当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、多様化・個性化する市場ニーズのなかでお客様満足度の向上をめざし、「常に使う人の身になって考えた誰にでも“もっと使いやすく、もっと心地いい”水まわり商品を通して、環境にやさしい、快適な水まわりを提案し、人々の生活を豊かにする。」という基本理念のもと、株主、取引先、ユーザー、地域社会、社員などステークホルダー(利害関係者)からの信頼と期待に応えられるよう企業価値の向上に努めております。
(2) 経営戦略
当社グループは、2024年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画を策定し、下記に示す経営方針の実現に向けて取り組んでおります。
<販売基盤の強化>
①既存商流の売上基盤の維持・強化
②市場ニーズに合った中高級品の販路拡充
③海外市場の新規拡大および既存顧客深耕
<生産基盤の強化>
①高効率な生産体制によるコスト競争力強化および安定供給体制の構築
②DX推進による生産性向上
<サステナビリティ視点での経営基盤の強化>
①環境配慮型商品および使いやすさを追求した製品の開発
②多様な人財が活躍するためのキャリア形成支援の強化およびワークライフ・バランスの向上
③生産活動における温室効果ガス排出の削減および環境負荷物質・廃棄物の削減とリサイクルの推進
④地域社会への参画と貢献
⑤透明性・健全性の高い経営体制づくりとそのチェック機能の充実
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、外部環境の変化にあっても、経営効率を高め安定した収益を確保していくことが、企業価値の増大と株主利益の向上につながるものと考え、ROEを重要な指標として10%を目標としております。また、売上高、営業利益を経営成績における重要な指標と考えております。
(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上の課題
国内では、少子高齢化や世帯数の減少により、新設住宅市場は将来的に縮小していくことが避けられない状況にあります。
当社グループは、中国とフィリピンに子会社を有していることから為替相場の変動リスクを負っており、また、原材料の値動きや物価上昇による仕入コスト増加により、製造コストが大きく変動し自社で吸収しきれない場合は、製造コストを販売価格に転嫁し、利益を確保できるような体制を確立していく必要があります。
新設住宅市場が縮小傾向にある一方で、住宅リフォーム需要は堅調に推移するものと予想されます。政府も住生活基本計画において住宅ストック活用型市場への転換を謳い、これを後押ししております。また、住環境においては、お客様の価値観やライフスタルが多様化し「健康で快適な生活」「環境との共生」の視点から、新たな市場が生まれております。地域に密着したきめ細かな営業に努め、お客様とのコミュニケーションを深めることで、こうしたニーズを捉え、常にお客様から選んでいただけるような商品・サービスを提供してまいります。徹底した生産効率の向上と、日本・中国・フィリピンの3拠点による最適生産・最適調達体制の確立により、多様なニーズにマッチした、多様な商品を、安価でタイムリーにお届けできるよう取り組んでまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
なお、当社とは提出会社を指しております。
(1)ガバナンス
当社におけるビジネスリスクは、経営管理本部長を委員長とするリスク管理委員会が管掌し、同委員会は必要な計画の策定と実施を推進しております。なお、総務部が同委員会の事務局として機能しております。リスク管理委員会の構成メンバーは、各本部において当該事業を管掌する取締役ないし主管部長の中から選任され、当委員会の選任を通じて、各事業部門間での取組が共有され、業務計画等の立案・実施において全社的リスクが考慮される仕組みとなっております。同委員会では、重要課題に関する取組を推進・サポートし、進捗をモニタリングするとともに、対応方針の立案と関連部署への展開を行っており、重要なリスクに関しては取締役会に報告され、取締役会において当該報告内容に関する管理・監督を行っております。
また、サステナビリティに関わる基本方針や重要事項等を検討・審議する組織として、2021年12月に経営管理本部内メンバーを中心に構成したサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ基本方針に基づく重要課題(マテリアリティ)に関する取組を管理・推進しております。
(2)戦略
