文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループの経営に対する基本的な考えは「企業は株主・従業員・社会の3者の共有物であり、これにお客様、サプライヤー、金融機関等を加えた全てのステークホルダーに利益と誇りをもたらす(Profit and Pride for All Stakeholders)」ということであり、長期的利益の犠牲のもとに短期的利益を追求しないことを命題としております。そのために遵法精神に則り、「技術に裏打ちされた、独自性のある、かつ社会に有用な商品を世界中で安くつくり、適正価格で売る」ことにより、高い収益力を持った強い会社となるべく不断の企業活動を展開しております。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
当社グループを取り巻く経営環境につきましては、世界経済は米中貿易摩擦の激化や英国のEU離脱問題の影響及び中東や東アジアの地政学リスクなど不透明な状況が続くものと予想され、国内においても消費税率引き上げの影響など不安要素もあり、引き続き予断を許さない状況にあります。
当社グループの事業におきましては、世界規模での業務提携や再編等により販売競争と調達コスト削減への取り組みが進んでおり、部品メーカーに対してさらなる原価低減、技術革新への要請が強まっております。また、地球環境保護、サステナビリティの実現に向けた動きを背景に、次世代自動車向け製品の開発をはじめ、各分野において、より環境や省力化に資する製品・サービスが求められております。また、IoT、AI(人工知能)等さらなるIT技術の進歩・普及にともない、半導体業界向け製品の需要拡大が見込まれます。
このような環境のもと当社グループは、持続的な企業の成長と発展のための強靭な事業体制を構築するべく、2017年度より新たな3カ年計画を策定し取り組んでおります。概要は以下のとおりであります。
・基本方針 『持続性ある企業体質の構築』-Fly Sky High !
・期間 2017年度から19年度
・主要推進項目
1.永遠のゼロ
「顧客から信頼される製品品質の確保」、「世界同一品質の確保」の実現
2.次世代商品開発
「次世代モビリティ・エネルギー」市場向けに固有技術を活かした製品開発
3.徹底したTCD、ムダ半
「Total Cost Down」、「ムダの排除~すべてを半分に~」 による利益創出
4.BCM
「Business Continuity Management」の構築
5.EagleBurgmann三極全体最適経営
日本・インド・アジアパシフィック地域の全体最適に向けた経営推進
6.ERP導入/活用
グローバル経営情報伝達・収集の基幹システムとしてのSAP導入完了
7.人間尊重経営/健康・安全
真に働き甲斐のある職場の実現、社員の健康・安全の推進
・目標経営数値(最終年度の目標経営数値)
当初目標は売上高1,800億円、営業利益180億円(営業利益率10%)としておりましたが、事業環境の急激な変化に伴い、売上高1,550億円、営業利益100億円(営業利益率6.5%)に修正いたしました。
(1) 自動車業界等への依存について
当社グループの製品のうち、約6割は自動車業界及び自動車部品業界向けが占めており、自動車生産及び販売動向の影響を受けております。なお、自動車業界及び自動車部品業界向けの販売については、当社のその他の関係会社であるNOK㈱と国内における販売代理店契約を締結しており、同社との協力体制の下、販売活動を行っております。
自動車業界においては、自動車部品業界も含めて、グローバル化の一層の進展、世界規模での販売競争と業務提携や再編、調達コスト削減が進んでおり、加えて、国内完成車メーカー等における海外生産へのシフトも進んでおります。これに伴い、当社を含む部品メーカーに対しては、品質向上や納期厳守は当然のことながら、抜本的な原価低減、技術革新、グローバルな対応などの要請が従来以上に強まっており、今後においても、当社グループの業績等はこれらの動向に影響を受ける可能性があります。
また、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車等の今後の普及の進展によっても影響を受ける可能性があります。
(2) 原材料価格の動向について
当社グループの製品の主要原材料は、鋼板・鋼材及び合成ゴムであり、これらの原材料価格は、市況及び為替動向等により変動しており、調達コストが増加する可能性があります。
当社グループにおいては、合理化による原価低減及び一部は製品価格への転嫁等により吸収していく方針でありますが、今後におけるこれら原材料価格の動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3) 技術変化への対応について
