文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、広く社会や環境に貢献する存在であるために、次の企業理念と企業ミッションのもと、商品・サービスなどの事業活動を通じて価値創造の実現を目指し、企業活動を進めております。
[企業理念]
『あなたと共に夢・・・新たなライフシーン・・・を実現し、お客様に喜んでいただけるコロナ』
~快適・健康で環境にやさしい心豊かな生活になくてはならないコロナでありたい~
[企業ミッション]
■快適で心はずむ毎日
体感できる快適に加え、暮らしにゆとりや彩りを。
つかう人の心の満足も生み出します。
■環境にやさしい暮らし
日々の暮らしを環境にやさしいものに。
毎日つかうものだから、エネルギーを効率よく利用し、地球環境に配慮します。
■だれでもいつでも安心な社会
だれでもつかいやすく、いつでも安心を。
事業を通じて、安心でレジリエンスな社会の実現に貢献します。
(2) 第9次中期経営計画(2022年度~2024年度)総括
当社グループは2022年度から2024年度までの3ヶ年において、第9次中期経営計画を推進し、基本戦略「ヒートポンプ/電化事業の拡大」「『楽』から『楽しい』への事業領域拡大」「業務合理化による高コスト体質からの脱却」に基づいた事業戦略・機能戦略の取り組みを進めてまいりました。各戦略の活動としては、エアコン事業の強化や協業先との取り組みを通じたヒートポンプ機器の拡大に加え、OUTFIELDブランドの立上げなどによる事業領域拡張を図ったほか、DXグランドデザインに基づく業務効率化や新たな企画・開発プロセスを構築しました。一方で、新規領域への展開においては、取り組みに遅れが見られたほか、確実性を重視する姿勢が強く働いたこともあり、挑戦的な取り組みに課題が残りました。
当社グループは、多様なエネルギーに対応し、暮らしの基盤を担う商品・サービスを強みにした活動を進めておりますが、市場環境や第9次中期経営計画での活動結果、さらには高コスト構造など当社グループ特有の問題を踏まえますと、新たな経営戦略では当社グループの強みをベースにした中長期戦略の推進と、組織間のシナジーを十分に発揮させるべく、内部変革を両輪で進めていく必要があると考えております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
今後のわが国経済は、雇用・所得環境の改善が期待されるなど、緩やかな回復基調が続くことが考えられます。一方で、原材料・エネルギー価格の高止まりや物価上昇などによる経済活動や国民生活への影響は今後も継続することが予想されるほか、各国の通商政策などによる影響が景気を下押しするリスクとなることも想定されます。
住宅関連機器業界においては、住宅の省エネ化に関する政府の支援制度があるものの、建築費用や金利の上昇などによる新設住宅着工への影響が懸念されます。また、中長期的には世帯数の減少や住宅の長寿命化による新設住宅着工戸数の減少が予想されるほか、脱炭素社会の実現に向け、住宅や住宅関連機器は省エネ性向上など環境に対する配慮が一層求められることが見込まれます。
当社グループを取り巻く市場環境は、地球環境問題や社会課題解決に向けた関心の高まり、脱炭素社会に向けたエネルギー変化、人口減少や国内市場の成熟化、行動様式の変化やデジタル化・AIなどの技術革新、自然災害の多発など、様々な変化が生じております。加えて、原材料などの仕入価格や物流費の上昇といったコスト面での負荷も増大しており、当社グループの事業活動に対する影響が大きくなっております。
このような状況のもと、当社グループは持続可能な社会の実現に向けて、2027年に控える創業90周年を見据えた「2026ビジョン」に基づき、利益ある成長経営と新規領域への挑戦に取り組むため、第9次中期経営計画に引き続き、「変わる、そして挑む」をスローガンに掲げ、第10次中期経営計画を2025年度から推進してまいります。
■2026ビジョン
●脱炭素社会への貢献 レジリエンスな社会
環境問題解決への貢献、平時・有事を問わず健康的な生活を継続できるレジリエンス性の高い商品・サービスの提供
●快適の進化 暮らしの質向上
日常の様々なシーンにおける「快適さ」「楽しさ」を生み出す商品・サービスの提供
●利益体質への転換
経営課題である高コスト体質の改善
■第10次中期経営計画(2025年度~2027年度)
基本戦略
1.脱炭素社会に向けた事業ポートフォリオの再構築
サステナビリティな社会の実現に貢献するためのCO2排出量削減に寄与する機器拡大と平時も有事も健康的な生活を継続できる高いレジリエンス性を持つ機器の提供
2.「楽」から「楽しい」への事業領域拡大
家庭内に潜む不安や家事負担の軽減に寄与する商品・サービスと家の外(アウトドア)での快適や「楽しさ」を生み出す商品・サービスの提供による提供価値及び事業領域の拡大
3.経営基盤の再構築
現状の社内制度・仕組みや開発プロセス、業務の進め方などゼロベースでの見直しと当社従業員が高い意欲を持って主体的に働き続けるための「働きがい(働きやすさ+やりがい)」の向上
なお、当社は、2025年4月17日に公正取引委員会から下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」)に基づく勧告を受けました。
当社は、当社製品の一部部品等の製造に使用する当社所有の金型等を、下請法の対象と認定されたお取引先様に貸与しておりましたが、当該金型等を用いる部品等の発注を長期間行わないにもかかわらず、当該金型等を無償で保管させていた行為が、下請法第4条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)の規定に抵触すると判断されたものです。
当社では、全ての対象下請事業者様と補償のための協議を進めており、公正取引委員会の確認を得たうえで、速やかにお支払いいたします。
また、次回以降の具体的な発注時期を示せない金型等については、廃棄の対応を既に実施しております。
当社は、本勧告を厳粛に受け止め、勧告内容を全役職員に周知徹底するとともに、下請法遵守の社内教育の実施やチェック体制を強化するなど社内体制を整備し、コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努めてまいります。
(4) 目標とする経営指標
当社グループの目標とする経営指標は連結売上高、連結経常利益、連結経常利益率であり、第10次中期経営計画(2025年度~2027年度)において、下記のとおり数値目標を設定しております。
