当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、社是「お互いに誠実でたゆまず前進し、軽くて強くて使いよい工具を創り、社会に貢献しよう」、社訓「信用・誠実・協調・創造・実行」を経営理念とし、品質・価格・納期の面において、お客様の要求に最大限お応えできる製品とサービスを提供することにより、企業の継続的発展を目指すとともに、法令を遵守し、安全・環境面においても地域をはじめとする社会に貢献できる企業グループを目指してまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、2022年度より2030年度を最終年度とするKTCグループ長期ビジョン「KTC vision 2030」を策定し、基本方針に「社会の期待を超えたツールで、人の能力を拡張し、世の中の安全を創り出す」を掲げております。2030年度までの9年間を3フェーズに分け、3年毎の中期経営計画を実行することにより長期ビジョンの達成を目指してまいります。
フェーズ1となる2022年度から2024年度までの第1次中期経営計画の基本方針「つながる&見える化で、新たなモビリティ ファクトリー インフラを攻略する」に続き、2025年度から2027年度までの第2次中期経営計画では「TRASAS&neprosで、世界に通ずるトップブランドとして、持続的成長を確実に遂げる」を基本方針に、工具事業を核とした新たな成長戦略を展開することで、KTCグループ長期ビジョンの達成へとつなげてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、本業での収益性を示す営業利益率を重要な指標として位置づけ、当面の目標を営業利益率10%とし、営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大に努めてまいります。
(4) 経営環境
当社グループを取り巻く経営環境につきましては、雇用・所得環境が改善する中で緩やかな回復基調が期待されるものの、米国の関税政策の影響や金融資本市場の変動の影響など、依然として先行き不透明な状況が続くと予想されます。
また、関連業界においては、少子高齢化を背景とした技術者の高齢化や人手不足に伴う生産性や企業競争力などへの影響が問題視されている一方で、安全・安心に対する社会的要求の高まりにより、ESGに関する取り組みを含むコンプライアンスの強化が求められております。
当社グループの主力である工具事業では、「もの」を主体とする製品事業から「こと」を提案するサービス事業への領域拡大を加速化し、お客様の多様化するニーズに対応してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、長期ビジョンにおける3つの戦略方針(「今までの概念を覆す」「リーディングカンパニーの伝統を活かす」「あらたなチャンスに挑戦」)及びESG推進方針(「E 地球環境に徹底的に貢献する」「S あらゆるステークホルダーと共生する」「G 持続可能な信頼される企業であり続ける」)のもと、以下のような戦略課題などに取り組んでまいります。
① 人ができることを増やしていくために進化するツールの提供
当社グループは、お客様にとって最適な「軽くて、強くて、使いよい」ツールを環境の変化に適応した形で提供し続けます。たとえば、主力の自動車業界では、「自動運転技術」「EV技術」による技術革新が進む一方で技術者の高齢化や人手不足に伴う生産性や企業競争力などへの影響が問題視されており、作業現場のニーズはより多様化することが予測されます。これに対し、新しい材料や構造・機構に関する技術を用いるなど、安全で使う人と環境にやさしいツールを進化させ続け、多様性を認め合う持続可能な社会の実現を目指してまいります。
② つながる工具とソフトウエア、サービスによる新たな価値の提供
当社グループは、安全・安心に対する社会的要求の高まりにより、人作業や作業情報などの一元管理が進展することを見据え、「工具(ハードウエア)」「ソフトウエア」「サービス」の三要素で構成する「TRASAS」シリーズをはじめとするIoT技術を用いたツールを展開しております。とくに昨今、より効果的かつ効率的なコンプライアンス強化が求められるなか、厳格な工具管理を要する航空宇宙産業やMRO(Maintenance Repair Overhaul)市場などに対し、使用履歴管理による紛失抑制や紛失した際の工具の探索に貢献するRFID搭載工具「nepros ID」シリーズを展開し、作業管理体制強化や効率化による新たな価値を提供してまいります。
③ 「KTC vision 2030」を支えるサプライチェーンマネジメントの強化
当社グループでは、「KTC vision 2030」を支えるためのものづくり革新を進めており、人とロボットそれぞれの長所を活かした協働環境の運用を目指しております。具体的には、脱着などの単純な繰り返し作業は協働型ロボットが行い、人はより付加価値の高い作業へシフトいたします。さらに、生産各工程の新規設備を活かし、とくに「nepros」「nepros ID」製品をベースとした各成長戦略の実現に向けて能力増強を図るとともに、生産拠点の最適化や地政学リスクへの対応を含めものづくりを中心としたサプライチェーンマネジメントの強化に取り組んでまいります。
④ サステナビリティの深化(ESG経営の推進 及び 新人事制度の定着と運用)
