第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、社会に対し果たすべき使命および基本的目標を「使命」、「経営理念」として定め、これらを具現化するための戦略を「長期ビジョン」、「中期経営計画」、「単年度計画」として策定しております。

 

使命

「安全、安心、快適を提供することにより社会に貢献する」

 

経営理念

「お客さますべてが満足する商品、サービスを提供します」

「世界の各地域で評価されるグローバルな企業グループとなります」

「個人の創造力を結集してチームワークにより、企業価値を高めます」

 

      0102010_001.png

 

 また、これらを実施するにあたって指標となる「行動指針」、「コンプライアンス行動規範」を定めるとともに、行動規範の一つとしてPDCAを位置付け、「使命」「経営理念」を具現化した商品とサービスをお客様に提供することにより、全てのステークホルダーから評価される企業グループを目指してまいります。

 

行動指針

「お客さまの信頼の向上のために感謝と誠意をもって業務活動を行ないます」

「国内外、社会のニーズに応える品質・コストを追求し、トップブランドを確立します」

「未来を先取りし、絶えずあらゆる部門の技術レベル・生産性を向上させます」

「ルールを遵守し、自由闊達で風通しのよい、やりがいのある職場づくりを行ないます」

「常に自己啓発し、自ら高い目標に挑戦し、自らの役割と責任を認識し価値創造に貢献します」

 

コンプライアンス行動規範

「三和グループは、提供する商品・サービスの安全性を最優先に考え事業活動を行います」

「三和グループは、コンプライアンス行動規範に反した行為による利益追求は行いません」

「三和グループの全ての経営者および管理者は、自ら先頭に立ってコンプライアンス行動規範を遵守し、管下従業員に対して模範となるべく行動します」

 

当社グループのPDCA

 PDCAにおいては、計画から実行、その後の課題評価、次につなげる改善、対策を行うことが重要です。三和グループ全従業員は、すべての業務において、現状に満足せず問題意識を持って取り組み、努力を積み重ねるというモットーを持っています。従って当社グループでは、PDCAを行動規範の一つとして位置づけています。

 

(2) 経営環境

 当社グループの製品は、世界25の国と地域で戸建、集合住宅、商業施設・オフィス、医療・福祉施設、工場・倉庫などビジネスや生活に必要な施設で幅広く使用されています。そのため、日本・北米・欧州・アジアを含む当社グループが属する地域の経済状況や市場動向の変化に適切に対応する必要があります。一方で、事業を通じた世界共通の社会課題の解決への貢献を事業成長の好機と捉え、事業活動を展開しています。

 

(3) 目標とする経営指標

 当社グループでは、売上高、営業利益、営業利益率、ROIC、ROE、自己資本比率、D/Eレシオの財務指標のほか、企業価値増大を目指し、株主・債権者の期待収益(資本コスト)を意識した事業運営を行うことを目標に、当社グループ独自の経済的付加価値指標として「SVA」(Sanwa Value Added)を重要な指標として取り組んでおります。

注)SVA(Sanwa Value Added)は、当社独自の付加価値指標で、株主資本に加えて負債など事業全般の投下資本に対する収益力を示す指標です。

 SVA=NOPAT(税引後営業利益)-投下資本×WACC(6%)

 

<SVAツリー>

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※投下資本=運転資本+固定資産=純資産+有利子負債-(現金同等物+投資有価証券)

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

◎ 長期経営ビジョン「三和グローバルビジョン2030」

 当社グループは、2013年度より長期経営ビジョン「三和グローバルビジョン2020」を推進してまいりました。新型コロナウイルス感染症拡大で影響を受けた戦略を完遂すべく計画の一年延長を余儀なくされましたが、「三和グローバルビジョン2020」の仕上げの年度である2021年度を過去最高の業績で締めくくることができました。

 気候変動やデジタル化などで変化する社会のニーズに応える高機能な開口部ソリューションをグローバルに提供し、サステナビリティ経営と人材力強化により全てのステークホルダーから評価される企業グループとなることを目指し、2022年度より長期経営ビジョン「三和グローバルビジョン2030」をスタートいたしました。

 

「三和グローバルビジョン2030」

To be a Global Leader of Smart Entrance Solutions

~高機能開口部のグローバルリーダーへ~

 

<基本戦略>

1.日・米・欧・ア 世界4極体制でのコア事業の拡大、強化

2.防災・環境対応、製品・サービスのスマート化による顧客価値創造

3.デジタル化とものづくり革新による生産性向上

4.M&Aを活用したコア事業強化と新規事業領域への拡大

5.サステナビリティ経営によるグローバルに評価される企業グループへ

 

(5) 会社の対処すべき課題

○ 中期経営計画2024

 2022年度より、長期経営ビジョン「三和グローバルビジョン2030」の第一次として「中期経営計画2024」をスタートさせ、気候変動やデジタル化で変化する社会のニーズに応える高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーへ向けた基盤の確立に注力してまいります。

 

<基本戦略>

1.日・米・欧のコア事業(シャッター・ドア、サービス)の強化、領域拡大

2.アジア事業の成長力強化

3.防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化推進

4.デジタル化とものづくり革新による生産性向上

5.サステナビリティ経営の推進

 

(日本)

