第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、広く社会や環境に貢献する存在であるために、次の企業理念と企業ミッションのもと、商品・サービスなどの事業活動を通じて価値創造の実現を目指し、企業活動を進めております。

 

[企業理念]

『あなたと共に夢・・・新たなライフシーン・・・を実現し、お客様に喜んでいただけるコロナ』

~快適・健康で環境にやさしい心豊かな生活になくてはならないコロナでありたい~

 

[企業ミッション]

■快適で心はずむ毎日

体感できる快適に加え、暮らしにゆとりや彩りを。

つかう人の心の満足も生み出します。

 

■環境にやさしい暮らし

日々の暮らしを環境にやさしいものに。

毎日つかうものだから、エネルギーを効率よく利用し、地球環境に配慮します。

 

■だれでもいつでも安心な社会

だれでもつかいやすく、いつでも安心を。

事業を通じて、安心でレジリエンスな社会の実現に貢献します。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

今後のわが国経済は、雇用・所得環境の改善が期待されるなど、緩やかな回復基調が続くことが考えられます。一方で、原材料・エネルギー価格の高止まりや物価上昇、海外経済の下振れリスクなどによる経済活動や国民生活への影響は今後も継続することが予想されます。

住宅関連機器業界においては、住宅の省エネ化に関する政府の支援制度があるものの、建築費用の上昇や日本銀行のマイナス金利政策の解除等による新設住宅着工への影響が懸念されます。また、中長期的には世帯数の減少や住宅の長寿命化による新設住宅着工戸数の減少が予想されるほか、脱炭素社会の実現に向け、住宅や住宅関連機器は省エネ性向上など環境に対する配慮が一層求められることが見込まれます。

当社グループを取り巻く市場環境は、地球環境問題や社会課題解決に向けた関心の高まり、脱炭素社会に向けたエネルギー変化、人口減少や国内市場の成熟化、行動様式の変化やデジタル化・AIなどの技術革新、自然災害の多発などの変化が生じております。

このような状況のもと、当社グループは持続可能な社会に向けた「2026ビジョン」の実現を目指し、利益ある成長経営と新規領域への挑戦に取り組むための第9次中期経営計画を推進してまいります。また、調達面では調達先の拡大などのリスク分散を図り、今後も安定的な生産・供給活動の推進に向けて努めてまいります。

 

 

[コロナグループ中期経営戦略](2022年度~2026年度)

ブランドスローガン「つぎの快適をつくろう。CORONA」をより一層前に進め、当社グループの描くこれからの快適を実現するために、創業90周年を見据えた中期経営戦略を策定しております。

これまでの領域を超え、壁を取り払い、持続可能な社会の実現に向けた2026ビジョンを策定し、「CORONA」と「Action」を掛け合わせた「CORONAction.(コロナクション)」を旗印に、つぎの快適をつくるアクションを起こしてまいります。

 

■2026ビジョン

●脱炭素社会への貢献 レジリエンスな社会

環境問題解決への貢献、平時・有事を問わず健康的な生活を継続できるレジリエンス性の高い商品・サービスの提供

●快適の進化 暮らしの質向上

日常の様々なシーンにおける「快適さ」「楽しさ」を生み出す商品・サービスの提供

●利益体質への転換

経営課題である高コスト体質の改善

 

■第9次中期経営計画(2022年度~2024年度)

持続可能な社会の実現に向けた「2026ビジョン」の実現を目指し、「変わる、そして挑む」をスローガンに、利益ある成長経営と新規領域への挑戦に取り組むための中期経営計画を推進してまいります。

 

基本戦略

1.ヒートポンプ/電化事業の拡大

再生可能エネルギーを活用した環境配慮型機器の開発・普及拡大、エネルギーの多様化に合わせた研究開発、商品・サービス開発

2.「楽」から「楽しい」への事業領域拡大

家の中・家の外における快適で楽しい暮らしの提供に向けた事業の育成・拡大、商品・サービス開発

3.業務合理化による高コスト体質からの脱却

管理間接業務の効率化・生産性向上による固定費の削減、開発のスピードアップ

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、最近の業績動向及び今後の見通し等を勘案し、第9次中期経営計画(2022年度~2024年度)において、目標とする経営指標である連結売上高、連結経常利益、連結経常利益率を見直しております。

 

 

2024年度目標

連結売上高

85,000百万円

連結経常利益

1,600百万円

連結経常利益率

1.9%

 

(注) 上記経営指標は有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス

当社グループは、事業活動を通じて社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値向上を目指していくことが重要と考えており、コロナグループサステナビリティ方針のもと、マテリアリティ(重要課題)への取組を全社で進めております。

サステナビリティに関する課題への取組に当たっては、2023年4月1日より当社グループのサステナビリティ推進について議論・検討するための専門的な体制として、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、活動方針の議論や活動推進状況のモニタリング等を実施するとともに、必要に応じて対応策を検討しております。なお、サステナビリティ委員会で協議・決定された事項は、定期的に取締役会に報告され、取締役会はそれらの状況等を的確に捉え、監督・指示を行います。

 

(2) サステナビリティ全般に関するリスク管理

当社グループは、事業活動における様々なリスクの発生を事前に把握し対応策を講じるとともに、万が一リスクが発生した場合に被る被害を回避又は最小化することを目的としてリスク管理委員会を設置しております。リスク管理委員会は執行役員会に併設し、代表取締役社長を委員長として、全社リスクを網羅的に把握した上で対策状況のチェックを定期的に実施するなど、経営の健全性・安定性を確保するための取組を進めております。

また、気候変動関連リスクのようなサステナビリティに関する項目については、関係部門によるリスク・機会の影響度評価を実施しており、その内容について、サステナビリティ委員会とリスク管理委員会にて連携し、情報共有や重要項目の特定、対応策を策定・実行しております。