当社グループの事業活動を通じた社会課題への貢献に向け、ESGを軸としたサステナビリティへの取り組みを深化させてまいります。たとえば、気候変動の課題に対し、温室効果ガス排出量の削減に向けたエネルギーに関する取り組み(省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用推進など)とコストダウンを両立させるなど、グループ全体の最適化を図り、環境に配慮したお客様に選ばれる企業を目指してまいります。
また、事業を維持・向上、変革させる源泉は、人材であります。多様な価値観への社会的な変化を背景に、多様な人材の登用、一人ひとりの成長と能力発揮などを目的とした人材への投資を行い、「人を中心に置きながら人に依存しない体制を築き上げる」など、社員がより「KTCで働いてよかった」と思える会社を実現させ当社グループの成長につなげてまいります。
⑤ 不適切な会計処理に関する特別調査委員会による調査結果を踏まえた今後の課題
当社は、当社の連結子会社である北陸ケーティシーツール株式会社(以下「北陸KTC」)において一部の仕掛品を過大に計上するという不適切な会計処理の疑義があること(以下「本事案」)が判明し、2025年5月7日に当社と利害関係を有さない外部専門家を加えた調査チームを設置し全容の解明に努めてまいりました。その調査過程で、本事案に北陸KTCの経営層の関与がある疑義、仕掛品以外にも一部の原材料や製品などについて不適切な会計処理が過年度に亘り行われていた疑義、並びに、当社取締役常勤監査等委員が2025年3月期における不適切な会計処理を知りながら適切に対応していなかった疑義が確認されました。
当社は、事実関係の更なる調査により原因を究明し、再発防止を徹底する必要があると考え、2025年6月2日付で調査チームを解消し、特別調査委員会を設置しました。当社は、2025年6月30日に特別調査委員会から調査報告書を受領し、その結果、北陸KTCにおいて親会社に対して業績を良く見せることを企図して、製品や仕掛品、原材料や貯蔵品等の過大計上による不適切な会計処理を行っていたことが判明いたしました。
これに伴い当社は、本事案に関する棚卸資産等の金額を過年度に遡って訂正する必要があると判断し、2024年3月期の有価証券報告書、2025年3月期にかかる半期報告書、2024年3月期第1四半期以降の四半期報告書について、訂正報告書を提出いたしました。
当社は、本事案に関し調査報告書で判明した事実と原因分析に関する報告等を踏まえ、改めて財務報告に係る内部統制の再評価を行った結果、全社的な内部統制及び業務プロセスに係る内部統制に不備があったことを識別いたしました。
全社的な内部統制の不備
本事案における仕掛品等の過大計上の不適切な会計処理は、親会社に対して月次の営業黒字達成について、北陸KTCにおいてプレッシャーを感じていたことから営業利益の積み増しを行っておりました。
北陸KTCには、信頼性のある財務報告の作成のための、適切な階層の経営者、管理者を関与させる有効なリスク評価の仕組みが存在しておらず、独立的評価の範囲と頻度を、リスクの重要性、内部統制の重要性及び日常的モニタリングの有効性に応じて適切に調整することに関連した全社的な内部統制(リスク評価と対応、モニタリング)に不備があったと認識しております。
当社の経営陣が、子会社管理を行う上で北陸KTCがこのような不適切な会計処理を行うに至る動機、原因、背景を踏まえ、適切にリスクを評価すること及び独立的評価の範囲と頻度をリスクの重要性、内部統制の重要性及び日常的モニタリングの有効性に応じて適切に調整することに関連した全社的な内部統制(リスク評価と対応、モニタリング)に不備があったと認識しております。
また、当社の常勤監査等委員がその職務を逸脱し、業務執行に関する助言を行うとともに、自ら北陸KTCにおける不適切な会計処理の隠ぺいを実行し、当社の取締役会においてそれらの監督・監視ができていなかったことから、経営者が信頼性のある財務報告の作成に必要な能力を有するものを配置し、当社の取締役会及び監査等委員が財務報告とその内部統制に関し経営者を適切に監督・監視する責任を実行することに関連した全社的な内部統制(統制環境)に不備があったと認識しております。
業務プロセスに係る内部統制の不備
北陸KTCの在庫管理プロセスにおいて使用されている在庫管理システムでは、各製造ロットがどの工程にあるかを管理するためのシステムとして活用されているに過ぎず、実地棚卸の際の在庫管理及び在庫金額の評価が手作業で行われていたため改ざんが容易となっていたことから、結果として、北陸KTCの在庫管理システム外で在庫数量等の変更が実行可能となっており、実地棚卸の結果が正確に会計データに反映されておりませんでした。
これらの全社的な内部統制及び業務プロセスに係る内部統制の不備は財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
なお、上記事実は当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策を講じることにより、適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。
1)北陸KTCにおける内部統制の整備・運用
a.実地棚卸の結果を正確に会計帳簿に反映させる手続きを構築
不正の機会を作ることとなった在庫管理に関する内部統制の不備を是正するために、実地棚卸後に棚卸明細を作成する際の書式や承認フローを再構築し、棚卸金額を計算する際のダブルチェック体制の構築など、実地棚卸から会計帳簿に反映されるまでの業務フローの再構築を行い、手入力による棚卸明細の改ざんが行われないように一連の手続きのルールを整備・運用するとともに、それらを北陸KTCの管理部門がモニタリングする体制を整備・運用いたします。
