第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

    文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針(経営理念)

当社グループの全従業員が共有し、進むべきベクトルを合わせるため、「品質の追求」、「人間性の尊重」、

「社会への貢献」、「夢のある職場」からなる経営理念(社是)を定め、株主をはじめとするすべてのステーク

ホルダーから評価される経営を行い、持続的に企業価値の向上を図ることを目指しています。

 

(2) 経営戦略及び経営方針

① 経営戦略

1.熱処理技術力の向上と新しい熱処理技術への取組み

2 環境の変化に対応した柔軟な事業展開

3.顧客志向を徹底した提案型営業

4.ITを活用したワークスタイルの変革

5.人材の育成

当社は、この5項目を経営戦略の柱とし、その実現のために、当期の情勢を見据え以下の「オーネックス方針」を掲げ、社会に一層貢献できる企業価値の高い会社の実現を目指していきます。

② 経営方針

1.法令遵守の徹底

オーネックスグループ企業行動憲章を踏まえ、コンプライアンスを経営の根幹と捉えて推進するために、「企業倫理」、「コーポレートガバナンス・内部統制」を堅持し、環境・社会・ガバナンス(ESG)に着目し、特に環境への配慮を念頭に企業の社会的責任(CSR)を遂行します。

2.品質の探求

「技術のオーネックス」として、自負のある熱処理技術を提供するためには、品質の向上に対して自身の知識と技術力を向上させる必要があります。また、競合他社の品質情報にも意を払い、全従業員が品質管理の重要性を理解し、役割と責任を認識し不良品の発生を防止すると共に、熱処理関連資格の取得の更なる向上を図ります。

3.人材の強化と組織の活性化

喫緊の課題である人手不足への対応として安全な勤務環境を確保した上で、一人の従業員が複数のスキルや職務を遂行する「多能工化」を充実させるべく、教育とキャリアパスを明確にしていきます。さらに、データや指標を「定量化」することで組織のパフォーマンスや課題を特定し、一人一人の業務への貢献度を明確にして組織の活性化を促進していきます。

4.営業基盤の拡充

既存のお客様やメーカーの内製熱処理の外製化ニーズを正確に把握し、適切かつ建設的な提案や解決策を提供できるように生産技術を向上させ、お客様のニーズを満足させなければなりません。そのためには、営業部門と工場部門が一体となってお客様への提案力を強化することで、新規取引先の獲得と既存取引先との更なる取引拡大に取り組んでいきます。

5.収益性の向上

競合他社の価格戦略や市場動向を分析し、取引先別に採算状況を検証して適正な熱処理単価を把握すると共に、取引先との交渉を通じて継続的な価格単価の見直しを推進します。

また、運送費や環境への配慮も考慮し各拠点別、加工種別にコスト構造を分析し、無駄な費用やコストを低減させ、拠点間における熱処理炉の最適配置を考慮し収益性の向上を図ります。

 

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題等

当社グループを取り巻く経営環境は、雇用・所得環境を改善する方針が出され景気の緩やかな回復が期待されたものの、為替は円安基調で推移し輸入価格や物価の上昇が続くなか、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナの紛争は長期化しており、原材料及びエネルギー価格の高騰が続き、米中貿易摩擦による中国経済の低迷も相まって景気の先行きは依然として不透明な状況が続くと認識しております。

このような状況のもと、当社グループは、東松山工場及び厚木工場の一体化運営を継続し、山口工場は第二工場を2025年6月期中に閉鎖することを決議し、第一工場での生産集約を加速させ生産性の向上等に努めました。また、子会社のオーネックステックセンターは、営業部門と工場部門が一体となって営業基盤の拡大に取り組んでまいります。また、国内の人口は減少の一途であり、今後、生産年齢人口も同様に減少し人手不足が懸念されますが、現在取り組んでいます多能工化を一層進めて人材を強化すること、加えて仕事の定量化及び見える化を図り各自の業務への貢献度を明確にして組織の活性化を促進していきます。さらに機械化、自動化を進めていくことで収益力の向上に取り組んでまいります。

