第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営方針

当社グループは、「社会に貢献」「会社の発展」「社員の成長」を経営の基本理念として掲げております。この理念に基づき良質な製品・サービスを幅広く社会に提供し、コンプライアンスに沿った企業活動を通じ適正な利益を確保することを目指しております。また株主への利益還元を重視すると同時に取引先・社員・地域住民等関係各位の信頼と期待に応え社会的責任を果たすことにより、永続的な会社の発展を図ります。

 

(2) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、「中期経営計画2024」(2022年3月期から2024年3月期まで)において、多様で変化の激しい事業環境に対応するべく、「ニッチマーケットでトップ企業に」の経営方針のもと、事業多角化の強化によってさらなる成長の実現を推進してまいりました。この間、新型足場「アルバトロス」の拡販を核として、コア事業として位置付けている仮設機材の製造、販売、レンタルに係る事業の深耕を進展させると共に、将来に向けた成長事業と位置付けている電子機器関連事業においても、M&Aによって新たな成長機会に繋がるプリント配線板事業を取り込むことができました。しかしながら、コロナ禍を経た消費動向の変化や資源・エネルギー価格の高騰、世界的な金融引き締めのなかで進んだ円安が、想定を超えたスピードですすみ、利益面での制約要因となりました。

このような状況の中、当社はあらためて2025年3月期から2027年3月期までの3カ年を実行期間とする「中期経営計画2027」を策定しました。2023年3月の東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営」についての要請をふまえた「中期経営計画2027」の実行によって、中長期の飛躍に向け収益基盤の再構築を行ってまいります。

 

「中期経営計画2027」の概要

 

0102010_001.png

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) 基本的な考え方

 当社は、グループの経営理念である「社会に貢献」「会社の発展」「社員の成長」に基づき、企業価値の向上を実現するとともに、私たちの製品・サービスによって、持続可能な社会を作っていきたいと考えております。

 サステナビリティへの取組みを加速するため、当社グループは重要課題として以下6つを特定し、それぞれについて、取締役会の指揮・監督のもと、その課題解決に取り組んでおります。

気候変動/資源循環/働き方改革/人材育成/社会貢献/企業統治

 

(2) ガバナンス

 社長執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会で、気候変動課題を含むサステナビリティに関連する課題を分析・審議し、課題に対する具体的取組みを推進しております。

 取締役会は、サステナビリティ委員会から定期的に報告を受け、気候変動関連のリスクと機会を監視監督しております。

0102010_002.png

 

(3) リスク管理

 リスクの識別、評価は、毎年1回以上開催されるサステナビリティ委員会で行われております。

 取締役会はサステナビリティ委員会からの報告を受け、気候変動課題を含むサステナビリティに関連する課題のリスクを管理しております。

 

(4) 課題別の戦略と指標及び目標

 前述の6つの重要課題のうち、働き方改革と人材育成に対する取組みについての戦略並びに指標及び目標は以下に記載の通りであります。

① 戦略

 当社は、経営理念として「社員の成長」を掲げており、サステナビリティへの取組みを加速するための重要課題の一つが人材育成であると考え、当社の目指すべき人材像として共有すべき6つの価値観を定めています。

 このような考え方のもと、多様な働き方の実現、研修やOJTによる継続的な育成等、社員一人ひとりが最大限の能力を発揮することを目指し、人材育成に取り組んでおります。また、当社は管理職層に女性、中途採用者、外国人等の人材を組み合わせて備え、中核人材の多様性を確保することが、持続的な成長のために必要であると考えております。加えて、女性が活躍するための土壌を意識・制度の両面から醸成し、家庭生活との両立を図るために必要な雇用環境の整備を行うことを目指し、さまざまな施策に取り組んでおります。

