文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「独自性のある高品質な製品をお客様にお届けする。」という事業精神のもとで、お客様の声に対し、社員ひとりひとりが新しいアイデアを出し合い、モノを創造していくこと、それが最高の品質を生み、最高の価値を生むものと考え、技術部門は「独自性」を、製造部門は「品質とコスト」を、営業部門は「信頼」を、それぞれ徹底的に追求し、「信頼に応えるモノづくり」を通して社会に貢献することを、経営理念としております。
この経営理念のもと、鋼製物置セグメントとオフィス家具セグメントを2本柱として製品を製造・販売し、くらしの快適さのための機能的な収納空間の実現と快適で創造的なオフィス空間の実現を目指して事業活動を展開しております。
時代の大きな変化に前向きに挑戦するとともに、当社グループの開発・生産・販売の一貫体制の強みを活かした着実な事業展開と効率的な経営を実践することにより、競合他社との差別化を実現し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を図っております。また、関係取引先との信頼関係を重視した健全で効率のよい会社へ発展することを目指しております。
(2) 経営戦略等
① 開発体制の強化
当社グループは、ユーザーニーズの動向を適切に把握し、そのニーズに即応することが、事業継続・発展において重要な取組みであると認識しております。ユーザーから望まれ、信頼される良品で競争力のある製品をタイミング良く市場へ投入するために、販売部門と技術部門・製造部門の連携を密にして、独自性・競争力のある製品の開発を迅速に実現してまいります。
② 生産体制の強化
当社グループは、競争力を維持し収益力を拡大していくために、最適な生産体制を追求し、コストダウンを積極的に進めてまいります。また、当連結会計年度において、自動化を追求した富岡工場への大型製品の生産移管が完了し、併せて富岡工場第2倉庫が完成しました。これらにより、富岡工場における大型製品の供給については、生産面・物流面を合わせた量産体制が整いました。当社グループは、これらの大型製品が単なる収納スペースの枠を超え、あらゆる用途にご活用いただけるよう、お客様の夢をかたちにするモノづくりに努めてまいります。
③ 営業体制の強化
当社グループは、勉強会・代理店会等を通じて、代理店様・販売店様との相互理解を深め、強固な販売ネットワークの維持・拡大に努めております。鋼製物置事業につきましては、大型製品の用途開発を通じて新たな需要を創出し、市場の拡大を図ることで新たな成長機会の追求を加速してまいります。オフィス家具事業につきましては、働き方改革に関する関心の高まりに対する新たなオフィス環境づくりの需要に対応するため、従来のモノの販売だけでなく、それに付随したサービスなど一貫して提供する提案型営業の強化に努めてまいります。当社グループは、これらの取組みを強化し、売上高及び利益の拡大を目指してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高経常利益率を中長期的な経営指標として重視しており、常にコスト意識を持ち収益の改善に努め、安定かつ強固な経営基盤の確立と資本効率の向上を目指してまいります。また、当社グループは、生産性向上のため、省力化・自動化等に資する設備投資を継続的に実施することから、減価償却前営業利益の水準も重要な経営指標としております。
(4) 経営環境
翌連結会計年度の日本経済は、米国の政策動向、中国経済及び新興国経済の減速懸念等、先行きの不透明感は残っていますが、企業収益や雇用環境は引き続き改善し、景気は緩やかながらも回復が続くものと予想されます。
当社グループを取り巻く経営環境を展望いたしますと、鋼製物置事業では、住宅着工戸数における持家動向が雇用・所得環境の改善を背景に持ち直し基調になると見込まれており、鋼製物置の需要は堅調に推移するものと予想されます。一方で、当社におきましては、製品価格改定の影響もあり、鋼製物置製品の出荷棟数は減少することが見込まれます。また、材料・仕入品などの価格が上昇していること、及び価格競争の激化による収益性への影響が懸念されます。
オフィス家具事業では、都心を中心に大規模オフィスビルの供給が高水準になると見込まれており、オフィスの移転・リニューアル需要は堅調に推移するものと予想されます。また、働き方改革などに関する関心の高まりに対する新たなオフィス環境づくりへの動きも高まっております。提案型営業の強化及びミーティングスペースやコミュニケーションスペースなど執務支援スペース分野への新製品投入により、収益機会の増加が期待されます。一方で、価格競争の激化による収益性への影響が懸念されます。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループにおきましては、鋼製物置事業では、既存市場での高シェアと収益性を維持しつつ、大型製品による様々な用途開発への取組みを強化し、新規市場への参入や新規需要の創出を着実に推進させていくことが事業上の課題となっています。また、オフィス家具事業では、収益性の改善が課題となっています。また、健全な財務体質を維持しつつ、成長への投資と株主還元に関し、バランスのとれた資産配分を行うことが財務上の課題となっております。