環境負荷を緩和し次世代へと受け継ぐために、エコプログラムを定め、地球環境との共存に向けて取り組んでおります。当社は、地球温暖化防止を重要な経営課題の一つに位置付け、事業成長と環境汚染防止の両立に向け、低炭素な操業を可能にする生産技術の革新と、脱炭素社会に貢献する技術開発を社員一丸となって進めております。
また、環境関連リスクと機会を正しく認識するため、事業戦略に及ぼす影響を評価し、将来の事業戦略策定に活用していくための分析を実施しております。分析を通じて、現状の対応の妥当性と将来の課題の確認を行っており、事業環境の変化とその影響から、重要性の高い事業リスク及び機会を認識し、中期経営計画の中で対応を進めております。
また、当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は下記のとおりであります。
<人材育成方針>
当社は、経営理念に「協力と発展」を掲げ、「事業は人なり」の信念のもと「人間尊重」を基本に、持続的な企
業価値の向上と社会へ貢献できる人財の育成に取り組みます。
|
|
方針 |
取組内容 |
|
1 |
社員の能力を 十分に発揮 できる組織 |
従来の枠組みにとらわれず、新たな視点で問題形成し解決できる自立性を持った人材を育てる組織づくりを行います。 |
|
全ての役職員が組織の戦略や目標を共有し方向性を明確にする事で、社員一人ひとりが課題達成に向け、行動できる組織づくりを行います。 |
||
|
意思の伝達や情報交換が出来る社内風土の醸成を進め、円滑なコミュニケーションができる組織づくりを行います。 |
||
|
2 |
社員一人ひとりの成長支援 |
社員が自己成長できるよう社内研修制度や外部研修を通じて、業務内容以外の知識を習得できる「自己研鑽」への投資を積極的に行います。 |
|
社員が自発的に「学び」に取組み、自己能力を維持向上させていく文化を醸成します。 |
||
|
性別、国籍、キャリア問わず教育の機会を提供し“次世代リーダー”への成長を支援し、成長欲求を高められる人材を育成していきます。 |
||
|
3 |
適材適所で 機動力のある 組織体制 |
キャリア採用や外国籍人材の採用、ダイバーシティ等、多様な人材の確保、育成、風土の醸成に取り組みます。 |
|
社会や消費者のニーズが多様化する中、新しい技術やサービスを創造するイノベーションへの取り組みが重要であり、デジタル技術を活用した新たな商品価値の創造やDX推進による生産性向上など、DX人材を育成します。 |
<社内環境整備方針>
会社が成長し継続されるのは、社員の成長が重要であり、社員への人材育成する環境を定めます。
|
|
方針 |
取組内容 |
|
1 |
社内人材の 育成・能力 開発に向けた投資 |
社内研修制度や外部研修を通じて社員が自律的に知識向上・スキルアップに取り組むことができる制度運用を図ります。 |
|
業務に活用できる資格取得に向けた支援を行い社員の意識向上を図ります。 |
||
|
2 |
競争力を高めるための技術 ・開発向上 |
人材育成方針に従い、デジタル技術を活用した新たな商品価値の創造やDX推進による生産性向上などの対応を進めてまいります。 |
|
技術、開発の業務に活かせるよう専門知識を更に習得します。 |
||
|
3 |
生産能力増強に関する知識 ・能力・意欲の向上 |
経営理念である「良品と均質」実現の為、KPS活動を通じて知識・能力の向上と多能工化を図ります。 |
|
コア技術を後世に伝承するために若年層の教育としてОJT等育成の場を提供し、企業文化の変革を目指します。 |
||
|
4 |
社員の補強的必要性から、専門性の高い 人材の中途 採用 |
海外市場への拡充・深耕を図る為に、海外で活躍できる語学研修や外国籍社員の採用を行うことでグローバルな社員が活躍できる環境を整備してまいります。 |
|
国際化や多様性を確保する上で、当社と異なる業界での勤務経験・知識を社内に取り込めるよう、キャリア採用を「即戦力」として位置付け、専門職や管理職等活躍できる人材を継続的に採用します。 |
||
|
新卒、キャリア採用に関係なく公平な目で能力・成果を評価し、社員の成長を目指します。 |
||
|
5 |
従業員 エンゲージ メント向上への取組 |
社員のモチベーション向上や定着率を高めるために、社員エンゲージメント調査等による働きやすい社内環境を目指し、ハード、ソフト面で整備してまいります。 |
|
研修を通して、組織、個人ともに「自分の能力は、努力次第で成長させることができる」という成長志向のマインドセット醸成に取り組みます。 |
||
|
6 |
社員の健康 推進に向けた投資 |
社員の健康推進に向け、ワークライフバランスへの取り組みを重要なテーマとして考え、多様な働き方が選択できる人事制度を整備します。 |
|
結婚、出産、介護等のライフイベントに合わせた多様な働き方が出来る環境を整備します。 |
||
|
産業医と連携し健康づくりが出来る社内環境を整備し、社内研修を行うことで健康に関する意識向上を図ります。 |
