第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社は、わが国製鋸業界のパイオニアとして、1913年設立以来、一貫して総合鋸メーカーを目指し、国内はもとより広く海外のマーケットに事業を展開してきました。また、社是でもある「誠実と和」を以って、全社一丸となり、「我々は、事業を通して顧客に奉仕し、その代償として適切な利潤を得て株主に適切な配当を行い、社員の福祉向上を図り、事業の成長と安定に全力を尽くし、以って社会に奉仕する」の精神のもと総力を結集し、社業発展に邁進しております。

伝統の「パス印」は、製品の優秀性により、顧客から高い評価と信頼をいただいておりますが、今後も品質向上に努め、市場への供給責任の重要性を自覚しその期待に応えるべく、全員の英知を結集し、変化する市場環境に対応できる企業体質の向上に努め、成果向上への行動指針を統一し、投資価値を高め魅力ある企業に発展させることを基本方針といたしております。

(2) 経営戦略等

国内におきましては、最先端の切断工具としての鋸の開発と製造技術の革新を図り高付加価値製品の製造に邁進してまいります。国外におきましては、国際市場の拡がりに伴う海外販売拠点及び生産拠点の拡充による国際競争力の強化に努め、世界のユーザーに歓迎される製品の充実を図ってまいります。この両輪を機能的に融合させ、世界の多岐に亘る産業に当社の鋸を供給することを基本戦略としております。

(3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染症拡大により世界経済が急激に減速しており、長期化の度合いによっては更に深刻度を増すことが予想され、景気の先行きは非常に不透明な状況となっております。

このような状況下、当社グループは引き続き新型コロナウイルス感染症に関する情報収集をし、社員及びステークホルダーの皆様の安全を最優先として、事業に与える影響が最小限となるよう努めてまいります。そして、感染終息後の景気回復に向けて、全社を挙げての合理化・効率化を推進するとともに、国内外での製品供給体制の強化を図り、変化する市場やユーザーニーズに対応してまいります。

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

安定した営業利益の確保が、開発を旨とする当社グループの健全な経営基盤である、という観点から売上高営業利益率を経営指標としております。具体的な数値目標といたしましては、連結売上高営業利益率15%以上を目指しております。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 為替相場の変動によるリスク

当社グループは、グローバルに事業を展開しており、円以外の取引通貨としてドル・元・ユーロ等が増えております。これらの通貨に対する円高の進行は売上高や利益の減少等、損益に影響を与えます。また、海外における資産や負債の価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動の結果、換算差による影響が生じます。従って為替相場の変動は、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 価格競争のリスク

当社グループは、全世界に営業活動を展開しておりますが、近年ますます価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因になっており、日本、中国、台湾及び欧米等の海外企業間の価格競争は熾烈を極めております。当社グループでは、こうした価格競争に対して継続的なコストダウン施策の推進や収益性向上に努めておりますが、市場からの価格引き下げの圧力は強まる一方であり、こうした価格動向が当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 海外進出に内在するリスク

当社グループの事業活動は、国内はもとより、広く海外のマーケットに展開されております。これら海外市場への事業進出には、以下に掲げるようなリスクが内在しており、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

① 進出先における予期しない法律又は規制の変更

② 進出先における政治体制の変化

③ 進出先における経済環境の変化

④ 進出先における人材の採用と確保の困難性

⑤ 進出先における伝染病の蔓延等による工場操業停止等の可能性

⑥ テロ、戦争その他の要因による社会的混乱

(4) 自然災害等のリスク

当社グループによるコントロールが不可能な地震等の自然災害、火災等の事故、国内外のテロ等の事由によって、当社グループの生産拠点及び設備等が大きな損害を被った場合、当社グループの操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) OEM顧客への依存リスク

当社グループの住宅資材用チップソーは、主としてOEM顧客へ販売しております。OEM製品の売上は、その顧客企業の経営成績や財政状態、事業戦略などにより大きな影響を受けます。また、OEM顧客の要求に応じるための値下げや調達方針の変化等は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6) 新型コロナウイルス感染症のリスク

