文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「技翔創変」を経営理念とし、技術集約型精密製品の創造を通じてお客様の問題解決を図り社会に貢献することを基本方針としております。
当社グループといたしましては、お客様の海外現地調達の加速、激化する価格競争や為替の変動、その他いかなる環境の変化にも耐えうる経営体質の構築が不可欠と考え、持続的成長を支えるため経営効率を高めることにグループ一丸となって積極的に挑戦してまいりました。
そのような状況下、当社は中期経営計画2027を策定し、2025年5月に発表いたしました。中期経営計画2027では「既存自動車分野における収益性の改善」「成長事業の基盤強化」「安定経営を実現・維持するための財務戦略」の3つの基本方針を掲げ、ステークホルダーの皆さまの期待に応えるため、資本コストを上回る資本収益性を意識し、ポートフォリオ改革を実行してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画2027において策定した最終年度(2027年度)の連結売上高480億円、営業利益30億円、営業利益率6.3%、当期純利益18億円、ROE6.1%を重要な経営指標としており、前述の3つの基本方針を以て、安定的な収益基盤構築を推進してまいります。
(3)経営環境
世界経済は、北米や欧州における堅調な景気状況が継続した一方で、ロシアのウクライナ侵攻長期化によるエネルギー・原材料価格の高騰や、弱含む中国経済の影響、米国の関税政策などにより先行きは依然不透明な状況が続いております。
一方で、カーボンニュートラル実現に向けた自動車電動化の拡大と、生成AI活用・IoT・デジタル社会進展によるクラウドストレージ需要の伸びは、今後も確実に進んでいくと認識しており、当社の事業環境は大きな変革期を迎えております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
ア 事業上の対処すべき課題
① 自動車関連既存事業(産業構造の変化に対応・収益力改善)
電動車の需要増加が予想される中で、当社の自動車関連既存事業のうちエンジンやミッション系精密機能部品は、2030年以降の減少を見据える必要があります。これに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。
・将来的な市場成長縮小による収益性重視の事業運営
・価格転嫁、拠点戦略の再整理、不採算製品の方針再検討
② EV等電動化関連成長事業(グローバルに売上拡大・次世代主力事業へ)
EVおよびHVやPHV等を含めた電動車の需要が大きく増加することが予測されることから、高精度に電流を検出するニーズが増してきています。これに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。
・電動車ニーズに応えるべく「バスバー」「シャントバスバー」「電流センサー」の開発と量産体制の拡大
・EV等電動化製品の欧州・中国・米国での拡販の展開
③ 電子情報通信関連成長事業(成長の実現・利益成長の追求)
光情報通信産業の三大用途市場であるデータセンター/テレコム/ワイヤーレス市場においては、
生成AI・IoT・5G関連の強い需要により、今後も市場拡大していく見通しです。これらに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。
・光通信用コネクタ・アダプタは自社独自設計により、顧客ニーズを反映した豊富なラインナップを展開
・タイムリーな生産能力増強
イ 財務上の対処すべき課題
企業価値向上のために従来の事業収益性改善だけでなく、不採算事業からの撤退を含めた事業ポートフォリオ見直しを図ってまいります。更に資本コストを意識した投資判断の徹底を継続し、必要な資金調達を進めてまいります。
(継続企業の前提に関する重要事象等の解消について)
当社グループは前連結会計年度において営業損失35億42百万円、経常損失26億92百万円、親会社株主に帰属する当期純損失118億16百万円を計上し、当連結会計年度の第3四半期連結会計期間まで継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりました。
当該状況を解消するため、当連結会計年度において、企業価値向上のために従来から取り組んできた事業収益性改善を引き続き進めるとともに、前年度の営業赤字の要因であったHDD用サスペンション事業の撤退を当連結会計年度において決定しました。通信関連事業ではデータセンター向け需要が好調に推移していることにより、売上及び利益は拡大しております。今後も自社独自設計や、顧客ニーズを反映した豊富なラインナップの展開、タイムリーな生産能力増強等の取り組みにより安定した売上及び利益を確保する見込みです。自動車分野及び通信関連事業での安定した利益確保により、当連結会計年度は、営業利益34億42百万円を計上し、かつ2026年3月期も営業黒字を見込んでおり、営業黒字を確保できる体質となりました。
資金面については、第3四半期連結会計期間にシンジケートローンを契約したことにより、運転資金と新規事業の設備投資資金の安定的な確保が可能となったことに加えて、長短借入金のバランスが改善され、従来よりも安定的かつ柔軟な資金調達が可能となりました。
