当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高が前期比26億78百万円(10.3%)増の287億46百万円、営業利益が同2億37百万円(5.2%)増の48億05百万円、経常利益が同1億38百万円(2.8%)増の50億27百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同15百万円(0.5%)減の30億15百万円となりました。
なお、セグメント別の状況につきましては、以下のとおりであります。
当社の溶射加工においては、半導体・液晶分野の受注が超微細化・高精細化要求に伴い年度前半に大きく拡大したほか、産業機械分野でも高速鉄道用絶縁ベアリング等の加工が好調に推移し、当セグメントの売上高は前期比27億56百万円(14.4%)増の219億32百万円、セグメント利益(経常利益)は同6億97百万円(18.3%)増の45億20百万円となりました。
PVD処理加工(国内連結子会社、日本コーティングセンター株式会社)の売上高は、自動車関連・切削工具の受注が概ね堅調に推移したことなどから、前期比28百万円(1.5%)増の19億77百万円となりましたが、減価償却費等が増加したことにより、セグメント利益(経常利益)は同51百万円(15.9%)減の2億72百万円となりました。
TD処理加工の売上高は、原油価格の下落によるシェールガス関連部品のパイプ生産低迷や自動車用金型の新作が減少したことから受注が低迷し、前期比78百万円(8.9%)減の8億02百万円となりました。
ZACコーティング加工の売上高は、商品群の一部を溶射加工に切り替えた影響と石油化学や鉄鋼業界のボイラパネルなどの大型受注案件が獲得できなかったことにより、前期比42百万円(9.5%)減の4億05百万円となりました。
PTA処理加工の売上高は、ポンプ部品や自動車部品向けの加工が減少し、前期比63百万円(14.9%)減の3億64百万円となりました。
海外連結子会社については、超微細化・高精細化の半導体・液晶分野を取り扱う漢泰国際電子股份有限公司が好調に推移したことなどにより、海外連結子会社の売上高合計は前期比76百万円(2.4%)増の32億62百万円となりました。
以上の結果、溶射加工、PVD処理加工以外のセグメントの売上高の合計は、前期比1億07百万円(2.2%)減の48億35百万円、セグメント利益(経常利益)の合計は、同38百万円(6.2%)減の5億84百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ18億63百万円増加し、78億27百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各活動別のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度比11百万円(0.3%)減の45億33百万円となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益46億88百万円、減価償却費15億60百万円、減損損失3億23百万円、退職給付に係る負債の増加額2億88百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額5億85百万円、仕入債務の減少額1億46百万円、法人税等の支払額17億94百万円であります。
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度比39億93百万円(81.7%)減の8億95百万円となりました。
支出の主な内訳は、定期預金の預入による支出27億42百万円、有形固定資産の取得による支出35億88百万円、投資有価証券の取得による支出13億60百万円であり、収入の主な内訳は、定期預金の払戻による収入48億00百万円、有価証券の償還による収入20億00百万円であります。
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度比2億67百万円(18.1%)増の17億42百万円となりました。
支出の主な内訳は、短期借入金の純減少額3億94百万円、長期借入金の返済による支出3億81百万円、配当金の支払額11億00百万円であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 前年同期比 | |||
生産高(千円) | 生産高(千円) | 金額(千円) | 増減率 | |||
溶射加工 |
| 19,176,002 |
| 21,932,757 | 2,756,754 | +14.4 |
半導体・液晶製造装置用部品への加工 | 8,380,975 |
| 10,069,996 |
| 1,689,020 | +20.2 |
産業機械用部品への加工 | 3,752,075 |
| 4,071,997 |
| 319,922 | +8.5 |
鉄鋼用設備部品への加工 | 3,041,403 |