これらの課題に対処すべく、多様化するユーザーニーズに対応した競争力のある製品のラインアップ充実や、徹底した製造コストの低減、品質・生産性の向上に加え、生産拠点・販売拠点とネットワークの強化を図り、製品の強みを活かした提案型営業の強化により、売上高及び利益の拡大を図ってまいります。また、強固な財務基盤を背景に、生産性の向上や省力化に資する効果的な設備投資に取組み、機動力のある事業の発展を図ってまいります。
そして、すべてのステークホルダーからの信頼にお応えするため、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス体制強化による内部統制システムの充実、BCPなどリスク管理体制の整備による安定した事業継続にも努めてまいります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等の業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、記載した事項は、有価証券報告書提出日(平成30年10月23日)現在において当社グループが判断したものですが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
(1) 国内経済の動向
当社グループの販売はほとんどが国内販売であります。そのため製品の需要は、国内景気の動向に大きく影響を受けます。鋼製物置は主に住宅まわりの製品であり、住宅着工や家計消費動向等の影響を受け、オフィス家具は主にオフィス等の事務所向け製品であり、企業業績動向の影響を受けます。
従いまして、国内景気の悪化に伴い企業収益が圧迫されたり、所得雇用環境が悪化しますと、需要が縮小し、当社グループの業績や財務状況等に影響を与える可能性があります。
(2) 競合条件、価格動向
当社グループの属する業界は競合性の高い業界でありますが、当社グループは独自性のある高品質な製品により差別化に努めております。しかし、競合他社が当社グループ製品のデザイン及び技術を追従し、安価で販売する又は、より独自性の高いデザイン及び技術をもって当社グループのシェアを奪う可能性があります。
また、市場からの価格引き下げ圧力が強まった場合、当社グループが常に十分な採算性を確保できる保証はありません。
(3) 原材料の市況
当社グループの製品における主要原材料である鋼板は、鉄鉱石・原料炭の価格動向の影響を受けます。鉄鉱石・原料炭の供給減少や価格が高騰した場合、原材料費の負担増加により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4) OEM先の動向
オフィス家具ではその多くが特定販売先へのOEM製品の販売であります。OEM先とは、製品の企画・開発段階から協力関係にあり、互いに良きパートナーとして認識し強固な信頼関係を築いておりますが、将来も引き続き現状と同様な関係が継続できる保証はありません。OEM先の事業方針の変更によっては、売上の減少により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 法的規制
当社が属する金属製品加工業における主な法的規制は、以下のとおりであります。新たな法的規制、条例等の改正により、排気、排水、廃棄物等の処理に関する規制がさらに強化される可能性があり、その内容によっては処理方法の開発や規制対応のための設備投資等の費用負担により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
・大気汚染防止法
・悪臭防止法
・水質汚濁防止法
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律
・エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)
・土壌汚染対策法
(6) 重要な訴訟事件等の発生に係るもの
当社グループは、現時点において、将来の業績に重大な影響をおよぼすと思われるような損害賠償の請求や訴訟の提起を受けている事実はありません。しかし、将来当社グループの事業活動に関連して、製品の不具合や当社工場からの有害物質の発生、その他様々な事由で当社グループに対して訴訟その他の請求が提起される可能性があり、その内容によっては当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7) 自然災害その他
