の減少となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入100億円です。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出164億9千万円です。
ニ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、鋼材をはじめとした素材価格の高騰に対しては、生産活動に支障をきたさぬよう、安定供給の確保を第一に、そして価格面の影響も最小限にすべく対策を講じてきております。しかし、これは、短期的に収束が期待できない重要な課題であると認識しております。
また、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、諸所の課題を認識しており、体制の構築等に取り組んでおります。
ホ.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの資金需要は、主に運転資金需要と設備資金需要となっております。
運転資金需要は生産活動に必要な材料及び部品の仕入、製造費、また販売費及び一般管理費等の営業費用等であります。設備資金需要は工場建設費用、機械装置及び金型等の投資等によるものであります。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては内部資金の充当を基本としております。不足となった場合は、運転資金は短期借入金、設備資金は長期借入金及び社債の発行により資金調達しております。
設備資金の調達は、国内・海外子会社を含めたグループ全体の長期的な投資計画に基づき、当社で調達計画を作成し、一元管理しております。
ヘ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための指標として、「売上」、「営業利益率」、「ROE」、「ROIC」、「自己資本比率」等を使用しております。
ト.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、当社グループ内の業績管理区分の一部見直しに伴い、従来「プレス関連製品事業」及び「定温物流関連事業」に含めていた輸送事業の業績は「その他」に含めており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
(プレス関連製品事業)
プレス関連製品事業におきましては、半導体不足の影響が緩和し、国内や北米において、前期より物量が増加しました。これによりプレス関連製品事業全体での売上高は、2,945億5百万円、前期比562億9千7百万円の増収(23.6%増)となりました。利益面では、中国において、物量減少の影響を受けたものの、プレス関連製品事業全体では物量の増加により、セグメント利益(営業利益)は、163億1千3百万円、前期比130億8千2百万円の増益(404.8%増)となりました。
セグメント資産は、主に受取手形及び売掛金や仕掛品の増加により、前連結会計年度末に比べ154億1千2百万円増加の3,017億7千2百万円となりました。
(定温物流関連事業)
定温物流関連事業におきましては、冷凍車部門において、部材不足の影響が緩和したことにより、売上は前期を上回りました。その結果、定温物流関連事業全体での売上高は、451億8千7百万円、前期比87億6千4百万円の増収(24.1%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は、価格転嫁に一定の理解を得ることができたことなどにより、45億5千6百万円、前期比19億6千2百万円の増益(75.6%増)となりました。
セグメント資産は、主に現金及び預金や受取手形及び売掛金の増加により、前連結会計年度末に比べ93億2千9百万円増加の463億5千8百万円となりました。
(その他)
電子機器部門におきましては、「REALFORCE」のゲーミングキーボードにおいて、機能拡張を行ったことにより販売台数が増加しましたが、タッチパネル応用製品、OEM向けカスタムキーボードの販売が落ち込んだことから、売上、営業利益ともに前期を下回りました。輸送事業におきましては、売上、営業利益ともに前期を下回りました。空調機器部門におきましては、住宅用換気システムにおいて、高付加価値製品へと切り替えが進んだことや、材料価格高騰について、価格転嫁に一定の理解を得ることができたことにより、売上、営業利益ともに前期を上回りました。その結果、その他の事業全体での売上高は、152億3千万円、前期比5億5千6百万円の減収(3.5%減)となりました。セグメント利益(営業利益)は、15億2千7百万円、前期比7千2百万円の増益(5.0%増)となりました。