当社グループでは、多岐にわたる業界の幅広い要求に対応すべく、長年にわたり蓄積した回転・固定・往復動の密封技術を基盤にシナジーある新製品の開発を進めております。また、近年においては、燃料電池自動車及び電気自動車の開発も進んでおり、将来の普及に備え、搭載可能な新製品等に関する研究開発も進めております。しかしながら、今後において各業界における技術革新や品質向上にかかる要求等への対応が困難となった場合又は当社グループが保有する技術等について陳腐化が生じた場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 舶用シール事業について
当社グループは、従来より舶用シール製品販売を重要事業の一つと位置づけております。
今後においては、アジア地域を中心として世界の海運需要等への対応を図り、当該分野における事業拡大を図る方針でありますが、造船需要の落ち込み等が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 金利の変動について
当社グループは、有利子負債の削減・圧縮に努めておりますが総資産に占める割合はまだ高い状況であります。現在の金利水準は比較的低い水準で推移しておりますが将来の金利情勢により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6) 為替レートの変動について
海外における事業活動に係る外貨建取引等は、連結財務諸表作成のために円換算されております。これらは換算時の為替レートの変動により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7) 海外展開について
当社グループにおける海外展開については、顧客の需要、品質及び生産コスト等を考慮し、最適地生産を行うことを基本方針としております。また、顧客の海外展開についても必要な対応を進めており、国内に加えて、欧州、米国、メキシコ、中国、台湾、韓国、タイ、インド及びニュージーランド等の地域において、製品供給体制を構築しております。さらに、ドイツを中心としてメカニカルシール等の製造販売を行うイーグルブルグマンジャーマニー社との間で、一般産業機械業界向け(建設機械・舶用・航空宇宙業界向けを除く)メカニカルシール等の製造及び販売について合弁事業を推進しております。当社グループにおける海外事業の拡大に伴い、海外情勢や為替変動、海外市場の需給動向、所在地の法令改正等が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、同社との今後のアライアンス及び海外事業展開が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(8) 災害や社会インフラの障害について
当社グループでは製造設備などの主要施設に関して、防火、耐震対策等を実施し、災害などによる生産活動の停止や製品供給面での混乱を最小限におさえるべく努めております。しかしながら、想定を超える大地震や天変地異、それによる社会インフラの損壊等により生産・販売活動に著しい障害が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 製品の品質問題が及ぼす影響について
当社グループは、各生産拠点において世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しておりますが、予測できない原因による製品の品質不具合やクレームの発生を皆無にすることは困難であります。万が一大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の不具合が発生した場合、多大な対応コストや社会的信用の低下により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済情勢は、米国においては好調な企業業績を背景にほぼ安定して推移しましたが、中国においては過剰債務削減による投資の減速と、第3四半期以降の米中貿易摩擦による消費の減速から景気の鈍化が鮮明になり、その影響は欧州の企業業績にも波及しました。米中の貿易摩擦の行方は依然不透明であり、また混迷する英国のEU離脱問題や中東、東アジアの地政学リスクもあり、先行き予断を許さない状況となっています。
日本経済は比較的安定して推移してきましたが、第3四半期以降は中国経済減速の影響が企業業績に直接悪影響を及ぼす状況となりました。
