第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、経営理念のもとエンジニアリング企業としてお客様に最適なかたちでの価値の提供に努め、すべてのステークホルダーの皆様から「選ばれる企業」として高い信頼を得るため、持続的成長を目指します。

 

『経 営 理 念』

不二サッシは窓から夢をひろげていきます

私たちはお客様との絆を大切にします

私たちは心をこめた商品を世に出します

私たちは活力あふれる気風づくりに努めます

 

(2)経営環境

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の停戦・終結が見えないなか、中東情勢が新たな火種として国際情勢は緊張感が高まっております。こうした情勢は、日本にも更なる物価上昇、円安、諸資材価格の高騰を招き、暗い影を落としています。

 国内の建設市場におきましては、諸資材価格の高騰とそれに伴う建設計画の見直し、労働人口の減少やいわゆる「2024年問題」に伴う工期の延長など、引き続き厳しい事業環境が見込まれております。

(3)経営戦略等

 この様な経営環境下、当社グループは中期経営計画(2022-2024年度)を推進しております。サステナブルな社会実現への貢献『選ばれる企業グループへ』をメインメッセージとして掲げており、環境問題やSDGs/ESGを含むサステナビリティに係わる取組みをさらに推進・強化するため、2023年5月1日にサステナビリティ推進室を設置し、2023年10月1日にサステナビリティ委員会を設置しました。

 環境負荷を軽減するものづくりやプロセス革新を続けることで持続可能な社会の実現に貢献するとともに強靭な事業基盤を確立するため、以下の事業別戦略を推進しております。

[コア事業]

 ビル建材事業は、環境配慮商品の拡充とプロセス管理の徹底およびデジタル技術を活用した生産性向上による稼ぐ力の強化を図ります。また、当社のエンジニアリング力を活かし、海外サプライチェーンとの連携によるオーダー物件の受注拡大を図ります。

 住宅建材事業は、ハウスメーカーへの新規商品提案及び個別案件への商材拡充に向けた取組みを強化します。

 マテリアル事業は、アルミリサイクル材の活用増により環境に配慮したマテリアルの拡販を図ります。

[新規・注力事業]

 リニューアル事業は、循環型社会の実現に向けた集合住宅の改修事業強化と戸建住宅のリフォーム事業参入を図ります。

 物流事業は、自社営業倉庫を増強し、営業倉庫を活用した物流事業の拡大を図ります。

 アルミ加工品事業は、精密加工品の拡販と仮設資材用等アルミ加工品の拡販及び新商材への挑戦と拡販を図ります。

 海外事業は、ODA物件、日系企業物件を中心に国内商社、設計事務所との連携を強化します。

 光建材事業は、インテリア建材の拡販を行います。

[多角化事業]

 環境事業は、基幹改良工事の受注確保と薬剤販売の強化を行います。

 ユニットハウス事業は、生産体制の拡充による売上の拡大を図ります。

[マグネシウム事業]

 マグネシウム事業は、医療用マグネシウムを中心に研究開発を推進します。

 

 これらの諸施策に取組み、株主の皆様をはじめ、全てのステークホルダーの皆様に選ばれる企業となるべく事業を展開してまいります。

 

 当社グループは、中期経営計画最終年度である2024年度においては、以下の数値を計画しております。

2024年度(計画)

売上高

1,010億円

営業利益額

20億円

営業利益率

1.98%

純資産

215億円程度

自己資本比率

24.0%程度

配当

安定配当の継続と財務基礎の強化

ROE

8.0%程度

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、中期経営計画において、『サステナブルな社会実現への貢献「選ばれる企業グループへ」』をメインメッセージとして掲げ、サステナビリティを経営上の最優先課題と認識しております。2030年に迎える創業100周年に向け、環境・社会課題を解決するものづくりやプロセス革新を続けることで持続可能な社会の実現に貢献するとともに強靭な事業基盤を確立し、すべてのステークホルダーの皆様から「選ばれる企業グループ」として持続的成長を目指してまいります。

 このサステナビリティ経営のさらなる強化のために、経営理念の実現を通じて中長期的な企業価値の向上に努める上での基本方針として、「サステナビリティビジョン2050」を策定しました。この長期ビジョンは、「経営理念」とサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)、さらに環境方針、人権方針やコーポレートガバナンスなどの各種方針とを結び付きを明確にするものです。 また、現在のマテリアリティは2022年度に特定したものであり、特定にあたっては持続可能な開発目標(SDGs)やISO26000などを参照し、社会情勢や事業環境を踏まえて「環境」「社会」「ガバナンス」の観点別に整理しました。