 

(金属熱処理加工事業)

金属熱処理業界につきましては、製造業の需要に大きく依存しており、主力取引業界である自動車関連、産業工作機械関連、建設機械関連の全体的な受注は、低調に推移しました。他方で熱処理業界においては、メーカーの熱処理外製化による受注獲得機会の拡大が期待されています。

各国は、環境規制強化やカーボンニュートラルへの取り組みを表明しており、金属熱処理業界も対応を迫られることとなりますが、当社としては2工場において太陽光発電システムを設置しております。また、自動車のEV化による部品数の減少への対応として、熱処理設備自体の変革も含めて、メーカーの熱処理の外製化需要の取り込みを図ってまいります。

また、当社グループは、前述のとおり株式会社オーネックステックセンター(三重県亀山市)及び山口工場に自家消費型太陽光発電システムを設置しており、今後は他の2工場への導入も検討してまいります。

加えて、熱処理設備の加熱方法を電気あるいはその他CO2を出さない加熱方法によりカーボンニュートラルへ寄与することも検討してまいります。

さらに、市場シェアの高い近畿・東海エリアをカバーする株式会社オーネックステックセンター(三重県亀山市)を成長戦略の柱として拡充し、「顧客基盤の拡大」を一層推進してまいります。

 

(運送事業)

運送事業におきましては、インバウンド需要の回復により足元の景況感は改善しつつあるものの、物価上昇による需要の減少やエネルギー価格の高騰などにより、全体としては低調に推移しております。

また、働き方改革の中で労働時間の規制等2024年問題に対応すべくオーネックステックセンター工場内への休憩所設置や雇用条件の改定などを行うなど、これまで以上に運行管理の徹底、配車の効率化及びエコドライブによる燃費の削減に努め、法に則った従業員の労働安全管理にも留意することで、「強固な収益体質の確立」を推進してまいります。

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) ガバナンス

当社グループは、オーネックスグループ企業行動憲章を基軸とし、サステナビリティ課題に取り組んでいます。企業行動憲章では、企業理念実践のために、すべての企業活動において遵守すべき行動原則を定めています。各原則に基づき、法令およびルールなどを遵守し、高い倫理観と社会的良識をもって行動することで、多様な社会からの要請・期待に積極的に応え、企業価値の向上を図り、社会的責任(CSR)を果たし、持続可能な社会の実現に貢献することを宣言しています。

コンプライアンス・リスク管理委員会が、「オーネックスグループ全部門へ適用する体制」のもとで、関係する部署・グループ会社と連携し、環境経営をはじめとしたサステナビリティ活動を推進しています。

活動の推進にあたっては、多様なステークホルダーとの積極的なコミュニケーションを通じて得た当社グループに対する評価を真摯に受け止め、グループ内の事業活動において、この評価に応え得る取り組みを促します。また、さまざまなステークホルダーが、それらの活動を正しく評価できるように積極的に開示しています。

 

(2) リスク管理

当社グループは、リスク管理への対応として、「リスク管理規程」を定めており、各種経営諸問題に対応するため年4回を基本として、「コンプライアンス・リスク管理委員会」を開催しております。

また、取締役は重大な法令違反その他コンプライアンスに関する重要な事実を発見した場合には、直ちに監査役及びコンプライアンス・リスク管理責任者(代表取締役)に報告するものとし、遅滞なく取締役会において報告することとしております。

(3) 戦略

人材の育成及び社内環境整備に関する方針

<人材育成方針>

 変化を求められる経営環境の中、「時勢変化に即応」していくためには、この変化に柔軟に対応できる社員

を育成する必要があると当社は考えております。

 そのために必要な人材の育成項目は以下の4つを柱としております。

 

1.意識

自分の意見を持ち、意思を通す

 

2.意欲

イノベーションを実行する人物

 

3.能力

リーダーシップのある人物

 

4.行動

長期的な展望を持ち、変化に素早く対応

 

