第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、社会に対し果たすべき使命および基本的目標を「使命」、「経営理念」として定め、これらを具現化するための戦略を「長期ビジョン」、「中期経営計画」、「単年度計画」として策定しております。

 

使命

「安全、安心、快適を提供することにより社会に貢献します」

 

経営理念

「お客さますべてが満足する商品、サービスを提供します」

「世界の各地域で評価されるグローバルな企業グループとなります」

「個人の創造力を結集してチームワークにより、企業価値を高めます」

 

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 また、これらを実施するにあたって指標となる「行動指針」、「コンプライアンス行動規範」を定めるとともに、行動規範の一つとしてPDCAを位置付け、「使命」「経営理念」を具現化した商品とサービスをお客様に提供することにより、全てのステークホルダーから評価される企業グループを目指してまいります。

 

行動指針

「お客さまの信頼の向上のために感謝と誠意をもって業務活動を行ないます」

「国内外、社会のニーズに応える品質・コストを追求し、トップブランドを確立します」

「未来を先取りし、絶えずあらゆる部門の技術レベル・生産性を向上させます」

「ルールを遵守し、自由闊達で風通しのよい、やりがいのある職場づくりを行ないます」

「常に自己啓発し、自ら高い目標に挑戦し、自らの役割と責任を認識し価値創造に貢献します」

 

コンプライアンス行動規範

「三和グループは、提供する商品・サービスの安全性を最優先に考え事業活動を行います」

「三和グループは、コンプライアンス行動規範に反した行為による利益追求は行いません」

「三和グループの全ての経営者および管理者は、自ら先頭に立ってコンプライアンス行動規範を遵守し、管下従業員に対して模範となるべく行動します」

 

当社グループのPDCA

 PDCAにおいては、計画から実行、その後の課題評価、次につなげる改善、対策を行うことが重要です。三和グループ全従業員は、すべての業務において、現状に満足せず問題意識を持って取り組み、努力を積み重ねるというモットーを持っています。従って当社グループでは、PDCAを行動規範の一つとして位置づけています。

 

(2) 経営環境

 当社グループの製品は、世界27の国と地域で戸建、集合住宅、商業施設・オフィス、医療・福祉施設、工場・倉庫などビジネスや生活に必要な施設で幅広く使用されています。そのため、日本・北米・欧州・アジアを含む当社グループが属する地域の経済状況や市場動向の変化に適切に対応する必要があります。一方で、事業を通じた世界共通の社会課題の解決への貢献を事業成長の好機と捉え、事業活動を展開しています。

 

(3) 目標とする経営指標

 当社グループでは、売上高、営業利益、営業利益率、ROIC、ROE、自己資本比率、D/Eレシオの財務指標のほか、企業価値増大を目指し、株主・債権者の期待収益(資本コスト)を意識した事業運営を行うことを目標に、当社グループ独自の経済的付加価値指標として「SVA」(Sanwa Value Added)を重要な指標として取り組んでおります。

注)SVA(Sanwa Value Added)は、当社独自の付加価値指標で、株主資本に加えて負債など事業全般の投下資本に対する収益力を示す指標です。

 SVA=NOPAT(税引後営業利益)-投下資本×WACC(6%)

 

<SVAツリー>

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※投下資本=運転資本+固定資産=純資産+有利子負債-(現金同等物+投資有価証券)

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

◎ 長期経営ビジョン「三和グローバルビジョン2030」

 2022年度より長期経営ビジョン「三和グローバルビジョン2030」をスタートさせました。気候変動やデジタル化などで変化する社会のニーズに応える高機能な開口部ソリューションをグローバルに提供し、サステナビリティ経営と人材力強化により全てのステークホルダーから評価される企業グループとなることを目指し、基本戦略を着実に実行してまいります。

 

「三和グローバルビジョン2030」

To be a Global Leader of Smart Entrance Solutions

~高機能開口部のグローバルリーダーへ~

 

<基本戦略>

1.日・米・欧・ア 世界4極体制でのコア事業の拡大、強化

2.防災・環境対応、製品・サービスのスマート化による顧客価値創造

3.デジタル化とものづくり革新による生産性向上

4.M&Aを活用したコア事業強化と新規事業領域への拡大

5.サステナビリティ経営によるグローバルに評価される企業グループへ

 

(5) 会社の対処すべき課題

○ 中期経営計画2024

 2022年度より、長期経営ビジョン「三和グローバルビジョン2030」の第一次として「中期経営計画2024」をスタートさせ、気候変動やデジタル化で変化する社会のニーズに応える高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーへ向けた基盤の確立に注力してまいります。

 

<基本戦略>

1.日・米・欧のコア事業(シャッター・ドア、サービス)の強化、領域拡大

2.アジア事業の成長力強化

3.防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化推進

4.デジタル化とものづくり革新による生産性向上

5.サステナビリティ経営の推進

 

(日本)

 コア事業の拡大・強化に向けて、生産能力の拡大、付加価値向上による販売価格アップとシェアアップ、法定検査の定着と経年劣化への修理・取替提案の強化によるサービス事業拡大、社内プロセスのデジタル化と生産自動化投資、事業拡大に向けた体制の強化に取り組んでまいります。また、防災・減災・環境に配慮した製品の拡充とIoTを活用した製品・サービスのスマート化を推進してまいります。

 