(注) 上記経営指標は有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、事業活動を通じて社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値向上を目指していくことが重要と考えており、コロナグループサステナビリティ方針のもと、マテリアリティ(重要課題)を設定し、それぞれの課題に対して取組方針を定め、全社的に活動を推進しております。
サステナビリティに関する課題への取組に当たっては、2023年4月1日より当社グループのサステナビリティ推進について議論・検討するための専門的な体制として、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を執行役員会に併設し、活動方針の議論や活動推進状況のモニタリング等を実施するとともに、必要に応じて対応策を検討しております。なお、サステナビリティ委員会で協議・決定された事項は、定期的に取締役会に報告され、取締役会はそれらの状況等を的確に捉え、監督・指示を行います。
当社グループは、事業活動における様々なリスクの発生を事前に把握し対応策を講じるとともに、万が一リスクが発生した場合に被る被害を回避又は最小化することを目的としてリスク管理委員会を設置しております。リスク管理委員会は執行役員会に併設し、代表取締役社長を委員長として、全社リスクを網羅的に把握した上で対策状況のチェックを定期的に実施するなど、経営の健全性・安定性を確保するための取組を進めております。
また、気候変動関連リスクのようなサステナビリティに関する項目については、関係部門によるリスク・機会の影響度評価を実施しており、その内容について、サステナビリティ委員会とリスク管理委員会にて連携し、情報共有や重要項目の特定、対応策を策定・実行しております。
サステナビリティ推進体制図

(3) 重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
・気候変動
・人的資本
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
① 気候変動
当社グループは、気候変動に伴う自然環境の変化や資源の枯渇等は、取り組むべき重要な社会課題と捉えており、長期間にわたり当社グループの事業活動に大きな影響を与えると考えております。当社グループは、2023年3月にTCFD(※1)提言への賛同を表明するとともにTCFDコンソーシアム(※2)へ加盟し、気候関連情報開示の充実や将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、事業への影響の把握及び課題解決に向けた取組を推進しております。
また、経済産業省が主導する「GXリーグ」(※3)へ2024年度より参画しております。「GXリーグ」参画企業は、世界全体でのカーボンニュートラルの実現に向けて、自らがカーボンニュートラルの実現に取り組むとともに、様々なステークホルダーと協働しながら、変革に向けた取組を先導する役割が求められます。当社グループは、環境に配慮した製品・サービスを提供するとともに、当社グループの事業活動において、温室効果ガス排出量・廃棄物の削減など地球環境保全に取り組んでまいります。
イ 戦略
当社グループは、将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、事業への影響を把握するため、TCFDが推奨するシナリオ分析を実施し、気候変動に関するリスクを移行リスク・物理的リスクの2つのカテゴリーに分類して、事業活動に重要な影響を及ぼす可能性がある主要なリスク項目を特定しております。
なお、当社グループでは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)等のシナリオを参考に、パリ協定の目標である「2℃未満」と、CO2排出量削減が不十分な「4℃」の2つのシナリオを想定し、それぞれのシナリオにおいて気候変動がもたらすリスク及び機会、事業への影響等について分析を行っております。
当社グループのリスク・機会の概要と事業及び財務への影響度
なお、気候変動に関するリスク及び機会に対処するための主な取組は、以下のとおりであります。
a. CO2排出量・エネルギー使用量の削減
2050年度温室効果ガス排出量ネットゼロを目指した「CO2排出量削減ロードマップ」を策定し、新潟県内8工場において、LED電球への切替えや高効率生産設備への更新、生産工程見直しによる生産設備の電気・ガス使用量の削減など積極的な省エネ活動を推進しております。また、当社においては2024年12月1日より本社社屋で使用する電力の年間相当分を水力発電所由来のCO2フリー電力に切り替えました。これにより、本社社屋の電力使用に伴い発生するCO2排出量が実質ゼロとなります。
b. 環境配慮型省エネ製品の需要増加への対応
第9次中期経営計画基本戦略1「ヒートポンプ/電化事業の拡大」のもと、エアコンなどのヒートポンプ式冷暖房機器やエコキュートなど、暮らしの基盤となる暖房・空調・給湯においてCO2排出量削減に寄与する事業の拡大を推進しております。
・新室外機採用により省エネ性能を向上したルームエアコン「ReLaLa」フラグシップモデルZシリーズ発売
・ヒートポンプ給湯機「おひさまエコキュート」の高圧力パワフル給湯タイプ発売
・ヒートポンプ事業拡大に向けた当社長岡工場への大型自動プレスライン設備導入
・代替燃料の一つとして期待されている水素や次世代燃料などの燃焼技術確立に向けた研究開始
c. 非常時におけるレジリエンス性が高い製品の需要増加への対応
当社グループは、非常時でも日常生活を維持できるようにすることは住宅設備機器メーカーの使命であると考えております。平時も有事も健康的な生活を継続できる高いレジリエンス性を持つ機器を提供し、安心な社会へ貢献してまいります。
・エコキュート:停電時や断水時でも使用できる機能や災害警報発令時のタンク湯増し・給水機能の搭載
・石油燃焼機器:有事の際にポータブル電源で運転できる石油ファンヒーターのラインアップ拡充や石油給湯機の発売
加えて当社グループは、2℃未満シナリオ及び4℃シナリオのいずれのシナリオ下においても、中長期視点からレジリエンス性の高い戦略を強化してまいります。そのため、「2026ビジョン」や中期経営計画において、リスクに対しては適切な対応策を策定する一方、機会に対しては市場環境等の変化を見据えた積極的な対応を推進するなど、新たな成長機会の獲得を目指してまいります。
ロ 指標及び目標
a. 気候変動関連リスク・機会の管理に用いる指標