 

サステナビリティ推進体制図


 

 

(3) 重要なサステナビリティ項目

上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

・気候変動

・人的資本

それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 

① 気候変動

当社グループは、気候変動に伴う自然環境の変化や資源の枯渇等は、取り組むべき重要な社会課題と捉えており、長期間にわたり当社グループの事業活動に大きな影響を与えると考えております。当社グループは、2023年3月にTCFD(※1)提言への賛同を表明するとともにTCFDコンソーシアム(※2)へ加盟し、気候関連情報開示の充実、将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、事業への影響及び課題解決に向けた取組を推進しております。

また、経済産業省が主導する「GXリーグ」(※3)へ2024年度より参画いたします。「GXリーグ」参画企業は、世界全体でのカーボンニュートラルの実現に向けて、自らがカーボンニュートラルの実現に取り組むとともに、様々なステークホルダーと協働しながら、変革に向けた取り組みを先導する役割が求められます。当社グループは、環境に配慮した製品・サービスを提供するとともに、当社グループの事業活動において、温室効果ガス排出量・廃棄物の削減など地球環境保全に取り組んでまいります。

 

 


※1 TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)とは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)が2015年に設立。Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略。

 


※2 TCFDコンソーシアムとは、TCFDに関する企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断につなげるための取組について、議論を行うことを目的に2019年設立。

 


※3 GX(グリーントランスフォーメーション)リーグとは、2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、GXヘの挑戦を行い、現在及び未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が同様の取組を行う企業群を官・学と共に協働していくことを目的に2022年設立。

 

 

イ 戦略

当社グループは、将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、事業への影響を把握するため、TCFDが推奨するシナリオ分析を実施し、気候変動に関するリスクを移行リスク・物理的リスクの2つのカテゴリーに分類して、事業活動に重要な影響を及ぼす可能性がある主要なリスク項目を特定しております。

なお、当社グループでは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)等のシナリオを参考に、パリ協定の目標である「2℃未満」と、CO2排出量削減が不十分な「4℃」の2つのシナリオを想定し、それぞれのシナリオにおいて気候変動がもたらすリスク及び機会、事業への影響等について分析を行っております。

 

 

当社グループのリスク・機会の概要と事業及び財務への影響度

区分

種類

想定される気候変動関連リスク・機会

時間軸

影響度

2℃

未満

4℃

移行

政策・

法規制

温室効果ガス排出に関する規制の強化及びカーボンプライシングなどによる原材料調達難やコスト増加

中期

市場

化石燃料製品の市場縮小に伴う売上・利益減少

短期

技術

厳格化する省エネ基準への対応コスト増加及び対応遅れによる売上・利益減少

短期

評判

環境課題への対応の遅れによるレピュテーションリスク

長期

物理的

急性

自然災害の激甚化によるサプライチェーンの寸断と事業活動停止

中期

機会

製品・

サービス

環境配慮型省エネ製品(主にヒートポンプ)の需要増加

短期

防災用品としてレジリエンス性が高い製品の需要増加

中期

市場

海外市場における省エネ製品の需要増加

中期

資源

効率化

DX等のデジタル技術の進歩による製造・流通プロセスの効率化

中期

 

 

なお、気候変動に関するリスク及び機会に対処するための主な取組は、以下のとおりであります。

a. CO2排出量・エネルギー使用量の削減

2050年度温室効果ガス排出量ネットゼロを目指した「CO2排出量削減ロードマップ」を策定し、新潟県内8工場において、LED電球への切替えや効率の高い生産設備への更新、井水式クーラーの設置など積極的な省エネ活動を推進しております。

 

b. 環境配慮型省エネ製品の需要増加への対応

第9次中期経営計画基本戦略1「ヒートポンプ/電化事業の拡大」のもと、エアコンなどのヒートポンプ式冷暖房機器やエコキュートなど、暮らしの基盤となる暖房・空調・給湯においてCO2排出量削減に寄与する事業の拡大を推進しております。

 

c. 非常時におけるレジリエンス性が高い製品の需要増加への対応

当社グループは、非常時でも日常生活を維持できるようにすることは住宅設備機器メーカーの使命であると考えております。平時も有事も健康的な生活を継続できる高いレジリエンス性を持つ機器を提供し、安心な社会へ貢献してまいります。

・エコキュート:停電時や断水時でも使用できる機能や災害警報発令時のタンク湯増し・給水機能の搭載

・石油燃焼機器:有事の際にポータブル電源で運転できる石油ファンヒーターや石油給湯機の発売

 

加えて当社グループは、2℃未満シナリオ及び4℃シナリオのいずれのシナリオ下においても、中長期視点からレジリエンス性の高い戦略を強化してまいります。そのため、「2026ビジョン」や中期経営計画において、リスクに対しては適切な対応策を策定する一方、機会に対しては市場環境等の変化を見据えた積極的な対応を推進するなど、新たな成長機会の獲得を目指してまいります。

 

 

ロ 指標と目標

a. 気候変動関連リスク・機会の管理に用いる指標

当社グループは、気候変動関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3温室効果ガス排出量を指標として定めております。

 

2022年度実績

Scope1・2温室効果ガス排出量(連結)

(注)1

Scope3温室効果ガス排出量(単体)

(注)2

 


 


 

(注) 1.Scope1・2温室効果ガス排出量の算定期間を連結財務諸表の報告期間と同様の期間へ見直したことに伴い、2015年度以降の温室効果ガス排出量については、算定期間見直し後の数値を記載しております。