また、実地棚卸から棚卸明細の作成を通じて会計帳簿に反映されるまでの業務フローにおいて、親会社の内部監査部門によるモニタリング体制も整備・運用いたします。親会社の内部監査部門による内部監査結果は、親会社の監査等委員や北陸KTCの監査役への報告を通じて北陸KTCの内部監査に活用いたします。
b.在庫管理システムを整備(仕掛品管理をシステム化、不正の機会・人為的ミスを排除)
上記a.の業務を手作業ではなく、在庫管理システムを改良することにより、不正の機会や人為的なミスを未然に防止または不正や人為的なミスを早期に発見できるようにいたします。
また、在庫管理システム上に理論在庫をより精緻に計算できる仕組みを新たに構築することで、実地棚卸だけでなく、月次決算においても適切な棚卸資産の金額算定を可能とし、更に理論在庫と実在庫の差異分析を行うことで、在庫管理の適正化を進めてまいります。
これらの業務を親会社主体で行い、システムの改良が完了するまでは親会社も実地棚卸や在庫明細の作成支援を行うことで手作業の業務手順・統制手順の有効性を高めることで不正の機会や人為的ミスを排除し、親子間の管理レベルに差異が生じないようにいたします。
c.モニタリング手続きを親会社手続きと共通化
不適切な会計処理を未然に防ぐため親会社の業務フローを参考に、北陸KTCの業務フローを見直し内部統制を強化いたします。
親会社の内部監査部門が定期的なモニタリングを実施することでグループ全体を統一的な視点で効果的かつ効率的に監査することといたします。
d.親会社の内部監査部門を3線とする3ラインモデルを確立
北陸KTCでは1線と2線の牽制機能が失われていたため、3ラインモデルを確立すべく、先ずは1線、2線の業務及び権限を明確にするために業務分掌を改めて周知し、それぞれの職責に応じた権限の見直しをいたします。また、1線、2線の部門の職員に対し、改めて外部専門家によるサポートを得ながら定期的な研修を実施し、自身の責務が果たせるように継続的な教育を実施いたします。
3線に対しましては、北陸KTCでは人的リソースが不足しているため、上記c.のとおり、親会社の内部監査部門が外部専門家の協力も得ながら定期的なモニタリングを実施することで、3ラインモデルを確立いたします。また、内部統制委員会など3線が運用していた会議を2線による運用に変更し、内部監査部門が独立した立場で評価できる体制を構築いたします(2線と3線の責務の明確化)。
e.親会社の管理部門(経理、内部監査)の人員を増強(上記a.~d.を実現)
現在の北陸KTCの人的リソースでは、3ラインモデルを単独で確立することは難しい状況にあります。そのため、上記d.の3線のみならず、2線においても親会社がグループ全体を管理するグループ統制モデルへの移行を検討してまいります。
しかしながら、これらを実現するためには、親会社におきましても人的リソースが不足しており、先ずは2線の要である経理部門、3線を担う内部監査部門の必要人員を決定し、短期的にはキャリア採用を進めると共に外部専門家を活用しながら必要人員を確保し、中長期的には管理部門の要員計画に基づいた再配置と育成計画を実行してまいります。
2)グループとしての一体感の醸成を主眼とした北陸KTCの位置づけの見直し
a.不採算事業を見直し(親子間取引価格の改定、赤字外部取引の解消)
既に親子間取引価格について改定を実施いたしましたが、現在、北陸KTCの経営状況を鑑み、不採算品の見直し及び更なる価格改定の必要性について精査しております。また、不採算事業そのものにつきましても、事業の在り方を含めた抜本的な見直しの検討を開始しております。
b.グループ戦略拠点としての位置づけを明確化(当社への統合も選択肢に検討)
サプライチェーンの観点からグループの生産拠点としての位置づけを明確にすると共に、管理の一体化など業務の有効性と効率性を高めることを目的として、当社への統合も視野に入れ、グループ戦略の検討を進めております。
c.人的交流を活発化(製造部門、管理部門)
業務の有効性と効率性を高めるため、管理の一体化を中心とした人的交流の活発化を図ります。特に主たる業務である製造部門や管理部門に関し、親会社の関与を強化すると共に、北陸KTCから親会社への出向などによる人材育成にも積極的に取り組んでまいります。
d.中長期的な事業計画・投資計画・人員計画を策定
グループ全体の中期経営計画に掲げております、「サプライチェーンマネジメント強化」の一環として、親会社への統合も視野に、戦略的な生産品目の見直しとそれに見合った投資計画を再構築すると共に、工具事業、メタル事業、精密鋳造事業の夫々において、親会社との生産バランスを見直し、各事業部門における人員の最適化を図ります。
3)ガバナンスの再構築
a.取締役会、監査等委員会におけるモニタリング機能を強化(執行と監督の分離を徹底)
取締役会規程とは別に、新たに「取締役会がなすべきガイドライン」を定め、それを稟議規程に反映し、取締役会の役割・責任を明確にすることで、執行との分離を徹底いたします。また、監査等委員会につきましては、メンバーを刷新し、新たな視点で内部監査部門、取締役会、会計監査人との連携体制を再構築することで、モニタリング機能の強化に取り組んでまいります。
b.指名委員会によるサクセッションプランニングを強化
特に高い専門性を有する重要ポストについて、任命基準や任命プロセスを改めて明確化したうえで、重要ポストの候補者について指名委員会でレビューを実施し、策定したサクセッションプランを定期的に取締役会に諮る仕組みを構築いたします。不足するスキル等がある場合には、教育的施策を実施し、将来的なキャリアとスキルマップを候補者と協議のうえ、中長期的な視点で重要ポストの担い手となる人材の育成に取り組んでまいります。
