第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

〔基本理念〕

ものつくりを通し、すみよい社会と人々の幸せに貢献する

 

〔長期方針〕

① 21世紀に勝ち残る企業基盤を確立する

・品質第一に徹し、魅力ある商品・技術の実現

② 良い社風を築き、地域に信頼される企業を目指す

③ 明るく働きがいのある職場を築く

 

(2)目標とする経営指標

当社は、事業領域の拡大による売上高の伸張と、事業基盤の強化・付加価値の向上による売上高営業利益率を重要な経営指標としております。また、株主重視の視点から株主資本利益率(ROE)等を意識した経営を進めております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、事業環境を踏まえた中期経営計画の策定・推進を通して、持続的成長及び企業価値の向上を目指してまいります。
 具体的な中期経営計画の目標は、2018年度の単体営業利益率5%、2020年度の連結売上高465億円、連結営業利益率10%の達成であり、目標達成に向けて、売上高に占める海外自動車比率を40%に、非自動車比率を25%に高める計画であります。

また、自動車業界の電動化の動きもにらみ、2030年を見据えた次の中期経営計画策定に着手してまいります。

 

(4)会社の対処すべき課題

当社グループは持続的成長と企業価値向上の実現に向け、コーポレート・ガバナンスの体制を一層強化しつつ、4つの重点課題に取り組んでおります。「ものつくり改革」及び「新製品開発」を通じた事業基盤の強化と「海外事業の展開」及び「非自動車分野の強化」による事業領域の拡大であります。

 

① 海外事業の展開

お客様の現地調達ニーズにお応えするため、海外生産拠点の一層の拡充に努めてまいります。

 

(タイ)

・アセアン域内の中心的生産拠点と位置付け、自働化や技能向上教育により生産性向上を加速

 

(北米)

・増産投資、生産準備が完了し、トヨタTNGA新規品の量産開始と拡大

・ショックアブソーバー用部品の生産を拡大

 

(中国)

・生産性、収益性の向上と、一層の販路拡大

 

(インドネシア)

・ショックアブソーバー用部品のグローバル再編拠点の1つとして、日本と同一品の輸出開始

・客先の現地調達ニーズに順次対応

 

 

② 非自動車分野の強化

鉄道車両用部品につきましては、新幹線の高速化に対応した新型ブレーキ用部品と当社オンリーワン技術のカーボン・コンポジット材料を用いたパンタグラフ用集電材で、機能向上と価格競争力の強化を図っております。

油圧機器製品につきましては、小型・高機能化商品の開発、欧州・アジア地区への拡販、医療分野・ロボットの油圧システム等の新分野への参入など、当社ブランド力強化とマーケットシェア拡大に努めてまいります。

 

③ ものつくり改革

製品群毎の国内生産再編などにより、高効率生産と量変動への対応を推進してまいります。

 

④ 新製品開発

材料配合自由度の活用、社会・環境ニーズに対応する開発、焼結ならではの工法活用、トライボロジー製品の開発の4つの軸で、焼結技術の革新に努めてまいります。

 

2 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 

(1) 自動車業界への販売依存度
 当社グル-プの製品は主としてエンジン部品、ショックアブソーバー部品等の自動車用部品のため、自動車産業の構造変化及び市場縮小等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 なお、中期経営計画の重点課題の一つとして「非自動車分野の強化」を進めております。

 

(2) 海外進出に内在するリスク
 当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれています。各地域における政治、経済状況の変化等による予期せぬ事象が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 業界内外の競争に伴うリスク
 当社グループが身を置く業界の競争は非常に厳しく、競合他社は多岐に渡ります。顧客のニーズを満たした製品の開発・製造・販売に努めておりますが、競合他社との競争に打ち勝てない場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 原材料の仕入れ
 当社グループでは、粉末冶金製品の原材料として鉄粉等の金属粉を使用していますが、これらの原料価格が高騰し、製品価格に反映することが困難な場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、供給元の不慮の事故などにより、原材料・部品の不足が生じる可能性があります。その場合は生産の遅れを招き、原価を上昇させる可能性があります。

 

(5) 為替変動によるリスク
 当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されています。従いまして、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、米国では安定した雇用と個人消費の伸長による景気拡大が継続しており、中国を含むアジア経済も底堅い内需と輸出の好調を背景に、総じて拡大基調で推移しました。また、わが国経済においても景気回復が続きました。

当社製品の主要市場である自動車産業におきましては、国内・中国・タイ・インドネシアでは販売台数が前年度比較で増加している一方、米国では主に乗用車で減少しました。

このような状況の中、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は国内・米国での仕事量増加等により389億87百万円(前年度比4.0%増)となりましたが、営業利益は米国での新規品立上に伴う一時的な費用負担の増加や原料市況の高騰等により17億96百万円(前年度比20.1%減)、経常利益は15億93百万円(前年度比22.2%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、米国子会社における繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産を取崩し、法人税等に2億47百万円計上したため、4億62百万円(前年度比57.1%減)となりました。

 

  セグメントの業績は、次のとおりであります。

 ① 粉末冶金製品事業

自動車用部品の売上高及びセグメント利益につきましては、上記の通りであります。また、鉄道車両用部品につきましては、新規開発の新幹線用ブレーキライニングの搭載車両増加で売上増となりました。

これらの結果、当連結会計年度における売上高は370億37百万円(前年度比3.9%増)となり、セグメント利益につきましては、32億88百万円(前年度比7.8%減)となりました。

 