 コア事業の拡大・強化に向けて、生産能力の拡大、付加価値向上による販売価格アップとシェアアップ、法定検査の定着と経年劣化への修理・取替提案の強化によるサービス事業拡大、社内プロセスのデジタル化と生産自動化投資、事業拡大に向けた体制の強化に取り組んでまいります。また、防災・減災・環境に配慮した製品の拡充とIoTを活用した製品・サービスのスマート化を推進してまいります。

 

(米州)

 コア事業の拡大に向けて、川上営業による直接提案型ビジネス、ディーラー網拡充とeコマースなどのチャネル強化によるシェアアップ、ERPによる業務プロセスのデジタル化と工場への省力化投資による製造体制の最適化に取り組んでまいります。また、開閉機等を中心としたIoTや電動化対応によるスマートホームソリューションやアクセスコントロールへの事業領域拡大に取り組んでまいります。

 

(欧州)

 コア事業の拡大に向けて、品揃え強化と販売施策強化によるシェア拡大、フィールドサービスシステムを活用したサービス事業の強化、社内プロセスの更なるデジタル化、生産能力拡大と自動化投資による欧州レベルでの製造、物流の強化に取り組んでまいります。また、IoTに対応したスマート製品の推進や、M&Aの活用とシナジー創出による低シェア地域における事業拡大に取り組んでまいります。

 

(アジア)

 アジア事業の成長力強化に向け、中国常熟工場の稼働によるヒンジドア事業のさらなる拡大とベトナム、台湾、インドネシアの主要工場の生産設備刷新による生産能力の大幅アップ、中国華東地区での販売体制再編による販売力強化と防火・遮熱市場での売上拡大、各地域での多品種化の推進、ERP導入や三和上海による集中管理、人材育成プログラム構築などによる事業基盤の強化に取り組んでまいります。

 

(サステナビリティ経営)

 サステナビリティ経営の推進に向けて、気候変動や防災に対応した製品・サービスの提供、CO2排出量や水使用量、廃棄物排出原単位の削減を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。人材力の強化では人材育成とダイバーシティの推進、グループ経営基盤の強化ではコーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの一層の強化に取り組んでまいります。

 

<経営目標>

 

2021年度実績

2022年度予想

中期経営計画

2024目標

売上高

4,689億円

5,180億円

5,800億円

営業利益

354億円

390億円

450億円

営業利益率

7.6%

7.5%

7.8%

SVA

148億円

164億円

190億円

ROIC

15.9%

16.1%

17.5%

ROE

12.0%

12.4%

13.5%

自己資本比率

52.2%

51.8%

51.1%

D/Eレシオ

0.23

0.23

0.21

※目標の数値及び比率は、2022年度予想時および中期計画策定時に入手可能な情報に基づき算出しておりますので、環境や業況の変化により変更する可能性があります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。当社グループでは、これらのリスク発生の可能性を認識し、代表取締役社長を議長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、その「サステナビリティ委員会」が、リスクマネジメント推進専管組織として、当社グループのリスクマネジメントの基本方針、リスクマネジメントに関する計画、施策の進捗状況の報告・審議を行い、また、下部組織の「品質・環境・CSR推進会議」、およびグループ各社の「CSR推進委員会」が、各社の事業展開に伴い発生するリスクに適切かつ迅速に対応するリスク管理を行い、平素より予防、軽減および発生した場合の対応に努めております。また、主要なリスクを「1.ものづくり」「2.環境」「3.人」「4.グループの経営基盤」に区分し、それぞれのリスクおよび機会とその対応策を記載しております。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.ものづくり

(1)品質リスク

①製造品質

 当社グループでは、各部門において製品の品質確保に留意して万全の体制をとっております。生産部門においては、製品の品質基準の確保および生産性の向上等のため、老朽設備の更新、生産技術の継承、作業環境の改善を進めるとともに、出荷前検査の強化を図っております。またトレーサビリティシステムでのデータ管理により、出荷後における製品不具合等が発生したときの原因究明、対策実施等の対応の仕組みを強化しております。また生産ラインの自動化・ロボットの導入による省人化にも取り組んでまいります。しかし、製造に起因する品質不具合が発生した場合、当社グループの製品の信頼性やブランド価値に悪影響を及ぼす可能性があります。また、代替品等の対応により当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②施工品質

 施工部門においては、施工品質基準の明確化、施工性・安全性の向上等のため、施工技術者への施工研修や技能ランク付け、施工技術の研究開発、安全衛生定例会の実施等に取り組んでおります。しかし、施工に起因する品質不具合や火災事故等が発生した場合、当社グループの施工品質の信頼性やブランド価値が毀損し、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③営業品質

 営業部門においては、多種多様な製品を顧客に提案し、製品仕様等の打合せを円滑に行うため、営業員に対する新製品研修・階層別研修および顧客対応のスキルアップ研修等を実施しております。しかし、顧客への提案内容、打合せの不備等に起因する顧客からの苦情等が発生した場合、当社グループの営業部門の信頼性やブランド価値が毀損し、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④点検品質