| 3,437,685 |
| 396,281 | +13.0 |
その他の溶射加工 | 4,001,548 |
| 4,353,078 |
| 351,529 | +8.8 |
PVD処理加工 |
| 1,949,218 |
| 1,977,718 | 28,499 | +1.5 |
報告セグメント 計 | 21,125,221 | 23,910,475 | 2,785,253 | +13.2 | ||
TD処理加工 | 880,857 | 802,805 | △ 78,051 | △8.9 | ||
ZACコーティング加工 | 448,511 | 405,938 | △ 42,573 | △9.5 | ||
PTA処理加工 | 427,699 | 364,152 | △ 63,547 | △14.9 | ||
その他のセグメント | 3,185,783 | 3,262,725 | 76,942 | +2.4 | ||
その他 計 | 4,942,851 | 4,835,621 | △ 107,229 | △2.2 | ||
合 計 | 26,068,072 | 28,746,096 | 2,678,023 | +10.3 | ||
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額は、販売価格(税抜き)によっております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 前年同期比 | |||
受注高(千円) | 受注高(千円) | 金額(千円) | 増減率 | |||
溶射加工 |
| 19,909,172 |
| 21,733,828 | 1,824,655 | +9.2 |
半導体・液晶製造装置用部品への加工 | 9,005,006 |
| 9,673,040 |
| 668,033 | +7.4 |
産業機械用部品への加工 | 3,773,538 |
| 4,223,985 |
| 450,447 | +11.9 |
鉄鋼用設備部品への加工 | 3,185,627 |
| 3,402,479 |
| 216,851 | +6.8 |
その他の溶射加工 | 3,945,000 |
| 4,434,322 |
| 489,322 | +12.4 |
PVD処理加工 |
| 1,950,708 |
| 1,976,745 | 26,036 | +1.3 |
報告セグメント 計 | 21,859,881 | 23,710,573 | 1,850,692 | +8.5 | ||
TD処理加工 | 871,913 | 797,313 | △ 74,600 | △8.6 | ||
ZACコーティング加工 | 417,410 | 430,039 | 12,628 | +3.0 | ||
PTA処理加工 | 430,532 | 355,670 | △ 74,861 | △17.4 | ||
その他のセグメント | 3,557,728 | 3,049,471 | △ 508,256 | △14.3 | ||
その他 計 | 5,277,584 | 4,632,494 | △ 645,089 | △12.2 | ||
合 計 | 27,137,465 | 28,343,068 | 1,205,602 | +4.4 | ||
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額は、販売価格(税抜き)によっております。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (平成27年3月31日) | 当連結会計年度 (平成28年3月31日) | 前年同期比 | |||
受注残高(千円) | 受注残高(千円) | 金額(千円) | 増減率 | |||
溶射加工 |
| 2,497,107 |
| 2,298,178 | △ 198,928 | △8.0 |
半導体・液晶製造装置用部品への加工 | 1,288,987 |
| 892,031 |
| △ 396,956 | △30.8 |
産業機械用部品への加工 | 291,888 |
| 443,876 |
| 151,988 | +52.1 |
鉄鋼用設備部品への加工 | 602,092 |
| 566,887 |
| △ 35,205 | △5.8 |
その他の溶射加工 | 314,138 |
| 395,383 |
| 81,244 | +25.9 |
PVD処理加工 |
| 35,157 |
| 34,185 | △ 972 | △2.8 |
報告セグメント 計 | 2,532,265 | 2,332,363 | △ 199,901 | △7.9 | ||
TD処理加工 | 26,195 | 20,702 | △ 5,492 | △21.0 | ||
ZACコーティング加工 | 31,648 | 55,749 | 24,101 | +76.2 | ||
PTA処理加工 | 62,561 | 54,079 | △ 8,481 | △13.6 | ||