(米州)

 コア事業の拡大に向けて、川上営業による直接提案型ビジネス、ディーラー網拡充とeコマースなどのチャネル強化によるシェアアップ、ERPによる業務プロセスのデジタル化と工場への省力化投資による製造体制の最適化に取り組んでまいります。また、開閉機等を中心としたIoTや電動化対応によるスマートホームソリューションやアクセスコントロールへの事業領域拡大に取り組んでまいります。

 

(欧州)

 コア事業の拡大に向けて、品揃え強化と販売施策強化によるシェア拡大、フィールドサービスシステムを活用したサービス事業の強化、社内プロセスの更なるデジタル化、生産能力拡大と自動化投資による欧州レベルでの製造、物流の強化に取り組んでまいります。また、IoTに対応したスマート製品の推進や、M&Aの活用とシナジー創出による低シェア地域における事業拡大に取り組んでまいります。

 

(アジア)

 アジア事業の成長力強化に向け、中国常熟工場の稼働によるヒンジドア事業のさらなる拡大とベトナム、台湾、インドネシアの主要工場の生産設備刷新による生産能力の大幅アップ、中国華東地区での販売体制再編による販売力強化と防火・遮熱市場での売上拡大、各地域での多品種化の推進、ERP導入や三和上海による集中管理、人材育成プログラム構築などによる事業基盤の強化に取り組んでまいります。

 

(サステナビリティ経営)

 サステナビリティ経営の推進に向けて、気候変動や防災に対応した製品・サービスの提供、CO2排出量や水使用量、廃棄物排出原単位の削減を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。人材力の強化では人材育成とダイバーシティの推進、グループ経営基盤の強化ではコーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの一層の強化に取り組んでまいります。

 

<経営目標>

 

2022年度実績

2023年度予想

中期経営計画

2024目標

売上高

5,881億円

5,800億円

5,800億円

営業利益

563億円

475億円

450億円

営業利益率

9.6%

8.2%

7.8%

SVA

269億円

200億円

190億円

ROIC

20.9%

16.5%

17.5%

ROE

15.0%

13.0%

13.5%

自己資本比率

54.4%

54.4%

51.1%

D/Eレシオ

0.20

0.19

0.21

※2023年度予想は、予想時に入手可能な情報に基づき算出しておりますので環境や業況の変化により変更する可能性があります。

中期経営計画2024の目標は、中期計画策定時に入手可能な情報に基づき算出した目標数値を据え置きますが、基本戦略を着実に遂行し目標を上回る達成を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 脱炭素、人権・人種問題など地球規模の社会課題に対して積極的に関与し、課題解決に向けた取り組みを推進していくことは、限りある資源や多数のサプライチェーンに支えられて事業活動を営む企業に課せられた使命であると考えています。

 当社グループは、サステナビリティやSDGsという言葉が浸透する以前より、シャッターやドア、間仕切などの商品やサービスを通じて、安全・安心・快適な日々の暮らしを支え続けてきました。当初は防犯上の目的で普及の進んだシャッターは、次第に防火・防煙といった火災への対応や耐震性能が求められるようになり、最近では集中豪雨への対応としての防水性能や、大型化する台風への対策としての耐風性能が求められるようになってきています。

 また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、私たちの自動ドアや間仕切が貢献できる場面も拡大しています。環境変化の激しい現代社会において、社会課題やニーズにスピーディーに対応できることが重要だと考えています。

 

①サステナビリティ全般のガバナンス・リスク管理

 サステナビリティの実践を通して中長期的な価値向上を図るため、三和ホールディングス代表取締役社長を議長とする「サステナビリティ委員会」を原則として四半期に1回開催し、地球環境保全、人権尊重、働き方改革、ジェンダーにおける平等、ガバナンスなど、サステナビリティに関わる課題に対してグループ全体の方針等の審議や推進に取り組んでいます。あわせて、グループ経営に関する様々なリスクを審議するため、「サステナビリティ委員会」において、当社グループのリスクマネジメントの基本方針、リスクマネジメントに関する計画、施策の進捗状況の報告・審議を行っています。取締役会への報告、国内や海外の各種会議体とも連携を図りながら、グループ全体のサステナビリティマネジメントシステムの構築を図っています。

 

 <サステナビリティ推進体制図>

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 <ステークホルダーとの対話と協働>

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(2)人的資本、多様性に関する方針、目標

①人的資本・多様性確保についての考え方

 当社グループは、性別・国籍・採用形態にとらわれず、個々の特性や能力を重視した人材の採用および登用を行っております。多様な価値観を尊重し自由闊達で風通しの良い職場環境を作ることは、持続的な成長と企業価値の向上を実現させるためには不可欠であると考えています。

 

 <“ESGマテリアリティ~人~”と価値向上との関係図>

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②指標と目標

 「三和グローバルビジョン2030」では、基本戦略として「サステナビリティ経営の推進」を掲げ、「ものづくり」「環境」「人」の観点でそれぞれKPIを設定しております。このうち、「人」という観点では、「ダイバーシティの推進」をESGマテリアリティの一つに特定し、これに紐づくKPIとし、2030年度までに、女性従業員比率(連結)を20%(2022年度実績:19.8%)、女性管理職比率(連結)を15%(2022年度実績:10.9%)に設定いたしました。

