文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2020年10月23日)現在において経営者が判断したものです。
(1) 経営方針
当社グループは、「独自性のある高品質な製品をお客様にお届けする」という事業精神のもとで、お客様の声に対し、従業員ひとりひとりが新しいアイデアを出し合い、モノを創造していくこと、それが最高の品質を生み、最高の価値を生むものと考え、技術部門は「独自性」を、製造部門は「品質とコスト」を、営業部門は「信頼」を徹底的に追求し、「信頼に応えるモノづくりを通じて社会に貢献する」ことを経営理念としております。この経営理念のもと、鋼製物置及びオフィス家具を製造・販売し、「くらしの快適さのための機能的な収納空間の実現と快適で創造的なオフィス空間の実現」に向けて事業活動を行っています。
当社グループは創業以来、社会環境の変化に向き合いながら、開発・生産・販売の一貫体制を活かした着実な事業展開と効率的な経営を実践し続けることで、イナバらしさを追求し、企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を目指しています。
(2) 経営環境
当社グループを取り巻く経営環境については、長引く米中の通商問題に加えて、世界的に拡大を続ける新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、世界経済・国内経済ともに先行き不透明な状況が続いています。各国での外出自粛要請や渡航規制等の感染防止策により、消費活動や事業活動が制約されることで、サプライチェーンの分断など、需要、供給の両面で経済活動が大きく抑制され、景気低迷の長期化が懸念されています。
国内においては、少子高齢化に伴う労働人口の減少問題や消費税増税後の消費減退が続く中、新型コロナウイルス感染症の影響による事業活動の収縮などもあり、国内景気の減速・悪化傾向は一層強まっています。一方で、事業構造の変化、働き方改革の普及、新しい生活様式に対応する取り組みの必要性が高まっています。
鋼製物置市場と相関性の高い住宅着工戸数の動向については、2020年度は消費増税の駆込みの需要の反動減を要因として、前年度比で減少する見通しです。一方、用途開発により新しい活用ニーズの拡大など、住宅着工戸数に左右されない需要の増加が見込まれることから、鋼製物置の需要は堅調に推移するものと予想しています。
オフィス家具事業では、大規模新築オフィスビルの供給は一時的に減少する見込みであり、二次・三次移転を中心にオフィス需要は弱含みで推移するものと予想しています。多様化したワークスタイルに対応する新しいオフィスづくりへの動きは、幅広い企業層に拡がっていますが、これまでの増員計画をベースにした増床移転の取り止め、固定費削減のための事業所縮小等、景気後退による需要減は避けられない見通しであることから、オフィス家具の需要は低調に推移するものと予想しています。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化することで、今後の市場環境が大きく変化する可能性があります。
(3) 経営戦略等
① 一貫体制維持・強化
当社グループは、1940年にプレス加工メーカーとして創業して以来、鋼製物置、オフィス家具に事業領域を拡大し、新技術・新製品の開発に取り組み、鋼製物置・オフィス家具の両事業で多彩な製品を提供しています。鋼製物置事業では、イナバ物置の生産開始以降、CM「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫」での認知度に加えて、ユーザーの立場にたって組み立てやすく高品質な製品づくりを心掛けてきた結果、鋼製物置市場では国内トップシェアを獲得しています。また、物置で培ったノウハウを活かしてガレージ、倉庫、自転車置場等で製品領域を拡げ、現在は大型製品のラインナップ拡充に注力するなど、快適な住環境からパブリックスペースまで多様なニーズに対応する製品を提供しています。オフィス家具事業では、ユーザーの使いやすさを徹底的に追求し、ノックダウン方式を業界で初めて採用するなど、デスク、チェア、パーテーション等を含めたオフィス空間のトータルプロデュースを心掛けています。
当社グループは、市場から求められる高品質な製品を安定的に供給し続けるため、引き続き一貫体制の維持・強化に取り組んでいきます。
技術部門では、市場ニーズに合致した競争力のある新製品を開発し、製品ラインナップの拡充に取り組んでいきます。製造部門では、「製品の90%が自社による一貫生産」という自社生産比率の高さを強みとし、加工専用機械、金型製作、ライン編成等も自社で設計・製作し技術とノウハウを社内に蓄積することで、コスト競争力と高品質を両立させた製品づくりを行っていきます。また、自動化・省力化に資する設備投資とより最適な生産体制の確立を進めていきます。営業部門では、全国展開している代理店網を活用した地域密着型の営業活動を重視し、お客様・代理店・販売店の声、市場動向等をリアルタイムで技術部門や製造部門へ伝えることで新たな製品開発を進め、お客様の信頼獲得につなげていきます。また、全国に設置している物流拠点を営業部門が統括することで、正確な配送と納期の短縮化を目指していきます。
② 翌連結会計年度の基本方針
当社グループは、社会環境の変化に向き合いながら、翌連結会計年度の基本方針を踏まえた事業活動を行っていきます。
a.経営基盤強化に向けた取り組み
当社グループは、経営基盤の強化、将来の利益成長に向けて、犬山工場・鋼製物置ラインの再構築、静岡営業所・静岡配送センターの新築・移転などの設備投資を継続していきます。
当社グループは、これらの設備投資と継続的な改善活動を続けていくことにより、生産性・効率性の向上と競争力の向上につなげていきます。
b.持続的成長に向けた取り組み