c.新たな経営体制を構築(上記a.b.の実現を見据え人選)
新たな経営体制では、臨時株主総会を開催し、先ず社内取締役5名(うち常勤監査等委員1名)を3名(うち同1名)に減員し、社外取締役2名(うち監査等委員2名)を刷新いたします(取締役常勤監査等委員も社内から新たに選任)。また、2026年6月に開催を予定しております定時株主総会までに社外取締役を更に1名追加選任する計画であり、外部の知見を積極的に取り入れることでガバナンスを再構築し、経営の健全性を高めてまいります。
4)上場会社としての信頼性確保に向けた全社的な意識改革
a.グループ全役職員を対象に、定期的にコンプライアンス研修を実施
グループ全役職員を対象に、不正を含めコンプライアンスに知見のある弁護士や公認会計士等の外部専門家やイントラネットを活用して継続的なコンプライアンス研修の受講を義務化いたします。特に当面は、財務報告の重要性や、不正事案を踏まえた研修を加えるとともに、入社時及び管理職への昇進時等のコンプライアンス意識の強化が特に必要となるタイミングに改めてコンプライアンス研修を実施する体制を整備し、グループ全体でのコンプライアンス意識の浸透を推進いたします。
b.役員に対し、定期的に外部の有識者によるガバナンスに関する勉強会を実施
グループのガバナンスを強化すべく、法改正をはじめ、上場会社の役員に求められる最新の知識の習得を通じて、役員としての職務遂行能力を維持、向上させることを目的に、弁護士などの外部専門家による自社研修や、外部セミナーなどへの参加による役員としてのガバナンス意識の維持、強化を、定期的に実施してまいります。
c.新任役員に対し、上場会社の役員として必要な知識に関する外部研修の受講を義務化
役員への登用にあたっては、上記3)b.のサクセッションプランニングで定める任命基準を充足する教育的施策を新たに設け、中長期的に役員候補者の育成に取り組みます。また、これまでも新任役員には、外部研修への参加を義務付けておりましたが、本事案が惹起したことを踏まえ、役員としての義務と責任を全うできるよう、不祥事対応を含むコンプライアンス研修を必須とした新任役員研修カリキュラムの見直し(充実)を図ってまいります。
当社グループは、地球環境・地域社会に及ぼす影響に配慮すべく、ツールを通じて社会に提供するべき価値を創造し、社会課題の解決に取り組みます。持続可能で安全安心な社会の実現に向けて、すべての人の安全を支える企業としての責任を果たすため、ESG〔環境(ENVIRONMENT)・社会(SOCIAL)・企業統治(GOVERNANCE)〕を軸としたサステナビリティの課題に対し積極的に取り組みます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
[サステナビリティ全般について]
(1)ガバナンス
当社グループは、ESGを軸としたサステナビリティの推進をねらい、ESG担当役員が監督するESG委員会(月1回開催)を設置しております。本会議体を構成する各業務執行部門と取り組み内容の協議及び進捗管理を行い、取締役及び執行役員で構成される経営会議でレビュー(報告・審議・指示)しております(年2回開催)。とくに、気候変動リスクを含む環境面については、1999年に認証取得したISO14001に則したKTCグループ環境マネジメントシステムを継続運用しており、環境責任者会議(月1回開催)及びこれの総括としての経営層によるマネジメントレビュー(年1回開催)を通じ有効性を評価しております。
(2)戦略
KTCグループ長期ビジョン「KTC vision 2030」におけるESGを軸としたサステナビリティの「推進方針」及び「戦略」は以下のとおりであります。
<推進方針>
-地球に、社会に、私たちができること-
E:地球環境に徹底的に貢献する
S:あらゆるステークホルダーと共生する
G:持続可能な信頼される企業であり続ける
<戦略>
・当社グループは、お客様にとって最適な「軽くて、強くて、使いよい」ツールを環境の変化に適応した形で提供
し続けます。関連業界において、高齢化や人材不足が深刻化するなか、作業現場のニーズはより多様化しており
ます。これに対し、材料や構造・機構に関する技術を用いるなど、安全で使う人と環境にやさしいツールを進化
させ続けることで、あらゆるステークホルダーと共生できる持続可能な社会の実現を目指してまいります。
・気候変動の課題に対しては、温室効果ガス排出量の削減に向け、エネルギーに関する取り組みをはじめとする各
種の取り組みを展開しております。
省エネルギー機器の導入や生産プロセス改善による「省エネルギー化・エネルギー効率向上」、太陽光発電設備
の運用やグリーンエネルギー活用による「再生可能エネルギーの利用推進」に取り組み、地球環境に徹底的に貢
献してまいります。
※「戦略」の詳細については、当社ホームページ「サステナビリティ」ページを参照ください
(https://ktc.co.jp/future/)。
(3)リスク管理
リスク管理の統括機関として取締役会の下にコンプライアンス委員会を設置し、サステナビリティ全般(安全衛生・品質・環境・BCP・危険物管理など)に関するリスクマネジメント体制を組織しております。取締役及び執行役員で構成される経営会議でのレビュー(報告・審議・指示、年2回開催)含め、リスクに対する対応方針や課題について識別・評価し迅速な意思決定を図っております。
(4)指標及び目標
2030年に温室効果ガス排出量を2013年度比50%削減(対象 Scope1及びScope2)
[人的資本に関する取り組みについて]
(1)戦略(人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)