当社グループは、気候変動関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3温室効果ガス排出量を指標として定めております。
当社グループの事業活動における温室効果ガス(Scope1及びScope2)排出量の推移

(注) 温室効果ガス(Scope1及びScope2)排出量の基準年度(2015年度)比の改善率
提出会社のバリューチェーンにおける温室効果ガス(Scope3)排出量の推移

(注) Scope3温室効果ガス排出量を売上高で除して算出した「温室効果ガス排出量原単位」の基準年度(2021年度)比の改善率
b. 気候変動関連リスク・機会の管理に用いる目標及び実績
当社グループは、脱炭素社会の実現に向け、「2030年度にScope1・2温室効果ガス排出量40%削減」、「2050年度までにScope1・2温室効果ガス排出量ネットゼロ」を目標として設定し、毎年度の数値目標を設定したロードマップに基づき取り組んでおります。なお、Scope3温室効果ガス排出量の削減目標については次年度で設定する予定であります。
当社グループは、2015年度のScope1・2温室効果ガス排出量を基準として、中長期の温室効果ガス排出量削減目標を設定しております。
② 人的資本
イ 戦略
当社グループは、「人財活力の向上」を中期経営計画の重点施策と位置づけ、従業員の能力と貢献意欲が最大限に引き出され、会社・組織の目標達成に向けて従業員が活躍している状態を目指し取り組んでおります。また、当該施策実施のために、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を策定しております。それぞれの方針は、以下のとおりであります。
人材育成方針
当社グループは、女性の活躍促進をはじめ、働くすべての人々の多様な個性を尊重するとともに、従業員一人ひとりを“かけがえのない財産”と捉え、新たな企業価値創出の源泉と考えております。
また、それぞれの従業員が持つ能力や技術が十分に発揮され、引き継がれていくよう、OJTが継続的に実施される環境整備や人間関係の構築、Off-JTによる教育機会の提供、従業員が自発的に学ぶための仕組みづくり・環境づくりを行うことで従業員の成長を促してまいります。
社内環境整備方針
当社グループは、各社における安全衛生活動の充実を図ることで、従業員が日頃より“安全・安心”な状態で働ける職場環境づくりを進めております。
また、働くすべての人々のワーク・ライフ・バランスを重視し、より多様な働き方が実現できるよう、仕事と育児・介護との両立支援制度を充実させることで男女ともに働きやすい環境を整備してまいります。
なお、人材育成及び社内環境整備に関する主な取組は、以下のとおりであります。
a. 女性活躍の推進
女性の活躍を促進するため、女性従業員の職種や業務内容等職域の拡大を図ることにより、新卒採用者に占める女性の割合を高める取組を進めるとともに、従業員に対する公正な評価を念頭に置きながら女性従業員を役職者へと積極的に登用していくよう取り組んでおります。また、外部講師による取締役や管理職への研修を実施することにより、女性活躍の促進に向けた意識・行動変容を強化しております。
b. 安全・安心な職場環境づくり
従業員の安全・安心な職場環境づくりを実現するため、労働法の遵守及び管理職や従業員の労務管理徹底等の継続的な啓発により長時間労働の防止に努めております。各生産拠点においては安全衛生委員会を組織し、基本的な安全教育や定期的な安全パトロール等を行うとともに、熱中症の予防対策や独自の機械設備を用いた“安全体感教育”を実施することにより、安全・安心な職場環境づくりを推進しております。
c. ワーク・ライフ・バランスの推進
従業員がワーク・ライフ・バランスのとれた働き方ができるよう、年次有給休暇の取得促進や育児休業を取得した男性従業員の事例紹介による育児休業の取得促進を行うとともに、育児や介護を行う従業員のライフスタイルを複数パターン想定し、始業・終業時刻と就業時間の調整を可能とする柔軟な働き方ができるような育児・介護に関する制度を設けております。
上記に加え、連結グループにおける主要な事業を営む当社においては、会社と従業員とのつながりの強さを把握し、従業員の働きがいを高めていくため、エンゲージメントサーベイや代表取締役社長による従業員との直接対話の場“タウンホールミーティング”を実施しております。人材育成の面では各階層の役割に応じた教育や従業員の自己啓発支援を継続的に実施するとともに、階層別教育体系や自己啓発支援制度のブラッシュアップを行っております。また、一部職場において従業員の服装選択の自由化を開始し、働きやすさにつながる取組も行っております。
当社グループでは、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
(注) 月例給与・勤怠の締め(毎月20日締め)に合わせ、算定期間を2024年3月21日から2025年3月20日までの1年間としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。ただし、これらは当社グループに関するリスクを網羅したものではなく、記載した事項以外に予見しがたいリスクも存在します。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営環境に関するリスク
① 業績の季節変動について
当社グループの2025年3月期の製品の種類別の連結売上高構成比は、暖房機器27.9%、空調・家電機器17.7%、住宅設備機器47.1%、その他7.3%でした。暖房機器は秋から冬にかけての第3四半期に売上が集中する傾向にあります。結果、下表のとおり当社グループの売上高及び利益が第3四半期に集中する傾向にあります。また、暖房機器及び空調・家電機器の売上高は気候や気温の影響を受ける可能性があり、当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても常にあるものと認識しております。
当社グループでは、季節変動に対する速やかな生産・販売活動面の対応に加え、住宅設備機器の売上高構成比を高めることで、気候による業績の変動を少なくするよう努めております。
なお、当連結会計年度における四半期ごとの売上高、経常利益は以下のとおりであります。
② 灯油価格の変動について
石油暖房機及び石油給湯機の燃料は灯油であり、灯油以外のエネルギーを熱源とする機器とも激しく競合しており、灯油価格の高騰によって灯油を熱源とする製品の買い控えや他熱源への転換が進む可能性があります。