② 指標及び目標

 指標及び第57期(2027年3月20日時点)目標は以下のとおりであります。

0102010_003.png

(注)1 研修費用(一人当たり)は、消費税込みの金額

2 有給休暇取得日数は、前々年9月21日から前年9月20日までの集計値

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 建設動向に関するリスク

当社グループの建設機材関連事業及びレンタル関連事業においては建設用仮設機材の製造・販売ならびにレンタルを事業としており、当該事業は建設投資動向の影響を受ける傾向にあります。そのため、建設需要の減少や関連価格の大幅な変動が起こった場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対し、当社グループでは、当該リスクの対応策として、関連する事業の深耕及びその他の事業の業容拡大により事業基盤の安定を推進しております。

 

(2) 新設住宅着工戸数の動向に関するリスク

当社グループのレンタル関連事業における低層用仮設機材レンタルは主に住宅の建築時に使用されるため、当社グループの業績は新設住宅着工戸数の増減に少なからず影響を受けております。新設住宅着工戸数は一般経済情勢、金利動向、地価動向、建築基準法、税制等様々な要因の影響を受けますので、その結果によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対し、当社グループでは、当該リスクの対応策として、関連する事業の深耕及びその他の事業の業容拡大により事業基盤の構築を推進しております。

 

(3) 海外進出に関するリスク

当社グループの中国や東南アジアで行っております主に製造・販売及びレンタル活動による海外進出につきましては、各国における政治情勢の大幅な変動、経済状況の大幅な悪化、テロや紛争の発生、予期しない法律または規制の変更などによって海外における事業活動の縮小・停止が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対し、当社グループでは国際情勢や各国の政策・法規制の動向を注視するとともに管掌する各事業部門と各拠点におけるコミュニケーション強化を図り、各地の状況をモニタリングするなど変動等によるリスクに対する戦略の見直しを適宜行い対応しております。

 

(4) 海外生産拠点への依存に関するリスク

当社グループの電子機器関連事業の無線機等の製造工程のうち組立加工について価格面、品質面及び安定供給等の観点から外注先を選定した結果、フィリピンでの組立加工に依存する割合が大きくなっております。また、住宅機器関連事業も子会社の蘇州アルインコ金属製品有限公司を始め数社において海外委託生産を行っており、その主な国は中国であります。生産委託先のある国々の政治情勢の大幅な変動、経済状況の大幅な悪化、テロや紛争の発生、予期しない法律または規制の変更などによっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対し、当社グループでは、生産拠点の分散化や仕入先との関係強化を図るとともに、各海外生産拠点における生産管理体制の強化等を行うことにより、リスクの最小化に努めております。

 

(5) 為替の変動に関するリスク

当社グループの建設機材関連事業及び住宅機器関連事業などにおいては海外委託生産を行っており、総仕入高に対する外貨建仕入高の割合が大きくなっております。当社グループは今後もコストダウンによる価格競争力を保持し販売シェア拡大のため、海外委託生産を継続する方針でありますが、取引は大部分が米ドル建てで行われており、為替相場が変動した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

当該リスクに対し、当社グループでは、仕入コストの安定を目的として先物為替予約取引による為替ヘッジを行っております。

 

 

 

(6) 原材料価格、エネルギー価格に関するリスク

当社グループは、主力製品である建設用仮設足場材やアルミ製昇降器具などは、鋼材やアルミニウムを主な原材料としております。また製造の過程で使用する電力を適宜調達しております。

このため、不安定な国際情勢や想定以上の円安の継続などを要因として、急激な原材料価格やエネルギー価格の高騰が生じた場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

当該リスクに対し、調達先の見直しや生産合理化などの生産性向上を含むコスト削減及び製品価格への一部転嫁(値上げ)などを行っております。

 

(7) 製品及び施工の品質管理に関するリスク

当社グループは、製造・販売する製品及び施工に関する安全性を確保し、顧客に「安全」「安心」を提供することが経営上の重要な課題であり、社会的責任であると認識しております。