2.Scope3温室効果ガス排出量の算定方法を見直したことに伴い、2021年度以降の温室効果ガス排出量については、算定方法見直し後の数値を記載しております。

3.Scope3温室効果ガス排出量を売上高で除して算出した「温室効果ガス排出量原単位」の基準年度(2021年度)比の改善率

 

b. 気候変動関連リスク・機会の管理に用いる目標及び実績

当社グループは、脱炭素社会の実現に向け、「2030年度にScope1・2温室効果ガス排出量40%削減」、「2050年度までにScope1・2温室効果ガス排出量ゼロ」を目標として設定し、毎年度の数値目標を設定したロードマップに基づき取り組んでおります。なお、Scope3温室効果ガス排出量の削減目標については検討段階であります。

 

当社グループは、2015年度のScope1・2温室効果ガス排出量を基準として、中長期の温室効果ガス排出量削減目標を設定しております。

Scope1・2

単位

2015年度

2030年度

2050年度

温室効果ガス排出量

t-CO2

19,057

11,434

0

削減量(2015年度比)

△7,623

△19,057

温室効果ガス削減目標

 

△40%

△100%

 

(注) 基準年度である2015年度の温室効果ガス排出量を見直したことに伴い、2030年度の温室効果ガス排出量及び削減量(2015年度比)、2050年度の削減量(2015年度比)を修正しております。

 

 

② 人的資本

イ 戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

人材育成方針

当社グループは、女性の活躍促進をはじめ、当社グループで働く全ての人々の多様な個性を尊重するとともに、従業員一人ひとりを“かけがえのない財産”と捉え、新たな企業価値創出の源泉と考えております。

また、それぞれの従業員が持つ能力や技術が十分に発揮され、引き継がれていくよう、OJTが継続的に実施される環境整備や人間関係の構築、Off-JTによる教育機会の提供、従業員が自発的に学ぶための仕組みづくり・環境づくりを行うことで従業員の成長を促してまいります。

 

社内環境整備方針

当社グループは、各社における安全衛生活動の充実を図ることで、従業員が日頃より“安全・安心”な状態で働ける職場環境づくりを進めております。

また、当社グループで働く全ての人々のワーク・ライフ・バランスを重視し、より多様な働き方が実現できるよう、仕事と育児・介護との両立支援制度を充実させることで男女ともに働きやすい環境を整備してまいります。

 

なお、人材育成及び社内環境整備に関する主な取組は、以下のとおりであります。

a. 女性活躍の推進

女性の活躍を促進するため、女性従業員の職種や業務内容等職域の拡大を図ることにより、新卒採用者に占める女性の割合を高める取組を進めるとともに、従業員に対する公平な評価を念頭に置きながら女性従業員を役職者へと積極的に登用していくよう取り組んでおります。

 

b. 安全・安心な職場環境づくり

従業員の安全・安心な職場環境づくりを実現するため、長時間労働の防止に努めつつ、生産拠点においては安全衛生委員会を組織し、安全教育や定期的な安全パトロール等を行っております。

 

c. ワーク・ライフ・バランスの推進

従業員がワーク・ライフ・バランスのとれた働き方ができるよう、年次有給休暇の取得や男性従業員の育児休業の取得に向けた啓発を行うとともに、育児や介護を行う従業員のライフスタイルを複数パターン想定し、始業・終業時刻と就業時間の調整を可能とする柔軟な働き方ができるような育児・介護制度を設けております。

 

上記に加え、連結グループにおける主要な事業を営む当社においては、会社と従業員とのつながりの強さを把握し、従業員の働きがいを高めていくため、エンゲージメントサーベイを開始するとともに、人材育成の面では各階層の役割に応じた教育や自己啓発制度の運用等を行っております。

 

 

ロ 指標及び目標

当社グループでは、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

指標

目標(2025年度)

実績(当連結会計年度)

新卒採用に占める女性労働者の比率

30以上を維持

20.9

労働災害発生件数

0

6

男性労働者の育児休業取得率

100

100

年次有給休暇取得率

70以上を維持

70.6

 

 

 

指標

目標(2027年度)

実績(当連結会計年度)

女性正規雇用労働者に占める役職者比率

18.0

15.0

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。ただし、これらは当社グループに関するリスクを網羅したものではなく、記載した事項以外に予見しがたいリスクも存在します。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 経営環境に関するリスク

① 業績の季節変動について

当社グループの2024年3月期の製品の種類別の連結売上高構成比は、暖房機器32.2%、空調・家電機器16.1%、住宅設備機器43.7%、その他8.0%でした。暖房機器は秋から冬にかけての第3四半期に売上が集中する傾向にあります。結果、下表のとおり当社グループの売上高及び利益が第3四半期に集中する傾向にあります。また、暖房機器及び空調・家電機器の売上高は気候や気温の影響を受ける可能性があり、当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても常にあるものと認識しております。

当社グループでは、季節変動に対する速やかな生産・販売活動面の対応に加え、住宅設備機器の売上高構成比を高めることで、気候による業績の変動を少なくするよう努めております。

なお、当連結会計年度における四半期ごとの売上高、経常利益は以下のとおりであります。

 

期別

売上高(百万円)

 

経常利益(百万円)

構成比(%)

第1四半期

17,875

21.8

△257

第2四半期

19,343

23.6

281

第3四半期

30,133

36.7

2,798

第4四半期

14,693

17.9

△1,055

通期

82,046

100.0

1,767

 

 

② 灯油価格の変動について

石油暖房機及び石油給湯機の燃料は灯油であり、灯油以外のエネルギーを熱源とする機器とも激しく競合しており、灯油価格の高騰によって灯油を熱源とする製品の買い控えや他熱源への転換が進む可能性があります。

当社グループでは、市況の変動や灯油製品を使用している顧客のライフスタイル・嗜好の変化についてのマーケティング活動を行っておりますが、灯油価格の変動が顕著になった場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。灯油価格は、原料である原油価格の動向に大きく影響を受けます。原油価格は、産油国の生産動向や国際紛争、景気動向及び為替相場に左右されることから、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても常にあるものと認識しております。