当社グループでは、市況の変動や灯油製品を使用している顧客のライフスタイル・嗜好の変化についてのマーケティング活動を行っておりますが、灯油価格の変動が顕著になった場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。灯油価格は、原料である原油価格の動向に大きく影響を受けます。原油価格は、産油国の生産動向や国際紛争、景気動向及び為替相場に左右されることから、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても常にあるものと認識しております。
③ 気候変動に関する規制について
世界的な地球温暖化に対する関心の高まりを受け、日本政府及び関連業界における脱炭素社会の実現に向けた動きが加速しております。当社グループは、石油燃焼機器の製造・販売を主力事業の一つとしているため、政府による環境問題への対応や規制強化が進むと、将来的には化石燃料を使用する製品の製造・販売が規制されるおそれがあり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、持続可能な社会の実現へ貢献するため、再生可能エネルギーを利用する製品やエネルギー効率が高く環境負荷の低い製品の開発を積極的に進めております。また、自社の事業活動において、温室効果ガス排出量削減目標を設定し、環境負荷低減を目指した取り組みを推進しております。
(2) 事業活動に関するリスク
① 市場の競合状況について
<当社グループの製品種類別競合状況>
当社グループでは、最近の省エネや節電、環境に対する消費者の関心の高まりを受け、電気・石油等を使用する暖房機器、空調・家電機器、住宅設備機器に関して、市場競争力のある高付加価値商品の研究・開発を進めるとともに、更なるコストリダクションに取り組んでおります。また、販売エリア・チャネル別の差別化戦略を推進し、シェアアップと高付加価値機種の販売強化のため、流通や販売店及びハウスメーカーやリフォーム業者などに対し積極的に提案活動を行っております。
しかしながら、今後、競合状況、市場規模又は消費者ニーズ等に大幅な変化が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。日本国内の暖房機器、空調・家電機器、住宅設備機器の市場環境は厳しい状況が続いていることから、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても常にあるものと認識しております。
② 製品の品質について
当社グループは、すべての製品において創業以来蓄積された技術やノウハウを基礎に、安全に配慮した商品開発を行うとともに、品質保証規定に基づいた製品の品質管理を徹底し、高い品質水準の保持に努めております。
しかしながら、将来にわたりすべての製品において予期せぬ欠陥による品質クレームが発生しない保証はありません。万が一に備えて製造物責任賠償保険に加入しておりますが、大規模なリコールや製造物責任賠償が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 原材料等の価格変動及び調達について
当社グループは、原材料や部品等を複数の取引先から調達しております。原材料や部品等の価格は、主要需要国等の景気動向と需給のバランス、また世界レベルでの相場動向や為替の動き等によって変動するため、原材料価格、原油価格及び為替の変動が顕著となった場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、複雑さや特殊性から購入先が少数に限定されている部品があるほか、取引先において、自然災害、感染症の流行、事故、経営状況の悪化等の影響を受けるおそれがあり、原材料及び部品等購入先からの納入遅延が発生した場合には、当社グループにおいても製品の納入に遅れが生じる等、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、原材料の計画的な手配や材料仕様の見直し等、価格変動の影響を最小限にとどめるよう努めることに加え、部品等の調達に関しては、調達先の拡大や代替品検討等のリスク回避策を講じておりますが、原材料及び部品等の調達は、国際的な政治・経済動向、商品相場や為替変動の影響を受けることから、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても常にあるものと認識しております。
④ 知的財産について
当社グループは、現在の事業活動及び将来の事業展開に有用な知的財産権取得に努める一方、第三者の知的財産権についても侵害することのないよう適時適切に調査検討し、問題発生の防止を図っております。
しかしながら、当社グループが知的財産権に関し第三者から訴訟を提起される場合や、自らの知的財産権保全のために訴訟を提起しなければならない場合等により、多額の訴訟費用が費やされる可能性があります。また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが特定の技術を利用できない、又は多額の損害賠償責任を負うおそれがあり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクの極小化に努めておりますが、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても相応にあるものと認識しております。
(3) 災害等に関するリスク
当社グループにおける生産拠点は、当社の3工場及び子会社の5工場すべてが新潟県内に存在しております。一拠点への過度の集中を避けるため、上記各工場は新潟県内の各地域に分散させ、災害により一部工場の生産能力が低下した場合でも、他工場に人員や生産設備等を速やかに移動させ、災害による損失が軽減できるような体制を敷いております。物流面では、全国5箇所に物流センターが存在しており、製品供給におけるリスク低減を図っております。また、事業継続計画(BCP)の策定と継続的な見直しを行い、災害に対する影響を最小限にするよう努めております。
しかしながら、地震、風水害、雪害等、新潟県全域に影響を及ぼすような大規模災害が発生した場合には、生産能力が著しく低下するおそれがあります。また、被害が国内外の広範囲にわたる場合には、部品メーカーからの納入遅延や物流網の寸断等で、事業活動に大きな損失が発生することにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。近年、世界各地で自然災害が発生していることに加え、日本においては、地形、気象等の自然的条件から、地震、風水害、雪害等による災害が発生しやすい国土とされております。また、気候変動に起因した自然災害の激甚化傾向も高まっていることから、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても常にあるものと認識しております。