 なお、当社グループは、日本のほか米州・欧州・アジア各国にグローバル展開をしております。これらの地域では、中途採用および外国人という概念はなく、また、これによって昇進や管理職への登用にあたり差異は生じておりません。従いまして、当社グループでは中途採用および外国人について特段の目標は設定しておりません。ご参考までに、当社グループの中核事業会社である三和シヤッター工業㈱は、2023年3月末現在で従業員の約半数が中途採用者であり、管理職の約半数も中途採用者であることから、採用形態の違いによって管理職への登用に影響を与えることはありません。

 

 <“ESGマテリアリティ~人~”のKPI>

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③多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針

 当社グループでは上記を実現するために女性活躍推進法に基づく行動計画に則り、職業生活と家庭生活が両立できる環境と体制の整備を行い、女性が安心して働ける職場づくりを図っています。人材の育成・開発は専門組織を設置し、階層や目的別の各種研修を体系化し、多様な人材の育成に関する体制整備を図っています。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。当社グループでは、これらのリスク発生の可能性を認識し、代表取締役社長を議長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、その「サステナビリティ委員会」が、リスクマネジメント推進専管組織として、当社グループのリスクマネジメントの基本方針、リスクマネジメントに関する計画、施策の進捗状況の報告・審議を行い、また、下部組織の「品質・環境・CSR推進会議」、およびグループ各社の「CSR推進委員会」が、各社の事業展開に伴い発生するリスクに適切かつ迅速に対応するリスク管理を行い、平素より予防、軽減および発生した場合の対応に努めております。また、主要なリスクを「1.ものづくり」「2.環境」「3.人」「4.グループの経営基盤」に区分し、それぞれのリスクおよび機会とその対応策を記載しております。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.ものづくり

(1)品質リスク

①製造品質

 当社グループでは、各部門において製品の品質確保に留意して万全の体制をとっております。生産部門においては、製品の品質基準の確保および生産性の向上等のため、老朽設備の更新、生産技術の継承、作業環境の改善を進めるとともに、出荷前検査の強化を図っております。またトレーサビリティシステムでのデータ管理により、出荷後における製品不具合等が発生したときの原因究明、対策実施等の対応の仕組みを強化しております。また生産ラインの自動化・ロボットの導入による省人化にも取り組んでまいります。しかし、製造に起因する品質不具合が発生した場合、当社グループの製品の信頼性やブランド価値に悪影響を及ぼす可能性があります。また、代替品等の対応により当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②施工品質

 施工部門においては、施工品質基準の明確化、施工性・安全性の向上等のため、施工技術者への施工研修や技能ランク付け、施工技術の研究開発、安全衛生定例会の実施等に取り組んでおります。しかし、施工に起因する品質不具合や火災事故等が発生した場合、当社グループの施工品質の信頼性やブランド価値が毀損し、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③設計品質

 設計部門においては、最新の設計システムの導入、営業員が利用できる簡易作図システム等の導入により、設計品質の向上や設計員の業務効率化に取り組んでおります。しかし、設計に起因する品質不具合が発生した場合、当社グループの設計品質の信頼性やブランド価値が毀損し、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④営業品質

 営業部門においては、多種多様な製品を顧客に提案し、製品仕様等の打合せを円滑に行うため、営業員に対する新製品研修・階層別研修およびスキルアップ研修等を実施しております。しかし、顧客への提案内容、打合せの不備等に起因する顧客からの苦情等が発生した場合、当社グループの営業部門の信頼性やブランド価値が毀損し、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤点検品質

 修理・メンテナンス部門においては、顧客に引き渡した製品の将来にわたっての安全性を確保すべく保守点検の契約締結の推進および既設製品のデータベース化を進めております。2016年6月より防火設備の定期検査・報告制度が導入されましたが、全ての防火設備が対象とはなっておらず、防火設備以外の製品の保守点検は法制上強制ではなく任意となっていることもあり、保守点検がなされず、部品の経年劣化等により製品性能が正常に発揮されない潜在的なリスクがあります。

 2004年10月以降に設置した防火シャッターには安全装置が標準装備されていますが、それ以前の防火シャッターには安全装置の設置が義務化されておらず、防火設備定期検査の際に顧客への安全装置設置の提案を行っておりますが、すべてが採用されているわけではありません。このような状況において、万一、製品の経年変化に起因する事故等が発生した場合、当社グループの信頼性やブランド価値が毀損し、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)研究開発リスク

 当社グループは、2004年3月に発生した自動回転ドア(当社グループ会社設置)事故の教訓をもとに、製品の安全対策をさらに強化徹底すべく努めております。世界中の人々の安全、安心、快適を実現するために、常に安全面を考慮した研究開発と技術強化、顧客ニーズの掌握、新商品の開発に努めております。また気候変動対応(緩和・適応)商品、IoT対応商品や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応商品の研究開発に取り組んでおります。しかしながら、これらの商品開発が市場や業界等の変化するニーズへの対応が遅れた場合、競争力の低下につながり、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)原材料価格・調達リスク

 当社グループの主要材料(鋼板・アルミ・ステンレス等)の価格は、経済環境の動向により高騰する可能性があります。また、副資材や物流費等も需給の関係によって上昇する可能性があります。