 修理・メンテナンス部門においては、顧客に引き渡した製品の将来にわたっての安全性を確保すべく保守点検の契約締結の推進および既設製品のデータベース化を進めております。2016年6月より防火設備の定期検査・報告制度が導入されましたが、全ての防火設備が対象とはなっておらず、防火設備以外の製品の保守点検は法制上強制ではなく任意となっていることもあり、保守点検がなされず、部品の経年劣化等により製品性能が正常に発揮されない潜在的なリスクがあります。

 2004年10月以降に設置した防火シャッターには安全装置が標準装備されていますが、それ以前の防火シャッターには安全装置の設置が義務化されておらず、防火設備定期検査の際に顧客への安全装置設置の提案を行っておりますが、すべてが採用されているわけではありません。このような状況において、万一、製品の経年変化に起因する事故等が発生した場合、当社グループの信頼性やブランド価値が毀損し、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)研究開発リスク

 当社グループは、2004年3月に発生した自動回転ドア(当社グループ会社設置)事故の教訓をもとに、製品の安全対策をさらに強化徹底すべく努めております。世界中の人々の安全、安心、快適を実現するために、常に安全面を考慮した研究開発と技術強化、顧客ニーズの掌握、新商品の開発に努めておりますが、これらの商品開発が市場や業界等の変化するニーズへの対応が遅れた場合、競争力の低下につながり、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)原材料価格・調達リスク

 当社グループの主要材料(鋼板・アルミ・ステンレス等)の価格は、経済環境の動向により高騰する可能性があります。また、副資材や物流費等も需給の関係によって上昇する可能性があります。

 これらの対策として、当社グループでは、コストダウンに全力で取り組んでおりますが、原材料や副資材、物流費等の上昇分の全てを吸収することは困難であり、製品価格の引き上げにも取り組んでおります。しかしながら、価格競争の厳しい市場下で原材料価格等の上昇分を完全にカバーできるかは不透明であり、経済環境の悪化等に伴う製品価格の引き下げ圧力の増大等により、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、製品の主要部材・部品の一部を長年の取引関係とそれに基づいた諸条件等から、グループ外の特定供給元に依存しております。主要部材・部品の確保には、定期的に供給元を評価し、製造プロセスと品質管理体制の確認と、改善指導により供給体制の維持には万全を期しておりますが、それでも供給元の状況の変化等や大規模災害の発生等により主要部材・部品の不足が生じない保証は完全ではありません。その場合、生産・販売、また代替品対応等の影響等により当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 これらの対策として、主要部材・部品の調達に支障が生じないよう、二社購買体制をはじめとした代替調達方法を整備しており、今後もさらに拡充していきます。

 

2.環境

環境・気候変動リスク

 当社グループは、「三和グループ環境方針」に則して環境保全に取り組んでおりますが、環境に関するリスクを完全に取り除くことを保証するものではありません。 2015年12月に気候変動に関する国際連合枠組条約第21回締約国会議(COP21)においていわゆる「パリ協定」が採択され、これを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。

 当社グループでも、気候変動の重要性を認識しており、気候変動の移行リスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク等)と物理的リスク(急性的、慢性的)は当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 移行リスクのうち、政策・法規制リスクとしては炭素税の賦課や温室効果ガス排出規制等が挙げられます。また、技術リスクとしては環境配慮商品に対する研究開発費コストの増加、市場リスクとしてはエネルギーコストおよび廃棄物処理費用の増加等が挙げられます。

 物理的リスクのうち、急性的なリスクとしては、気候変動により近年発生が増加傾向にある局地的な暴風雨、台風の大型化は、生産活動および出荷に悪影響を及ぼし、当社グループの業績および財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。こうした異常気象により生産現場や生産設備、物流インフラが甚大な被害を受けた場合、生産や出荷が長期間にわたり停止する可能性があります。また、慢性的なリスクとしては、夏季の著しい気温上昇にともない、生産現場および施工現場の生産性低下につながるおそれがあります。

 さらに、温室効果ガス排出量・水使用量・産業廃棄物の削減等の自主目標を設定し取り組んでおりますが、その自主目標を達成できなかった場合、当社グループの信頼性やブランド価値が毀損し、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3.人

(1)人権リスク

 当社グループは、人間尊重の立場に立って多様性を尊重し、性別、年齢、国籍、人種、民族、信条、宗教、障がい、出身地域等に基づく差別を禁止しており、その遵守を教育等により推進しております。また調達先に対しても児童労働や強制労働等の人権侵害をしないよう働きかけ、人権の尊重を図っております。しかしながら、万一そのような差別行為が発生した場合、労使紛争・訴訟の提起や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 それらの対策として、人権デューデリジェンスにも取り組んでいきます。

(2)人材リスク

 当社グループが継続的に事業を発展するためには、事業遂行に必要な優秀な人材を採用・確保し、育成する必要があります。しかしながら、必要な人材を継続的に獲得する競争は激化しており、これらの人材獲得や育成が計画どおりに遂行できない可能性があります。人材流出および人材の確保や育成が計画どおりに遂行できない場合、人材不足が生じるリスクがあります。また、当社グループの事業は、年度末の完工物件が多い公共事業や民間設備などの比率が高いため、製品の出荷や現場での施工は、上半期より下半期の方が多い傾向にあり、このことは適切な人員配置が困難になるリスクがあります。それらの結果として、業務遂行能力の低下により長期的に当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが事業を展開している各地域・国において労働慣行の相違が存在しており、法環境の変化、経済環境の変化等予期しない事象を起因とした労使関係の悪化、ストライキ、労働争議等のリスクが存在しております。万一そのような問題が発生、長期化した場合は当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4.グループの経営基盤