(4) 感染症に関するリスク
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のように未知の感染症が世界的に流行した場合には、部品メーカーからの納入遅延や物流網の寸断等で、事業活動に大きな損失が発生するほか、貴重な人的資源に重大な影響を与え、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクが顕在化する可能性を常に認識し、政府や都道府県等関係機関の指針に沿った感染拡大防止策の徹底をはじめとして、従業員に対する安全衛生に関する意識・知識向上のための注意喚起を実施しております。また、必要に応じて、WEB会議や時差出勤、在宅勤務等の実施による感染抑制策を講じるほか、社内において感染拡大が予見される場合には、感染症対策会議を開催し、従業員と家族の安全確保、事業活動の継続に関する全社方針の決定及び速やかな対応を実施してまいります。
(5) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業を通してお客様の個人情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報を保有しております。これらの情報に関して、当社グループの想定を超えるウイルス感染やサイバー攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性があり、その脅威は年々高まっております。万が一、これらが発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。サイバー攻撃等社外からの脅威は年々高度化、巧妙化していることから、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても常にあるものと認識しております。
当社グループでは、情報セキュリティを確保するための基本方針、管理体制、従業員への教育・啓蒙活動、法令及び契約遵守等について情報セキュリティポリシーを定めるとともに、情報セキュリティに関する社内規定・社内管理体制やルールを整備のうえ、これらの対策強化を行っております。
(6) 人財に関するリスク
当社グループは、従業員を“かけがえのない財産”であると捉え、それぞれの従業員が持っている能力、多様性を発揮してもらうことで新たな価値を創造し、企業・従業員の成長に繋がると考えております。
当社グループでは、新規採用、中途採用を通じて人財の確保に努めるとともに、仕事と家庭生活を両立させ「安心して健康に働ける職場づくり」を進めておりますが、優秀な人財を採用することができない場合や、人財の流出を防止できない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 資金運用に関するリスク
当社は、当社グループ資金の有効活用の観点から、運用を行っております。
運用に当たっては、当社内の資金運用管理規定を遵守し、当社ポートフォリオの範囲内で安全性の高い国内外の債券等で運用しております。なお、外国債券に関しましては、リスクの分散と安定的な運用を基本方針とし、仕入債務に対する為替変動リスクの軽減も図っております。
当社では、資金運用リスクを最小限に抑えるため、取締役会の決議により運用限度額(運用枠)、リスク許容範囲、売却判断基準等を定めるリスク管理を行っております。しかしながら、為替リスク、金利リスク及び信用リスク等により、当社グループの事業、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクは国内外の経済・金融環境の影響を受けることから、当該リスクが顕在化する可能性は翌期においても常にあるものと認識しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当期の経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が緩やかに改善した一方で、原材料・エネルギー価格の高止まり、物価上昇等による経済活動や国民生活への影響が続きました。
住宅関連機器業界においては、政府の住宅に関する支援制度の後押し等もある中、新設住宅着工戸数は前年並みで推移しました。
このような状況の中、当社グループは持続可能な社会に向けた「2026ビジョン」の実現を目指し、第9次中期経営計画のもと、3つの基本戦略「ヒートポンプ/電化事業の拡大」「『楽』から『楽しい』への事業領域拡大」「業務合理化による高コスト体質からの脱却」の取り組みを進めました。「ヒートポンプ/電化事業の拡大」においては、お湯に微細な気泡(マイクロバブル)を発生させる装置を内蔵し、温泉のように白濁したシルキーなお湯を自宅で楽しむことができるエコキュートや太陽光発電を搭載した住宅では余剰電力を活用し、主に昼間に沸き上げを行う「おひさまエコキュート」の年間給湯保温効率(JIS)を向上させた新モデルを発売しました。さらに、スマートリモコンとスマートフォンアプリを連携させて床暖房の遠隔操作が可能になったヒートポンプ式温水床暖房システム「コロナエコ暖フロア」の新モデルを発売しました。また、「『楽』から『楽しい』への事業領域拡大」においては、暮らしの楽しみや可能性を“外へ広げる”という意味を込めたブランド「OUTFIELD(アウトフィールド)」でポータブル電源対応石油ファンヒーターのラインアップを拡充しました。「業務合理化による高コスト体質からの脱却」においては、生産性向上や業務効率化に向けて取り組みました。
これらの取り組みにより、当連結会計年度における経営成績は、売上高85,214百万円(前期比3.9%増)、売上原価66,823百万円(前期比4.4%増)、販売費及び一般管理費17,047百万円(前期比2.2%増)、営業外収益385百万円(前期比9.0%減)、営業外費用24百万円(前期比118.7%増)、特別利益6百万円(前期比88.2%減)、特別損失9百万円(前期比63.6%減)、法人税等合計597百万円(前期比21.3%増)となりました。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、それぞれ1,343百万円(前期比0.9%減)、1,704百万円(前期比3.5%減)、1,103百万円(前期比15.5%減)となりました。