(3)リスク管理
当社は、リスク管理の統括機関として、リスク管理委員会を年2回、サステナビリティ委員会を原則月1回開催し、重要なリスクに関しては取締役会及び経営会議に報告を行うこととしております。経営会議では、委員会からの報告・答申等に基づき、必要な協議・決議を行ってまいります。取締役会は、経営会議及び委員会で協議・決議された内容の報告を受け、当社の重要なリスク課題への対応方針及び計画の実行と進捗についての監督を行ってまいります。
(4)指標及び目標
当社は、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(以下「省エネ法」という。)に基づき、エネルギー使用に関する年間削減目標を策定しております。
|
項目 |
目標(2024年度対比) |
2024年度実績(原単位 kl/千円) |
|
Scope1 |
原単位ベースでエネルギー 使用量を前年度比1%削減 |
0.2374 |
|
Scope2 |
原単位ベースでエネルギー 使用量を前年度比1%削減 |
0.3553 |
|
合計 |
原単位ベースでエネルギー 使用量を前年度比1%削減 |
0.5927 |
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼等)を省エネ法単位で算出
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出を省エネ法単位で算出
原単位 :原油換算(kl)/付加価値額(製造原価-外注費-材料費)(千円)
工場棟増設に合わせて、本社工場敷地内にLNGガスによる発電設備と、LNGサテライトを設置し、電気と排熱を利用した蒸気・温水の供給が可能となるコージェネレーションシステムを導入しております。電力使用量増加に備えるとともに、エネルギー効率を高めることで、エネルギー使用量・CO2排出量を抑制してまいります。また、工場棟屋根に太陽光発電パネルを設置し、再生可能エネルギーによる発電を電力として利用しております。
また、当社では、上記「
|
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
|
男性労働者の 育児休業取得率 |
|
|
(2025年3月期の当社平均年齢及び平均勤続年数)
|
|
男性 |
女性 |
|
平均年齢(歳) |
40.9 |
37.4 |
|
平均勤続年数(年) |
15.5 |
12.6 |
(2024年度の当社採用人員数)
|
|
男性(名) |
女性(名) |
女性比率(%) |
|
新卒採用 |
11 |
8 |
42.1 |
|
中途採用 |
16 |
12 |
42.9 |
|
合計 |
27 |
20 |
42.6 |
<女性活躍推進>
当社は、多様な人財を確保し活躍できる環境を整えるうえで、女性社員の活躍及びワークライフ・バランスへの取組が重要なテーマであると考えております。復職制度、職群選択など仕事と家庭の両立支援制度を整備し、多様な働き方を推進しております。現在、当社社員における女性社員の割合は約4割となっておりますが、若年層の女性社員が多いことから、男性社員と比較し平均年齢が4歳、平均勤続年数が3年低くなっております。女性社員の長期雇用に向けた育成・登用の支援に取り組むとともに、その上司を対象とした研修プログラムによる意識教育を積極的に進めてまいります。今後も、女性社員の更なる活躍が重要と捉え、幅広い職場において女性社員の活躍を広げるための取組を継続的に実施し、女性社員がより活躍することにより、企業風土の活性化を図ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サプライチェーンリスク
当社グループは、アジア地域のサプライヤーから部品を調達しており、地政学的リスクの懸念等により部品供給に遅延が発生し、本社工場の生産調整、停止となる場合があります。当社グループでは、BCP対策の一環として本社工場での生産バックアップ体制を見直すとともに国内外の調達先を複数確保し、事業への影響を最小限に止めることに努めております。しかしながら、バックアップによる生産が長く続くような状況になった場合や、原材料部品商品等の調達が困難となった場合、及び経済の停滞に伴い消費マインドが大きく後退し売上が減少した場合は、当社の経営成績を悪化させる可能性があります。
(2) 経済動向による影響
当社グループの営業収入の大部分は、国内需要に大きく影響を受けております。法律・制度の規制緩和や住宅政策の転換、金利動向により、新築・リフォーム需要が大きく変動した場合、当社グループの経営成績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競争の激化