<社内環境整備方針>

 オーネックスグループは、人の安全、健康の確保を最優先課題とします。

特にハラスメント等については人権の侵害、環境を害する行為であるため、一切これを禁じております。

これを防止するために「ハラスメント防止委員会」を設置し、被害者の救済と再発防止に向けた処置を行う

方針であります。

 

(4) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

 当社では、上記「(3)戦略」において記載した、「人材戦略の4つの柱」について、次の指標を用いております。 当該指標及び実績は、次のとおりであります。

 

区分

指標

目標(2025年度迄)

実績

意識

資格手当取得者(*)

160

147

意欲

研修投資額(*)

150万円

86万円

能力

女性管理職比率(*)

5%

3%

能力

中途採用者の管理職比率(*)

25%

100%

行動

非管理職の残業時間

7H

10H

 

(*)連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある主なリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場、事業環境に関するリスク

① 金属熱処理加工事業市場の変動

当社グループの売上は産業工作機械、自動車、建設機械部品関連が大きな割合を占めており、原材料・エネルギー価格の高騰、半導体等の長期化する部品の供給不足が継続し景気の下振れが継続すれば、マーケット環境に大きな変化が生じ事業に大きな影響を受ける可能性があります。需要の裾野の広い一般産業機械分野向けの比率を高め、依存度の高い分野の需要の下方変動による影響の緩和を図っておりますが、高依存度の特定産業分野における需要の縮小は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

② 製品の品質

当社グループは、技術を磨き「品質の追求」をモットーにしており、適切な品質管理のもと製品作りに励んでおりますが、熱処理加工の欠陥に起因した大規模な損害賠償請求等が発生し、保険金で補填できない場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

③ 運送事業市場の変動

物流業界においては、2024年問題を解決するためにトラックドライバーの働き方改革を実現し賃金水準も引き上げなければ、ドライバー不足が加速する可能性があります。

また、原材料・エネルギー価格の高騰、半導体等の長期化する部品の供給不足が継続し、景気の下振れなどにより、日本を含む世界各国における生産活動の低迷は、生産関連貨物及び消費関連貨物ともに貨物輸送需要が低調に推移する可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

④ 労使関係及び労働環境

当社グループでは安定した労使関係の構築に努めております。労使協議会を定期的に開催し、職場環境、労働条件の改善について協議しており、労使関係の悪化による事業リスクは少ないと考えております。また、安全で働きやすい職場環境作りを目指して取り組んでおりますが、設備の不具合、作業手順の不遵守等により、労働災害が発生する可能性があります。特に重大な労働災害が発生した場合には、事業に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ IT化

当社グループは、生産管理システムや社内ネットワークシステム等を導入し、業務運営のオンライン化、システム化を推進し、バックアップ体制も整えております。ただし、これらのシステムやネットワークに大規模な障害が発生し、復旧に長時間を要するような場合、生産活動等に支障をきたし、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 情報セキュリティ

当社グループでは、事業遂行に関連し重要情報を入手することがあり、これらの情報の外部への流出防止・目的外の流用等が起こらないよう徹底を図っております。ただし、予期せぬ事態により流出する可能性は皆無ではなく、このような事態が生じた場合、社会的信用の失墜やその対応のための多額の費用負担が発生し、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 金融、経済に関するリスク

① 原材料価格

原材料価格の上昇に対応するため、生産性向上による原価低減、経費削減及び熱処理単価の見直し等の対策を講じてまいりますが、想定以上に原材料価格が継続上昇し、価格転嫁等の対応が遅れた場合には、当社グループの収益性に影響を与える可能性があります。

② 与信管理

当社グループは、特に事業の継続性が不安定な取引先に依存していることはありません。また取引先の与信管理については、社内外において情報収集に努め、細心の注意を払っておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大にみられるような新たな景況の変動によっては、取引先の倒産や経営不安等により債権回収に支障が生じ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

③ 金利の変動

当社グループは、有利子負債の削減を軸に財務体質の強化に努めておりますが、金利上昇は支払利息の増加を招き、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