当社グループは、地震・洪水等の自然災害や火災等の事故災害により社会的混乱等が発生した場合、事業活動の停止や機会損失、復旧のための費用負担により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は、以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における国内経済は、堅調な外需、在庫投資、好調な企業収益等に支えられ、緩やかな回復基調が続きました。また、雇用・所得環境の改善が続く中、個人消費も堅調に推移しました。一方で、人手不足や原材料価格の高騰に加えて、米国政権の保護主義的な通商政策を巡る対立激化と警戒感により、不透明感が急速に高まりました。
このような経済環境のもと、当社グループの事業について概観いたしますと、個人消費の回復を受け、鋼製物置の需要は堅調に推移しましたが、材料価格の高騰により、事業環境は厳しい状況が続きました。オフィス家具の需要は、大規模オフィスビルの供給が短期的な端境期にあり、大型移転の需要は減少しましたが、業績が好調な企業を中心としたオフィスの移転需要やリニューアル需要は堅調に推移しました。しかしながら、価格競争の激化により、事業環境は依然として厳しい状況が続いております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、51,548百万円となり、前連結会計年度末に比べ166百万円増加いたしました。
流動資産は27,097百万円となり、前連結会計年度末に比べ523百万円増加いたしました。主な増加は、電子記録債権656百万円、有価証券への投資300百万円、商品及び製品147百万円であります。主な減少は、現金及び預金602百万円であります。
固定資産は24,451百万円となり、前連結会計年度末に比べ357百万円減少いたしました。
有形固定資産は21,390百万円となり、前連結会計年度末に比べ、598百万円減少いたしました。主な増加は、倉庫の新設や生産設備の更新による固定投資896百万円であります。主な減少は、減価償却費1,456百万円、減損損失31百万円であります。
無形固定資産は419百万円となり、前連結会計年度末に比べ、62百万円減少いたしました。主な増加は、ソフトウェアの更新等による投資62百万円であります。主な減少は、減価償却費124百万円であります。
投資その他の資産は2,641百万円となり、保有上場株式の時価上昇等により、前連結会計年度末に比べ、304百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末の負債は13,788百万円となり、前連結会計年度末に比べ40百万円増加いたしました。主な増加は、電子記録債務4,214百万円、未払法人税等125百万円であります。主な減少は、支払手形及び買掛金3,331百万円、流動負債のその他に含まれる設備関係支払手形439百万円、未払消費税313百万円及び未払金195百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、37,760百万円となり、前連結会計年度末に比べ125百万円増加いたしました。主な変動は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加408百万円、剰余金の配当による利益剰余金の減少457百万円、その他有価証券評価差額金及び退職給付に係る調整累計額の増加174百万円であります。
b.経営成績
当連結会計年度は、売上高32,631百万円(前期比3.4%増)、営業利益399百万円(前期比41.1%減)、経常利益669百万円(前期比24.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益408百万円(前期比28.5%減)となりました。
製品のモデルチェンジやバリエーションの充実、新たな用途提案による需要の創出等により、売上高は前連結会計年度に比べ増加いたしましたが、材料費・エネルギー費・運送費等、製造に関わる費用が断続的に上昇したため、利益は前連結会計年度に比べ減少いたしました。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
(鋼製物置)
鋼製物置事業につきましては、富岡工場の生産能力を活かし、大型製品のモデルチェンジやラインアップの充実を図るとともに、積極的に用途開発の取組みを実施いたしました。また、「イナバファン」づくりの取組みにつきましては、物置勉強会、物置組立競技会・代理店会を開催し、代理店様・販売店様との相互理解を深め、強固な販売ネットワークの維持・拡大に努めました。
