文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは1933年に「加藤発條製作所」として創業し、自動車産業及び電機通信産業向けの精密金属ばねの生産からスタートしました。1969年には合成樹脂を素材としたファスナー類の開発及び製造にも事業拡大、1990年代には医療機器分野に進出し、産業・社会の発展に貢献してまいりました。
当社グループは、「弾性を創造するパイオニア(Pioneer)」をコーポレート・アイデンティティとして、金属や樹脂をはじめあらゆる素材の「弾性(Elasticity)」を科学することにより、自動車産業や医療関連など広く産業・社会に貢献することを経営の基本方針としております。
今後も当社のコア事業である自動車産業で培った高度な弾性技術を用いて、適切で戦略的な多角化を図りつつ、広く産業・社会に貢献してまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、自動車産業向け部品供給を事業の中核とし、グローバルな展開を急速に進める同業界のニーズを先取りしつつ、多様かつ高度なご要請に積極的にお応えしていくことを中長期的な経営戦略として位置付けております。
当社グループは、上記の中長期的な経営戦略を明確化するために3年先までの中期経営計画を毎年ローリング方式で策定しております。
〈中期経営計画 2019年度~2021年度〉
当社グループの中期経営計画は、経営指標として2022年3月期までに連結売上高720億円、連結営業利益110億円を資本政策としてROE10%以上、株主還元方針として連結配当性向30%以上を目標としております。
(3) 経営環境
当社の主要なお取引先である自動車業界においては、CASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)、部品メーカー間の提携、IT事業の自動車業界への参入などが起こっており、100年に一度の大変革期と言われております。2019年度は新型コロナウイルスの影響による決算の遅れや海外子会社の減損等が発生しましたが、このウイルスによる影響は2020年度も引続くことが懸念される他、米中貿易摩擦、Brexit、材料費高騰、労務費アップ、取引先である自動車業界の減産など不透明感があります。
このような経営環境において、当社グループのコア事業である自動車関連事業は、①非日系OEM売上シェアの向上②次世代商品の開発に対する取り組みを速やかに推進する必要があります。また、多角化推進のため医療事業部の強化にも取り組む他、新規事業への開拓も取り組む必要があります。
当社グループといたしましては、コア技術である弾性技術を開発することに注力し、自動車業界における100年に一度の大変革期をグループ一丸となって乗り越えるよう取り組んでまいります。メーカーの原点である「良い製品を安く造る」ことに経営資源を集中するため、受注変動に応じて生産体制を柔軟に見直すほか、コスト削減の徹底により収益基盤の強化に取り組んでまいります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
①お客様サービスの向上
自動車メーカーのグローバル展開が進み、部品会社間の競争が国内外を問わず激化している環境の中で、当社グループがサプライヤーとして生き残っていくためには、お客様に満足頂けるトップクラスの品質、価格、納期及び新製品をも含めた開発力の向上が不可欠と認識しております。
品質面では、IATF16949:2016の認証を取得し、品質マネジメントシステムに沿った保証体制を継続的に整備してまいります。
また、価格面では、開発から製造までの一貫した合理化を積極的に推進することで、競争力確保を図る所存です。
環境対応については、ISO14001:2015の認証を取得し全てのお客様及び環境法規制の要請に応える体制を築き上げております。
②製品群別戦略の強化
当社グループの製品が置かれている市場の変化に迅速に対応し、事業分野ごとに開発・製造・販売・品質保証に至るまで一体的な運営を推進するために、SBU(戦略的ビジネスユニット)制を導入しております。
単品の精密ばね、工業用ファスナーから樹脂・金属を組み合わせたユニット部品へのシフトを進めながら、より付加価値の高い製品の比重をグローバルに高めていく所存です。
また、今後の自動運転技術などの次世代車向け部品にも着実に取り組む所存です。
③グローバル体制の拡充
自動車メーカーからの部品供給要請は、国境・系列を越えて今後も高度化・加速化するものと思われます。
当社グループとしては、既に拠点を持つアセアン、中国、北米、欧州でのビジネスを拡大、深化させるとともに、提携関係先とのアライアンスを活用しながら、海外売上高の拡大を図りつつ、海外拠点の収益基盤拡充につなげる所存です。
④ESG経営の推進