 これらの対策として、当社グループでは、製品価格の引き上げに取り組んでおりますが、原材料や副資材、物流費等の上昇分の全てを吸収することは困難であり、コストダウンにも全力で取り組んでおります。しかしながら、価格競争の厳しい市場下で原材料価格等の上昇分を完全にカバーできるかは不透明であり、経済環境の悪化等に伴う製品価格の引き下げ圧力の増大等により、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、製品の主要部材・部品の一部を長年の取引関係とそれに基づいた諸条件等から、グループ外の特定供給元に依存しております。主要部材・部品の確保には、定期的に供給元を評価し、製造プロセスと品質管理体制の確認と、改善指導により供給体制の維持には万全を期しておりますが、それでも供給元の状況の変化等や大規模災害の発生等により主要部材・部品の不足が生じない保証は完全ではありません。その場合、生産・販売、また代替品対応等の影響等により当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 これらの対策として、主要部材・部品の調達に支障が生じないよう、複数購買体制をはじめとした代替調達方法を整備しており、今後もさらに拡充していきます。

 

(4)生産・物流リスク

 当社グループの製品の殆どは受注生産品であり、納期が一定期間に集中したとしても納期遅延が生じることのないよう、月別の出荷予定分析を行い、生産計画および在庫計画の立案・実施、工場内人材シフトの変更等により、納期に応じた生産体制を構築しております。また、施工現場への製品の搬入が遅延することのないよう、納期管理システム、配車倉庫管理システムおよびトラック管理システムを導入し、納期管理およびトラック運行管理の徹底を図り、適時の製品搬入を実現しています。しかし、これらのシステムに不具合等が発生した場合またはトラックの確保が困難になった場合、当社グループの製品搬入の信頼性やブランド価値が毀損し、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)労働災害リスク

 工場における事故・労働災害防止のため、製造作業マニュアル等の整備、安全教育の実施、安全装置を備えた機械設備の導入等に取り組んでおります。また施工現場における事故・労働災害防止のため、施工作業マニュアル等の整備、安全教育・安全衛生定例会議等での安全作業の周知徹底等に取り組んでおります。しかし、工場または施工現場で事故・労働災害が発生した場合、当社グループの安全面の信頼性やブランド価値が毀損し、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2.環境

環境・気候変動リスク

 当社グループは、「三和グループ環境方針」に則して環境保全に取り組んでおりますが、環境に関するリスクを完全に取り除くことを保証するものではありません。 2015年12月に気候変動に関する国際連合枠組条約第21回締約国会議(COP21)においていわゆる「パリ協定」が採択され、これを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。

 当社グループでも、気候変動の重要性を認識しており、気候変動の移行リスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク等)と物理的リスク(急性的、慢性的)は当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 移行リスクのうち、政策・法規制リスクとしては炭素税の賦課や温室効果ガス排出規制等が挙げられます。また、技術リスクとしては環境配慮商品に対する研究開発費コストの増加、市場リスクとしてはエネルギーコストおよび廃棄物処理費用の増加等が挙げられます。

 物理的リスクのうち、急性的なリスクとしては、気候変動により近年発生が増加傾向にある局地的な暴風雨、台風の大型化は、生産活動および出荷に悪影響を及ぼし、当社グループの業績および財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。こうした異常気象により生産現場や生産設備、物流インフラが甚大な被害を受けた場合、生産や出荷が長期間にわたり停止する可能性があります。また、慢性的なリスクとしては、夏季の著しい気温上昇にともない、生産現場および施工現場の生産性低下につながるおそれがあります。

 さらに、温室効果ガス排出量・水使用量・産業廃棄物の削減等の自主目標を設定し取り組んでおりますが、その自主目標を達成できなかった場合、当社グループの信頼性やブランド価値が毀損し、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3.人

(1)人権リスク

 当社グループは、人間尊重の立場に立って多様性を尊重し、性別、年齢、国籍、人種、民族、信条、宗教、障がい、出身地域等に基づく差別を禁止しており、その遵守を教育等により推進しております。また調達先に対しても児童労働や強制労働等の人権侵害をしないよう働きかけ、人権の尊重を図っております。しかしながら、万一そのような差別行為が発生した場合、労使紛争・訴訟の提起や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 それらの対策として、人権デュー・デリジェンスにも取り組んでいきます。

 

(2)人材リスク

 当社グループが継続的に発展するためには、事業遂行に必要な優秀な人材を採用・確保し、育成する必要があります。しかしながら、必要な人材を継続的に獲得する競争は激化しており、これらの人材獲得や育成が計画どおりに遂行できない可能性があります。人材流出および人材の確保や育成が計画どおりに遂行できない場合、人材不足が生じるリスクがあります。その結果として、業務遂行能力の低下により長期的に当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが事業を展開している各地域・国において労働慣行の相違が存在しており、法環境の変化、経済環境の変化等予期しない事象を起因とした労使関係の悪化、ストライキ、労働争議等のリスクが存在しております。万一そのような問題が発生、長期化した場合は当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)人事労務リスク

 当社グループでは、長時間労働・過重労働の防止のため、勤怠管理システムを導入して従業員の労働時間を管理し、36協定等の法令遵守を徹底しています。また従業員の健康・メンタル不全の予防のため、メンタルヘルス制度を導入しております。さらに、多様な人材が働きやすい職場環境の整備のため、育児休暇制度・定年後の再雇用制度の導入、テレワーク制度の導入、障がい者の雇用の推進を図っております。しかし、法令違反または従業者の健康不全が生じ、労使紛争等が発生した場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績および財務状態に影響が生じる可能性があります。

