文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針(経営理念)
当社グループの全従業員が共有し、進むべきベクトルを合わせるため、「品質の追求」、「人間性の尊重」、
「社会への貢献」、「夢のある職場」からなる経営理念(社是)を定め、株主をはじめとするすべてのステーク
ホルダーから評価される経営を行い、持続的に企業価値の向上を図ることを目指しています。
(2) 経営戦略及び経営方針
① 経営戦略
1.熱処理技術力の向上と新しい熱処理技術への取組み
2 環境の変化に対応した柔軟な事業展開
3.顧客志向を徹底した提案型営業
4.ITを活用したワークスタイルの変革
5.人材の育成
当社は、この5項目を経営戦略の柱とし、その実現のために、当期の情勢を見据え以下の「オーネックス方針」を掲げ、社会に一層貢献できる企業価値の高い会社の実現を目指していきます。
② 経営方針
1.法令遵守の徹底
企業として法令を遵守することは当然であります。しかし、多くの企業において毎年のように不正・法令違反が生起しており企業に与える影響は甚大であることを肝に銘じておく必要があります。私達は、オーネックスグループ企業行動憲章及びコーポレート・ガバナンスを踏まえ、コンプライアンスを徹底することで、企業の信頼性を高め、顧客や利害関係者との良好な関係を維持し、長期的・持続可能なビジネスの成長を果たしてまいります。また、コンプライアンスを経営の根幹として、環境・社会・企業統治(ESG)を考慮した事業活動を展開し社会的責任(CSR)を果たしていきます。
2.営業基盤の拡充
自動車業界全般にやや陰りが見られることから、メーカーの熱処理外注化による受注獲得機会の拡大が期待されます。一方、ロボットや産業機械関連の世界市場は拡大することが予想されております。したがいまして、さらに営業・工場部門が一体となって、新規取引先の獲得と既存取引先との更なる取引拡大に取り組み営業基盤を拡充してまいります。
3.人員の確保と育成
人員の確保と育成は今後の重要な課題であり、採用活動の強化と「人材育成システム」を再整備するとともに、各部門を経験させ技術を継承しつつ多能工化を図ってまいります。また、自然災害や従業員等の健康へも配慮し、厚木・東松山工場の一体運営の強化により、生産性向上と人手不足対策を促進することで安心・安全な職場環境を構築します。
4.高い品質の維持管理
認証基準を満足させること、更にその基準を超えるオーネックス・スペックとして誇れるような品質システムを維持・向上させ不良品の発生を限りなくゼロに近づけていきます。そのためには、我々従業員一人一人が品質の大切さを再認識し、お客様へご迷惑をかけないという強い責任感を持って作業に注力いたします。
5.強固な収益性の確立
自動化・機械化を計画的に進めることにより、生産性を更に向上させ、段取りの削減、サイクルタイムの短縮、人的要因による不良品の削減を図ってまいります。そして、各処理工程における問題点・課題を明確にし、短期・長期の改善計画を立て実行することで収益力を強化してまいります。さらに自動化の検討においては、加工種別にコスト構造を分析し拠点間の熱処理炉の最適配置も考慮します。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
当社グループを取り巻く経営環境は、長期化するロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナの紛争など地政学リスクの高まりや米中貿易摩擦に加え米国の保護主義による関税の強化などがリスク要因として挙げられます。国内では、所得環境等の改善が実行され緩やかに回復していくことが期待されるところでありますが、対処すべき課題としましては、エネルギー価格や原材料価格の高騰、円安による輸入物価の上昇が見込まれることに加えて国内の人口は減少の一途であり、今後、生産年齢人口も同様に減少し人手不足が懸念されるところであります。
エネルギー・原材料価格の高騰に対しては、コスト削減のため電力の契約プランの見直しや設備の機械化・自動化を検討し、生産体制を見直しながら収益体質の強化を図ってまいります。さらに加工種ごとの収益性を具体的かつ細部まで掘り下げた分析を行うこと、金属熱処理炉の効率的な稼働を行うことなど生産性の向上に努めてまいります。
また、人手不足などに備えるために多能工化を推進します。そのために各部門において到達すべき基準や目標とする基準を定量化し、各従業員が他部門の業務においても基準を認識して効率的に担えるようにします。さらに、採用についても縁故募集や再雇用を奨励しつつ、生産性の向上等に努めてまいります。
そして、各工場につきましては、東松山工場及び厚木工場は一体化運営を継続し、山口工場は第二工場を閉鎖し、第一工場での生産集約を加速させるとともに課題の一つとして、営業エリアの拡大・拡充を目指します。
子会社の株式会社オーネックステックセンターは、営業部門と工場部門が一体となって提案型の営業に取り組み、営業エリアの拡大・拡充を推進してまいります。
子会社の株式会社オーネックスラインは、事業拠点の一つであるオーネックステックセンター工場内への休憩所設置や雇用条件の改定など福利厚生に重点を置き、引き続きドライバーを確保してまいります。
当社グループは、さまざまな情勢の変化に遅滞なく対応できるように、役員の若返りを図り、先行した改革・改善を着実に進めてまいります。
①(金属熱処理加工事業)
米国の金融政策や関税政策及びウクライナ戦争や中東情情勢の不安定化の長期化など世界経済に与える影響は大きく、製造業の需要に大きく依存している金属熱処理業界においては、主力取引業界である自動車関連、産業工作機械関連、建設機械関連の全体的な受注は、低調に推移しました。他方で米国の関税政策や地政学的リスクから、熱処理業界においては、メーカーの熱処理外製化による受注獲得の機会が拡大することが期待されます。