 なお、これらの取り組みの一環としてサステナビリティ関連課題のうち気候変動に関する重要情報を、TCFDフレームワークに沿って文中で開示しています。

 

    0102010_001.png

 

1.ガバナンス

 当社グループは、2022年を初年度とする中期経営計画『サステナブルな社会実現への貢献「選ばれる企業グループへ」』と定め、環境負荷を軽減するものづくりとプロセス革新を推進しています。

 2023年5月には、サステナビリティの取り組みを効率的に進めるための専門組織であるサステナビリティ推進室を立ち上げ、2023年10月にはサステナビリティ委員会を立ち上げました。

 この委員会は四半期に一度開催され、代表取締役社長が委員長を務め、代表取締役専務・経営会議メンバー、および不二ライトメタル社長で構成され、サステナビリティの基本方針の策定およびサステナビリティ推進活動における計画、短期中期長期の目標策定、取り組みの推進・モニタリングを実施しています。

 当委員会で議論された内容は、サステナビリティ委員長から取締役会へ四半期に一回の頻度で報告しています。

 取締役会は委員会で検討したサステナビリティや気候変動に関する課題について審議、必要に応じて委員会へ諮問を行い、これらの課題の決定と取組(KPIとしてのGHG排出量の削減など)をサステナビリティ委員会委員長の責任のもと、モニタリングします。

 

 なお、このガバナンスの内容はサステナビリティ全般に関する説明であり、気候変動関連、人的資本および多様性、人権についても包含するものです。

 

0102010_002.png

 

2.戦略

 サステナビリティに関する戦略は、サステナビリティ推進室およびサステナビリティ推進部会が立案し、サステナビリティ委員会における審議を経て策定されます。

 当社グループは、建材品・アルミ形材の製造及び販売を主な事業としていることから、環境分野において、脱炭素に向けた取り組み(気候変動への対応)、循環型社会の形成、サプライチェーンマネジメントをマテリアリティに設定しております。

 特に、脱炭素推進に際し、2023年12月、SBT(Science Based Targets)認定取得に向けて申請書を提出しており、2024年4月下旬から審査が開始され、2024年6月13日に認定を取得しております。また、2024年2月、GXリーグ(GX:グリーントランスフォーメーション)への参画を表明しました。いずれも、当社グループが関わるサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に貢献することへのコミットメントとして、今後も選ばれる企業グループであり続けるために必要な取り組みであると認識しております。

 脱炭素社会の構築のための具体的な取り組みとしては、断熱・省エネ・創エネ関連の商品開発、アルミリサイクル材・グリーンアルミの積極的利用、太陽光発電による再生可能エネルギーの導入等を推進しております。

 また、社会分野におけるマテリアリティの取組の中で、人的資本への投資について、従業員一人ひとりの成長を支援する「働きがいのある会社」と、多様な人材の多様な働き方を支援する「働きやすい会社」を目指し、従業員が能力を発揮できる制度・環境の整備を行っております。

 他にも、持続可能な暮らしとまちづくりへの貢献に向けて、リニューアル事業の拡大や防災システム製品の研究にも取り組んでいます。

 

(1)脱炭素(気候変動対応)

分析のプロセス

 TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動問題が当社グループの事業に及ぼすリスク・機会に関して、以下のステップで検討いたしました。

 また、1.5℃~2℃シナリオと、4℃シナリオの二つのシナリオを用いて、政策や市場動向の移行(移行リスク・機会)に関する分析と、災害などによる物理的変化(物理リスク・機会)に関する分析を実施しました。

 

気候変動シナリオ

シナリオ名

想定する世界観

1.5℃~2℃シナリオ

(脱炭素シナリオ)

気候変動の影響を抑制するためにカーボンニュートラル実現を目指した取り組みが活発化。移行リスクが大きくなると想定している。

4℃シナリオ

(高排出シナリオ)

気候変動対策は現状から進展しない。物理リスクにおける異常気象の激甚化や海面上昇リスクによる影響が大きくなると想定している。

 

リスク・機会のインパクト評価と対応策の選定

・リスク

 2℃未満シナリオにおいては規制の強化によるエネルギー転換にかかる費用の増加、低炭素商品の投資額の増加、4℃シナリオでは自然災害の激甚化による費用の増加リスクが予想されます。

 

リスク

分類

ドライバー

(要因)

