第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績や雇用・所得環境の持続的な改善を背景として、景気の緩やかな回復傾向が持続しました。一方、中国をはじめとする新興国の景気減速を受けて、企業が投資を一部先送りするなど慎重な姿勢も見られました。また、軽自動車税増税の影響が残る軽自動車を中心とした新車販売台数の低迷、継続的な円安による輸入品物価上昇、平成29年4月に控える消費税率の再引き上げを通じた実質所得の伸び悩みへの強い警戒感などにより、先行きは依然として不透明な中で推移しました。

このような情勢下、当社グループにおきましては、「更なる『新たな価値の創造と顧客の開拓』により発展を加速させ、飛躍のステージへ」を基本方針に掲げ、工具事業を核とした成長戦略を展開し、収益・利益の拡大に努めてまいりました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は85億7百万円(前年同期比18.6%増)、営業利益は6億74百万円(前年同期比27.3%増)、経常利益は7億72百万円(前年同期比33.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては5億39百万円(前年同期比10.1%増)となりました。

 

当社グループでは、従来「工具事業」「賃貸事業」の二事業に分けセグメント情報を開示しておりましたが、第2四半期連結会計期間より「工具事業」「ファシリティマネジメント事業」の二事業に分けセグメント情報を開示しております。これら事業セグメント別の業績の概要につきましては、以下のとおりであります。

※ファシリティマネジメント:企業の保有資産及びそれらの利用環境を経営戦略的な視点で総合的かつ統括的に企画・管理・活用すること。

 

[工具事業]

当社主力の当事業部門では、「安全、快適、能率・効率、環境」をキーワードに、更なる市場拡大を目指し既存顧客の深耕、新規顧客の開拓並びにブランド価値の向上を推進してまいりました。

具体的には、発売20周年を迎えた当社の最高級ブランドであるネプロスの新製品として、平成27年12月に小判形ヘッドとしては世界最高クラスの90枚ギアを備えた「ネプロス6.3sq.ラチェットハンドル」(NBR290)や同セット品を発売したほか、ネプロス20周年アニバーサリーモデルを数多く展開するなど、ブランド価値の向上に努めました。

平成27年7月には「KTCソリューション情報ページ」をweb上に公開し、工具にソフトウェアや運用も組み合わせたKTCのソリューション提案を、事例を交えて紹介するとともに、平成28年2月には「課題解決BOOK」の最新刊を発刊(全4シリーズ中、当連結会計年度は3シリーズを発刊)し、お客様の課題をKTCの提案力と実行力で解決する、新たな営業スタイルへの変革に努めました。

また、平成27年11月には歯科用インプラント手術器具「トルクラチェットレンチ」を発売し、平成25年8月に発売した歯科用インプラント手術器具「newton-1」、平成27年6月に発売した歯科インプラント技工用器材「ラボトルクドライバ」とあわせ、インプラントの「トルク管理」を推進することで、歯科医療従事者様の作業品質向上、患者様の生活の質向上に努めました。

開発及び生産面においては、新たな展開に向けた新技術、新製品の開発に注力するとともに、更なる生産性の向上とコストダウンの推進に取組んでまいりました。

これらの結果、自動車整備市場や一般産業市場向けの売上が堅調に推移したことに加え、直販部門におけるソリューション営業により高付加価値製品の受注が好調に推移し、当連結会計年度の売上高は83億25百万円(前年同期比18.1%増)、セグメント利益は5億62百万円(前年同期比22.4%増)となりました。

 

[ファシリティマネジメント事業]

平成27年9月より稼働した石川県羽咋市の太陽光発電所の売電による売上を当事業に加えたことにより、「賃貸事業」から「ファシリティマネジメント事業」に名称を変更しました。

当事業部門では、所有不動産の戦略的な有効活用を目指し、物件の整備、運営管理を推進してまいりました。京都市伏見区の所有不動産において新たなテナントを誘致したほか、さいたま市桜区に所有する不動産において工具事業とのシナジー効果を目指したリノベーションを実施いたしました。また、平成27年9月には石川県羽咋市にて太陽光発電事業「発電所名:KTC SOLAR891(ハクイ)発電所」を開始いたしました。