 

4.グループの経営基盤

(1)経営リスク

①自然災害(感染症含む)リスク

 日本では、地震、津波、台風、ゲリラ豪雨等多くの自然災害に見舞われており、海外でも、地震、津波、ハリケーン等の大規模自然災害が発生するおそれがあり、当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、これらの自然災害の発生に備えて事業継続計画(BCP)の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練の定期的実施等の対策を講じています。しかしながら、自然災害による被害をゼロにすることはできず、被害の状況により当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループでは、災害被害を防ぐもしくは軽減させるための防災商品(防火、防煙、防水、高耐風圧等)の研究開発に取り組んでおり、それらの商品を提供することにより社会に貢献することに注力しています。

 また、2020年初頭から波及した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、全世界でまん延し、日本国内においても企業活動に多大な影響を及ぼしました。

 当社グループでは、日本国内のみならず米国、欧州、アジア各国で事業を展開しており、今後さらなる感染症のまん延により、事業活動が大幅に制約された場合、当社グループの業績および財務状態に重大な影響が生じる可能性があります。

 

②地政学リスク

 当社グループでは、日本国内のみならず米国、欧州、アジア各国において、多様な政治的・社会的環境のもとで事業を展開しており、それらの環境に大きな変更が生じた場合、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主な地政学的リスクとして次のようなものが挙げられます。

 ・製品仕様等に関わる予期しない法律または規制の変更

 ・海外移転税制等、外国資本に対する不利な政策または経済要因

 ・テロ、戦争、パンデミック等を含む伝染病、反日暴動等その他の要因による社会的混乱

 当社グループでは、これら地政学リスクへの対応として、海外の状況を常に的確に把握できるよう海外グループ会社に駐在員を派遣し現地経営者と連携を密にするとともに、事業展開している地域の情報を外務省のホームページ等から入手して、海外グループ会社に必要な指示、注意喚起を行うことにより悪影響を最小限にするよう努めています。

 

③経済動向リスク

 当社グループは、中期経営計画の基本戦略として「日本・米国・欧州でのコアビジネスの事業領域の拡大」および「アジア事業の基盤拡充」に取り組んでいます。1996年に米国のOverhead Door Corporationグループを買収、2003年には欧州のNovofermグループを買収し、日本のみならず米国、欧州、アジア各地域において事業を展開しており、事業の約4割強が欧米地域での生産、販売となっております。またアジア地域においても中国を中心に事業を拡大しつつあります。

 当社グループが展開している各地域の景気が減速・後退する場合は、それぞれ公共事業投資や民間設備投資、新規住宅着工の低下、個人消費の低迷等により、当社グループが提供する製品またはサービスに対する需要が減少する等、当社グループの事業および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このことは、グループ全体としての事業のリスクが分散された反面、純粋に進出地域の経済状況、需要動向による要因のほかに現地特有の新たなリスク顕在化の可能性が生じております。

 また、為替、金利の変動が事業活動に影響を及ぼす可能性があります。金利の変動については、当社グループの金融資産、負債(特に長期負債)の評価に影響を与える可能性があり、保有する有価証券価格についても市場価格の下落リスクにさらされており評価損を計上する等のリスクがあります。

 さらに、海外各地域における売上、費用、資産および負債を含む現地通貨建ての各項目は、連結財務諸表の作成に当たり円換算しているため、為替レートによって想定範囲を超える影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは、為替や金利の変動リスクを軽減するための施策を講じていますが、有効な手段とならない場合もあります。

 予期しない金融危機や業績等の悪化に伴う格付けの低下により、資金調達先から必要な資金調達を得ることができない場合、資金が枯渇するおそれがあります。このため、当社グループでは、資金調達先および調達期間の適度な分散を行い、また信用リスクを高めるよう財務体質の維持・強化を図っております。

 

④財務・会計・投資等関連リスク

 当社グループは、事業を営むうえで取引をする顧客に関しては、情報収集、与信管理などを徹底しておりますが、予期しない事象による顧客の経営破綻が発生した場合、業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。その際には、債権保全など有効な手続きを行い、リスクを最小限に抑えるよう取り組んでおります。

 また、当社グループでは、財務諸表の作成にあたり、会計上の見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき見積りを行っておりますが、不確実な要素を含むため実際の結果と異なる場合があり、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主な見積りリスクとして次のようなものが挙げられます。

 ・債権の貸し倒れ

 ・退職給付に係る負債

 ・固定資産価値の減少

 ・投資有価証券・出資金の減損損失

 ・繰延税金資産の回収可能性

 ・収益認識および工事損失引当金

 さらに、当社グループが事業を展開している各国、地域における税制改正により、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、将来課税所得の見積り変更等により税金費用が増加するリスクがあります。

 加えて、当社グループは、保有する経営資源の効率的運用を考慮し、企業価値の最大化を目的として事業買収を実施することがあります。買収後において当社グループが認識していない問題が明らかとなった場合や、市場環境や競合状況の変化または何らかの事由により事業展開が計画どおりに進まない場合、投資価値の減損損失を行う必要が生じる等、当社グループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 このため、当社グループでは、投資案件に関し、事業および法務デュー・デリジェンスを行い、財務面でも将来得られるキャッシュフローについて慎重に検討した上で機関決定し、投資判断によるリスクを最小限にするよう努めております。

