第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

当社グループの経営に対する基本的な考えは「企業は株主・従業員・社会の3者の共有物であり、これにお客様、サプライヤー、金融機関等を加えた全てのステークホルダーに利益と誇りをもたらす(Profit and Pride for All Stakeholders)」であり、長期的利益の犠牲のもとに短期的利益を追求しないことを命題としております。そのために遵法精神に則り、「技術に裏打ちされた、独自性のある、かつ社会に有用な商品を世界中で安くつくり、適正価格で売る」ことにより、高い収益力を持った強い会社となるべく不断の企業活動を展開しております。

(2)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染拡大の影響は、各国においてワクチン接種が進むなど感染予防施策と経済再開への取り組みは進んではおりますが、変異株の拡大等、2021年度においても依然予断を許さない状況にありますので、引き続き従業員とその家族の安全を第一とした感染予防の徹底と事業の継続を両立してまいります。

また、これらの事業環境を踏まえ、2020年度を開始年度とする3カ年の中期経営計画を見直し、2021年度より新たに「2カ年計画」を策定スタートしております。本経営計画に基づき、速やかに企業収益回復に向けた事業体制の構築に取り組んでまいります。

とりわけ、持続可能な社会の実現とその一環としての気候変動への対応が各企業において急務となっておりますが、カーボンニュートラルを考慮した事業活動の整備と、かねてより推進している次世代自動車・次世代エネルギー市場をターゲットとした「環境・省エネに資する次世代独自技術商品」の開発を今まで以上に加速し、各顧客・市場に提案することで、事業を通じての社会課題の解決とそれに伴う適切な収益を確保し、中長期的な当社グループの成長を果たしてまいります。

目標経営数値(2022年度の目標経営数値)

1.売上高   1,460億円

2.営業利益    69億円

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 事業等のリスクを把握する体制

当社グループではリスクマネジメント方針、リスクマネジメント規程に基づき、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会を設置し、定期的に事業等のリスクに関する損失の危険等について予防保全体制の確認を行い有事に備える体制を整備しております。また個別のリスク事象に関しては、事例検討会等を継続的に実施し、これらの活動方針・活動状況については取締役会において定期的に報告を行っております。

(2) 自動車業界等への依存について

当社グループの製品のうち、約5割は自動車業界及び自動車部品業界向けが占めており、当社グループの業績等は自動車生産及び販売動向の影響を受けております。また、電気自動車、燃料電池自動車等の普及進展によっても内燃機関向け既存製品の減少による影響を受けます。

自動車業界においては、自動車部品業界も含めて、グローバル化の一層の進展、世界規模での販売競争と業務提携や再編、調達コスト削減が進んでおり、加えて、国内完成車メーカー等における海外生産へのシフトも進んでおります。これに伴い、当社を含む部品メーカーに対しては、品質向上や納期厳守は当然のことながら、抜本的な原価低減、技術革新、グローバルな対応などの要請が強まっております。

これらに対応するため当社グループも徹底したTCD(Total Cost Down)、ムダ半活動(ムダの排除~すべてを半分に~)、顧客や技術動向把握のためのR&Dセンター設立、グローバル生産体制の構築等に取り組んでおります。

(3) 技術変化への対応について

各業界における技術革新や品質向上にかかる要求等への対応が困難となった場合又は当社グループが保有する技術等について陳腐化が生じた場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、多岐にわたる業界の幅広い要求に対応すべく、長年にわたり蓄積した回転・固定・往復動の密封技術を基盤にシナジーある新製品の開発を進めております。また、近年においては、燃料電池自動車及び電気自動車の開発も進んでおり、搭載可能な新製品に関する研究開発も進めております。

 

(4) 製品の品質問題が及ぼす影響について

当社グループは、各生産拠点において世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しておりますが、万が一大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の不具合が発生した場合、多大な対応コストや社会的信用の低下により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは「永遠のゼロ」をスローガンとした品質改善活動を継続して実施しております。

