文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、溶射加工を中核とする表面処理加工の専業メーカーとして「技術とアイデア」「若さと情熱」「和と信頼」「グッド・サービス」を社是として掲げ、株主、取引先、社員、地域社会等あらゆるステークホルダーとの良好な信頼関係を基礎に、表面処理皮膜が持つ省資源化、省力化、環境負荷の低減等の諸機能を通じて社会に貢献し、「高技術・高収益体質の内容の充実した企業グループ」を実現することを経営の基本理念としております。
当社は、「高技術・高収益体質の内容の充実した企業グループ」を実現するため、以下の6項目を経営の基本方針として掲げております。
① 好不況に関係なく収益を確保できる「全天候型経営」を目指す。
② キャッシュ・フロー重視、バランスシート重視の経営により財務体質の強化を図る。
③ お客様のニーズに的確かつ迅速にお応えする「問題解決型企業」を目指す。
④ 常に高品質の高機能皮膜を追求し提供する「研究開発主導型企業」を目指す。
⑤ ステークホルダーとの信頼関係をより一層強化するため、コーポレート・ガバナンスの充実、環境保全への継続的な取り組みを行う。
⑥ グループ企業の自主的運営を尊重すると共に、グループ全体での相乗効果を追求し、企業価値の向上と持続的かつ健全な成長を目指す。
目標とする経営指標を達成するため、営業・製造・研究開発の各部門が三位一体となって次の方針で臨んでおります。
① 収益の柱となる需要分野と顧客を数多く確保する。
特定の需要分野、顧客、製品に依存しすぎ、それらの浮き沈みにより当社の収益が大きな影響を受けることがないよう、収益の柱となる分野および顧客等を常に数多く確保することに努めております。
② 「伸びる需要分野」「伸びる技術分野」に経営資源を集中させる。
将来の需要動向、技術動向を見据えて経営資源の集中を図ります。
③ 好不況に関係なく、技術開発、製品開発、市場開拓を途切れず継続する。
当社は、特に研究開発に注力し、好不況に関係なく売上高比3%前後の研究開発投資を継続する方針です。
④ 他社とは差別化した、中・小型製品を多数持ち、幅広い製品構成にする。
収益力向上のためには、価格競争に巻き込まれない独自の差別化製品を数多く開発することが不可欠と考えております。
当社グループは、収益性判断の指標として売上高経常利益率を、資本及び資産の効率性判断の指標として自己資本純利益率(ROE)および総資産経常利益率(ROA)を重視しており、それぞれの指標について連結ベースで15%以上の安定的達成を目標としております。これらの指標を設定する理由は、収益性と効率性の両立と株主重視のインセンティブを機能させることが当社グループの企業価値向上に繋がると考えるためであります。
ただし、上記記載の数値目標に関しては、当連結会計年度末現在において当社グループが判断した一定の前提に基づいたものであり、その達成を保証するものではありません。
米中貿易摩擦の深刻化や英国のEU離脱交渉など海外情勢の不透明感が一段と強まり、世界経済は減速基調が続いております。
このような中で当社グループを取り巻く事業環境は、半導体・FPD市場が調整局面に入ったためデバイスメーカーの設備投資が先送りされており、その影響が当社グループの業績にも一時的に及ぶと思われます。しかし、中長期における半導体需要は、5G通信、IoT、AI、自動運転などの社会変革に伴い重層的な広がりが予想されることから、当社グループは将来を見すえて生産能力の増強を行います。また、当社グループが理想とする「全天候型経営」を実践し持続的成長を続けるために、半導体・FPD分野はもとより、他分野においても新市場開拓と新技術開発に意欲的に取り組みます。具体的には以下の施策を実施して、経営の安定と収益力の強化を図ってまいります。
① 新商品・新技術の創出と生産効率の向上
大学などの研究機関や有力企業との技術交流・提携をさらに進め、表面改質のリーディングカンパニーとしてお客様満足度の高いオンリーワン技術の創出に鋭意取り組みます。また、生産の自動化・省力化、IoTの活用、工程改善などにより、生産性向上とコストダウンをさらに徹底します。
② 収益源の多角化
半導体・FPD分野に依存しすぎることなく、事業環境の変化に柔軟に適応するために、新素材、環境・エネルギー、輸送機器、医療分野などの有望な市場において、新市場の開拓と顧客価値の向上を積極的に図ります。
③ 海外での事業展開と子会社の技術力強化
欧米やアジアなど海外市場での事業を拡大するために、技術ライセンス先や海外企業との技術提携や開発協力を進めます。また、海外子会社との連携をさらに強化し、当社グループ全体の技術力と製品品質の向上に努めます。
④ ワークライフバランスの推進と労働生産性の向上