当社グループは、人の成長を人事の基本として、「当社業績の拡大=社会的貢献性の拡大」に繋がるようなビジネスを展開するために、社員一人ひとりがやる気やりがいをもって、持てる能力を最大限に発揮できる活躍の場づくりを進めます。そのために、社員一人ひとりが主体的なキャリア形成と成長を通じて、人財価値を高めるとともに安全・安心に働ける職場づくりを推進してまいります。具体的な取り組み内容は以下のとおりであります。
<KTC vision 2030における取り組み内容>
・社会環境や外部環境変化をはじめ、多様な価値観への変化などを背景に、多様な人材の登用、一人ひとりが能力を発揮し活躍できる、時代に即した人事制度への見直し
・「KTC vision 2030」からバックキャストにて、求める人財を育成、組織体制を変革
・従業員の「安全(健全)」「健康」「働きがい(健幸)」の確保
(2)指標及び目標
当社グループでは、上記「(1)戦略」において記載した、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
|
指標 |
実績(2022年度) |
実績(2023年度) |
実績(2024年度) |
目標( |
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58.6ポイント |
56.1ポイント |
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100.0% |
100.0% |
|
|
|
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16.7% |
66.6% |
|
|
(注)1.2022年から「働きがい」をモニタリングするため、組織改善サーベイ(エンゲージメントを含む)を実施
しております。
2.育児休業等の取得率には育児目的休暇の取得率を含みます。
3.目標と実績は、提出会社の状況となります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、本記載のリスクにつきましては、当連結会計年度末現在の判断によるものであり、当社グループの事業上のリスクの全てを網羅するものではありません。
(1)品質問題による業績悪化のリスク
当社は1998年にISO9001を取得するなど、品質最優先のものづくりを進めておりますが、製品の開発並びに製造過程での品質上のリスク全てを将来にわたって完全に排除することは極めて困難と認識いたしております。また、TRASAS製品の拡充やサービス事業への領域拡大により新たな品質上のリスクの顕在化も考えられます。これらにより経営成績に影響を受ける可能性があります。
(2)調達・生産のリスク
当社は国内外のサプライヤーから鋼材や部品を調達し主に作業工具を生産しておりますが、ウクライナ情勢や中東地域をめぐる情勢などの地政学上の影響によるサプライチェーンマネジメントの混乱により、材料・エネルギー価格の高騰や調達難に見舞われ、当社の生産及び供給能力に影響を及ぼす可能性があります。
(3)販売ルート・形態に関するリスク
当社は創業以来自動車関連に強みを持ち、販売代理店ルートを中心に販売しておりますが、外部環境の変化に伴う流通ルートの急速な変革により売上高に影響を与える可能性があります。
(4)子会社のリスク
当社の連結対象子会社は国内に2社あり工具事業を営んでおりますが、この業績がグループ全体の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)情報安全上のリスク
当社では、グループ全体の情報セキュリティ確保を目指し、システム対応、教育、啓蒙活動など管理強化を進めておりますが、何らかの事由により個人情報など重要情報が漏洩した場合、当社グループの事業やイメージに影響を与えるおそれがあるとともに、損害賠償請求などを受ける可能性があります。
(6)市場における競合のリスク
当社が提供する製品及びサービスの市場は、海外メーカーを含め競合している状況にあります。顧客の求める製品を含めた総合的なサービスを競争力のある価格で提供できない場合は、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、グループ全体の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(7)人財育成及び人財確保におけるリスク
当社が強みをもつ自動車関連産業は、急速な技術革新により構造変化が生じています。この変化を予測し対応できる社内の人財育成及び社外からの人財確保が重要です。しかし人財の育成や確保ができない場合は新製品の開発や新サービスの提供に支障を来たし、グループ全体の経営成績に影響を与える可能性があります。
(8)自然災害や感染症に関するリスク
当社では、自然災害や感染症などによる緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動(含 予防措置)や緊急時における事業継続のためのマニュアルを策定しておりますが、やむを得ず企業活動の停滞・停止を要する事態が生じた場合には、グループ全体の経営成績や財政状態に影響を受ける可能性があります。
また、安否確認システムを用いた全社への緊急連絡訓練を適宜実施するなど、非常事態に備え迅速な対応をとれる体制を整えております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社は過年度の決算訂正を行っており、前連結会計年度との比較にあたっては、訂正後の数値で比較分析を行っております。