当社グループは、2020年初頭に顕著化した新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に対して、従業員の感染を防止するために衛生管理の徹底や出社制限等の措置を講じておりますが、従業員の感染による操業の一時停止やサプライチェーンの停滞、顧客企業の事業活動の停止や縮小による売上等の減少により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、米国では雇用環境の改善が続き、個人消費は堅調に推移しましたが、企業による設備投資は低迷し景気は減速傾向となりました。中国では米国との貿易摩擦の影響で輸出が減少し、個人消費等の落ち込みもあり、景気は大きく下振れしております。欧州でも製造業を中心とした企業業績の悪化や英国のEU離脱問題があり、景気の減速が継続しております。

わが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調にありましたが、海外経済の減速や自然災害などの影響から景気は不透明感が増しております。さらに新型コロナウイルス感染症拡大により経済活動が抑制され、国内外経済の先行きが見通せない状況にあります。

当社グループにおいては、世界経済減速の影響により金属用チップソーの販売は減少したものの、住宅資材用チップソーが総じて堅調に推移したため、当連結会計年度における売上高は12,072百万円(前年同期比1.8%増)となりました。利益面では、営業利益は1,635百万円(前年同期比1.3%増)、為替の影響等により経常利益は1,734百万円(前年同期比6.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,163百万円(前年同期比15.1%減)となりました。

なお、当連結会計年度より重要性が増した天龍製鋸(大連)有限公司を連結の範囲に含めており、セグメントは「アジア」であります。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 日本

製材木工用・住宅資材用チップソーの販売は堅調に推移したものの、金属用チップソーの販売は世界経済減速の影響等により減少し、売上高は10,179百万円(前年同期比0.6%減)、設備投資による減価償却費の増加等により、セグメント利益(営業利益)は638百万円(前年同期比18.2%減)となりました。

 アジア

住宅資材用チップソーの販売が堅調に推移し、売上高は5,318百万円(前年同期比4.4%増)となりました。利益面では、生産効率向上によるコスト低減が奏功し、セグメント利益(営業利益)は903百万円(前年同期比35.3%増)となりました。

 アメリカ

住宅資材用チップソーの販売は堅調に推移したものの、金属用チップソーの販売が減少したことにより、売上高は1,700百万円(前年同期比2.0%減)、価格競争の激化等によりセグメント利益(営業利益)は178百万円(前年同期比8.4%減)となりました。

 ヨーロッパ

自動車メーカーの業績悪化を主因に、金属用チップソーの販売が減少したことに加え、為替の影響もあり、売上高は617百万円(前年同期比13.4%減)、セグメント利益(営業利益)は55百万円(前年同期比23.2%減)となりました。

 

流動資産は、前連結会計年度に比べ7.3%増加し、14,062百万円となりました。主な要因は、「現金及び預金」が587百万円増加、「商品及び製品」が513百万円増加したことなどによるものです。

固定資産は、前連結会計年度に比べ6.4%減少し、14,249百万円となりました。主な要因は「機械装置及び運搬具」が1,337百万円増加した一方、「出資金」が天龍製鋸(大連)有限公司を連結の範囲に含めたことにより1,200百万円減少、株式市場における時価の下落等により「投資有価証券」が625百万円減少したことなどによるものです。

この結果、総資産は前連結会計年度に比べ0.1%減少し、28,312百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度に比べ14.1%増加し、1,474百万円となりました。主な要因は、「支払手形及び買掛金」が70百万円増加、「その他」に含まれている「前受金」が89百万円増加したことなどによるものです。

固定負債は、前連結会計年度に比べ16.3%減少し、940百万円となりました。主な要因は、「繰延税金負債」が236百万円減少したことなどによるものです。

 

この結果、負債合計は前連結会計年度に比べ0.05%微減し、2,414百万円となりました。

純資産合計は、前連結会計年度に比べ0.1%減少し、25,897百万円となりました。主な要因は、「利益剰余金」が718百万円増加した一方、「その他有価証券評価差額金」が571百万円減少したことなどによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローでは、税金等調整前当期純利益の計上などにより、1,436百万円のキャッシュを得ました。(前連結会計年度は、1,260百万円を得ました。)

投資活動によるキャッシュ・フローでは、有形固定資産の取得による支出や投資有価証券の取得による支出などにより、902百万円のキャッシュを使用しました。(前連結会計年度は、1,668百万円を使用しました。)

財務活動によるキャッシュ・フローでは、配当金の支払いなどにより、418百万円のキャッシュを使用しました。(前連結会計年度は、413百万円を使用しました。)