水栓市場は、同業他社との競争下にあり、厳しい価格競争が繰り広げられております。為替相場や原材料価格の変動による製造コストの上昇を販売価格に転嫁することは容易ではありません。当社グループの商品の優位性が保てず、価格競争が激化していった場合は、当社グループの経営成績を悪化させる可能性があります。
当社グループは、商品の企画・開発・生産・営業・アフターサービスまで一貫して行う水栓金具専業メーカーであります。お客様の声を聞き、課題解決に向けた提案を行うことで、価格競争とは一線を画した営業に努めております。
(4) 製品の不良
当社グループの製品は水栓金具であります。水漏れを引き起こすような不良を発生させますと、当社の製品をご利用いただいているお客様の家屋や家財に大きな損害を及ぼす可能性があります。万が一、大量に不良品が発生した場合は、リコール費用や損害賠償等の発生や、信用低下による販売不振により当社グループの経営成績を悪化させる可能性があります。
当社では、製造物責任賠償保険に加入し、万が一の発生に備えておりますが、品質が会社の生命線であると考えており、品質マニュアルに品質方針を定めて、品質マネジメントシステムを構築し、体系的な品質管理活動を展開しております。
(5) 原材料価格の高騰
当社グループは、製品製造のため、原材料、部品等さまざまな資材を調達しております。たとえば水栓の本体部分は銅合金から鋳造しております。銅は脱炭素に向けて、世界的に電気自動車向けの需要が伸びており、長期的な需要増が見込まれます。また、中国の景気回復の動向によっては銅価格が高止まりする可能性があります。新築・リフォーム需要など需給環境の変化により原材料部品等の価格が高騰した場合は、当社グループの経営成績を悪化させる可能性があります。
当社グループでは、こうした環境の変化のなかにあっても安定した収益が確保できるよう、一貫生産体制のなかで、あらゆる無駄をなくし、コストダウンに努めつつ、原材料価格の高騰状況によっては適時適切な商品への価格転嫁を進めていきます。
(6) 海外での事業活動
当社グループは、中国、フィリピンにおいても事業活動を行っており、法律・規制や租税制度の変更、テロ・内乱などによる政治的社会的混乱や予期し得ない経済情勢の悪化、グループ間取引における海外輸送中の事故やそれに伴う納期遅延等により、当社グループの経営成績や財政状態を悪化させる可能性があります。
(7) 為替相場の変動
当社グループは、中国とフィリピンに子会社を有しているため、為替相場の変動リスクを負っており、相場の変動により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 自然災害等
当社グループは、製造ラインの中断による影響を最小化するために、生産設備などにおける定期的な災害防止点検、BCP計画の策定及び訓練の定期的な実施を行っております。しかし、生産施設で発生する人的あるいは自然災害などによる影響を完全に防止あるいは軽減できる保証はありません。当社グループの工場は岐阜県(加茂郡・飛騨市)、中国大連、フィリピンと分散しているものの、当社グループのサプライチェーンは中部地区に集中しており、当地区における大規模な地震やその他操業に影響する災害などが発生した場合、当社グループの経営成績や財政状態を悪化させる可能性があります。
(9) 減損会計
当社グループは、「固定資産の減損にかかる会計基準」の適用に伴い、今後の地価の動向や事業展開などに伴う減損損失の計上により、当社グループの経営成績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。このため、実際の金利水準の変動や年金資産の運用利回りが悪化した場合、当社グループの経営成績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 人材の確保
当社グル-プの本社及び国内工場は岐阜県にありますが、岐阜県の人口は減少傾向にあり、生産年齢人口の割合をみると全国と比較して低くなっており、人材を確保しづらい環境にあります。将来において、適切な費用で必要な人材を確保できなくなった場合は、当社の事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、社員寮を準備するなど福利厚生の充実に努めるほか、適正な賃金水準の維持、教育制度の充実により必要な人材確保に努めております。
(12) 環境関連法規
当社グループは、さまざまな環境関連法規の制約を受けております。環境規制における特定有害物質が、基準を超えて社外へ漏洩した場合、または、環境規制の厳格化に適切に対応できなかった場合は、行政による査察・指導等により生産業務が停止する可能性があり、法的な賠償責任を負う可能性もあります。環境意識が高まりをみせる昨今では、こうした事態の発生は当社の企業イメージを著しく低下させることが予想され、当社の経営成績や財政状態を悪化させる可能性があります。