これらの状況から、当連結会計年度において、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象または状況は解消したと判断いたしました。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
サステナビリティ経営方針
サンコールグループ企業理念に基づくサステナビリティ経営の推進は、お客様や社会にとって、かけがえのない存在となり、社会価値と経済価値の創造につながります。
サステナビリティ経営のフレームワークの中で、事業を通じた環境・社会への貢献とコーポレート・ガバナンスを強化し、持続的成長を目指します。
(注)「サステナビリティ経営方針」は2025年5月に更新した内容を記載しております。
(1)気候変動への取組
当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を重要な経営課題と認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に基づいた情報開示を進めております。
<ガバナンス>
サステナビリティを経営課題の一つとして組織的・体系的に取り組む必要があると考え、経営会議の諮問機関として取締役、執行役員、本部長、部門長を構成員とするサステナビリティ委員会を設置しています。
サステナビリティ委員会は、当社グループが優先的に解決すべきマテリアリティ(重要課題)解決に向けたE(気候変動への対応)、S(安心できる社会生活への貢献、高齢化社会への貢献)、G(人的資本経営の推進、持続的成長を支える企業経営の実現)の取組みを推進し、事業を通じた環境・社会への貢献とコーポレート・ガバナンスの強化により、持続的成長を目指しております。マテリアリティを各部門年度実行計画へ落とし込み、全社一丸で進めております。
委員会は原則年5回開催し、原則年2回取締役会に活動状況と今後の課題について報告する形で、取締役会において管理・監督を行っております。
また、サステナビリティ経営をグループ全体で推進していくため、サステナビリティ委員会で審議、検討を行った結果は経営会議へ答申し、業務執行組織を通じて展開、周知を行っております。
(注)上記は2025年5月に更新した内容を記載しております。
図1:サステナビリティ推進体制図
<戦略>
気候変動によって生じるリスクと機会の影響を把握するために、シナリオ分析を実施しました。
・シナリオ分析方法
2030年における気候変動による事業への影響を把握するためにシナリオ分析を実施しました。不確実性の高い気候関連影響を把握するために、積極的な政策により気温上昇を抑える1.5℃シナリオと、限定的な政策により気候変動が進む4℃シナリオの2つのシナリオを設定しました。各シナリオを分析するため、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)から報告されているRCPシナリオと、IEA(国際エネルギー機関)から報告されているSTEPSやNZEといったシナリオを参考としました。RCPシナリオは、気候変動による物理的な影響(物理リスク)の分析のために使用し、IEAのシナリオは脱炭素経済への移行に伴う影響(移行リスク)の分析のために使用しました(表1)。
表1:参考にした気候変動シナリオ
・シナリオ分析結果
[1.5℃シナリオ]
1.5℃シナリオでは、炭素価格制度や再エネと省エネに関する政策・法規制の制定など、脱炭素社会への移行に伴い企業に影響がもたらされることが予想されます。当社事業へのリスクとして、炭素価格制度の導入や再エネの普及による操業コストの増加、資源価格の高騰による金属材料の調達コストの増加が挙げられました。一方で、機会としては、脱炭素関連製品であるEV関連製品や蓄電池関連製品、IT技術進展に伴うデータセンター向け光通信部品の売上の増加等が挙げられました。
リスク軽減のため、当社の温室効果ガス排出量の多くを占めるScope2の削減を目指し、再生可能エネルギー導入およびGHG削減目標の設定のほか、環境に配慮した代替素材の使用と分散調達を検討していきます。また、機会獲得に向けては、脱炭素社会の実現に資する関連製品および次世代技術の進展を見据えた光通信関連製品を、中期経営計画にて重点戦略として位置付けております。これらの分野における取り組みを強化し、事業規模の拡大を図ってまいります。社会全体において光通信技術を活用したインフラ整備が一層加速することが見込まれており、これに伴い、超低消費電力に対応した機器の普及が進み、消費電力の大幅な削減が可能となります。このような社会的潮流は、豊かで持続可能な通信インフラ社会の構築のみならず、脱炭素社会の実現にも貢献するものと認識しております。当社は光通信設備に必要不可欠な光通信コネクタをはじめ、データセンターやワイヤレス通信分野などへの供給を通じて、光通信インフラ社会とカーボンニュートラルの実現に貢献します。
[4℃シナリオ]
4℃シナリオでは、異常気象の激甚化や気温上昇などの気候変動による物理的な影響が発生することが予想されます。当社事業へのリスクとして、当社の事業拠点やサプライチェーンが被災することによる事業活動の停止や資産の毀損などがあります。また、慢性的な気候変動による気温上昇の影響を受け、猛暑により従業員の健康が脅かされ、労働生産性の低下が挙げられました。一方で、機会としては、テレワーク等の増加に伴う通信関連製品の需要の増加が該当します。