(5) 海外展開について

当社グループにおける海外展開については、顧客の需要、品質及び生産コスト等を考慮し、最適地生産を行うことを基本方針としております。また、顧客の海外展開についても必要な対応を進めており、国内に加えて、アジア・オセアニア、欧州等の地域において製品供給体制を構築しております。

さらに、ドイツを中心としてメカニカルシール等の製造販売を行うイーグルブルグマンジャーマニー社との間で、一般産業機械業界向け(建設機械・舶用・航空宇宙業界向けを除く)メカニカルシール等の製造及び販売について合弁事業を推進しております。

当社グループにおける海外事業の拡大に伴い、海外情勢や為替変動、海外市場の需給動向、所在地の法令改正等が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、イーグルブルグマンジャーマニー社との今後のアライアンス及び海外事業展開が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(6) 原材料・部品等の調達について

社グループが調達する一部の特殊な原材料・部品等については、限られたサプライヤーに依存する場合があります。また、サプライヤー及びサプライヤーに関係する原材料メーカー等における被災、事故、倒産などによる、想定を超える原材料・部品等の供給中断、需要の急増による供給不足が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、原材料・部品等を複数のサプライヤーから購入することにより安定した調達を図り、生産に必要な原材料・部品等が十分に確保されるよう努めております。

(7) 災害や社会インフラの障害について

想定を超える大地震や天変地異、それによる社会インフラの損壊等により生産・販売活動に著しい障害が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは従業員の安全確保を第一とし、被災した際の目標復旧期間をあらかじめ定め、減災対策の徹底、安全在庫の確保、調達先の複数化、代替部材の確保等、生産活動の停止や製品供給面での混乱を最小限におさえるBCM「Business Continuity Management」の構築を進めております。

(8) 新型コロナウイルス感染拡大の影響

今般世界的に感染が拡大した新型コロナウイルスに関しては、従業員とその家族の安全と健康を最優先に、弊社全拠点の間接部門を在宅勤務とし、生産業務に関連する部門においては感染防止対策を徹底した上で稼働を継続いたしました。一部の海外関係会社においては、ロックダウンや外出禁止令等により一時的に稼働を停止いたしました。今後の経過によっては、各国における生産、物流の停滞等によって世界的な景況悪化も懸念されており、市況が大きく悪化した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済情勢は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、景気が急速に悪化しました。第2四半期以降、収束時期は見通せないものの、感染拡大の防止策と経済活動維持の政策により、徐々に回復基調となりました。

このような事業環境のもと当社事業においては、第1四半期において大幅減収となったものの、第2四半期以降は回復基調となり、特に半導体業界向け事業においては前期を上回る販売を達成しました。利益面においては、Web会議の活用による出張諸費用の削減など、販売減に対応した固定費の抑制に年間を通じて努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ97億8百万円増加し、1,765億8百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ7億13百万円減少し、840億67百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ104億21百万円増加し、924億41百万円となりました。

b.経営成績

当連結会計年度の売上高は1,305億13百万円(前期比8.2%減)、営業利益は58億2百万円(前期比0.5%増)、経常利益は84億47百万円(前期比24.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は40億10百万円(前期比37.9%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

[自動車・建設機械業界向け事業]

当事業は、世界全体で自動車生産台数が落ち込み、主に中国市場において回復が見えたものの、自動車向け製品がその影響を広く受けたことにより、当セグメントの売上高は782億22百万円(前期比9.7%減)、営業利益は9億20百万円(前期比55.0%減)となりました。

[一般産業機械業界向け事業]

当事業は、インドのロックダウンやアジアパシフィック・日本での顧客の操業縮小・停止等の影響により販売が減少し、当セグメントの売上高は262億95百万円(前期比13.7%減)、営業利益は21億95百万円(前期比8.5%減)となりました。

半導体業界向け事業]

当事業は、5G、データセンター向け投資などが好調であったことにより、当セグメントの売上高は91億18百万円(前期比28.7%増)、営業利益は2億49百万円(前期は営業損失6億36百万円)となりました。

[舶用業界向け事業]