 

(2)コーポレート・ガバナンス関連リスク

 当社グループでは、コーポレート・ガバナンス体制の機関設計として「監査等委員会設置会社」を選択し、取締役の職務執行の組織的監査を行っており、定款の定めに基づき、「重要な業務執行の決定」を取締役に委任し、経営判断の迅速化を図っております。取締役会は、取締役会の実効性を担保するために、毎年取締役会へのアンケートを実施し、取締役会で分析・評価し、その結果をもとに具体的な改善策を実施しております。また取締役の報酬は、株式報酬による持続的企業価値向上インセンティブを導入し、また、指名・報酬委員会を設置して、公平性・透明性・客観性を強化し、当社取締役に求められる役割と責任に見合った報酬水準および報酬体系となるよう設計しております。このような体制が機関投資家・個人投資家等から評価が得られない場合、当社グループの株価の低下、業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)コンプライアンスリスク

①不正・不祥事・法令違反リスク

 当社グループは、事業を展開するうえで、法律・制度の制定・改正に伴うリスクや知的財産権を含む権利の侵害に関するリスク、訴訟や規制当局による調査および処分に関するリスクを有しております。

 当社グループは、法令遵守と倫理に基づいた企業活動を行う旨を宣言し、当社の取締役および従業員が事業遂行にあたって、各種法令や倫理基準並びに社内コンプライアンス行動規範等から逸脱した行為をすることがないよう、コンプライアンス行動規範を具体的な業務事例としてまとめた冊子を全従業員に配布し、その内容の遵守について誓約書の提出を求める等、さまざまな取り組みを通して徹底を図っています。なおコンプライアンス行動規範については、社会的要請であるESGの観点を充実させるため2020年度に一部改定を行い、それに伴い冊子の改訂版を発行し、コンプライアンス意識定着の再確認を行いました。また、不正行為の防止・早期発見および自浄プロセスの機動性向上を図るべく内部通報制度を導入しております。さらに、事業を展開するすべての国・地域に適用される腐敗・贈収賄禁止法令の遵守を目的として、「贈収賄防止ガイドライン」を策定し、不祥事予防の体制強化を図っております。

 コンプライアンス上の問題が発生した場合に備えて、適時に弁護士等の外部専門家に連絡相談可能な体制を構築しておりますが、万一監督官庁等からの処分、訴訟の提起がなされた場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績および財務状態に影響が生じる可能性があります。

 

②交通事故リスク

 当社グループでは、車両を使用して事業活動を行っておりますが、交通事故をゼロにすることは困難です。交通事故の発生抑止のため、安全装置装備車両の導入、運転者の運転前後におけるアルコール検知器を使用してのアルコールチェック、安全運転意識向上の取組み等を実施していますが、万一重大な交通事故が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜等により、悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)情報セキュリティリスク

 当社グループでは、情報システムに対して、各種障害やセキュリティへの対策を講じていますが、コンピューターウイルスによる個人情報や重要機密情報の漏えい、不正アクセスによる情報の消失・改ざん、不慮の情報システム停止等で当社グループの業績および財務状態に影響が生じる可能性があります。

 当社グループでは、2019年に情報セキュリティ対策会議を設置し、グループ全体のセキュリティリスクの把握と、それに対する対策の推進を進めております。また、サイバー攻撃を受けた場合の事業の中断を最小限にとどめるため、サイバー攻撃を想定した事業継続計画(IT-BCP)を策定しています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、次のとおりであります。

 

① 事業全体の状況

 当社グループは、2022年度より、長期経営ビジョン「三和グローバルビジョン2030」および「中期経営計画2024」をスタートさせ、気候変動やデジタル化で変化する社会のニーズに応える高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーへ向けた基盤の確立に取り組みました。

 「日・米・欧のコア事業の強化、領域拡大」では、原材料高騰に対応した価格転嫁を進めるとともに、将来の事業拡大に向けた体制の強化などコア事業およびサービス事業の拡大に取り組み、2023年1月には米国で自動ドアの販売、施工、修理サービスを専門とするDoor Control, Inc. および Door Concepts, Inc.を買収しました。「アジア事業の成長力強化」では、中国ドア事業にて三和NF常熟での生産能力拡大、2022年8月に買収した香港・マカオを中心に産業用ドア製品の製造販売を手掛けるAUB社とのシナジー創出に取り組みました。「防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化推進」では、利便性の向上・省スペース化に加え断熱性能を格段に向上させたRe-Carboシリーズ「高断熱OSD」、IoTに対応可能な既設手動窓シャッター電動化システム「マドモアチェンジSY」、ガレージ用スマートフォン操作システム「RemoSma」をリリースする等、製品の防災・環境対応とスマート化に努めました。「デジタル化とものづくり革新」では、各地域でのERP導入および運用強化、フィールドサービスマネジメントシステムの導入などデジタル化投資を進めるとともに、日本は遮音試験棟の新設、欧州はドックレベラー工場の生産能力拡大や生産設備の自動化投資を行いました。「サステナビリティ経営の推進」では、ESGマテリアリティに紐づいた各KPIを設定し、気候変動対応商品の拡大やCO2排出量、水使用量などの削減を通じて持続可能な社会の実現に向け取り組みました。