④ 資産価値の変動

経済情勢などから、土地や有価証券など、当社グループが保有する資産価値が下落することにより、評価損が発生する恐れがあるなど、資産価値の変動が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

⑤  退職給付債務

当社及び連結子会社は、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度等の年金制度及び退職一時金制度を設けております。当社の退職給付費用及び債務は、割引率等の前提条件に基づいて算出されております。

したがって、その前提条件の変更や年金資産の運用成績の悪化、会計基準の変更等があった場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)  法令、災害等に関するリスク

① コンプライアンス

当社グループでは、グループ企業行動憲章を制定し、法令遵守の徹底を図っておりますが、法令違反が発生し、それに伴い社会的信用が失墜し、また経済的制裁を受ける等コンプライアンス上のリスクを完全に回避できない可能性があり、各種法令に抵触する事態が生起した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

② 環境規制

当社グループの熱処理加工拠点及び運送事業においては、環境に関する規制を遵守しております。地球規模の環境問題は深刻化しており、温室効果ガスの排出規制やCO2排出量削減等の規制は改正・強化される傾向にあり、規制を遵守するための費用は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

③ 情報開示及び株主利益

当社グループは適時開示に関する運用体制を整備し、会社情報の公正かつ適時適切な開示及び財務報告の信頼性の確保に努めておりますが、法令・通達等の制定・変更あるいは証券取引所ルールの改定等、状況変化への適切な対応や財務報告に関連する業務プロセスの検証が十分でない場合、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の有効性の評価において、重要な欠陥又は不備を指摘される可能性も無いとは言えません。その場合、情報開示の適切性を欠き、市場での株主価値の下落並びに株主にとっての不利益を招く可能性があります。

④  自然災害等

当社グループ及び当社グループ取引先の事業拠点が地震、洪水、火災、雪害等の災害などにより、物的・人的被害を受けた場合、当社グループは、危機対策本部を設置し対処・対応いたしますが、災害の規模が甚大な場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 ⑤ 感染症に関するリスク

新型コロナウイルス感染症の再拡大やその他の新たな感染症の発生は事業継続が困難になる可能性があります。

このような状況のもと、事業継続策のひとつとして人材の確保及び人材育成として多能工化による適切な人員配置等により、リスク回避を推進してまいります。ただし、更なる感染症が生起し長期化した場合、顧客からの受注が減少すると人件費等の固定費の負担が大きくなり、あるいは設備投資資金の回収が遅れたりした場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境を改善する方針が出され景気の緩やかな回復が期待されたものの、為替は円安基調で推移し輸入価格や物価の上昇が続くなか、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナの紛争は長期化しており、原材料及びエネルギー価格の高騰が続き、米中貿易摩擦による中国経済の低迷も相まって景気の先行きは依然として不透明な状況であります。

このような経済状況の下で当社グループは、東松山工場及び厚木工場の一体化運営を継続し、山口工場は第二工場を2025年6月期中に閉鎖することを決議し、第一工場での生産集約を加速させ生産性の向上等に努めました。また、子会社のオーネックステックセンターは、営業部門と工場部門が一体となって営業基盤の拡大に取り組んでまいりました。

主力取引業界である自動車関連、建設機械関連、産業工作機械関連は、全体的な受注が低調に推移し売上高は前期と比較して減少しました。経費面では、エネルギー価格、原材料価格などが高騰したため、コスト削減に努めるも前期と比較して減益となりました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,967百万円(前期比7.4%減)、営業利益55百万円(前期比25.2%減)、経常利益は41百万円(前期比78.4%減)となりました。また、前社長の死亡保険金受取による特別利益があったものの、減損損失、繰延税金資産の取崩しに係る法人税等調整額などを計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は、377百万円(前期比270.5%減)となりました。

 

   セグメントの業績は次のとおりであります。

(金属熱処理加工事業)