その他のセグメント | 1,190,970 | 977,716 | △ 213,253 | △17.9 | ||
その他 計 | 1,311,374 | 1,108,247 | △ 203,126 | △15.5 | ||
合 計 | 3,843,640 | 3,440,611 | △ 403,028 | △10.5 | ||
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額は、販売価格(税抜き)によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 前年同期比 | |||
販売高(千円) | 販売高(千円) | 金額(千円) | 増減率 | |||
溶射加工 |
| 19,176,002 |
| 21,932,757 | 2,756,754 | +14.4 |
半導体・液晶製造装置用部品への加工 | 8,380,975 |
| 10,069,996 |
| 1,689,020 | +20.2 |
産業機械用部品への加工 | 3,752,075 |
| 4,071,997 |
| 319,922 | +8.5 |
鉄鋼用設備部品への加工 | 3,041,403 |
| 3,437,685 |
| 396,281 | +13.0 |
その他の溶射加工 | 4,001,548 |
| 4,353,078 |
| 351,529 | +8.8 |
PVD処理加工 |
| 1,949,218 |
| 1,977,718 | 28,499 | +1.5 |
報告セグメント 計 | 21,125,221 | 23,910,475 | 2,785,253 | +13.2 | ||
TD処理加工 | 880,857 | 802,805 | △ 78,051 | △8.9 | ||
ZACコーティング加工 | 448,511 | 405,938 | △ 42,573 | △9.5 | ||
PTA処理加工 | 427,699 | 364,152 | △ 63,547 | △14.9 | ||
その他のセグメント | 3,185,783 | 3,262,725 | 76,942 | +2.4 | ||
その他 計 | 4,942,851 | 4,835,621 | △ 107,229 | △2.2 | ||
合 計 | 26,068,072 | 28,746,096 | 2,678,023 | +10.3 | ||
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
東京エレクトロン宮城㈱ | 4,794,263 | 18.4 | 5,003,637 | 17.4 |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
世界的なスマートフォン需要減や鉄鋼市況回復問題、為替や資源価格動向による日本メーカーの業績や設備投資へのマイナス影響が懸念されており、当社を取り巻く環境はより厳しくなるものと見込んでおります。
こうした状況のもと以下の諸施策を実施して、経営の安定と収益力の継続的確保を図ってまいります。
産官学連携および有力企業との技術交流・提携を更に進め、表面改質のリーディングカンパニーとして顧客満足度の高いオンリーワン技術の創出に鋭意取り組みます。また、加工プロセスの改善や合理化を全社横断的に取り組んでおり、一層のコストダウンを推進してまいります。
航空機、新素材、環境・エネルギー、医療分野など今後の市場拡大が期待される分野に、当社がこれまで蓄積してきた多くのアプリケーションを応用展開することにより、新市場の開拓と表面改質技術の認知向上を図ってまいります。
海外の半導体・液晶分野や鉄鋼分野においては、新皮膜開発と品質の安定化を中心に海外子会社および技術供与先との連携を強化してグローバルレベルの競争力を高めていくことにより、メンテナンスサービスの拡大を目指します。またこれ以外の分野でもエネルギー関連を中心としたニーズもあり、海外での着実なビジネスモデル作りを進め収益源の多様化を進めてまいります。
さらに、国内子会社である日本コーティングセンター株式会社との技術連携を強化し、当社グループ全体の技術力や製品品質の向上に努め、マーケットシェア拡大を図っていく方針であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、下記事項のうち、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの主力である溶射加工の中で、平成13年3月期以降、半導体・液晶製造装置分野の売上高が大幅に増加し、平成28年3月期には連結ベースの総売上高に占める割合は35.0%となっております。
当社におきましては、半導体・液晶製造装置への溶射皮膜の適用拡大について日々開発を進めており、現状では、半導体・液晶製造装置の新規設備投資の動向と、当社の半導体・液晶関連業界向けの売上動向とは、必ずしも連動しているとは言えないと考えられます。