 ② 油圧機器製品事業

主に国内・北米・アジアのデンタルチェア用が大きく売上を伸ばし好調に推移しました。その結果、当連結会計年度における売上高は19億42百万円(前年度比6.4%増)となり、セグメント利益につきましては5億60百万円(前年度比11.3%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、37億33百万円となり、前連結会計年度に比べ7億58百万円減少(前年同期比16.9%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、44億61百万円となり、前連結会計年度に比べ1億76百万円増加(前年同期比4.1%増)となりました。これは主に、固定資産取得による支出の増加によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、18億40百万円となり、前連結会計年度に比べ16億74百万円増加いたしました。これは主に、長期借入金の増加によるものです。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

粉末冶金製品事業

37,257,244

4.6

油圧機器製品事業

1,928,498

5.1

合計

39,185,742

4.6

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 金額は販売価格によっております。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

粉末冶金製品事業

37,209,080

5.1

3,286,705

5.5

油圧機器製品事業

1,948,089

6.6

152,000

4.1

合計

39,157,169

5.1

3,438,705

5.5

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

粉末冶金製品事業

37,037,040

3.9

油圧機器製品事業

1,942,089

6.4

その他

8,433

△1.7

合計

38,987,563

4.0

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

8,108,143

21.6

8,166,506

20.9

 

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 財政状態の分析

資産合計は460億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ、26億88百万円増加いたしました。これは、主に現金及び預金と新規品立上げや増産に伴う有形固定資産の増加によるものであります。

負債合計は275億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ、20億17百万円増加いたしました。これは、主に設備投資の資金調達に伴う借入金の増加によるものであります。

純資産合計は185億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ、6億70百万円増加いたしました。これは、主に利益剰余金の増加によるものであります。

 

(2) 経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループにおきましては、「中期経営計画2020」の達成に向け、グループ一丸となり事業基盤の強化・事業領域の拡大を図っております。具体的には、米国子会社の第2工場において、今後の収益の柱となるトヨタTNGA新規製品を順次立上げ、さらに18年度新規品の最終準備を進めております。タイ子会社では、アセアン地域内の生産拠点として自動化による合理化など、事業基盤の整備を推進しております。インドネシア子会社においては、ショックアブソーバー用部品のグローバル最適生産化を推進しております。中国子会社においては、引き続き堅調な生産が見込まれており、一層の生産性向上を図っております。国内におきましては、2018年度のハイブリッド車用昇電圧部品・駆動系部品等の立上げに向け、準備を加速しております。

このような状況の中、当連結会計年度の連結売上高は国内・米国での仕事量増加等により389億87百万円となり、当初の目標である375億円を達成し、2020年度の目標である465億円に向け順調に推移しております。一方、当連結会計年度の連結営業利益率は4.6%であり、当初の目標である6.7%に及びませんでしたが、新規品立上げに伴う一時的な費用負担の増加が主な要因であり、中期経営計画に影響するものではないと考えております。引続き、中期目標達成に向け、「ものつくり改革」、「新製品開発」、「海外事業の展開」、「非自動車分野の強化」を柱とした取組みを着実に進めてまいります。

当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローで37億33百万円増加、投資活動によるキャッシュ・フローで44億61百万円減少、財務活動によるキャッシュ・フローで18億40百万円増加したことにより、前連結会計年度より現金及び現金同等物の期末残高は11億29百万円増加し、43億2百万円となりました。

今後、国内・海外において新規品の立上げに伴う設備投資を予定しておりますが、必要資金は自己資金及び借入金でまかなう予定です。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

 当社グループは粉末冶金工法を活用した自動車用部品、鉄道車両用部品、産業機械用部品等の開発・製造販売、ならびに粉末冶金部品を組み込んだ油圧機器製品の開発・製造販売を行っております。
 当連結会計年度における当社グループの研究開発活動の金額は2億90百万円であります。
 
 セグメントごとの研究開発活動状況は以下のとおりであります。
 
① 粉末冶金製品事業
 自動車部品に関しては、新機能付与および製品競争力向上を狙い、材料から工法・設備に至る総合的な開発に取り組んでいます。
 材料については、新しい高熱伝導材料・高剛性材料・高強度材料・耐熱耐摩耗材料を開発中であり、今後の生産拡大に向けて取り組んでおります。また、自動車の電気駆動化拡大に備え、軟磁性材など新しい材料の開発に対応中であり、MIM部品に関しても、適用部品拡大に向けた開発に取り組んでおります。
 設備については、高品質でロスの無い高効率な一貫生産を狙いとして、混合設備や焼入れ炉など独自設計に基づいたラインを開発中であります。現在、駆動系部品(プラネタリキャリア・ディスコネクト)、ハイブリッド車用昇電圧部品などの新製品の量産化を進め、国内および海外拠点に展開をしております。
 鉄道車両用部品については、新型ブレーキの拡販と合わせ新たな目標を設定し、次期高速車両向けの開発に取り組んでおります。また、カーボン系パンタグラフ集電材についても拡販に取り組むとともに低コストカーボン系材料の開発を完了し、低コスト化と機能向上の実現をしました。更に、新規開発の新幹線用鉄系集電材は、高寿命化と相手部品の摩耗を抑制した効果が認められ、日本粉末冶金工業会より表彰を受けました。新規展開として、当社の集電・摩擦材料技術を応用した製品開発に取り組んでおり、一部製品では採用が決定し、車両に搭載した量産前の試験を始めています。

 

② 油圧機器製品事業
 歯科・医療・介護福祉業界、車両・設備業界等からの多様なニーズに対応した製品開発を行っております。当連結会計年度では、海外規格へ対応した医療機器用の新たな製品を量産化しました。また、ロボット駆動用として搭載可能な小型高精度油圧機器を開発し、機能評価を進めています。