リスク内容

時間軸

影響度

重要度

対応策

法規制

・政策

炭素税等による負担

自社排出量に対する排出量取引などのコスト発生

中期

〔Scope1〕
・省エネ設備等の導入・設備の電化や水素化
〔Scope2〕
・再生可能エネルギーの導入

法規制

・政策

再生可能エネルギー価格の高騰

エネルギー費用抑制のための設備省エネ化や燃料転換コスト発生

中期

・生産の集約化・効率化

・排熱の有効活用およびそれを可能にする生産・設備の最適化

技術・市場

低炭素製品への投資

脱炭素関連製品(注)1の需要増加に対応するための開発・設備投資額(注)2増加

中期~

長期

・脱炭素をテーマとする研究開発の強化

・新製品への投資に関するグリーンファイナンス活用

・脱炭素市場動向の調査と製品への反映

急性

自然災害の激甚化

〔売上被害〕

自然災害(注)3に伴う営業停止による売上減少

〔直接被害〕

事業所の浸水等により被災した施設等の復旧費の発生

短期~

長期

〔短中期〕

・排水設備の増設

〔長期〕

・工場・設備の防災強化

・リスク分散のための生産協力体制の構築

・重要な設備や在庫への防水提の設置、床面の上昇

 

・機会

 環境配慮型事業の拡大や防災需要の高まりによる売上の増加が予想されます。

機会

分類

ドライバー

機会内容

時間軸

影響度

重要度

対応策

資源効率

エネルギーの効率的利用

燃料使用量削減による運用コストの削減

中期

〔Scope1〕

・ヒートポンプをはじめとする省エネ設備等の導入

・廃棄物・廃熱利用の促進

〔Scope2〕

・再生可能エネルギーへの切り替え拡大(PPA、太陽光発電、グリーン電力証書等)

エネルギー源

再生可能エネルギー発電設備の導入

太陽光発電や蓄電技術の導入・拡大による、電力や燃料購入コストの削減

中期

・社内炭素価格の導入による省エネ投資の促進

・設備導入におけるグリーンファイナンス活用

製品及びサービス

低炭素製品の選好

脱炭素関連製品(注)1の需要増加に伴う売上増加

短期~長期

・脱炭素をテーマとする研究開発の強化と市場動向の分析

・新製品への投資額の増加

製品及びサービス

防災需要の高まり

防災性能の高い製品需要の増加に伴う売上増加

短期~長期

・防災をテーマとする研究開発の強化と市場動向の分析

・新製品への投資額の増加

(注)1.省エネ・高断熱・ZEB対応、リサイクル、CFPなどの認証付与、アルミ・樹脂または木複合等

2.スクラップ専用炉、電気炉も含む

3.台風、高潮や洪水による浸水、自然災害によるサプライチェーン断絶など

・使用シナリオ:〔移行リスク〕 IEA WEO2023 NZE2050

        〔物理リスク〕 ・IPCC RCP8.5 ・IPCC AR6 SSP5-8.5

・時間軸   :短期 1年以内、中期 ~2030年、長期 ~2050年

・影響度   :大 影響額3億円以上、中 1億円以上~3億円未満、小 1億円未満

・重要度   :時間軸と影響度を勘案して3段階で総合的に判断

 

(2)人的資本

 当社では企業発展の原動力は優秀な社員であるとの認識に立ち、経営理念・経営方針に則り、仕事に対する生きがいをもった創造的な従業員の育成を図ることを基本的な考え方としております。

 今年度より従業員のエンゲージメント向上、実態把握の観点よりエンゲージサーベイを導入致しました。

 現在策定中の次期中期経営計画においても次世代を担うべき社員を中心に外部の知見も取入れて当社の将来像を考察する取組も実施致しました。また、自らのキャリアパスを自発的に考える仕組みとして引き続き社内インターンシップ制度の活用も促進してまいります。

 

(3)人権

 当社グループは、事業活動における人権尊重の責任を果たすため、2022年度に「不二サッシグループ人権方針」を策定いたしました。グループ社員全体への人権課題意識の浸透および、サプライチェーンに対しても人権を尊重した事業活動の促進を図ってまいります。

 また、人権リスクの把握および防止・軽減のため、人権デューデリジェンスのプロセスに基づいた取り組みを推進してまいります。2022年度より、当社サプライヤーに向けたアンケートにおいて人権デューデリジェンスの認識・取り組み状況をヒアリングし、その結果に合わせた情報提供などを実施しております。

