当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中にある将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は、「切磋琢磨して、斬新なアイデアを提供できる企業人となり、良品廉価を持って顧客に奉仕し、万人の食生活をますます豊かにすることに貢献する」ことを経営理念としております。
(2)中長期的な経営戦略
当社は、長年の経験により得意とする学校給食センター等の「学校給食」や病院・介護老人福祉施設等の「病院福祉給食」、社員食堂や学生食堂等の「事業所給食」、弁当惣菜工場・農畜産物加工場等の「食品加工業」、大手外食チェーン店等の「外食産業」を最重要マーケットとして業務用厨房機器の製造、販売を行っております。
「学校給食部門」では全国に配置されている老朽化した学校給食センターの更新需要等があります。また、「病院福祉給食」では高齢化社会の進行に伴う介護老人福祉施設の増加やセントラルキッチン化による合理化、「事業所給食」では働きやすい職場環境の改善に向けた社員食堂の新設や改修、「食品加工業」では食生活の多様化を背景に惣菜やコンビニ弁当・レトルト食品等の成長や政府が支援する6次産業化の進展、「外食産業」では様々な業態が誕生する大手外食チェーン店への展開等、魅力ある将来性豊かなマーケットを持つ業務用厨房機器製造販売事業に引き続き積極的に取り組んでまいります。
全国に展開した販売網を基盤として、時代の流れやマーケットニーズを的確につかんだ製品やトータルシステムの開発を進め、これからも人々の社会生活の多様化に対応した「食文化のコーディネーター」として、食生活に新たな価値を創造してまいります。また、顧客に「提案」「設計」「施工」「開設支援」「アフターサービス」を一貫して提供できる点も当社の強みであり、業態や地域を超えて様々な分野の厨房をトータルでサポートしてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、売上高、営業利益及び経常利益を重要な指標として認識し、業績向上に向けてまい進してまいります。
(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社における経営環境は、景況感の改善とともに歴史的な物価高がいつ収まるのか不透明で、今後も極めて不確実性の高い経済環境が続くものと予測されます。
このような状況のなか、当社は近年のフードテックへの世界的な意識の高まりをとらえて、より人手に頼らず、業務の効率化に対応する衛生的で省人化された厨房システムのご提案を積極的に行ってまいります。
また、国連で採択されたサステナブル(持続可能)な社会を目指したSDGsの課題目標の達成に寄与するため、その実現に向けたプロセスであるESGの考え方へも配慮し、環境面を意識した省エネタイプの製品開発等に力を注いでまいります。
そして、事業拡大に欠かせない人材確保の採用活動につきましては、新卒採用を主として、人材獲得・人材育成に取り組んでまいります。社員とその家族はもとより、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会の実現に向けて行動してまいります。
中長期的な大きな設備投資としては、群馬工場の増築や老朽化した大阪本社や奈良工場の移転等を検討しております。
当社は、環境など自然資本の保全や多様性の確保などによる社会課題や人的資本の拡充を解決する課題を持続的な成長の機会と捉えて、さらなる企業活動の持続可能性(サステナビリティ)を維持・発展させるために、企業の社会的責任(CSR)を包含したEnvironment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)に配慮した経営のもと、業務用厨房機器製造販売事業を通して、国際的な持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指しております。この考え方のもと、適切なガバナンスや重要課題に関するリスク管理を行い、顧客・取引先・従業員・社会などへの法的、社会的及び倫理的責務を果たしてまいります。
なお、文中にあります将来に関する事項につきましては、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、法令遵守と社会倫理の遵守を企業活動の原点とすることを徹底し、また気候変動への対応にも目を向け、持続可能で健全な企業経営を行うためのガバナンス体制の整備やサステナビリティ関連のリスクについても監視・管理するためのガバナンス統制を行ってまいります。
(2)当社の戦略と人的資本への取組
