第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは「技翔創変」を経営理念とし、技術集約型精密製品の創造を通じてお客様の問題解決を図り社会に貢献することを基本方針としております。

 当社グループといたしましては、お客様の海外現地調達の加速、激化する価格競争や為替の変動、その他いかなる環境の変化にも耐えうる経営体質の構築が不可欠と考え、持続的成長を支えるため経営効率を高めることにグループ一丸となって積極的に挑戦してまいりました。

 そのような状況下、当社は中期経営計画GGP24(GLOBAL GROWTH PLAN 2024)~変化から成長へ~を策定し、2022年2月に発表いたしました。中期経営計画では「2030年の事業ポートフォリオ確立に向けた実効的な戦略の加速」を基本方針に掲げ、ステークホルダーの皆さまの期待に応えるため、資本コストを上回る資本収益性を意識し、ポートフォリオ改革を実行してまいります。前中期経営計画で実施した先行投資分野の確実な利益成長を実現するとともに、売上拡大、利益貢献が見込める分野には積極的に投資を行うなど「成長」を意識した企業価値向上に取り組んでまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 中期経営計画GGP24において策定した最終年度(2024年度)の連結売上高630億円、営業利益45億円、営業利益率7.1%、当期純利益35億円、ROE9.0%を経営指標としておりました。一方で、2022年度下期以降、各国での金融引き締めや地政学的リスクによる景気後退の懸念が強まり、データセンター向け投資抑制の影響が継続し、当社の業績も大きく影響を受けております。結果として、最新の経営状況の見通しは、2024年度連結売上高590億円、営業利益4億円、営業利益率0.7%、当期純利益1億円であり、中期経営計画GGP24の達成は難しい状況となっております。なお、2025年度以降の中期経営計画については改めて公表させていただく予定です。

 

(3)経営環境

 世界経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限が緩和され、社会・経済活動の正常化が進んでおります。一方で、ロシアのウクライナ侵攻長期化によるエネルギー・原材料価格の高騰や、各国の金融引き締めによる景気後退懸念の継続により、先行きは不透明な状況が続いております。

 また、わが国経済においては社会経済活動が正常化する中、非製造業で改善が見られるものの、製造業においては不安定な為替相場・物価上昇によるコストの増加が収益の下押し要因となっております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

ア 事業上の対処すべき課題

①  EV等電動化関連成長事業(グローバルに売上拡大・次世代主力事業へ)

 EVおよびHVやPHV等を含めた電動車の需要が大きく増加することが予測されることから、高精度に電流を検出するニーズが増してきています。これに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。

・電動車ニーズに応えるべく「バスバー」「シャントバスバー」「電流センサー」の開発と量産体制の拡大

・EV等電動化製品の欧州・中国・米国での拡販の展開

 

②  電子情報通信関連成長事業(飛躍的成長の実現・利益成長の追求)

 データセンターではIoTの拡大や映像データの蓄積など、ニアラインドライブと呼ばれる大容量ハードディスクドライブ(HDD)の高い需要が見込まれておりましたが、2024年3月期はデータセンター投資抑制の影響が継続しました。

 2025年3月期には市場の回復が見込まれます。

 また、光情報通信産業の三大用途市場であるデータセンター/テレコム/ワイヤーレス市場においては、5G・IoT関連の強い需要により、今後も市場拡大していく見通しです。これらに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。

・サスペンション関連は顧客需要回復への対応と生産効率の向上

・通信/プリンター関連は製品開発、工法改善を通じた、生産効率の向上

 

③  自動車関連既存事業(産業構造の変化に対応・収益力改善)

 電動車の需要増加が予想される中で、当社の自動車関連既存事業のうちエンジンやミッション系精密機能部品は、2030年以降の減少を見据える必要があります。これに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。

・製品別に市場成長性と収益性を検証

・徹底的な製品別採算管理により、既存案件の収益力改善に注力

・生産・営業拠点の最適化

 

イ 財務上の対処すべき課題

 企業価値向上のために従来の事業収益性改善だけでなく、不採算事業からの撤退を含めた事業ポートフォリオ見直しを図ってまいります。更に資本コストを意識した投資判断の徹底を継続し、必要な資金調達を進めてまいります。

 なお、当社グループは第107期(2024年3月期)において3,542百万円の営業損失を計上しており、当連結会計年度末において現金及び預金を7,422百万円保有しておりますが、借入金は14,488百万円(内短期借入金(1年内返済長期借入金を含む)は12,636百万円)となっています。これらの状況により継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が発生していると認識しておりますが、資金面においては当連結会計年度末における手元流動性の確保状況をもとに、当社グループの年度経営計画に基づく今後の収支推移見込みを踏まえ、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

[気候変動への取り組みとTCFD提言への対応について]