このような経済環境のもと当社事業においても、第3四半期以降、主に自動車向け製品の販売が減少し、全体として売上・利益とも前年を下回ることになりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ59億72百万円増加し、1,724億33百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ23億66百万円増加し、835億47百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ36億5百万円増加し、888億86百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は1,493億61百万円(前期比1.0%減)、営業利益は97億55百万円(前期比16.8%減)、経常利益は117億3百万円(前期比15.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は70億32百万円(前期比32.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
[自動車・建設機械業界向け事業]
当事業は、建設機械市場は堅調であったものの、自動車向け製品は、中国・欧州市場などにおいて販売が急激に減速したことにより、当セグメントの売上高は952億82百万円(前期比3.9%減)、営業利益は販売の減少及び変動費等の増加により44億33百万円(前期比33.0%減)となりました。
[一般産業機械・半導体業界向け事業]
当事業は、半導体業界向け製品については、業界全体の投資抑制の影響を受けたものの、一般産業機械向け製品では、インド等でOEM及びプラント向けで堅調に推移し、当セグメントの売上高は382億94百万円(前期比7.2%増)となりました。営業利益は国内における変動費の増加等により35億37百万円(前期比12.8%減)となりました。なお、当連結会計年度より報告セグメントの名称を「一般産業機械業界向け事業」から「一般産業機械・半導体業界向け事業」へ変更しております。
[舶用業界向け事業]
当事業は、修繕部品は回復基調にあるものの、新造船需要は依然低い水準で推移したことにより、当セグメントの売上高は97億65百万円(前期比6.6%減)となりました。営業利益はプロダクトミックス等により12億91百万円(前期比25.3%増)となりました。
[航空宇宙業界向け事業]
当事業は、民間航空機向け製品等が増加したことにより、当セグメントの売上高は60億18百万円(前期比10.3%増)、営業利益は4億84百万円(前期は26百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は197億33百万円となり、前連結会計年度末対比6億89百万円の減少となりました。
各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は146億14百万円(前期比23.7%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益114億80百万円、減価償却費89億1百万円を計上した一方、法人税等の支払43億91百万円及び棚卸資産が24億3百万円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は143億25百万円(前期比67.2%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得により134億80百万円支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は7億7百万円(前期比74.2%減)となりました。これは主に長期借入れにより150億円獲得した一方、長期借入金の返済により124億29百万円、配当金の支払(非支配株主への支払を含む)により34億48百万円支出したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産、受注及び販売の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
a.生産実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
前年同期増減率(%) |
|
自動車・建設機械業界向け事業(百万円) |
94,686 |
96.5 |
|
一般産業機械・半導体業界向け事業(百万円) |
35,605 |
106.7 |
|
舶用業界向け事業(百万円) |
9,765 |
93.4 |
|
航空宇宙業界向け事業(百万円) |
5,330 |
114.2 |
|
合計(百万円) |
145,388 |
99.2 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
|
セグメントの名称 |
受注高 |
前年同期増減率(%) |
受注残高 |
前年同期増減率(%) |