鋼製物置製品のモデルチェンジやラインアップの充実につきましては、軽量鉄骨造の「イナバ倉庫」、高級ガレージ「ブローディア」及び二重構造の「ナイソーシスター」のモデルチェンジを行い、「ネクスタプラス」に新色を追加しました。「イナバ倉庫」は、これまで受注対応していた奥行延長タイプを標準品としてラインアップし、「下屋」をオプション品として追加しました。「ブローディア」は、デザインとカラーを変更するとともに、シャッター開閉スピードの向上と耐風圧強度の向上を図りました。「ナイソーシスター」は、デザイン、カラー及びサイズバリエーションを拡充するとともに、扉を閉めた際の跳ね返りを防ぐ性能を向上させるため、「キャッチ機能」を追加しました。
大型製品の用途開発につきましては、富岡工場敷地内にイナバ倉庫を活用した守衛室、グループ会社の事務所を設置し、代理店様・販売店様に用途開発の事例として紹介しております。また、イナバ倉庫を活用した「小規模店舗建築パッケージ」の提案を強化し、コインランドリー店舗、農産物直売店・カフェ店舗を開発しました。さらに、イナバ倉庫を活用した室内型トランクルーム「INABA96 プレミアムクローゼット」の低価格版として、ガレージを活用した「イナバボックス NEXT」の開発に取組みました。
この結果、当セグメントの業績は、売上高21,288百万円(前期比1.7%増)、セグメント利益1,284百万円(前期比27.8%減)となりました。売上高は前連結会計年度に比べ増加いたしましたが、材料価格等が上昇したこともあり、利益は前連結会計年度に比べ減少いたしました。
(オフィス家具)
オフィス家具事業につきましては、業績が好調な企業や業種への販売促進を強化するため、製品ラインアップの充実を図りました。また、販売強化のため、オフィストータルフェアを開催し、代理店様・販売店様に対してイナバ製品の特長等をお伝えする取組みを実施いたしました。
オフィス家具製品のラインアップの充実につきましては、スタンダードチェア「yera(イエラ)」、マルチコネクトデスク「Frei(フレイ)」及びユニット収納「TF(ティーエフ)」に新色を追加し、カラーバリエーションを充実させました。「yera」については、新色としてホワイトフレームタイプを追加し、「Frei」及び「TF」については、ブラックを基調とした高級感のある新色を追加しました。
この結果、当セグメントの業績は、売上高11,342百万円(前期比6.9%増)、セグメント利益85百万円(前期は54百万円のセグメント損失)となりました。前連結会計年度に比べ、売上高、利益ともに増加いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ602百万円減少し15,281百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、2,111百万円の収入(前期は2,911百万円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益642百万円、減価償却費1,581百万円及び仕入債務の増加882百万円等による収入と、売上債権の増加771百万円及び法人税等の支払額217百万円等の支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,254百万円の支出(前期は1,066百万円の支出)となりました。この主な要因は、有価証券の償還による収入500百万円及び投資有価証券の売却による収入230百万円等による収入と、有形固定資産の取得による支出1,699百万円、無形固定資産の取得による支出61百万円、有価証券の取得による支出800百万円及び投資有価証券の取得による支出400百万円等の支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、459百万円の支出(前期は441百万円の支出)となりました。この主な要因は、配当金の支払額457百万円等の支出によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年8月1日 至 平成30年7月31日) |
前期比(%) |
|
鋼製物置(百万円) |
19,307 |
103.3 |
|
オフィス家具(百万円) |
5,706 |
98.8 |
|
合計(百万円) |
25,014 |
102.2 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社は、販売計画に基づいた見込生産によっておりますが、オフィス家具の一部について、OEM先に対し受注生産を行っております。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
|
オフィス家具 |
2,853 |
92.5 |
124 |
50.9 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年8月1日 至 平成30年7月31日) |
前期比(%) |
|
鋼製物置(百万円) |
21,288 |
101.7 |