当社グループは、「環境関連法規の遵守」、「事業活動・製品及びサービスが環境に及ぼす影響に対する施策」、「社員・地域住民の安全・健康の推進を通じて会社の健全な発展を図る」ことを目的に環境管理規程を制定し、環境マネジメントシステムを運営しています。2000年7月には、環境管理の国際規格である「ISO14001」の認証を取得しており、省資源・省エネルギー、環境に配慮した製品開発、社会との協調・共生に取り組んでおります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における事業環境は、物価上昇等の影響を受け個人消費に停滞が見られるものの、景気は緩やかな回復基調となりました。一方、住宅市場におきましては、建築資材価格や人件費の高騰など建築コストの上昇に伴う住宅価格の高止まりおよび住宅ローン金利引き上げへの懸念から、住宅取得マインドの低下もあり、新設住宅着工戸数は、4月からの建築基準法・建築物省エネ法改正による、厳格な建築基準導入を前に期末での駆け込み着工があったものの、期中では前期比で減少傾向が続いており厳しい状況となりました。
このような状況のなか、当社グループは、お客様への新たな価値の提供を目指し、中期経営計画「KVK Innovation」に掲げた重点戦略に取り組んでまいりました。
直径1μm未満の微細な泡が皮脂汚れを落とすウルトラファインバブルシャワーヘッドは発売以来ご好評をいただいておりますが、この泡発生機構の応用展開として、ウルトラファインバブル発生機能を備えたキッチン用シングルシャワー付混合栓および洗面用シングル洗髪シャワー付混合栓を発売しました。直径1μm未満の微細な泡が汚れの隙間に入り込み洗浄効果を高め、水まわりの作業を快適に行うことができます。
生産能力増強のための新工場棟2棟は、射出成型と樹脂めっきラインを構築し、樹脂部品増産体制を整えました。稼働率も上昇し安定稼働しています。今後、主要な原材料である銅合金の価格変動リスクに備え、水栓における樹脂の使用比率を高め、樹脂部品の増産を図ります。
当社は、KPS(KVK Production System)活動を柱に最適生産を目指し、あらゆる無駄の排除とコスト競争力の強化を推し進めています。本社を軸とした各生産拠点による最適地調達・最適地生産への取り組みにより、高効率な生産体制づくりを進め、原価低減に寄与していきます。
当連結会計年度における連結業績につきましては、新設住宅着工戸数が低調で推移するなか、採算性を考慮した販売品目の見直しにより、売上高は29,648百万円(前期比0.5%減)、営業利益は2,660百万円(前期比5.2%増)となりました。投資有価証券売却益もあり経常利益は3,072百万円(前期比7.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,110百万円(前期比6.6%増)となりました。
※「ファインバブル」「ウルトラファインバブル」は、一般社団法人ファインバブル産業会の登録商標です。
セグメント毎の業績については以下の通りです。
日本におきましては、売上高は29,448百万円(前年同期比0.3%減)、セグメント利益は2,988百万円(前年同期比8.8%増)となりました。
中国におきましては、グループ間の売上高減少に伴い、売上高は6,609百万円(前期比3.6%減)、セグメント利益は355百万円(前期比6.2%増)となりました。
フィリピンにおきましては、グループ間のみの売買取引となります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ2,690百万円増加し、5,455百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、3,565百万円の収入(前期比2,949百万円の収入増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益3,069百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、242百万円の支出(前期比2,918百万円の支出減)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入1,358百万円等の一方で、投資有価証券の取得による支出613百万円、有形固定資産の取得による支出767百万円および無形固定資産の取得による支出352百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、606百万円の支出(前期比171百万円の支出増)となりました。これは主に配当金の支払額578百万円等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループは、給水栓・給排水金具・継手及び配管部材の製造・加工・仕入れ及び販売を主事業とする専門メーカーで、当社及び子会社2社で構成された所在地別セグメント情報を報告セグメントとしております。
