文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針および経営戦略等
当社グループは「技翔創変」を経営理念とし、技術集約型精密製品の創造を通じて、お客様の問題解決を図り社会に貢献することを基本方針としております。
当社グループといたしましては、お客様の海外現地調達の加速、激化する価格競争や為替の変動、その他いかなる環境の変化にも耐えうる経営体質の構築が不可欠と考え、持続的成長を支えるため経営効率を高めることにグループ一丸となって積極的に挑戦してまいります。
また、技術革新の勢いが増してきている中、技術動向を把握し、当社のコア技術である精密塑性加工技術を応用した新製品のスピードある開発を進めていきます。
さらに、コンプライアンス遵守、環境保全などにグループ一丸となって取り組むと共に、当社の国内外の拠点の最適地で生産した高品質な製品をお客様に提供してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画において策定した連結売上高500億円超、営業利益率6.5%を重要な経営指標として、達成に向け高収益企業への変革を目指し、資産の効率的活用を図っていく方針です。
(3)経営環境
世界経済は米中貿易摩擦問題や中国経済の減速、また中東や東アジアにおける地政学的リスクに加え、2020年に入り新型コロナウイルスの感染拡大に伴い世界各国の自動車販売が前年対比で大きく減少する等、不安定さが増大しており、予断を許さない状況が継続するものと思われます。
当社事業は自動車関連事業と電子情報通信関連事業に区分され、自動車関連事業は連結売上高の約71%、電子情報通信関連事業は連結売上高の約25%を占めています。自動車業界は100年に一度の大きな変革期を迎えていると認識しており、電動化やコネクティッド化の流れがさらに加速するとともに、自動運転技術の進歩や異業種の参入等、市場の関係性が大きく転換する可能性が見込まれます。また、日進月歩の技術革新が進む電子情報通信業界においても、新たな技術の潮流を捉えた、より柔軟な事業展開が求められています。この経営環境は、新型コロナウイルス収束後も変わることはなく、むしろ公共交通機関からマイカー利用への移動方法の変化、5G、IOTの進展に加え、在宅勤務増加によるデータ需要の増加などの生活様式の変化により、当社事業の主軸である自動車関連・電子情報通信関連の社会における重要性は増すものと思われます。よって当社グループは以下の事業上の対処すべき課題への対応を進めてまいります。
なお、今後新型コロナウイルス感染症及びそれに伴う最終製品の消費動向減退がさらに長期化する場合には、当社グループ中期経営計画の進捗に影響を及ぼす場合があり、中期経営計画における目標などの見直しを検討してまいります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
ア 事業上の対処すべき課題
(ア) コア事業における高需要分野への継続投資(自動車関連分野)
コア事業の大勢を占める自動車分野においては、中国などを中心にEVの普及が進むとみられるものの、航続距離や充電インフラ等、未だ技術的な課題が多く残されています。現実的な解として、今後十数年にわたりHVやPHV等の内燃機関搭載車が牽引すると予想されます。当社の主力事業であるエンジンやミッション系精密機能部品の需要は依然高いことが想定されるとともに、安全性へのニーズの高まりにより需要が増加しているシートベルト事業等、高需要分野を的確に捉えて継続的に投資を実施していく方針です。
(イ) 成長性の高い分野への経営資源の投入(電子情報通信分野)
近年、クラウドコンピューティングの目覚ましい成長によりデータの保存容量は年20%近い勢いで増加することが見込まれます。データの保存媒体としてはSSDやNANDフラッシュの台頭により、ハードディスクドライブの数量は年々減少しています。しかし、データセンター向けに限るとニアラインドライブと呼ばれるハードディスクドライブの需要が高まっており、ハードディスクドライブの特徴である大容量とGB(ギガバイト)コストの安さが最大限に活かせる製品として、新技術を含めた開発競争が非常に盛んです。当社のハードディスクドライブ用サスペンションはニアラインドライブ向けに特化しており、顧客の非常に旺盛な需要への確実な対応に向けて経営資源を集中してまいります。
(ウ) 次世代主力事業の育成と深耕(自動車電動化対応、医療・介護分野)
自動車業界においては当面内燃機関搭載車の優位が続くと想定されるものの、電動化の流れや将来的なEVやFCVの普及を想定し、技術潮流を踏まえた製品の開発と市場投入を開始しています。大電流バスバーやシャントセンサーをはじめとする電動化関連製品を次世代主力事業として育成すべく、さらなる開発体制の強化とグローバルでの量産展開を目指します。また医療・介護分野においても歩行学習支援を目的としたリハビリロボットの販売をはじめ、産業用等多様な用途への展開を見据えた開発を進めており、次世代主力事業の確立に向けた取り組みを加速しています。