 

③ 気候変動に関する規制について

世界的な地球温暖化に対する関心の高まりを受け、日本政府及び関連業界における脱炭素社会の実現に向けた動きが加速しております。当社グループは、石油燃焼機器の製造・販売を主力事業の一つとしているため、政府による環境問題への対応や規制強化が進むと、将来的には化石燃料を使用する製品の製造・販売が規制されるおそれがあり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、持続可能な社会の実現へ貢献するため、再生可能エネルギーを利用する製品やエネルギー効率が高く環境負荷の低い製品の開発を積極的に進めております。また、自社の事業活動において、温室効果ガス排出量削減目標を設定し、環境負荷低減を目指した取り組みを推進しております。

 

 

(2) 事業活動に関するリスク

① 市場の競合状況について

<当社グループの製品種類別競合状況>

暖房機器

:既に成熟した市場であり、各商品群で数社が競合しており、価格政策の影響を受けております。

空調・家電機器

:多国籍企業との厳しい価格競争が一段と激化しております。

住宅設備機器

:多様な競合相手が存在し、価格や機能を含む様々な要素で競争しております。また、新設住宅着工戸数やリフォーム市場、エネルギー政策及び電気・石油等の熱源に係る消費者ニーズの動向の影響を受けております。

 

当社グループでは、最近の省エネや節電、環境に対する消費者の関心の高まりを受け、電気・石油等を使用する暖房機器、空調・家電機器、住宅設備機器に関して、市場競争力のある高付加価値商品の研究・開発を進めるとともに、更なるコストリダクションに取り組んでおります。また、販売エリア・チャネル別の差別化戦略を推進し、シェアアップと高付加価値機種の販売強化のため、流通や販売店及びハウスメーカーやリフォーム業者などに対し積極的に提案活動を行っております。

しかしながら、今後、競合状況、市場規模又は消費者ニーズ等に大幅な変化が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。日本国内の暖房機器、空調・家電機器、住宅設備機器の市場環境は厳しい状況が続いていることから、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても常にあるものと認識しております。

 

② 製品の品質について

当社グループは、すべての製品において創業以来蓄積された技術やノウハウを基礎に、安全に配慮した商品開発を行うとともに、品質保証規定に基づいた製品の品質管理を徹底し、高い品質水準の保持に努めております。

しかしながら、将来にわたりすべての製品において予期せぬ欠陥による品質クレームが発生しない保証はありません。万が一に備えて製造物責任賠償保険に加入しておりますが、大規模なリコールや製造物責任賠償が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 原材料等の価格変動及び調達について

当社グループは、原材料や部品等を複数の取引先から調達しております。原材料の価格は、主要需要国等の景気動向と需給のバランス、また世界レベルでの相場動向や為替の動き等によって変動するため、原材料価格及び原油価格の変動が顕著となった場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、複雑さや特殊性から購入先が少数に限定されている部品があるほか、取引先において、自然災害、感染症の流行、事故、経営状況の悪化等の影響を受けるおそれがあり、原材料及び部品等購入先からの納入遅延が発生した場合には、当社グループにおいても生産及び製品の納入に遅れが生じる等、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、原材料の計画的な手配や材料仕様の見直し等、価格変動の影響を最小限にとどめるよう努めることに加え、部品等の調達に関しては、調達先の拡大や代替品検討等のリスク回避策を講じておりますが、原材料及び部品等の調達は、国際的な政治・経済動向、商品相場や為替変動の影響を受けることから、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても常にあるものと認識しております。

 

④ 知的財産について

当社グループは、現在の事業活動及び将来の事業展開に有用な知的財産権取得に努める一方、第三者の知的財産権についても侵害することのないよう適時適切に調査検討し、問題発生の防止を図っております。

しかしながら、当社グループが知的財産権に関し第三者から訴訟を提起される場合や、自らの知的財産権保全のために訴訟を提起しなければならない場合等により、多額の訴訟費用が費やされる可能性があります。また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが特定の技術を利用できない、又は多額の損害賠償責任を負うおそれがあり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクの極小化に努めておりますが、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても相応にあるものと認識しております。

 

 

(3) 災害等に関するリスク

当社グループにおける生産拠点は、当社の3工場及び子会社の5工場すべてが新潟県内に存在しております。一拠点への過度の集中を避けるため、上記各工場は新潟県内の各地域に分散させ、災害により一部工場の生産能力が低下した場合でも、他工場に人員や生産設備等を速やかに移動させ、災害による損失が軽減できるような体制を敷いております。物流面では、全国5箇所に物流センターが存在しており、製品供給におけるリスク低減を図っております。また、事業継続計画(BCP)の策定と継続的な見直しを行い、災害に対する影響を最小限にするよう努めております。

しかしながら、地震、風水害、雪害等、新潟県全域に影響を及ぼすような大規模災害が発生した場合には、生産能力が著しく低下するおそれがあります。また、被害が国内外の広範囲にわたる場合には、部品メーカーからの納入遅延や物流網の寸断等で、事業活動に大きな損失が発生することにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。近年、世界各地で自然災害が発生していることに加え、日本においては、地形、気象等の自然的条件から、地震、風水害、雪害等による災害が発生しやすい国土とされております。また、気候変動に起因した自然災害の激甚化傾向も高まっていることから、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても常にあるものと認識しております。

 