また、既に納入された装置部品へのメンテナンス需要や非溶射部品の溶射化等の開拓を進め、半導体装置メーカー向けの受注変動による影響を最小限に止めるよう努力してまいる考えであります。
しかしながら、半導体・液晶関連業界の市況や、関連装置の需要動向が悪化した場合には、装置メーカー等からの受注減や値下げ要請によって、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、半導体・液晶製造装置が溶射を必要としない構造に変更された場合にも、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
溶射加工は、当社のような専業者だけでなく、材料メーカーやメタリコン業者が手がけているほか、大手機械メーカー等が製造プロセスの一部として自社内で溶射加工を行っている場合もあります。これらの大手機械メーカー等は、生産能力的にオーバーフローした場合や、自社で技術対応できない場合、自社に当該溶射装置を保有しない場合などに当社をはじめとする溶射加工業者に委託しておりますが、これらの大手機械メーカー等が全面的に溶射加工を内製化したり、内製化の比率を高めたりした場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは顧客から被加工品を受け入れて、当該被加工品に表面改質を行なっていることから、主要顧客の近隣に加工工場を設けるなど、顧客密着型の事業展開を行なっておりますが、主要顧客が生産拠点を海外等に移転させた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(注) メタリコン業者とは、構造物等の防食目的で、亜鉛、アルミニウム及びそれらの合金溶射による加工を行なう企業をいいます。
当社グループの東京エレクトロン株式会社グループへの販売依存度(総売上高に占める同社グループへの売上高の割合)は高水準であるため(平成28年3月期については29.3%)、同社グループの半導体・液晶製造装置等の生産動向や同社グループからの受注動向が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
契約会社名 | 相手方の名称 | 国名 | 内容 | 契約期間 |
当社 | 東華隆(広州)表面改質技術有限公司 | 中国 | 溶射加工に関する技術供与 | 契約開始日(平成23年12月1日)から5年間 |
当社 | 東賀隆(昆山)電子有限公司 | 中国 | 溶射加工に関する技術供与 | 平成24年4月1日から |
当社 | 漢泰国際電子股份有限公司 | 台湾 | 溶射加工に関する技術供与 | 契約開始日(平成23年6月17日)から5年間 |
当社 | NEIS & TOCALO | タイ | 溶射加工に関する技術供与 | 平成25年2月1日から |
当社 | PT. TANAKA MACHINERY | インドネシア | インドネシアにおける鉄鋼分野製品に関する溶射加工の技術供与 | 契約開始日(平成27年8月1日)から3年間 |
当社 | 漢泰科技股份有限公司 | 台湾 | 溶射加工に関する技術供与 | 契約開始日(平成22年4月1日)から6年間 |
当社 | 上海宝鋼工業技術服務有限公司 | 中国 台湾 | 溶射加工に関する技術供与 | 平成28年1月1日から |
当社 | 大新メタライジング㈱ | 韓国 | 溶射加工に関する技術供与 | 契約開始日(平成20年6月2日)から8年間 |
当社 | 第一WINTECH㈱ | 韓国 | 溶射加工に関する技術供与 | 契約開始日(平成22年10月21日)から6年間 |
当社 | ATS Techno Pvt. Ltd. | インド | 溶射加工に関する技術供与 | 契約開始日(平成25年3月1日)から5年間 |
当社 | HAN TAI VIETNAM | ベトナム | 溶射加工に関する技術供与 | 契約開始日(平成25年11月1日)から5年間 |
当社 | NxEdge Inc. | 米国 | 溶射加工に関する技術供与 | 平成22年3月23日から |
溶射加工に関する技術供与 | 契約開始日(平成24年7月1日)から5年間 | |||
当社 | SMS Siemag AG | ドイツ | 溶射加工に関する技術供与 | 契約開始日(平成23年5月16日)から5年間 |
当社 | SMS Siemag | 中国 | 中国における鉄鋼分野製品に関する溶射加工の技術供与 | 契約開始日(平成26年4月1日)から3年間 |
当社 | SMS Technical | 米国 | 米国、カナダ、メキシコにおける鉄鋼分野製品に関する溶射加工の技術供与 | 契約開始日(平成26年4月1日)から3年間 |
当社 | DUMA-BANDZINK GmbH. | ドイツ | ブラジル、ロシア、インドにおける鉄鋼分野製品に関する溶射加工の技術供与 | 契約開始日(平成23年5月16日)から5年間 |