(製品の種類別売上高)
<暖房機器>
暖房機器の売上高は、23,802百万円(前期比9.8%減)となりました。
石油ファンヒーターや寒冷地向けの石油暖房機、トイレ等のより狭いスペースに設置可能な壁掛型遠赤外線暖房機の新モデルなどの販売活動に取り組みました。しかしながら、昨年の流通在庫過多に加え、需要期前半の気温が全国的に高く推移したことも影響し、暖房機器全体は前期を下回りました。
<空調・家電機器>
空調・家電機器の売上高は、15,067百万円(前期比13.9%増)となりました。
ルームエアコンは、寒冷地を中心に設置工事が不要なウインドタイプの需要が増加したほか、夏季の気温が平年より高めに推移したことも後押しとなり前期を上回りました。除湿機は需要期の天候不順も影響し、販売が伸び悩みましたが、空調・家電機器全体は前期を上回りました。
<住宅設備機器>
住宅設備機器の売上高は、40,095百万円(前期比11.8%増)となりました。
政府の補助金制度を活用し、積極的に提案活動に取り組んだエコキュートの販売や家庭用給湯・暖房システム用のヒートポンプユニットが好調に推移しました。石油給湯機は消費者の買い控え等の影響による需要の伸び悩みもあり前期を下回りましたが、住宅設備機器全体は前期を上回りました。
(売上原価)
売上原価につきましては、原価低減や生産性向上の取組を進めたものの、原材料価格の上昇や製品売上構成の変化などにより、売上原価率は前期と比較して0.4ポイント上昇し78.4%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費の主な増加要因につきましては、物流費が233百万円、広告宣伝費が104百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(営業外損益)
営業外収益の主な減少要因につきましては、受取配当金が7百万円増加した一方、有価証券売却益が3百万円、営業外収益のその他が42百万円それぞれ減少したことによるものであります。営業外費用の主な増加要因につきましては、為替差損が5百万円減少した一方、有価証券売却損が17百万円発生したことによるものであります。
(特別損益)
特別利益の主な減少要因につきましては、投資有価証券売却益が53百万円減少したことによるものであります。特別損失の主な減少要因につきましては、固定資産除却損が17百万円減少したことによるものであります。
また、当連結会計年度は3ヶ年にわたる第9次中期経営計画(2022年度~2024年度)の最終年度であり、連結売上高85,000百万円、連結経常利益1,600百万円、連結経常利益率1.9%を数値目標として設定しておりました。当連結会計年度の業績につきましては、暖房機器の販売減少、原材料など仕入価格や物流費の上昇などの影響があったものの、住宅設備機器、空調・家電機器が好調に推移したこともあり、上記経営目標を達成しました。しかしながら、当初の2024年度経営目標(連結売上高88,700百万円、連結経常利益2,000百万円、連結経常利益率2.3%)につきましては、第9次中期経営計画の各戦略や各部門での生産性・効率性の向上に取り組んだものの、市場環境の変化が想定よりも大きかったこともあり、計画を下回る結果となりました。
当社グループを取り巻く市場環境は、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](2)第9次中期経営計画(2022年度~2024年度)総括に記載しているほか、今後もコスト増の傾向は続くと見ており、厳しい状況での事業活動が想定されることから、将来に向けた活動を着実に進めることが重要であると考えております。
2025年度からは、第10次中期経営計画(2025年度~2027年度)を開始いたします。なお、第10次中期経営計画の数値目標は、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](4)目標とする経営指標に記載しております。
新たに設定した数値目標の達成に向けては、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題に記載しているとおり、持続可能な社会の実現、利益ある成長経営と新規領域への挑戦に取り組むための各戦略を推進してまいります。また、経営環境下において生じた課題については、迅速に対応してまいります。
② 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、住宅関連機器事業のみの単一セグメントとなるため、生産、受注及び販売の実績については、セグメント情報ではなく、製品の種類別区分ごとに記載しております。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 金額は平均販売価格によって表示しております。
当社グループは、概ね見込生産方式を採っていますので、受注の状況については記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 当連結会計年度には、販売実績が総販売実績の10%以上を占める相手先はありません。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループは、経営成績に重要な影響を与える可能性のある事象として、気候や気温の変動、市場における競合状況の変化等を事業等のリスクとしております。なお、詳細につきましては、第2[事業の状況]3[事業等のリスク]をご覧ください。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)に記載しております。
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産の残高は、前連結会計年度末と比べ4,496百万円減少し、52,536百万円となりました。これは売掛金が671百万円増加した一方、現金及び預金が2,340百万円、有価証券が1,599百万円、商品及び製品が610百万円それぞれ減少したことが主な要因であります。