各国は、環境規制強化やカーボンニュートラルへの取り組みは継続しており、金属熱処理業界も対応を迫られることとなりますが、当社は山口工場と子会社である株式会社オーネックステックセンターの2工場において自家消費型太陽光発電システムを設置しております。また、自動車のEV化による部品数の減少への対応として、取り扱う熱処理設備の種類を適応させていき、さらにカーボンニュートラルへ寄与できる熱処理設備を取り入れながら、メーカーの熱処理の外製化需要の取り込みを図ってまいります。
また、当社グループは、前述のとおり株式会社オーネックステックセンター(三重県亀山市)及び山口工場に自家消費型太陽光発電システムを設置しておりますが、今後はペロブスカイト太陽電池など技術の進展をみつつ他の2工場への導入を検討してまいります。
さらに、ロボットや産業機械関連の世界市場は拡大することが予想されていますので、市場シェアの高い近畿・東海エリアをカバーする株式会社オーネックステックセンター(三重県亀山市)を成長戦略の柱として拡充し、「営業基盤の拡充」を一層推進してまいります。
②(運送事業)
運送事業におきましては、インバウンド需要の回復により足元の景況感は改善しつつあるものの、働き方改革の中で労働時間の規制等2024年問題によるドライバー不足や物価上昇による需要の減少やエネルギー価格の高騰などにより、全体としては低調に推移しております。
このような状況に対応すべく、株式会社オーネックステックセンターの工場内への休憩所設置や雇用条件の改定などを行ったことで、ドライバーの数が徐々に戻ってきております。故に、これまで以上に運行管理の徹底、配車の効率化及びエコドライブによる燃費の削減に努め、法に則った従業員の労働安全管理にも留意し、「強固な収益体質の確立」を推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、オーネックスグループ企業行動憲章を基軸とし、サステナビリティ課題に取り組んでいます。企業行動憲章では、企業理念実践のために、すべての企業活動において遵守すべき行動原則を定めています。各原則に基づき、法令およびルールなどを遵守し、高い倫理観と社会的良識をもって行動することで、多様な社会からの要請・期待に積極的に応え、企業価値の向上を図り、社会的責任(CSR)を果たし、持続可能な社会の実現に貢献することを宣言しています。
コンプライアンス・リスク管理委員会が、「オーネックスグループ全部門へ適用する体制」のもとで、関係する部署・グループ会社と連携し、環境経営をはじめとしたサステナビリティ活動を推進しています。
活動の推進にあたっては、多様なステークホルダーとの積極的なコミュニケーションを通じて得た当社グループに対する評価を真摯に受け止め、グループ内の事業活動において、この評価に応え得る取り組みを促します。また、さまざまなステークホルダーが、それらの活動を正しく評価できるように積極的に開示しています。
当社グループは、リスク管理への対応として、「リスク管理規程」を定めており、各種経営諸問題に対応するため年4回を基本として、「コンプライアンス・リスク管理委員会」を開催しております。
また、取締役は重大な法令違反その他コンプライアンスに関する重要な事実を発見した場合には、直ちに監査役及びコンプライアンス・リスク管理責任者(代表取締役)に報告するものとし、遅滞なく取締役会において報告することとしております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針
<人材育成方針>
変化を求められる経営環境の中、「時勢変化に即応」していくためには、この変化に柔軟に対応できる社員
を育成する必要があると当社は考えております。
そのために必要な人材の育成項目は以下の4つを柱としております。
1.意識
自分の意見を持ち、意思を通す
2.意欲
イノベーションを実行する人物
3.能力
リーダーシップのある人物
4.行動
長期的な展望を持ち、変化に素早く対応
<社内環境整備方針>
オーネックスグループは、人の安全、健康の確保を最優先課題とします。
特にハラスメント等については人権の侵害、環境を害する行為であるため、一切これを禁じております。
これを防止するために「ハラスメント防止委員会」を設置し、被害者の救済と再発防止に向けた処置を行う
方針であります。
当社では、上記「(3)戦略」において記載した、「人材戦略の4つの柱」について、次の指標を用いております。 当該指標及び実績は、次のとおりであります。
(*)連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載
当社グループの事業展開、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある主なリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場、事業環境に関するリスク
① 金属熱処理加工事業市場の変動
当社グループの売上は産業工作機械、自動車、建設機械部品関連が大きな割合を占めており、原材料・エネルギー価格の高騰、半導体等の長期化する部品の供給不足が継続し景気の下振れが継続すれば、マーケット環境に大きな変化が生じ事業に大きな影響を受ける可能性があります。需要の裾野の広い一般産業機械分野向けの比率を高め、依存度の高い分野の需要の下方変動による影響の緩和を図っておりますが、高依存度の特定産業分野における需要の縮小は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
② 製品の品質