|
オフィス家具(百万円) |
11,342 |
106.9 |
|
合計(百万円) |
32,631 |
103.4 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成28年8月1日 至 平成29年7月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年8月1日 至 平成30年7月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
ユアサ商事㈱ |
7,693 |
24.4 |
7,945 |
24.3 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたり重要となる会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断のもと、一定の前提条件に基づく見積りが必要な場合があり、これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
(経営成績の分析)
a.計画との比較
当連結会計年度は、売上高32,800百万円、経常利益760百万円を掲げスタートしましたが、年度前半の売上不振に加え、主要材料の鋼材価格の高騰など、製造に関する費用が増加したこと、年度後半においても鋼材以外の材料価格や仕入品価格の上昇が見込まれていたこと等、想定以上の材料価格高騰の環境変化を踏まえ、年度途中において当連結会計年度の計画を売上高31,600百万円、経常利益250百万円に見直し、事業活動を進めてまいりました。見直し後の計画に対する概況は次のとおりであります。
当連結会計年度の売上高は、計画比1,031百万円増の32,631百万円(達成率103.3%)となりました。主たる増収要因は、個人消費の回復や政府による「働き方改革」の推進を受けて、新たなオフィス環境づくりのニーズが一層高まったことを受け、受注が増加したことです。
当連結会計年度の経常利益は、計画比419百万円増の669百万円(達成率267.9%)となりました。主たる増益要因は、材料費・エネルギー費・運送コストなど製造に関する費用が断続的に上昇しましたが、売上高の増加に加え、生産性の向上やコスト削減に努めた結果、売上原価率が計画比0.6%改善、販管費率が計画比0.6%改善されたことです。
セグメント別では、鋼製物置事業においては、個人消費の回復を受け、年度後半の需要が堅調に推移したことに加え、製品価格改定前の駆け込み需要により、セグメント売上高は、計画比138百万円増の21,288百万円(達成率100.7%)となりました。
オフィス家具事業においては、年度後半のオフィスの移転需要やリニューアル需要の増加に加え、働き方改革への関心の高まりに対する新しいオフィス環境づくりの動きを受け、セグメント売上高は、計画比892百万円増の11,342百万円(達成率108.5%)となりました。
b.前期実績との比較
当連結会計年度の売上高は、前期比1,083百万円増の32,631百万円(前期比3.4%増)となりました。主たる増収要因は、「a.計画との比較」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の経常利益は、材料費・エネルギー費・運送コストなど、製造に関する費用の増加により、前期比220百万円減の669百万円(前期比24.7%減)に留まりました。主たる減益要因は、売上原価率が前期比0.8%上昇、販管費率が前期比0.1%上昇したことです。
(収益性の維持・改善)
a.鋼製物置事業
昨今の鋼材価格や段ボール等の副資材コストの上昇、さらには電力費や燃料費、物流業界の物流コストの高騰によるコストアップを吸収すべく、製造コストの削減を図り、製品の品質維持と安定供給に努めてまいりましたが、自助努力のみでは、これまでと同様の高品質な製品の安定供給を維持することが限界に至りました。そのため、平成30年7月より鋼製物置製品の価格改定を実施いたしました。この価格改定により、売上高の拡大及び収益性の改善に繋がるものと判断しております。
また、重点的に取組みしている大型製品による用途開発では、一定の成果が出始めています。
イナバ倉庫を店舗として活用する「小規模店舗建築パッケージ」の提案を強化した結果、コインランドリー店舗、農産物直売所・カフェ店舗等を開発し、新規市場に参入しました。また、イナバ倉庫を活用したトランクルーム店舗「INABA96 プレミアムクローゼット」は、オーナー様よりご好評をいただいておりますが、今般、オーナー様の初期投資費用を低減しつつ、高品質な室内型トランクルームサービスの提供を可能にした「イナバボックスNEXT」を開発しました。安定した収益性を維持していくために、これらの取組みを積極的に行ってまいります。しかし、想定よりスピードが不足しており、今後さらに「質」と「スピード」を向上してまいります。