これらの結果、当連結会計年度におきましては、売上高は1億81百万円(前年同期比52.9%増)、セグメント利益は1億11百万円(前年同期比59.3%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計期間において営業活動の結果得られた資金の増加は12億73百万円(前年同期は3億70百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益7億85百万円に加え、減価償却費3億76百万円、その他の資産の減少1億85百万円による資金の増加があったものの、たな卸資産の増加1億77百万円による資金の減少があったことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は3億9百万円(前年同期は3億98百万円)となりました。これは主に、その他の投資の回収による収入3億4百万円、有価証券の売却による収入2億円、定期預金の払戻による収入1億13百万円、投資有価証券の償還による収入1億円があったものの、固定資産の取得による支出10億40百万円があったことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の減少は2億55百万円(前年同期は8億72百万円)となりました。これは主に、配当金の支払い1億43百万円、長期借入金の返済による支出88百万円があったことなどによるものであります。

 

これらの結果、当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、21億20百万円(前年同期は14億11百万円)となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

  当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

工具事業(千円)

8,908,960

115.1

ファシリティマネジメント事業(千円)

合計(千円)

8,908,960

115.1

 (注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の生産実績には、仕入商品を含んでおります。

3.当連結会計年度より、「賃貸事業」を「ファシリティマネジメント事業」にセグメントの名称を変更しております。これは有効な資産活用の一環として、平成27年9月より新たに太陽光発電を開始し「賃貸事業」のセグメント区分に含めたことによるものであります。

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当社グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

(3)販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

工具事業(千円)

8,325,575

118.1

ファシリティマネジメント事業(千円)

181,903

152.9

合計(千円)

8,507,479

118.6

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度より、「賃貸事業」を「ファシリティマネジメント事業」にセグメントの名称を変更しております。これは有効な資産活用の一環として、平成27年9月より新たに太陽光発電を開始し「賃貸事業」のセグメント区分に含めたことによるものであります。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

トヨタ自動車株式会社

1,086,938

15.2

2,325,810

27.3

ヤマト自動車株式会社

939,247

13.1

939,018

11.0

喜一工具株式会社

783,713

10.9

850,832

10.0

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

わが国の経済情勢は、堅調な企業業績や雇用・所得環境の改善などを背景として、景気の緩やかな回復傾向が持続すると見られるものの、世界経済の減速感の強まりによる景気減退への警戒感など、一部先行きに対する不透明感は払拭できない状況の中で推移するものと思われます。

このような中、当社グループは、平成25年度より平成33年度を最終年度とする「KTCグループ長期ビジョン」を策定し、基本方針に「お客様と感動を創造し、圧倒的No.1メーカーとして進化し続ける」を掲げております。平成33年度までの9年間を3フェーズに分け、3年毎の中期経営計画を実行することにより、長期ビジョンの達成を目指してまいります。

フェーズ2となる平成28年度から平成30年度までの第2次中期経営計画につきましては、「工具の新たな可能性を追求し、お客様が感動する憧れのブランドを創り、次世代への成長を加速する」を基本方針に、工具事業を核とした成長戦略を展開してまいります。

第2次中期経営計画の初年度にあたる平成29年3月期の連結会計年度におきましては、「工具の新たな可能性」を追求し、付加価値の高い製品の開発により収益・利益の拡大を図ることで、次世代への成長を加速してまいります。具体的には以下のような課題を設定し、経営を進めてまいります。

 ・ブランド価値の向上、市場シェアの拡大に向けた差別化製品の投入

 ・戦略商品である計測機器や省力化機器類の改良及びアイテムの拡充

 ・工具のスマート化による、ソリューションビジネスの創出

 ・革新的な生産工程の実現、新技術の導入・強化による生産性の向上

 ・職場環境の整備と人財の育成・活性化

 

4【事業等のリスク】

当社グループの業績、株価並びに財務状況等に影響を及ぼす可能性がある主要な事項は以下のとおりであります。なお、本記載のリスクにつきましては、当連結会計年度末現在の判断によるものであり、当社グループの事業上のリスクの全てを網羅するものではありません。

 

(1)品質問題による業績悪化のリスク

   当社は平成10年にISO9001を取得する等、品質最優先のものづくりを進めておりますが、製品の開発並びに製造過程での品質上のリスク全てを将来にわたって完全に排除することは極めて困難と認識いたしております。このリスクの顕在化により業績に影響を受ける可能性があります。

 

(2)材料調達のリスク

   当社は鋼材を主材料として主に作業工具の生産をしておりますが、中国をはじめとする世界的な需要の高まりなどにより、材料価格の高騰や材料自体の調達難に見舞われる可能性があります。

 

(3)販売ルート・形態に関するリスク

   当社は創業以来自動車関連に強みを持ち、販売代理店ルートを中心に販売しておりますが、今後流通ルートの急速な変化により売上高に影響を与える可能性があります。

 