 今後は、人権課題に取り組む社内ワーキンググループの設置を行い、人権リスクへの対応を進めてまいります。

 

3.リスク管理

 当社グループは、マテリアリティの特定のプロセスにおいて、リスク及び機会を十分に検討しており、特にリスクについては、その内容に応じた各所管管理部署が経営レベルへ定期的な報告を実施しております。今後は、サステナビリティに関するリスクを一元的に管理し、対応する委員会の設置等も検討してまいります。

 

(1)特定・評価プロセス

 サステナビリティに関するリスクの特定は、サステナビリティ推進室およびサステナビリティ推進部会によって実施されます。特定されたリスクは、サステナビリティ委員会で審議と定量化の評価と対応策の実施難易度に応じて優先順位の評価がつけられ、対応に向けた戦略方針の策定を行うことでリスクを管理しております。

 

(2)管理監督プロセス

 サステナビリティ委員会にて策定した対応策は四半期に一度取締役会に報告・監督され、各事業部に展開されます。対応策の内容により、サステナビリティ推進部会で実施方法を議論し、サステナビリティ推進室が経営会議等を通じてさらに詳細な指示を事業部へ行います。

 

(3)全社統合プロセス

 各事業部およびグループ会社から抽出されたサステナビリティ関連以外の全社的なリスクもサステナビリティ委員会が評価し、取締役会へ報告しています。今後全社的なリスク管理を行う組織の設立は、別途取締役会および経営会議等で検討します。

 

なお、このリスク管理の内容は、ガバナンスに関する事項と同様にサステナビリティ全般に関する説明であり、気候変動関連、人的資本および多様性、人権についても包含するものです。

サステナビリティに関するリスクについては、第2.事業の状況3.事業等のリスクを併せてご参照ください。

 

4.指標及び目標

 サステナビリティに関する指標及び目標は、サステナビリティビジョン2050及びマテリアリティの区分に則り設定します。設定プロセスとしては、サステナビリティ推進室およびサステナビリティ推進部会によって立案され、サステナビリティ委員会における審議を経ます。

 現在は、マテリアリティの中で優先順位が高いと判断した項目から順に指標及び目標を設定しております。

 

(1)脱炭素(気候変動対応)

 当社グループは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHGプロトコルの基準に基づき2023年度の温室効果ガス排出量の算定を実施いたしました。温室効果ガス排出量の削減目標は、2021年度比2030年度までにScope1+2を42%削減、Scope3はカテゴリ1、4、11を対象に30%削減を目指しております。長期目標として2050年度までにネットゼロを目指します。

 なお、この温室効果ガス排出量の削減目標は、SBTiの審査を受け認定されたものです。

 

 

Scope1+2

Scope3

2021年度実績(基準年)

77,726 t-CO2e

830,411 t-CO2e

2023年度実績

69,727 t-CO2e

696,987 t-CO2e

2030年度目標

基準年:2021年度

42%削減

▲32,645 t-CO2e

30%削減

▲240,349 t-CO2e

2050年度目標

ネットゼロ達成

(注)1.当社グループSBTにおいては、海外グループ会社を目標の対象から除外しております。

2.当社グループSBTにおけるScope3の2030年度目標の削減対象はカテゴリ1、カテゴリ4、カテゴリ11です。

 

(2)人的資本

 当社グループは、女性活躍推進の観点より、2024年6月に女性社外取締役を招聘し、採用者に占める女性割合を30%以上とする目標に向け社内でさらなる建設的な議論を進めてまいります。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

採用者に占める女性割合

19.4%

28.2

 

 国際人材の登用では不二サッシフィリピン社に不二サッシ設計センターを開設いたしました。現地への講師派遣、日本国内の研修等を通じてスキル向上に努めるとともに社内における日本語教育充実等により高度外国人材の採用も実施しております。

 また、2022年7月よりカンボジアから技能実習生10名を受け入れ、2023年3月には全員が技能検定(基礎給)に合格しており、2023年7月には新たに10名の実習生を受け入れております。

 障がい者雇用については社会福祉法人メイプルの運営支援と通じて障がい者の就業機会の確保に努めております。

 

(3)人権

 人権に関する指標及び目標の設定に向けた準備の一環で、2022年度より、当社サプライヤーに向けたアンケートにおいて人権デューデリジェンスの認識・取り組み状況をヒアリングし、回答状況を集計しております。

 今後は、人権に関する調査・分析結果を実情に合わせて整理し開示を検討してまいります。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の内容、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下の様なものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況について