(1)経営リスク

①自然災害・感染症リスク

 日本では、地震、津波、台風、ゲリラ豪雨等多くの自然災害に見舞われており、海外でも、地震、津波、ハリケーン等の大規模自然災害が発生するおそれがあり、当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、これらの自然災害の発生に備えて事業継続計画(BCP)の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練の定期的実施等の対策を講じています。しかしながら、自然災害による被害をゼロにすることはできず、被害の状況により当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループでは、災害被害を防ぐもしくは軽減させるための防災商品(防火、防煙、防水、高耐風圧等)の研究開発に取り組んでおり、それらの商品を提供することにより社会に貢献することに注力しています。

 また、2020年初頭から波及した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、全世界でまん延し、日本国内においても企業活動に多大な影響を及ぼしました。

 当社グループでは、日本国内のみならず米国、欧州、アジア各国で事業を展開しており、今後さらなる感染症のまん延により、事業活動が大幅に制約された場合、当社グループの業績および財務状態に重大な影響が生じる可能性があります。

 なお、当社グループでは、感染症リスク対策のニーズに対応するため非接触や抗ウイルス素材を使用した商品の研究開発に取り組んでおり、それらの商品を提供することにより社会に貢献することに注力しています。

 

②地政学リスク

 当社グループでは、日本国内のみならず米国、欧州、アジア各国において、多様な政治的・社会的環境のもとで事業を展開しており、それらの環境に大きな変更が生じた場合、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主な地政学的リスクとして次のようなものが挙げられます。

 ・製品仕様等に関わる予期しない法律または規制の変更

 ・海外移転税制等、外国資本に対する不利な政策または経済要因

 ・テロ、戦争、パンデミック等を含む伝染病、反日暴動等その他の要因による社会的混乱

 当社グループでは、これら地政学リスクへの対応として、海外の状況を常に的確に把握できるよう海外グループ会社に駐在員を派遣し現地経営者と連携を密にするとともに、事業展開している地域の情報を外務省のホームページ等から入手して、海外グループ会社に必要な指示、注意喚起を行うことにより悪影響を最小限にするよう努めています。

 

③経済動向・為替・金利変動・資金調達リスク

 当社グループは、中期経営計画の基本戦略として「日本・米国・欧州でのコアビジネスの事業領域の拡大」および「アジア事業の基盤拡充」に取り組んでいます。1996年に米国のOverhead Door Corporationグループを買収、2003年には欧州のNovofermグループを買収し、日本のみならず米国、欧州、アジア各地域において事業を展開しており、事業の約4割強が欧米地域での生産、販売となっております。またアジア地域においても中国を中心に事業を拡大しつつあります。

 当社グループが展開している各地域の景気が減速・後退する場合は、それぞれ公共事業投資や民間設備投資、新規住宅着工の低下、個人消費の低迷等により、当社グループが提供する製品またはサービスに対する需要が減少する等、当社グループの事業および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このことは、グループ全体としての事業のリスクが分散された反面、純粋に進出地域の経済状況、需要動向による要因のほかに現地特有の新たなリスク顕在化の可能性が生じております。

 また、為替、金利の変動が事業活動に影響を及ぼす可能性があります。金利の変動については、当社グループの金融資産、負債(特に長期負債)の評価に影響を与える可能性があり、保有する有価証券価格についても市場価格の下落リスクにさらされており評価損を計上する等のリスクがあります。

 さらに、海外各地域における売上、費用、資産および負債を含む現地通貨建ての各項目は、連結財務諸表の作成に当たり円換算しているため、為替レートによって想定範囲を超える影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは、為替や金利の変動リスクを軽減するための施策を講じていますが、有効な手段とならない場合もあります。

 予期しない金融危機や業績等の悪化に伴う格付けの低下により、資金調達先から必要な資金調達を得ることができない場合、資金が枯渇するおそれがあります。このため、当社グループでは、資金調達先および調達期間の適度な分散を行い、また信用リスクを高めるよう財務体質の維持・強化を図っております。

 

④財務・会計・投資等関連リスク

 当社グループは、事業を営むうえで取引をする顧客に関しては、情報収集、与信管理などを徹底しておりますが、予期しない事象による顧客の経営破綻が発生した場合、業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。その際には、債権保全など有効な手続きを行い、リスクを最小限に抑えるよう取り組んでおります。

 また、当社グループでは、財務諸表の作成にあたり、会計上の見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき見積りを行っておりますが、不確実な要素を含むため実際の結果と異なる場合があり、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主な見積りリスクとして次のようなものが挙げられます。

 ・債権の貸し倒れ

 ・退職給付に係る負債

 ・固定資産価値の減少

 ・投資有価証券・出資金の減損損失

 ・繰延税金資産の回収可能性

 ・工事損失引当金

 さらに、当社グループが事業を展開している各国、地域における税制改正により、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、将来課税所得の見積り変更等により税金費用が増加するリスクがあります。