当事業は、国内外における新造船需要の停滞により、当セグメントの売上高は105億45百万円(前期比3.3%減)となりました。営業利益は新造船向け販売の採算良化等により19億95百万円(前期比29.2%増)となりました。

[航空宇宙業界向け事業]

当事業は、航空機市場の低迷に加え、衛星向け輸入品の販売遅れにより、当セグメントの売上高は63億30百万円(前期比9.4%減)となりました。営業利益は4億36百万円(前期比9.9%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は315億45百万円となり、前連結会計年度末対比114億56百万円の増加となりました。

各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は178億49百万円(前期比11.3%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益74億75百万円、減価償却費100億24百万円を計上したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は52億3百万円(前期比52.2%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得により55億61百万円支出したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は26億61百万円(前期比34.5%減)となりました。これは主に配当金の支払(非支配株主への支払を含む)により32億37百万円支出したことによるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

当連結会計年度における生産、受注及び販売の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

a.生産実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期増減率(%)

自動車・建設機械業界向け事業(百万円)

71,610

83.7

一般産業機械業界向け事業(百万円)

25,373

87.1

半導体業界向け事業(百万円)

6,914

133.0

舶用業界向け事業(百万円)

10,384

97.0

航空宇宙業界向け事業(百万円)

5,024

92.4

合計(百万円)

119,306

87.7

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

セグメントの名称

受注高

前年同期増減率(%)

受注残高

前年同期増減率(%)

自動車・建設機械業界向け事業(百万円)

78,996

92.7

4,735

119.5

一般産業機械業界向け事業(百万円)

25,913

85.6

3,450

90.0

半導体業界向け事業(百万円)

9,982

138.8

1,949

179.7

舶用業界向け事業(百万円)

10,576

97.6

2,697

101.2

航空宇宙業界向け事業(百万円)

5,391

71.3

5,798

86.1

合計(百万円)

130,861

92.8

18,629

101.9

(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期増減率(%)

自動車・建設機械業界向け事業(百万円)

78,222

90.3

一般産業機械業界向け事業(百万円)

26,295

86.3

半導体業界向け事業(百万円)

9,118

128.7

舶用業界向け事業(百万円)

10,545

96.7

航空宇宙業界向け事業(百万円)

6,330

90.6

合計(百万円)

130,513

91.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

NOK株式会社

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

28,270

19.9

23,156

17.7

3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による各事業の市場需要の減少や、グローバル各拠点の事業活動に制限が生じたことにより、売上高は当初計画に対して大幅に未達となりました。利益面では、コストダウンや販売減に対応した固定費抑制等に努めるとともに、キャッシュ・フロー確保の観点からも設備投資の延期・絞り込み等を行ったこと、また計画為替レートが想定以上に円安に振れたこともあり、営業利益は当初計画を達成いたしました。

当連結会計年度末の資産合計は1,765億8百万円(前期比5.8%増)となりました。有形固定資産が、設備投資額を減価償却費以下に抑えたこと等により減少いたしましたが、営業活動の結果獲得した資金が前期対比増加した中で設備投資の延期・絞り込みを徹底したことにより、現金及び預金が増加したことが主な要因であります。

負債合計840億67百万円(前期比0.8%減となりました。借入金、買掛金が増加いたしましたが、長期国債利回りが上昇したことにより退職給付債務が減少したこと及び年金資産の運用実績が期待値を超えたことにより、退職給付に係る負債が減少したことが主な要因であります。

純資産合計924億41百万円(前期比12.7%増となりました。ユーロをはじめほぼ全ての通貨に対して円安となったことにより為替換算調整勘定が増加したこと及び退職給付に係る数理計算上の差異が発生したことが主な要因であります。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

[自動車・建設機械業界向け事業]

世界全体で自動車生産台数が減少したことから、売上高及び営業利益ともに当初計画から大幅に落ち込みました。

2021年度は、新型コロナウイルスは収束の様相を呈するには至っていないものの、中国をはじめ米国、日本での自動車販売は好調であります。生産台数も回復の兆しを見せており、顧客の需要回復に応えられるよう、各拠点において生産対応を推進してまいります。なお、かねてより進めている電気自動車をはじめとした次世代自動車向け製品の開発は、一部量産化も実現しており、将来の収益確保に留意しつつも、更に積極的に取り組んでまいります。