(4) 感染症に関するリスク

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のように未知の感染症が世界的に流行した場合には、部品メーカーからの納入遅延や物流網の寸断等で、事業活動に大きな損失が発生するほか、貴重な人的資源に重大な影響を与え、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクが顕在化する可能性を常に認識し、政府や都道府県等関係機関の指針に沿った感染拡大防止策の徹底をはじめとして、従業員に対する安全衛生に関する意識・知識向上のための注意喚起、WEB会議や時差出勤、在宅勤務等の実施による感染抑制策を講じております。また、状況に応じて、感染症対策会議を開催し、従業員と家族の安全確保、事業活動の継続に関する全社方針の決定及び速やかな対応を実施しております。

 

(5) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、事業を通してお客様の個人情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報を保有しております。これらの情報に関して、当社グループの想定を超えるウイルス感染やサイバー攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性があり、その脅威は年々高まっております。万が一、これらが発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。サイバー攻撃等社外からの脅威は年々高度化、巧妙化していることから、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても常にあるものと認識しております。

当社グループでは、情報セキュリティを確保するための基本方針、管理体制、従業員への教育・啓蒙活動、法令及び契約遵守等について情報セキュリティポリシーを定めるとともに、情報セキュリティに関する社内規定・社内管理体制やルールを整備のうえ、これらの対策強化を行っております。

 

(6) 人財に関するリスク

当社グループは、従業員を“かけがえのない財産”であると捉え、それぞれの従業員が持っている能力、多様性を発揮してもらうことで新たな価値を創造し、企業・従業員の成長に繋がると考えております。

当社グループでは、新規採用、中途採用を通じて人財の確保に努めるとともに、仕事と家庭生活を両立させ「安心して健康に働ける職場づくり」を進めておりますが、優秀な人財を採用することができない場合や、人財の流出を防止できない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 資金運用に関するリスク

当社は、当社グループ資金の有効活用の観点から、運用を行っております。

運用に当たっては、当社内の資金運用管理規定を遵守し、当社ポートフォリオの範囲内で安全性の高い国内外の債券等で運用しております。なお、外国債券に関しましては、リスクの分散と安定的な運用を基本方針とし、仕入債務に対する為替変動リスクの軽減も図っております。

当社では、資金運用リスクを最小限に抑えるため、取締役会の決議により運用限度額(運用枠)、リスク許容範囲、売却判断基準等を定めるリスク管理を行っております。しかしながら、為替リスク、金利リスク及び信用リスク等により、当社グループの事業、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクは国内外の経済・金融環境の影響を受けることから、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても常にあるものと認識しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績

① 当期の経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の5類感染症への移行に伴い、経済社会活動の正常化に向けた動きが進んだ一方で、原材料・エネルギー価格や物価の上昇、旅行やイベントなど外出増加に伴う消費行動の変化、耐久消費財に対する節約志向の継続など、依然として不透明な状況で推移しました。

住宅関連機器業界においては、新設住宅着工戸数は前年を下回るなど弱含みで推移しました。

このような状況の中、当社グループは持続可能な社会の実現に向けた「2026ビジョン」を策定し、第9次中期経営計画のもと、3つの基本戦略「ヒートポンプ/電化事業の拡大」「『楽』から『楽しい』への事業領域拡大」「業務合理化による高コスト体質からの脱却」の取り組みを進めました。「ヒートポンプ/電化事業の拡大」においては、大手家電メーカーに家庭用燃料電池コージェネレーションシステム用の貯湯タンクユニットを供給したほか、ヒートポンプ機器の部品生産設備の新たな導入にも着手しました。また、「『楽』から『楽しい』への事業領域拡大」においては、暮らしの楽しみや可能性を“外へ広げる”という意味を込めた新ブランド「OUTFIELD(アウトフィールド)」から小型のポータブル石油ストーブ等を発売したほか、2021年に運行を終了した上越新幹線「Maxとき」モデルの衣類乾燥除湿機や加湿フィルターを除菌する深紫外線LEDを搭載した大能力タイプの加湿器を発売するなど、事業領域の拡大や暮らしの質・快適性の向上を目指した商品開発に取り組みました。

また、2024年1月1日に発生した能登半島地震においては、当社グループの事業運営に大きな影響を及ぼす被害はありませんでした。なお、被災地へは石油暖房機の寄付支援を行いました。

これらの取り組みにより、当連結会計年度における経営成績は、売上高82,046百万円(前期比3.9%減)、売上原価64,005百万円(前期比3.9%減)、販売費及び一般管理費16,685百万円(前期比1.0%減)、営業外収益422百万円(前期比0.1%増)、営業外費用11百万円(前期比68.1%減)、特別利益59百万円(前期比8.8%増)、特別損失26百万円(前期比87.8%減)、法人税等合計492百万円(前期比23.1%減)となりました。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、それぞれ1,355百万円(前期比28.7%減)、1,767百万円(前期比22.8%減)、1,306百万円(前期比11.9%減)となりました。

 

(製品の種類別売上高)

最近5連結会計年度における製品の種類別売上高の推移

(単位:百万円)

 

区分

製品の種類別売上高

合計

暖房機器

空調・家電機器

住宅設備機器

その他

2020年3月

23,663

18,060

30,452

6,534

78,711

2021年3月

26,286

18,778

31,054

5,527

81,646

2022年3月

25,110

15,494

31,553

6,489

78,648

2023年3月

27,532

14,012

36,993

6,797

85,335

2024年3月

26,398

13,231

35,870

6,545

82,046

 

 

 

<暖房機器>

暖房機器の売上高は、26,398百万円(前期比4.1%減)となりました。

新商品である暖房性能の向上とデザインをリニューアルした寒冷地向け石油暖房機の最上位モデル「AGRATIO(アグレシオ)」や灯油使用量を抑制する省エネ機能を全機種に拡大した石油ファンヒーターなどを軸にした生産・販売活動に取り組みましたが、暖冬の影響もあり、暖房機器全体は前期を下回りました。

 