金属熱処理業界につきましては、主力取引業界である自動車関連、産業工作機械関連、建設機械関連の全体的な受注は低調に推移したため、売上高は前連結会計年度末と比較して減収となり、セグメント利益も減益となりました。また、株式会社オーネックステックセンターの売上高も前連結会計年度末と比較して減収となり、営業利益、経常利益ともに減益となりました。

売上高4,430百万円(前期比7.1%減)、セグメント利益20百万円(前期比29.6%減)となりました。

 

(運送事業)

運送事業につきましては、2024年問題に対応すべくオーネックステックセンター工場内への休憩所設置や雇用条件の改定などを行いましたが、受注が伸びず売上高は減収となり、営業利益、経常利益ともに減益となりました。

 売上高536百万円(前期比9.6%減)、セグメント利益14百万円(前期比44.8%減)となりました。

 

(2)  財政状態の状況

 (資産)

当連結会計年度末における流動資産は4,536百万円となり前連結会計年度末に比べ160百万円増加いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が82百万円減少したものの、現金及び預金が179百万円、電子記録債権が29百万円、流動資産のその他が19百万円増加したことなどによるものであります。固定資産は4,349百万円となり前連結会計年度末に比べ1,208百万円減少いたしました。これは有形固定資産が697百万円、無形固定資産が12百万円、投資その他の資産が498百万円減少したことによるものであります。

この結果総資産は、8,886百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,048百万円減少いたしました。

 

 (負債)

当連結会計年度末における流動負債は1,750百万円となり前連結会計年度末と比べ149百万円減少いたしました。これは1年内返済予定の長期借入金が54百万円、未払費用が43百万円増加したものの、未払法人税等が89百万円、未払金が74百万円、流動負債のその他が64百万円、支払手形及び買掛金が22百万円減少したことなどによるものであります。

固定負債は、1,859百万円となり前連結会計年度末と比べ522百万円減少いたしました。 これは長期借入金が409百万円、退職給付に係る負債が111百万円減少したことなどによるものであります。

この結果負債合計は、3,610百万円となり前連結会計年度末に比べ671百万円減少いたしました。

 

 (純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は5,276百万円となり、前連結会計年度末と比較して377百万円減少いたしました。これは主にその他有価証券評価差額金が33百万円増加したものの、利益剰余金が410百万円減少したことなどによるものであります。

この結果自己資本比率は59.4%(前連結会計年度末は56.9%)となりました。

 

(3) 当期のキャッシュ・フローの概況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動により得られたキャッシュ・フロー826百万円と投資活動により支出したキャッシュ・フロー222百万円、また財務活動により支出したキャッシュ・フロー423百万円により、前連結会計年度末に比べ179百万円増加し、当連結会計年度末には2,707百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は826百万円(前期は665百万円)となりました。これは主に受取保険金が392百万円、法人税等の支払額が123百万円、退職給付に係る負債の減少額が111百万円あったものの、減価償却費が527百万円、保険金の受取額が503百万円、減損損失が456百万円あったことなどによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は222百万円(前期は375百万円)となりました。これは主に長期貸付金の回収による収入が58百万円、有形固定資産の売却による収入が14百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が287百万円、定期預金の預入による支出が10百万円あったことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は423百万円(前期は202百万円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入が450百万円あったものの、長期借入金の返済による支出が805百万円、リース債務の返済による支出が35百万円、配当金の支払額が32百万円あったことなどによるものであります。

 

(4)  資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。また、運転資金及び設備投資資金の調達につきましては、必要に応じ主に金融機関からの長期借入としております。

 

 

 (5) 生産、受注及び販売の実績

 

イ. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

前期比(%)

金属熱処理加工事業(千円)

3,568,072

91.9

 

(注) 1.金額は製造原価によっております。

2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

ロ. 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

金属熱処理加工事業

4,531,504

93,2

147,807

110.3

 

(注) 金額は販売価額によっております。

 

ハ. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

前期比(%)

金属熱処理加工事業(千円)

4,430,857

92.9

運送事業(千円)

536,642

90.4

合計(千円)