当社は創業以来、従業員の積極的な挑戦を推奨する企業文化を大切にしてきており、従業員からの自発的なアイデアを収集することを目的とした社内提案制度、現場が直面する中長期的な課題を解決する為のチャレンジ投資制度、従業員が異なるフィールドで活躍しやすくするための社内留学・社内公募制度、そして挑戦の結果として得られた専門性や模範性を評価する社内認定制度など、様々な施策を取り入れております。
当社は従業員のみならず、役員自身も積極的にアイデアを発案し、単に経営方針を示すに留まらず、自ら率先垂範することで、「とにかく一回やってみる」というチャレンジを歓迎する企業風土の醸成に努めております。
①イノベーション
サステナブルな社会をもたらす省エネを意識した製品開発を推進してまいります。具体的には、加熱機器、炊飯機器及び洗浄機器等の製品開発において、環境負荷低減のため省エネ性能のさらなる向上を目指して取り組んでまいります。
当社では「いただきますの未来をつくる」を企業スローガンに、全従業員から広く開発アイデアを求める各種提案制度、大学や外部企業との共同研究や事業提携、あるいは未来思考やSFプロトタイピングといった手法も駆使しながら製品と事業のイノベーションに取り組んでおります。
②人とコミュニティ
従業員への人的資本投資および制度設計の強化を推進する経営を行ってまいります。また、より良い地域社会の構築に貢献するため、積極的な地域交流と地域の産業発展への取組みとして、企業版ふるさと納税制度を活用し、各自治体様の「出産・子育て関連事業」「農業・食品製造関連人材育成事業」「6次産業化関連事業」等を応援しております。
なお、人的資本投資(経営)に関する実行内容は下記のとおりです。
a.多様性の尊重と柔軟な働き方の提供
従業員の主体的意思を尊重しキャリア形成できる適切な環境を整備・提供します。能動的なキャリア形成を促すとともに、従業員の自主性を削ぐ要因を徹底的に排除してまいります。それにより、今まで以上に価値の創造・増産を目指します。また、性別や年齢、国籍といった外面的な多様性という視点に加え、知識・経験といった内面的な意味合いでの多様な人材が、最適な環境で活躍する人材ポートフォリオを構築してまいります。
b.ウェルビーイングの促進
企業の成長のために従業員の心身の健康は必要不可欠です。当事業年度からは、健康経営への取り組みとして「NAKANISHIヘルスケアチャレンジ」「人間ドック費用補助制度」を導入しました。「NAKANISHIヘルスケアチャレンジ」では認定基準を満たす従業員に対して「健康奨励金」を支給しております。
製造業として何より重要な安全衛生に力を入れ、衛生委員会の実施、労災対策に取り組んでおります。
また、従業員間のコミュニケーションの活性化と健康増進を目指したクラブ活動支援も行っており、会社から活動補助金を支給しております。この支援額も当事業年度から一人当たり年間一万円にまで増額し、従業員の心身の健康増進をさらに促してまいります。
c.人材育成・能力開発
各職種・レイヤーごとに必要な研修の実行はもとより、a.に記載した多様な人材が互いに学び合い教え合うことで、価値を高め合う集団的リスキリングの風土を醸成してまいります。
d.人材確保・適正配置
変化の激しい外部環境に対応しつつ当社の目指すイノベーションを起こすためには、多様性の尊重や教育の充実だけでは不十分と考え、社内における人材流動性を高める取り組みも始めております。具体的には「社内公募」「社内留学」制度の導入により、人材流動性を高め、適正配置に努めています。
また、新卒社員の育成強化を本格化するため、来期に入社する新卒総合職(第二新卒含む)を対象として配属前研修を2年間に延長し、本社・工場・営業現場といった複数部署でのOJTによる実務研修を経てから配属先に赴任させることとしました。従来の中途採用等のキャリア採用についても、特殊な経験・資格が必要なポジションを対象に、積極的に業界経験者の即戦力人材やリファラル採用等による拡充を継続しつつ、新卒採用を拡大させていく予定です。
e.適正な評価・報酬の提供
主体的に貢献価値創造に努め、企業価値向上に貢献した従業員については、適正な評価・報酬の提供を行い、成長のスパイラルを加速させます。従来、特定資格手当を必要に応じて拡充整備してまいりましたが、当事業年度より社内認定制度の運用を開始いたしました。製造業務や設計業務等、公的資格では評価できないスキルについては社外審査員による審査も取り入れつつ、社内独自の基準で評価・認定し、認定者には数千円から1万円の手当を支給します。
f.エンゲージメント・働きがいの向上
a~eまでの取り組みにより、従業員のエンゲージメント・働きがいを向上・担保します。また、社内コミュニケーションの一環として、社内懇親会費の支援、クラブ活動の推進、社内SNS「Move-Board」の導入に取り組みました。翌事業年度より、社内懇親会費は当事業年度までの倍額である一回1万円を6回までに補助を拡大しました。
