(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績や雇用情勢の改善等を背景として、景気の緩やかな回復基調が続いております。一方、中国をはじめとする新興国の景気減速に加え、米国新政権の政策運営や欧州政治情勢を受けた世界的な金融市場の不安定化など、グローバル経済環境は依然として不透明な状況が続いております。
このような情勢下、当社グループにおきましては、「工具の新たな可能性を追求し、お客様が感動する憧れのブランドを創り、次世代への成長を加速する」を基本方針に掲げ、工具事業を核とした成長戦略を展開し、収益・利益の拡大に努めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は81億92百万円(前年同期比3.7%減)、営業利益は6億68百万円(前年同期比0.9%減)、経常利益は6億81百万円(前年同期比11.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては4億52百万円(前年同期比16.0%減)となりました。
事業セグメント別の業績の概要につきましては、以下のとおりであります。
[工具事業]
当社主力の当事業部門では、「安全、快適、能率・効率、環境」をキーワードに、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓並びにブランド価値向上等の事業戦略を展開してまいりました。
開発面では、今後の更なる統合的作業管理の進展を見据え、工具・測定機器、ウェアラブル端末と作業トレーサビリティシステムを連携し、モノとヒトの作業のすべてをつなぐ「次世代作業トレーサビリティシステム」の開発を進めるなど「工具大進化」の実現に注力してまいりました。
販売面では、営業スタイルを変革させ、3C(コンサルティング・コミュニケーション・カウンセリング)営業を確立することで、「お客様の様々な問題や課題解決」に注力いたしました。加えてKTC工具の裾野を拡げる取組みとして、FIA世界ラリー選手権(WRC)に参戦するTOYOTA GAZOO Racingに工具を提供するパートナーシップ契約を締結したほか、米ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市(CES)、独ハノーバーで開催された国際情報通信見本市(CeBIT)などの海外展示会へも積極的な出展を行いました。
さらに生産面では、平成28年8月1日付にて、生産拠点である100%子会社の北陸ケーティシーツール株式会社が、同じく100%子会社である株式会社ケーティーシーサービスを吸収合併いたしました。この生産拠点の再編による子会社経営資源の統合に加えて、独自工法、独自設備の開発を通じ、たゆまぬ生産性の向上とコストダウンの推進に取組むなど、積極的な先行投資を行いKTCグループにおける「ものづくりの最適化」を目指してまいりました。
これらの結果、一般産業市場向け販売が好調を維持したことに加え、直販部門によるお客様のお困りごとを解決するソリューション営業が奏功し、高付加価値製品の受注は堅調に推移したものの前年同期の水準には及ばず、当連結会計年度の売上高は79億64百万円(前年同期比4.3%減)、セグメント利益は5億20百万円(前年同期比7.4%減)となりました。
なお、当社は平成28年11月に、経済産業省が主催する「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」(中小企業 製造・輸入事業者部門)において、最高賞である「経済産業大臣賞」を受賞いたしました。今回の受賞は、①「安全最優先の製品設計・製造工程管理」②「製品を安全に使用していただくための情報発信」③「KTCものづくり技術館を中心とした安全文化の発信」など、KTCの安全安心なものづくりと啓発活動の推進などの取組みが評価されたことによるものです。
[ファシリティマネジメント事業]
当事業部門では、従前より所有不動産の有効活用を目指し、物件の整備、運営管理を推進しております。
当連結会計年度におきましては、京都府長岡京市の所有不動産において新たなテナントが営業を開始したことや、石川県羽咋市の太陽光発電所の安定稼働により、売上高は2億28百万円(前年同期比25.5%増)、セグメント利益は1億47百万円(前年同期比32.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金の増加は8億55百万円(前年同期は12億73百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益6億64百万円に加え、減価償却費3億76百万円、たな卸資産の減少2億12百万円による資金の増加があった一方、法人税等の支払3億41百万円、仕入債務の減少96百万円による資金の減少があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は5億11百万円(前年同期は3億9百万円)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出5億5百万円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は2億54百万円(前年同期は2億55百万円)となりました。これは主に、配当金の支払い1億55百万円、長期借入金の返済による支出79百万円があったことなどによるものであります。
これらの結果、当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、22億7百万円(前年同期は21億20百万円)となりました。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
工具事業(千円) |
8,031,814 |
90.2 |
|
ファシリティマネジメント事業(千円) |
- |
- |
|
合計(千円) |
8,031,814 |
90.2 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の生産実績には、仕入商品を含んでおります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