 当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を重要な経営課題と認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に基づいた情報開示を進めております。気候変動問題が当社グループに及ぼすリスクと機会の特定・評価、それに対する対応方針は次の通りです。

 今後も、TCFDのフレームワークに沿った分析を実施し、脱炭素社会に向けた取り組みの開示を拡充してまいります。

 

<ガバナンス>

サステナビリティ経営方針

 サンコールグループ企業理念に基づくサステナビリティ経営の推進は、お客様や社会にとって、かけがえのない存在となるよう、社会課題の解決に挑み、新しい価値を創造し続けることにつながります。

 サステナビリティ経営のフレームワークの中で、事業を通じた環境・社会への貢献と持続的成長を追求し、事業ポートフォリオの再構築と事業マネジメントの強化を図ります。

 

 サステナビリティ経営に向けては、サステナビリティを経営課題の一つとして組織的・体系的に取り組む必要があると考えており、経営会議の下部組織としてサステナビリティ委員会を設置しています。

 サステナビリティ委員会は当社グループが優先的に解決すべき気候変動を含むマテリアリティ(重要課題)を特定し、各部門の年度実行計画に落とし込み、各事業活動を通じた課題解決を推進することを目的に設置しています。

 サステナビリティ委員会は社長執行役員を委員長とし、取締役、執行役員、本部長、部門長により構成し、サステナビリティに関連した内容について審議、検討を行っています。①環境(カーボンニュートラル)②社会③従業員(ダイバーシティ)④人権⑤情報セキュリティ、サイバーセキュリティなど、全般にわたる事項を掌握し、適宜担当部門へ指示する対応を行っています。

 委員会は原則年5回開催し、原則年2回取締役会に活動状況と今後の課題について報告する形で、取締役会において管理・監督を行っています。

また、サステナビリティ経営をグループ全体で推進していくため、サステナビリティ委員会で審議、検討を行った決定事項等は各部門に対し実行計画に展開するとともに集合研修やe-learningを通して周知するよう努めております。

 

図1:サステナビリティ推進体制図

0102010_001.jpg

 

<戦略>

気候変動によって生じるリスクと機会の影響を把握するために、シナリオ分析を実施しました。

・シナリオ分析方法

 2030年における気候変動による事業への影響を把握するためにシナリオ分析を実施しました。不確実性の高い気候関連影響を把握するために、積極的な政策により気温上昇を抑える1.5℃シナリオと、限定的な政策により気候変動が進む4℃シナリオの2つのシナリオを設定しました。各シナリオを分析するため、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)から報告されているRCPシナリオと、IEA(国際エネルギー機関)から報告されているSTEPSやNZEといったシナリオを参考としました。RCPシナリオは、気候変動による物理的な影響(物理リスク)の分析のために使用し、IEAのシナリオは脱炭素経済への移行に伴う影響(移行リスク)の分析のために使用しました(表1)。

 また、気候関連影響が従来の財務項目に与える影響度を把握するために、試算可能な項目については財務的影響額を試算しました(図2)。

 

表1:参考にした気候変動シナリオ

0102010_002.png

 

・シナリオ分析結果

[1.5℃シナリオ]

 1.5℃シナリオでは、炭素価格制度や再エネと省エネに関する政策・法規制の制定など、脱炭素社会への移行に伴い企業に影響がもたらされることが予想されます。当社事業へのリスクとして、炭素価格制度の導入や再エネの普及による操業コストの増加、資源価格の高騰による金属材料の調達コストの増加が挙げられました。一方で、機会としては、脱炭素関連製品であるEV関連製品や蓄電池関連製品、IT技術進展に伴うデータセンター向けHDD・光通信部品の売上の増加等が挙げられました。

 リスク軽減のため、当社の温室効果ガス排出量の多くを占めるScope2の削減を目指し、再生可能エネルギー導入およびGHG削減目標の設定のほか、環境に配慮した代替素材の使用と分散調達を検討していきます。また、機会獲得に向けては、脱炭素関連製品および次世代技術の進展に向けた光通信関連製品を経営計画にて重点戦略として位置付けており、事業規模拡大に向けた積極的な取り組みを検討していきます。具体的には、次世代HDDは、記憶容量のUPや転送速度の向上により、データ当たりの消費電力の低減に貢献することから、顧客からの要望に継続して応えていきます。また 特に社会全体で光通信を用いたインフラの構築は今後加速することが予想されます。光通信を用いたインフラ体制の下では、超低消費電力に対応した機器が普及することで、消費電力の大幅な削減が可能です。このような社会の流れは、豊かな通信インフラ社会の実現だけでなく、脱炭素社会の実現にも貢献すると考えています。当社は光通信設備に必要不可欠な光通信コネクタをはじめ、データセンターやワイヤーレスなどに貢献する光通信事業を促進させることで、光通信インフラ社会とカーボンニュートラルの実現に貢献します。