当社グループは、多様化するニーズに対応した競争力ある製品ラインナップの拡充、品質の向上、生産拠点・販売拠点・物流拠点の効率的な運用を図ることにより、収益性の維持・向上を目指していきます。当社グループは、これらを実現するために、イナバ製品の「品質」「独自性」「価値」を追求するとともに、引き続き「新製品開発」「用途開発」「組立職人の育成・充実」などに取り組んでいきます。
(鋼製物置事業)
鋼製物置事業においては、売上高の拡大と安定的な利益確保を目指していきます。
当社グループは、これらを実現するために、新製品の開発や新たな用途開発に取り組むとともに、製品ラインナップの拡充を図り、代理店・販売店とのリレーション強化を継続していきます。
(オフィス家具事業)
オフィス家具事業においては、売上高の拡大と収益性の改善を目指していきます。
当社グループは、これらを実現するために、お客様のニーズにマッチした製品の拡充や提案営業の強化、並びにコスト抑制の取り組みを継続していきます。
③ 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた経営
新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会活動や経済活動が大きく抑制され、国内経済の先行きは不安定かつ不透明な状況にあります。当感染症が当社グループの経営に与える影響につきましては、生産拠点・販売拠点・物流拠点及び代理店・販売店の一時的な閉鎖や納品延期などにより、収益機会が減少する可能性があります。
このような経営環境の中、当社グループは、こうした社会環境が変化する時期をビジネスチャンスと捉え、お客様の声にしっかりと耳を傾け、社会や市場のニーズの変化を先取りした製品の開発、用途提案・用途開発により新たなビジネスチャンスを発掘していきます。
また、当社グループは、更なる感染拡大を防ぐため、感染防止策に取り組んでいきます。新型コロナウイルス感染症の収束時期や影響の程度が見通せない中、当社グループは、政府の方針や保険行政の指針等に基づき、当感染症の感染防止策に取り組んでいきます。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高経常利益率を中長期的な経営指標として重視しています。常にコスト意識を持って収益改善に取り組み、安定かつ強固な経営基盤の確立と資本効率の向上を目指しています。
また、当社グループは、生産性向上・省力化に資する設備投資を継続的に行っていることから、減価償却前営業利益の水準も重要な経営指標としています。
2021年7月期の連結目標は、売上高35,000百万円、営業利益1,450百万円、経常利益1,660百万円、親会社株主に帰属する当期純利益930百万円、売上高経常利益率4.7%、減価償却前営業利益3,320百万円としています。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「信頼に応えるモノづくりを通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、「くらしの快適さのための機能的な収納空間と快適で創造的なオフィス空間」の実現に向けて、事業活動を行っていきます。社会環境の変化に向き合いながら、当社グループの技術力やモノづくり力と社外のビジネスパートナーが持つ強みを活かし、持続的な成長と企業価値向上を追求していきます。
2020年度の経営環境は、各国の政治・金融情勢、保護主義の広がり、新型コロナウイルス感染症の状況などにおいて不確実性が高く、国内経済の先行きも見通しにくく不透明感が増しています。
このような状況を踏まえ、当社グループは、事業等へのリスクやその影響を見極めながら、成長に資する設備投資を継続し、競争力の向上などにより売上と収益の獲得を目指していきます。
鋼製物置事業については、既存市場では高シェアと高収益を維持・拡大させ、新規市場では用途開発を進めていくことで市場を拡大させ、中長期的な持続的成長を成し遂げていくことが事業上の課題となっています。オフィス家具事業については、事業環境が厳しいものの、働き方改革の普及に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響による新しい働き方や新しいオフィス空間づくりへの動きの拡がりが見込まれることから、新たな収益機会を着実に捉え、収益の拡大につなげていくことが事業上の課題となっています。
これらの課題に対処すべく、多様化する市場ニーズに対応した競争力のある製品のラインナップ充実や、徹底した製造コストの低減、品質・生産性の向上に加え、製品の強みを生かした提案型営業の拡大や代理店・販売店とのリレーション強化、物流拠点と販売拠点の連携強化などにより、拡販を図っていきます。また、強固な財務基盤を背景に、積極的に生産性の向上・省力化に資する設備投資などに取り組み、事業の発展を図っていきます。
また、健全な財務体質を維持しつつ、成長への投資と株主還元に関し、バランスのとれた資産配分を行うことが財務上の課題となっています。
さらに、企業の社会的責任として、環境問題を重要な課題の一つと捉え、省エネルギー、廃棄物削減・リサイクル化、環境負荷の低減等に積極的に取り組んでいきます。
そして、あらゆるステークホルダーからの信頼にお応えするために、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス体制強化による内部統制システムの充実、BCP(事業継続計画)などリスク管理体制の整備による安定した事業継続に努めていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。当社グループは、これらのリスクを制御し可能な限り回避するよう努めていきます。なお、以下に記載したリスクは、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外の予見しがたいリスクも存在します。また、本項において将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2020年10月23日)現在において判断したものです。