 当社グループにおける営業収入の大部分は、日本国内における需要に大きく影響を受けます。このため、当社グループの経営成績は、日本国内の景気動向、建設会社の建設工事受注残高や住宅着工戸数の変動等の影響を受ける可能性があります。

 また、国内景気の悪化により、売掛金、受取手形等の債権が劣化した場合、貸倒引当金の積み増しが必要となるなど、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)原材料の市況変動の影響について

 当社グループは、アルミ地金を主たる原材料とする事業(建材事業、形材外販事業)が売上高の大半を占めております。このアルミ地金価格は、市況(為替相場およびロンドン金属取引所(LME)の価格相場)の変動により影響を受けることから、今後も市況が上昇する局面では、原材料費の上昇が抑えきれず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)市場環境について

 営業活動を展開する上で協業他社との競争は避けられませんが、そのような状況に耐えうるべく製品・サービスの向上に努めております。しかしながら、市場環境が大きく変化した場合、厳しい価格競争にさらされるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)経営成績の季節的変動について

 当社グループは、建材事業、特にビルサッシの売上比率が高く、このビルサッシの売上は、通常の営業形態として、第2四半期連結会計期間及び第4四半期連結会計期間に完成する工事の割合が大きいため、各四半期連結会計期間の業績に季節的変動があります。

(5)特定事業への依存について

 当社グループは、売上・利益ともに建材事業への依存率が高く、この事業の業績に全体の経営成績が大きく影響される傾向があります。建築投資全体が縮小傾向で推移する状況に対して当社グループは、形材外販事業や環境事業等非サッシ事業およびリニューアル事業の拡大を積極的に推進しております。

(6)法的規制について

 当社グループは、商品の設計・製造・施工に関連して、多くの法的規制を受けております。「建設業法」に基づき、建材事業は建具工事業、環境事業は機械器具設置工事業の許可を受けて営業を行っており、この他にも水質汚濁防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律など環境関連法や消費生活用製品安全法など様々な法的規制を受けながら事業を展開しております。今後、これらの規則の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

(7)自然災害及び事故等の発生による影響について

 地震・津波などの自然災害および火災・停電等の事故災害によって、当社グループの生産・販売・物流拠点および設備が破損、機能不全に陥る可能性があります。災害による影響を最小限に抑える対策を講じていますが、災害による被害を被った場合は、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

(8)環境問題

 当社グループは産業廃棄物の処理に関する法律及び大気、水質、騒音、振動、土壌汚染等の環境諸法令の適用を受けており、環境基本方針・行動指針に基づき環境マネジメントシステムの下、環境保全活動を行っております。

 しかしながら、今後何らかの環境問題が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、過去の事業活動における環境問題の事実を厳粛に受け止め教訓とし、徹底した社内管理体制を確立し、法令遵守に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の当社グループ(当社及び連結子会社)の業績は、主力とするビルサッシを中心とした建材事業分野においては、依然として続く建設資材の高騰、労働人口の減少に伴う工期の延長などに加え、新設住宅着工戸数の減少など、先行き不透明な状況が続いております。形材外販事業においては、諸資材価格の高騰や物量の減少など厳しい事業環境は続いております。こうした中、不採算取引の改善や生産性向上など様々な施策を推進した結果、業績は大幅に改善いたしました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度に比べ21億5千9百万円増加し、894億8百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度に比べ1億6千4百万円減少し、684億5千4百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度に比べ23億2千3百万円増加し、209億5千3百万円となりました。

b.経営成績

 当連結会計年度の業績は売上高1,012億6千万円(前年同期比0.4%減)、営業利益17億7千3百万円(前年同期は営業利益7億3千5百万円)、経常利益21億8千6百万円(前年同期は経常利益9億6千万円)、親会社株主に帰属する当期純利益17億1千4百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益3億3千8百万円)となりました。

 

セグメント毎の経営成績は次のとおりであります。

〔建材〕

 建材事業においては、依然として続く建設資材の高騰や労働力不足等などに起因する建設計画の見直しや工期変更の影響などにより、売上高は739億9千万円(前年同期比1.6%減)と減収になりましたが、地金価格が前年比で下落したことに加えて、営業強化による利益率の良化などにより、セグメント利益は26億円(前年同期はセグメント利益20億3千7百万円)と増益になりました。