 

[4℃シナリオ]

 4℃シナリオでは、異常気象の激甚化や気温上昇などの気候変動による物理的な影響が発生することが予想されます。当社事業へのリスクとして、当社の事業拠点やサプライチェーンが被災することによる事業活動の停止や資産の毀損などがあります。また、慢性的な気候変動による気温上昇の影響を受け、猛暑により従業員の健康が脅かされ、労働生産性の低下が挙げられました。一方で、機会としては、テレワーク等の増加に伴う通信関連製品の需要の増加が該当します。

 リスク軽減のため当社としては、各拠点で災害対策や労働環境の見直しを行い、必要に応じて設備の増強などに取り組んでいます。

表2:シナリオ分析結果

0102010_003.png

 

図2:財務的影響額の試算結果

0102010_004.png

<リスク管理>

 当社では、気候変動対応を含むサステナビリティについて重要課題と捉えており、リスク管理プロセスを定めています。

 TCFD対応、並びに気候変動関連リスクと機会については、サステナビリティ委員会メンバーである各部門長が抽出を行っています。

 サステナビリティ委員会にて重要項目を列挙した上でどのようなリスクがあるのかを認識し、当社にとっての重要リスクの優先順位付けを行っています。その上で、気候変動に関するリスクの対応を検討し、進捗状況を適時モニタリングしています。

 なお、特定・認識された気候変動に関するリスクは、リスク管理委員会にも連携され、グループ全体のリスク内容も含めて協議する体制を構築することで、全社的なリスク管理体制を整えてまいります。

 また、当社ではサステナビリティ経営をより効果的に推進するため、長期的な視点で様々な社会課題の中から、経営資源を重点的に投入するマテリアリティを特定し、マテリアリティマトリクスという形で全社的なリスクを列挙しています(表3)。

 様々なマテリアリティ課題の中でも気候変動対応については「価値創造に繋がるマテリアリティ」として位置づけ、具体的な取り組みとして「資源循環対応、環境に配慮したモノづくり」、「技術の開発・応用による課題の解決」、「EV製品、竹炭応用品の開発・提供によるカーボンニュートラルへの貢献」、「環境負荷を低減する製造ラインの採用」などを想定しています。

 抽出したマテリアリティに沿った各部門の課題は、年度毎の実行計画に「サステナビリティ課題」として含め、委員会にて進捗確認および推進の後押しを行い、PDCAを推進しています。

 

表3:マテリアリティ(重要課題)

0102010_005.png

 

 

<指標と目標>

 当社グループは、気候変動対応の進捗および気候変動に関する政策等の影響やリスクの機会を評価・管理するために、温室効果ガス(GHG)排出量を指標として設定しています。事業活動におけるScope1およびScope2のGHG排出量を2050年までに実質ゼロ(カーボンニュートラル)を達成することを見据えて削減を目指します。

 2030年までにScope1およびScope2のGHG排出量を基準年2021年から40%削減するという目標を掲げています。今後、目標達成に向けて、設備の省エネ化や再生可能エネルギーの導入を進めていく予定です。

 

表4:温室効果ガス排出量[t-CO2]

0102010_006.png

 

図3:当社グループのCO2排出量削減目標(Scope1,2)

0102010_007.png

 

Scope3算定結果

今後、当社はサプライヤーと協力してScope3の排出削減に取り組みます。

 

表5:各Scopeおよびカテゴリ別排出量

0102010_008.png

 

図4:Scope別排出量(%)

0102010_009.png

 

 

(2)個別のサステナビリティに関する取組

① 環境(カーボンニュートラル)

 2050年カーボンニュートラル達成を見据えた計画的なCO2排出量の削減を目標に掲げ、省エネ活動、生産性向上、技術革新、再エネ導入などの切り口で、太陽光発電の導入などの取組みを進めております。

 

② 社会

 自動車事故時のリスクを低減する製品の販売、当社拠点周辺の美化活動の実施、地域協議会、連絡会等への参加を通じて、安心できる社会生活への貢献を目指しております。

 サステナビリティへの取組みをサプライヤー各社とともに社会に広める趣旨で、「サンコール サプライヤーサステナビリティガイドライン(2023年12月制定)」を制定し、説明会を開催して、サプライヤー各社に当社の取組への理解・協力をお願いしました。

 

③ 従業員(ダイバーシティ)

 当社従業員にしめる女性の割合を2030年に15%以上、2035年に20%以上まで高めるという目標を掲げ、新卒・キャリア入社を通じて実現していけるように全部署がアクションプランを策定し、職場環境を継続的に見直すことで多様な人材が活躍できる職場づくりを推進します。