売掛金につきましては、主に第4四半期連結会計期間における住宅設備機器及び暖房機器の売上増加に伴うものであります。現金及び預金につきましては、主に棚卸資産の減少により増加した一方、仕入債務の減少及び投資有価証券の取得などにより減少しております。なお、現金及び預金の詳しい内容につきましては、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]④[連結キャッシュ・フロー計算書]をご覧ください。有価証券につきましては、主に譲渡性預金の減少によるものであります。商品及び製品につきましては、主に暖房機器及び空調・家電機器の在庫が減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産の残高は、前連結会計年度末と比べ3,429百万円増加し、49,690百万円となりました。これは投資その他の資産が2,910百万円増加したことが主な要因であります。
投資その他の資産につきましては、主に投資有価証券が債券の購入などにより1,214百万円、退職給付に係る資産が割引率の見直しに伴い退職給付債務が減少したことなどにより1,668百万円それぞれ増加しております。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債の残高は、前連結会計年度末と比べ2,785百万円減少し、22,691百万円となりました。これは支払手形及び買掛金が2,916百万円減少したことが主な要因であります。
支払手形及び買掛金につきましては、主に住宅設備機器の生産量が増加した一方、支払サイトの短縮及び暖房機器の生産量の減少などに伴い減少しております。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債の残高は、前連結会計年度末と比べ619百万円増加し、3,252百万円となりました。これは繰延税金負債が592百万円増加したことが主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末と比べ1,098百万円増加し、76,282百万円となりました。株主資本においては、利益剰余金が配当金の支払により817百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益により1,103百万円増加しております。また、自己株式の処分などにより31百万円増加しております。その他の包括利益累計額においては、その他有価証券評価差額金が53百万円、土地再評価差額金が28百万円それぞれ減少した一方、退職給付に係る調整累計額が862百万円増加しております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,990百万円(23.2%)減少し、13,234百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、423百万円(前期比212百万円増)となりました。
これは、主に税金等調整前当期純利益1,701百万円、減価償却費1,601百万円、暖房機器等の棚卸資産の減少額872百万円により資金が増加した一方、退職給付に係る資産の増加額402百万円、住宅設備機器及び暖房機器等の売上債権の増加額686百万円、支払サイト短縮及び暖房機器の生産量減少などによる仕入債務の減少額2,916百万円、法人税等の支払額584百万円により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,749百万円(前期比2,404百万円増)となりました。
これは、主に有価証券の売却及び償還による収入300百万円により資金が増加した一方、定期預金の増加額320百万円、有形固定資産の取得による支出1,270百万円、無形固定資産の取得による支出88百万円、投資有価証券の取得、売却及び償還による収支差額1,276百万円により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、817百万円(前期比46百万円減)となりました。
これは、主に配当金の支払によるものであります。
キャッシュ・フローの指標
(注) キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備投資等の資金需要に対しましては自己資金で賄うことを基本としております。なお、当連結会計年度末における主要な設備投資の計画につきましては、第3[設備の状況]3[設備の新設、除却等の計画](1)重要な設備の新設等の項目をご覧ください。また、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において金融機関等からの借入残高はなく、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を確保しております。
株主還元につきましては、第4[提出会社の状況]3[配当政策]をご覧ください。
該当事項はありません。
当社グループは、住宅関連機器事業のみの単一セグメントとなるため、研究開発活動については、商品の種類別区分ごとに記載しております。
当社グループの研究開発活動については、当社技術本部において、暖房機器、空調・家電機器、住宅設備機器の3分野にわたる商品群により、安全・安心で環境にやさしい商品、快適・健康で心豊かな住空間、便利で経済的な生活を創造・実現することによって、お客様の期待に応える商品開発に取り組んでおります。マーケットインに徹した商品開発を通して、「お客様に喜んで買っていただける商品づくり」の具現化を図っております。
なお、商品の種類別の研究開発活動の主な内容は、次のとおりであります。
(1) 暖房機器
主力商品である石油ファンヒーターでは、従来は「入タイマー」を設定すると運転がすぐに停止しましたが、新たな「入タイマー」は設定後に1時間の運転継続を選択可能としました。また、「切タイマー」は延長運転時間「1~3時間」に新たに「30分間」を追加し、30分だけ運転を延長したいといった生活シーンに合わせた運転を可能にするタイマー機能を主要モデル(CPタイプを除く)に搭載しました。フラグシップモデル「WZシリーズ」の3.6kWタイプには、黒とシルバーの配色が高級感とスタイリッシュさを演出する「グランシルバー」色を新たに追加し、「miniタイプ」には、インテリアに自然に溶け込むナチュラルな「グレイッシュベージュ」色を加えるなど、より多様なシーンに調和できるようカラーバリエーションを拡充しました。
“暮らしを「楽」から「楽しい」へ”をコンセプトに掲げた「OUTFIELD」ブランドから、最大暖房出力3.3kWで、点火時に必要な電力を抑え、運転時の消費電力も10~21Wに抑えることで、低出力のポータブル電源で運転可能なポータブル電源対応石油ファンヒーター「FH-CPF33」を開発し、ラインアップの拡充を図りました。標高2,000mまで対応する「高地設定モード」と水平器を搭載し様々なシーンでの使用を可能としました。また、対震自動消火装置や不完全燃焼防止装置などの安全装置の搭載により非常時でも安心です。