〔形材外販〕

 形材外販事業においては、物量減少の影響を受けましたが、一般形材の納期遵守など顧客対応力強化に努めた結果、売上高は213億3千2百万円(前年同期比0.7%増)と増収になり、不採算取引や運送単価の改善、アルミ加工品での内製化による外注費の低減などによる利益率の向上により、セグメント利益は3億1千3百万円(前年同期はセグメント損失5億6千6百万円)と黒字化いたしました。

〔環境〕

 環境事業においては、プラント部門のメンテナンス事業に注力した事に加え、薬剤販売部門の販売価格上昇などにより、売上高は26億7千7百万円(前年同期比1.0%増)と増収になりましたが、薬剤販売部門の仕入れ原価の高騰や新規プラント工事の減少などによりセグメント利益1億5千1百万円(前年同期はセグメント利益2億1千1百万円)と減益になりました。

〔物流〕

 物流事業においては、厳しい事業環境が続く中、輸出作業の受注拡大及び新たな営業倉庫の開設による保管事業の強化などにより、売上高は29億7千8百万円(前年同期比23.2%増)と増収になりましたが、依然として高水準の燃料費などの輸送コストの高騰などの影響を受け、セグメント利益は3億1千2百万円(前年同期はセグメント利益3億4千万円)と減益になりました。

〔その他〕

 その他事業には、不動産等がありますが、売上高は2億8千1百万円(前年同期比7.2%増)、セグメント利益1億6千2百万円(前年同期は1億4千万円)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ21億1百万円増加し、当連結会計年度末には156億2千5百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、58億8千4百万円(前年同期は15億4千8百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、24億9千万円(前年同期は32億1千9百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、13億1千7百万円(前年同期は15億9千8百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の純減少額によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

建材(百万円)

72,305

100.1

形材外販(百万円)

21,332

100.7

環境(百万円)

1,591

92.3

合計(百万円)

95,228

100.1

 (注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

建材

59,948

100.5

66,375

104.1

 (注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

建材(百万円)

73,990

98.4

形材外販(百万円)

21,332

100.7

環境(百万円)

2,677

101.0

物流(百万円)

2,978

123.2

報告セグメント計(百万円)

100,978

99.5

その他(百万円)

281

107.2

合計(百万円)

101,260

99.6

 (注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の数値、各連結会計年度における収入・費用の数値に影響をおよぼす見積り計上を行っております。主に繰延税金資産、貸倒引当金、工事損失引当金、退職給付に係る負債、資産除去債務等に対し過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、これらの見積りについては、実際の結果と異なる場合があります。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、新設住宅着工戸数の減少などの市況下のもと、利益率の改善や内製化による外注費の低減などの施策を推進してまいりましたが、諸資材価格の高騰とそれに伴う建設計画の見直し、労働人口の減少やいわゆる「2024年問題」に伴う工期の延長などのリスクが顕在化しており、厳しい事業環境となっております。

 

(売上高)

 建材事業については、建設資材の高騰や労働力不足等を起因とする建設計画の見直し、工期変更の影響を受け減少いたしました。また、形材外販事業については、一般形材の納期遵守など顧客対応力強化に努めた結果増収を確保いたしました。その結果、当連結会計年度の売上高は、1,012億6千万円(前年同期比0.4%減)と減収になりました。

(営業利益)

 建材事業については、地金価格が前年比で下落したことに加えて、営業強化による利益率の良化などにより、また形材外販事業については、不採算取引や運送単価の改善、アルミ加工品での内製化による外注費の低減などによる利益率の向上により、17億7千3百万円(前年同期比10億3千7百万円増)と増益になりました。

 なお、セグメント別の売上高及び営業利益につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 営業利益が大幅に良化したことに加え、特別損益においては、前連結会計年度で計上した特別損失(減損損失)の計上が大幅に減少したこと等により、税金等調整前当期純利益は20億7千万円(前年同期比16億2百万円増)と増益になり、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、税金費用の増加は見られましたが、17億1千4百万円(前年同期比13億7千5百万円増)と増益になりました。

 

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は523億4千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億5千2百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が21億6千万円、商品及び製品が4億4百万円増加し、原材料及び貯蔵品が10億4千4百万円、契約資産が5億3千5百万円、電子記録債権が4億4千万円減少したことによるものであります。固定資産は370億6千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億6百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が8億7千9百万円、投資その他の資産が7億3千3百万円増加したことによるものであります。この結果、総資産は894億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億5千9百万円増加いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は416億7千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億3千1百万円減少いたしました。これは主に電子記録債務が12億1千6百万円、未払法人税等が1億8千4百万円増加し、支払手形及び買掛金が19億6千5百万円減少したことによるものであります。固定負債は267億7千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ3千2百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が2億4百万円、リース債務が1億2千2百万円増加し、退職給付に係る負債が1億6千4百万円、社債が1億6千万円減少したことによるものであります。この結果、負債合計は684億5千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億6千4百万円減少いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は209億5千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億2千3百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が15億4千1百万円、その他有価証券評価差額金が7億2千8百万円増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は23.2%(前連結会計年度末は21.1%)となりました。