 

④ 人権(人権尊重)

 2023年度に「サンコールグループ人権方針」の制定及び「重点課題」の選定を行い公表しました。

当社グループの人権リスク重点課題は次の通りです。

1. 差別・ハラスメントの排除

2. 労働時間の適切な管理

3. 安全に配慮した労働環境

4. 児童労働・強制労働の禁止

5. プライバシーの保護

人権デューデリジェンスのPDCA運用に向けて構想しています。

 

⑤ 情報セキュリティ、サイバーセキュリティ

 当社グループにおける「情報セキュリティ」とは、当社グループが取り扱う情報資産を情報の機密性、完全性および可用性を維持すること(サイバーセキュリティを含む)をいいます。また当社グループにおける「サイバーセキュリティ対策」とは、情報の漏えい、滅失または毀損の防止など、当該情報の安全管理のために必要な措置、および情報システムや情報通信ネットワークの安全性・信頼性の確保のために必要な措置を講じ、その状態が適切に維持管理されるための施策をいいます。

 2021年度~2022年度にかけて、オンプレミスでのリモートワーク PC 向けデータ漏洩防止ソリューションを社内PCに導入しました。これにより社内PCの紛失・盗難によるデータ漏えいが防げます。また出張・在宅勤務での情報漏えいリスクを軽減しています。

 情報セキュリティ事件・事故対応訓練を定期的に実施しております。架空のインシデントに対して、話し合い、インシデント対応プランを決定する模擬訓練です。情報セキュリティ対応は経営課題であり、有事において速やかに対応できる体制の構築が課題であることを経営幹部で共有しております。訓練結果を踏まえ、「グループ情報セキュリティ基本方針」「情報セキュリティ規程」を見直し、サイバー攻撃の最新情報の社内共有を含め、体制を整備しました。社内各部署に「情報セキュリティチェックシート」を配布・回収し、情報セキュリティ規程の順守状況を把握するなどして運用しております。2023年度は、グループ各社における「情報セキュリティ規程」の整備を完了しました。

 

⑥コーポレートガバナンス

 取締役会の監督下で、気候変動への取組みを進め、TCFDの枠組みでの開示、CDPへの回答を進めています。

 また、独立社外取締役を1/3以上とし、取締役会の機能の独立性・客観性を高めています。

 2023年度においては以下を実施しました。

・株主総会の議決権電子行使(プラットフォーム)の導入。

・株主総会招集通知の英文版作成。

・実質/株主の株主総会出席手順と株式取扱規則改定の取締役会決議。

・取締役会スキルマトリックスの見直し。

・関連当事者間取引管理規程の制定。

・取締役会実効性評価の第三者評価の実施。

 

⑦ サステナビリティ関連の教育・訓練

 次のテーマで教育・研修を実施しました。同教育の対象者は内容により役員、管理職、一般社員の中から選抜しました。

「サンコール サプライヤーサステナビリティガイドライン」

「ESGとは」

「気候変動が事業に与えるリスクと機会に対するサンコールの取組み」

「CDPとは」

「情報セキュリティ事件・事故対応訓練」

 

(3)人的資本に関する戦略と指標および目標

 長期的な視点で多様な人材が活躍できる環境を提供し、制度・風土面の観点からも取組みを進めています。2023年5月に「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定「くるみん認定」を受けました。今後も従業員一人ひとりの個性や働き方を尊重し能力を最大限に発揮できる職場環境づくりを目指します。

<戦略>

① 管理職に誰もがチャレンジし易い人事制度の運用

② 女性活躍に関する研修の実施

③ プラチナくるみん取得に向けた職場環境の整備

④ 職場の活性化と言える化を推進するためのアクションプランの実施

⑤ 有給休暇の取得促進に取組み、従業員のモチベーション向上や働き易い職場環境の実現に向けての風土づくり

 

<指標・目標・実績>

0102010_010.png

(注)1.連結グループに属する全ての会社が必ずしも同様の取組みを行っていないため提出会社のみ記載をしております。

2.従業員向けにエンゲージメントサーベイ(5段階評価)を実施し、会社施策や職場の改善につながる言える化を推進するためのアクションプランです。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループは、リスク管理委員会を設置し、年4回の定期的開催により事業運営に重大な影響を与えるリスクの統括管理を行っております。当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへの影響が大きいリスクを以下で取り上げていますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現在は未知のリスク、又は重要と見なされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場環境の変化

 当社グループは、連結売上高の約73%を自動車分野が占めている他、データセンター向けHDD用サスペンション、プリンター関連部品もそれぞれ大きな比率となっております。これら最終製品の国際的市場動向の変化や業界再編は当社製品の生産販売量の変動につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、ニアラインと呼ばれるデータセンター向けHDDはSSD(Solid State Drive)への置き換えが進むリスクがあり、その場合当社グループの業績に大きな影響を及ぼします。