さらなる成長のために従業員の多様性と能力発揮が不可欠であり、個々の業務や生活スタイルに適した多様な働き方を取り入れるとともに職場環境や業務プロセスを見直し、仕事と生活の質の向上を図ります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、下記事項のうち、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの主力である溶射加工(単体)の中で、2001年3月期以降、半導体・FPD製造装置分野の売上高が大幅に増加し、2019年3月期には連結ベースの総売上高に占める割合は43.3%となっております。
当社におきましては、半導体・FPD製造装置への溶射皮膜の適用拡大について日々開発を進めており、現状では、半導体・FPD製造装置の新規設備投資の動向と、当社の半導体・FPD関連業界向けの売上動向とは、必ずしも連動しているとは言えないと考えられます。
また、既に納入された装置部品へのメンテナンス需要や非溶射部品の溶射化等の開拓を進め、半導体装置メーカー向けの受注変動による影響を最小限に止めるよう努力してまいる考えであります。
しかしながら、半導体・FPD関連業界の市況や、関連装置の需要動向が悪化した場合には、装置メーカー等からの受注減や値下げ要請によって、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、半導体・FPD製造装置が溶射を必要としない構造に変更された場合にも、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
溶射加工は、当社のような専業者だけでなく、材料メーカーやメタリコン業者が手がけているほか、大手機械メーカー等が製造プロセスの一部として自社内で溶射加工を行っている場合もあります。これらの大手機械メーカー等は、生産能力的にオーバーフローした場合や、自社で技術対応できない場合、自社に当該溶射装置を保有しない場合などに当社をはじめとする溶射加工業者に委託しておりますが、これらの大手機械メーカー等が全面的に溶射加工を内製化したり、内製化の比率を高めたりした場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは顧客から被加工品を受け入れて、当該被加工品に表面改質を行なっていることから、主要顧客の近隣に加工工場を設けるなど、顧客密着型の事業展開を行なっておりますが、主要顧客が生産拠点を海外等に移転させた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(注) メタリコン業者とは、構造物等の防食目的で、亜鉛、アルミニウム及びそれらの合金溶射による加工を行なう企業をいいます。
当社グループの東京エレクトロン株式会社グループへの販売依存度(総売上高に占める同社グループへの売上高の割合)は高水準であるため(2019年3月期については33.6%)、同社グループの半導体・FPD製造装置等の生産動向や同社グループからの受注動向が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、アジア・米国等にて海外事業を展開しております。そのため、事業展開している各国の文化、宗教、商慣習、社会資本の整備状況等の影響を受けるとともに、経済情勢、政治情勢および治安状態の悪化や急激な為替変動が、当社グループの財政状態および業績に影響を与える可能性があります。また、当社の連結財務諸表には、海外連結子会社の外貨建事業に係る為替換算リスクが存在します。
当社グループは、多様な業界に顧客を有し、溶射加工を中心とした表面改質加工を提供しており、それぞれの製品に合わせた品質管理体制のもと、製品を出荷しております。製品の不具合を防止するため、品質保証に関わる組織の充実を図るとともに、新たな品質管理手法を取り入れるなど体制の強化に努めております。
また、当社の品質不具合を原因として製造物責任賠償を請求されるような万一の事態に備えるため保険にも加入し、こうした事態の発生にともなう費用負担に対応しております。