製品や施工の品質に予期せぬ不適合や瑕疵が認められた場合には、当社グループの業績や社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対し、当社グループは「顧客視点」「現場視点」の重要性を認識し、自主行動計画(法令の遵守・自主行動計画の確立・品質管理及び安全管理・事故情報の収集と提供・重大事故発生時の対応・製品安全管理体制の維持)に関する基本方針を定め、製品及び施工の品質及び安全の管理に努めております。

 

(8) 建設業法に関するリスク

当社グループのレンタル関連事業が取得している一般建設業の「とび・土工工事業及び内装仕上工事業」の許可票は1件当たりの請負金額が500万円未満の請負工事においては必要とされておりません。

しかしながら当社のレンタル関連事業の主な取引先は住宅会社、建設会社、工務店、リフォーム業者であり、取引を行う場合一般建設業の許可については必須事項となっておりますので、一般建設業の許可の取消や停止事由が発生した場合は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性は、現時点では認識しておりませんが、関連する法令遵守の周知徹底を図ってまいります。

 

(9) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、事業活動において顧客情報及び取引先の機密情報や個人情報等を保有しております。

このため、サイバー攻撃やコンピュータウイルス感染などによる個人情報等の漏えい、重要データの破壊等が発生した場合、生産や業務の停止による事業活動の停滞や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対し、これらの重要な情報については外部流出や改ざん等が無い様、外部環境変化に合わせたセキュリティ対策機器、ソフトウエアの導入などの技術的対策を進めるとともに、従業員に対する教育訓練など、人的な対策を実施しリスク低減に取り組んでおります。

 

(10) 人材確保、人材育成に関するリスク

当社グループは、企業価値の向上を目的とした人的資本への投資による付加価値の向上を推進しており、従業員のスキル・能力向上のための育成、労働環境の整備に取り組んでおります。

国内における少子高齢化の進展に伴って優秀で多様な人材が確保出来ない場合や、育成が不十分だった場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

当該リスクに対し、当社グループでは従業員のスキル・能力向上のため、各種研修制度の充実や高度専門人材の獲得などに取り組んでおります。また多様な人材が尊重される職場風土を醸成するとともに、多様な働き方を可能とする職場環境の整備に取り組んでおります。

 

(11) 気候変動・環境に関するリスク

当社グループは、気候変動に伴う社会動向を重要課題と認識しております。

脱炭素社会への移行に向けて炭素税の導入等がなされた場合や、夏季の気温上昇が想定以上に推移する等した場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対し、当社グループはサステナビリティ委員会を設置しCO2排出量の削減に取り組んでおります。

また、事業活動における騒音・振動などの要因により社会環境に悪影響を及ぼした場合、事業活動が制約を受けるリスクがあることから環境関連法令を遵守するための必要な措置を講じております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍からの社会経済活動正常化が進み景気は緩やかな回復の動きが見られましたが、円安の進行やウクライナや中東情勢をはじめとする地政学的リスクの高まりなどに起因した物価上昇等もあり、景気の先行きは不透明な状況が継続しました。

当社グループの主な関連業界である建設及び住宅関連業界においては、コロナ禍で落ち込んだ企業の設備投資意欲の回復や、政府による国土強靭化対策から建設投資は堅調に推移しました。加えて、都市部での大規模再開発案件は、依然として向こう数年にわたって継続する見込みです。一方で、建設資材の高騰、人手不足や人件費上昇などによって、期初から工事着工の延期や遅延する状況が継続し、仮設機材の購入を検討している顧客が、機材の購入に代えてレンタルで対応する動きが活発化しました。

このような状況から、当社グループにおいては期初からレンタル資産への投資を積極化するとともに、関東地区での新型足場「アルバトロス」を中心とした仮設機材の新たな供給拠点として「つくば機材センター」をオープンし、高まる仮設機材のレンタルニーズへの対応力を強化しました。

また、2021年8月に連結子会社化した東電子工業㈱においては、電子機器関連事業の成長力を強化すべく、新工場を2023年11月に竣工させ、高水準のプリント配線板製造ニーズへの対応力を強化しました。