EU諸国(英国除く)における鉄鋼分野製品に関する溶射加工の技術供与 | 契約開始日(平成26年10月1日)から6年間 | |||
当社 | Oerlikon Metco | ドイツ | ヨーロッパにおける鉄鋼分野製品に関する溶射加工の技術供与 | 契約開始日(平成26年11月1日)から3年間 |
(注) 上記については、ロイヤリティーとして販売価格の一定率を受取るほか、イニシャルペイメントを受取っている場合もあります。
当社は、「No.1 & Only 1 技術・サービスの創出で世界をリード」を研究開発の理念とし、表面改質技術を軸足とするOnly 1 コア技術の継続的な自主創造と、コア技術やその周辺技術を含め独創的なNo.1 商品・サービスの開発を進めております。これにより表面改質技術をコアとする顧客満足度の高い総合ソリューションの徹底追及とその実現に努めております。
当社の成長戦略は「新商品の開発および新市場の創出」にあり、半導体・液晶、新素材、エネルギー・環境、輸送機、医療分野を中心とした先行研究と具体的な顧客ニーズに即応する商品開発の2本柱で推進しております。また、以下の3点を重点研究開発領域としております。
① 溶射技術開発(一般産業機械・装置全般の部材開発、コーティングプロセス開発)
② 半導体部品化技術(溶射技術等による半導体・液晶パネル向け製造装置部品等の開発)
③ 薄膜プロセス(PVD、CVD、DLC、TD、ZAC)、有機コーティングの応用展開
当社グループの研究開発活動は溶射技術開発研究所が中心となって推進し、産学連携推進によるオープンイノベーションと人的交流によるグローバル化を推進することで、研究開発の加速と共に早期の事業化を目指しております。即応性が求められる商品開発や生産技術的な課題につきましては、各工場の生産技術部門と溶射技術開発研究所とが相互に協調することで、顧客ニーズへの迅速な対応を行っています。なお、薄膜プロセスに関しましては、連結子会社の日本コーティングセンター株式会社とも協調して研究開発を進めております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は8億62百万円であり、セグメントごとの主な内容は次のとおりであります。なお、当社グループの研究開発費につきましては、事業セグメントへの配分が困難なものも多いため、セグメントごとの研究開発費の金額は記載しておりません。
溶射加工技術は当社事業の中核をなすものであり、先端技術のインフラ的要素をもつ素材やエネルギー、輸送機分野における高機能部材に対する溶射による表面改質技術の開発を推し進めております。半導体・液晶製造装置用部品への加工におきましては、プラズマエッチング装置部材や高機能静電チャック部材の開発に注力しております。プラズマエッチング装置部材では、ナノレベルの配線幅に対応するコーティングが求められており、従来のアルミナ(Al2O3)やイットリア(Y2O3)溶射皮膜に代わる新たな材料やプロセスの開発を進めています。また、重要な半導体製造装置部品である静電チャック部材にも様々な機能要求があり、これら次世代静電チャックに対しても開発体制を強化して実用化に取り組んでおります。
産業機械用部品への加工におきましては、エネルギー・環境関連設備となる石炭焚きボイラ発電設備の効率向上または設備のメンテナンス期間延長に寄与する新規皮膜の開発や実機評価を行っています。その他、LNG火力発電、水力発電、地熱発電、風力発電、2次電池製造装置部材等につきましても、顧客要求に応じた様々な皮膜開発を行っています。輸送機関連では、鉄道用ベアリングの他、自動車用部材の製造装置または車載部品への要素試験、近年注目されております航空機業界におきましてはジェットエンジンを初めとする様々な部品への溶射適用を目的とした要素開発試験を進めております。また、新素材分野におきましては、非鉄金属部材やCFRP素材に対する皮膜開発なども進めています。鉄鋼用設備部品への加工におきましては、高炉メーカーの高張力鋼板がより一層、高機能化するとともに生産性の向上が同時に求められており、これに対応すべく高機能皮膜の開発を積極的に行っています。その他、常に高品質が求められる自動車用めっき鋼板や電気めっき鋼板など各種ニーズに対応する高機能皮膜の開発を行っています。
連結子会社の日本コーティングセンター株式会社では、主にPVD(物理蒸着)処理被膜の開発を行っております。前期に新たなPVD被膜として実用化した「Lunass(ルーナス)」は表面が非常に平滑であり、機械部品に発生する焼きつきやかじりを防止できることから採用が拡大しています。また、切削工具や金型に対するPVD被膜におきましても、新たな顧客ニーズに応えるべく被膜開発を行っています。当期は、トーカロ明石工場内にDLCコーティング加工を主とした工場の稼働を開始いたしました。ここでは、高精度な製品へ適用されるDLCコーティング「スリック-NANO」、従来のDLC被膜よりも密着性、耐久性に優れる「Neo-スリック」などを開発し、実機への適用を進めております。