①財政状態及び経営成績の状況
一部に足踏みがみられるものの、雇用・所得環境の改善もあり総じて緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、物価上昇の継続や米国の政策動向による影響などが、わが国の景気を下押しするリスクとなっております。
このような経営環境のもと当社グループにおきましては、「つながる&見える化で、新たなモビリティ ファクトリー インフラを攻略する」を基本方針に掲げ、工具事業を核とした成長戦略を展開するとともに、これを支えるサプライチェーンマネジメントの強化に取り組んでまいりました。また、生産性向上をねらい先行投資として導入した新規設備の運用に注力するなど、収益・利益の拡大に努めてまいりました。しかしながら、当社製品のデジタルトルクレンチをご使用いただいております一部のお客様において、トルク値が正しく表示されない事象が確認されました。そのため、当社では、その原因の究明と対策を検討し、製品の自主回収及び対策を施すことといたしました。これにより関連費用1億31百万円を特別損失に計上いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は90億46百万円(前期比7.3%増)、営業利益は8億47百万円(前期比0.0%増)、経常利益は9億44百万円(前期比4.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては5億44百万円(前期比6.5%減)となりました。
事業セグメントごとの経営成績の概要につきましては、以下のとおりであります。
[工具事業]
主力の当事業部門では、「安全、快適、能率・効率、環境」をキーワードに、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓並びにブランド価値向上などの事業戦略を展開しております。
開発面では、「安全、快適、能率・効率、環境」を追求するR&Dコンセプト「新・工具大進化」の具現化に向けた製品・サービスを市場投入しております。その一翼を担う「TRASAS(TRAceable Sensing and Analysis System)」シリーズは、IoT技術を搭載した工具や測定具、作業支援デバイス、これらのシステムソフトウエアで構成されており、作業データを無線でデバイスへ転送することで作業履歴の自動的な記録・管理・分析を可能にいたしました。
また、航空宇宙産業やMRO(Maintenance Repair Overhaul)市場をはじめ様々な業界で安全に対する社会的要求が高まり、作業の管理体制強化や効率化が求められるなか、RFIDを搭載したIoT対応工具「nepros ID」シリーズの展開に取り組んでおります。世界初となる360°あらゆる角度から電波の読み取りが可能な同IoT対応工具は、「MRO Asia Pacific 2024」において「MRO Technology Achievement of the Year(MROテクノロジー年間最優秀賞)※」のファイナリストとしての選出に続き、「2024年度グッドデザイン賞」を受賞いたしました。また、世界最大級のMRO市場の展示会である「MRO Americas 2025」において積極的なPRを行い、市場からの関心が高まっております。厳格な工具管理が求められる作業現場で活用することで、使用履歴管理による紛失抑制や万一紛失した場合には工具探索を容易にすることなどにより、整備における安全性向上に貢献いたします。
※世界最大のマルチメディア情報サービスプロバイダーであるAviation Week Networkが毎年開催している航空宇宙業界に関する賞の一つです。
これらの成長戦略の柱となるIoT技術を用いたツールを中心に、作業管理のニーズが高い多様な業種へ向け、開発を展開してまいります。
さらに、京都大学との産学連携による共同研究を進めていた構造最適化手法「トポロジー最適化」を用いた従来の概念を覆す全く新しいツール「nepros neXT」シリーズを展開しております。引き続き、材料や構造・機構に関する新たな開発にも積極的に取り組んでまいります。
販売面では、国内営業の専門部隊である「凄腕究め隊」を中心に、全国の得意先やエンドユーザーに向けて「KTCものづくり技術館」に加え、お客様の現場にて様々な研修会の開催に注力しております。
2025年1月には当社のフラッグシップブランドである「nepros」が誕生30周年を迎え、ロゴマークの刷新とタグライン「BEYOND THE BEST」を設定いたしました。タグラインは、プロメカニック用の工具として「最善の先にあるもの」を追い求めて進化し続ける姿勢を表しております。また、「nepros」のグローバル展開にも注力しており、主に米国自動車アフターマーケットを対象に、全米で約12,000台存在する現地のツールトラックの一部を活用し、販売しております。今後もさらなる進化と、ブランド価値向上を図ってまいります。
生産面では、「新・工具大進化」を支えるためのものづくり革新を進めており、人とロボットそれぞれの長所を活かした協働環境の運用を目指しております。具体的には、脱着作業などの単純な繰り返し作業は複数の加工設備に共用で使用可能な協働型ロボットが行い、人はより付加価値の高い作業へシフトすることが可能になり、独自の少人化ラインの展開を目指すなど、「ものづくりの最適化」を図り生産性の向上を推進してまいります。