 加えて、当社グループは、保有する経営資源の効率的運用を考慮し、企業価値の最大化を目的として事業買収を実施することがあります。買収後において当社グループが認識していない問題が明らかとなった場合や、市場環境や競合状況の変化または何らかの事由により事業展開が計画どおりに進まない場合、投資価値の減損損失を行う必要が生じる等、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 このため、当社グループでは、投資案件に関し経営会議において事業計画の妥当性等を慎重に検討し、投資判断によるリスクを最小限にするよう努めております。

 

(2)コーポレート・ガバナンス関連リスク

 当社グループでは、コーポレート・ガバナンス体制の機関設計として「監査等委員会設置会社」を選択し、取締役の職務執行の組織的監査を行っており、定款の定めに基づき、「重要な業務執行の決定」を取締役に委任し、経営判断の迅速化を図っております。取締役会は、取締役会の実効性を担保するために、毎年取締役会へのアンケートを実施し、取締役会で分析・評価し、その結果をもとに具体的な改善策を実施しております。また取締役の報酬は、譲渡制限付株式報酬による持続的企業価値向上インセンティブを導入し、また、指名・報酬委員会を設置して、公平性・透明性・客観性を強化し、当社取締役に求められる役割と責任に見合った報酬水準および報酬体系となるよう設計しております。このような体制が機関投資家・個人投資家等から評価が得られない場合、当社グループの株価の低下、業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)コンプライアンスリスク

①不正・不祥事・法令違反リスク

 当社グループは、事業を展開するうえで、法律・制度の制定・改正に伴うリスクや知的財産権を含む権利の侵害に関するリスク、訴訟や規制当局による調査および処分に関するリスクを有しております。

 当社グループは、法令遵守と倫理に基づいた企業活動を行う旨を宣言し、当社の取締役および従業員が事業遂行にあたって、各種法令や倫理基準並びに社内コンプライアンス行動規範等から逸脱した行為をすることがないよう、コンプライアンス行動規範を具体的な業務事例としてまとめた冊子を全従業員に配布し、その内容の遵守について誓約書の提出を求める等、さまざまな取り組みを通して徹底を図っています。なおコンプライアンス行動規範については、社会的要請であるESGの観点を充実させるため2020年度に一部改定を行い、それに伴い冊子の改訂版を発行し、コンプライアンス意識定着の再確認を行いました。また、不正行為の防止・早期発見および自浄プロセスの機動性向上を図るべく内部通報制度を導入しております。さらに、事業を展開するすべての国・地域に適用される腐敗・贈収賄禁止法令の遵守を目的として、「贈収賄防止ガイドライン」を策定し、不祥事予防の体制強化を図っております。

 コンプライアンス上の問題が発生した場合に備えて、適時に弁護士等の外部専門家に連絡相談可能な体制を構築しておりますが、万一監督官庁等からの処分、訴訟の提起がなされた場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績および財務状態に影響が生じる可能性があります。

 

②人事労務リスク

 当社グループでは、長時間労働・過重労働の防止のため、勤怠管理システムを導入して従業員の労働時間を管理し、36協定等の法令遵守を徹底しています。また従業員の健康・メンタル不全の予防のため、メンタルヘルス制度を導入しております。さらに、多様な人材が働きやすい職場環境の整備のため、育児休暇制度・定年後の再雇用制度の導入、テレワーク制度の導入、障がい者の雇用の推進を図っております。しかし、法令違反または従業者の健康不全が生じ、労使紛争等が発生した場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績および財務状態に影響が生じる可能性があります。

 

③交通事故リスク

 当社グループでは、車両を使用して事業活動を行っておりますが、交通事故をゼロにすることは困難です。交通事故の発生抑止のため、安全装置装備車両の導入、安全運転意識向上の取組み等を実施していますが、万一重大な交通事故が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜等により、悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)情報セキュリティリスク

 当社グループでは、情報システムに対して、各種障害やセキュリティへの対策を講じていますが、コンピューターウイルスによる個人情報や重要機密情報の漏えい、不正アクセスによる情報の消失・改ざん、不慮の情報システム停止等で当社グループの業績および財務状態に影響が生じる可能性があります。

 当社グループでは、2019年に情報セキュリティ対策会議を設置し、グループ全体のセキュリティリスクの把握と、それに対する対策の推進を進めております。また、サイバー攻撃を受けた場合の事業の中断を最小限にとどめるため、サイバー攻撃を想定した事業継続計画(IT-BCP)を策定しています。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、次のとおりであります。

 

① 事業全体の状況

 当社グループは、2020年度を最終年度としていました「三和グローバルビジョン2020」第三次中期経営計画を1年延長させ2021年度までとし、コロナ禍での適切な対応に加え、コロナ禍でその実行に影響を受けた中期経営計画で定めた戦略を完遂すべく、引き続き、以下の戦略に取り組みました。

<基本戦略>

 ①日・米・欧のコアビジネスの事業領域拡大と強化

 ②サービス分野の強化とビジネスモデルの拡大

 ③アジア事業の基盤拡充

 ④働き方改革と生産性向上

 ⑤ESGを推進し、社会からより信頼される企業体質へ

 

2021年度実績

(百万円)

2020年度実績

(百万円)

対前年増減額

(百万円)

対前年増減額

(%)