 

2022年度実績

(百万円)

2021年度実績

(百万円)

対前年増減額

(百万円)

対前年増減額

(%)

売上高

588,159

468,956

119,202

25.4

営業利益

56,307

35,487

20,819

58.7

経常利益

52,780

34,122

18,658

54.7

親会社株主に帰属する当期純利益

33,084

22,842

10,241

44.8

 

② セグメント情報に記載された区分ごとの状況

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

2022年度実績

(百万円)

2021年度実績

(百万円)

対前年増減額

(百万円)

対前年増減額

(%)

売上高

588,159

468,956

119,202

25.4%

日本

252,877

236,375

16,502

7.0%

北米

218,968

139,106

79,862

57.4%

欧州

105,394

85,763

19,631

22.9%

アジア

10,855

7,649

3,205

41.9%

調整額

63

62

1

1.9%

営業利益

(セグメント利益)

56,307

35,487

20,819

58.7%

日本

25,023

24,653

369

1.5%

北米

29,049

8,378

20,671

246.7%

欧州

4,268

3,935

333

8.5%

アジア

258

119

138

115.7%

調整額

△2,292

△1,600

△692

(-)

 

(日本)

 シャッターやドア等の基幹商品およびメンテ・サービスが堅調に推移し、鋼材価格や各種部材等の価格上昇分の売価転嫁に注力したことにより、売上高は、前連結会計年度に比べ7.0%増の252,877百万円、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ1.5%増の25,023百万円のセグメント利益となりました。

 

(北米)

 サプライチェーン問題の改善による数量増と原材料価格上昇分の売価転嫁が広く浸透したことにより、売上高は、前連結会計年度に比べ57.4%増の218,968百万円(外貨ベースでは31.5%増)、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ246.7%増の29,049百万円のセグメント利益となりました。

 

(欧州)

 市況の悪化により厳しい受注環境となりましたが、原材料価格やエネルギーコスト上昇分の売価転嫁と数量増により、売上高は、前連結会計年度に比べ22.9%増の105,394百万円(外貨ベースでは15.6%増)、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ8.5%増の4,268百万円のセグメント利益となりました。

 

(アジア)

 上海でのロックダウンがあったものの、香港や台湾が順調に推移し、売上高は、前連結会計年度に比べ41.9%増の10,855百万円、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ115.7%増の258百万円のセグメント利益となりました。

 

③ 目標とする経営指標の達成状況等

 当社の目標とする経営指標の達成状況は以下のとおりであります。

 

2022年度実績

2021年度実績

2022年度修正予想

売上高

5,881億円

4,689億円

5,750億円

営業利益

563億円

354億円

540億円

営業利益率

9.6%

7.6%

9.4%

SVA

269億円

148億円

ROIC

20.9%

15.9%

ROE

15.0%

12.0%

自己資本比率

54.4%

52.2%

D/Eレシオ

0.20

0.23

 当社グループは、2001年度から業績評価指標としてSVA(Sanwa Value Added)を採用し、資本コストや資本効率を意識して取り組んでいます。2022年度のSVAは前年を超過し269億円となりました。また、売上高、営業利益及び営業利益率は2022年度修正予想を達成しており、着実に企業価値を積み上げているものと考えています。

 

 生産、受注及び販売実績は以下のとおりであります。

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

200,612

109.6

北米

149,636

134.7

欧州

77,030

127.4

アジア

9,364

145.6

合計

436,644

120.9

(注)上記の金額は、製造原価によっており、相殺消去前の金額であります。

 

b.受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

日本

258,730

105.6

109,199

106.5

北米

192,987

105.4

34,636

60.2

欧州

103,518

110.5

24,442

100.2

アジア

8,623

73.6

11,894

89.8

合計

563,860

105.7

180,173

91.1

(注)上記の金額は、相殺消去後の金額であります。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント等の名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

252,877

107.0

北米

218,968

157.4

欧州

105,394

122.9

アジア

10,855

141.9

報告セグメント計

588,095

125.4

調整額

63

101.9

合計

588,159

125.4

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

 a.資本政策の基本的な方針

 当社グループの資本政策につきましては、財務の安定性を確保した上で資本効率の向上を図ることが重要であり、そのバランスをとりながら、最適な投資・株主還元等を実施し、中長期的に企業価値を高めていくことを基本方針としています。

<当面の資本政策・財務方針>

 当社の長期ビジョンである「三和グローバルビジョン2030」および「中期経営計画2024」を実現するために、戦略的な成長投資を最優先に資本政策等を進めてまいります。

1.資本・負債構成

(1)自己資本比率は、40%以上を維持する方針で取組みます。

(2)負債については、財務の健全性を損なわない負債構成に努めてまいります。

2.投資

(1)設備投資:既存事業の維持・継続に必要な設備投資は、原則減価償却費の範囲内で実施します。

(2)M&A、事業提携等の投資:コア事業並びに将来的にコア事業への成長が期待できる関連分野への投資を優先的に検討いたします。

3.株主還元

(1)配当性向は連結当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)の40%を目安として安定的な配当を図ることを目指しております。