当社グループでは、リスク管理規定を定め、想定されるリスクの発生時における迅速かつ適切な情報収集と緊急事態対応体制を整備しており、リスクが顕在化した場合の事業中断及び影響を最小限にとどめるため、事業継続マネジメント体制の整備に努めています。
(1) 新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症の収束時期は見通せず、今後、事態が長期化又は更なる感染拡大やパンデミックにあたる状況が進行すれば、国内景気の悪化、外出自粛による消費マインドの低下、原材料価格の高騰、又は原材料確保の困難など、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、政府の方針や保健行政の指針等に基づき当感染症の感染防止策に取り組んでいますが、営業拠点における営業活動の自粛・停止、製造拠点における操業の縮小・中断につながるような事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業環境等に関するリスク
当社グループの販売は、ほとんどが国内販売です。このため、国内の景気動向、人口動向等によって、鋼製物置セグメント及びオフィス家具セグメントの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
(鋼製物置事業)
当社グループは、独自性のある新製品の開発を進めるとともに、製品の付加価値向上、用途開発による市場の拡大などに注力したことで、市場での高シェアを維持しています。しかしながら、鋼製物置の市場規模は小さく、人口減少・少子高齢化が進み、消費者ニーズの変化や世代交代などによりお客様の支持を失ってしまうと、鋼製物置の需要は縮小する可能性があります。また、競合他社が当社製品より安価で販売するないしは、より高い技術や独自デザインをもって、当社グループのシェアを奪う可能性があります。これらの要因により、売上高及び利益が減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(オフィス家具事業)
当社グループは、多様化に向かうオフィス空間・オフィス家具のニーズに応える製品の拡充と提案営業の強化に努めています。しかしながら、オフィス家具は競合性の高い業界であり、市場からの価格引き下げ圧力が強く、競合他社との価格競争が激しいため、当社グループが十分な収益性を確保できない可能性があります。また、在宅勤務の拡がりによりオフィスのあり方が見直され、オフィス家具の需要は縮小する可能性があります。これらの要因により、売上高及び利益が減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料の調達・製造物責任に関するリスク
当社グループは、原材料を外部から調達し、鋼製物置及びオフィス家具の製造・販売を行っています。当社グループは、これら製品の安定供給に万全を期するため、幅広い供給元から必要な原材料の確保に努めています。しかしながら、経済動向、市場の需要動向などによって、想定以上、かつ短期間で原材料の価格が高騰する、供給が不足するなど、予期せぬ事態が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、これら製品の品質管理に万全を期するとともに製造物責任保険も付保していますが、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 情報システム等に関するリスク
当社グループは、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運用しており、情報システム運営上の安全性確保のため規則を定め、危機管理対応に取り組んでいますが、外部からの不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブルなどにより情報システムが不稼働になる可能性を完全に排除することができません。このような場合は、システムに依存している業務の効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては事業の中断、損害賠償請求やセキュリティ対策費用の増加によるキャッシュアウトにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 物流に関するリスク
当社グループが事業展開するうえで、物流は、重要かつ費用の構成比も高い機能です。国内の物流環境は、少子高齢化による労働人口の減少に加え、電子商取引の拡大による宅配便の増加の影響もあり、トラックのドライバーが不足するなど、ドライバー需給ギャップの拡大が予想されています。さらには、物流業界特有の長時間労働の削減、生産性の向上等、社会問題の積極的な解消がなければ、今後想定を上回る需給ギャップが生じる可能性も否めません。これらの事業環境の変化により、荷役運送費の増加に留まらず、物流機能を確保できないことにより、製品供給が滞る可能性があります。
当社グループは、モーダルシフトや物流事業者との連携による効率性の高い輸送の実現に取り組んでいますが、ドライバーの需要ギャップが想定をはるかに上回ってしまう、短期間で荷役運送費が上昇するなど、予期せぬ事態が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 自然災害等に関するリスク