企業に対する社会的な責任として、ESG経営(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))の推進が求められており、利益を追求するだけでなく、当社を取り巻く利害関係者の方々と協力し、地域・社会に貢献できる企業を目指し、2019年9月に「ESG経営推進委員会」を設置いたしました。
〈環境 Environment〉
環境対応については、ISO14001:2015の認証を取得し全てのお客様及び環境法規制の要請に応える体制を築き上げております。
〈社会 Social〉
当社は国内外グループで地域と密接に関わり、社会貢献に努めております。
非営利的な活動として、周辺地域の清掃活動実施や生活困窮者への食糧支援、寄付など実施する他事業活動については、安全かつ高品質な製品を提供することで社会の発展に寄与しております。
〈ガバナンス Governance〉
当社グループは、中長期的な企業価値の向上を目指すため、コーポレートガバナンス体制の構築に努めてまいりました。2015年のコーポレートガバナンス・コード適用以来、2016年に監査等委員会に移行、2017年に取締役への株式報酬制度の導入、2018年には取締役の3分の1を独立社外取締役に、2019年には指名・報酬諮問委員会を設置、2020年には女性役員が就任するなどし、ガバナンス強化を推進してまいりました。今後も当社グループは株主、顧客、従業員、取引先など様々なステークホルダーとの関係において、透明性を確保した企業経営の基本的枠組みのあり方を発展させてまいります。
⑤医療機器事業の展開
子会社の株式会社パイオラックス メディカル デバイス(PMD)が手掛ける医療機器事業は、IVR(血管内治療)からスタートしましたが、消化器に使用する内視鏡治療、脳外科用の整形分野へと業容を拡大しております。血管や管腔を利用し身体になるべく傷をつけずに治療する「低侵襲治療」に取り組んでおります。大学病院等との共同研究によって、商品企画力・営業力の強化を図りつつ、高齢化社会のニーズを捉え、「人に優しい弾性材料」で作られた医療用具の開発・製造・販売を推進する所存です。
以下において、当社グループの事業その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業展開上のリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
当社は、これらのリスクの存在を認識した上で、その回避及び顕在化した場合の対応に努める所存であります。
なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において、当社グループ及び当社経営者が判断したものであります。
1.新型コロナウイルスに関するリスク
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、今後も事態が収束せず、更なる感染拡大やパンデミックにあたる状況が進行すれば、世界的な景気の悪化による自動車の販売減少及び資材価格の高騰、または資材確保の困難等が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、従業員及び従業員家族、取引先を含む利害関係者の安全を第一に考え、社内で組織された新型コロナウイルス対策委員会を通じて、WHOならびに世界各国保健行政の指示に従った感染拡大防止の取り組みを実施し、リスクの低減に努めております。
2.自動車産業の動向
当社グループの売上は、その90%超が自動車産業向けのものであり、なかでも日系自動車メーカーを主要な取引先としていることから、当社グループの業績は日系自動車メーカーの生産販売動向に影響を受けます。また、自動車業界の競争激化を背景に取引先からの製品価格引下げの強い要請を受けており、当社グループといたしましては、合理化による原価低減ならびに製品構成の高付加価値化により、製品価格引下げが収益性低下につながらないよう努力いたしております。しかし、サプライヤー間の競争上、収益性を低下させる製品価格の引下げを実施せざるを得ない可能性があり、その場合には当社の収益にも影響することが考えられます。当社としては、今後も取引先との連携を強化し、リスク管理を実施してまいります。
3.特定取引先への依存
当社グループは、日産自動車、そのグループ会社及びこれらに対する部品サプライヤー向け販売の売上に占める比率が高く、当社業績は日産自動車グループの生産販売動向に影響を受けます。そのため、主要客先以外への取引先への拡販活動に注力しており、今後も取引先の拡大に努めてまいります。直近ではフォルクスワーゲン(VW)社から初の受注を獲得しました。
4.製品の欠陥
当社グループは世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかしながら全ての製品について欠陥がなく、不良品の発生に伴う製品回収費用ならびに取引先に対する費用の補填などのコストが発生しないという保証はありません。特に販売先である自動車メーカーのリコールにつながる製品の欠陥は多額なコスト負担が発生する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす事があります。そのため、品質の向上を強化しリコールを発生させないような体制作りを進めております。