<空調・家電機器>

空調・家電機器の売上高は、13,231百万円(前期比5.6%減)となりました。

ルームエアコンは消費者の買い控えやメーカー間の販売競争の激化などの影響もあり、前期を下回りました。一方、除湿機は業界初となる除湿機本体とサーキュレーターが分離できる商品、加湿器は新商品である大能力タイプを軸に販売拡大に向けた活動に取り組み、前期を上回りました。しかしながら、需要期におけるルームエアコンの販売減少が影響し、空調・家電機器全体は前期を下回りました。

 

<住宅設備機器>

住宅設備機器の売上高は、35,870百万円(前期比3.0%減)となりました。

エコキュートは太陽光発電の余剰電力活用における「コロナ快適ホームアプリ」との連携など省エネ性や快適性を向上させたほか、政府の補助金活用等による積極的な販売活動に取り組み、前期を上回りました。しかしながら、石油給湯機においては販売が好調であった前年の反動があったほか、新設住宅着工戸数の減少や消費者の買い控えなどもあり、住宅設備機器全体は前期を下回りました。

 

(売上原価)

売上原価につきましては、原材料価格は高止まりで推移したものの、原価低減の取組及び製品価格への転嫁などにより、売上原価率は前期と同様の78.0%となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費の主な減少要因につきましては、物流費が105百万円、人件費が92百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 

(営業外損益)

営業外収益につきましては、有価証券売却益が33百万円、持分法による投資利益が26百万円それぞれ減少した一方、受取利息が9百万円、営業外収益のその他が47百万円それぞれ増加したことなどにより、前期と同水準となりました。営業外費用の主な減少要因につきましては、前期に計上した有価証券売却損31百万円が当期は発生しなかったことによるものであります。

 

(特別損益)

特別利益の主な増加要因につきましては、投資有価証券売却益が5百万円増加したことによるものであります。特別損失の主な減少要因につきましては、投資有価証券売却損が46百万円減少したほか、前期に計上した和解金167百万円が当期は発生しなかったことによるものであります。

 

当社グループは、コロナグループ中期経営戦略(2022年度~2026年度)のもと、持続可能な社会の実現、利益ある成長経営と新規領域への挑戦に取り組むための第9次中期経営計画(2022年度~2024年度)を推進しております。

当連結会計年度におきましては、原材料・エネルギー価格の上昇、住宅設備機器や空調・家電機器の販売減少などにより、連結売上高、連結経常利益、連結経常利益率はいずれも前年度を下回る結果となりました。

当社グループを取り巻く市場環境は、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題に記載のとおり、様々な変化が生じております。また、競合他社メーカーとの販売競争の激化や、足下では原材料・エネルギーコストの高止まりや労務費の上昇が想定されるなど、計画策定当初より市場環境が変化しております。

 

 

このような状況や最近の業績動向等を受け、第9次中期経営計画の最終年度の数値目標である連結売上高88,700百万円、連結経常利益2,000百万円、連結経常利益率2.3%につきまして、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3)目標とする経営指標に記載のとおり見直しております。数値目標の達成に向けては、第9次中期経営計画で掲げた各種戦略を引き続き推進してまいります。また、経営環境下において生じた課題については、迅速に対応してまいります。

 

② 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、住宅関連機器事業のみの単一セグメントとなるため、生産、受注及び販売の実績については、セグメント情報ではなく、製品の種類別区分ごとに記載しております。

 

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

 

製品の種類別区分

金額(百万円)

前期比(%)

暖房機器

28,813

3.3

空調・家電機器

12,872

△2.2

住宅設備機器

32,839

△4.8

その他

1,207

2.5

合計

75,734

△1.3

 

(注) 金額は平均販売価格によって表示しております。

 

b. 受注実績

当社グループは、概ね見込生産方式を採っていますので、受注の状況については記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

製品の種類別区分

金額(百万円)

前期比(%)

暖房機器

26,398

△4.1

空調・家電機器

13,231

△5.6

住宅設備機器

35,870

△3.0

その他

6,545

△3.7

合計

82,046

△3.9

 

(注) 当連結会計年度には、販売実績が総販売実績の10%以上を占める相手先はありません。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループは、経営成績に重要な影響を与える可能性のある事象として、気候や気温の変動、原材料価格の変動等を事業等のリスクとしております。なお、詳細につきましては、第2[事業の状況]3[事業等のリスク]をご覧ください。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

 

(2) 財政状態

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産の残高は、前連結会計年度末と比べ803百万円減少し、57,032百万円となりました。これは現金及び預金が2,110百万円、電子記録債権が401百万円、商品及び製品が1,695百万円それぞれ増加した一方、有価証券が5,203百万円減少したことが主な要因であります。

現金及び預金につきましては、棚卸資産の増加などにより減少した一方、債券の償還などにより増加しております。なお、現金及び預金の詳しい内容につきましては、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]④[連結キャッシュ・フロー計算書]をご覧ください。電子記録債権につきましては、主に第4四半期連結会計期間における空調・家電機器及び住宅設備機器の売上増加に伴うものであります。商品及び製品につきましては、主に暖房機器の在庫が増加しております。有価証券につきましては、譲渡性預金の減少及び債券の償還などによるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産の残高は、前連結会計年度末と比べ1,939百万円増加し、46,261百万円となりました。これは投資その他の資産が2,639百万円増加したことが主な要因であります。

投資その他の資産につきましては、主に投資有価証券が時価の上昇及び債券の購入により940百万円、退職給付に係る資産が株価上昇などに伴う年金資産の増加により1,977百万円それぞれ増加しております。

 

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債の残高は、前連結会計年度末と比べ1,762百万円減少し、25,476百万円となりました。これは支払手形及び買掛金が1,774百万円減少したことが主な要因であります。