(2)上記記載の「投資」を優先し、投資による大きなキャッシュアウトがなければ自己株式の取得を検討いたします。

(3)「中期経営計画2024」においては、株主総還元(配当と自社株式取得の合計)として540億円を目安としております。

 

 b.財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は、主に売上債権や棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ56,037百万円増加し442,274百万円となりました。負債は、主に仕入債務やリース債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ16,998百万円増加し199,923百万円となりました。純資産は、主に利益剰余金と為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ39,038百万円増加し242,350百万円となりました。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.2ポイント増加し54.4%となりました。

 

 c.当期のキャッシュ・フローの概況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ9,755百万円増加し71,153百万円となりました。当連結会計年度における区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上等により34,425百万円の資金増加(前連結会計年度は20,526百万円の資金増加)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得により15,941百万円の資金減少(前連結会計年度は21,353百万円の資金減少)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払等により9,887百万円の資金減少(前連結会計年度は27,363百万円の資金減少)となりました。

 

② 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値、偶発債務の開示、各連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき行っており、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、詳細につきましては、重要性がないものと判断した事項を除き「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発活動は、防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化の推進を図り、かつ、品質、安全、施工性の向上及びコストダウンを推し進めながら、新製品の開発及び既存製品の改良に取り組みました。なお、研究開発費の総額は6,385百万円となっております。

 セグメント別の研究開発活動は以下のとおりであります。

 

(1) 日本

 防災製品として、間仕切関連商品では壁面パネル点検口に「遮音タイプ」、および「特定防火設備タイプ」を追加しました。高層オフィスやマンションの内廊下などに適した点検口となっており、ドアパネルを遮音性能の高い構造とすることで内部の設備機器などからの発生音を低減し、快適で過ごしやすい空間を提供することができるとともに、防火区画にも対応できます。

 環境対応製品として、工場・倉庫向けに、これまで防熱扉が設置されていた-5℃帯の保冷倉庫向けに対応可能な「Re-carbo(リカーボ)」シリーズ「高断熱OSD」を発売しました。「Re-carbo(リカーボ)」シリーズとは脱炭素社会の実現に貢献するため、CO2削減、省エネルギーに寄与する高断熱商品・サービスのシリーズ名称です。高断熱OSDは業界最厚の80mmの新型パネルを使用することで業界トップの断熱性能を実現することができました。空調効率アップによる省エネルギー化、CO2排出量削減が行え、お客様のScope1、2削減への貢献が期待できます。また、物流倉庫、工場及び商業・一般ビル向けでは、重量シャッターの耐風フック構造の見直しについて対象のスラットを拡大することで、高耐風圧性能を有した商品をさらに拡充させました。本取組は環境負荷低減にも貢献しており、鋼材使用量と溶接箇所の削減によりCO2を年間約22トン削減させることができます。

 製品のスマート化推進として、既設手動窓シャッター電動化システム「マドモアチェンジ」シリーズに、IoTにも対応可能な「マドモアチェンジSY」を追加しました。マドモアチェンジSYは既設の手動窓シャッターに専用部品を追加・交換するだけで手軽に手動から電動にチェンジできる商品です。リモコンでの快適操作に加えて今回、オプションでIoTにも対応させることでスマートフォンやスマートスピーカーでの操作が可能となり、より便利で快適なスマートホームの実現に貢献します。

 その他、「公共建築工事標準仕様書」の鋼製建具及びステンレス製建具組立工法に接着工法が追加されたことに対応し、ドアの組立工法として接着工法「SD-G」を追加設定しました。この工法は溶接を使用しない製作工法のため、溶接削減によるCO2削減(年間約572kg)、溶接ヒューム発生量の削減を図ることができる脱炭素社会実現に向けた取り組みとなります。また新商品としてJISの最高等級T-4を上回る遮音性能T-6相当を有しながら閉鎖後の追加操作が不要な業界トップクラスの高遮音扉「防音ガード」を発売しました。これまでの防音扉は高い遮音性能を確保するため閉鎖後にハンドル操作が必要なグレモン錠の設置が一般的でしたが、今回、一般錠を使用しながら高い遮音性能を実現することで、放送局のアナウンスブースからオフィスの会議室、学校など様々な場所でご利用頂けます。トイレブース関連では、スライド式曲面ドアの特長を生かし、省スペース性・利便性に優れたRブースシリーズをリニューアルし、利用者がブース内で倒れた場合などの非常時に迅速な救助を可能にする非常解機構を追加しました。スイングドアのようにブース外側にドアを開くことができ、ドアの脱落を防ぐ機構も設けています。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は、1,912百万円であります。

 

(2) 北米

 気候変動(適応)対応製品としてトルネード対応耐風シャッターの開発やガレージドアの耐風仕様窓オプションの拡充、気候変動(緩和)対応製品として高断熱ガレージドアの開発、また、製品のスマート化推進として住宅用開閉機の宅配ボックス向けやホームオートメーション対応のWi-Fi接続商品の開発を行いました。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は、3,190百万円であります。

 

(3) 欧州

 気候変動(適応)対応製品として耐風シャッターの開発、気候変動(緩和)対応製品として高断熱ガレージドアの開発、高速シャッターの品揃え強化、また、製品のスマート化推進として住宅用開閉機のSmartHomeアプリ機能の拡張を行いました。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は、1,250百万円であります。

 

(4) アジア

 主に中国、香港、台湾、ベトナムにおいて、防火・遮熱対応のシャッター製品・ドア製品等の開発・改良に注力しています。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は、30百万円であります。