当社グループは、技術を磨き「品質の追求」をモットーにしており、適切な品質管理のもと製品作りに励んでおりますが、熱処理加工の欠陥に起因した大規模な損害賠償請求等が発生し、保険金で補填できない場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
③ 人手・人材不足
我が国の人口減少と少子高齢化による生産年齢の人口減少は、人員の確保と育成が今後の重要な課題であります。採用については縁故募集や再雇用を奨励しつつ、生産性の向上等に努めております。ただし、当社グループの事業部門は厳しい環境下における作業が多く 人手・人材の確保を継続できなければ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があり、事業に大きな影響を受ける可能性があります。
④ 運送事業市場の変動
物流業界においては、2024年問題を解決するためにトラックドライバーの働き方改革を実現し賃金水準も引き上げなければ、ドライバー不足が加速する可能性があります。
また、原材料・エネルギー価格の高騰、半導体等の長期化する部品の供給不足が継続し、景気の下振れなどにより、日本を含む世界各国における生産活動の低迷は、生産関連貨物及び消費関連貨物ともに貨物輸送需要が低調に推移する可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 労使関係及び労働環境
当社グループでは安定した労使関係の構築に努めております。労使協議会を定期的に開催し、職場環境、労働条件の改善について協議しており、労使関係の悪化による事業リスクは少ないと考えております。また、安全で働きやすい職場環境作りを目指して取り組んでおりますが、設備の不具合、作業手順の不遵守等により、労働災害が発生する可能性があります。特に重大な労働災害が発生した場合には、事業に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ IT化
当社グループは、生産管理システムや社内ネットワークシステム等を導入し、業務運営のオンライン化、システム化を推進し、バックアップ体制も整えております。ただし、これらのシステムやネットワークに大規模な障害が発生し、復旧に長時間を要するような場合、生産活動等に支障をきたし、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報セキュリティ
当社グループでは、事業遂行に関連し重要情報を入手することがあり、これらの情報の外部への流出防止・目的外の流用等が起こらないよう徹底を図っております。ただし、予期せぬ事態により流出する可能性は皆無ではなく、このような事態が生じた場合、社会的信用の失墜やその対応のための多額の費用負担が発生し、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 金融、経済に関するリスク
① 原材料価格
原材料価格の上昇に対応するため、生産性向上による原価低減、経費削減及び熱処理単価の見直し等の対策を講じてまいりますが、想定以上に原材料価格が継続上昇し、価格転嫁等の対応が遅れた場合には、当社グループの収益性に影響を与える可能性があります。
② 与信管理
当社グループは、特に事業の継続性が不安定な取引先に依存していることはありません。また取引先の与信管理については、社内外において情報収集に努め、細心の注意を払っておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大にみられるような新たな景況の変動によっては、取引先の倒産や経営不安等により債権回収に支障が生じ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
③ 金利の変動
当社グループは、有利子負債の削減を軸に財務体質の強化に努めておりますが、金利上昇は支払利息の増加を招き、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
④ 資産価値の変動
経済情勢などから、土地や有価証券など、当社グループが保有する資産価値が下落することにより、評価損が発生する恐れがあるなど、資産価値の変動が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 退職給付債務
当社及び連結子会社は、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度等の年金制度及び退職一時金制度を設けております。当社の退職給付費用及び債務は、割引率等の前提条件に基づいて算出されております。
したがって、その前提条件の変更や年金資産の運用成績の悪化、会計基準の変更等があった場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法令、災害等に関するリスク
① コンプライアンス
当社グループでは、グループ企業行動憲章を制定し、法令遵守の徹底を図っておりますが、法令違反が発生し、それに伴い社会的信用が失墜し、また経済的制裁を受ける等コンプライアンス上のリスクを完全に回避できない可能性があり、各種法令に抵触する事態が生起した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
② 環境規制
当社グループの熱処理加工拠点及び運送事業においては、環境に関する規制を遵守しております。地球規模の環境問題は深刻化しており、温室効果ガスの排出規制やCO2排出量削減等の規制は改正・強化される傾向にあり、規制を遵守するための費用は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
③ 情報開示及び株主利益
