第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

継続企業の前提に関する重要事象等について

 当社グループは、当中間連結会計期間においては27百万円の営業利益を計上しているものの前連結会計年度において35億42百万円の営業損失を計上しております。また、当中間連結会計期間末において、現金及び預金を86億81百万円保有しておりますが、借入金は152億48百万円(内短期借入金(1年内返済長期借入金を含む)は137億円)となっています。これらの状況により継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が発生していると認識しておりますが、対応策として、企業価値向上のために従来より事業収益性改善を進めており、その一方で今般不採算事業であったHDD用サスペンション事業の撤退を決定しております。当社としては、引き続き事業ポートフォリオの見直しを図り、資本コストを意識した投資判断の徹底を継続してまいります。また、資金面においては当中間連結会計期間末における手元流動性の確保状況をもとに、当社グループの年度経営計画に基づく今後の収支推移見込みを踏まえ、金融機関との協議を行い、必要な運転資金を確保することで財務状況の安定化を図ってまいります。

 以上により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在するものの、重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 本文の将来に関する事項は、本半期報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の分析

 当中間連結会計期間における世界経済は、北米や欧州における堅調な景気状況が継続した一方で、ロシアのウクライナ侵攻長期化によるエネルギー・原材料価格の高騰や、各国の金融引き締めによる景気後退懸念の継続により、先行きは不透明な状況が続いております。

 また、わが国経済においては社会経済活動が正常化する中、製造業においては不安定な為替相場・物価上昇によるコストの増加が収益の下押し要因となっております。

 当社グループの主な事業領域である自動車分野は、半導体不足等供給制約も解消しており、回復傾向にあるものの、一部自動車メーカーにおける生産・出荷停止による景気下押し要因もございました。

 電子情報通信分野では、金融引き締めや地政学的リスクによる景気後退懸念の強まりを起因とするデータセンター向け投資抑制が継続しておりましたが、昨今その回復の兆しが見えてまいりました。

 当社グループの業績もこのような外部環境の影響を強く受け、売上高は302億81百万円(前年同期比20.3%増)となりました。

 利益面では、HDD用サスペンションでの新機種増産準備にかかる費用の増加及び訴訟対応に関して有効な防御策を講じるための弁護士費用・その他の費用などの影響により営業利益は27百万円(前年同期は14億6百万円の営業損失)、為替差損の発生により経常損失は3億21百万円(前年同期は8億34百万円の経常損失)となりました。また、当社HDD用サスペンション事業での固定資産減損損失の計上により親会社株主に帰属する中間純損失は10億68百万円(前年同期は6億81百万円の親会社株主に帰属する中間純損失)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 なお、当中間連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同中間期比較については、前年同中間期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

<日本>

 電子情報通信分野でのHDD用サスペンションの需要回復の影響から、セグメント売上高は195億25百万円(前年同期比18.0%増)となりました。利益面ではHDD用サスペンションでの新機種増産準備にかかる費用の増加及び訴訟対応に要する弁護士費用・その他の費用などの影響により、セグメント損失は5億4百万円(前年同期は13億2百万円のセグメント損失)となりました。

 

<北米>

 メキシコ子会社における材料関連製品やアメリカ子会社における通信関連の販売増加及び円安の影響により、セグメント売上高は51億70百万円(前年同期比22.5%増)となりました。セグメント損失は3億33百万円(前年同期は2億75百万円のセグメント損失)となりました。

 

<アジア>

 材料関連製品及び通信関連での販売増加により、セグメント売上高は68億64百万円(前年同期比31.2%増)、セグメント利益は12億57百万円(同108.0%増)となりました。

 

<欧州>

 自動車関連製品及び通信関連での販売により、セグメント売上高は21百万円、セグメント損失は11百万円となりました。

 

 製品区分別の売上業績を示すと、次のとおりであります。

 

(自動車分野)

 

[材料関連製品]

 材料関連製品は、主要顧客の受注増加により、前年同期から増加しました。その結果、売上高は46億57百万円(前年同期比20.1%増)となりました。

 

[自動車関連製品]

 自動車関連製品は、自動車生産は回復傾向ではあるものの、日本セグメントにおける販売停滞の影響により、前年同期から減少しました。その結果、売上高は139億98百万円(前年同期比4.6%減)となりました。

 

(電子情報通信分野)

 

[HDD用サスペンション]

 HDD用サスペンションはデータセンター向け需要が回復基調となり、売上高は75億99百万円(前年同期比90.6%増)となりました。

 

[プリンター関連]

 プリンター関連は、需要が堅調であり、売上高は20億65百万円(前年同期比21.2%増)となりました。

 

[通信関連]

 通信関連は、データセンター向け需要が回復基調となり、北米及びアジアでの売上が好調。結果、売上高は17億6百万円(前年同期比152.2%増)となりました。

 

(その他製品)

 その他製品は、売上高は2億54百万円(前年同期比2.4%増)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

[資産]

 総資産は615億57百万円(前連結会計年度末比11億9百万円増)となりました。これは主に現金及び預金が12億58百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が28億40百万円増加した一方、保有株式売却により投資有価証券が32億19百万円減少したことによります。

 

[負債]

 負債は348億21百万円(前連結会計年度末比37億25百万円増)となりました。これは主に、仕入の増加等により支払手形及び買掛金が14億76百万円、短期借入金が7億18百万円、HDD用サスペンション事業での特許侵害訴訟における和解金の計上等により流動負債のその他に含まれる未払金が19億87百万円増加したことによります。

 

[純資産]

 純資産は267億35百万円(前連結会計年度末比26億16百万円減)となりました。これは主に、為替変動等により為替換算調整勘定が10億64百万円増加したものの、保有株式売却によりその他有価証券評価差額金が22億52百万円、親会社株主に帰属する中間純損失及び配当により利益剰余金が13億73百万円減少したことによります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ12億54百万円増加し、当中間連結会計期間末には86億41百万円となりました。

 

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 営業活動によるキャッシュ・フローは、13億97百万円の支出(前年同中間期比22億66百万円の支出増)となりました。増加要因としては、主に減価償却費(12億58百万円)、和解金(39億55百万円)、棚卸資産の減少額(8億93百万円)、仕入債務の増加額(13億24百万円)などがあり、減少要因としては、税金等調整前中間純損失(7億39百万円)、投資有価証券売却益(40億6百万円)、売上債権の増加額(25億19百万円)、和解金の支払額(20億円)などがあったことによります。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 投資活動によるキャッシュ・フローは、22億72百万円の収入(前年同中間期比48億90百万円の収入増)となりました。これは主に固定資産の取得による支出(17億79百万円)があったものの、投資有価証券の売却による収入(40億50百万円)があったことによります。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 財務活動によるキャッシュ・フローは、1億3百万円の支出(前年同中間期比10億35百万円の支出増)となりました。これは主に短期借入金の純増額(3億52百万円)があった一方、リース債務の返済による支出(98百万円)や配当金の支払額(3億3百万円)などがあったことによります。

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更を行っております。

 なお、詳細については、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項」の(中間連結損益計算書関係)※1 減損損失に記載しております。

 

(4) 経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当中間連結会計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(7) 研究開発活動

 当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発費の総額は、5億51百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。