しかしながら、品質的なクレームの内容や不具合の規模によっては製造業としての当社グループの評価の低下につながり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社は、新皮膜開発を通じて多くの新技術やノウハウを生み出しており、これらの知的財産を特許出願し、権利保護と経営資源としての活用を図っておりますが、特定の地域では十分な保護が得られない可能性や知的財産権の対象が模倣される可能性があり、知的財産権が侵害されるリスクがあります。また、当社グループが認識しない第三者の特許が既に成立しており、当該第三者より知的財産権を侵害しているとの事由により、損害賠償等の訴えを起こされた場合、当社グループの財政状態および業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは国内及び海外において事業を展開しており、台風、豪雨、地震、津波または火山活動等の自然災害や、事故、火災、テロ、ストライキ、騒乱等により、生産活動の停止、設備の損壊や給水・電力供給の制限等の不測の事態が発生する可能性があります。また、取引先においても同様に生産活動に支障をきたす可能性があり、いずれも長期間におよんだ場合には当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は前期比54億49百万円(16.0%)増の395億58百万円、営業利益は同6億31百万円(8.9%)増の77億41百万円、経常利益は同7億13百万円(9.7%)増の80億76百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同6億04百万円(12.5%)増の54億41百万円となりました。
なお、セグメント別の状況につきましては、以下のとおりであります。
半導体・FPD分野向け加工は、膨大な世界的メモリ需要に対応した半導体設備投資や中国で本格化した大型FPDの設備投資を背景として大幅に増加しました。また、高速鉄道用ベアリングの絶縁コーティングや火力発電所ボイラの大型溶射工事なども売上増加に寄与し、当セグメントの売上高は前期比42億17百万円(16.1%)増の304億00百万円、セグメント利益は同5億06百万円(8.4%)増の65億15百万円となりました。
好調を維持する日本自動車メーカーや中国・米国向け輸出が拡大した建設機械分野からの旺盛な需要を背景に、日本コーティングセンター株式会社において切削工具向けのPVD処理加工が堅調に推移し、当セグメントの売上高は前期比1億81百万円(7.8%)増の24億93百万円、セグメント利益は同43百万円(8.6%)増の5億45百万円となりました。
その他表面処理加工は、電池部品製造装置に対する非粘着コーティングの適用拡大や農業機械部品向けのTD処理加工が軌道に乗ったことなどにより、当セグメントの売上高は前期比2億33百万円(11.8%)増の22億04百万円、セグメント利益は同25百万円(20.4%)増の1億52百万円となりました。
また海外子会社の売上高は、台湾で半導体・FPD製造装置部品の溶射加工を行う漢泰国際電子股份有限公司をはじめとして、すべての海外連結子会社が増収となりました。その結果、当セグメントの売上高は前期比8億18百万円(22.5%)増の44億60百万円、セグメント利益は同89百万円(9.2%)増の10億64百万円となりました。
以上の結果、溶射加工(単体)、国内子会社以外のセグメントの売上高の合計は前期比10億51百万円(18.7%)増の66億65百万円、セグメント利益(経常利益)の合計は同1億15百万円(10.5%)増の12億16百万円となりました。
当連結会計年度末における総資産は、572億78百万円となり、前年度末に比べ46億14百万円(8.8%)増加いたしました。流動資産は現金及び預金の増加などにより、18億07百万円増加いたしました。固定資産につきましては、半導体分野を中心とした増産対応のための工場建屋の拡張整備や溶射加工設備の増強などによる有形固定資産の増加などにより、28億06百万円増加いたしました。
一方、負債は176億13百万円と前年度末比10億88百万円(6.6%)増加いたしました。これは当年度末に長期借入れをしたことなどによるものであります。
また、純資産は396億65百万円と前年度末比35億25百万円(9.8%)増加いたしました。これは主に利益剰余金が36億17百万円増加したことによるものです。この結果、当期末の1株当たり純資産は617円80銭(前年度末比55円68銭の増加)、自己資本比率は65.6%(前年度末比0.7ポイントの上昇)となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、上記の前年度末比較については、当該会計基準等を遡って適用した後の前年度の数値で比較しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前年度末に比べ34億06百万円増加し、122億13百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各活動別のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、前期比4億33百万円(5.7%)増の80億44百万円となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益80億78百万円、減価償却費26億58百万円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額23億56百万円、たな卸資産の増加額3億57百万円であります。