(3)リスク管理
持続可能な社会を実現するべくサステナビリティ関連のリスクの識別及び管理についても各取締役が強い認識を持って取り組み、リスクの発生や存在を認識した場合は、必要に応じて経営会議にて対策を議論してまいります。
(4)指標及び目標
①イノベーションに関連するKPIとして社内提案制度の活用度を指標としております。
|
|
|
2024年度 |
2023年度 |
2022年度 |
2021年度 |
|
|
|
|
107 |
77 |
67 |
|
|
|
|
46 |
39 |
24 |
|
|
|
|
22 |
20 |
34 |
|
|
|
|
0.0 |
30.0 |
32.4 |
※ 社内提案制度には、業務改善アイデア提案制度と新製品アイデア提案制度の2種類があります。
②人とコミュニティに関連するKPIとしては、それぞれ以下の項目を指標としております。
a.多様性の尊重と柔軟な働き方の提供
|
大分類 |
項目 |
2024年度 |
2023年度 |
2022年度 |
|
従業員数 |
|
|
645 |
637 |
|
うち男性(人) |
527 |
503 |
497 |
|
|
うち女性(人) |
148 |
142 |
140 |
|
|
|
|
40.9 |
40.1 |
|
|
年代別従業員数 |
|
|
|
|
|
|
|
115 |
117 |
|
|
|
|
155 |
157 |
|
|
|
|
210 |
218 |
|
|
|
|
148 |
124 |
|
|
|
|
17 |
21 |
|
|
|
|
12.3 |
12.1 |
|
|
男性平均(年) |
13.1 |
12.8 |
12.7 |
|
|
女性平均(年) |
10.3 |
10.4 |
8.3 |
|
|
人件費 |
※パート・嘱託従業員除く |
|
6,167 |
5,691 |
|
男性平均(千円) |
6,469 |
6,547 |
6,070 |
|
|
女性平均(千円) |
4,514 |
4,622 |
4,165 |
|
|
多様性の確保 |
|
|
2.7 |
1.8 |
|
|
|
9.1 |
11.1 |
|
|
|
|
87.5 |
87.5 |
|
|
|
|
70.0 |
71.2 |
|
|
|
|
52.3 |
56.5 |
|
|
男性平均(%) |
71.4 |
44.4 |
50.0 |
|
|
女性平均(%) |
100.0 |
100.0 |
100.0 |
|
|
|
|
100.0 |
100.0 |
|
|
男性平均(%) |
100.0 |
100.0 |
100.0 |
|
|
女性平均(%) |
100.0 |
100.0 |
100.0 |
|
|
|
|
2 |
0 |
|
|
うち男性(人) |
0 |
0 |
0 |
|
|
うち女性(人) |
4 |
2 |
0 |
|
|
|
|
1.69 |
1.96 |
|
|
採用 |
|
|
11 |
6 |
|
うち男性(人) |
13 |
8 |
5 |
|
|
うち女性(人) |
5 |
3 |
1 |
|
|
|
|
31 |
39 |
|
|
うち男性(人) |
35 |
27 |
30 |
|
|
うち女性(人) |
7 |
4 |
9 |
b.ウェルビーイングの促進
|
|
|
2024年度 |
2023年度 |
2022年度 |
|
|
|
|
- |
- |
|
|
|
|
- |
- |
c.人材育成・能力開発
主要資格保有人数
|
|
|
2024年度 |
2023年度 |
2022年度 |
|
|
|
|
2 |
2 |
|
|
|
|
64 |
59 |
|
|
|
|
112 |
108 |
|
|
|
|
248 |
243 |
|
|
|
|
281 |
284 |
|
|
|
|
3 |
- |
|
|
|
|
- |
- |
|
|
|
|
9 |
8 |
|
|
|
|
7 |
5 |
|
|
|
|
132 |
47 |
|
|
|
|
253 |
60 |
|
|
|
|
9,409 |
2,106 |
|
|
|
|
10,625 |
2,190 |
※1 『厨房設計エキスパート』『製造マイスター・スペシャリスト』は、社内独自認定資格です。
※2 『食の6次産業化プロデューサー』は、レベル3以上の認定者を記載しております。
※3 2022年度までは上記記載の主要資格に対する受験費用です。2023年度より資格手当制度が開始され、主要資格に加え取得を推奨している全資格についての受験費用、講習費用及び教材費も支給しております。
社員教育
|
|
|
2024年度 |
2023年度 |
2022年度 |
|
|
|
|
21,756 |
5,100 |
|
|
|
|
13 |
13 |
|
|
|
|
2,241 |
1,960 |
|
|
|
|
100.0 |