|
自動車・建設機械業界向け事業(百万円) |
92,626 |
92.3 |
5,428 |
67.1 |
|
一般産業機械・半導体業界向け事業(百万円) |
38,757 |
105.7 |
5,018 |
110.2 |
|
舶用業界向け事業(百万円) |
10,308 |
108.4 |
2,570 |
126.8 |
|
航空宇宙業界向け事業(百万円) |
6,550 |
106.1 |
5,845 |
110.0 |
|
合計(百万円) |
148,243 |
97.1 |
18,862 |
94.4 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
前年同期増減率(%) |
|
自動車・建設機械業界向け事業(百万円) |
95,282 |
96.1 |
|
一般産業機械・半導体業界向け事業(百万円) |
38,294 |
107.2 |
|
舶用業界向け事業(百万円) |
9,765 |
93.4 |
|
航空宇宙業界向け事業(百万円) |
6,018 |
110.3 |
|
合計(百万円) |
149,361 |
99.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は次の通りであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
||
|
NOK株式会社 |
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
34,441 |
22.8 |
32,184 |
21.5 |
|
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、3カ年計画(2017年4月~2020年3月)の2年目でありましたが、売上高、営業利益とも当初3ヵ年計画を下回る結果となりました。前期から引き続き、新製品の研究開発・経営体質強化のためのERP導入・「永遠のゼロ」をスローガンとした品質改善活動など、中長期的な成長を見据え将来に向けた投資を重点的に実施しておりましたが、第3四半期以降自動車向け製品の販売が中国・欧州市場において急激に減速したことにより、期中から経費削減施策を展開したものの、計画に達することができませんでした。
3ヵ年計画の最終年度となる次期については、一般産業機械業界、半導体業界、舶用業界、航空宇宙業界向けの販売は増加を見込んでいるものの、自動車・建設機械のグローバル生産台数が前期並みに留まり微減収となることが見込まれるため、当初目標の売上高1,800億円、営業利益180億円(営業利益率10%)を売上高1,550億円、営業利益100億円(営業利益率6.5%)に修正いたしました。
当連結会計年度末の資産合計は1,724億33百万円(前期比3.6%増)となりました。これは主に設備投資により有形固定資産が増加したことによるものであります。負債合計は835億47百万円(前期比2.9%増)となりました。これは主に設備投資に係る借入金が増加したことによるものであります。純資産合計は888億86百万円(前期比4.2%増)となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと及び剰余金の配当を実施したことによるものであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金需要のうち主なものは原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については金融機関からの短期借入金で、生産設備などの長期資金は、金融機関からの長期借入金で調達しております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は426億97百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は197億33百万円となっております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
[自動車・建設機械業界向け事業]
当事業は、建設機械向け製品は堅調に推移しましたが、第3四半期以降自動車向け製品の販売が急速に減速したことにより減収となりました。利益面でも販売の減少、不良品の発生に伴う変動費率の悪化等により減益となりました。中国・欧州での販売回復が不透明ではありますが、コストダウン生産性向上に注力し利益の確保に努めてまいります。
また、「グローバル生産体制の構築」を目標に掲げ、顧客の動向に合わせた「地産地消」と「BCM対応」をベースとした考え方で現地生産を進めておりますが、今後も各拠点間で連携し生産分散化を展開してまいります。