[一般産業機械業界向け事業]

当社グループの主要市場である日本・インド・アジアパシフィックは、新型コロナウイルスの感染拡大により、インドのロックダウン、日本、アジアパシフィックにおける顧客の操業短縮等、需要が減少し売上高は当初計画よりも落ち込みました。

2021年度は、国内外で石油化学関係など需要の回復や、当期抑制された補修部品の回復が見込まれるものの、プロジェクト案件は一段落し、また引き続き新型コロナウイルスの影響が懸念されることから、市場動向には一層の注視を要し、需要を見極めたうえでの生産販売を継続してまいります。なお、長期的には世界的なエネルギー需要増加に伴い、当社製品・サービスの販売拡大が見込まれますので、市場シェアの確保と将来の収益確保を見通したビジネスモデルの構築を今後も進めてまいります。

[半導体業界向け事業]

5Gやデータセンターへの需要の高まりから、半導体業界全体において投資意欲が旺盛だったことにより、当初計画と比較し売上高が増加いたしました

2021年度は、社会全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)が更に進展すると思われ、半導体業界においてはこれまで以上の需要の拡大が見込まれます。以上の認識のもと、国内及び海外の生産拠点を有効に活用した生産を進め、既存製品の販売シェア拡大と新製品開発提案による主要半導体製造装置メーカーへの拡販を進めてまいります。

[舶用業界向け事業]

コロナ禍以前からの各種環境規制を見据えた発注見合わせや船腹過剰状態の継続、輸送需要の減退により、海運・造船市場において新造船建造隻数は停滞し、販売は当初計画から減少いたしました。一方でアフターサービス・修繕需要においては年度後半に回復したものの、全体としては、当初計画と比較して売上高が減少いたしました。

2021年度は、新造船建造隻数が引き続き不透明な状況にあることに加え、定期的な修繕需要が減退することが予想されます。長期的には海洋環境保全の強化により、環境配慮型船舶のニーズが見込まれますので、従来の油潤滑式シール装置に代わる水潤滑式シール装置・船尾管軸受の開発・拡販に注力してまいります。また、新規市場として海洋・潮流発電市場への製品拡販も進めてまいります。

[航空宇宙業界向け事業]

民間航空機市場の低迷に加え、衛星向け製品の遅れにより当初計画と比較して売上高が減少いたしました。

2021年度は、中・小型民間航空機の回復が期待されるものの、民間航空機市場全体の見通しは不透明です。一方で国内宇宙開発プロジェクト向け製品及び発電用大型ガスタービン向け製品は販売増が見込まれ、着実なコスト削減を行いつつ拡販を進めてまいります。

 

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金需要のうち主なものは原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金は金融機関からの短期借入金で、生産設備などの長期資金は金融機関からの長期借入金で調達しております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は432億74百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は315億45百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績や将来の事業計画等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

また、新型コロナウイルス感染症による影響については、感染再拡大による経済環境の悪化、下振れリスクが懸念され先行き不透明な状況は続くものの、翌連結会計年度では、世界の経済活動は前連結会計年度のレベルには回復しないものの、緩やかに回復に向かうものと仮定しております。

連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりであります。

a.繰延税金資産の回収可能性

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)1.繰延税金資産の回収可能性」に記載のとおりであります。

b.退職給付債務

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)2.退職給付債務」に記載のとおりであります。

c.固定資産の減損

「固定資産の減損に係る会計基準」が適用される固定資産のうち、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなったものについてその帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該差額を減損損失として計上しております。

回収可能価額は、経営陣により承認された中期経営計画を基礎とする使用価値に基づき算定しております。これを超える期間におけるキャッシュ・フローについては、成長率をゼロと仮定しております。

なお、当連結会計年度における減損損失計上額は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)7.減損損失」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