96.0 |
|
|
|
|
100.0 |
100.0 |
※ 2022年度までは「外部講師費・資格講習に関する教材費」です。2023年度以降は「外部講師費・資格講習代及び教材費・社内講師費(人件費)・研修に伴う移動、宿泊費」としております。
d.人材確保・適正配置
|
|
|
2024年度 |
2023年度 |
2022年度 |
|
|
|
|
- |
- |
|
|
|
|
1 |
- |
e.適正な評価・報酬の提供
|
|
|
2024年度 |
2023年度 |
2022年度 |
|
※パート・嘱託従業員除く |
|
|
6,167 |
5,691 |
f.エンゲージメント・働きがいの向上
|
|
|
2024年度 |
2023年度 |
2022年度 |
|
|
|
|
227 |
228 |
|
|
|
|
9,131 |
6,625 |
|
(チーム数 |
|
|
- |
- |
|
(活動時間 |
|
|
- |
- |
|
|
|
|
17 |
15 |
|
|
|
|
172 |
- |
|
|
|
|
1 |
1 |
|
|
|
|
0 |
0 |
|
|
|
|
85 |
140 |
※エンゲージメント調査結果
社員満足度アンケートによる結果
総合満足点 53.7点(2024年度実施)
直近の離職率 5.0%(2024年度)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)販売関係
① 業務用厨房機器製造販売事業
当社の製商品の販売先は、ほとんどが日本国内向けであり、日本国内の設備投資や公共事業の動向に影響を受けます。また、主要販売先である学校給食関連の給食センター案件等一件当たりの売上金額が多額になる傾向にあり、日本国内の少子高齢化、人口減少等により需要の減退が進んだ場合、当社の財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、より付加価値の高い製品の開発やサービスの提供及びコスト削減による競争力の強化、収益性の向上に努めております。また、同時にシェアの拡大も図っております。
② 不動産賃貸事業
当社は、東京本社ビル(東京都中央区)の一部フロアを賃貸しておりますが、オフィスビル市況の空室率の上昇、賃料水準の下落、近隣賃貸不動産の供給状況などの不動産市場の動向が賃料収入に影響を与える可能性があります。
(2)原材料等調達関係
① 原材料の価格等の市況変動及び調達
当社製品の原材料の価格等について、市況変動の影響を受けます。また、サプライヤーの被災や倒産などによるサプライチェーンの途絶による原材料の供給中断、供給不足が発生した場合は、当社の財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 為替レートの変動
当社は、生産活動及び営業活動のほとんどを日本国内で行っておりますが、一部の商品については、海外から輸入しており、これらの輸入商品については為替レートの変動の影響を受けます。
なお、当社は、為替変動の影響を最小限に抑えるよう、契約ごとに為替予約等のヘッジ取引を行っております。
(3)災害等による影響
巨大地震及びこれに伴う津波や大型台風などの災害が発生した場合は、当社の販売、生産、物流及び本社機能に支障をきたす可能性があり、当社の財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、本社機能を有する拠点を東京都と大阪府に、また、生産・開発拠点を奈良県と群馬県に分散して有しております。
(4)製造物責任
当社が製造販売する製品に重大な安全性の問題、品質問題等があった場合、社会的評価が低下し、当社の財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
両工場に品質保証部を置き、製品の検査、品質の確保ができる品質管理体制を構築しております。なお、万が一の備えとして製造物賠償責任保険(PL保険)に加入しております。
(5)財務関係
① 資金調達
当社の資金調達の方法は、主に金融機関からの借入れによっておりますが、金融市場や資金の需給環境に大きな変化があった場合には、当社の財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、資金管理取扱規程に従い、適時に資金計画を作成して資金繰りを管理しております。また、安定的な資金を調達するため、常時、複数の金融機関と取引をしております。
また、財務基盤の安定のため、取引銀行1行とコミットメントライン契約を締結しております。
② 債権管理
顧客の業績等が急激に悪化し、回収遅延、回収不能が多発した場合には、当社の財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、与信管理規程に従い、取引相手ごとに期日及び残高を管理するとともに、財務状況等の悪化等による不良債権の発生防止に努めております。