地震、津波、台風、洪水などの自然災害の発生により、従業員の被害、工場損壊、設備故障及びユーティリティー(電気、ガス、水道)の遮断により生産が停止、倉庫損壊及び保管製品破損により出荷が停止、並びに物流機能停止により原材料の調達及び製品の出荷が不能になる可能性があります。更に、事務所設備の損壊、交通機関マヒによる従業員の通勤不能、及びシステム障害に伴う重要データの消失などもあわせて、事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動の継続のために、事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、防災訓練等の対策を講じていますが、自然災害等による被害を完全に回避できるものではなく、これらの被害が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2020年10月23日)現在において経営者が判断したものです。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における国内経済は、雇用・所得環境の改善が継続したものの、外需の伸び悩みから製造業の生産活動が落ち込み、景気の回復は緩やかなものとなりました。2020年に入り、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により経済活動の停滞などが引き起こされ、政府の緊急事態宣言や各自治体からの外出自粛・営業自粛要請により個人消費は減退し、生産活動の停滞等により企業業績は悪化しました。また、新型コロナウイルス感染症の収束時期の見通しが立たないことから、実体経済への影響が拡大し、国内経済は厳しい状況が続きました。
当社グループの経営環境について概観いたしますと、鋼製物置市場では、持家・分譲一戸建住宅の新設着工戸数が弱含みで推移しましたが、消費増税前の駆込み需要や緊急事態宣言解除後の需要増加により、鋼製物置の需要は堅調に推移しました。オフィス家具市場では、大規模オフィスビルの安定的な供給を背景にオフィスの移転需要及びリニューアル需要は堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大後は企業業績や景況感の悪化を背景に、需要は弱含みで推移しました。当連結会計年度における主要材料の平均鋼材価格は、引き続き高止まりで推移しました。
このような経営環境の中、当社は、代理店・販売店とのリレーション強化、物流拠点と販売拠点との連携強化、製品の強みを活かした積極的な用途提案などに加え、コスト低減及び品質・生産性向上の取り組みを進めてきました。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言の発出を受けて、当社グループは感染防止のため取引先への訪問自粛・出張禁止等、積極的な営業活動を自粛しました。しかしながら、取引先からの受注状況は想定していたほど悪化せず、当社は当感染症の感染防止策に留意したうえで、安定的な製品供給に努めてきました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高34,575百万円(前期比1.6%増)、営業利益1,891百万円(前期比6.4%増)、経常利益2,110百万円(前期比0.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,362百万円(前期比28.4%増)となりました。
また、売上高経常利益率は6.1%(前期比0.1ポイント減)、減価償却前営業利益は3,300百万円(前期比7.9%増)となりました。
当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症拡大による当社グループ業績への影響は軽微でありました。当感染症拡大による国内経済への影響は、徐々に解消していくものと思われますが、影響を解消するまで相当程度の時間を要し、不透明な状況が継続していくものと考えています。現時点で、当感染症拡大による当社グループ業績への影響は軽微であるものと予測していますが、今後、当感染症の感染状況やその経済環境への影響が大きく変化した場合には、当社グループを取り巻く経営環境は厳しさを増す可能性があるものと考えています。その場合の影響などについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (1)新型コロナウイルス感染症の影響」に記載しています。
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、34,575百万円(前期比1.6%増)となりました。鋼製物置の売上は、消費増税前の駆込み需要や緊急事態宣言解除後の需要増加により、前期に比べ579百万円の増収となりました。一方、オフィス家具の売上は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、前期に比べ44百万円の減収となりました。この結果、売上高は前期に比べ534百万円の増収となりました。
b.営業利益・経常利益
営業利益は、1,891百万円(前期比6.4%増)となりました。増収と原価率の低減により、売上総利益が前期に比べ281百万円の増益となりました。販売費及び一般管理費は前期に比べ167百万円の増加に留まりました。この結果、営業利益は前期に比べ113百万円の増益となりました。
経常利益は、2,110百万円(前期比0.3%減)となりました。スクラップ市況の低迷による作業屑売却益の減少に加え、前期に富岡工場建設に係る助成金収入を計上していたことによる反動減もあり、営業外収益が前期に比べ122百万円減少した影響が大きく、前期に比べ6百万円の減益となりました。
c.税金等調整前当期純利益
減損損失が前期の421百万円から減少し48百万円となったことから、特別損益は、前期の441百万円の損失(純額)に対し96百万円の損失(純額)となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は、前期の1,676百万円に対し2,014百万円となりました。