売上高

468,956

427,061

41,894

9.8%

営業利益

35,487

33,077

2,410

7.3%

経常利益

34,122

32,142

1,980

6.2%

親会社株主に帰属する当期純利益

22,842

21,251

1,590

7.5%

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、国内事業においては、基幹商品のシャッター製品やメンテ・サービス事業が順調に推移し、増収・増益となりました。北米事業においては、引き続き好調な住宅市場の後押しもあり、主力のガレージドアが順調に推移しました。原材料価格の高騰、サプライチェーンの混乱等のマイナス要因もありましたが、増収・増益となりました。欧州事業においては、新型コロナウイルス感染症に対する欧州各国による行動制限の緩和に伴い市場が回復し、増収・増益となりました。アジア事業においては、販売・生産体制の再構築など事業基盤の強化に取り組み、増収・増益となりました。また、サプライチェーンの混乱や原材料の価格高騰に対応すべく、グループ各社にて調達確保と販売価格への転嫁、コスト削減に努めました。

 

② セグメント情報に記載された区分ごとの状況

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

2021年度実績

(百万円)

2020年度実績

(百万円)

対前年増減額

(百万円)

対前年増減額

(%)

売上高

468,956

427,061

41,894

9.8%

日本

236,375

231,133

5,241

2.3%

北米

139,106

117,157

21,948

18.7%

欧州

85,763

72,116

13,646

18.9%

アジア

7,649

6,591

1,057

16.0%

調整額

62

62

-%

営業利益

(セグメント利益)

35,487

33,077

2,410

7.3%

日本

27,910

26,219

1,690

6.4%

北米

8,378

7,733

644

8.3%

欧州

3,935

3,092

843

27.3%

アジア

119

△539

659

(+)

調整額

△4,857

△3,428

△1,428

(-)

 

(日本)

 基幹事業の拡大として、シャッター・ドアの収益性確保と顧客戦略の推進、生産・物流・施工力強化に努め、防火設備の法定検査のシェア拡大をテコにした修理・メンテ事業の拡大に取り組みました。また、成長事業の拡大として、グループ連携によるシナジー強化に努めました。

 以上の結果、物流施設を中心に重量シャッターが順調に推移し、軽量シャッターも堅調でメンテ・サービス事業も前年のコロナ影響から回復し、収益認識会計基準適用に伴う影響もあり、売上高は、前連結会計年度に比べ2.3%増の236,375百万円、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ6.4%増の27,910百万円のセグメント利益となりました。

 

(北米)

 基幹事業の拡大として、ドア事業では住宅用改築向け強化策として大都市圏などの販売チャネル拡大を継続実施し、商業用ドア拡大策として製品拡充および代理店網拡充によるシェアアップに取り組みました。開閉機事業では、リテール戦略強化とIoT分野での商品開発拡充に注力しました。また、周辺事業分野への参入に注力し、2021年4月には横引スライド式ドアの製造販売を手掛けるWon-Door社を買収しました。

 以上の結果、好調な住宅市場を背景に住宅向けが引き続き順調に推移し、非住宅向けも堅調でしたが、原材料高騰やサプライチェーン混乱、人手不足によるコスト増もあり、売上高は、前連結会計年度に比べ18.7%増の139,106百万円(外貨ベースでは14.5%増)、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ8.3%増の8,378百万円のセグメント利益となりました。

 

(欧州)

 基幹事業の拡大として、産業用製品事業では生産ネットワークの再編強化による生産性改善や受注強化によるシェア拡大に努めました。2021年10月にはフランスのManuregion S.A.S.を買収し、産業用製品事業とサービス事業の強化を図りました。ヒンジドア事業では欧州耐火ドア基準対応商品の継続的なレンジ拡大に努めました。また、業務プロセス改革として販売・サービス・生産・物流などの各プロセスでデジタル化を推進しました。

 以上の結果、欧州各国ともに行動制限の緩和に伴い昨年のコロナ影響から回復し、売上高は、前連結会計年度に比べ18.9%増の85,763百万円(外貨ベースでは11.3%増)、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ27.3%増の3,935百万円のセグメント利益となりました。

 

(アジア)

 事業基盤の拡充に向け、中国華東地区ではドア事業および物流施設向け事業の強化、中国華南地区では協業強化による事業拡大、台湾、ASEAN地域においては事業各社の生産及び施工体制の再構築と生産最適化、アジア事業管理体制の強化に取り組みました。

 以上の結果、売上高は、前連結会計年度に比べ16.0%増の7,649百万円、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ659百万円改善し、119百万円のセグメント利益となりました。

 

③ 目標とする経営指標の達成状況等

 当社の目標とする経営指標の達成状況は以下のとおりであります。

 

2021年度実績

2020年度実績

2021年度修正予想

売上高

4,689億円

4,270億円

4,570億円

営業利益

354億円

330億円

340億円

営業利益率

7.6%

7.7%

7.4%

SVA

148億円

136億円

145億円

ROIC

15.9%

15.5%

16.5%

ROE

12.0%

12.4%

12.0%

自己資本比率

52.2%

47.9%

48.0%

D/Eレシオ

0.23

0.36

0.25

 当社グループは、2001年度から業績評価指標としてSVA(Sanwa Value Added)を採用し、資本コストや資本効率を意識して取り組んでいます。2021年度のSVAは前年、予想ともに超過し148億円となりました。また、売上高等のほぼ全ての項目を達成しており、着実に企業価値を積み上げているものと考えています。