支払手形及び買掛金につきましては、主に住宅設備機器及び暖房機器の生産量の減少に伴うものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債の残高は、前連結会計年度末と比べ613百万円増加し、2,633百万円となりました。これは繰延税金負債が686百万円増加したことが主な要因であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末と比べ2,284百万円増加し、75,184百万円となりました。株主資本においては、利益剰余金が配当金の支払により817百万円、自己株式処分差損の振替により4百万円それぞれ減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益により1,306百万円増加しております。また、自己株式が処分により45百万円増加した一方、取得により46百万円減少しております。その他の包括利益累計額においては、その他有価証券評価差額金が575百万円、退職給付に係る調整累計額が1,224百万円それぞれ増加しております。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,419百万円(7.6%)減少し、17,224百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、210百万円(前期比3,877百万円増)となりました。

これは、主に税金等調整前当期純利益1,799百万円、減価償却費2,192百万円、その他の資産の減少額430百万円により資金が増加した一方、空調・家電機器及び住宅設備機器等の売上債権の増加額416百万円、暖房機器等の棚卸資産の増加額1,969百万円、住宅設備機器及び暖房機器等の仕入債務の減少額1,774百万円、法人税等の支払額392百万円により資金が減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、345百万円(前期比528百万円減)となりました。

これは、主に有価証券の売却及び償還による収入2,000百万円により資金が増加した一方、有形固定資産の取得による支出1,758百万円、無形固定資産の取得による支出98百万円、投資有価証券の取得、売却及び償還による収支差額418百万円により資金が減少したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、863百万円(前期比47百万円増)となりました。

これは、主に配当金の支払額817百万円、自己株式の取得による支出46百万円により資金が減少したことによるものであります。

 

キャッシュ・フローの指標

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率

インタレスト・カバレッジ・
レシオ

19.8

1,710.2

981.4

1,048.5

△62.7

 

(注) キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備投資等の資金需要に対しましては自己資金で賄うことを基本としております。なお、当連結会計年度末における主要な設備投資の計画につきましては、第3[設備の状況]3[設備の新設、除却等の計画](1)重要な設備の新設等の項目をご覧ください。また、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において金融機関等からの借入残高はなく、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を確保しております。

株主還元につきましては、第4[提出会社の状況]3[配当政策]をご覧ください。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、住宅関連機器事業のみの単一セグメントとなるため、研究開発活動については、商品の種類別区分ごとに記載しております。

 

当社グループの研究開発活動については、当社技術本部において、暖房機器、空調・家電機器、住宅設備機器の3分野にわたる商品群により、安全・安心で環境にやさしい商品、快適・健康で心豊かな住空間、便利で経済的な生活を創造・実現することによって、お客様の期待に応える商品開発に取り組んでおります。マーケットインに徹した商品開発を通して、「お客様に喜んで買っていただける商品づくり」の具現化を図っております。

なお、商品の種類別の研究開発活動の主な内容は、次のとおりであります。

 

(1) 暖房機器

主力商品である石油ファンヒーターでは、G32タイプとminiタイプにも最大火力を60%に下げて灯油の使用量を抑える「セーブモード」を追加し、全ラインアップで灯油代を節約する運転を可能としました。最上位機種のWZシリーズでは、設定温度を自動で20℃に切り換える「新ecoモード」に加え、人の動きを検知して火力の調整や消火を行う「省エネセンサー」と温風の上昇を抑えることで効率的に部屋を暖める「足もとあったかルーバー」の3つのエコ機能を併用することで、更なる省エネ運転を可能としました。また、WZシリーズとVXシリーズ(大型タイプを除く)には、DCモーターを採用しており、業界No.1※1の低消費電力を実現しています。

“暮らしを「楽」から「楽しい」へ”をコンセプトに掲げた「OUTFIELD」から、本体色をアースカラーで統一した「フィールドベージュライン」として、「小型対流形石油ストーブ SZ-F32」「ポータブル電源対応石油ファンヒーター FH-CPF25」「対流形石油ストーブ SL-F510」を開発しました。小型対流形石油ストーブ SZ-F32は、置台底面の幅は、35.5cmで従来のSLシリーズと比べて約11cm小さく、持ち運びやすいコンパクトサイズでありながら、暖房能力3.19kW、連続燃焼約12.3時間を実現しました。デザインは、人が集う、炎を囲む、明りを灯すなどストーブとも共通点が多い「焚き火」や「ランタン」に着目し、まるみのある形状でありながらも、シルバー色のガードや黒いつまみでギア要素を加えることで、オシャレ感と無骨さを兼ね備えた、人の心をひきつける形に仕上げました。

FF式輻射石油暖房機では、寒冷地向けのAGRATIO(アグレシオ)をモデルチェンジし、「暮らしをデザインする暖房」をコンセプトに、全体のフォルムを水平方向へ拡張したホリゾンタルなデザインを採用。よりワイドにスッキリとしたイメージに生まれ変わりました。さらに、前面左右に大きく曲線を設けたことによりシンプルなフォルムに整えました。また、大きな遠赤外線パネルを独自の「アグレシオバーナ」によって最適な温度に加熱することで得られる人体に吸収されやすい波長3~20ミクロンの遠赤外線輻射量を、製品内部の部品形状と配置を最適化し、燃焼ガスの流れを均一化することで、従来機種から約15%アップさせました。これにより、暖房効果が早まり、暖房感も持続するため、身体のしんまでしっかり温める快適性が一層向上しました。

なお、当部門に係る研究開発費は171百万円であります。

 

※1 2023年5月現在。WZ・VXシリーズ3.6・4.6kWタイプにおいて。

 

 