この結果、当連結会計年度の売上高は、建設機材関連事業の売上高が前期に比べて減少した影響によって、578億76百万円(前期比4.7%減)となりました。利益面においては、前連結会計年度に実施した販売価格の改定が期初から寄与したものの、円安の進行や、積極的なレンタル資産への投資によって減価償却費が増加するなどコスト上昇圧力が強まり、営業利益は17億81百万円(前期比26.4%減)、経常利益は28億79百万円(前期比19.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に持分法適用会社を連結子会社化したことによる特別損失の計上が無くなったことなどから、19億88百万円(前期比28.5%増)となりました。

 

各セグメントの状況は次のとおりであります。なお、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。

 

セグメントの名称

連結売上高

セグメント利益又は損失(△)

金額(百万円)

前期比増減率(%)

金額(百万円)

前期比増減率(%)

建設機材関連事業

21,829

△10.8

2,514

△9.2

レンタル関連事業

17,607

3.7

383

△12.4

住宅機器関連事業

13,274

△3.7

△462

電子機器関連事業

5,164

△5.9

△65

報告セグメント計

57,876

△4.7

2,369

△28.3

調整額

509

連結損益計算書計上額

57,876

△4.7

2,879

△19.3

(注) 1 セグメント利益又は損失は、連結損益計算書の経常利益と調整を行っております。

2 セグメント利益又は損失の調整額は、主に報告セグメントに帰属しない為替差損益や支払利息などの営業外収益及び営業外費用であります。

 

建設機材関連事業

当事業の売上高は、218億29百万円(前期比10.8%減)となりました。アルミ製作業台の新製品販売が好調であったものの、工事着工遅延の長期化によって顧客ニーズが購買からレンタルへ変化したことを背景に、新型足場「アルバトロス」をはじめとした関連製品の販売が減少しました。また、物流倉庫向けのラック販売は受注規模が小型化したことから数量ベースで減少し、売上高は前期比13.0%減少しました。

損益面では、売上高の減少によってセグメント利益は25億14百万円(前期比9.2%減)となりました。

 

レンタル関連事業

当事業の売上高は、176億7百万円(前期比3.7%増)となりました。中高層用レンタルにおいては「アルバトロス」を中心に、仮設機材の購入を検討している顧客のレンタルニーズが稼働率を押し上げ、売上高が堅調に推移したほか、前連結会計年度に持分法適用関連会社を連結子会社化した海外子会社においても売上高が堅調に推移しました。

損益面では、積極的なレンタル資産への投資による減価償却費の増加によってセグメント利益は3億83百万円(前期比12.4%減)となりました。

 

住宅機器関連事業

当事業の売上高は、132億74百万円(前期比3.7%減)となりました。アルミ製昇降器具などの製品において、労働安全衛生規則改正によって2023年10月からトラック昇降設備設置義務の適用範囲が拡大されたことから特殊はしごの販売が増加したほか、半導体工場向けに子会社㈱シィップの高所作業台の販売が好調に推移しました。フィットネス関連製品については、「ボディシェイプガン」などのマッサージ関連製品や新ブランド「MIVIOS」において、値ごろ感のある新製品を積極的に投入しました。しかしながら、販売価格の値上げや消費者物価上昇による消費動向変化の影響を受け売上高が減少しました。

損益面では、円安の進行による仕入コスト上昇や為替予約によるヘッジ効果が前期に比べて減少したことが影響し、セグメント利益は4億62百万円の損失となりました。

 

電子機器関連事業

当事業の売上高は、51億64百万円(前期比5.9%減)となりました。新型デジタル受信機「DJ-X100」の販売が好調であったほか主力の特定小電力無線機の販売も堅調に推移したものの、子会社アルインコ富山㈱の受注が受託先の生産調整の影響を受けて減少しました。なお、2021年8月の子会社化以降、高水準で推移するプリント配線板の製造ニーズに対応すべく生産能力増強を進めていた東電子工業㈱においては新工場が2023年11月に竣工しました。