d.親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等費用は、前期の615百万円に対し652百万円となり、税効果会計適用後の法人税等の負担率は32.4%となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の1,060百万円に対し1,362百万円となりました。1株当たり当期純利益金額は、前期の60円39銭に対し77円56銭となりました。また、自己資本利益率は3.5%となりました。
e.セグメントの経営成績
当社グループは、「鋼製物置」「オフィス家具」の2つの報告セグメントに区分して評価、開示しています。
(鋼製物置)
鋼製物置事業においては、市場におけるシェアを維持・拡大し安定した収益を確保していくために、製品ラインナップの拡充や新たな用途開発に取り組んできました。
2020年2月に高級ガレージ「ARCIA(アルシア)」、ゴミ保管庫「大型ダストボックス」、自転車置場「BMタイプ」を発売し、製品ラインナップを充実させました。また、連結子会社イナバクリエイト株式会社は埼玉県越谷市にショールームを開設し、サテライトオフィスに活用可能な多目的スペース「NUUM CAMP(ヌーム キャンプ)」を展示しました。
鋼製物置の売上高は、23,488百万円(前期比2.5%増)となりました。上記の取り組みに加え、消費増税前の駆込み需要や緊急事態宣言解除後の需要増加もあり、小型製品、一般製品及びガレージ・倉庫等の大型製品などが堅調に推移し、前期に比べ579百万円の増収となりました。セグメント利益は、減価償却費や物流コストの増加などにより、前期から減益の2,752百万円(前期比3.4%減)となりました。鋼製物置事業の収益性の維持・改善については、課題を残す結果となりました。
(オフィス家具)
オフィス家具事業においては、高コスト体質による収益性に課題があり、引き続きコスト低減の取り組みを進めてきました。
オフィス家具の売上高は、11,087百万円(前期比0.4%減)となりました。オフィスでの働き方改革や健康への関心の高まりに対応した新しいオフィスづくりの提案を積極的に展開しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、売上高は前期に比べ44百万円の減収となりました。また、2020年1月に電動昇降デスク・エグゼクティブタイプ「Novie EX(ノヴィ イーエックス)」、ワゴンシリーズ「木目色タイプ」と「ショートタイプ」を追加し、製品ラインナップを充実させました。セグメント利益については、価格改定に加え、販管費のコスト抑制などにより、前期から増益の137百万円(前期は97百万円の損失)となり、収益性は改善しました。
f.目標との比較
当連結会計年度の目標「売上高34,700百万円、営業利益1,850百万円、経常利益2,120百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,330百万円、売上高経常利益率6.1%」に対し、実績は売上高34,575百万円(達成率99.6%)、営業利益1,891百万円(達成率102.2%)、経常利益2,110百万円(達成率99.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,362百万円(達成率102.4%)、売上高経常利益率6.1%となりました。
営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益及び売上高経常利益率は目標を達成しましたが、売上高及び経常利益は目標を達成できませんでした。
売上高は、目標に対し124百万円の未達となりました。未達の要因については、鋼製物置の売上高は消費増税前の駆込み需要等の影響を受けて、目標に対し458百万円上回りましたが、オフィス家具の売上高は厳しい価格競争が続き、目標に対し582百万円下回ったことによるものです。経常利益は、目標に対し9百万円の未達となりました。未達の要因は、売上高の未達によるものです。
② 財政状態の状況
(資産)
流動資産は27,761百万円となり、前連結会計年度末に比べ465百万円減少しました。主な変動要因は、配当支払、納税、有価証券・投資有価証券の取得及び不動産の取得による現金及び預金の減少1,971百万円、受取手形及び売掛金の増加202百万円、電子記録債権の増加234百万円及び有価証券の増加1,000百万円です。
固定資産は26,426百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,339百万円増加しました。主な変動要因は、配送センター用地等の取得による土地の増加403百万円、新静岡営業所・配送センターの建設及び犬山工場の鋼製物置ライン再構築による建設仮勘定の増加1,062百万円、債券の取得による投資有価証券の増加206百万円、減価償却費の発生による機械装置及び運搬具の減少268百万円、及び無形固定資産のその他に含まれるソフトウェアの減少131百万円です。
この結果、当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ873百万円増加し、54,188百万円となりました。
(負債)
流動負債は12,126百万円となり、前連結会計年度末に比べ26百万円減少しました。主な変動要因は、支払手形及び買掛金の増加254百万円、納税による未払法人税等の減少377百万円、その他に含まれる未払金の減少545百万円と設備関係電子記録債務の増加306百万円です。