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、前期比63百万円(1.4%)減の46億17百万円となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出69億43百万円、収入の主な内訳は有価証券の償還による収入20億00百万円であります。
当連結会計年度における財務活動の結果獲得した資金は、40百万円(前年度は22億17百万円の使用)となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入29億00百万円、支出の主な内訳は配当金の支払額18億22百万円であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額は、販売価格(税抜き)によっております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額は、販売価格(税抜き)によっております。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額は、販売価格(税抜き)によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績に関する分析等
当連結会計年度におけるわが国経済は、2019年に入ってからは製造業を中心に景況感が悪化したものの、2012年12月からの景気拡大が戦後最長を更新するなど、総じて緩やかな成長が続きました。
このような状況のもと当社グループの売上高は、データセンター向け半導体やテレビ用大型FPD(フラットパネルディスプレイ)の設備投資が活発であった年前半において、受注が激増した半導体・FPD分野向け溶射加工がフル生産となり、全体の売上を押し上げました。また、高速鉄道向けベアリングやエネルギー分野の溶射加工が大きく伸長したほか、鉄鋼、産業機械などの各分野も高い水準を維持したことにより、前期比で大幅な増収となりました。
利益面においても、急激な受注増への迅速な対応と設備更新等による生産性の向上に努めた結果、過去最高益を更新することができました。
当連結会計年度の売上高は395億58百万円(前期比16.0%増)となりました。セグメント別の内訳は、溶射加工(単体)が304億00百万円(前期比16.1%増、構成比76.8%)、国内子会社が24億93百万円(前期比7.8%増、構成比6.3%)、その他が66億65百万円(前期比18.7%増、構成比16.9%)となっております。
売上原価が257億97百万円、販売費及び一般管理費が60億19百万円となり、当連結会計年度の営業利益は77億41百万円(前連結会計年度の営業利益71億10百万円に比べ6億31百万円(8.9%)増)となりました。なお、売上高営業利益率は、前期比1.2ポイント減少の19.6%であります。
当連結会計年度における営業外損益(収益)は、純額で3億34百万円となりました。この結果、経常利益は80億76百万円(前連結会計年度の経常利益73億63百万円に比べ7億13百万円(9.7%)増)となりました。なお、売上高経常利益率は、前期比1.2ポイント減少の20.4%であり、前期に引き続き目標とする15%を達成いたしました。セグメント別の内訳は、溶射加工(単体)が65億15百万円(前期比8.4%増、売上高経常利益率21.4%)、国内子会社が5億45百万円(前期比8.6%増、売上高経常利益率21.9%)、その他が12億16百万円(前期比10.5%増、売上高経常利益率18.3%)となっております。
また、当連結会計年度における総資産経常利益率(ROA)は14.7%(前年度15.2%)であります。目標とする15%に近い水準を維持しております。
当連結会計年度におきましては、特別利益として固定資産売却益22百万円、投資有価証券売却益54百万円、保険解約返戻金7百万円、特別損失として固定資産除売却損36百万円、減損損失47百万円を計上いたしました結果、税金等調整前当期純利益は80億78百万円(前連結会計年度の税金等調整前当期純利益71億67百万円に比べ9億10百万円(12.7%)増)となりました。