(ⅰ) 自動車電動化部品
① シャントセンサー
バスバー一体型の大電流センサーで低電流から大電流まで高精度に検出できます。量産採用が拡大し、自動車への搭載実績も出来ました。将来、市場規模の拡大が見込まれるため経営資源を投入しコア事業にすべく取り組んでまいります。
② Fuseセンサー
シャントセンサーと大電流検出装置を一体化した製品の開発を進めています。例えば、自動車事故が発生した時に、このセンサーの働きによりバスバーを物理的に破壊し電流を遮断します。これによってバッテリーからのリーク電流による感電を防止することができます。将来、ADASや自動運転にも有用な機能となります。
③ インテリジェンスセンサー
電流量を積算し、バッテリー残量を高精度に監視するセンサーです。このセンサーの働きによりバッテリーの過充電を防止したり、使用可能残量一杯まで放電することが可能となり、電気自動車等での利用が期待されます。
(ⅱ) 医療・介護分野
医療機関やリハビリ施設などで行われる歩行リハビリテーションを補助する装着型アシストロボットとして、昨年3月に発売を開始した「KAI-R(カイアール)KR-1000」に加えて、京都大学COIプログラムにおいて研究開発を進めてきた歩行学習支援ロボット「Orthobot(オルソボット)」を製品化し、本年3月より発売を開始しました。今後も周辺分野を含め市場を開拓し、主力事業へ育成してまいります。
(ⅲ) 環境・エネルギー分野
当社が製造した過熱水蒸気利用の連続炭化装置では、素材を燃やさず炭化させることが可能でCO2削減効果を発揮します。この装置により量産する竹炭は、高級車のインパネ塗装やタッチパネル塗料の顔料として採用が始まっています。今後は、キャパシタ極剤等のより付加価値の高い微粒子炭の用途開発に挑戦してまいります。
イ 財務上の対処すべき課題
前掲の事業環境の変化を踏まえ、持続的成長を可能とする事業ポートフォリオ確立に向けての基盤整備実現にあたり、コア事業、高成長事業、次世代主力事業それぞれにおける事業機会、および成長分野を的確に見極め、資本コストを意識した実効性の高い投資を実施してまいります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する場合は、現預金水準の低下も予想されますが、あらゆる状況を想定して多様な資金調達の準備をしております。
当社グループは、リスク管理委員会を設置し、事業運営に重大な影響を与えるリスクの統括管理を行っております。当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況への影響が大きいリスクを以下で取り上げていますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現在は未知のリスク、又は重要と見なされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場環境の変化
当社グループは、連結売上高の約71%を自動車関連製品が占めている他、データセンタ-向けHDD用サスペンション、プリンター関連部品もそれぞれ大きな比率となっております。これら最終製品の国際的市場動向の変化や業界再編は当社製品の生産販売量の変動につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社グル-プは日本・北米・中国・アジアの各拠点での生産販売(地産地消)を進めるとともに、中長期的には精密塑性加工技術を応用した新規事業分野(自動車電動化対応、医療介護、環境エネルギ-)拡大への取り組みを加速させてまいります。
(2) 競争の激化
当社グループが関連するそれぞれの事業分野において、競合会社との競争激化により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、競合会社による競争力のある新製品の発売、価格競争の激化、低価格品などへの需要シフト等がリスクとして考えられます。
対応策として、当社グル-プは主要製品において材料から製品までの一貫生産を行うことに加え、金型の内製化等による、独自の製品開発・生産技術・品質保証体制を生かし、競合会社との差別化を図っております。
(3) 為替変動による影響
当社グループは、北米・中国・東南アジアにおいて生産及び販売活動を行っており、連結ベ-ス海外売上高比率は約54%となっております。外貨建て取引が増加しており、為替レートの変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、海外子会社の現地通貨建ての業績が各会計年度の平均レートを用いて円換算されていることによる、連結損益計算書への為替レート変動影響、及び現地通貨建ての資産・負債が各決算日現在の為替レートを用いて円換算され、連結貸借対照表に計上されることによる資産・負債額への為替レート変動影響等がリスクとして考えられます。