固定負債は2,820百万円となり、前連結会計年度末に比べ6百万円減少しました。主な変動要因は、役員株式給付引当金の増加39百万円、退職給付に係る負債の減少147百万円、その他に含まれる受入営業保証金の増加62百万円です。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べ32百万円減少し、14,947百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べ906百万円増加し、39,240百万円となりました。主な変動要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加1,362百万円、配当支払による利益剰余金の減少457百万円です。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は72.4%、1株当たり純資産額は、2,234円17銭となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により増加したキャッシュ・フローは、2,488百万円(前連結会計年度は3,465百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益の計上2,014百万円及び減価償却費の発生1,439百万円の収入を計上した一方、法人税等の支払1,019百万円の支出を計上したことなどによるものです。
前期差の主な要因は、税金等調整前当期純利益の増加や仕入債務の増加に伴う収入があったものの、売上債権の増加や法人税等の支払額が前期に比べ増加したためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により減少したキャッシュ・フローは、4,000百万円(前連結会計年度は1,628百万円の減少)となりました。これは、定期預金の払戻1,000百万円及び投資有価証券の償還200百万円の収入を計上した一方、定期預金の預入2,000百万円、有形固定資産の取得2,645百万円及び投資有価証券の取得506百万円の支出を計上したことなどによるものです。
前期差の主な要因は、定期預金の払戻や投資有価証券の償還等に伴う収入があったものの、定期預金の預入や設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出が前期と比べ増加したためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により減少したキャッシュ・フローは、458百万円(前連結会計年度は459百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払457百万円の支出を計上したことなどによるものです。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は14,687百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,971百万円減少しました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年8月1日 至 2020年7月31日) |
前期比(%) |
|
鋼製物置(百万円) |
20,874 |
100.2 |
|
オフィス家具(百万円) |
5,429 |
99.3 |
|
合計(百万円) |
26,304 |
100.0 |
(注)1.金額は販売価格としています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b.受注実績
当社は、原則として見込生産を主体とする生産方式を採っていますが、オフィス家具の一部について、OEM先に対し受注生産を行っています。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
|
オフィス家具 |
2,787 |
107.4 |
276 |
244.8 |
(注)1.金額は販売価格としています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年8月1日 至 2020年7月31日) |
前期比(%) |
|
鋼製物置(百万円) |
23,488 |
102.5 |
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オフィス家具(百万円) |
11,087 |
99.6 |
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合計(百万円) |
34,576 |
101.6 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年8月1日 至 2019年7月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年8月1日 至 2020年7月31日) |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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ユアサ商事株式会社 |
8,947 |
26.3 |
9,221 |
26.7 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2020年10月23日)現在において経営者が判断したものです。
① 経営成績の分析
経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照下さい。
② 財政状態の分析
財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照下さい。
③ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
④ 流動性と資金の源泉
当社グループでは、事業活動に必要な資金は自ら生み出すことを基本方針としています。
当社グループは、資金需要として主に材料、商品等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用に加え、設備投資、研究開発や配当支払を見込んでいます。運転資金及び設備資金については、自己資金又は銀行からの資金調達を行うこととしています。
当連結会計年度末における借入金の残高はありませんが、本有価証券報告書提出日(2020年10月23日)現在において、総額7,350百万円の無担保の当座貸越契約を複数の金融機関との間で締結しています。