当社グループは適時開示に関する運用体制を整備し、会社情報の公正かつ適時適切な開示及び財務報告の信頼性の確保に努めておりますが、法令・通達等の制定・変更あるいは証券取引所ルールの改定等、状況変化への適切な対応や財務報告に関連する業務プロセスの検証が十分でない場合、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の有効性の評価において、重要な欠陥又は不備を指摘される可能性も無いとは言えません。その場合、情報開示の適切性を欠き、市場での株主価値の下落並びに株主にとっての不利益を招く可能性があります。
④ 自然災害等
当社グループ及び当社グループ取引先の事業拠点が地震、洪水、火災、雪害等の災害などにより、物的・人的被害を受けた場合、当社グループは、危機対策本部を設置し対処・対応いたしますが、災害の規模が甚大な場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 感染症に関するリスク
新型コロナウイルス感染症の再拡大やその他の新たな感染症の発生は事業継続が困難になる可能性があります。このような状況のもと、事業継続策のひとつとして人材の確保及び人材育成として多能工化による適切な人員配置等により、リスク回避を推進してまいります。ただし、更なる感染症が生起し長期化した場合、顧客からの受注が減少すると人件費等の固定費の負担が大きくなり、あるいは設備投資資金の回収が遅れたりした場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、実質賃金の低下が個人消費の重石となったものの、インバウンド需要や輸出の回復等の外需が下支えし、緩やかに回復しました。しかしながら、為替は円安基調で推移し輸入価格や物価の上昇が続くなか、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルとパレスチナの紛争は長期化しており、さらに第2次トランプ政権による関税政策への懸念等と米中貿易摩擦による中国経済の低迷も相まって景気の先行きは依然として不透明な状況であります。
このような経済状況の下で当社グループは、山口工場においては第二工場の売却を2025年6月末に完了し、第一工場での生産集約を加速させ生産性の向上等に努めました。厚木工場及び東松山工場の一体化運営も継続してまいりました。また、子会社の株式会社オーネックステックセンターは、営業部門と工場部門が一体となった営業活動を行い、新規取引先の獲得へ繋がりました。
主力取引業界である自動車関連、建設機械関連の受注は減少したものの産業工作機械関連は増加しました。経費面では、エネルギー価格、原材料価格は前期並みでありましたが人件費が増加したため、前期と比較して減益となりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高5,053百万円(前期比1.7%増)、営業損失47百万円(前期は営業利益55百万円)、経常損失26百万円(前期は経常利益41百万円)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益2百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失377百万円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(金属熱処理加工事業)
金属熱処理業界につきましては、主力取引業界である自動車関連、建設機械関連の受注は減少したものの産業工作機械関連の受注は増加しました。経費面では、エネルギー価格、原材料価格は前期並みでありましたが人件費が増加したため、前期と比較して減益となりました。
この結果、売上高は前連結会計年度末と比較して増収となりましたが、セグメント利益は減益となりました。また、株式会社オーネックステックセンターの売上高は、前連結会計年度末と比較して減収となり、営業利益、経常利益ともに減益となりました。
売上高4,450百万円(前期比0.4%増)、セグメント損失102百万円(前期はセグメント利益20百万円)となりました。
(運送事業)
運送事業につきましては、2024年問題に対応すべくオーネックステックセンター工場内への休憩所設置や雇用条件の改定など福利厚生に重点を置き、ドライバーを確保できたことなどから受注も伸び、売上高は増収となり、営業利益、経常利益ともに増益となりました。
売上高602百万円(前期比12.3%増)、セグメント利益33百万円(前期比131.4%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は4,595百万円となり、前連結会計年度末に比べ58百万円増加いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が159百万円減少したものの、現金及び預金が221百万円増加したことなどによるものであります。
固定資産は4,081百万円となり、前連結会計年度末に比べ268百万円減少いたしました。これは無形固定資産が32百万円、投資その他の資産が12百万円増加したものの、有形固定資産が313百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は8,676百万円となり、前連結会計年度末に比べ209百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,778百万円となり、前連結会計年度末と比べ27百万円増加いたしました。これは短期借入金が100百万円、未払費用が83百万円減少したものの、未払金が193百万円、流動負債のその他が32百万円、未払法人税等が29百万円、電子記録債務が25百万円増加したことなどによるものであります。
固定負債は1,646百万円となり、前連結会計年度末と比べ213百万円減少いたしました。 これは退職給付に係る負債が102百万円増加したものの、長期借入金が332百万円減少したことなどによるものであります。