リスク軽減のため当社としては、各拠点で災害対策や労働環境の見直しを行い、必要に応じて設備の増強などに取り組んでいます。
表2:シナリオ分析結果
<リスク管理>
当社では、気候変動対応を含むサステナビリティについて重要課題と捉えており、リスク管理プロセスを定めています。
気候変動関連リスクと機会については、サステナビリティ委員会メンバーである各部門長が抽出を行っています。
サステナビリティ委員会にて重要項目を列挙した上でどのようなリスクがあるのかを認識しております。
サステナビリティ経営をより効果的に推進するため、長期的な視点で様々な社会課題の中から、経営資源を重点的に投入するマテリアリティを特定し、マテリアリティマトリクスという形で全社的なリスクを列挙しています(表3)。
様々なマテリアリティ課題の中でも気候変動対応については「価値創造に繋がるマテリアリティ」として位置づけ、「資源循環対応、環境に配慮したモノづくり」、「技術の開発・応用による課題の解決」に取り組みます。
マテリアリティに対する具体的な取り組み事項は、各部門の実行計画に落とし込み、委員会にて進捗確認および推進の後押しを行い、PDCAを推進しています。
表3:マテリアリティ(重要課題)
(注)2025年5月に取締役会にて決議されました。
<指標と目標>
当社グループは、気候変動対応の進捗および気候変動に関する政策等の影響やリスクと機会を評価・管理するために、温室効果ガス(GHG)排出量を指標として設定しています。事業活動におけるGHG排出量(Scope1およびScope2)については、2050年までに実質ゼロ(カーボンニュートラル)達成を見据えて削減を目指します。
2030年までにScope1およびScope2のGHG排出量を基準年2021年から40%削減するという目標を掲げています。今後、目標達成に向けて、設備の省エネ化や再生可能エネルギーの導入を進めていく予定です。
表4:温室効果ガス排出量[t-CO2]
対象範囲:サンコールグループ全体
図3:当社グループのCO2排出量削減目標(Scope1,2)
(2)個別のサステナビリティに関する取組
① 環境(カーボンニュートラル)
2050年カーボンニュートラル達成を見据えた計画的なCO2排出量の削減を目標に掲げ、省エネ活動、生産性向上、技術革新、再エネ導入などの切り口で、太陽光発電の導入などの取組みを進めております。
② 社会
自動車事故時のリスクを低減する製品の販売拡大を推進しております。また当社拠点周辺の美化活動の実施、地域協議会・連絡会等への参加を通じて安心できる社会生活への貢献を目指しております。
2024年度は、上記の継続的な取り組みに加え、大阪・関西万博への協賛等を行いました。
③ 従業員(ダイバーシティ)
当社従業員にしめる女性の割合を2030年に15%以上、2035年に20%以上まで高めるという目標を掲げ、新卒・キャリア入社を通じて実現していけるように全部署がアクションプランを策定し、職場環境を継続的に見直すことで多様な人材が活躍できる職場づくりを推進します。
2024年度期末の当社従業員における女性の割合は、12.3%となりました。
④ 人権(人権尊重)
「サンコールグループ人権方針」を制定し、「重点課題」の選定を行い公表しております。
現在、人権デューデリジェンスのPDCA運用に向けて構想しています。
|
当社グループの人権リスク重点課題は次の通りです。 1. 差別・ハラスメントの排除 2. 労働時間の適切な管理 3. 安全に配慮した労働環境 4. 児童労働・強制労働の禁止 5. プライバシーの保護 |
⑤ 情報セキュリティ、サイバーセキュリティ
当社グループにおける「情報セキュリティ」とは、当社グループが取り扱う情報資産を情報の機密性、完全性および可用性を維持すること(サイバーセキュリティを含む)をいいます。また当社グループにおける「サイバーセキュリティ対策」とは、情報の漏えい、滅失または毀損の防止など、当該情報の安全管理のために必要な措置、および情報システムや情報通信ネットワークの安全性・信頼性の確保のために必要な措置を講じ、その状態が適切に維持管理されるための施策をいいます。
オンプレミスでのリモートワーク PC 向けデータ漏洩防止ソリューションを社内PCに導入しております。これにより社内PCの紛失・盗難によるデータ漏えいが防げます。また出張・在宅勤務での情報漏えいリスクを軽減しています。
情報セキュリティ事件・事故対応訓練を定期的に実施しております。架空のインシデントに対して、話し合い、インシデント対応プランを決定する模擬訓練です。情報セキュリティ対応は経営課題であり、有事において速やかに対応できる体制の構築が課題であることを経営幹部で共有しております。訓練結果を踏まえた「グループ情報セキュリティ基本方針」「情報セキュリティ規程」の見直し、サイバー攻撃の最新情報の社内共有など行い、体制を整備しています。社内各部署に「情報セキュリティチェックシート」を配布・回収し、「情報セキュリティ規程」の順守状況を把握するなどしております。
2024年度においては以下を実施しました。
・守るべき情報資産(重要機密情報)の特定調査
・「サイバーセキュリティ対策規程」の全子会社整備に着手
・ITサーベイ、情報セキュリティ規程遵守状況の調査
・サイバーセキュリティ教育の実施
⑥コーポレートガバナンス
2024年度においては以下を実施しました。
・ガバナンスサーベイを通じて、ガバナンスコードへの対応上の評価を認識
・全社・全グループ対象に内部統制システム構築の基本方針運用状況の期中自主点検を実施