(2) 空調・家電機器

主力商品であるルームエアコンでは、「SPシリーズ」「SPKシリーズ」を新たに開発しました。業界初機能の「よごれま扇(せん)」は、運転停止後に毎回エアコン内部の乾燥運転を実施するとともに、送風経路に設置したおそうじユニットの抗菌ブラシで送風ファンの羽根の先端から奥側までに付いたホコリをはらいます。また、おそうじユニット裏側の抗菌・防カビシートで送風路の拭きそうじを送風ファン清掃と同時に行い、エアコン内部に菌やカビの発生源となるホコリが溜まるのを抑制し、清潔な送風を保ちます。おそうじユニットは抗菌ブラシと抗菌・防カビシートが一体化しており、汚れたらユニットごと取り替え可能としました。加えて、エアコン内部で1時間当たり最大約3リットル※2の結露水で熱交換器の汚れを洗い流し、熱交換器の汚れが落ちやすい特殊コーティング「クリアフィンコート」を採用した「アクアドロップ洗浄」、フィルター自動お掃除機能、脱着が簡単な「ワンタッチダストボックス」等のお手入れ機能や、吹き出し口のルーバーを簡単に取り外して丸洗いできる「はずせる上下ルーバー」を採用したことで、室内機のおそうじが簡単になりました。その他、「アクアドロップ洗浄」、フィルター自動お掃除機能、「ワンタッチダストボックス」、「はずせる上下ルーバー」等のお手入れ機能や、「人感センサー」等の省エネ機能を搭載したフラグシップモデルの「Zシリーズ」やハイグレードモデルの「SVシリーズ」、暖房能力に優れた「Wシリーズ」、基本性能を重視したスタンダードモデルの「Nシリーズ」、エアコンは冷房しか使わない方におすすめの「冷房専用シリーズ」、窓に取り付ける「ウインドエアコン」など、37機種を開発しました。

衣類乾燥除湿機では、惜しまれながらも2021年秋に定期運行を終了した世界最大級の高速列車・上越新幹線E4系「Maxとき」をモデルに、本体操作部の「運転」ボタンを押した際に実際に上越新幹線で使われていた発車ベル音や、運転停止時およびタンク満水時の上越新幹線ではおなじみの車内チャイム音のメロディを、忠実に再現するスピーカーを内蔵した衣類乾燥除湿機を開発しました。その他に、業界初の除湿機本体とサーキュレーターを分離でき、大口径24㎝のサーキュレーターで一体時には除湿機本体からの乾いた風を効率よく届け、分離時には洗濯物を挟み込むように風を送り早く乾かすなど、ライフステージの変化に伴う様々な洗濯物の量や干し方に対応できる「CDSCタイプ」、高い除湿能力で乾いた風を「速乾Wルーバー」による広く浅い風とシャープで遠くまで届く風の組合せで、業界トップクラスの衣類乾燥時間58分の「WHシリーズ」を含む衣類乾燥除湿機5シリーズ・7機種を開発しました。

加湿器では、加湿能力1,200mLと960mLの大能力タイプを新たに開発し、業界で初めて搭載した除菌効果のある「UV-C(深紫外線)LED」では、UV-Cを加湿フィルターに照射することで、フィルター表面の菌の繁殖を抑制し、さらに「ロータリー加湿フィルター」が定期的に回転することで、フィルターの広い範囲にUV-Cを照射しカビや菌の繁殖を抑制します。給水トレイにも業界初となるステンレストレイを採用し、角をなくした形状で隅々まで丸洗いでき、耐久性にも優れており交換不要のため経済的で環境にも配慮しました。また、タンク内部に手を入れて掃除ができる直径82mmの超広口のタンクを採用するなど、清潔に保つ便利なお手入れ機能を充実させました。運転停止後、自動でフィルターを水平にし、フィルター上部から微風を送ることで加湿器内部に残った湿気や水分を乾燥させる内部乾燥運転も業界で初めての機能です。送風用モーターにDCモーターを採用することで、業界トップクラスの最小運転音12dBを実現し、消費電力もecoモードで10Wと低消費電力化しました。デザインでは、丸みを帯びた優しいフォルムやブラウンの脚など、家具のようなデザインを採用し、リビングでも寝室でも、インテリアとしてあらゆるお部屋に溶け込みます。脚付きだから本体を持ち上げることなくフローリングワイパーが入り、床掃除がしやすくなっています。

なお、当部門に係る研究開発費は189百万円であります。

 

※2 CSH-SP28AR当社恒温室において、室内温度27℃、湿度60%、室外温度27℃にてアクアドロップ洗浄で運転した場合の結露水発生量。

 

 

(3) 住宅設備機器

ヒートポンプ式温水暖房システムでは、省エネ住宅1棟を暖めることを可能とし、外気温度2℃時の適応畳数は95畳、外気温度-10℃時は65畳まで対応可能な定格温水出力12.0kW※3のコロナエコ暖システム12.0を開発しました。凍結防止ヒータ(室外ユニット底面の凍結防止用)の標準搭載により、外気温度-25℃までの寒い地域でも使用可能とすると共に、2台の室外ユニットで構成しているため、片方の室外ユニットが霜取り運転をする際、もう一方の室外ユニットを高出力で運転するサポート運転により、除霜時間を短くし、除霜中の温水温度の低下を抑制しました。

自然冷媒CO2家庭用ヒートポンプ給湯機エコキュートでは、新型コンプレッサーの採用や沸き上げ制御の改良により、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に基づく、2025年度を目標年度とする新しい省エネ基準を達成したフルオートタイプのラインアップを従来の11機種から20機種に拡充しました。

なお、当部門に係る研究開発費は308百万円であります。

 

※3 外気7/6℃、往き温水温度40℃、戻り温水温度25℃ 流量11.5L/min時の性能値。循環液使用時は、能力は約6%低下、消費電力は約3%上昇します。

 

この結果、当連結会計年度における研究開発費は669百万円であります。