次世代自動車への取り組みとして、将来の主要市場と想定される中国・欧州において、顧客や技術動向把握のため、中国(無錫)にR&Dセンターを設立し、ドイツ(ヘッペンハイム)においても2019年7月に設立を予定しております。また、新規開発製品についても表面テクスチャリング技術を応用したEV用駆動モーター軸冷却用メカニカルシールや水素制御弁等の開発を行っており、各国の自動車メーカーやモーターメーカーからの引き合いも年々増加しております。
今後2~3年は外部経済環境の悪化等を背景に収益面で踊り場が続く見通しですが、中長期的には次世代自動車向け製品の販売が増加する見込みであり、当社の技術・製品が大きく花開くものと見込んでおります。
[一般産業機械・半導体業界向け事業]
当事業は、半導体業界向け製品は業界全体の投資抑制の影響を受けたものの、一般産業機械業界向け製品では、日本・インド・アジアパシフィック全地域で堅調に推移し増収となりました。利益面では国内における変動費の増加等により減益となりました。
一般産業機械業界向け事業においては、世界各地で石油関連プラントの建設が進行しており、インド・アジアパシフィック地域でも多くのプロジェクトが見込まれております。投資回収期間にかかわらず、現在価値計算を踏まえて総合的に投資効果が見込まれるプロジェクト案件は積極的に受注し、アフターサービスの実施による利益確保を視野にいれたビジネスを今後も展開してまいります。
半導体業界向け事業においては、一時的な市場の落ち込みもありましたが、韓国の半導体製造装置市場は拡大傾向が今後も見込まれていることから、韓国の生産拠点に新工場を設立し磁性流体シールの現地生産を開始することといたしました。海外生産によりグローバルでの販売を強化してまいります。
[舶用業界向け事業]
当事業は、修繕需要が欧州・東南アジア地域で回復傾向となった一方で、新造船向け製品の需要が、底打ちの気配がみられるものの、低調に推移したことにより減収となりました。利益面ではプロダクトミックス等により増益となりました。
新造船向けの販売はここ数年低迷しておりましたが、2017年に底をうち、今後は緩やかに回復していく見込みであります。修繕部品についても2016年1月の米国バラスト水規制発行前の駆け込み需要の反動から低迷しておりましたが、その後5年を経過したことから、次期以降に需要が増加するものと見込んでおります。
[航空宇宙業界向け事業]
当事業は、民間航空機向け製品等が増加したことにより、増収増益となりました。
当社グループの航空宇宙関連製品は、航空機・ロケットのエンジンのほか人工衛星などの宇宙機器にも使用されております。小惑星探査機「はやぶさ2」にも当社製品が多数採用され、ミッションの成功に貢献しております。また、年々市場が拡大している民間航空機についても主要エンジンメーカーへの拡販に引き続き取り組んでまいります。
主要な契約は次のとおりであります。
(1)技術導入契約
|
契約会社名 |
相手先 |
契約年月日 |
内容 |
対価 |
期間 |
|
|
名称 |
国名 |
|||||
|
イーグル工業㈱ |
FR Flow Control Valves US |
米国 |
2019年5月6日 |
電力業界向バルブに関する技術 |
左記製品販売額に対して一定率 |
10年 |
|
イーグル工業㈱ |
Goodrich |
米国 |
2012年12月31日 |
ダイアフラム・カップリングに関する技術 |
一時金及び左記製品販売額に対して一定率 |
10年 |
(2)販売代理店契約
|
契約会社名 |
相手先 |
契約年月日 |
内容 |
期間 |
|
イーグル工業㈱ |
NOK㈱ |
1982年9月30日 |
当社製品(自動車用、家電用及び建機用メカニカルシール、その他)の代理店販売 |
3年 (その後1年 毎の更新) |
(3)合弁事業契約
|
契約会社名 |
相手先 |
契約年月日 |
内容 |
|
|
名称 |
国名 |
|||
|
イーグル工業㈱ |
EagleBurgmann Germany GmbH&Co.KG |
ドイツ |
2005年10月17日 |
一般産業機械業界(舶用、建設機械、航空宇宙業界を除く)向けのメカニカルシール等の製造販売に係る合弁事業契約 |
|
Burgmann International |
||||
当社グループの研究開発活動は、グローバルに展開される回転装置軸封部品のソリューションプロバイダーとしての責務を果たすべく、主に、トライボロジー・材料技術・流体力学をはじめとするシール技術に必要な専門分野に特化した研究開発活動を行っております。
特に、近年の環境負荷低減の社会的背景を踏まえ、各マーケット分野に対して最適な低摩擦技術の開発に重点を置いております。その中でも自動車業界における「電動化」においては電費向上が大きなテーマであり、当社技術の果たすべき役割は非常に大きいものと認識し活動を進めております。