 対応策として、当社グループはニアライン向けデータストレージに関する技術動向について慎重な分析を行うとともに、中長期的には精密塑性加工技術を応用した新規事業分野(自動車電動化対応、医療介護、環境エネルギ-)拡大への取り組みを加速させてまいります。

 

(2) 競争の激化

 当社グループが関連するそれぞれの事業分野において、競合会社との競争激化により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 具体的には 競合会社による競争力のある新製品の発売、価格競争の激化、低価格品などへの需要シフト等がリスクとして考えられます。

 対応策として、当社グループは主要製品において材料から製品までの一貫生産を行うことに加え、金型の内製化等による、独自の製品開発・生産技術・品質保証体制を生かし、競合会社との差別化を図っております。

 

(3) 為替変動による影響

 当社グループは、北米・中国・東南アジアにおいて生産及び販売活動を行っており、連結ベース海外売上高比率は約59%となっております。外貨建て取引が増加しており、為替レートの変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 具体的には、当社グループの外貨建て取引及び連結財務諸表作成の際における海外子会社財務諸表の外貨から円貨への換算は為替レート変動影響等を受けるリスクが考えられます。

 対応策として、リスク管理方針を定め、その範囲内で主要通貨の短期的な変動の影響を最小限に抑えるため、金融機関等と為替予約等のヘッジ取引を行うことに加え、海外子会社の資金調達を現地化しております。

 

(4) 原材料市況の変動

 世界的な原油・原材料価格変動の影響による当社の主要材料である特殊鋼市況の大きな変動は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 対応策として、当社グループは材料の市況変動に柔軟に対応するべく、材料調達における複数購買化を推進すると共に、吸収できない市況変動に関しては適切に売価反映を行っていく活動を推進しております。

 

(5) 災害等/感染症によるパンデミックの影響

 当社グループは、国内7拠点・海外12拠点で生産活動を行っており、地震等大規模な自然災害や感染症によるパンデミックが発生した場合は、最終製品の需要減、当社グループ・顧客・サプライヤーの生産活動の中断などにより事業に影響を及ぼす可能性があります。

  具体的には、自然災害(地震、津波、洪水、暴風雨、竜巻、大雪、噴火等)

        事故(火災、爆発、危険物の漏洩等)

        事件・情勢変化(内乱、戦争、テロ、誘拐、脅迫等)

        感染症の発生と流行、等が想定されます。

 対応策として、当社グループは、非常時の初期対応他災害発生の際に適切な対応が取れるよう仕組みを構築しております。

 また災害の発生を防ぎ、万が一災害が発生した場合の被害を最小限に抑えるために、防災・危機管理マニュアルを定め、定期的に設備点検、防災訓練等を実施しており、事業に応じたBCP(事業継続計画)を作成し、被災時でも重要な事業を継続し、早期に事業復旧できるよう準備を行っております。

 

(6) コンプライアンス等に関するリスク

 当社グループの事業活動を行う上で、各国の法令・規制・基準や社会通念が関係しており、これらの不遵守により社会的に信用が毀損され、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 具体的には、

   ・人事関連の各種コンプライアンス違反(ハラスメント、雇用関連、人権等)発生

      ・輸出入関連法違反の発生による輸出停止等の行政制裁による生産・販売への影響

      ・独占禁止法/競争法の違反発生による課徴金(行政処分)の負担等の影響

      ・各種環境関連法の違反発生による行政処分、生産影響

 等が想定され、また国内外の行政・司法・規制当局等による予期せぬ法令の制定や改廃が行われる可能性や、社会・経済環境の著しい変化等に伴う各種規制の大幅変更の可能性で、コンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを排除できない場合があります。その場合には当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 対応策として、当社グループは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識しており、経営会議の諮問機関としてコンプライアンス委員会を設置し、「行動規範書」や「ホットライン通報制度」を策定し法令遵守の徹底を図っております。

 

(7) 情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っております。当社グループ(委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃、ハッキング、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失などが発生する可能性があります。

 こうした事態が生じた場合、具体的には当社グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になるほか、競争力が低下したり、損害賠償やセキュリティシステム改修のために多額の費用負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業展開、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 対応策として、当社グループはすべての役員、従業員等に対し、情報の取扱いに関する管理規程を定めることで、情報のセキュリティを確保することを重要な課題として認識しており、情報管理の徹底に取組んでいます。

 

(8) 訴訟に関するリスク

 当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟等を提起されることがあり、その結果、予期せぬ多額の損害賠償を命じられる可能性があります。その額によっては、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 対応策として契約審査等を通じて、訴訟その他法的手続きの発生を未然に防止するよう努めるとともに、万が一訴訟その他法的手続きが発生した場合には、外部専門家と連携しながら当社グループへの影響を最小限に抑えることに努めております。