壁掛型遠赤外線暖房機「ウォールヒート」では、内部構造の見直しを行い、左右の離隔距離をそれぞれ100mmまで短縮し、横幅780mmの一般的なトイレなどのより狭い場所への設置を可能としました。また、本体の背面内部に電源コードの収納スペースを設け、本体の外に出る余ったコードの長さを調整でき、コードが垂れ下がることなくスッキリ設置できるようにしました。
なお、当部門に係る研究開発費は167百万円であります。
(2) 空調・家電機器
主力商品であるルームエアコン「ReLaLa」では、フラグシップモデルの「Zシリーズ」の冷房能力2.2~2.8kW機種に、室外送風ファンの最適化などにより性能を向上させた新たな室外機を採用し、通年エネルギー消費効率(APF)6.9※1を達成し省エネ性能を向上させました。加えて、汚れが落ちやすいコーティングをした熱交換器の汚れを結露水で洗浄する「アクアドロップ洗浄」、フィルター自動お掃除機能、「ワンタッチダストボックス」、「はずせる上下ルーバー」等のお手入れ機能や、「人感センサー」等の省エネ機能を搭載しました。その他、熱交換器、フィルターやルーバー等のお手入れ機能、「人感センサー」等の省エネ機能に加え、送風ファン・送風経路を自動でお掃除する機能「よごれま扇(せん)」を搭載したフラグシップモデル「SPシリーズ」、ハイグレードモデルの「SVシリーズ」、暖房能力に優れた「Wシリーズ」、基本性能を重視したスタンダードモデルの「Nシリーズ」、エアコンは冷房しか使わない方におすすめの「冷房専用シリーズ」を開発しました。
窓に取り付けるウインドエアコンにおいては、通常、サッシの立ち上がり部に標準窓枠を固定して本体を取り付けますが、近年普及が進むアルミ樹脂複合サッシや強度に懸念がある樹脂サッシでは標準窓枠の取付けができないことから、サッシの立ち上がりを利用せず窓の額縁に突っ張らせて固定する構造の別売部品アタッチメントを開発し、取り付けできるサッシの種類を増やしました。また、アタッチメントは立ち上がりのないサッシでも直接ねじで固定する補助金具なしでの設置ができるため、取り外し後にねじの跡が残らず賃貸住宅でも設置しやすくしました。
衣類乾燥除湿機では、業界初の除湿機本体とサーキュレーターを分離でき、大口径24㎝のサーキュレーターで一体時には除湿機本体からの乾いた風を効率よく届け、分離時には洗濯物を挟み込むように風を送り早く乾かすなど、ライフステージの変化に伴う様々な洗濯物の量や干し方に対応できる「CDSCタイプ」では、サーキュレーター単体運転時の風量切替え機能の追加やスイング切替えの操作性を改良し、使い勝手をさらに向上させました。また、高い除湿能力で乾いた風を「速乾Wルーバー」による広く浅い風とシャープで遠くまで届く風の組合せで、業界トップクラスの衣類乾燥時間58分の「WHシリーズ」、部屋の広さに合わせた基本性能を重視した「Hタイプ」「Sタイプ」、衣類乾燥・除湿・冷風の1台3役のマルチタイプ「どこでもクーラー」の5シリーズ7機種を開発しました。
なお、当部門に係る研究開発費は167百万円であります。
※1 (JIS C 9612:2013) CSH-Z2225Rにおいて期間消費電力量603kWh、CSH-Z2525Rにおいて期間消費電力量685kWh、CSH-Z2825Rにおいて期間消費電力量768kWh
(3) 住宅設備機器
ヒートポンプ式温水暖房システム「コロナエコ暖フロア」では、市販のスマートリモコン「Nature Remo」とスマートフォンのアプリを連動させることで、床暖房の遠隔操作を可能としました。また、アプリの機器操作を自動化するオートメーション設定を活用し、コロナエコ暖フロアと既設のルームエアコンを連動運転させ、約30分で快適ゾーンに到達するだけでなく、タイマーや温度センサーを使い、簡単に省エネ運転を行える3機種(定格温水出力6.0kW、4.5kW、3.9kWタイプ)を開発しました。床暖房の温度調節モードとして従来の温度レベルに加えて、室温運転のほか、運転時の室温、外気温、時刻から最適な温水温度を設定する自動運転を追加し、使い勝手に応じて温度設定方法を選択できるようにしました。
また、「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」における低出力モードに対応する「床温セーブ」モードを搭載した新リモコンを開発しました。「床温セーブ」モードではエアコンで室温を保ち、床暖房の出力を抑えて床表面を温めるように運転することで部屋の暖房負荷をエアコンと分担し、省エネルギーな運転を実現します。快適性と省エネ性を両立し、GX志向型住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)などの省エネ住宅の設備として、より一層の一次エネルギー消費量の削減が可能となりました。
自然冷媒CO2家庭用ヒートポンプ給湯機エコキュートでは、お湯に微細な気泡(マイクロバブル)を発生させて、温泉のように白濁したシルキーなお湯を自宅で楽しむことができるマイクロバブルユニットを貯湯ユニットに内蔵した貯湯量370リットルの「CHP-E37LUX1」と460リットルの「CHP-ES46LUX1」の2機種を開発しました。加圧ポンプを用いた加圧溶解に加えて旋回流機構を使用することで多量の空気をお湯に溶かし、おふろの循環口から噴出する際に一気に減圧することで、溶けた空気が微細な気泡に変わり、1ミリリットルあたり約3万個の「マイクロバブル」と約1,500万個の「ウルトラファインバブル」を含む白濁したシルキーなお湯を作り出しております。微細なマイクロバブルとウルトラファインバブルにより、さら湯よりも優れた保温効果を持続させることができます。
また、昼間に太陽光で発電した電気の余剰分を有効活用して昼間に沸き上げを行うことで、電気代やCO2排出量を削減できる「おひさまエコキュート」では、1階だけでなく2階、3階においてもシャワーをパワフルに使用できるよう給湯圧力を従来機種の約1.5倍に高めた「高圧力パワフル給湯」(減圧弁設定圧力260kPa)を搭載し、システムバスの「ふろ洗浄システム」との連動運転により、浴槽のおそうじ、閉栓、湯はりから保温まで自動でできる「おそうじconnect」に対応させた貯湯量370リットルの「CHP-E37AZ1V」と460リットルの「CHP-E46AZ1V」の2機種を開発しました。
なお、当部門に係る研究開発費は310百万円であります。
この結果、当連結会計年度における研究開発費は