5.海外事業に潜在するリスク
当社グループは、北米・欧州ならびにアジア地域で事業展開をしており、これらの海外市場の事業展開において以下に挙げるいくつかのリスクが内在しております。
① 予期しない法律または規制の変更
② 不利な政治または経済要因
③ 潜在的に不利な税影響
④ 地政学リスクによる社会的混乱
⑤ Brexitによる不利益
⑥ 諸外国同士による貿易摩擦
これらの事項が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、海外事業に係る現地通貨建ての会計項目は、連結財務諸表作成のために円換算されていますので、為替相場の変動が業績及び財務状況に影響を及ぼします。そのため、海外拠点からの情報を集約する部門を設置しリスクの未然防止を図る体制を整えています。
6.知的財産保護の限界
当社グループは各種の知的財産(特許等)を取得しております。
当社グループは、知的財産に関する法律及び契約上の規制に基づき一定の固有財産権を確立し、保護するための措置を講じております。しかしながら、知的財産を保護するための措置は技術の不正流用の防止、第三者による類似技術の開発、もしくは取得の抑止等の防止には十分でないことが、判明する可能性があります。
結果として、当社グループの技術の不正流用、第三者による類似技術開発及び権利侵害のクレームへの関与が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、知的財産権に知見を有する部門を設置しリスクの未然防止を図る体制を整えています。
7.環境規制
自動車部品業界は、広範囲な環境その他の法的規制の適用を受けております。
燃費、安全性及び生産工場からの汚染物質レベル等規制が広範囲に渡っております。その規制の変更等により、規制を遵守するための費用が発生する可能性があります。
8.原材料・部品の調達リスク
当社グループの製品は、原材料の大部分と一部の部品を外部より調達しておりますが、価格高騰や需給逼迫、調達先の不慮の事故等により、原材料・部品不足が生じ、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼすリスクが存在します。そのため、調達先との安定的な取引関係維持に努めております。
9.自然災害に関するリスク
国内のみならず全世界的に地球環境の変化による予期せぬ自然災害が発生し、当社の製品を供給出来ないリスクがあります。そのため、全世界でBCPプランを策定し、リスクの未然防止を図る体制を整えています。
10.企業体質の変化によるリスク
従業員の平均年齢が高齢化することにより企業の発展性が阻害されるリスクがあります。
①労務費高騰のリスク
②職場内の活性化の低下
当社グループでは、毎年多数の新入社員を受け入れ新たな発想力による企業発展を創造しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、政府・日銀による経済政策や金融緩和等により個人消費、雇用情勢が底堅く推移し、景気は全体として緩やかな回復基調にあるものの、米国の保護主義的な通商政策に基づく貿易摩擦、アジアにおける地政学リスクの高まり、また第4四半期以降のコロナウイルスによる世界規模の感染症等を背景に、依然として先行き不透明な状況が続いております。 当社グループの主要なお取引先である自動車業界につきましては、国内では前年と比較して自然災害の影響等による減産や消費税増税の影響による販売不振があったことに加え、海外では北米、欧州、中国などで減産が継続する状況となりました。
このような需要環境のもと当社グループといたしましては、お取引先からのニーズを確実に捕捉し、日本・北米や新興国を中心とした拡販活動を継続的に推進いたしました。この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して400百万円減少し、101,755百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して1,359百万円減少し、10,295百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して959百万円増加し、91,460百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は62,480百万円(前期比8.5%減)、営業利益は6,753百万円(前期比27.5%減)、経常利益は7,396百万円(前期比28.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,231百万円(前期比29.5%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(自動車関連等)