セグメント資産は、主に現金及び預金の増加により前連結会計年度末に比べ14億7百万円増加の173億9千5百万円となりました。
当連結会計年度末現在で、継続している経営上の重要な契約等は次のとおりであります。
(1)技術援助を与えている契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
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東プレ㈱ (当社) |
広州東昇機械 有限公司 |
中国 |
自動車用 プレス製品・金型 |
技術情報の提供及び ノウハウの実施許諾 |
2024年2月18日から 2025年2月17日まで |
|
東プレ㈱ (当社) |
FSD Group |
フランス |
自動車用 プレス製品・金型 |
技術情報の提供及び ノウハウの実施許諾 |
2019年5月21日から 2024年5月20日まで |
(注)上記の技術援助契約において、ロイヤリティーとして相手方が売上げた契約品目の一定割合を受取ることとしております。
(2)資本提携契約
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は主に当社が一括して行っております。当社の研究開発活動は、開発部においては当社コア技術を応用して追求分野を広げ新製品の開発・新規事業化を行っており、各事業部においては新機能を追求した新製品、新技術の開発活動を行っております。
なお、当連結会計年度中に支出した研究開発費は、
研究開発の概要
<プレス関連製品事業>
自動車向けプレス部門については、カーボンニュートラルへの取り組みとして、車体の軽量化に貢献できる技術の開発を進めております。冷間ハイテン材については1,470MPa材の適用部品拡大、ホットスタンプについては1,800~2,000MPa級材の量産に向けた準備を進めております。またEV化による車体構造の変革に対応すべく、ホットスタンプドアリングなどの大型一体部品の量産化に向けた技術確立、またギガキャスト等のマルチマテリアル化に対応できる技術として異種材接合技術を開発し、様々な材料の組み合わせによる重量と強度の最適化提案を行うことで、車体の軽量化に貢献してまいります。
<定温物流関連事業>
冷凍機器部門については、商用トラックの電動化に伴い環境配慮型冷凍装置としてBEV対応の電動冷凍システムを開発しており、今年度より大手ユーザー向けに量産化を計画しております。FCEVについてもモニターを拡大し、トラックメーカーと共に市場評価を継続しております。また、加温装置についても電動化に対応したヒートポンプ式の拡大を進めており、昨年度はコンビニユーザーへの量産導入を開始しております。冷凍コンテナについては、物流業界の課題である配送効率向上のため、荷役負荷の軽減を軸に大型コンテナのモデルチェンジとドアオプション部品の開発を進めております。航空輸送についても、昨年度よりカーゴコンテナの量産販売を開始しており、今後も市場ニーズを捉えたラインナップ開発を進めてまいります。
<その他事業>
空調機器部門については、送風機・換気・ヒートポンプ製品の省エネ化に欠かせない技術であるモータ・インバータの研究、開発を進めております。今後、自社の住宅・ビル・工場向け空調製品に展開し、省エネ性向上、CO2排出削減に貢献してまいります。
電子機器部門については、主力商品で多くのお客様からご支持をいただいております「REALFORCE」ブランド製品のラインナップを増やすべく、新しい機能の搭載や新しいデザインでの新商品開発を進めております。OEM製品については、標準仕様の組込型セキュリティPINパッドの技術を生かし、ATMだけでなく、クレジットカードを扱う装置(券売機、精算機など)への採用に向けた商品開発を進めております。また、長年培ってきた組込技術を活かし、お客様の仕様に対応した組込型タッチパネルモニターや、組込型キーボードの開発など、お客様のニーズに沿った商品開発を進めております。自社保有技術である静電容量技術を応用した新製品の開発や、新しい市場の開拓を展開しております。
<開発部>
開発部については、冷熱技術、電子技術等の自社保有技術に新技術を加え、新規事業の創出及び既存事業の拡大に繋がる商品の開発を行っております。新規事業の創出では、持続可能な開発を行うべく、開発システムの確立に向けた展開をしております。定温物流関連では、断熱技術の追求により、ラストワンマイルなどに対応した高断熱物流機器の開発に着手しております。空調機器関連では、大手ハウスメーカーの高断熱住宅をターゲットにオリジナル住宅用全館空調システムの開発に着手しており、電子機器関連では、アナログセンシング技術を応用したプロ仕様のアーケードコントローラーの実用化に向け事業部と連携し展開しております。