当連結会計年度における実効税率(税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率)は28.1%で、当期純利益は58億04百万円となりました。非支配株主に帰属する当期純利益が3億63百万円となったため、親会社株主に帰属する当期純利益は54億41百万円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益48億36百万円に比べ6億04百万円(12.5%)増)となりました。また、1株当たり当期純利益は89円51銭(前年度79円56銭)、自己資本純利益率(ROE)は15.2%(前年度14.9%)であり、目標とする15%を達成いたしました。
②財政状態に関する分析等
財政状態に関する認識及び分析・検討内容は下記となります。なお、資産については、事業セグメントに配分していないため、財政状態についてのセグメント別内訳は記載しておりません。
当連結会計年度末における流動資産の残高は277億49百万円で、前連結会計年度末に比べ18億07百万円増加しております。主な要因は、現金及び預金の増加34億25百万円、有価証券の減少20億00百万円であります。
なお、当連結会計年度末における流動比率(流動資産の流動負債に対する割合)は207.7%(前連結会計年度末は184.5%)で、当社グループの短期債務に対する支払能力は十分であると判断しております。
当連結会計年度末における固定資産の残高は295億29百万円で、前連結会計年度末に比べ28億06百万円増加しております。主な要因は、半導体分野を中心とした増産対応のための工場建屋の拡張整備や溶射加工設備の増強などによる有形固定資産の増加であります。
なお、当連結会計年度末における固定比率(固定資産の純資産に対する割合)は74.4%(前連結会計年度末は73.9%)、固定長期適合率(固定資産の長期資本(純資産と固定負債の合計)に対する割合)は67.2%(前連結会計年度末は69.2%)であり、当社グループの設備投資の現状に関しましては、問題のない水準であると判断しております。
当連結会計年度末における流動負債の残高は133億62百万円で、前連結会計年度末に比べ6億91百万円減少しております。主な要因は、電子記録債務の減少9億86百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加3億80百万円等であります。
当連結会計年度末における固定負債の残高は42億50百万円で、前連結会計年度末に比べ17億80百万円増加しております。主な要因は、長期借入金の増加16億53百万円であります。
当連結会計年度末における純資産の残高は396億65百万円で、前連結会計年度末に比べ35億25百万円増加しております。これは主に、利益剰余金が36億17百万円増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末の1株当たり純資産は617円80銭(前連結会計年度末比55円68銭の増加)、自己資本比率は65.6%(前連結会計年度末比0.7ポイントの上昇)となりました。今後も50%以上の自己資本比率を維持することで、健全な財務体質を確保していくことが、当社グループにとりまして重要であると判断しております。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は34億06百万円増加し、期末残高は122億13百万円となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
※「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号平成30年2月16日)を当連結会計年度から適用しており、2015年3月期から2018年3月期における総資産の額については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値を用いております。
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
④資産の財源及び資金の流動性に関する認識等
当社グループの運転資本や設備投資に係る財源としましては、営業活動により得られる資金以外に、資金需要に応じた金融機関からの借入を基本としております。
手許資金の流動性につきましては、適正な水準の現預金残高を維持するよう財務部門での資金計画に基づいた管理を行なっておりますが、運転資金の効率的な調達のため、取引銀行と30億円の貸出コミットメント契約を締結しております。
(注) 上記については、ロイヤリティーとして販売価格の一定率を受取るほか、イニシャルペイメントを受取っている場合もあります。
当社は、「No.1 & Only 1 技術・サービスの創出で世界をリード」を研究開発の理念として、表面改質技術を軸足とするOnly 1 コア技術の継続的な自主創造と、コア技術やその周辺技術を含め、独創的なNo.1 商品・サービスの開発を進めております。これにより表面改質技術をコアとする顧客満足度の高い総合ソリューションの徹底追及とその実現に努めております。