米国をはじめ新興国市場等にグローバル拡販を積極的に推進いたしましたが、主に国内・欧米・中国の減産影響を受け、売上高は58,140百万円と前期比△5,761百万円(△9.0%)の減収となりました。一方利益面においては、収益改善活動をグループ一丸となって推進いたしましたが、主に材料費や労務費の高騰等による経費負担が増加したことにより、営業利益は7,448百万円と前期比△2,440百万円(△24.7%)の減益となりました。
(医療機器)
拡販及び新商品の上市を積極的に推進いたしましたが、消費税増税に伴う保険償還価格の見直しや海外OEM先での在庫調整等により、売上高は4,339百万円と前期比△56百万円(△1.3%)の減収となりました。一方利益面においては、製品在庫の減少や製造固定費の増加等により、営業利益は224百万円と前期比△131百万円(△37.0%)の減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益7,068百万円及び減価償却費3,918百万円等の収入要因があり、有形固定資産の取得による支出3,897百万円及び法人税等の支払額2,330百万円等の支出要因がありましたが、前連結会計年度末と比較して1,399百万円(前期末比5.1%減)減少し、当連結会計年度末には26,246百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は8,583百万円(前期比21.4%減)となりました。前連結会計年度と比較して減少した主な要因は、税金等調整前当期純利益の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6,192百万円(前期比16.0%減)となりました。前連結会計年度と比較して減少した主な要因は、有形固定資産の取得による支出の減少等によるものであります。
なお、営業活動により得られたキャッシュ・フローと投資活動により使用したキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは2,391百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3,673百万円(前期比91.6%増)となりました。前連結会計年度と比較して増加した主な要因は、自己株式の取得による支出の増加等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
(単位:百万円) |
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比 |
|
自動車関連等 |
58,114 |
90.5% |
|
医療機器 |
4,323 |
96.0% |
|
合計 |
62,437 |
90.9% |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当社グループは受注より出荷までの期間が極めて短いため、原則として一部の確定受注や過去の販売実績等を参考とした見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
(単位:百万円) |
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比 |
|
自動車関連等 |
58,140 |
91.0% |
|
医療機器 |
4,339 |
98.7% |
|
合計 |
62,480 |
91.5% |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.売上高の10%を超える主な相手先が存在しないため、「最近2連結会計年度の10%を越える主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合」の記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、期末時点での状況を基礎に連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与えるような項目・事象について見積りを行ないますが、これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる基準を設定して継続的に実施しております。なお、当連結会計年度末におきましては、国内外における新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響について、翌連結会計年度の上期にわたって影響が続き、下期以降徐々に正常化するとの前提に基づいて、足元の実績をもとに当初の事業計画値に反映し会計上の見積もりとしております。