 

(9) 人材確保や育成に関するリスク

 当社グループは、今後の事業拡大に伴う適切な人材確保が必要であると考えております。また、当社の経営理念は「技翔創変」であり、当社グループの持つ技術を伝えていく為の適切な人材確保と育成が重要な課題であると認識しております。しかし、少子高齢化や働き方の変化などにより、十分な人材確保や育成ができない可能性があります。

 対応策として、当社グループの企業価値を高めていく活動を強化していくとともに、適切な人材確保・育成体制の強化を図ってまいります。

 

(10) 継続企業の前提に関する重要事象等

 当社グループは第107期(2024年3月期)において3,542百万円の営業損失を計上しております。また、当連結会計年度末において現金及び預金を7,422百万円保有しておりますが、借入金は14,488百万円(内短期借入金(1年内返済長期借入金を含む)は12,636百万円)となっています。これらの状況により継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が発生していると認識しておりますが、対応策として、企業価値向上のために従来の事業収益性改善だけでなく、不採算事業からの撤退を含めた事業ポートフォリオ見直しを図るとともに、資本コストを意識した投資判断の徹底を継続してまいります。資金面においては当連結会計年度末における手元流動性の確保状況をもとに、当社グループの年度経営計画に基づく今後の収支推移見込みを踏まえ、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は新型コロナウイルス感染症に関する行動制限が緩和され社会・経済活動 の正常化が進んでおります一方でロシアのウクライナ侵攻長期化によるエネルギー・原材料価格の高騰や各 国の金融引き締めによる景気後退懸念の継続により先行きは不透明な状況が続いております

 またわが国経済においては社会経済活動が正常化する中非製造業で改善が見られるものの製造業において は不安定な為替相場・物価上昇によるコストの増加が収益の下押し要因となっております

 当社グループの主な事業領域である自動車分野は半導体不足等供給制約も解消しており回復傾向にありま す

 電子情報通信分野ではデジタル社会進展によりデータセンター向け投資に旺盛な需要が続いておりましたが 2022年9月以降各国の金融引き締めや地政学的リスクによる景気後退の懸念が強まりデータセンター向け投資抑 制の影響が継続しました

 当社グループの業績もこのような外部環境の影響を強く受け売上高は514億96百万円(前連結会計年度比3.6% 減)となりました

 利益面ではHDD用サスペンションでの売上高減少影響に加え新機種増産準備にかかる費用の増加及び訴訟 対応に関して有効な防御策を講じるための弁護士費用・その他の費用などの影響により営業損失は35億42百万円 (前連結会計年度は3億4百万円の営業利益)為替差益の発生や持分法による投資利益により経常損失は26億92 百万円(前連結会計年度は8億48百万円の経常利益)となりましたまた当社HDD用サスペンション事業及び 海外連結子会社SUNCALL AMERICA INC.の自動車関連製品での固定資産減損損失の計上繰延税金資産の取り崩しに より親会社株主に帰属する当期純損失は118億16百万円(前連結会計年度は5億57百万円の親会社株主に帰属する 当期純利益)となりました

 

≪セグメント別の業績≫

[日本]

 電子情報通信分野でHDD用サスペンションの需要減少の影響からセグメント売上高は334億83百万円(前連結会計年度比5.5%減)となりました利益面ではHDD用サスペンションでの売上高減少影響に加え新機種増産準備にかかる費用の増加及び訴訟対応に要する弁護士費用・その他の費用などの影響によりセグメント損失は35億2百万円(前連結会計年度は2億28百万円のセグメント損失)となりました

 

[北米]

 米国子会社の自動車関連製品での販売増加及び円安の影響によりセグメント売上高は86億86百万円(前連結会計年度比6.4%増)となりましたセグメント損失は7億14百万円(前連結会計年度は2億23百万円のセグメント損失)となりました

 

[アジア]

 プリンター関連及び通信関連での販売減少によりセグメント売上高は111億90百万円(前連結会計年度比5.5%減)セグメント利益は14億80百万円(同9.2%減)となりました

 

 

≪製品区分別の売上業績は次のとおりであります。≫

製品区分の名称

前連結会計年度

当連結会計年度

 

 

自 2022年4月1日

自 2023年4月1日

増  減

至 2023年3月31日

至 2024年3月31日

 

 

金  額

構成比

金  額

構成比

金  額

前期比

 

 

百万円

百万円

百万円

 

材料関連製品

7,430

13.9

7,950

15.4

519

7.0

 

自動車関連製品

26,487

49.6

29,591

57.5

3,103

11.7

自動車分野

33,918

63.5

37,541

72.9

3,623

10.7

 