4,967,499

92.6

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表  注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照願います。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。この会計上の見積り及び仮定は、その性質上不確実であり、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)
   当社グループは、将来減算一時差異の解消見込み額について、収益力やタックス・プランニングに基づく一時差

  異等加減算前課税所得が十分に確保できることを前提に、繰延税金資産を慎重に計上しております。
   繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに左右されるため、その見積りの前提とした条件や仮定に

  変更が生じた場合、繰延税金資産の修正を行うため、将来の税金費用に影響を与える可能性があります。

 

(固定資産の減損)

   当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループ

  から得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、見積られた割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価

  額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
   減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境等

  の諸前提の変化により、固定資産の減損損失を計上し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

  (7) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

我が国経済は、長期化するロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナの紛争など地政学リスクの高まりや世界的なインフレの進行、金融不安などによって停滞感が強まることが考えられます。またエネルギー価格や原材料価格の高騰、円安による輸入物価の上昇、2024年問題による輸送費の上昇など、先行きは不透明な状況が続くものと予想され、最も懸念されることは、国内の人口が減少しており、今後生産年齢人口も同様に減少し人手不足に陥る可能性があることです。

当社グループは、先行き不透明な状況ですが、最も懸念される人手不足に対しまして、現在取り組んでいます多能工化を一層進めて人材を強化してまいります。また仕事の定量化及び見える化を図り、各自の業務への貢献度を明確にして組織の活性化を促進していきます。さらに作業工程において機械化、自動化を進めていくことも視野に入れ収益力の向上に取り組んでまいります。拠点ごとの課題としまして、品質管理の更なる向上、加工種別の収益性の把握、金属熱処理炉の効率的な稼働、営業基盤の更なる拡大など、各拠点、各地域別の特性に応じた課題解決に取り組んでまいります。

さらに、カーボンニュートラルへの取り組みとしまして、近畿・東海エリアをカバーする株式会社オーネックステックセンター(亀山市)及び山口工場に自家消費型太陽光発電システムを設置しておりますが、厚木工場につきましても屋根の耐荷重調査を終了し設置に向けた諸調整を開始しています。加えてCO2の発生を軽減できる処理炉への変更なども検討してまいります。

さまざまな情勢の変化に遅滞なく対応できるように、先行した改革・改善を着実に進めてまいりますが 他方、当社は主要取引先である産業工作機械、自動車部品、建設機械関連等の動向に大きく左右され、極めて需要が読みにくいことなどから、中期経営計画を策定しておりません。中期経営計画を策定し、開示した場合、頻繁に修正のリリースを出すことに繋がり、投資家の皆様を混乱させることにもなりかねないことから、単年度の計画を公表し、変化のスピードの速い金属熱処理業界の中で柔軟かつ迅速に対応していくことが重要と判断しております。

なお、当期は固定資産の減損などがあり2025年6月期の連結業績予想につきましては、記載しておりません。

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの金属熱処理加工事業は、技術研究所を中心に新しい熱処理技術の調査研究を継続しております。それと共に、多様化・高度化する取引先の要望に対応し提案する技術開発を基本としております。

当連結会計年度における研究開発費総額は23百万円で主な研究項目は、次のとおりであります。

    なお、運送事業に関しては、研究開発活動を行っておりません。

 

(1) 材料高強度化対応の熱処理技術開発

地球環境保護のための排ガス規制や燃費改善のニーズが高まっており、そのため部品の小型化とそれに伴う高強度化の動きに対応する、耐摩耗性と耐焼付性に優れた特性を発揮する新しい表面処理技術開発

(2) 省エネルギー、低コスト指向の熱処理技術開発

熱処理時間短縮、電力やガスの消費量削減あるいは工程削減などを目的とした、より効率的な熱処理技術開発

(3) 歪みの極小化対応の熱処理技術開発

熱処理により発生する歪みの極小化を目的とし、併せて機械的性質も改善する新しい熱処理技術開発

(4) 高精度・高品質の熱処理技術開発

炉内の雰囲気制御方式を見直し、品質の安定化を図る高精度な熱処理技術開発