しかし実際の結果は、見積りには不確実性が伴うため、これらの見積りとは異なる場合があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは原則として、事業用資産については管理会計上の区分を基にグルーピングを実施し、遊休資産については個別資産ごとにグルーピングを行って、減損兆候の判定に基づき、必要に応じて帳簿価額を回収可能価額まで減損しております。なお、当連結会計年度におきましては、連結子会社でありますパイオラックス インディア プライベート リミテッドの事業用資産について、インド市場における予想しえない市場環境変化に伴う得意先における生産の大幅な変動による収益性の悪化により、減損損失を計上しております。翌連結会計年度の下期以降徐々に正常化するとの前提に基づいておりますが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景として、さらにインドおよびそれ以外の資産グループにおきましても、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
(投資有価証券の減損処理)
当社グループは、保有する有価証券について、時価のあるものについては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に時価まで減損処理を行い、30%以上50%未満下落した株式等の減損にあっては、個別銘柄毎にその回復可能性を総合的に検討し実施しております。将来、株式の市況又は投資先の業績が悪化した場合には、さらなる評価損の計上が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は含まれておりますが、予想しえない感染の拡大または予想以上に影響が継続された場合には、前提とした条件や見積りに変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は57,968百万円となり、前連結会計年度末と比較して323百万円増加しました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、現金及び預金、有価証券の増加等によるものであります。固定資産は43,787百万円となり、前連結会計年度末と比較して723百万円減少いたしました。前連結会計年度末と比較して減少した主な要因は、建設仮勘定及び投資有価証券の減少等によるものであります。
この結果、総資産は101,755百万円となり、前連結会計年度末と比較して400百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は7,879百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,010百万円減少いたしました。前連結会計年度末と比較して減少した主な要因は、未払法人税等の減少等によるものであります。固定負債は2,415百万円となり、前連結会計年度末と比較して349百万円減少いたしました。前連結会計年度末と比較して減少した主な要因は、固定負債のその他の減少等によるものであります。
この結果、負債合計は10,295百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,359百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は91,460百万円となり、前連結会計年度末と比較して959百万円増加となりました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、利益剰余金の増加等によるものであります。
この結果、自己資本比率は88.6%(前連結会計年度末は87.3%)となりました。
経営成績
当連結会計年度における売上高は62,480百万円(前年同期は68,298百万円、8.5%減)であり、セグメント別では自動車関連等事業は、米国をはじめ新興国市場等にグローバル拡販を積極的に推進いたしましたが、売上高は58,140百万円(前年同期は63,902百万円、9.0%減)となり、医療機器事業は、拡販及び新商品の上市を積極的に推進いたしましたが、売上高は4,339百万円(前年同期は4,396百万円、1.3%減)となりました。
一方利益面におきましては、収益改善活動をグループ一丸となって推進いたしましたが、主に材料費や労務費の高騰等による経費負担が増加したことにより、連結営業利益は6,753百万円(前年同期は9,312百万円、27.5%減)で、セグメント別では自動車関連等事業は、7,448百万円(前年同期は9,888百万円、24.7%減)となり、医療機器事業は、224百万円(前年同期は356百万円、37.0%減)となりました。