 

(キャッシュ・フローの状況の分析・資本内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報)

 財務戦略の基本的な考え方

 当社グループは、強固な財務基盤の構築を目指しながら、企業価値向上を図るため、収益や成長ができる事業へ資源を集中する戦略(事業ポートフォリオ戦略)を推進し、グループの経営資源を最適配分することを財務戦略の基本としております。

 強固な財務基盤の構築につきましては、2024年度を最終年度とする中期経営計画における自己資本比率の計画値を24.0%程度にしております。

 経営資源の配分に関する考え方

 当社グループは、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。

現預金および多様な資金調達の活用により、成長のための投資、株主還元の充実を図ってまいります。

 資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要の主なものは、製品製造のための原材料、部品の購入、外注加工費、人件費等の営業活動資金と、持続的な成長のために商品競争力を高める研究開発投資や、生産性向上を図る設備投資を実施する投資活動資金となっております。

 資金調達

 当社グループの事業活動の維持および拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金および外部資金を調達し有効に活用しております。設備投資は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを基本としておりますが、多様な資金調達手段を活用し、金融機関からの借入やリースによる固定資産購入等を行っております。

 

(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の測定並びに開示に与える影響のうち、将来事象の結果に依存するため確定できない金額については見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績や適切な仮定に基づいて合理的な判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。

 繰延税金資産の回収可能性の判断にあたっては、受注状況、原材料価格や電力料金等の諸資材価格の高騰、ロシアによるウクライナ侵攻の間接的な影響による高騰が一定期間続くと見込まれることから、不確実性が高くなっており、連結財務諸表作成時点で入手可能な情報に基づいてこれらの不確実性を考慮した会計上の見積りを行っております。

 しかし、ロシアによるウクライナ侵攻、円安の影響などが長期化することにより、上記仮定に変化が生じた場合には、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

 当社グループは、売上高および営業利益ならびに自己資本比率を重要な経営指標として位置づけております。

 当連結会計年度においては、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う諸資材価格等の高騰や労働人口の減少に伴う工期の延長などの影響で厳しい事業環境となり、売上高は1,012億6千万円(前年同期比0.4%減)と減収になりましたが、不採算取引の改善や生産性向上などの様々な施策を推進した結果、営業利益は17億7千3百万円(前年同期比10億3千7百万円増)と増益になりました。

 2023年度は、SDGsの目標達成期限である2030年に迎える創業100年を見据え、中期経営計画「サステナブルな社会実現への貢献『選ばれる企業グループへ』」を策定し推進しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、一般サッシからカーテンウォールまで総合外装メーカーとして一貫した商品開発を行っております。多様化する顧客ニーズへの対応と安全・安心社会実現に向けた開発をテーマに掲げ、さらには、持続可能な社会実現のために環境負荷低減や高耐久化技術を取り入れた新商品の開発にも注力しております。
 当社の研究開発は、技術本部管轄の商品開発部、技術管理部、性能研究部が推進しており、研究開発スタッフは、全体で72名にのぼり、これは全従業員数の約8.1%に当たっております。
 また、次世代素材分野開拓に向け、連結子会社の不二ライトメタル㈱の製品本部、資材本部が研究開発に注力しております。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は、1,309百万円となっております。

 

[建材]

 市場では、2023年度の新設住宅着工戸数は約81.9万戸で、4年連続で90万戸を下回り、前年比4.6%減、3年ぶりの減少となりました。その中でも当社の主力分野であるマンションにつきましては、2022年には2021年比6.8%増と回復の兆しが見られたものの再び減少に転じ10.7万戸で前年比0.3%減少しました。将来的には新設住宅着工戸数は減少傾向にあり、人口の減少に伴ってニーズも減っていくと考えられています。