 

 生産、受注及び販売実績は以下のとおりであります。

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

183,065

103.1

北米

111,080

126.4

欧州

60,456

125.5

アジア

6,431

118.6

合計

361,032

113.1

(注)上記の金額は、製造原価によっており、相殺消去前の金額であります。

 

b.受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

日本

245,013

104.3

102,561

108.6

北米

183,182

142.3

57,553

516.6

欧州

93,709

127.2

24,388

154.8

アジア

11,722

163.9

13,249

174.9

合計

533,627

120.1

197,752

153.4

(注)1 上記の金額は、相殺消去後の金額であります。

2 当連結会計年度の北米セグメントにおいて受注残高に著しい変動がありました。これは、サプライチェーン混乱に伴う影響により、期末時点において未出荷が増加したことによるものであります。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント等の名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

236,375

102.3

北米

139,106

118.7

欧州

85,763

118.9

アジア

7,649

116.0

報告セグメント計

468,894

109.8

調整額

62

100.0

合計

468,956

109.8

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

 a.資本政策の基本的な方針

 当社グループの資本政策につきましては、財務の安定性を確保した上で資本効率の向上を図ることが重要であり、そのバランスをとりながら、最適な投資・株主還元等を実施し、中長期的に企業価値を高めていくことを基本方針としています。

<当面の資本政策・財務方針>

 「三和グローバルビジョン2030」では、気候変動やデジタル化で変化する社会のニーズに応える高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーへ向けた基盤の確立に注力し、戦略的な成長投資を最優先といたします。

1.資本・負債構成

(1)自己資本比率は、40%以上を維持する方針で取組みます。

(2)負債については、財務の健全性を損なわない負債構成に努めてまいります。

2.投資

(1)設備投資:既存事業の維持・継続に必要な設備投資は、原則減価償却費の範囲内で実施します。

(2)M&A、事業提携等の投資:コア事業並びに将来的にコア事業への成長が期待できる関連分野への投資を優先的に検討いたします。

3.株主還元

(1)配当性向は連結当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)の40%を目安といたします。

(2)上記記載の「投資」を優先し、投資による大きなキャッシュアウトがなければ自己株式の取得を検討いたします。

 

 b.財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は、主に収益認識会計基準の適用により仕掛品が減少しましたが、売上債権や原材料等の棚卸資産及び買収に伴う固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ11,077百万円増加し386,237百万円となりました。負債は、主に仕入債務が増加しましたが、社債の償還等により、前連結会計年度末に比べ10,846百万円減少し182,925百万円となりました。純資産は、主に利益剰余金と為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ21,924百万円増加し203,311百万円となりました。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ4.3ポイント増加し52.2%となりました。

 

 c.当期のキャッシュ・フローの概況

 当社グループは、グローバル・メジャーへ挑戦するために、戦略的な投資を最優先とし、フリー・キャッシュ・フローから配分し、多品種化の推進とサービス事業の強化やシナジー効果が見込める成長分野を中心に投資を行っております。また、株主還元については2022年度より配当性向40%を目安といたします。

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ26,398百万円減少し61,397百万円となりました。当連結会計年度における区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上等により20,526百万円の資金増加(前連結会計年度は50,144百万円の資金増加)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に子会社株式の取得や固定資産の取得により21,353百万円の資金減少(前連結会計年度は11,177百万円の資金減少)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、主に社債の償還と配当金の支払等により27,363百万円の資金減少(前連結会計年度は6,102百万円の資金減少)となりました。

 

② 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値、偶発債務の開示、各連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき行っており、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、詳細につきましては、重要性がないものと判断した事項を除き「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 なお、当期の連結財務諸表の作成にあたって、新型コロナウイルス感染症の影響は、今後も数年続くものとして見通せる影響を会計上の見積り及び仮定の設定について検討しておりますが、現時点において重要な影響を与えるものではないと判断しております。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発活動は、防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化の推進を図り、かつ、品質、安全、施工性の向上及びコストダウンを推し進めながら、新製品の開発及び既存製品の改良に取り組みました。なお、研究開発費の総額は5,143百万円となっております。

 セグメント別の研究開発活動は以下のとおりであります。

 

(1) 日本

 主にシャッター、ドア商品の開発に注力しており、物流倉庫、工場及び商業・一般ビル向けとしては、重量シャッター耐風形スラットにおいて耐風フックの構造を見直すことで、耐風圧性能を向上させ、設計範囲をW=10.2mまで拡大しました。一部の設計範囲においては製品重量削減による環境配慮に繋がります。なお、専用の熱押形鋼ガイドレールを使用することにより、最大設計範囲W=10.2mにおいて、倉庫業法で求められる強度2500Paにも対応可能です。