また、経常利益は7,396百万円(前年同期は10,321百万円、28.3%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は5,231百万円(前年同期は7,421百万円、29.5%減)となりました。
2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの資金につきましては、単体及びグループ全体でも月商売上高の6ヶ月程度の現金同等物を有しており、主として換金が容易であるため充分な流動性をもって事業活動を行っておりますが、当連結会計年度より流行しております新型コロナウイルスの感染拡大による影響が継続した場合には、更なる現金預金残高の減少が想定されることから、当連結会計年度よりコミットメントラインを15億円と、昨年に比較して5億円を増額し、また固定費の圧縮等に努め、挽回策を講じていく所存であります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、自動車産業動向、資材費動向、人件費動向等があります。自動車産業動向については、当社グループの主たるセグメントであり化石燃料からEV・自動運転等へ急激に変化しております。各メーカーの動向、各国の状況に合わせた提案を行い着実に収益を確保・増加させて行きます。
資材費動向については、金属材料・樹脂材料共に価格上昇への対応、安定供給を受けるべく資材取引先との関係を強化すると共に更なるコスト削減を行なって行きます。
人件費動向については、当社グループ全体的に人件費の高騰・人材確保が難しくなってきており、設備の自動化・業務の効率化により人件費を抑え、少ない人員で生産性を高める取り組みを行ってまいります。
また、当連結会計年度では、インド子会社において減損損失が発生いたしました。現在のコロナウイルス影響を加味すると来期も業績回復までは難しい舵取りとなりますが、今まで以上にお得意先様からのニーズを確実に捕捉し、合理化等一層推進いたしながら、黒字化に向け策を講じてまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今後自動車部品事業のお得意先様からの受注減少が想定されますが、それを補うべく、第2の柱である医療セグメントの子会社を通じて拡販及び新商品の上市を積極的に実施し、製造固定費の圧縮にも努めてまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための費用等の販管費が主な内容であります。
投資活動については、新規対応・自動化及び生産性向上等を目的とした設備投資と金型投資及び国内リニューアル投資が主な内容となります。
財務政策
当社グループは現在、運転資金・設備資金とも内部資金で充当しております。
また、不足が生じた場合に備えて、15億円のコミットメントラインを設定しております。
d.経営上の目標の達成・進捗状況
2019年度は、連結売上高624億円、連結営業利益67億円となり、2019年度目標としておりました連結売上高660億円、連結営業利益80億円は、主に国内・欧米・中国の自動車生産の減少影響を受け未達となりました。
2020年度以降の業績予想につきましては、新型コロナウイルス感染症が世界規模で拡大している影響により、現段階では合理的に業績予想の算出が困難であることから、未定としております。
(1)当社が現在締結している主要な技術供与契約は次のとおりであります。
技術供与契約
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相手方の |
国籍 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
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三加産業股份 |
台湾 |
金属・樹脂ファスナー |
金属・樹脂ファスナーの製造技術援助契約 |
1987年10月6日から 以後5年毎の自動契約更新 |
|
パイオラックス |
米国 |
自動車、電子工業などに使う各種プラスチック精密クリップ、各種精密スプリング、関連組み立て部品等 |
契約品目のライセンス技術、エンジニアリング、及びマーケティング・サービス契約 |
1993年4月1日から |
|
パイオラックス |
英国 |
自動車、電子工業などに使う各種プラスチック精密クリップ、各種精密スプリング、関連組み立て部品等 |
契約品目のライセンス技術、エンジニアリング、及びマーケティング・サービス契約 |
1995年8月8日から |
|
パイオラックス |
韓国 |
自動車、電子工業などに使う各種プラスチック精密クリップ、各種精密スプリング、関連組み立て部品等 |
契約品目のライセンス技術、エンジニアリング、及びマーケティング・サービス契約 |
1996年6月20日から 以後1年毎の契約更新 |
|
パイオラックス |
タイ国 |
自動車、電子工業などに使う各種プラスチック精密クリップ、各種精密スプリング、関連組み立て部品等 |