対応策として、海外子会社の資金調達を現地化することに加え、リスク管理方針を定め、その範囲内で主要通貨の短期的な変動の影響を最小限に抑えるため、金融機関等と為替予約等のヘッジ取引を行っております。
(4) 原材料市況の変動
世界的な原油・原材料価格変動の影響による当社の主要材料である特殊鋼市況の大きな変動は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社グループは材料の市況変動に柔軟に対応するべく、材料調達における複数購買化を推進すると共に、吸収できない市況変動に関しては適切に売価反映を行っていく活動を推進しております。
(5) 災害等/感染症によるパンデミックの影響
当社グループは、国内6拠点・海外10拠点で生産活動を行っており、地震等大規模な自然災害や感染症によるパンデミックが発生した場合は、最終製品の需要減、当社グル-プ・顧客・サプライヤ-の生産活動の中断などにより事業に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、自然災害(地震、津波、洪水、暴風雨、竜巻、大雪、噴火等)
事故(火災、爆発、危険物の漏洩等)
事件・情勢変化(内乱、戦争、テロ、誘拐、脅迫等)
感染症の発生と流行、等が想定されます。
対応策として、当社グル-プは、非常時の初期対応等災害発生の際に適切な対応が取れるよう仕組みを構築しております。
また災害の発生を防ぎ、万が一災害が発生した場合の被害を最小限に抑えるために、防災・危機管理マニュアルを定め、定期的に設備点検、防災訓練等を実施しており、事業に応じたBCP(事業継続計画)を作成し、被災時でも重要な事業を継続し、早期に事業復旧できるよう準備を行っております。
(新型コロナウイルス感染症に関するリスク情報について)
当社グル-プは日本・北米・中国・アジアにおいて生産及び販売活動を行っており、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が発生しております。今後新型コロナウイルス感染症の拡大が世界各地、または当社グル-プが事業展開している地域で継続する場合には、以下のリスクの拡大が想定されるとともに、当社グル-プの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
・生産継続に関するリスク
当社グル-プ従業員の感染や生産地域の感染状況により、従業員の自宅待機や消毒などに必要な期間が発生したり、材料等調達先や物流面の問題により生産継続が出来なくなる可能性があります。
・顧客の生産動向に関するリスク
当社グル-プが販売活動を行っている顧客およびその地域の感染状況により、当社の販売に大きな影響を及ぼす可能性があります。
・消費動向に関するリスク
当社グル-プ連結売上高の約71%を自動車分野、約25%を電子情報通信分野が占めております。新型コロナウイルス感染拡大及びそれに起因する景気後退等が、最終製品の消費動向を減退させ、当社グル-プの販売に大きな影響を及ぼす可能性があります。
なお当社グループは社長執行役員を委員長とし、常勤取締役・執行役員によって構成される「新型コロナ対策本部」を組織し、全グループの情報共有を図り、対応策を協議推進しております。
現時点でこれらのリスクが業績に与える影響額を合理的に算定することは困難であり、可能になった時点で公表いたします。
(6) コンプライアンス等に関するリスク
当社グループの事業活動を行う上で、各国の法令・規制・基準や社会通念が関係しており、これらの不遵守により社会的に信用が毀損され、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、
・人事関連の各種コンプライアンス違反(ハラスメント、雇用関連、人権等)発生
・輸出入関連法違反の発生による輸出停止等の行政制裁による生産・販売への影響
・独占禁止法/競争法の違反発生による課徴金(行政処分)の負担等の影響
・各種環境関連法の違反発生による行政処分、生産影響
等が想定され、また国内外の行政・司法・規制当局等による予期せぬ法令の制定や改廃が行われる可能性や、社会・経済環境の著しい変化等に伴う各種規制の大幅変更の可能性で、コンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを排除できない場合があります。その場合には当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社グル-プは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識しており、経営会議の諮問機関としてコンプライアンス委員会を設置し、「行動規範書」や「ホットライン通報制度」を策定し法令遵守の徹底を図っております。