これらに加え、サプライチェーンマネジメントの強化を行うため、新規設備の導入を行い主力工場の改善に取り組むとともに、既に生産の各工程に導入した新規設備を本格稼働させ、とくに「nepros」「nepros ID」製品をベースとした各成長戦略の実現に向けて能力増強を図るなど、生産体制のさらなる安定と強化に取り組んでおります。
また、当社グループは、ESGの取り組みを、「地球に、社会に、私たちができること」として、「E 地球環境に徹底的に貢献する」、「S あらゆるステークホルダーと共生する」、「G 持続可能な信頼される企業であり続ける」を基本方針に掲げ、安全・安心で持続可能な社会の実現に向け取り組んでおります。その一環として、製品包装パッケージの刷新や生産方法の見直しによるプラスチック使用量の削減を含めた環境にやさしい生産活動の実現に取り組んでまいりました。また、技術進歩により多様化する社会において、未来で活躍できる技術者の育成に取り組んでおります。国立大学法人奈良女子大学工学部の実習に当社グループの従業員が講師として参加するなど、産学連携を通じた「技育(技術の教育)」分野でのオープンイノベーションを推進しております。2025年1月には、同大学と「パッケージデザイン」を協同で企画立案いたしました。
これらの結果、市販部門における主力の自動車市場向けの販売が堅調に推移するとともに、付加価値の高いソリューション案件を中心とした直販部門が堅調に推移し、当連結会計年度の売上高は88億13百万円(前期比7.5%増)、セグメント利益は6億88百万円(前期比0.3%増)となりました。
[ファシリティマネジメント事業]
当事業部門では、所有不動産の有効活用を目指し、物件の整備、運営管理を推進しております。不動産の賃貸については、全ての物件で高い入居率を確保しております。引き続き入居者満足度の向上を図り、収益の安定化に取り組んでまいります。また、2025年2月には、久御山町に新たな収益物件を取得し、賃貸物件として運営を開始いたしました。
当連結会計年度におきましては、所有不動産や石川県羽咋市の太陽光発電所は安定的に稼働しましたが、不動産取得に係る一時的な費用の発生などにより、売上高は2億32百万円(前期比1.7%増)、セグメント利益は1億58百万円(前期比1.1%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動において税金等調整前当期純利益の計上などにより資金を獲得したものの、固定資産の取得や配当金の支払等で支出した資金が営業活動で獲得した資金を上回った結果、前連結会計年度末に比べて4億97百万円減少し、当連結会計年度末残高は、29億19百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金の増加は10億73百万円(前期は5億3百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益8億8百万円(前期は9億円)に加え、減価償却費4億63百万円(前期は3億90百万円)、その他の負債の増加1億65百万円(前期は98百万円の減少)による資金の増加があった一方、法人税等の支払額3億51百万円(前期は2億34百万円)、売上債権の増加1億4百万円(前期は1億55百万円)などによる資金の減少があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は12億52百万円(前期は2億3百万円)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出11億62百万円(前期は2億3百万円)、定期預金の預入による支出1億34百万円(前期は24百万円)による資金の減少があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は3億18百万円(前期は1億82百万円)となりました。これは主に、配当金の支払額2億18百万円(前期は1億70百万円)、自己株式の取得による支出85百万円(前期は0百万円)があったことなどによるものであります。
当社グループの資金需要の動向につきましては、成長戦略投資を進めながら、継続的・安定的な株主還元を続けてまいります。
具体的には配当と投資と手許資金のバランスを保ちつつ、配当に関しては、継続的かつ安定的な配当の維持と業績に応じた配当を基本とし、投資に関しては「新・工具大進化」の実現に向けた新製品開発や生産革新の実現に向けた活動等に投資いたします。手許資金に関しては、今後の経済動向の不確実性拡大に備えるためにも現状水準を維持いたします。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
|
工具事業(千円) |
9,679,697 |
108.1 |
|
ファシリティマネジメント事業(千円) |
- |
- |
|
合計(千円) |
9,679,697 |
108.1 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の生産実績には、仕入商品を含んでおります。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
|
工具事業(千円) |
8,813,996 |
107.5 |
|
ファシリティマネジメント事業(千円) |
232,160 |
101.7 |
|
合計(千円) |
9,046,157 |
107.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
トヨタ自動車株式会社 |
879,003 |
10.4 |
1,473,651 |
16.3 |
|
トラスコ中山株式会社 |
1,408,748 |
16.7 |