HDD用サスペンション

12,931

24.2

8,679

16.9

△4,252

△32.9

 

プリンター関連

4,239

8.0

3,315

6.4

△923

△21.8

 

通信関連

1,563

2.9

1,451

2.8

△112

△7.2

電子情報通信分野

18,734

35.1

13,446

26.1

△5,288

△28.2

その他製品

746

1.4

508

1.0

△237

△31.8

 合 計

53,399

100.0

51,496

100.0

△1,902

△3.6

 

(自動車分野)

 

[材料関連製品]

 材料関連製品は自動車生産も回復傾向にあり前連結会計年度から増加しましたその結果売上高は79億50百万円(前連結会計年度比7.0%増)となりました

 

[自動車関連製品]

 自動車関連製品は自動車生産が回復傾向であることに加えバスバー等電動化関連やLED関連製品等一部の製品で大きく増加したことにより前連結会計年度から増加しましたその結果売上高は295億91百万円(前連結会計年度比11.7%増)となりました

 

(電子情報通信分野)

 

[HDD用サスペンション]

 HDD用サスペンションは2022年9月以降各国の金融引き締めや地政学的リスクによる景気後退の懸念が強まりデータセンター向け投資抑制の影響が継続しました結果売上高は86億79百万円(前連結会計年度比32.9%減)となりました

 

[プリンター関連]

 プリンター関連は需要が減少傾向にあり売上高は33億15百万円(前連結会計年度比21.8%減)となりました

 

[通信関連]

 通信関連は景気後退懸念によるデータセンター投資抑制の影響から減少となり売上高は14億51百万円(前連結会計年度比7.2%減)となりました

 

(その他製品)

 その他製品は売上高は5億8百万円(前連結会計年度比31.8%減)となりました

 

 

②財政状態の状況

[資産]

 総資産は604億47百万円(前連結会計年度末比32億88百万円減)となりましたこれは主に株価の上昇等により投資有価証券が22億37百万円退職給付に係る資産が17億75百万円増加したもののHDD用サスペンションの減損損失等により有形固定資産が74億81百万円減少したことによります

 

[負債]

 負債は310億95百万円(前連結会計年度末比53億98百万円増)となりましたこれは主に未払金が8億13百万円減少したものの短期借入金が43億25百万円繰延税金資産の取り崩し等により繰延税金負債が24億23百万円増加したことによります

 

[純資産]

 純資産は293億51百万円(前連結会計年度末比86億86百万円減)となりましたこれは主にその他有価証券評価差額金が14億19百万円退職給付に係る調整累計額が11億61百万円為替変動等により為替換算調整勘定が10億67百万円増加したものの親会社株主に帰属する当期純損失及び配当により利益剰余金が123億94百万円減少したことによります

 

③ キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ3億20百万円減少し当連結会計年度末には73億87百万円となりました

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 営業活動によるキャッシュ・フローは6億78百万円の収入(前連結会計年度比10億13百万円の収入減)となりました増加要因としては主に減価償却費(43億12百万円)のほか固定資産の減損損失(76億5百万円)があり減少要因としては税金等調整前当期純損失(100億34百万円)売上債権の増加額(5億84百万円)法人税等の支払額(5億27百万円)などがあったことによります

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 投資活動によるキャッシュ・フローは43億20百万円の支出(前連結会計年度比6億26百万円の支出減)となりましたこれは主に投資有価証券の売却による収入(4億30百万円)があった一方固定資産の取得による支出(46億26百万円)があったことによります

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 財務活動によるキャッシュ・フローは28億75百万円の収入(前連結会計年度比94百万円の収入増)となりましたこれは主に長期借入金の返済による支出(6億63百万円)及び配当金の支払額(5億78百万円)があったものの外部借入れによる収入(43億7百万円)があったことによります

 

④資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは手許資金、株主還元、投資への資金配分を重視し、強固な財務基盤を築いてまいりましたが、近年は持続的成長可能な企業の実現に向けて成長投資を加速させております。当方針については今後も継続する予定にしており、事業環境の変動等により一時的に資金の保有水準が低下することも予想されますが、資本コストを上回る厳選した投資判断をいたします。

 また、当社は資金調達の機動性及び安定性の確保を図るため、既に借入枠の設定及び借入実行をしており、機動的かつ円滑な資金調達が可能な体制を構築しております。当社の資金調達余力に問題はないと考えておりますが、今後の事業環境の変化等を注視しつつ、現在必要とされる資金水準を充分満たす流動性を保持し、財務の健全性維持に努めてまいります。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表及び財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」 及び 「2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

⑥生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産、受注及び販売の実績は売上実績に類似しているため、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照下さい。

主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高(百万円)

割合(%)

売上高(百万円)