(7) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っております。当社グループ(委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃、ハッキング、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失などが発生する可能性があります。
こうした事態が生じた場合、具体的には当社グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になるほか、競争力が低下したり、損害賠償やセキュリティシステム改修のために多額の費用負担が発生したりする可能性があります。その結果、当社グループの事業展開、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社グル-プはすべての役員、従業員に対し、情報の取扱いに関する管理規程を定めることで、情報のセキュリティを確保することを重要な課題として認識しており、情報管理の徹底に取組んでいます。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
|
当連結会計年度における世界経済は、米中の通商問題等により先行き不透明な状況が継続しましたが、主要国の良好な雇用環境や景気刺激策等により2019年末までは底堅く推移しました。特に米国では設備投資が抑制されるなどのマイナス要因もありましたが、良好な雇用環境が消費マインドを下支えし、経済成長率を維持しました。一方、中国経済は対米輸出が減少したものの消費拡大策と金融緩和策により緩やかな減速となりました。しかし、2020年に入り新型コロナウイルスの感染拡大が世界各地で続いており、停滞感が強まりました。 また、日本経済は消費税増税や自然災害の影響を受け個人消費や設備投資が伸び悩み、力強さを欠きました。 当社グループの主な事業領域である自動車分野は、世界最大の自動車市場である中国で米中貿易摩擦による景気先行き不安の影響などにより新車販売の停滞が鮮明となるなど、世界新車販売の成長をけん引してきた新興国にブレーキがかかり、日米欧各国でも振るいませんでした。加えて新型コロナウイルスの感染拡大により、年度末にかけて世界的に新車販売は大きな落ち込みが見られました。 |
また、電子情報通信分野では、停滞が続いていたデータセンター向け投資が再開するなど、足元では緩やかな回復の兆しが見られました。
当社グループの業績もこのような外部環境の影響を強く受け、自動車分野は中国市場での販売が減少したことに加え、欧州向けの弁ばね用鋼材の輸出も自動車排ガス規制強化前の駆け込み需要の反動により低迷しました。電子情報通信分野の市況は徐々に改善し、HDD用サスペンションの需要も回復傾向にあるものの、3月に入り新型コロナウイルス感染拡大に伴うフィリピン拠点の封鎖による影響があり,販売は高水準だった前年度からは大きく減少しました。昨年8月から量産を開始したスマートフォン用部品の寄与もありましたが、売上高は423億54百万円(前連結会計年度比7.5%減)となりました。
利益面では、自動車関連製品の採算は上期を底に改善傾向にありますが、一部のアジア子会社を除き、世界経済の停滞による減収の影響に加え、HDD用サスペンションの新規モデルの開発コスト等が先行したため、営業利益は13億75百万円(同59.4%減)となりました。また経常利益は13億36百万円(同62.4%減)、特別利益として投資有価証券売却益等を計上し、特別損失として在外子会社の工場移転関連費用等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は11億23百万円(同51.5%減)となりました。
≪セグメント別の業績≫
[日本]
自動車分野では、シートベルト用部品やHV関連部品などは順調な販売が継続したものの、中国市場の減速によりミッション用部品などの主要製品の出荷数が減少し、加えて弁ばね用鋼材の輸出も欧州向けで排ガス・燃費規制強化等の影響が残り前年を下回りました。また電子情報通信分野でもニアライン向けHDD用サスペンションの需要が回復したものの、上期のデータセンター投資低迷が影響し、前年を大きく下回りました。加えて、3月に入り新型コロナウイルス感染拡大に伴う自動車関連の出荷減や、フィリピン拠点の封鎖によるHDD用サスペンションの出荷停止の影響がありました。
結果として、セグメント売上高は281億5百万円(前連結会計年度比8.5%減)、減収およびHDD用サスペンション開発コスト等によりセグメント利益は9億87百万円(同57.9%減)となりました。
[北米]
メキシコ子会社の弁ばね用鋼材及び自動車関連製品の販売は順調に推移しました。米国子会社の自動車関連製品ではミッション用部品の販売低調をエンジン用部品がカバーしましたが、通信関連販売は光通信産業の投資抑制の影響により前年比で減少しました。その結果、セグメント売上高は66億71百万円(前連結会計年度比1.0%減)となりました。
利益面では、関税増加の影響や生産性改善遅れに伴う原価高などにより、1億16百万円のセグメント利益(前連結会計年度比51.2%減)となりました。