なお当社グループの研究開発活動は当社技術本部が主体となり、当社グループの各技術部門・生産部門・営業部門との連携のもとに、各セグメントで推進しております。
研究スタッフは161名でこれは総従業員数の2.5%にあたり、当連結会計年度の研究開発費は
当連結会計年度における各部門別の研究開発状況は次のとおりであります。
(1) 自動車・建設機械業界向け事業
エンジン冷却水循環ポンプ用メカニカルシールについては、表面テクスチャ技術により密封性能を向上させ、かつ、大幅に摩擦力を低減させた次世代メカニカルシールを開発し、顧客評価も完了したため、量産ラインを設置いたしました。
次世代自動車(EV・PHEV・FCV)向けに、表面テクスチャ技術を適用したメカニカルシールを、駆動モータ軸冷却用に開発し、密封性能と低トルク性能の両立により、顧客より高い評価を頂き、量産に向けた準備を進めております。更に、EV用減速機等の従来のオイルシールでは対応できない各種高速回転機器向けに、表面テクスチャ技術を応用した高速メカニカルシールの開発を行っております。
電動ウォーターポンプ用途として開発した、耐摩耗性に優れ、摩擦力低減を狙ったカーボン軸受については量産を拡大しております。また、小型電動ウォーターポンプ用に開発した小径リップシールについても、顧客評価が完了し、量産に向けた準備を進めております。
メカトロニクス製品及び金属ベローズ応用製品については、次世代自動車用の製品として電気用安全部品やFCV車用制御弁、水素逆止弁の量産化検討及び熱マネジメント用製品の開発を行っております。
また、従来内燃機関車用としては、燃費向上を主目的にAT用制御弁の低フリクション化、エアコン用制御弁、燃料脈動吸収部品の機能向上を行うと共に、新規顧客への拡販展開を行っております。従来内燃機関車のみならず次世代自動車を含む全車両タイプへの採用が期待できるセミアクティブサスペンション用制御弁においては、継続して新構造検討を行っております。
EVシフトへの対応として、迅速かつ的確にEV関連の技術情報を把握するため、EV市場として重要な中国と欧州においてR&Dセンターの設立を進めており、中国は完了、欧州も2019年7月の完了を予定しております。また、EVに関する研究で著名な大学との技術的な連携も進めております。
自動車・建設機械業界向け事業に係る研究開発費は
(2) 一般産業機械・半導体業界向け事業
工業用メカニカルシールについては、東南アジアの大規模石油精製コンビナート建設において、米国石油協会のメカニカルシール規格(API682)に対応した多数の高負荷メカニカルシール、ベローズシールとシール液サプライシステムを受注し、設計、製造、納入を行っております。
ダイアフラムカップリングでは、海外の石油精製、石油化学コンビナート、シェールガス関連のコンプレッサ向けに採用されております。また、発電所向け用途の大型カップリングの受注もあり、製品開発に努めてまいります。
磁性流体真空シールについては、引き続き超高速回転真空シールの開発を進めております。
金属ベローズについては、半導体製造装置向け長寿命タイプの開発に取り組んでおります。
一般産業機械・半導体業界向け事業に係る研究開発費は
(3) 舶用業界向け事業
船舶において一般的な、油潤滑の船尾管シールについては、環境に配慮した生分解性油をはじめ、様々な油種に適合するシール材の量産拡大に向けた活動に引き続き取り組んでおります。併せて、高荷重下での軸受潤滑特性改善に向けた生分解油の改良にも取り組んでおり、高粘度の自社製生分解性油ST-120の開発を完了いたしました。
また、環境影響への配慮を目的とした取り組みとしては、水潤滑環境下でも信頼性を向上させた大型船用の船尾管シールシステムの開発に引き続き取り組んでおります。
舶用業界向け事業に係る研究開発費は
(4) 航空宇宙業界向け事業
民間航空機エンジン主軸シールの量産供給は順調であり、加えて新型量産エンジン用シールも納入しております。また、新規開発エンジン試験用シールの設計も開始しております。航空機エンジンのギアボックスシールでは、表面テクスチャリング技術を応用した低トルクシールの開発を進めており、併せて、シールの動特性把握による最適化などを図り、固有技術獲得にも引き続き取り組んでおります。
ロケットエンジン用シールでは、2018年6月、10月に打ち上げが行われたH-ⅡAロケット及び2018年9月に打ち上げが行われたH-ⅡBロケットのエンジンにはシール部品、固体燃料を使用するイプシロンロケット、人工衛星にはバルブ・フィルターなどの機器製品を納入しております。更に、開発中の新型基幹ロケットH-Ⅲロケットのターボポンプや高圧配管、燃料タンク用のシール開発にも継続して参画しております。
航空宇宙業界向け事業に係る研究開発費は