・取締役会実効性の評価を外部機関の助言を得ながら実施・開示
・機関投資家との1on1ミーティングやスチュワードシップコードに基づく面談の実施状況について取締役会で確認
・内部者取引管理規程を改定
・CDP、EcoVadis等の第三者評価機関への回答を実施
(3)人的資本に関する戦略と指標および目標
長期的な視点で多様な人材が活躍できる環境を提供し、制度・風土面の観点からも取組みを進めています。「子育てサポート企業」として、2023年には厚生労働省「くるみん」に認定されました。今後「プラチナくるみん」認定を目指します。従業員一人ひとりの個性や働き方を尊重し能力を最大限に発揮できる職場環境づくりを目指します。
<戦略>
① 管理職に誰もがチャレンジし易い人事制度の整備
② 女性活躍に関する研修の実施
③ 法定を上回る子育て支援制度等の整備
④ エンゲージメントを高めるためのアクションプランの実施
⑤ 有給休暇の取得促進に取組み、従業員のモチベーション向上や働きやすい職場環境の実現に向けての風土づくり
<指標・目標・実績>
(注)1.連結グループに属する全ての会社が必ずしも同様の取組みを行っていないため提出会社のみ記載をしております。
2.従業員向けにエンゲージメントサーベイ(5段階評価)を実施し、会社施策や職場の改善につながる言える化を推進するためのアクションプランです。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関連する事項のうち、財政状態、経営成績およびキャッ
シュ・フロー等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあると認識しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場環境の変化
当社グループは、連結売上高の約59%を自動車分野が占めている他、事業撤退を決定しているデータセンター向けHDD用サスペンションを除いても、通信関連及びプリンター関連を含む電子情報分野でも大きな比率となっております。これら最終製品の国際的市場動向の変化や業界再編は当社製品の生産販売量の変動につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、自動車市場におけるEV化の進展や市場動向や情報通信市場の動向などについて慎重な分析を行うとともに、中長期的には精密塑性加工技術を応用した新規事業分野(自動車電動化対応、医療介護、環境エネルギー)拡大への取り組みを加速させてまいります。
(2) 競争の激化
当社グループが関連するそれぞれの事業分野において、競合会社との競争激化により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には 競合会社による競争力のある新製品の発売、価格競争の激化、低価格品などへの需要シフト等がリスクとして考えられます。
対応策として、当社グループは主要製品において材料から製品までの一貫生産を行うことに加え、金型の内製化等による、独自の製品開発・生産技術・品質保証体制を生かし、競合会社との差別化を図っております。
(3) 為替変動による影響
当社グループは、北米・中国・東南アジアにおいて生産及び販売活動を行っており、連結ベース海外売上高比率は約68%となっております。そのような状況から、為替レートの変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、当社グループの外貨建て取引及び連結財務諸表作成の際における海外子会社財務諸表の外貨から円貨への換算は為替レート変動影響等を受けるリスクが考えられます。
対応策として、リスク管理方針を定め、その範囲内で主要通貨の短期的な変動の影響を最小限に抑えるため、金融機関等と為替予約等のヘッジ取引を行うことに加え、海外子会社の資金調達を現地化しております。
(4) 原材料市況の変動
世界的な原油・原材料価格変動の影響による当社の主要材料である特殊鋼市況の大きな変動は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社グループは材料の市況変動に柔軟に対応するべく、材料調達における複数購買化を推進すると共に、吸収できない市況変動に関しては適切に売価反映を行っていく活動を推進しております。
(5) 人材確保や育成に関するリスク
当社グループは、今後の事業拡大に伴う適切な人材確保が必要であると考えております。また、当社の経営理念は「技翔創変」であり、当社グループの持つ技術を伝えていく為の適切な人材確保と育成が重要な課題であると認識しております。しかし、少子高齢化や働き方の変化などにより、十分な人材確保や育成ができない可能性があります。
対応策として、当社グループの企業価値を高めていく活動を強化していくとともに、適切な人材確保・育成体制の強化を図ってまいります。
(6) 訴訟に関するリスク
当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟等を提起されることがあり、その結果、予期せぬ多額の損害賠償を命じられる可能性があります。その額によっては、当社グループの業績と財務状況に影響をおよぼす可能性があります。
対応策として契約審査等を通じて、訴訟その他法的手続きの発生を未然に防止するよう努めるとともに、万が一訴訟その他法的手続きが発生した場合には、外部専門家と連携しながら当社グループへの影響を最小限に抑えることに努めております。