主要な契約は次のとおりであります。

(1)技術導入契約

契約会社名

相手先

契約年月日

内容

対価

期間

名称

国名

イーグル工業㈱

FR Flow Control Valves US

米国

2019年5月6日

電力業界向けバルブに関する技術

左記製品販売額に対して一定率

10年

イーグル工業㈱

Goodrich
Corporation

米国

2012年12月31日

ダイアフラム・カップリングに関する技術

一時金及び左記製品販売額に対して一定率

10年

 

(2)販売代理店契約

契約会社名

相手先

契約年月日

内容

期間

イーグル工業㈱

NOK㈱

1982年9月30日

当社製品(自動車用、家電用及び建機用メカニカルシール、その他)の代理店販売

3年

(その後1年

毎の更新)

 

(3)合弁事業契約

契約会社名

相手先

契約年月日

内容

名称

国名

イーグル工業㈱

EagleBurgmann Germany GmbH&Co.KG

ドイツ

2005年10月17日

一般産業機械業界(建設機械、舶用、航空宇宙業界を除く)向けのメカニカルシール等の製造販売に係る合弁事業契約

Burgmann International
GmbH

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、グローバルに展開される回転装置軸封部品のソリューションプロバイダーとしての責務を果たすべく、主に、トライボロジー・材料技術・流体力学をベースとして、各種解析技術を駆使してシール技術に必要な専門分野に特化した研究開発活動を行っております。

特に、近年の環境負荷低減の社会的背景を踏まえ、各マーケット分野に対して最適な低摩擦技術の開発に重点を置いております。その中でも自動車業界における「電動化」においては電費向上が大きなテーマであり、当社技術の果たすべき役割は非常に大きいものと認識し活動を進めております。

なお、当社グループの研究開発活動は当社技術本部が主体となり、当社グループの各技術部門・生産部門・営業部門との連携のもとに、各セグメントで推進しております。

研究スタッフは214名でこれは総従業員数の3.3%にあたり、当連結会計年度の研究開発費は2,714百万円であります。

当連結会計年度における各部門別の研究開発状況は次のとおりであります。

 

(1) 自動車・建設機械業界向け事業

グローバル自動車業界のEVシフトへの対応として、EV市場にとって重要な中国とドイツに設立したR&Dセンターと日本の3極が連携し、グローバルな研究開発を展開しております。海外各拠点には、特にEV市場の開拓のため、それぞれ中国及び欧州のマーケットリサーチを行い顧客の製品ニーズを吸い上げ、日本へ情報を共有する役割を持たせております。このようにグローバルに迅速かつ的確にEV関連の技術情報を把握し、EV関連製品の開発・拡販を行っております。また、EVに関する研究で著名な大学との技術的な連携も進めております。

シール製品については、内燃機関冷却水循環ポンプ用メカニカルシールにおいて、表面テクスチャリング技術により密封性能の向上と大幅な摩擦力低減を実現した次世代メカニカルシールの量産化を実現し、更なる拡販を推進しております。また、表面テクスチャリング技術を用いたEV駆動モータ軸水冷用高速メカニカルシールを開発し、高密封性能と低トルク性能の両立により顧客から高い評価を頂き、現在、具体的な量産に向けて生産ラインの準備を進めており、一部の製品については量産を開始しております。更に、EV用減速機などの高速回転機器向けに、表面テクスチャリング技術を応用した油潤滑用高速メカニカルシールの開発を推進しております。

電動ウォーターポンプ用製品については、耐摩耗性に優れ、摩擦力低減を狙ったカーボン軸受の量産を拡大しております。また、小型電動ウォーターポンプ用に開発した小径リップシールについて、機能評価、耐久評価が終了し、次世代自動車向けに量産を開始いたしました。