当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(千円) |
27,482,600 |
103.1 |
|
中国(千円) |
3,472,271 |
102.9 |
|
フィリピン(千円) |
57,320 |
92.3 |
|
合計(千円) |
31,012,192 |
103.1 |
(注)金額は販売価格によっております。
ロ.受注実績
当社グループは、大部分の品目につき見込み生産を行っておりますので、記載を省略しております。
ハ.販売実績
当社グループは、給水栓・給排水金具・継手及び配管部材の製造・加工・仕入れ及び販売を主事業とする専門メーカーで、当社及び子会社2社で構成された所在地別セグメント情報を報告セグメントとしております。
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(千円) |
29,195,969 |
99.5 |
|
中国(千円) |
452,966 |
97.3 |
|
フィリピン(千円) |
- |
- |
|
合計(千円) |
29,648,936 |
99.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先(日本) |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
タカラスタンダード株式会社 |
3,701,117 |
12.4 |
3,609,286 |
12.2 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
イ.財政状態の分析
当連結会計年度における資産合計及び負債純資産合計は、以下の要因により、前連結会計年度末比1,812百万円増加の36,276百万円となりました。
(資産)
資産は、前連結会計年度末に比べ1,812百万円増加し、36,276百万円となりました。これは主に現金及び預金が2,690百万円増加した一方で、投資有価証券が820百万円減少したことによります。
(負債)
負債は前連結会計年度末に比べ496百万円増加し、7,950百万円となりました。これは主に電子記録債務が122百万円、未払法人税等が134百万円増加したことによります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,315百万円増加し、28,325百万円となりました。この結果、自己資本比率は78.1%(前連結会計年度末は78.4%)となりました。
ロ.経営成績の分析
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比150百万円減少の29,648百万円となり、営業利益は前連結会計年度比130百万円増加の2,660百万円となりました。
セグメントごとの売上高と営業利益の概況については、「(1)経営成績の状況と概況①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は、前連結会計年度の336百万円の収益(純額)に対して411百万円の収益(純額)となりました。投資有価証券売却益を前期とほぼ同額の224百万円計上しているのに加え、前期は為替差損70百万円計上しているのに対し、当期は為替差益23百万円計上したことなどにより、74百万円の収益増加となりました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度比205百万円増加の3,072百万円となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
特別損益は、前連結会計年度の63百万円の損失(純額)に対して2百万円の損失(純額)となりました。前期は投資有価証券売却益13百万円、信託終了損39百万円を計上していることなどにより、61百万円の損失減少となりました。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比266百万円増加の3,069百万円となりました。
(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等は増益により前連結会計年度比136百万円増加の959百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比130百万円増加の2,110百万円となりました。