(7) 知的財産権に関するリスク
当社グループは、技術やノウハウの保護に努めておりますが、第三者による当社技術の模倣や類似製品の製造を完全に防止できない可能性があります。また、当社の特許権が無効とされたり、第三者が当社特許を回避して競合製品を市場に投入するリスクや、当社が他社の知的財産権を侵害していると指摘される可能性もあります。
これらのリスクに対応するため、当社は知的財産権の管理とリスク軽減を専門的に担当する部門を設置し、適切な権利取得と管理、法的対応を推進しております。
(8) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っております。当社グループ(委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃、ハッキング、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失などが発生する可能性があります。
こうした事態が生じた場合、具体的には当社グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になるほか、競争力が低下したり、損害賠償やセキュリティシステム改修のために多額の費用負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業展開、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社グループはすべての役員、従業員に対し、情報の取扱いに関する管理規程を定めることで、情報のセキュリティを確保することを重要な課題として認識しており、情報管理の徹底に取組んでいます。
(9) 災害等/感染症によるパンデミックのリスク
当社グループは、国内6拠点・海外12拠点で生産活動を行っており、地震等大規模な自然災害や感染症によるパンデミックが発生した場合は、最終製品の需要減、当社グループ・顧客・サプライヤーの生産活動の中断などにより事業に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、 自然災害(地震、津波、洪水、暴風雨、竜巻、大雪、噴火等)
事故(火災、爆発、危険物の漏洩等)
事件・情勢変化(内乱、戦争、テロ、誘拐、脅迫等)
感染症の発生と流行、等が想定されます。
対応策として、当社グループは、非常時の初期対応他災害発生の際に適切な対応が取れるよう仕組みを構築しております。
また災害の発生を防ぎ、万が一災害が発生した場合の被害を最小限に抑えるために、防災・危機管理マニュアルを定め、定期的に設備点検、防災訓練等を実施しており、事業に応じたBCP(事業継続計画)を作成し、被災時でも重要な事業を継続し、早期に事業復旧できるよう準備を行っております。
(10) コンプライアンス等に関するリスク
当社グループの事業活動を行う上で、各国の法令・規制・基準や社会通念が関係しており、
これらの不遵守により社会的に信用が毀損され、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、
・人事関連の各種コンプライアンス違反(ハラスメント、雇用関連、人権等)発生
・輸出入関連法違反の発生による輸出停止等の行政制裁による生産・販売への影響
・独占禁止法/競争法の違反発生による課徴金(行政処分)の負担等の影響
・各種環境関連法の違反発生による行政処分、生産影響
等が想定され、また国内外の行政・司法・規制当局等による予期せぬ法令の制定や改廃が行われる可能性や、社会・経済環境の著しい変化等に伴う各種規制の大幅変更の可能性で、コンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを排除できない場合があります。その場合には当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社グループは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識しており、経営会議の諮問機関としてコンプライアンス委員会を設置し、「行動規範書」や「ホットライン通報制度」を策定し法令遵守の徹底を図っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、北米や欧州における堅調な景気状況が継続した一方で、ロシアのウクライナ侵攻長期化によるエネルギー・原材料価格の高騰や、弱含む中国経済の影響により先行きは依然不透明な状況が続いております。
また、わが国経済においては社会経済活動が正常化する中、製造業においては不安定な為替相場・物価上昇によるコストの増加が収益の下押し要因となっております。
当社グループの主な事業領域である自動車分野は、半導体不足等供給制約も解消しており、回復状態にあるものの、一部自動車メーカーにおける生産・出荷停止による景気下押し要因もございました。一方、電子情報通信分野については、データセンター向け投資拡大が継続している状況でございます。
当社グループの業績もこのような外部環境の影響を強く受け、売上高は639億40百万円(前連結会計年度比24.2%増)となりました。