契約品目のライセンス技術、エンジニアリング、及びマーケティング・サービス契約 |
2000年8月10日から |
|
東莞百楽仕 |
中国 |
自動車、電子工業などに使う各種プラスチック精密クリップ、各種精密スプリング、関連組み立て部品等 |
契約品目のライセンス技術、エンジニアリング、及びマーケティング・サービス契約 |
2014年7月1日から
|
|
パイオラックスメキシカーナ |
メキシコ国 |
自動車、電子工業などに使う各種プラスチック精密クリップ、各種精密スプリング、関連組み立て部品等 |
契約品目のライセンス技術、エンジニアリング、及びマーケティング・サービス契約 |
2011年1月1日から無期限 |
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パイオラックス インディア プライベート リミテッド |
インド国 |
自動車、電子工業などに使う各種プラスチック精密クリップ、各種精密スプリング、関連組み立て部品等 |
契約品目のライセンス技術、エンジニアリング、及びマーケティング・サービス契約 |
2010年1月1日から 無期限 |
|
ピーティー パイオラックス インドネシア |
インドネシア共和国 |
自動車、電子工業などに使う各種プラスチック精密クリップ、各種精密スプリング、関連組み立て部品等 |
契約品目のライセンス技術、エンジニアリング、及びマーケティング・サービス契約 |
2012年12月1日から 無期限 |
|
武漢百楽仕 |
中国 |
自動車、電子工業などに使う各種プラスチック精密クリップ、各種精密スプリング、関連組み立て部品等 |
契約品目のライセンス技術、エンジニアリング、及びマーケティング・サービス契約 |
2014年1月1日から 2023年12月31日まで |
(注) 上記については技術指導料として売上高の一定率を受けとることになっております。
(2)当社が現在締結している主要な業務提携は次のとおりであります。
業務提携
|
相手方の名称 |
国籍 |
提携内容 |
契約期間 |
|
株式会社佐賀鉄工所 |
日本 |
資本関係を含む包括的業務協力 |
2001年3月23日から2006年3月22日まで 6ヶ月前の予告がない限り毎年自動延長 |
(3)当社が現在締結している主要な技術援助・生産及び販売契約は次のとおりであります。
技術援助・生産及び販売契約
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相手方の |
国籍 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
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A.RAYMOND et Cie SCS |
フランス |
ファスニング商品 |
1.営業協力 2.技術支援協力 3.生産及び販売協力 |
2017年10月16日から |
(注) 両社間の資本提携は行わず、両社の独立性及び販売方針は維持致します。
当社グループは、常に開発提案型企業を第一の経営理念として、固体、液体、気体を問わずその弾性を活用した製品の研究開発を行っており、「弾性を創造するパイオニア」をスローガンに、自動車産業をはじめ生活関連、メディカルなど様々な分野で「弾性」の可能性の追求に積極的に取り組んでおります。
現在、研究開発は、設計部、各SBUの開発グループ(海外拠点含む)、及び子会社の株式会社パイオラックス メディカル デバイスの開発部門により推進しております。
なかでも、自動車産業では100年に一度ともいわれる大変革が動き始めており、当社も次世代車両の新たなニーズに対応すべく新商品の開発に取り組んでおります。また、生産技術部門では新しい製造方法として、省スペースで少量多品種の生産対応や生産性向上、生産コスト低減に繋がる生産設備の開発にも取り組んでおります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
自動車関連等では、
(1)精密ばね関連
従来から取り組んできた変速機、エンジン補器等に用いられるコイルばね等の廉価材材料開発及び採用、変速機ユニットの小型・軽量化・低コスト化に寄与する製品の量産化、変速機ユニットへの組付け作業を容易にした複合ばねの開発拡大に継続して力を注ぎ、金属ばねと樹脂部品の複合品も量産化しました。更に、これらの取り組みで培ってきた応力や挙動等の解析技術を駆使し、プラグインハイブリッドの機構に使用される極小の複合ばねを始め、環境対応車用の製品拡大にも取り組んでおります。また従来の国内カーメーカー等との開発拡大、生産場所拡大と共に、新興国を始めとした海外カーメーカーとの新たな開発・量産化も更に拡大しております。
(2)工業用ファスナー・EV関連
原価低減、作業性改善、品質向上等の課題を解決する為、薄板から厚板まで使用出来る製品、取付け力の低減等による車体への組付作業を容易にした製品、高強度な締結機能を有する製品、廃車後の車体解体作業の作業性向上を考慮した製品などが標準タイプとして、新型車よりグローバルで横展開しております。