 政策においては2050年までにCO2排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルの実現に向け、2030年には2013年度比46%の削減目標が掲げられ、更に50%の高みに向けた取組みを行っています。この目標に対しては単にCO2の排出量を削減するだけでは困難であり、エネルギー源については太陽光発電など再生可能エネルギーの大幅な普及促進、水素やアンモニウムガスによる火力発電に関する技術開発などエネルギーミックスに関連する法整備などを含めた変革が求められています。

 国土交通省では我が国のエネルギー消費量の約3割を占める建築物分野における取組が急務として、2022年6月17日には改正建築物省エネ法が一部改正し公布されました。主な改正内容は、基準適合義務化の廃止、木材利用の促進、住宅トップランナー制度の対象拡充などとなっており、2025年度には全ての新築住宅、非住宅に省エネ基準適合が義務化されます。また、省エネ基準の適用対象を拡大するため、法規制を視野に入れた検討会を設置し、省エネルギー住宅について従来から指摘されている①外壁の高断熱化、②高遮熱性開口部、③高効率の空調設備などの新たな基準や既存ストック対策、再生可能エネルギーの利用拡大などが継続的に検討されており、住宅・建築物ストックの省エネ改修を対象とする支援事業などの施策も強力に実施されています。

 ビル建材の開発におきましては、住宅・建築物の省エネルギー対策を受け、高断熱サッシの商品ラインアップの拡充に注力しました。高層向け市場にはアルミ樹脂複合構造「FNS-Ⅱ100R」のバリエーションを順次追加し、中低層向けにはアルミ樹脂複合サッシ「FNS-100RS」を、改装向けアルミ樹脂複合サッシ「FNS-RER」を、さらには、既存の窓を変更することなく簡易に断熱性を高めたいニーズに応え、樹脂内窓「インプラードⅡ」を市場投入し、CO2排出量の削減と建物の省エネルギー化に貢献しております。

 住宅建材の開発におきましては、住宅建築物の断熱性能はさらに高いものが求められ、住宅市場では今後縮小していくなど厳しい環境が予測されていますが、先行して次世代用高断熱サッシの開発及び現行商品をベースとしたリフォーム用断熱サッシの開発に取り組んでおります。

 光建材事業においては、当社の魅力あるビルファサードを提案する「アルビームシリーズ」の新たなラインナップとして、TOPPAN株式会社の化粧シートラッピングを施した高意匠・高性能ルーバー 『アルビームプラス フォルティナ®』 を開発いたしました。

 特需事業におきましては、現行商品シリーズのオプション設定の追加及び商品の改善・改良に注力し、更なる品質向上に取り組んでおります。また、ユニットハウスの生産数量を拡大するため、不二ライトメタル㈱での生産を開始いたしました。

 なお、建材事業に係る研究開発費は1,217百万円であります。

 

 

[形材外販]

 連結子会社の不二ライトメタルにおいて、2002年より研究開発をスタートしました次世代高強度・耐熱マグネシウム合金(KUMADAI耐熱マグネシウム合金)は、各種輸送機器への適用に向け邁進しております。

 マグネシウム合金専用の鋳造設備、押出設備を用いて、お客様のご要望に応じて、特注の各種マグネシウム合金の製造を行っております。

 医療デバイスの基材として期待されます生体吸収性マグネシウム合金は、素材作製から加工までの自社内一貫製造供給(溶解・鋳造→押出→引抜)設備にて素材の製作を行い、研究機関及び医療機器開発メーカーと共に医療デバイスの実用化推進を行っております。

 なお、形材外販事業に係る研究開発費は92百万円であります。

 

 当社グループの研究開発活動を担う技術本部は、「ISO9001品質マネジメントシステム」及び「ISO17025試験品質マネジメントシステム」の認証を取得しており、それぞれのシステムに基づき、様々な要求にお応えする商品の開発に取り組んでおります。また、試験所におきましては、社内外を問わず依頼される試験は積極的に行い、高度な要求にもお応えできるように最新の計測技術を使った試験方法の開発に取り組んでおります。

 研究分野においては産学官連携による共同研究を強化し、現在は防災科学技術研究所、名古屋大学、文化シヤッター㈱と、大地震後の建物応急危険度判定を即時に行う「光センサアラートシステム」の開発を行っております。2023年2月には大型振動破壊実験施設「E-ディフェンス」で検証実験を行い、2024年6月からは防災科学技術研究所を中心とするプロジェクトに参加し、自治体の協力のもとで実用化に向けた実証実験を計画しております。

 今後も持続可能な社会の実現に貢献するため、必要とされる商品をスピーディに開発し、お客様にご満足のいただける商品を提供してまいります。