利益面では、データセンター向け需要が好調であり、通信関連の売上増加に伴い利益が増加しました。また、HDD用サスペンションでの訴訟案件和解により、弁護士費用及びその他関連費用が減少し、営業利益は34億42百万円(前連結会計年度は35億42百万円の営業損失)、為替差損の発生により経常利益は31億56百万円(前連結会計年度は26億92百万円の経常損失)となりました。当社HDD用サスペンション事業の事業撤退損及び固定資産減損損失、中国連結子会社 SUNCALL (Tianjin) Co., Ltd. の固定資産減損損失、加えてメキシコ連結子会社SUNCALL TECHNOLOGIES MEXICO, S.A. DE C.V. の過年度法人税等の計上により親会社株主に帰属する当期純損失は7億69百万円(前連結会計年度は118億16百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
≪セグメント別の業績≫
[日本]
電子情報通信分野における需要回復の影響から、セグメント売上高は408億64百万円(前連結会計年度比22.0%増)となりました。利益面では売上増加に加え、HDD用サスペンションの訴訟案件和解による弁護士費用及びその他関連費用の減少により、セグメント利益は13億31百万円(前連結会計年度は34億90百万円のセグメント損失)となりました。
[北米]
アメリカ子会社における通信関連やメキシコ子会社における材料関連製品の販売増加及び円安の影響により、セグメント売上高は104億70百万円(前連結会計年度比20.5%増)となりました。セグメント損失は6億42百万円(前連結会計年度は7億14百万円のセグメント損失)となりました。
[アジア]
通信関連での販売増加により、セグメント売上高は154億94百万円(前連結会計年度比38.5%増)、セグメント利益は34億46百万円(同132.8%増)となりました。
[欧州]
主に通信関連の販売を開始し、セグメント売上高は1億43百万円(前連結会計年度は1百万円のセグメント売上高)、セグメント損失は5百万円(前連結会計年度は11百万円のセグメント損失)となりました。
≪製品区分別の売上業績は次のとおりであります。≫
|
製品区分の名称 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
|
|||
|
自 2023年4月1日 |
自 2024年4月1日 |
増 減 |
|||||
|
至 2024年3月31日 |
至 2025年3月31日 |
|
|
||||
|
金 額 |
構成比 |
金 額 |
構成比 |
金 額 |
前期比 |
||
|
|
|
百万円 |
% |
百万円 |
% |
百万円 |
% |
|
|
材料関連製品 |
7,950 |
15.4 |
9,578 |
15.0 |
1,627 |
20.5 |
|
|
自動車関連製品 |
29,591 |
57.5 |
28,294 |
44.2 |
△1,296 |
△4.4 |
|
自動車分野 |
37,541 |
72.9 |
37,872 |
59.2 |
330 |
0.9 |
|
|
|
HDD用サスペンション |
8,679 |
16.9 |
16,371 |
25.6 |
7,691 |
88.6 |
|
|
プリンター関連 |
3,315 |
6.4 |
4,213 |
6.6 |
898 |
27.1 |
|
|
通信関連 |
1,451 |
2.8 |
4,965 |
7.8 |
3,514 |
242.2 |
|
電子情報通信分野 |
13,446 |
26.1 |
25,550 |
40.0 |
12,104 |
90.0 |
|
|
その他製品 |
508 |
1.0 |
517 |
0.8 |
9 |
1.8 |
|
|
合 計 |
51,496 |
100.0 |
63,940 |
100.0 |
12,444 |
24.2 |
|
(自動車分野)
[材料関連製品]
材料関連製品は、主要顧客の受注増加により、前連結会計年度から増加しました。その結果、売上高は95億78百万円(前連結会計年度比20.5%増)となりました。
[自動車関連製品]
自動車関連製品は、自動車生産は回復傾向ではあるものの、日本セグメントにおける販売停滞の影響により、前年同期から減少しました。その結果、売上高は282億94百万円(前連結会計年度比4.4%減)となりました。
(電子情報通信分野)
[HDD用サスペンション]
HDD用サスペンションは、前連結会計年度に大きく落ち込んだデータセンター向け需要が回復基調となり、売上高は163億71百万円(前連結会計年度比88.6%増)となりました。
[プリンター関連]
プリンター関連は、需要が堅調であり、売上高は42億13百万円(前連結会計年度比27.1%増)となりました。
[通信関連]
通信関連は、データセンター向け需要が回復基調となり、北米及びアジアでの売上が好調。結果、売上高は49億65百万円(前連結会計年度比242.2%増)となりました。
(その他製品)
その他製品は、売上高は5億17百万円(前連結会計年度比1.8%増)となりました。
②財政状態の状況
[資産]
総資産は601億75百万円(前連結会計年度末比2億72百万円減)となりました。これは主に現金及び預金が17億72百万円、売掛金等の債権が32億8百万円増加した一方、棚卸資産が15億53百万円、機械装置及び運搬具を含む有形固定資産が5億11百万円、保有株式売却により投資有価証券が30億99百万円減少したことによります。