ハ.経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当期の目標に対する達成率は、売上高目標30,500百万円に対して97.2%、営業利益目標2,600百万円に対して102.3%となりました。
売上高につきましては、新設住宅着工戸数は低調な推移が続くなど市況が厳しく目標は未達となりました。
営業利益につきましては、原材料価格の高騰および物価の上昇による仕入コスト増加があるものの、採算性を考慮した販売品目の見直しにより、粗利率が改善され、目標を達成しました。
また、ROEにつきましては、当面の目標とする10.0%に対して7.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ロ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入れのほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業経費であります。投資目的とした資金需要は、設備投資のほか、投資有価証券等の取得であります。また、株主還元については、財務の健全性に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。
運転資金及び設備投資資金並びに株主還元等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金及び金融機関からの借入を基本方針としております。
なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は70百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,455百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(貸倒引当金)
当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。なお、取引先の財政状態が予測を大幅に超えて悪化し、その支払能力が著しく低下した場合、追加引当処理が必要となる可能性があります。
(製品保証引当金)
当社グループは、製品の無償修理費用の支払に備えるため、過去の実績を基礎として無償修理見込額を計上しております。なお、実際の製品不良、修理費用が見積りと異なる場合は、見積り所要額の修正を必要とし、追加引当を計上する可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び判定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の金額に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、給水栓・給排水金具・継手及び配管部材の製造及び販売を主事業としている専門メーカーとして、研究開発本部を中心に、水まわりにおける快適性・利便性・安全性等住環境の向上をめざし、多様化する市場ニーズに応える商品開発を行っております。
当連結会計年度における主な研究開発は以下の通りであります。
バス用商品は、豊富なラインアップを取り揃えたウルトラファインバブルシャワーヘッド「hadamo」シリーズに、多様化するニーズにより応えられるよう、たっぷりの湯量で全身に柔らかい浴び心地を可能にしたPZS390を新たに追加いたしました。
キッチン用商品では、機能性だけでなく、デザインや色合いなどの視覚的要素を重視する傾向から、より空間に合った色合いを選択可能にし、マットブラック色のKM6092ECM5、金めっきのKM6091ECGを追加いたしました。
洗面用商品として新たに発表したFSL250シリーズは、ユーザーの利便性とデザイン性を追求した商品です。スリムな形状により清掃が容易で、シンプルなレバーは指にフィットする形状にて使い勝手を向上、また、水栓本体のボリューム感を抑え、洗面ボウルに合わせやすいデザインを実現しております。
加えて、「子育てグリーン住宅支援事業」の対象機種となる節湯(※)水栓を各種ラインアップし、品番登録を行っております。
さらに、住宅設備機器メーカー様向けとしては、お客様の商品見直しに伴い、浴室用・キッチン用・洗面用合わせて4機種の専用水栓を市場投入しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、
(※)住宅・建築物の省エネ基準における節湯水栓の判断基準を満たすものをいう。
節湯A1:手元止水機構を有すること
節湯B1:少流量吐水機構を有すること
節湯C1:水優先吐水機構を有すること
※「ファインバブル」「ウルトラファインバブル」は、一般社団法人ファインバブル産業会の登録商標です。