この結果、負債合計は3,424百万円となり、前連結会計年度末に比べ185百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は5,252百万円となり、前連結会計年度末と比較して23百万円減少いたしました。これは主にその他有価証券評価差額金が6百万円増加したものの、利益剰余金が30百万円減少したことなどによるものであります。
この結果自己資本比率は60.5%(前連結会計年度末は59.4%)となりました。
(3) 当期のキャッシュ・フローの概況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動により得られたキャッシュ・フロー698百万円と投資活動により得られたキャッシュ・フロー97百万円、また財務活動により支出したキャッシュ・フロー574百万円により、前連結会計年度末に比べ221百万円増加し、当連結会計年度末には2,928百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は698百万円(前期は826百万円)となりました。これは主に固定資産売却損が40百万円あったものの、減価償却費が431百万円、売上債権の減少額が170百万円、退職給付に係る負債の増加額が102百万円あったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は97百万円(前期は222百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が175百万円、無形固定資産の取得による支出が38百万円あったものの、有形固定資産の売却による収入が313百万円あったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は574百万円(前期は423百万円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入が450百万円あったものの、長期借入金の返済による支出が858百万円、短期借入金の純減少額が100百万円、リース債務の返済による支出が33百万円、配当金の支払額が32百万円あったことなどによるものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。また、運転資金及び設備投資資金の調達につきましては、必要に応じ主に金融機関からの長期借入としております。
(5) 生産、受注及び販売の実績
イ. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は製造原価によっております。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価額によっております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照願います。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。この会計上の見積り及び仮定は、その性質上不確実であり、実際の結果と異なる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、将来減算一時差異の解消見込み額について、収益力やタックス・プランニングに基づく一時差
異等加減算前課税所得が十分に確保できることを前提に、繰延税金資産を慎重に計上しております。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに左右されるため、その見積りの前提とした条件や仮定に
変更が生じた場合、繰延税金資産の修正を行うため、将来の税金費用に影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループ
から得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、見積られた割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価
額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境等
の諸前提の変化により、固定資産の減損損失を計上し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(7) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するために連結業績予想を用いまして、2026年6月期の連結売上高を5,138百万円、利益面では、同営業利益107百万円、同経常利益97百万円、親会社株主に帰属する当期純利益65百万円を客観的な指標の一つとしております。
2026年6月期連結業績予想
該当事項はありません。
当社グループの金属熱処理加工事業は、技術研究所を中心に新しい熱処理技術の調査研究を継続しております。それと共に、多様化・高度化する取引先の要望に対応し提案する技術開発を基本としております。
当連結会計年度における研究開発費総額は
なお、運送事業に関しては、研究開発活動を行っておりません。
地球環境保護のための排ガス規制や燃費改善のニーズが高まっており、そのため部品の小型化とそれに伴う高強度化の動きに対応する、耐摩耗性と耐焼付性に優れた特性を発揮する新しい表面処理技術開発
熱処理時間短縮、電力やガスの消費量削減あるいは工程削減などを目的とした、より効率的な熱処理技術開発
熱処理により発生する歪みの極小化を目的とし、併せて機械的性質も改善する新しい熱処理技術開発
炉内の雰囲気制御方式を見直し、品質の安定化を図る高精度な熱処理技術開発