[負債]
負債は335億82百万円(前連結会計年度末比24億86百万円増)となりました。これは主に、保有株式売却により繰延税金負債が9億74百万円減少した一方、仕入の増加等により支払手形及び買掛金が7億85百万円、借入金が6億20百万円、事業撤退損失引当金が8億45百万円、過年度法人税等により未払法人税等が9億20百万円増加したことによります。
[純資産]
純資産は265億92百万円(前連結会計年度末比27億59百万円減)となりました。これは主に、為替変動等により為替換算調整勘定が7億64百万円増加した一方、親会社株主に帰属する当期純損失及び配当により利益剰余金が10億74百万円、保有株式売却によりその他有価証券評価差額金が23億99百万円減少したことによります。
③ キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ18億8百万円増加し、当連結会計年度末には91億95百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、6億54百万円の収入(前連結会計年度比23百万円の収入減)となりました。増加要因としては、主に税金等調整前当期純利益(8億28百万円)、減価償却費(25億59百万円)、事業撤退損(13億93百万円)、棚卸資産の減少額(17億10百万円)、仕入債務の増加額(6億33百万円)があり、減少要因としては、投資有価証券売却益(40億6百万円)、売上債権の増加額(29億3百万円)などがあったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、10億1百万円の収入(前連結会計年度比53億22百万円の収入増)となりました。これは主に固定資産の取得による支出(30億92百万円)があった一方、投資有価証券の売却による収入(40億50百万円)があったことによります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、2億84百万円の支出(前連結会計年度は28億75百万円の収入)となりました。これは主に長期借入による収入(28億10百万円)があったものの、短期借入金の純減額(22億19百万円)、長期借入金の返済による支出(3億59百万円)、配当金の支払額(3億4百万円)などがあったことによります。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは手許資金、株主還元、投資への資金配分を重視し、強固な財務基盤を築いてまいりましたが、近年は持続的成長可能な企業の実現に向けて成長投資を加速させております。当方針については今後も継続する予定にしており、事業環境の変動等により一時的に資金の保有水準が低下することも予想されますが、資本コストを上回る厳選した投資判断をいたします。
また、当社は資金調達の機動性及び安定性の確保を図るため、既に借入枠の設定及び借入実行をしており、機動的かつ円滑な資金調達が可能な体制を構築しております。当社の資金調達余力に問題はないと考えておりますが、今後の事業環境の変化等を注視しつつ、現在必要とされる資金水準を充分満たす流動性を保持し、財務の健全性維持に努めてまいります。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表及び財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」 及び 「2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
⑥生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産、受注及び販売の実績は売上実績に類似しているため、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照下さい。
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
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売上高(百万円) |
割合(%) |
売上高(百万円) |
割合(%) |
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|
WESTERN DIGITAL STORAGE TECHNOLOGIES (PHILIPPINES) CORP |
5,677 |
11.0 |
13,159 |
20.6 |
当社は、2024年12月10日付で運転資金及び設備資金の効率的な調達を行うことを目的としたシンジケートローン契約(契約期間:2024年12月13日から2028年3月31日まで)を締結しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係) ※2 担保資産及び担保付債務」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係) ※5 コミットメントライン契約等」に記載のとおりであります。
当社は、Fine Precision Products(超精密機能製品)の機能拡大を通じてお客様の問題解決を図り、事業を拡大することを使命ととらえております。