また、当社グループは当連結会計年度末において現金及び現金同等物14,687百万円を保有しています。また、換金性の高い金融資産も保有していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないものと認識しています。
⑤ 設備投資額と減価償却費
当連結会計年度の設備投資額(無形固定資産を含む)は、前期の1,872百万円から673百万円増加し、2,545百万円となりました。主要な設備投資は、犬山工場生産設備1,149百万円、柏工場生産設備267百万円、富岡工場社員寮226百万円です。
減価償却費(無形固定資産を含む)は前期の1,314百万円から125百万円増加し、1,439百万円となりました。なお、有形固定資産のみの減価償却費は、前期の1,170百万円から110百万円増加し、1,280百万円となりました。
(4) 経営成績等に重要な影響を与える要因について
「2 事業のリスク」に記載しています。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表を作成するために、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行っています。経営者は、これらの見積もりについて過去の経験・実績や現在及び見込まれる経済状況など勘案し、合理的に判断していますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果になる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針等、会計上の見積り及び見積りに用いた仮定については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しています。また、特に以下の重要な会計方針及び見積りの適用が、その作成において用いられる見積り及び予測により、当社グループの連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えています。
(繰延税金資産)
当社グループは、将来の課税所得に関するものを含めた様々な予測・仮定に基づいて繰延税金資産を計上しており、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。また、将来の課税所得に関する予測・課税に基づいて、当社又は子会社が繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、当社グループの繰延税金資産は減額され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」をご覧ください。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染状況や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しています。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、
当社グループの研究開発活動は、独自性・品質性・合理性という設計思想のもとに、他部門とのコラボレーションを意識したチーム編成を行い、人と地球に優しく、より高品質な製品開発を目指し、研究開発に取り組んでいます。また、再生資源の利用促進を目指し、パーツごとの解体・分別が容易な「分別設計」を導入するなど、素材のみならず設計においても環境への配慮を行っています。主要な部品、部材には、分別のための材質表示を行い、リサイクルし易く、ゴミ減量化にも資する生産活動の実現に努めていきます。
当連結会計年度のセグメントごとの主な研究成果は、以下のとおりです。
(鋼製物置)
倉庫・ガレージ等の大型製品が堅調に推移する中、多様化する市場ニーズに対応する新製品として、2020年2月に既存製品「ガレーディア」をベースに意匠性に優れた高級ガレージ「ARCIA(アルシア)」を発売し、ガレージ市場における新たな顧客層を獲得しています。
また、物置と自転車置場を連結した開放スペース併設物置「ネクスタ・ウィズ」のサイズ追加を行い、発売当初から安定した販売数が得られています。
なお、集合住宅や公共物件等への安定した供給を実現するため、ゴミ保管庫「大型ダストボックス」の開発、自転車置場「BMタイプ」のバリエーション追加、連結型物置のサイズ追加等に取り組み、製品ラインナップを充実させました。
今後の開発については、「より安全で安心なモノづくり」をモットーに、信頼性の高い新製品を開発するとともに、新たな用途開発にも取り組んでいきます。
当連結会計年度における当セグメントに直接かかる研究開発費は、
(オフィス家具)
デスク製品の拡販を図るため、2020年1月に電動昇降デスク・エグゼクティブタイプ「Novie‐EX(ノヴィ・イーエックス)」を開発し、既存昇降デスクシリーズのラインナップに追加しました。
ワゴンにおいては、販売比率が増加傾向にある木目柄天板のデスクに対応する「木目色タイプ」の追加と、ノート型パソコンの使用率増加に伴い、奥行寸法が小さくなったデスクに対応する「ショートタイプ」を追加し、ワゴン製品のラインナップをを充実させました。
また、既存製品の使用用途を広げるため、壁面収納庫「TF(ティーエフ)」やパーソナルロッカー「iprea(イプリア)」を組み合わせることで、ハイテーブルやベンチ、ワードローブとして使用可能なバックヤードオフィスセット、パーテーション「YURT(ユルト)」と組み合わせることでミーティングスペース等として使用可能な「YURTテーブル(ユルトテーブル)」を追加しました。
今後の開発については、ウィズコロナ・アフターコロナによるオフィス環境の変化や働き方の多様化に対応する新製品の開発を進めていきます。
当連結会計年度における当セグメントに直接かかる研究開発費は、