メカトロニクス製品及び金属ベローズ応用製品については、次世代自動車用として、FCV車用水素圧力制御弁、水素逆止弁の量産化検討及び熱マネジメント用製品の開発を行っております。また、従来内燃機関車用としては、燃費向上を主目的にAT用制御弁、エアコン用制御弁、燃料脈動吸収部品の機能向上を行うとともに、新規顧客への拡販展開を図っております。次世代自動車を含む全車両タイプへの採用が期待できるセミアクティブサスペンション用制御弁においては、更なるシェア拡大を狙い、機能向上、小型化による搭載性向上に向け、継続して新構造の検討を行っております。

建設機械業界向け製品については、油圧ショベルのブームシリンダからの戻り油など、油圧システムの再生可能エネルギーを独自の自己圧作動型の増圧器で高圧に変換し、アキュムレータに蓄液して高圧エネルギーとして再利用することで、システムの省エネを図り、環境保全に貢献する画期的な油圧ハイブリッドシステムの開発を進めております。

自動車・建設機械業界向け事業に係る研究開発費は1,785百万円であります。

(2) 一般産業機械業界向け事業

一般産業機械業界向けには、各種プラント、原子力発電所に設置されるポンプ、コンプレッサーなどに使用されるメカニカルシールやカップリングの研究開発生産を手がけております。

工業用メカニカルシールについては、東南アジアの大規模石油精製コンビナート建設において、米国石油協会のメカニカルシール規格API 682に対応した多数のメカニカルシールとシール液サプライシステムを受注し、設計、製造、納入を行っております。また、高圧・高速条件で使用される機器向けには、表面テクスチャリング技術により摩擦力と発熱を大幅に低減させ、長寿命化を図ったメカニカルシールを積極的に展開しております。

ダイアフラムカップリングでは、海外の石油精製、石油化学コンビナート、シェールガス関連のコンプレッサー向けに採用されております。また、発電所向け用途の大型カップリングの製品開発に、引き続き取り組んでおります。

一般産業機械業界向け事業に係る研究開発費は748百万円であります。

(3) 半導体業界向け事業

半導体業界向けには、半導体チップ・液晶パネル・太陽電池パネルなどの半導体製造装置に使用される各種製品を展開しております。

磁性流体真空シールについては、半導体製造装置等の耐高温用とともに、超高速回転真空シールの開発を進めております。

金属ベローズについては、半導体製造装置向け長寿命タイプの開発に取り組んでおります。

半導体業界向け事業に係る研究開発費は81百万円であります。

(4) 舶用業界向け事業

中・大型船舶において一般的な油潤滑の船尾管シールについては、環境に配慮した生分解性油をはじめ、様々な油種に適合するシール材の量産拡大に向けた活動に引き続き取り組んでおります。併せて、環境規制改定への対応、高荷重下での軸受潤滑特性改善に向けた生分解油の改良にも取り組んでおります。

また、環境影響への配慮を目的とした取り組みとしては、水潤滑環境下でも信頼性を向上させた大型船用の船尾管シールシステムの開発に加え、電動推進システムへの対応や小型船への環境貢献型船尾管システムの開発にも取り組んでおります。

船舶の安全航行維持を目的に、軸系システムの機器状態監視システムについても開発を進めております。

また、新規市場として海洋・潮流発電市場向け製品の開発も進めております。

舶用業界向け事業に係る研究開発費は7百万円であります。

(5) 航空宇宙業界向け事業

民間航空機エンジン主軸シールの量産供給は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け受注低迷が続いておりましたが、徐々に回復の傾向が見られます。航空機エンジンのギアボックスシールでは、表面テクスチャリング技術を応用した低トルクシールを開発中であり固有技術獲得に引き続き取り組んでおります。

宇宙業界ではH-ⅡAロケット2機及びH-ⅡBロケット1機の打ち上げに成功し、世界最高峰の打ち上げ成功率を維持しております。ロケットの構成部品であるターボポンプや高圧配管、燃料タンクにシール部品を、人工衛星にはバルブ・フィルターなどの機器製品を納入しております。更に、2021年度の初号機打上げを目指し開発中の新型基幹ロケットH3ロケットのターボポンプや高圧配管、燃料タンク用のシール開発にも継続して参画しております。

航空宇宙業界向け事業に係る研究開発費は92百万円であります。