自動車の電動化の加速、一方で内燃機関の需要継続、AIなどによるデーターセンターの拡大等々、変化が激しい昨今、当社は得意とする精密塑性加工技術と電子情報通信部品製造技術を応用し、自動車や二輪車、電子情報通信機器、あるいは産業機器などに搭載されるキーパーツの開発と量産化を柔軟に進め、お客様の要望に応えると共に新たなソリューションを提案してまいります。
更に、医療・環境事業へ新規事業開拓を進め、事業基盤・領域の拡大を目指し、環境・エネルギー関連市場、医療・介護機器市場での取り組みを加速してまいります。
なお、当連結会計年度の研究開発活動に要した費用は
また、下記は主な製品区分ごとに記載し、対応セグメントは[ ]書きしております。
(1) 開発グループ[日本]
◎オルソボット(歩行支援ロボット)
脳卒中後のリハビリ用途以外での使用例も増加傾向にあるため、オルソボットが多岐に使用できるように改良を進めています。また、知的財産権の権利化も進みリハビリテーションのコア病院にも採用頂いており、引き続き過疎地でのリハビリや高齢者のフレイル予防に向けた機能アップを行い多彩なニーズに応えてまいります。
◎竹炭
宮津市の竹害竹を活用し、竹/竹炭を活用した”タステナブルな製品”を開発しBtoB以外にBtoCへの展開も進めています。また、竹炭を用いたビーガンレザーの開発も進めており、それら技術を「2025年大阪・関西万博」の関西パビリオン・京都ブース(2025年8月4日~8月17日)に出展いたします。
◎竹材
竹害対策を加速化させるため、竹繊維を用いた竹バイオマスプラスチックの開発を進め、脱石油由来プラスチックを目指しカーボンニュートラルへ貢献してまいります。
(2) 材料関連製品[日本]
◎新高強度ワイヤー
当社のワイヤー加工の強みである線材表面性状に関して、生産性改善に寄与する新工法の開発に取り組んでおります。
◎非鉄材料
鋼材で培った生産技術を非鉄材料(銅・アルミ)に適用し、マグネットワイヤー材やバスバー材などの塑性加工データ積上げ、顧客の試作要望に取り組んでおります。これらの商材は自動車の電動化によりますます需要が拡大するため、更なる顧客要望に応えられるよう、情報収集に注力し、生産体制を整えてまいります。
◎マグネットワイヤー
コア技術である精密異形加工を駆使した素材開発と耐高温特性に優れた絶縁被膜塗布技術を組み合わせたマグネットワイヤーを開発中です。EVおよびHVやPHV等を含めた電動車、家電、ドローンなど省エネに寄与するモーター用製品材としての活用を目指します。
(3) 自動車関連製品[日本]
◎バスバー
自動車の電動化に伴い、ますますバスバーの需要が高まる中、当社は高耐熱仕様やアルミ材など、様々な仕様のバスバー開発に取り組んでおります。この分野の事業拡大を見据え、一貫生産による生産効率化を目的として、成形性のタクトアップ、新たな自動化設備の導入、及び各工程の最適化したスマートラインの開発・導入が完了し、2025年度からの本格稼働を予定しております。また、このラインはグローバルにも展開し、さまざまなお客様のニーズに応えてまいります。
◎フレキシブルバスバー
将来ニーズの増加に着目し、バスバー製品のバリエーション展開として部分的に可撓性を有するフレキシブルバスバーの開発を推進中です。組付け性の向上や振動対策として今後、使用範囲が拡大の見込みであり、ソリッドバスバーやシャントセンサーと組み合わせるなど、保有している様々な加工技術を活かし、加速しているEV等電動化製品の需要に対応すべく引続き開発・拡販を目指します。
◎バルブスプリング
自動車の電動化がグローバル市場で延びていく中、いまだHEV含めたエンジン付き車両の需要も継続しております。当社のコア技術を集約して生産しているバルブスプリングも更なる付加価値追求できる商材と考え工法の発明を推進しております。ばね製造時の荷重バラツキを高精度に制御することにより、高品質・高強度の製品開発を推進いたします。
◎電流センサー
磁気式電流センサーは新規引き合いが増えており、また顧客要求に応じて製品ラインアップ拡充に取り組んだ結果新規受注が確定しました。またICサプライヤーであるAllegro Microsystems(Crocus社の買収会社)と新製品開発を進めており、併せて先方ホームページとのリンクや展示会ブースへサンコール製品を展示頂く等拡販活動でも連携を深めています。
◎LED関連製品
車載用として製品化に成功、受注も好調に推移しています。新しい用途や新規顧客発掘を目的に展示会へ出品、顧客へPRに取り組みます。
(4) プリンター関連[日本]
◎プリンター関連製品
環境負荷物質削減のため有機溶剤を使用しない新塗装の量産化技術を開発/継続中です。有機溶剤レスと共にCO2削減効果も期待されておりサンコールグループGHG排出量削減への貢献を目指して参ります。
(5) 通信関連[日本]
◎光通信用コネクタ・アダプタ
データセンター向け需要が高まっており、ラインナップを拡充するべく様々な課題解決を目的としたアダプタ・コネクタの開発を進めています。
ハイパースケールデータセンターで使用されるMPOコネクタの高密度実装下での挿抜を容易にするプッシュプル機能を付加したコネクタの開発を完了し量産を開始しました。また、MPOアダプタ製品ではシングル、デュアル、クラスタアダプタ全製品にインターナルシャッター機能を付加してシリーズ化を完了し、需要が増加しているMPO型製品を広く市場に投入してまいります。また、引き続きテレコム市場向け新規製品の開発を進めます。