割合(%)

WESTERN DIGITAL STORAGE TECHNOLOGIES (PHILIPPINES) CORP

8,861

16.6

5,677

11.0

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社は、Fine Precision Products(超精密機能製品)の機能拡大を通じてお客様の問題解決を図り、事業を拡大することを使命ととらえております。

 自動車の電動化が加速し、電子化製品の需要増加と素材転換が進む中、当社は得意とする精密塑性加工技術と電子情報通信部品製造技術を応用し、電動車や電子情報通信機器などに搭載されるキーパーツの開発と量産化を進め、将来の中核事業へ育成してまいります。

 更に、成長分野として医療・環境事業へ新規事業開拓を進め、事業基盤・領域の拡大を目指し、環境・エネルギー関連市場、医療・介護機器市場での取り組みを加速してまいります。

 なお、当連結会計年度の研究開発活動に要した費用は1,206百万円であります。主な研究開発の成果は下記のとおりであります。

 また、下記は主な製品区分ごとに記載し、対応セグメントは[ ]書きしております。

 

(1) 開発グループ[日本]

◎オルソボット(歩行支援ロボット)

 脳卒中後のリハビリ用途以外にも適用例が増加し、地方自治体の通所型運動トレーニング総合事業にも採用されております。今後は過疎地でのリハビリや高齢者のフレイル予防に向けた機能アップを行い多彩なニーズに応えてまいります。

 

◎超音波センサー

 自動車用途や自立ロボットへの利用に向けて小型化、ユニット化を目指して開発継続中です。

 

◎環境関連製品

 宮津市の竹害対策の一環として伐採された竹/竹炭を活用した“タステナブルな”(竹を使ったサステナブル活動)竹ノート、カップとコースター、線香を開発し百貨店でテスト販売を実施しております。

 今後も環境関連製品を開発しSDGs活動に寄与してまいります。

 

(2) 材料関連製品[日本]

◎新ワイヤー加工技術の開発

 将来的にICE関連部材の減少が見込まれる中、これまで鋼材で培った生産技術(伸線・圧延)を非鉄材料(銅・アルミ)に応用し、マグネットワイヤ分野やバスバー分野へ参入すべく、製造・評価技術の確立に取組んでおります。

 

 

(3) 自動車関連製品[日本]

◎バスバー次世代製品の開発

 自動車の電動化に伴い、益々バスバーの需要が大きくなってくる中、当社は、高耐熱仕様やアルミ材など、様々な仕様のバスバー開発に取り組んでおります。

 加えて、この分野の事業拡大を見据え、バスバー製品の一貫生産による生産効率化を目的として、成形性のタクト向上、新たな自動化設備の導入、及び各工程の最適化に向けたスマートラインの開発を推進しております。2024年度の量産開始に向け、低コストを実現させ、お客様のニーズに応えてまいります。

 

◎フレキシブルバスバーの開発

 将来ニーズにおける増加に着目し、バスバーのバリエーション展開として一部分が自由に曲がるフレキシブルバスバーを開発中であります。組付け性の向上や振動対策として今後使用範囲が増加する見込みとなっており、バスバーやシャントセンサーと組み合わせるなど、保有している様々な加工技術を活かし、加速しているEV関連製品需要に対応すべく今後も開発・拡販を目指します。

 

◎電流センサーの開発

 磁気式電流センサーにおいては、引き合いが増える中、顧客要求に応じた製品ラインナップ拡充に取り組んでおります。またICサプライヤーであるAllegro Microsystems(Crocus社の買収会社)との連携も深め、製品開発及び事業拡大にも取り組んでおります。

 

◎LED関連製品の開発

 車載用として製品化に成功し需要が増加しておりますが、今後は更に省エネ性を高める機能を付加した製品を開発してまいります。

 

(4) プリンター関連[日本]

◎プリンター関連製品の開発

 有機溶剤を使用しない新たな塗装の量産化技術を開発中であり、同工程の改善によりCO2削減効果も期待されております。サンコールグループGHG排出量削減への貢献を目指してまいります。

 

(5) 通信関連[日本]

◎光通信用コネクタの開発

 新たな製品ラインナップとして、LCプルユニブーツコネクター及びMPOクラスターインターナルシャッターアダプターの開発が成功し、量産を開始しました。引き合いも急増しており2024年度は増産体制を強化してまいります。

 また昨今、ハイパースケールデータセンターに向けた光通信用コネクタの需要が伸びており、広帯域高速の情報送受信が要求される中、これまで弊社が開発に取り組み市場投入してきました高性能・高付加価値の光コネクタが多くのユーザーに選ばれております。当社は引続き、高密度、低損失、耐高周波、多芯、小型化、防塵防水等のニーズに応える製品の研究開発に取り組んでまいります。