(6)重要な見積りに関して
繰延税金資産
繰延税金資産の全部又は一部について回収可能性がないと判断した場合、その金額を評価性引当額として繰延税金資産から控除し、また、同額を法人税等調整額として計上することとなります。このような場合には、当社の財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。その内容については「第5 経理の状況 1. 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載の通りであります。
(7)その他
大株主の異動
2025年3月31日現在、当社の所有株式数の上位10名で持株比率が発行済株式総数の約60%と大株主の占める割合が多くなっております。また、当社の株式は市場における流動性が低いことから、何らかの理由で大株主が市場で当社の株式の多くを売却した場合には、当社株式の市場価格等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、従業員持株会への加入を奨励するなど安定株主の確保に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加が内需を押し上げた一方で、世界的な政治・社会情勢の不確実性やインフレによる景気減速リスクは依然として大きく、先行きは不透明なまま推移いたしました。
このような状況のもと、当社は、総合厨房機器メーカーとして、食中毒や異物混入問題といった「食の安全・安心」という基本的課題に真摯に向き合い、労働人口減少社会にも対応できる自動化・省力化を突き詰めた製品の開発に努め、また様々な顧客ニーズに対応した厨房機器・厨房システムの提案を心がけることで、業績の向上に取り組んでまいりました。
以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(財政状態)
当事業年度末の総資産は、304億66百万円(前年同期比13億69百万円増)となりました。
当事業年度末の負債は、100億18百万円(前年同期比29百万円増)となりました。
当事業年度末の純資産は、204億48百万円(前年同期比13億40百万円増)となりました。
(経営成績)
売上高は、学校関連及び外食産業の受注が好調であったことから、売上高は過去最高の399億31百万円(前年同期比9.1%増)となりました。利益面につきましては、物価高騰の影響を受けつつも、高収益である自社製品の販売比率向上に加え、生産効率の改善が奏功し、売上総利益率は向上いたしました。一方、将来の成長に向けた積極的な投資を行い、試験研究費や教育訓練費を大幅に増加させたため、販売費及び一般管理費も増加いたしました。これらの結果、営業利益は26億31百万円(前年同期比33.8%増)、経常利益は27億89百万円(前年同期比33.7%増)、当期純利益は18億7百万円(前年同期比19.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
イ.業務用厨房機器製造販売事業
業務用厨房機器製造販売事業につきましては、売上高は398億30百万円(前年同期比9.1%増)、セグメント利益は25億79百万円(前年同期比34.7%増)となりました。
ロ.不動産賃貸事業
不動産賃貸事業につきましては、売上高は1億1百万円(前年同期比1.0%増)、セグメント利益は51百万円(前年同期比0.0%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、29億96百万円(前年同期比28億13百万円減)となりました。
各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は5億44百万円(前年同期は獲得した資金43億33百万円)となりました。これは主に仕入債務が11億99百万円減少、法人税等の支払額が6億53百万円あったものの、税引前当期純利益が27億29百万円あったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は39億32百万円(前年同期は使用した資金は4億54百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が19億39百万円、投資有価証券の取得による支出が17億46百万円あったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は5億74百万円(前年同期は使用した資金2億66百万円)となりました。これは主に短期借入金による収入が11億円、配当金の支払額が4億57百万円、自己株式の取得による支出が54百万円あったことなどによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