損益面では、売上高の減少や東電子工業㈱の新工場建設に向けた先行費用の計上によってセグメント利益が65百万円の損失となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当期末における現金及び現金同等物の残高は前期末に比べ5百万円減少し66億22百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の回収などにより増加しましたが、法人税等の支払いが増加したことなどから、16億85百万円の収入(前期比10億2百万円の収入減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、東電子工業㈱における新工場建設などにより有形固定資産が増加したことなどから、53億32百万円の支出(前期比16億8百万円の支出増)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の増加などにより、36億52百万円の収入(前期比11億14百万円の収入増)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

建設機材関連事業

22,598,953

△13.5

電子機器関連事業

5,221,046

△6.3

住宅機器関連事業

1,524,881

△33.5

合計

29,344,882

△13.6

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前期比(%)

住宅機器関連事業

7,617,300

△6.5

建設機材関連事業

1,844,523

△10.7

合計

9,461,823

△7.3

(注) 金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c.受注実績

 当社グループの主な製品は、そのほとんどが需要予測による見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。

 

d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

建設機材関連事業

21,829,696

△10.8

レンタル関連事業

17,607,986

3.7

住宅機器関連事業

13,274,397

△3.7

電子機器関連事業

5,164,645

△5.9

合計

57,876,725

△4.7

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は683億15百万円となり、前期末に比べ46億33百万円増加しました。総資産の内訳は、流動資産が438億94百万円(前期末比19億52百万円増)、固定資産が244億20百万円(前期末比26億81百万円増)です。総資産の主な増加要因は、今後の受注に対応すべく実施した計画的な生産による棚卸資産の増加(前期末比21億7百万円増)や、東電子工業㈱における新工場建設やレンタル資産への投資などによる有形固定資産の増加(前期末比21億34百万円増)であります。

(負債)

負債は、377億71百万円となり、前期末に比べ25億32百万円増加しました。その内訳は、流動負債が198億60百万円(前期末比27億34百万円減)、固定負債が179億10百万円(前期末比52億67百万円増)です。負債の主な増加要因は、棚卸資産や有形固定資産の増加に対応した借入金の増加(前期末比43億86百万円増)であります。

(純資産)

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益が19億88百万円となったことや、剰余金の配当を7億95百万円実施したことなどにより、305億44百万円(前期末比21億1百万円増)となりました。

 

b.経営成績の分析

 経営成績及びセグメントごとの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは、製造販売及びレンタル事業を行うための投融資計画に基づく、各事業に必要な資金の調達として、内部資金及び外部借入による資金調達を基本方針としております。なお外部借入のうち、主に運転資金に関するものは短期資金で、投融資に関するものは長期資金での調達を基本としております。

 内部資金に関しては、営業活動によるキャッシュ・フローにより継続的に資金を獲得しております。

 

⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度の連結業績に関する目標の達成状況は次のとおりであります。

売上面におきましては、当社のコア事業である建設機材関連事業において、建設工事着工遅延の長期化によって顧客ニーズが購買からレンタルへ変化したことを背景に、新型足場「アルバトロス」をはじめとした関連製品の販売が減少したことに加え、住宅機器関連事業におきましても、販売価格の値上げや消費者物価上昇による消費動向変化の影響を受け、当社グループの売上高は計画比7.3%減となりました。

利益面におきましては、売上高の減少に加え、円安の進行による仕入コストの上昇、積極的なレンタル資産投資による減価償却費の増加などが影響し、営業利益は計画比28.8%減となりましたが、為替予約によるヘッジ効果や外貨建資産の評価益などにより、経常利益は計画比6.6%増、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比16.9%増となりました。

 

指標

2023年3月期

(実績)

2024年3月期

(計画)

2024年3月期

(実績)

対前期比

増減

対計画比

増減

売上高    (百万円)

60,717

62,400

57,876

△4.7%

△7.3%

営業利益   (百万円)