[アジア]
ベトナム子会社のプリンター関連は好調を維持し増収増益となり、タイ子会社も景気減速の影響を受けましたが高水準の収益を維持しました。一方、中国子会社は内外需の不振により自動車・電子情報通信分野ともに前年業績を下回り、一部子会社の工場移転コストも膨らみました。
結果として、セグメント売上高は91億66百万円(前連結会計年度比11.8%減)、セグメント利益は8億81百万円(同42.5%減)となりました。
≪製品区分別の売上業績は次のとおりであります。≫
|
製品区分の名称 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
|
|||
|
自 2018年4月1日 |
自 2019年4月1日 |
増 減 |
|||||
|
至 2019年3月31日 |
至 2020年3月31日 |
|
|
||||
|
金 額 |
構成比 |
金 額 |
構成比 |
金 額 |
前期比 |
||
|
|
|
百万円 |
% |
百万円 |
% |
百万円 |
% |
|
|
材料関連製品 |
5,555 |
12.1 |
5,057 |
11.9 |
△498 |
△9.0 |
|
|
自動車関連製品 |
26,518 |
57.9 |
25,192 |
59.5 |
△1,325 |
△5.0 |
|
自動車分野 |
32,073 |
70.0 |
30,249 |
71.4 |
△1,824 |
△5.7 |
|
|
|
HDD用サスペンション |
8,084 |
17.7 |
6,092 |
14.4 |
△1,992 |
△24.6 |
|
|
プリンター関連 |
3,834 |
8.4 |
3,403 |
8.1 |
△431 |
△11.2 |
|
|
通信関連 |
1,119 |
2.4 |
901 |
2.1 |
△217 |
△19.5 |
|
電子情報通信分野 |
13,038 |
28.5 |
10,396 |
24.6 |
△2,641 |
△20.3 |
|
|
その他製品 |
700 |
1.5 |
1,708 |
4.0 |
1,008 |
144.0 |
|
|
合 計 |
45,812 |
100.0 |
42,354 |
100.0 |
△3,457 |
△7.5 |
|
(自動車分野)
[材料関連製品]
材料関連製品では、メキシコ子会社の弁ばね用鋼材販売は前年を上回りましたが、日本から欧州向け販売は排ガス・燃費規制強化等の影響が残り需要が伸びませんでした。また、精密異形材についても中国自動車市場が停滞したことなどにより販売不振が続きました。その結果、売上高は50億57百万円(前連結会計年度比9.0%減)となりました。
[自動車関連製品]
自動車関連製品では、シートベルト関連やシフトバイワイヤー関連製品は前年比で増加しました。また、次世代主力事業と位置付けた自動車電動化部品につきましても、従来のバスバーに加えシャントセンサーも量産採用が拡大し、前年比で増加しています。しかし、世界的な自動車市場の減速による下押し圧力が強まり、特に中国向けはエンジン用・ミッション用部品が前年に比べ大幅に減少しました。また3月に入り新型コロナウイルス感染拡大に伴う自動車関連の出荷減の影響がありました。その結果、売上高は251億92百万円(前連結会計年度比5.0%減)となりました。
(電子情報通信分野)
[HDD用サスペンション]
HDD用サスペンションは、ニアラインドライブ向けに特化した新機種量産立上げとフィリピン生産拠点への設備投資を進めてきました。大手IT企業のデータセンター投資は前年度末より続いていた低迷から復調の兆しが見受けられ、第4四半期では当社売上高も回復傾向となりましたが、第3四半期までの低迷をカバーするには至りませんでした。また3月に入り新型コロナウイルス感染拡大に伴うフィリピン拠点の封鎖によるHDD用サスペンションの出荷停止の影響がありました。その結果、売上高は60億92百万円(前連結会計年度比24.6%減)となりました。
[プリンター関連]
プリンター関連は、シャフト生産拠点の移管に伴い、中国子会社での販売は減少したものの、ベトナム子会社のTUBEシャフトは増加しました。しかし全体では景気減速によるインクジェットプリンターの需要減の影響により、売上高は34億3百万円(前連結会計年度比11.2%減)となりました。
[通信関連]
通信関連は、主な市場である北米・中国における通信機器産業界の投資抑制などに伴い販売は落ち込み、売上高は9億1百万円(前連結会計年度比19.5%減)となりました。
(その他製品)
その他製品では昨年8月から新たに量産出荷を開始したスマートフォン用部品販売が寄与し、売上高は17億8百万円(前連結会計年度比144.0%増)となりました。
なお、当社グル-プが次世代主力事業と位置付けた医療・介護分野では、歩行訓練支援を目的とする人体装着型機器「KAI-R(カイア-ル)KR-1000」に加えて、京都大学COIプログラムにおいて研究開発を進めてきた歩行学習支援ロボット「Orthobot(オルソボット)」も発売を開始しました。