業務用厨房機器製造販売事業 |
25,542,714 |
+7.6 |
(注)上記以外のセグメントについては、該当事項はありません。
ロ.商品仕入実績
当事業年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
商品仕入高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
業務用厨房機器製造販売事業 |
20,972,373 |
+7.5 |
(注)上記以外のセグメントについては、該当事項はありません。
ハ.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
業務用厨房機器製造販売事業 |
40,334,937 |
+6.8 |
8,442,227 |
+6.4 |
(注)1.金額は販売価格で表示しております。
2.上記以外のセグメントについては、該当事項はありません。
ニ.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
業務用厨房機器製造販売事業 |
39,830,527 |
+9.1 |
|
不動産賃貸事業 |
101,465 |
+1.0 |
|
合計 |
39,931,993 |
+9.1 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
日本マクドナルド株式会社 |
4,764,170 |
13.0 |
5,236,454 |
13.1 |
2.金額は販売価格で表示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 当事業年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.当事業年度の財政状態及び経営成績
当社の経営成績は、学校関連及び外食関連の受注が好調であったことから、売上高は過去最高の399億31百万円(前年同期比9.1%増)となりました。
営業損益は、物価高騰の影響を受けつつも、高収益である自社製品の販売比率向上に加え、生産効率の改善が奏功し、売上総利益率は向上いたしました。一方、将来の成長に向けた積極的な投資を行い、試験研究費及び教育訓練費を大幅に増加させたため、営業利益は26億31百万円(前年同期比33.8%増)となりました。
経常損益は、営業外収益及び営業外費用が1億58百万円の利益(純額)(前年同期比31.5%増)となり、その結果、経常利益は27億89百万円(前年同期比33.7%増)となりました。
税引前当期純損益は、特別利益及び特別損失が60百万円の損失(純額)(前事業年度は48百万円の利益(純額))となり、その結果、税引前当期純利益は27億29百万円(前年同期比27.8%増)となりました。
当期純損益は、法人税、住民税及び事業税が10億5百万円(前年同期比68.9%増)、法人税等調整額が△83百万円(前事業年度は21百万円)となり、その結果、当期純利益は18億7百万円(前年同期比19.0%増)となりました。
当社の財政状態は、当事業年度末の総資産は、304億66百万円(前年同期比13億69百万円増)となりました。これは主に現金及び預金が28億13百万円減少したものの、売掛金が6億78百万円、建設仮勘定が17億85百万円、投資有価証券が17億76百万円増加したことなどによるものです。
負債は、100億18百万円(前年同期比29百万円増)となりました。これは主に電子記録債務が12億25百万円減少したものの、短期借入金が11億円、未払法人税等が3億62百万円増加したことなどによるものです。
純資産は、204億48百万円(前年同期比13億40百万円増)となりました。これは主に剰余金の配当が4億58百万円あったものの、当期純利益を18億7百万円計上し、評価・換算差額等が34百万円増加したことなどによるものです。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
・業務用厨房機器製造販売事業
業務用厨房機器製造販売事業につきましては、学校関連及び外食関連の受注が好調であったことから、売上高は398億30百万円(前年同期比9.1%増)となりました。
利益面につきましては、物価高騰の影響を受けつつも、高収益である自社製品の販売比率向上に加え、生産効率の改善が奏功し、売上総利益率は向上いたしました。一方、将来の成長に向けた積極的な投資を行い、試験研究費及び教育訓練費を大幅に増加させたため、セグメント利益は25億79百万円(前年同期比34.7%増)となりました。
・不動産賃貸事業