工具事業(千円) |
7,964,658 |
95.7 |
|
ファシリティマネジメント事業(千円) |
228,227 |
125.5 |
|
合計(千円) |
8,192,885 |
96.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、前連結会計年度のトラスコ中山株式会社については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
トヨタ自動車株式会社 |
2,325,810 |
27.3 |
1,673,629 |
20.4 |
|
トラスコ中山株式会社 |
- |
- |
1,051,608 |
12.8 |
|
ヤマト自動車株式会社 |
939,018 |
11.0 |
1,001,964 |
12.2 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、社是「お互いに誠実でたゆまず前進し、軽くて強くて使いよい工具を創り、社会に貢献しよう」、社訓「信用・誠実・協調・創造・実行」を経営理念とし、品質・価格・納期の面において、お客様の要求に最大限お応えできる製品とサービスを提供することにより、企業の継続的発展を目指すとともに、法令を遵守し、環境・安全面においても地域をはじめとする社会に貢献できる企業グループを目指してまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、平成25年度より平成33年度を最終年度とする「KTCグループ長期ビジョン」を策定し、基本方針に「お客様と感動を創造し、圧倒的No.1メーカーとして進化し続ける」を掲げております。平成33年度までの9年間を3フェーズに分け、3年毎の中期経営計画を実行することにより、長期ビジョンの達成を目指してまいります。
フェーズ2となる平成28年度から平成30年度までの第2次中期経営計画につきましては、「工具の新たな可能性を追求し、お客様が感動する憧れのブランドを創り、次世代への成長を加速する」を基本方針に、工具事業を核とした成長戦略を展開してまいります。
第2次中期経営計画の2年目にあたる平成30年3月期の連結会計年度におきましては、「工具の新たな可能性」を追求し、付加価値の高い製品の開発により収益・利益の拡大を図ることで、次世代への成長を加速してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、本業での収益性を示す営業利益率を重要な指標として位置づけ、営業利益率10%を目標としております。長期ビジョンを推進することで、営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大に努めてまいります。
(4) 経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績や雇用情勢の改善等を背景として、景気の緩やかな回復基調が続いております。一方、中国をはじめとする新興国の景気減速に加え、米国新政権の政策運営や欧州政治情勢を受けた世界的な金融市場の不安定化など、グローバル経済環境は依然として不透明な状況が続いております。
工具業界におきましては、社会保険料負担の増加などを通じた実質所得の伸び悩みへの警戒感など、一部先行きに対する不透明感は払拭できない状況の中、国内消費者の節約志向が根強い一方、安全・安心への社会ニーズの高まりにより、法人向けを中心とした高付加価値製品に対する需要は堅調に推移しております。
(5) 業務上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、第2次中期経営計画で掲げる「次世代への成長を加速」するため、以下のような課題を設定し経営を進めてまいります。
① 次世代工具プロジェクトの製品化、「工具大進化」の実現
当社グループは、今後のさらなる統合的作業管理の進展を見据え、工具・測定機器、ウェアラブル端末と作業トレーサビリティシステムを連携し、モノとヒトの作業のすべてをつなぐ『次世代作業トレーサビリティシステム』の開発を本格化しています。これらIoTを活用した次世代工具の製品化を通じ、「工具大進化」の実現を目指してまいります。
② 3C営業本格展開、課題解決による販売革新展開(「もの」から「こと」へのグローバル展開)
当社グループでは、国内外ともに3C(コンサルティング・コミュニケーション・カウンセリング)営業を確立することで、「お客様の様々な問題や課題解決」に主眼を置いた営業スタイルへの変革を通じ、お客様から選ばれるベストパートナーを目指してまいります。
③ 「工具大進化」を支えるものづくり革新、生産拠点の次世代化推進
当社グループでは、「工具大進化」を支えるためのものづくり革新を進めております。具体的には、独自工法、独自設備の開発を通じ、たゆまぬ生産性の向上とコストダウンの推進に取組むほか、IoTの活用による生産拠点の次世代化推進に向けた積極的な先行投資を行い「ものづくりの最適化」を目指してまいります。
④ 当社グループの変革(成長)を支えるベースづくり(「人財育成」と「職場環境整備」推進)
当社グループでは、さまざまな変革を実現するためのベースとなる人財の育成に向けての教育制度の充実や、働き方改革を推進するとともに、快適で働きやすい職場環境を整備することで、KTCグループの成長を実現してまいります。
当社グループの業績、株価並びに財務状況等に影響を及ぼす可能性がある主要な事項は以下のとおりであります。なお、本記載のリスクにつきましては、当連結会計年度末現在の判断によるものであり、当社グループの事業上のリスクの全てを網羅するものではありません。
(1)品質問題による業績悪化のリスク
当社は平成10年にISO9001を取得する等、品質最優先のものづくりを進めておりますが、製品の開発並びに製造過程での品質上のリスク全てを将来にわたって完全に排除することは極めて困難と認識いたしております。このリスクの顕在化により業績に影響を受ける可能性があります。
(2)材料調達のリスク
当社は鋼材を主材料として主に作業工具の生産をしておりますが、中国をはじめとする世界的な需要の高まりなどにより、材料価格の高騰や材料自体の調達難に見舞われる可能性があります。