 ドア商品の商業・一般ビル向けでは、ガラス入り特定防火設備自動ドアに電気式自閉装置を採用した「ファイヤードSオートドア スチール仕様」の特定防火設備大臣認定を取得、発売しました。従来の機械式自閉装置の場合、避難開口に使用するために引き戸の中に開き戸を設ける必要がありましたが、電気式自閉装置の場合は避難時の開放力が小さいため、開き戸を設ける必要がありません。また、人が通行する開口部の床面は、床レールを設けないことで、バリアフリー化に対応することができます。マンション市場向け商品では、昨今の通風・換気ニーズに対応するためマンションのリニューアル用玄関ドア「エックスドールチェンジ」に通風・換気仕様を追加しました。通風口が目立たないスタイリッシュなデザインとなっており、ドアを閉めたままで通風・換気ができます。医療・福祉施設向け商品では、鋼製軽量引き戸「スムードS」の戸袋なし納まりに三和グループである昭和建産株式会社のミリオン・エンジンを追加しました。また感染症対策として、非接触スイッチの対応が可能となりました。

 住宅用窓シャッター商品では、防災・減災商品として業界最大の耐風圧強度を有する高耐風圧窓シャッター「マドモア耐風ガードGⅡタイプ」に、業界初となる防火仕様の土間・バルコニー納まりを追加し、防火・準防火地域の2階以上のバルコニーや1階土間に設置可能になりました。また、窓シャッター「マドモアシリーズ」を、スマートホーム総合アプリ「HomeLink」に対応させ、スマートフォンやスマートスピーカーでの簡単操作や、家電、住宅設備との連携による一括操作を可能としました。中低層ビル向けサッシ商品では「明治オーニング」(非防火仕様)をリニューアルしました。20年度に発売した防火仕様をベースとした改良により、業界最大の設計範囲や耐風圧性能を有しており、感染症予防に効果的な換気をしっかり行うことが可能です。ガレージ向け商品では、ガレージシャッター「エレガノ」をグレードアップしました。フラットでスタイリッシュな意匠はそのままに、近年大型化している台風を見据え、業界最大の耐風圧1200Paを実現しました。更に、障害物を高精度で検知する多軸エリアセンサをシャッターの内外に配置することで、安全性を更に強化しました。加えてアルミフラットガレージドア「威風動々」防火タイプに、木目調5色を追加しました。従来のステンカラー、シルバーに木目調5色が加わった7色の豊富なカラーバリエーションの中から、住宅に調和するデザインをお選びいただけます。また、従来比2倍の開放速度を実現した「サンオート ハイスピード」を発売しました。スムーズな開閉で、日々の入出庫を快適にサポートします。

 間仕切関連商品の商業・一般ビル向け商品では、従来のガラスパーティションにスリムな方立を採用したガラス引き戸「スライドクール」を発売しました。ガラスパーティションとの連装により、一面ガラスの開放感を確保しながら、統一した意匠で引き戸を組み込むことが可能となりました。トイレブースでは、空間を有効に使うことのできる曲面形状のスライドドア「Rブース TR40」のバリアフリー仕様に、非接触でドアの開閉や施錠ができ、不特定多数が利用する施設内でも衛生的に開閉することができる電動タイプを追加し、バリエーション拡充を図りました。また、トイレブースのバリエーションとして、ドアパネルの上下のチリ寸法を一般的なトイレより小さくすることで安心してご使用いただける「プライバシータイプ」を追加しました。

 環境関連商品の防水商品では、防水商品では、増大する自然災害リスクへの対応として、性能向上や商品ラインアップの充実を図りました。シャッタータイプの「ウォーターガード 防水シャッター」は、業界初で初めて防火区画に設置ができる防火・防煙タイプを発売しました。この防火・防煙タイプは一般社団法人 防災安全協会が主催する「防災防疫製品大賞©2021機能」で「最優秀賞」を受賞しました。ドアタイプでは「ウォーターガード Sタイトドア」の浸水高さを2mから3mの高水位まで引き上げました。また、既設現場の扉を防水扉に改修できる「カバー工法」を追加しました。工場・倉庫向け商品では、大型化した台風や多階層化した大型物流倉庫へ設置可能な高強度オーバースライダー「耐風ガードOSD」を発売しました。パネルやローラ軸の構造を見直すことで、耐風圧強度4500Paにおける設計範囲の最大Wは8.3mまで対応し、業界最大の開口幅を確保しています。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は、1,927百万円であります。

 

(2) 北米

 主に住宅用・商業用開閉機の開発に注力しており、商業用開閉機については、耐風圧製品、ハイスピードドアなどの新製品の追加、他社製品も操作可能なワイヤレステンキーや大型ドア向けWi-Fi搭載の開閉機の開発・販売を行い、また、住宅用開閉機については、宅配ボックス向け、ホームオートメーション対応のWi-Fi接続商品の開発やホームセンター向けの商品拡充に努めました。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は、2,366百万円であります。

 

(3) 欧州

 主に産業用ドア・ヒンジドア・ガレージドアの開発に注力しており、産業用ドアについては、開閉機のみでスプリングを使用せずに開閉可能な産業用ドアや高耐風圧性能を有する高速シャッターなどの開発・販売を行い、また、ヒンジドアについては、欧州共通の耐火基準をクリアするために開発した耐火スライディングドアや製品ラインナップ拡充に注力し、ガレージドアについては、ホームオートメーション対応のWi-Fi接続商品開発に引き続き注力しました。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は、843百万円であります。

 

(4) アジア

 主に中国、香港、台湾、ベトナムにおいて、シャッター製品・ドア製品等の開発・改良に注力しています。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は、5百万円であります。