不動産賃貸事業につきましては、売上高は1億1百万円(前年同期比1.0%増)、セグメント利益は51百万円(前年同期比0.0%減)となりました。
ロ.経営成績に重要な影響を与える要因
業務用厨房機器製造販売事業は、主として、学校給食センターなどの学校給食部門や病院福祉給食、社員食堂や学生食堂などの事業所給食、弁当惣菜工場・農畜産物加工場などの食品加工業、大手外食チェーン店などの外食産業を最重要マーケットとして、業務用厨房機器の製造、販売を行っております。
官公庁向けについては政府及び地方自治体の政策によって決定される公共投資の動向が、民間設備投資については景気動向等が売上高、利益に重要な影響を与える要因となります。
当社は、現在の厳しい経営環境を乗り切るために、業務の効率化に対する意識が高まってきた社会のトレンドをとらえ、衛生的で合理的な厨房システム機器や環境にも配慮した省エネタイプの製品開発等に力を注ぎながら、前述の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に記載している事項にそって、営業力の強化・製品開発力の強化を図ってまいります。
不動産賃貸事業は、空室率の状況、賃料水準の変動、近隣賃貸不動産の供給状況等不動産市場の動向が売上高、利益に重要な影響を与える要因となります。
ハ.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第69期の達成進捗状況は以下のとおりです。
売上高は学校給食部門の受注が主軸を保つなか、外食産業の受注が好調であったことから、売上高が増加し、計画比29億31百万円増(7.9%増)となりました。また、売上総利益率も想定より改善し、営業利益が計画比8億21百万円増(45.4%増)、経常利益が計画比8億59百万円増(44.5%増)、当期純利益が計画比4億30百万円増(31.3%増)となりました。
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指標 |
2025年3月期 計画 (2024年5月10日発表) |
2025年3月期 実績 |
2025年3月期 計画比 |
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売上高 |
37,000百万円 |
39,931百万円 |
2,931百万円(7.9%増) |
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営業利益 |
1,810百万円 |
2,631百万円 |
821百万円(45.4%増) |
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経常利益 |
1,930百万円 |
2,789百万円 |
859百万円(44.5%増) |
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当期純利益 |
1,377百万円 |
1,807百万円 |
430百万円(31.3%増) |
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、現金及び現金同等物の残高が28億13百万円減少いたしました。これは、営業活動で税引前当期純利益の計上等により5億44百万円得られたものの、投資活動で固定資産の取得により39億32百万円支出、財務活動で配当金の支払額等があったものの、短期借入金の増加により5億74百万円得られたためであります。
ロ.資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料及び商品の仕入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的としての資金需要は、主に固定資産の購入と投資有価証券の取得等によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は自己資金及び金融機関からの借り入れを基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は18億57百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は29億96百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1. 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載の通りであります。この財務諸表の作成に当たり、決算日における資産・負債及び決算期間における収益・費用に影響を与える項目について見積りを行い、その見込額を計上しております。なお、実際の結果はこの見積りと異なる場合があります。
なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1. 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載の通りであります。
当社は、当社の株主であるレック株式会社との間で、当社株式の譲渡その他の処分について当社の事前の承諾を要する旨の合意を含む契約を締結いたしました。
契約に関する内容等は、以下のとおりであります。
(1)契約の概要
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契約締結日 |
2025年2月27日 |
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契約の名称 |
資本業務提携契約 |
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相手先の名称 |
レック株式会社 |
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相手先の住所 |
東京都中央区京橋二丁目1番3号 京橋トラストタワー8階 |
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契約の内容 |
・当社はレック株式会社が保有する自己株式を第三者割当の方法により取得し、それと同時にレック株式会社は市場から当社の株式を同額買い付ける。 ・技術や製品の開発協力、販売基盤の相互活用、調達・物流に関する共同施策の実施、マーケティング活動の共同推進等、両社が合意する分野において業務提携を行う。 ・両社は、取得した株式を中長期的に保有し、当該株式の譲渡その他の処分を行う場合には、事前に相手方の書面による承諾を得るものとする。 |
(2)合意の目的
中長期的な相互株式の保有を通じて業務面での協力関係を構築し、両社が有する技術・販売力等の経営資源を互いに活かしてそれぞれの事業拡大・発展を図ることを目的としております。
(3)取締役会における検討状況その他の当社における合意に係る意思決定に至る過程
本契約の締結にあたり、取締役会は、株式の処分を制限し、相互に株式を持ち合うことによる株主価値やコーポレートガバナンスの低下につながる懸念について、慎重に検討を行いました。具体的には、提携の目的、中長期的な保有方針、事業シナジーによる企業価値向上への期待、株式の処分制限による安定性、経営の独立性、透明性の確保など、多角的な観点から議論を重ねました。その結果、本提携が両社の持続的な成長と企業価値の向上に資するものであり、株主価値やコーポレートガバナンスを損なう懸念はないことを確認し、2025年2月27日に本契約の締結を決議いたしました。
当事業年度の研究開発活動をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(1)業務用厨房機器製造販売事業
当社は業務用厨房機器の総合メーカーとして、衛生管理の徹底、より人手に頼らない社会システムが求められている状況をふまえつつ、食中毒や異物混入問題といった以前から注目されている「食の安全・安心」の課題克服にも目を向け、得意とする省人化された効率的で、多様化する顧客のニーズに応える大型システム機器や単品製品の研究開発に取り組んでおります。
また、サステナビリティにおけるCO2排出量削減に向けて、省電力・高効率な環境配慮型製品の開発にも取り組んでおります。
これらの研究開発は、当社の研究開発部と技術部を中心に行っており、当事業年度における研究開発スタッフは51名、また、研究開発費は
[容器洗浄機]
6次産業をはじめとする新しい市場に向け、当社の洗浄技術を活用した製品の拡販を目的に容器洗浄に特化した製品開発を行いました。既に他社がリードしている分野ですが、洗浄力や乾燥性能に加え、堅牢性と価格を重要視した新市場開拓向けの戦略的製品となっております。
[サニタリー容器省人化洗浄システム]
衛生用品を収納する容器専用の洗浄システムを開発しました。
水に対して浮上してしまう容器を上下に設置したコンベヤで挟んで浸漬搬送させることで、安定した浸漬時間が確保でき、次行程の洗浄機へ自動投入する省人化を図った洗浄システムになっております。
[幅広型SVロースター]
SVロースターのコンベヤ幅を1500mmに拡張し、特に食品工場の顧客から強い要望があったSVロースターでの過熱調理後に冷却冷凍するトンネルフリーザーとの連結によるライン化に対応するために開発を行いました。コンベヤ幅を広げることで高い生産能力を実現し、大量生産のニーズに応えることが可能となりました。これまで対応が難しかった市場への参入も視野に入れた戦略的タイプとなっております。
(2)不動産賃貸事業
研究開発活動は行っておりません。