当社の研究開発は、将来を見通した先行研究と顧客ニーズに即応する商品開発の2本柱で推進しております。また、以下の3点を重点研究開発領域としております。
① 溶射技術開発(一般産業機械・装置全般の部材開発、溶射プロセス開発)
② 半導体部品化技術(溶射技術等による半導体・FPD製造装置部品等の開発)
③ 成膜プロセス開発(レーザ応用、PVD、CVD、DLC、TD、ZAC)、有機コーティング
当社グループの研究開発活動は溶射技術開発研究所が中心となって推進し、新プロセス、新皮膜の開発、技術トレンドの把握や産学連携強化を進めるとともに、要素技術の抽出や応用、技術情報の収集などを通じて学術的な感性を高め、研究開発のレベル向上を図っています。一方、多様化する顧客ニーズへの即応性が求められる商品開発や生産技術的な課題につきましては、各工場の営業、製造、生産技術部門と溶射技術開発研究所が相互に連携することで、迅速な対応を行っています。なお、PVD(物理蒸着)やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの薄膜プロセスに関しましては、連結子会社の日本コーティングセンター株式会社とも協調して研究開発を進めております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は
当社は持続的な成長の実現に向けて、半導体・FPD、新素材や環境・エネルギー、輸送機、医療などを中心に、高機能部材に対する表面改質技術の適用開発を推し進めております。このうち、半導体分野におきましては、製造装置メーカ部品向け耐プラズマ・コーティング技術や静電チャックの開発を継続しております。特に半導体製造装置であるプラズマエッチング装置部品向けでは、IoT化やビッグデータ活用を背景としてナノレベルの配線幅を持つ集積回路の生産に対応できる高性能なコーティングが求められており、新材料や新成膜プロセス、またはその評価技術に注力した対応を行いました。新素材分野におきましては、高炉メーカ向けに、高張力鋼板の製造に使用される炉内ロールに対し、異物付着特性を有する皮膜開発、フィルムメーカや紙・パルプ業界では、搬送用ロールへの超鏡面皮膜の開発などを継続して行いました。環境・エネルギー分野におきましては、ガスタービン発電機などの高温部材を保護する高性能な遮熱セラミックス皮膜を開発するため、懸濁液を溶射材料とするサスペンション溶射機を導入して皮膜開発を進めました。この溶射法は世界的にも注目されており、皮膜組織を柱状構造に制御することで、低い熱伝導率と優れた耐熱衝撃特性を両立した皮膜を得ることができます。その他、輸送機関連では、航空機の次世代ジェットエンジン向け皮膜の試作開発を進めています。
溶射とレーザ技術を融合した皮膜開発にも積極的に取り組んでおり、従来の溶射皮膜では達成できなかった密着力や耐摩耗性または耐食性が飛躍的に向上したコーティングの試作を進めることができました。すでに、特定の顧客に対しましてはコーティング提供を開始しており、これらのコーティングの性能評価を行いつつ積極的に商品展開を進めてまいります。
国内子会社の日本コーティングセンター株式会社では、主にPVDやDLC被膜の開発を行っております。当年度は切削工具用PVD被膜として潤滑性と耐熱・耐酸化性を兼ね備えた「ジュピターコート」を新たに開発し、主に自動車部品加工を行う顧客へ提供して高い評価を得ています。また、DLC被膜では、ESD(静電気放電)対策として、表面抵抗値を所定の範囲に制御した「THOR(トール)スリック」を開発し、半導体業界の顧客へ展開を図りました。その他、EB-PVD装置による酸化物被膜やマイクロ波プラズマCVD装置によるダイヤモンド被膜など、新たな機能性被膜の開発に向けた取り組みを開始いたしました。
当社では溶射加工以外に、TD処理加工やZACコーティング加工、PTA処理加工等、機能皮膜の継続的な商品開発を行っております。このうち、有機系・無機系薄膜の開発では、医療系分野をターゲットとした機能性薄膜の適用試験を進めており、生体や血液に対する非付着性コーティング開発や撥水性・親水性を応用した医療器具への応用、耐食性コーティングの開発・評価などを進めました。また、新規成膜プロセスとなるレーザクラッディング技術ですが、耐摩耗性や耐食性に優れたコーティング施工技術の向上を図ることで、工場への製造移管とあわせて一般産業機械分野を中心に実機製品への適用拡大を進めました。今後も、各工場の技術スタッフと連携を図りながら、レーザ技術を応用したコーティング開発を積極的に進めてまいります。
当社グループは積極的な特許出願によって、開発技術および皮膜商品の権利化に努めております。当連結会計年度の実績は、特許出願37件、特許登録19件であります。