1,405,453 |
15.5 |
|
ヤマト自動車株式会社 |
1,055,485 |
12.5 |
1,104,810 |
12.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、次のとおりであります。
a.売上高
当連結会計年度における売上高は、90億46百万円(前期比7.3%増)となりました。TRASASシリーズのラインナップ拡充や、展示会の出展や研修会の開催などに取り組んでまいりました。その結果、市販部門における主力の自動車市場向けの販売及び付加価値の高いソリューション案件を中心とした直販部門の販売が堅調に推移しました。
b.営業利益
営業利益は、生産性向上のため先行投資した新規設備の運用など、全社を挙げて経費削減に取り組みましたが、調達コストや人件費の増加などにより8億47百万円(前期比0.0%増)となり、売上高営業利益率は9.4%(前期比0.6ポイント減)となりました。
c.営業外損益及び経常利益
営業外損益は、営業外収益として受取配当金55百万円、債務取崩益18百万円、投資有価証券売却益16百万円、営業外費用として支払利息7百万円を計上したことなどにより、97百万円の利益(純額)となり、経常利益は9億44百万円(前期比4.7%増)となりました。
d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益は、特別損失として製品回収関連損失引当金繰入額1億31百万円、固定資産除売却損4百万円を計上したことにより、1億35百万円の損失(純額)となり、税金等調整前当期純利益は8億8百万円(前期比10.2%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税に3億7百万円、法人税等調整額に△44百万円を計上したことにより、5億44百万円(前期比6.5%減)となりました。
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。
a.資産
当連結会計年度末の総資産は、162億88百万円となり、前連結会計年度末に対し2億51百万円減少となりました。その主な内容は、土地が4億74百万円、仕掛品が1億38百万円、電子記録債権が1億33百万円増加した一方、投資有価証券が5億74百万円、現金及び預金が3億87百万円、工具、器具及び備品(純額)が62百万円減少したことなどによるものであります。
b.負債及び純資産
当連結会計年度末の負債合計は、40億35百万円となり、前連結会計年度末に対し1億36百万円減少となりました。その主な内容は、未払金が1億32百万円、製品回収関連損失引当金が1億31百万円増加した一方、繰延税金負債が1億89百万円、その他流動負債が1億55百万円、未払法人税等が46百万円減少したことなどによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、122億53百万円となり、前連結会計年度末に対し1億15百万円減少となりました。その主な内容は、利益剰余金が3億25百万円、自己株式が76百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が3億88百万円減少したことなどによるものであります。
当社グループの当連結会計年度の流動性及び資金の源泉は、次のとおりであります。
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
当社グループの資金需要は大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要の主なものは、製造販売業として機能するための原材料等の仕入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要の主なものは、工場や社屋等の建物及び機械装置、DXを推進するための営業活動用設備等の有形固定資産投資に加え、TRASASシリーズ用ソフトウエアや情報処理のための無形固定資産投資等があります。
c.財務政策
当社グループは運転資金につきましては、現在、内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、設備資金につきましては、設備投資計画に基づき資金計画を策定しており、内部資金で不足する場合は、長期借入金等により調達を行っております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)における工具事業の研究開発活動は、以下のとおりであります。
当社は、省力化工具・機器類の総合メーカーとして、モビリティ整備分野においては自動車の多様化・高度技術化及び作業効率向上に対応した新製品及び、一般産業分野においては種々の社会的ニーズに対応した新製品の研究開発を進めました。また、新たにトポロジー解析を活用した最適化ツールの開発も進めました。
さらに、T(つながる)&M(見える化)を市場に浸透させ、人と工具の新たな関係を実現するため、工具のデジタル化や無線化をベースに、工具だけではなくそれらにつながるソフトウエア開発も行い、システムとしてお客様へ安心安全を提供する研究開発を進めてまいりました。
その結果、当連結会計年度の開発売上実績は、57品種275アイテムとなっております。
当連結会計年度末において研究開発に従事する人員は21名であり、当社が所有している産業財産権は、国内外あわせて266件(出願中49件を含まず)であります。また、当連結会計年度における研究開発費用は
なお、工具事業以外のセグメントでは研究開発活動は行っておりません。