また、同じく環境・エネルギ-分野では過熱水蒸気利用の連続炭化装置による竹炭は、高級車のインパネ塗装やタッチパネル塗料の顔料として採用されております。
②財政状態の状況
[資産]
総資産は509億21百万円(前連結会計年度末比4億40百万円増)となりました。これは主に、配当金や固定資産取得に伴う支払い等により現金及び預金が31億17百万円減少した一方、設備投資やIFRS第16号「リース」の適用等により有形固定資産が29億50百万円、商品及び製品等のたな卸資産が12億68百万円増加したことによります。
[負債]
負債は150億8百万円(前連結会計年度末比8億6百万円増)となりました。これは主に、納税などにより未払法人税等が2億76百万円、外部借入れの返済等により長期借入金が3億45百万円減少した一方、仕入の増加により支払手形及び買掛金が6億15百万円、短期借入金が3億81百万円、IFRS第16号「リース」の適用等により固定負債のリース債務が4億44百万円増加したことによります。
[純資産]
純資産は359億13百万円(前連結会計年度末比3億66百万円減)となりました。これは主に、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益により11億23百万円増加したものの、配当により6億47百万円、株価下落等によりその他有価証券評価差額金が3億80百万円、退職給付に係る調整累計額が3億3百万円減少したことによります。
③ キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ29億67百万円減少し、当連結会計年度末には87億43百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、27億58百万円の収入(前連結会計年度比26億77百万円の収入減)となりました。増加要因としては、主に税金等調整前当期純利益(17億66百万円)及び減価償却費(32億92百万円)に加え、仕入債務の増加額(5億99百万円)があり、減少要因としては、たな卸資産の増加額(12億58百万円)、法人税等の支払額(8億68百万円)などがあったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、46億18百万円の支出(前連結会計年度比12億92百万円の支出増)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入(6億3百万円)があった一方、固定資産の取得による支出(53億35百万円)及び合弁会社への長期貸付による支出(82百万円)などがあったことによります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、10億88百万円の支出(前連結会計年度比2億92百万円の支出増)となりました。これは主に外部借入れによる収入(7億35百万円)があったものの、長期借入金の返済による支出(6億75百万円)及びリース債務の返済による支出(2億86百万円)のほか、配当金の支払額(6億47百万円)や自己株式の取得による支出(2億16百万円)などがあったことによります。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは手許資金、株主還元、投資への資金配分を重視し、強固な財務基盤を築いてまいりましたが、近年は持続的成長可能な企業の実現に向けて成長投資を加速させております。当方針については今後も継続する予定ですが、新型コロナウイルス感染症の影響度合いによっては、資金の保有水準が低下することも予想されることから、資本コストを上回る厳選した投資判断をいたします。
また、あらゆる状況を想定して金融機関と緊密な協議を行うなど多様な資金調達の準備をしております。当感染症の影響で資金不足が懸念される一部の子会社では既に融資枠の増額および借入実行をしております。
当社の資金調達余力に問題はないと考えておりますが、政府の経済対策、日本銀行の金融政策なども注視しながら、事業継続性、成長戦略に支障のない資金対応をしてまいります。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準、海外子会社についてはIFRS(国際財務報告基準)及び米国会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、過去の実績や状況を鑑みて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。
(新型コロナウイルス感染症拡大の影響について)
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が連結財務諸表及び財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等及び2 財務諸表等の追加情報」をご参照ください。