(3)販売ルート・形態に関するリスク
当社は創業以来自動車関連に強みを持ち、販売代理店ルートを中心に販売しておりますが、今後流通ルートの急速な変化により売上高に影響を与える可能性があります。
(4)中国における生産子会社のリスク
当社では平成7年に合弁会社「福清京達師工具有限公司」を福建省に設立し、グローバル生産体制を整備いたしましたが、今後予期しない法制面の変更、政情の混乱等により当社生産体制に影響を受ける可能性があります。
(5)その他子会社のリスク
当社の連結対象子会社は前述の海外(中国)に1社の他、国内に1社あり、工具事業を営んでおりますが、これらの業績がグループ全体の業績や財務に影響を与える可能性があります。
(6)情報安全上のリスク
当社では、グループ全体の情報セキュリティ確保を目指し、システム対応、教育、啓蒙活動など管理強化を進めておりますが、何らかの事由により個人情報など重要情報が漏洩した場合、当社グループの事業やイメージに影響を与えるおそれがあるとともに、損害賠償請求などを受ける可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)における工具事業の研究開発活動は、以下のとおりであります。
当社は、省力化工具・機器類の総合メーカーとして、自動車整備分野においては自動車の多様化・高度技術化に対応した新製品、その他の各産業分野においては種々の社会的ニーズに対応した新製品の研究開発を進めてまいりました。また、医療分野向けに歯科インプラント用トルク測定機器「トルクラチェットレンチ」を開発。幅広いドクターのニーズに合わせた商品展開を拡大しております。
その結果、当連結会計年度の開発売上実績は、30品種164アイテムとなっております。
当連結会計年度末において研究開発に従事する人員は20名であり、当社が所有している産業財産権は、国内外あわせて116件(出願中26件を含まず)であります。また、当連結会計年度における研究開発費用は1億89百万円でした。
なお、工具事業以外のセグメントでは研究開発活動は行っておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行い、提出日現在において判断したものであり、将来に関しては不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」に記載しております。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
①資産
当連結会計年度末の総資産は、130億74百万円となり、前連結会計年度末に対し2億22百万円増加となりました。その主な内容は、現金及び預金が1億40百万円、ソフトウエアが2億39百万円、投資有価証券が1億61百万円増加した一方、商品及び製品が1億66百万円、投資その他の資産のその他が69百万円減少したことなどによるものであります。
②負債及び純資産
当連結会計年度末の負債合計は、38億18百万円となり、前連結会計年度末に対し1億67百万円減少となりました。その主な内容は、賞与引当金が76百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が99百万円、未払法人税等が69百万円、長期借入金が80百万円減少したことなどによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、92億56百万円となり、前連結会計年度末に対し3億89百万円増加となりました。その主な内容は、利益剰余金が2億97百万円、その他有価証券評価差額金が1億11百万円増加したことなどによるものであります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
①売上高
当連結会計年度における売上高は81億92百万円(前年同期比3.7%減)となりました。主力の工具事業において、積極的なソリューション営業を展開し、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓を推進いたしました。その結果、一般産業市場向け販売が好調を維持したことに加え、直販部門によるお客様のお困りごとを解決するソリューション営業が奏功し、高付加価値製品の受注は堅調に推移いたしましたが前年同期の水準には及ばず、売上は減少いたしました。
②営業利益
営業利益は、直販部門を中心にお客様ニーズを積極的に取り込んだソリューション営業が奏功し、高付加価値製品の受注が堅調に推移した一方、「工具大進化」実現に向けた研究開発、更なる生産性の向上とコストダウンの推進に向けた独自工法、独自設備の開発など積極的な先行投資を行った結果、6億68百万円(前年同期比0.9%減)となりました。
③営業外損益及び経常利益
営業外損益は、営業外収益として受取利息6百万円、受取配当金18百万円、補助金収入2百万円、営業外損失として支払利息7百万円、為替差損8百万円を計上したことなどにより、13百万円の利益(純額)となり、経常利益は6億81百万円(前年同期比11.8%減)となりました。
④特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益は、特別損失として固定資産除売却損17百万円を計上したことにより、17百万円の損失(純額)となり、税金等調整前当期純利益は6億64百万円(前年同期比15.5%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税に2億55百万円、法人税等調整額に40百万円を計上したことにより、4億52百万円の親会社株主に帰属する当期純利益(前年同期比16.0%減)となりました。
(4)当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、長期ビジョンの達成に向け、「新たな価値の創造と顧客の開拓」をより強固に推進し、収益・利益の拡大を図ってまいります。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、概ね「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。