また、近年は環境問題へ対応した燃費改善のための軽量化にも積極的に取り組んでおります。
利便性を向上させた内装部品のネットフック等の開発も行っており、お客様の使い勝手を考慮、追求した製品の開発を行っております。
低価格で高品質な製品をグローバルに提供できるよう、海外子会社との情報交換を行い、製品開発に反映しております。
また、EV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)向け部品について、銅材料や難燃性樹脂材料を用いたバッテリーやモーター関連の開発を行っております。
(3)小型ユニット関連
車室内の開閉する物入れ等に、その機構部品であるラッチシステム、ダンパー、ヒンジ等を供給しています。なかでも代表的物入れであるグローブボックスにおいて長年供給をしているラッチシステムは、改良を重ねながらお客様の要求に答え続けております。また、ソフトオープンさせるためのダンパーや、最近ではグローブボックスの閉じフィーリング向上ならびに走行中の雑音低減に繋がるスプリング内蔵クッションの開発も行ってきました。この結果、上記主要3商品は国内全乗用車メーカー、国内トラックメーカーの一部、ならびに海外でも北米、中国、アセアン、欧州と主要な地域にて多くのカーメーカーに採用されております。より良い品質と採用車種の拡大を目指し、継続した開発活動を実施しております。
(4)燃料系関連
樹脂タンク用バルブとしてロールオーバーバルブ、インレットチェックバルブ、フィルリミットベントバルブなど性能向上、コスト低減を狙った開発を継続しており、乗用車(軽を含む)を中心に新規客先・新規車種への採用も拡大を続けております。それに伴いインドネシア・中国・インドなど海外子会社での生産も拡大しております。
金属タンク用バルブとしては、性能向上、コスト低減を狙った標準部品や複合機能部品の開発を進めております。
環境問題に対しては、2K部品や高機能チェックバルブ、ハイブリッド車向けの製品など各国の法規対応に向けた新規開発を積極的に進めております。
(5)その他
環境問題に対しては、欧州廃車指令、欧州ROHS(ローズ)規制の管理を継続するとともに、日本自動車工業会の環境負荷物質に関する自主規制(車室内VOCの規制等)に対応した活動を進めています。欧州REACH規則に対応する取り組みでは、欧州拠点との連携を図って進めています。
製品価格の低減として海外地場材の採用を進める為、金属材料及び樹脂材料の機械的性質や性能評価を行い、製品への適用を増やす研究を続けています。更には材料の機能改良研究も積極的に進めています。
以上、自動車関連に関わる研究開発費は、
医療機器関連では、
2019年度に製品化したのは以下の4製品です。
(1)マイクロマジック(MicroMagic);血管内治療分野(抗がん剤投与)のデバイスで、術者に依存することなく、安定したW/O (Water in Oil)エマルションを精製出来る薬液混合用コネクタです。混合した薬剤が癌細胞に滞留する時間が長くなることで、治療成績の向上が期待できます。
(2)バイルラッシュセレクティブ経皮経肝用(BileRushSelective K type);既に臨床現場で好評を得ている内視鏡用胆管ステントと同じ細径デリバリーシステムを採用しており、屈曲部位への留置や複数本留置の手技的成功率の向上が見込める製品で、臨床での評価も良好です。
(3)レボウェーブPX(RvoWave PX);消化器内視鏡用のガイドワイヤで、様々な処置具を誘導するために使われるガイドワイヤです。既に国内の臨床現場で好評を得ている製品で、新規に国内承認を取り直し、CEマーク及び米国の承認も取得しました。米国での販売は、大手内視鏡メーカーを販売代理店とし供給を開始しました。
(4)シークマスター(SeekMaster);消化器内視鏡用のガイドワイヤ“レボウェーブ”の後継バージョンであり、明確な凹凸構造を取り入れた製品で、新しい開発システムの下、工程設計も見直し、非常に品質が安定した製品に仕上げました。優れたトルク伝達性、滑り耐久性及び末梢選択性を発揮することが可能です。19年度下期に製品化しました。20年度の販売強化製品となります。
基礎技術開発としては、医療機器の性能を大きく左右する表面状態をコントロールする研究を継続しております。また、消化器内視鏡用ガイドワイヤでは、基幹技術に育成するため、新しい材料、製造装置を導入し技術の蓄積を進めています。これらの成果の一部は2020年度以降の新製品に適用する予定です。
品質管理システムとしてFDA(日本の厚労省に相当する、米国政府機関)基準に対応した新しい開発システムに載せて開発初期より運用した第一弾の製品が“シークマスター”となります。効率的な商品開発が出来る体制へ生まれ変わり、特徴のある商品開発を進めていきます。
以上、医療機器関連に関わる研究開発費は、