当社では溶射加工以外に、TD処理加工やZACコーティング加工、PTA処理加工等、機能皮膜の継続的な商品開発を行っております。このうち、特に重点研究領域に位置づけている薄膜プロセス、有機コーティングにおきましては様々な研究開発を進めております。
有機コーティングでは、撥水性や親水性、すべり性、非粘着性などの機能に特化した適用開発を様々な分野で展開しています。また溶射技術と複合することで、より高機能な皮膜開発にも寄与しています。医療分野におきましては有機コーティングによる生体組織の焦げ付き防止、先に述べた親水性や撥水性を生かした用途開発を含めていくつかの検証試験を進めております。
事業を継続する上で欠かすことのできない産業財産権(主に特許権)の確保につきましては、当社単独または顧客との特許共同出願などを通じて、開発技術および皮膜商品の権利化に努めております。当連結会計年度の実績は、特許出願36件、特許登録25件であります。
当連結会計年度末における総資産は379億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億45百万円増加いたしました。また、負債は89億21百万円(前連結会計年度末比5億73百万円の減少)、純資産は290億70百万円(前連結会計年度末比19億18百万円の増加)であります。
当連結会計年度末における流動資産の残高は208億29百万円で、前連結会計年度末に比べ6億97百万円減少しております。主な要因は、受取手形及び売掛金の増加5億44百万円、現金及び預金の減少2億06百万円、有価証券の減少10億00百万円であります。
なお、当連結会計年度末における流動比率(流動資産の流動負債に対する割合)は264.4%(前連結会計年度末は256.8%)で、当社グループの短期債務に対する支払能力は十分であると判断しております。
当連結会計年度末における固定資産の残高は171億62百万円で、前連結会計年度末に比べ20億42百万円増加しております。主な要因は、借地権の減損処理などによる無形固定資産の減少3億69百万円、当社名古屋工場の移転による設備投資や本社移転用地(神戸市中央区)の購入などによる有形固定資産の増加20億95百万円、インドネシア現地法人への出資などによる投資その他の資産の増加3億17百万円であります。
なお、当連結会計年度末における固定比率(固定資産の純資産に対する割合)は59.0%(前連結会計年度末は55.7%)、固定長期適合率(固定資産の長期資本(純資産と固定負債の合計)に対する割合)は57.0%(前連結会計年度末は53.5%)であり、当社グループの設備投資の現状に関しましては、問題のない水準であると判断しております。
当連結会計年度末における流動負債の残高は78億76百万円で、前連結会計年度末に比べ5億06百万円減少しております。主な要因は、短期借入金の減少4億05百万円であります。
当連結会計年度末における固定負債の残高は10億45百万円で、前連結会計年度末に比べ66百万円減少しております。主な要因は、退職給付に係る負債の増加2億88百万円、長期借入金の減少1億72百万円、繰延税金負債の減少1億80百万円であります。
当連結会計年度末における純資産の残高は290億70百万円で、前連結会計年度末に比べ19億18百万円増加しております。これは主に、利益剰余金が19億13百万円、非支配株主持分が1億21百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末の1株当たり純資産は1,827円70銭(前連結会計年度末比118円23銭の増加)、自己資本比率は73.1%(前連結会計年度末比2.2ポイントの上昇)となりました。今後も50%以上の自己資本比率を維持することで、健全な財務体質を確保していくことが、当社グループにとりまして重要であると判断しております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、日銀の金融政策などの効果が下支えし景気の緩やかな回復が期待されたものの、年度後半に入り中国を初めとしたアジア新興国などの海外景気の下振れや急激な為替変動により経済停滞が長期化するリスクが強まり、企業収益や設備投資に減速の兆候が現れてきました。
このような状況のもと、当社主要の溶射加工部門では、半導体・液晶分野向け加工において、半導体回路の超微細化やスマートフォンやタブレットに搭載される中小型パネルの高精細化の要求に伴い、新規開発の高機能皮膜の採用が進み、前期比で増収となりました。また、産業機械分野向け加工も中国高速鉄道用ベアリングや火力発電向けボイラへの溶射需要が堅調に推移いたしました。鉄鋼分野向け加工は、中国を発端とする世界的な「鉄冷え」の厳しい環境の中、設備更新需要を取り込み、前期比微増を確保いたしました。その他の分野は、石油化学プラント向けが好調に推移したほか、電炉メーカーやガラス窯業向けが前期好調の反動で減少したものの全体としては増収を維持することができました。