以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、5,118百万円(前年同期比14.9%増)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

日本

4,862,794

△12.6

アジア

5,484,768

12.8

アメリカ

ヨーロッパ

合計

10,347,562

△0.8

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記金額は、平均販売価格によっております。

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

日本

7,541,152

△5.2

1,166,787

△25.7

アジア

2,063,143

26.7

441,029

126.5

アメリカ

1,656,854

△6.2

205,816

△15.5

ヨーロッパ

588,886

△4.2

238,169

△10.6

合計

11,850,037

△0.9

2,051,802

△9.8

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。主な要因は、当連結会計年度より重要性が増した天龍製鋸(大連)有限公司を連結の範囲に含めたことなどにより「アジア」の受注残高が大幅に増加しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響により「日本」の受注残高が減少しております。

 

 

c. 販売実績

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

日本

7,943,841

2.6

アジア

1,816,825

8.5

アメリカ

1,694,641

△1.9

ヨーロッパ

617,251

△13.2

合計

12,072,560

1.8

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱マキタ

1,928,416

16.3

1,992,049

16.5

 

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高・営業利益は前連結会計年度に比べ増加となりましたが、経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益では前連結会計年度を下回る結果となりました。

a. 売上高

売上高は、世界経済減速の影響により金属用チップソーの販売は減少したものの、住宅資材用チップソーが総じて堅調に推移したため、前連結会計年度に比べ1.8%増の12,072百万円となりました。

b. 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は7,775百万円で、生産性向上によるコスト低減により売上原価率は64.4%となり、前連結会計年度に比べ0.1ポイントの減少となりました。

販売費及び一般管理費は2,660百万円で、人件費及び研究開発費等が増加したことにより、対売上高比率は22.0%となり、前連結会計年度に比べ0.1ポイントの増加となりました。

その結果、営業利益は1,635百万円で連結売上高営業利益率は13.5%となり、目標とする経営指標で具体的な数値目標としている連結売上高営業利益率15%以上は達成できませんでした。

c. 営業外損益

営業外損益は、前連結会計年度に比べ143百万円(純額)の減少となりました。主な要因は、前連結会計年度に計上されていた為替差益が当連結会計年度では為替差損の計上となったことなどによるものです。

d. 特別損益

特別損益は、前連結会計年度に比べ18百万円(純額)の減少となりました。主な要因は、固定資産除却損が増加したことなどによるものです。

e. 親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ15.1%減の1,163百万円となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b. 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。当連結会計年度における運転資金及び設備投資資金等は全額自己資金によって賄っております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたって、特に以下の事項は、会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼすと考えております。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大により経済活動が抑制され国内外の経済の先行きが不透明となっており、様々な不確定要素が懸念されますが、期末時点で入手可能な情報に基づき見積りをしております。

a. 貸倒引当金

当社グループは、債権の回収不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しております。債務者の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

b. 有形固定資産の減損

当社グループは、有形固定資産について「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。

c. 投資の減損

当社グループは、財務活動の一環として株式等を所有しております。株式等の時価が簿価に対して50%以上下落した場合、又は、時価が簿価に対して30%以上50%未満下落し回復不能と判断した場合に減損を実施しております。

d. 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について将来の回収可能性がないと判断した場合は計上しておりません。

e. 退職給付に係る負債

当社の従業員退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、退職率、年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社の研究開発活動は、鋸刃専門メーカーとして長年培ってきた伝統的加工技術と最新の製造方法を融合させて長寿命高効率な刃物を供給出来るよう研究開発を続けております。

当連結会計年度は、小径部門では近年大きく増加している充電式丸のこ切断機の特性に合わせ、素材の性質ごとにそれぞれ最適な刃物の開発を進め、消費電力を抑えた環境負荷の少ない、加工対象範囲の広い新たな形状の鋸刃を開発し生産を始めました。

鋼材切断の分野では従来チップソーでは切断できないと言われていた難削材の分野において研究をすすめ、経済的な切断寿命を発揮できる新たな形状の鋸刃を開発し、製造販売を開始しました。

また、木工分野では超硬質刃先を採用したLAQシリーズの拡充を果たし、売上に貢献しています。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は77百万円です。

当社グループの研究開発活動を、セグメントで示すと「日本」であります。