b.オフィス家具事業
オフィス家具事業においては、高コスト体質による収益性の課題があり、これを改善するために様々な改善の取組みを継続しています。
具体的には、生産性向上や業務改善に向け、従来から取組みしている「API活動」と「5S+S運動」の継続並びに「イナバ製品とOEM製品の部材共通化」や「部品数の削減と製品の軽量化」です。
同業他社との価格競争により、当セグメントの事業環境は厳しい状況が続いておりますが、これらの取組みなどが功を奏し、当連結会計年度のオフィス家具事業の収益性は改善しました。
③ 経営成績等に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、特に、鋼材などの主要材料や副資材の価格動向について引き続き留意していく必要があると考えております。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
「経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社グループは、売上高経常利益率を中長期的な経営指標として重視しており、また、生産性向上のため、省力化・自動化等に資する設備投資を継続的に実施することから、減価償却前営業利益の水準も重要な経営指標としております。
当連結会計年度の売上経常利益率は、前期比0.7%下落の2.1%となりました。また、当連結会計年度の減価償却前営業利益は、前期比254百万円減の1,942百万円(前期比11.6%減)となりました。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料、商品等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
運転資金及び設備資金の調達については、自己資金又は銀行借入で賄う方針であります。
当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計6,350百万円の当座貸越契約を締結しております。なお、当連結会計年度末における借入金の残高はありません。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は15,281百万円となっております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、各セグメントに配分していない全社費用61百万円を含む262百万円であります。
当社グループの研究開発活動は、独自性・品質性・合理性という設計思想のもとに、他部門とのコラボレーションを意識したチーム編成を行い、人と地球に優しく、より個性的で卓越した製品の開発を目指し、国内はもとより国際的なニーズに応えるために積極的に研究開発に取組んでおります。また、再生資源の利用促進を目指し、パーツごとの解体・分別が容易な「分別設計」を導入するなど、素材のみならず設計においても環境への配慮を行っております。主要な部品、部材には、分別のための材質表示をし、リサイクルし易く、ゴミ減量化にも資する生産活動の実現を図っております。
当連結会計年度のセグメントごとの主な研究成果は、以下のとおりであります。
(鋼製物置)
鋼製物置セグメントにつきましては、大型製品の生産拠点として建設した富岡工場の平成28年4月からの稼働開始に伴い、ガレージ「GRN」のモデルチェンジを行いましたが、以降ガレージにおいては車2台分の広い開口を持った「BRK」やイナバ倉庫においては「SGN」へモデルチェンジを行いました。
平成30年8月からは「イナバ倉庫」のシリーズ名を「イナバ倉庫・ガレージ」に名称変更し、軽量鉄骨造の「イナバ倉庫」のシリーズ内に高さを低くしたガレージタイプと敷地の有効利用を目的とした間口1,800mmサイズを追加しました。
また、物置と自転車置場を連結した「ネクスタ・ウィズ」や小型収納庫「アイビーストッカー」をベースとしたタイヤ収納に特化した「タイヤストッカー」を発売開始しました。
今後も多様化する顧客ニーズに対応すべく用途開発に注力し、新しい製品開発を進めてまいります。
なお、当セグメントに直接かかる研究開発費は116百万円であります。
(オフィス家具)
オフィス家具セグメントにつきましては、平成30年1月よりスタンダード・チェア「yera(イエラ)」にフレーム色としてホワイトの追加と背と座のクロスが同色タイプをラインアップしました。
連結型テーブルの「Frei」には、立った姿勢やハイチェアでの使用を目的とした「Freiハイタイプ」を追加し、オフィスの多様化する働き方に対して、提案可能なアイテムの充実を図りました。
今後は執務スペースだけではなく、これまで品揃えがなかった執務支援スペースと呼ばれる分野への提案が可能になる新製品を市場に投入してまいります。
なお、当セグメントに直接かかる研究開発費は84百万円であります。