⑥生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産、受注及び販売の実績は売上実績に類似しているため、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照下さい。
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
売上高(百万円) |
割合(%) |
売上高(百万円) |
割合(%) |
|
|
HGST PHILIPPINES CORPORATION |
7,917 |
17.3 |
5,767 |
13.6 |
該当事項はありません。
当社は、Fine Precision Products(超精密機能製品)の機能拡大を通じてお客様の問題解決を図り、事業を拡大することを使命ととらえております。自動車業界が安全、環境、運転支援技術の開発による自動車の電動化、軽量化が加速し、電子化製品の需要増加と素材転換が進む中、当社は得意とする精密塑性加工技術と電子情報通信部品製造技術を応用し、HV・EV・PHV・FCVに搭載されるキーパーツの開発と量産化を進め、将来の中核事業へ育成してまいります。
更に、成長分野として医療・環境事業へ新規事業開拓を進め、事業基盤・領域の拡大を目指し、環境・エネルギー関連市場、医療・介護機器市場での取り組みを加速してまいります。
なお、当連結会計年度の研究開発活動に要した費用は
また、下記は主な製品区分ごとに記載し、対応セグメントは[ ]書きしております。
(1) 開発グループ[日本]
◎装着型歩行支援ロボットの開発(医療関連)
2018年度は装着型歩行支援ロボットKAI-R(カイアール)の販売(リース)を開始しましたが、2019年度は京都大学COIプログラムにおいて研究開発を進めてきた歩行学習支援ロボットOrthobot(オルソボット)の販売(リース)を開始いたしました。
◎インテリジェンスセンサー(電気自動車、ハイブリッド自動車関連)
昨年開発が完了しましたヒューズセンサーに、電流の入出量をモニターし、バッテリーへの充電量コントロールを高精度に行うための機能を付加した電流センサーを開発致しました。高性能化・小型化および多機能化を図り、電池寿命と航続距離の向上ならびに安全部品としての機能を向上できるよう開発を進めてまいります。
(2) 材料関連製品[日本]
◎新表面性状改善技術の開発
当社が得意な精密異形ワイヤーにおいて、従来引抜線材の課題であった線材性状を改善する新工法を開発し、量産供給開始しています。今後はさらにワイヤー加工技術の開発を進めると共に、より信頼性向上が図れる新規材料開発を行い事業拡大を進めてまいります。
(3) 自動車関連製品[日本]
◎バスバー次世代製品の開発
バスバーは、EV・HV・PHEV関連の車載用バッテリーユニット、モーター、インバーター用の電源供給ターミナルとして開発された製品であり、需要増加や仕様の多様化が加速しています。多様化仕様の中でも取り扱い難いとされている中・長尺バスバーの需要も高まってきており、アイディアを交えた加工工法や評価が必要になってきております。新たな加工工法・海外材・絶縁体の開発に着手し、安価且つグローバル展開も含めた中・長尺バスバーの拡販を目指しております。
◎自動車用新規バルブスプリングの開発
各種製品の性能向上、省スペース化や軽量化の観点より、高強度材・異形断面材を用いたスプリングのニーズは絶えず有り、当社の強みである線材〜ばね加工の一貫生産が求められる新製品の開発を、自動車メーカーはじめ各種業界メーカーと共に開発を推進しています。
今回、当社主力製品の自動車用バルブスプリングにおいて、新規開発製品が誕生する予定です。
まずは、当社製造技術の向上により、公差を既存製品の30%未満にまで圧縮した製品です。2020年量産開始の高出力エンジンに採用されました。
次に、新たなばね製法を確立し(特許出願済)、新規高強度仕様のバルブスプリングを開発しました。これが、2022年量産開始の新規開発ハイブリッドエンジンへの採用が決まりました。
今後も、お客様の更なる製品性能向上に貢献できるよう、新規開発を進めてまいります。
◎生産技術向上に向けた取組み
2020年〜2021年度にかけてばね生産ラインの刷新を行い、最新の生産技術を取り入れることで生産性向上を図っています。
特に、ばねの外観検査装置にAIを採用することでラインの自動化と精度向上を進め、既存製品の生産性・製品品質の向上を行っていきます。
(4) HDD用サスペンション[日本]
◎新機構アクチュエーター搭載サスペンションの生産設備開発
データセンター向けHDDの更なる高記録密度向上に対応する新機構搭載アクチュエーターサスペンションの生産設備を開発、量産を開始いたしました。
今後、データセンター用高容量HDD需要拡大に向け更なる高速・高精度量産設備の開発を進めてまいります。