 (4)中国における生産子会社のリスク

   当社では平成7年に合弁会社「福清京達師工具有限公司」を福建省に設立し、グローバル生産体制を整備いたしましたが、今後予期しない法制面の変更、政情の混乱等により当社生産体制に影響を受ける可能性があります。

 

 (5)その他子会社のリスク

   当社の連結対象子会社は前述の海外(中国)に1社の他、国内に2社あり、工具事業を営んでおりますが、これらの業績がグループ全体の業績や財務に影響を与える可能性があります。

 

 (6)情報安全上のリスク

   当社では、グループ全体の情報セキュリティ確保を目指し、システム対応、教育、啓蒙活動など管理強化を進めておりますが、何らかの事由により個人情報など重要情報が漏洩した場合、当社グループの事業やイメージに影響を与えるおそれがあるとともに、損害賠償請求などを受ける可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)における工具事業の研究開発活動は、以下のとおりであります。

 当社は、省力化工具・機器類の総合メーカーとして、自動車整備分野においては自動車の多様化・高度技術化に対応した新製品、その他の各産業分野においては種々の社会的ニーズに対応した新製品の研究開発を進めてまいりました。また、医療分野向けに歯科インプラント用トルク測定機器「トルクラチェットレンチ」を開発。幅広いドクターのニーズに合わせた商品展開を拡大しております。

その結果、当連結会計年度の開発売上実績は、66品種131アイテムとなっております。

当連結会計年度末において研究開発に従事する人員は18名であり、当社が所有している産業財産権は、国内外あわせて76件(出願中30件を含まず)であります。また、当連結会計年度における研究開発費用は2億7百万円でした。

なお、工具事業以外のセグメントでは研究開発活動は行っておりません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

    当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行い、提出日現在において判断したものであり、将来に関しては不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

    当社グループの財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」に記載しております。

 

 (2)当連結会計年度の財政状態の分析

①資産

 当連結会計年度末の総資産は、128億52百万円となり、前連結会計年度末に対し1億97百万円増加となりました。その主な内容は、現金及び預金が7億15百万円、商品及び製品が1億74百万円、機械装置及び運搬具が2億18百万円増加した一方、有価証券及び投資有価証券が6億44百万円、投資その他の資産のその他が2億90百万円減少したことなどによるものであります。

②負債及び純資産

 当連結会計年度末の負債合計は、39億85百万円となり、前連結会計年度末に対し6百万円減少となりました。その主な内容は、支払手形及び買掛金が46百万円、未払法人税等が1億51百万円増加した一方、未払金が1億24百万円、長期借入金が79百万円減少したことなどによるものであります。

 当連結会計年度末の純資産合計は、88億66百万円となり、前連結会計年度末に対し2億3百万円増加となりました。その主な内容は、利益剰余金が3億95百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が1億56百万円減少したことなどによるものであります。

 

  (3)当連結会計年度の経営成績の分析

   ①売上高

 当連結会計年度における売上高は85億7百万円(前年同期比18.6%増)となりました。主力の工具事業において、積極的なソリューション営業を展開し、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓を推進した結果、自動車整備市場や一般産業市場の売上が堅調に推移したことを主要因に、売上は増加いたしました。

②営業利益

 営業利益は、直販部門を中心にお客様ニーズを積極的に取り込んだソリューション営業が奏功し、高付加価値製品の受注が増加するとともに、更なる生産性の向上とコストダウンの推進に取組んだ結果、6億74百万円(前年同期比27.3%増)となりました。

③営業外損益及び経常利益

 営業外損益は、営業外収益として受取利息16百万円、受取配当金58百万円、補助金収入34百万円、営業外損失として支払利息9百万円を計上したことなどにより、98百万円の利益(純額)となり、経常利益は7億72百万円(前年同期比33.4%増)となりました。

④特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益

 特別損益は、特別利益として投資有価証券償還益29百万円、特別損失として投資有価証券売却損12百万円を計上したことなどにより、13百万円の利益(純額)となり、税金等調整前当期純利益は7億85百万円(前年同期比6.6%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税に2億61百万円、法人税等調整額に15百万円を計上したことなどにより、5億39百万円の親会社株主に帰属する当期純利益(前年同期比10.1%増)となりました。

 

  (4)当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

  (5)経営者の問題認識と今後の方針について

「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」に記載のとおり、長期ビジョンの達成に向け、「新たな価値の創造と顧客の開拓」をより強固に推進し、収益・利益の拡大を図ってまいります。

 

 (6)経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、概ね「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。