2,420

2,500

1,781

△26.4%

△28.8%

営業利益率    (%)

4.0

4.0

3.1

経常利益   (百万円)

3,568

2,700

2,879

△19.3%

+6.6%

経常利益率    (%)

5.9

4.3

5.0

親会社株主に帰属する

当期純利益  (百万円)

1,546

1,700

1,988

+28.5%

+16.9%

 

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「中期経営計画2027」に記載しております。なお、中期経営計画につきましては、2025年3月期から2027年3月期までの3ヵ年を実行年度とする「中期経営計画2027」を策定し、2024年4月3日に公表いたしました。これらの内容につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、提出会社である当社のみが行っております。

当社の研究開発活動は、事業戦略上、顧客ニーズに応じた高付加価値品の開発を基本理念として、顧客と連携してマーケットに密着した商品開発に取り組むとともに、事業分野の多角化も視野に入れたマーケティング活動を推進しております。

当連結会計年度における研究開発活動に係る費用の総額は439百万円であります。なお、当該金額は既存製品の改良、応用等に関する費用であり、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会)に規定する「研究開発費」として計上すべき金額はありません。建設機材関連事業においては生産本部技術開発部が、住宅機器関連事業においては住宅機器事業部設計開発部が、また電子機器関連事業においては電子事業部設計開発部が製造工程と密接に連携して継続的な製品の改良・新技術の開発に努めており、その費用は製造原価として処理しております。

生産本部技術開発部においては、主に建設用仮設機材に関する安全性及び機能性向上、コスト低減、法令及び各種基準適合ならびに顧客ニーズの対応等を主眼とした研究開発活動を展開しております。

当期においては、従来の屋内仕上げ工事等に用いる鋼製作業台に代わる機材として、軽量で操作性に優れたアルミ製移動式室内足場「ヘリオムーブ」を製品化しました。

また、建築現場からの落下物による危害の防止に対応する新たな安全機材として「アルバトロス防護構台システム」を製品化しました。

住宅機器事業部設計開発部においては、主にアルミ製のはしご・脚立・足場台等の昇降機器、工場内・建築現場などで使用されるアルミ製の作業台、建機及び農業用のアルミブリッジの開発に注力しています。また近年、建築現場からの需要が高まりアルミ製の台車の開発も進めています。開発活動においては、作業者の高齢化、慢性的な人手不足により、軽量化・安全性の向上・作業の省人化が各案件共通の課題となっています。

当期においては、コストを抑えながらパーツの交換性を高めたアルミ製台車「Dunk Neo」の開発や、労働安全衛生規則が改定され貨物自動車(トラックなど)の昇降設備設置義務の範囲が広がったことによるトラック荷台への昇降設備「トラック昇降ステップ」の開発、業界最軽量の伸縮脚付専用脚立「KARU」シリーズの長尺仕様の開発に取り組みました。

電子事業部設計開発部においては、新分野であるネットワーク関連製品である、スマートフォンのアプリで動作するアプリ無線、IP無線機、SigfoxをはじめとするLPWAの通信システムを利用したIoT製品などの開発により力を入れて進めております。また、無線技術を基礎としたデータ通信モジュールや無線放送システムなど、無線応用機器の分野にも力を注いでおります。既存分野であるトランシーバーについては、今後も市場シェア拡大の見込める、デジタル簡易無線機と特定小電力無線機に開発テーマを絞り込んでおります。

当期においては、多種多様なデジタル波を聞くことができる広帯域デジタル受信機、高音質を実現した小型ガイドシステム、4者同時通話が可能なBluetooth機能搭載特定小電力無線機、チャンネルを合わせるだけで無線機と同じように誰とでも話すことができるスマートフォンで動作するアプリ無線、そのアプリ無線と連動するデジタル簡易無線モービル機とハンディ機、Sigfox通信とセンサー類を組み合わせた遠隔監視システムなどの新製品開発を行いました。