当社の溶射周辺技術部門においては、ZACコーティング加工では商品群の一部を溶射加工に切替えた影響、またTD処理加工では自動車のモデルチェンジが少なかったことによる新作金型の減少などの影響でともに減収となりました。
連結子会社の売上高につきましては、国内では自動車分野向け切削工具が堅調な日本コーティングセンター株式会社の売上が大きく貢献いたしました。一方、海外では半導体市場の拡大に伴って漢泰国際電子股份有限公司(台湾)が好調に推移した反面、液晶価格の下落により東賀隆(昆山)電子有限公司(中国)が減収となりました。連結子会社全体としては前期比で微増となりました。
収益面においては、当社グループは生産効率を上げることなどによりコスト削減に努め、収益力向上に継続的に取り組んでまいりましたが、当連結会計年度につきましては、長期金利の低下に伴う退職給付費用の増加や、当社神戸工場深江分室における固定資産の利用計画の見直しに伴う減損損失の発生などにより、利益率が低下いたしました。
この結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は前期比26億78百万円(10.3%)増の287億46百万円、営業利益は前期比2億37百万円(5.2%)増の48億05百万円、経常利益は前期比1億38百万円(2.8%)増の50億27百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比15百万円(0.5%)減の30億15百万円となりました。
当連結会計年度の売上高は287億46百万円(前期比10.3%増)となりました。その内訳は、溶射加工が219億32百万円(前期比14.4%増、構成比76.3%)、PVD処理加工が19億77百万円(前期比1.5%増、構成比6.9%)、その他が48億35百万円(前期比2.2%減、構成比16.8%)となっております。
なお、セグメント別売上高の状況に関しましては、1「業績等の概要」の(1)業績を参照願います。
売上原価が190億19百万円、販売費及び一般管理費が49億21百万円となり、当連結会計年度の営業利益は48億05百万円(前連結会計年度の営業利益45億68百万円に比べ2億37百万円(5.2%)増)となりました。なお、売上高営業利益率は、前期比0.8ポイント減の16.7%であります。
当連結会計年度における営業外損益(収益)は、純額で2億22百万円となりました。この結果、経常利益は50億27百万円(前連結会計年度の経常利益48億89百万円に比べ1億38百万円(2.8%)増)となりました。なお、売上高経常利益率は、前期比1.3ポイント減の17.5%であります。
当連結会計年度におきましては、特別利益として固定資産売却益2百万円、特別損失として固定資産除売却損14百万円、減損損失3億23百万円等を計上いたしました結果、税金等調整前当期純利益は46億88百万円(前連結会計年度の税金等調整前当期純利益48億41百万円に比べ1億52百万円(3.1%)減)となりました。
当連結会計年度における実効税率(税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率)は31.3%で、当期純利益は32億21百万円となりました。非支配株主に帰属する当期純利益が2億06百万円となったため、親会社株主に帰属する当期純利益は30億15百万円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益30億30百万円に比べ15百万円(0.5%)減)となりました。また、1株当たり当期純利益金額は198円40銭(前連結会計年度199円41銭)、自己資本当期純利益率(ROE)は11.2%(前連結会計年度12.2%)であります。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は18億63百万円増加し、期末残高は78億27百万円となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
| 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 |
自己資本比率(%) | 68.2 | 72.9 | 70.8 | 70.9 | 73.1 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 83.1 | 69.8 | 74.1 | 93.5 | 81.0 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) | 51.4 | 35.6 | 50.6 | 26.6 | 13.3 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 94.9 | 85.0 | 88.3 | 116.3 | 149.6 |
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。