第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における我が国経済は、政府による経済政策や金融緩和政策を受けて、企業収益や雇用情勢の改善など、景気は穏やかな回復基調となりました。一方、個人消費の回復の遅れや中国をはじめとするアジア新興国においては不安定な経済環境のもとで推移しており、依然として先行きは不透明な状況が続きました。

当社グループが関連する建設市場におきましては、太陽光関連市場の縮小のほか建設現場での人手不足による工期の遅れや着工件数の減少等により商流に停滞感が生じました。

この結果、当連結会計年度の売上高は16,648百万円(前連結会計年度比6.7%減)、営業利益1,338百万円(同11.4%減)、経常利益1,256百万円(同16.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は810百万円(同27.3%減)となりました。

当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、前連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

①ファスニング事業

公共事業等の需要が減少したほか、太陽光関連市場の縮小等による影響を受け、当社主力製品である金属系・接着系あと施工アンカーの販売が低調に推移いたしました。

この結果、当セグメントの売上高は12,606百万円(前連結会計年度比7.8%減)、セグメント利益は1,731百万円(同10.8%減)となりました。

②機能材事業

電動油圧工具関連は、円安の影響により海外販売は好調に推移いたしましたが、国内販売は微減となりました。また、電子基板関連やアルコール測定器の販売は好調に推移いたしましたが、FRPシート関連の販売は減少となりました。

この結果、当セグメントの売上高は4,041百万円(同2.9%減)、セグメント利益は497百万円(同5.6%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度と比較して86百万円(5.2%)減少し、当連結会計年度末には1,558百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、1,239百万円(前連結会計年度は1,127百万円の増加)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益1,239百万円に加え、減価償却費が325百万円、売上債権の減少額が258百万円となった一方、法人税等の支払額が315百万円となったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、290百万円(前連結会計年度は309百万円の減少)となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出が261百万円となったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、1,019百万円(前連結会計年度は783百万円の減少)となりました。これは主として短期借入金の純減少額が595百万円、長期借入金の返済による支出が289百万円、配当金の支払額が122百万円となったことによるものであります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

生産金額
(千円)

前年同期比
(%)

ファスニング事業

3,078,321

92.6

機能材事業

1,288,515

91.7

合計

4,366,836

92.4

 

(注) 1  金額は製造原価によっております。

2  上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループは、主に需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

販売金額
(千円)

前年同期比
(%)

ファスニング事業

12,606,755

92.2

機能材事業

4,041,380

97.1

合計

16,648,136

93.3

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社グループは、企業価値の向上を継続的に推進していくため、以下の課題に取り組んでまいります。

 

(1)開発体制の強化

当社グループでは、ユーザーニーズの動向を適切に把握し、そのニーズに即応することが、事業継続・発展において重要な取組みであると認識しております。日々の営業活動やお客様相談に寄せられるユーザー情報をもとに、販売部門と開発部門・製造部門の連携を密にして、独自の製品・サービスを今まで以上にスピーディに実現することに注力してまいります。

 

(2)生産性の強化

当社グループでは、競争力を維持し収益力を拡大していくために、最適な生産体制を追求し、コストダウンを積極的に進めてまいります。また、工事部門においては採算性の高い独自工法に特化した受注を推進してまいります。

 

(3)品質の強化

当社グループは、ユーザーに安全かつ安心な製品を継続して使用いただくため、品質管理部門を強化します。製造工程の品質の向上を図ると共に、各種試験等により品質の確認を徹底することで、使用現場で安定した性能が維持されるよう努めてまいります。

 

(4)グループ戦略の推進

当社グループは、異なる事業分野において複数の事業を展開しております。各事業のミッションを明確化し、これに基づいた戦略を実践してまいります。安定的な収益を確保できる事業と中期の視点から成長を追求する事業とが、それぞれの目的を果たせるよう、当社グループは経営資源を適切に配分してまいります。

 

(5)人材の確保と育成

当社グループは、将来の持続的な成長を図る上で、優秀な人材の確保と育成は重要な経営課題であると認識しております。中途採用活動と新卒採用活動を並行して、バランスの良い人材構成を構築してまいります。また、社内外研修等に積極的に取り組み人材育成を推進してまいります。

 

(6)法令及び社会ルールの遵守

当社グループが事業活動を継続する上で、法令・社会ルールを守り、不正や反社会的勢力を排除することは必要不可欠な取組みであると捉えております。今後とも、当社グループで定めているモラル憲章の浸透を徹底してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態及び株価等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

(1) 市場環境の動向等について

当社グループの売上高の約7割が、「あと施工アンカー」をはじめとする建設関連製品の卸販売事業であることから、建設業界の動向や設備投資の動向等が急変し、主な販売先である卸問屋及び販売店の業績悪化等があった場合は、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 原材料価格の変動について

当社グループは、原材料として主に鋼材(スチール鋼、ステンレス鋼)を使用しており、これらの原材料を構成する鉄鉱石やニッケル価格の高騰などにより当社グループの仕入れ調達価格が上昇する場合があります。これに対処するため、状況に応じて販売価格へ転嫁させていく方針でありますが、十分に転嫁できなかった場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 製品の品質管理について

当社グループは、製品の品質を重視しており、PL保険へ加入しているほか主力事業所においてはISO9001の認証を取得する等、品質管理体制には万全を期しております。しかしながら、予測を超えた事象により、製品に欠陥が生じた場合、リコール等に伴う費用が発生し、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) カントリーリスクについて

当社グループのアンカー製品の一部はタイ子会社のSANKO FASTEM (THAILAND) LTD.で生産し、そのほとんどを国内に輸入しております。このため、現地における法規制等の変更、政治または経済要因さらには自然災害等が、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 貸倒れリスクについて

当社グループの売上先の7割は、卸問屋及び販売店が占めており、その殆どは中小企業となっております。販売先への現金回収率は8割で顧客に偏りも生じておりませんが、委託先の倒産により取引先から支払われるべき金銭の不払いにかかわるリスクが存在します。景気動向に係わらず、今後も企業が倒産する懸念があり、信用状況が悪化する顧客が増大した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 知的財産等について

当社グループは、新製品・工法等について特許権等の知的財産の登録を行い、権利保護に努めておりますが、国内外において当社グループの権利が侵害される可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産を侵害しないように注意を払っておりますが、当社グループが認識していない範囲で第三者の知的財産を侵害する可能性があります。当社グループが仮に侵害し、第三者から知的財産権をめぐって損害賠償、対価の支払い等を請求された場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 法的規制について

当社グループの主力事業は建設業界に属しており、建設業法、建築基準法、国土利用計画法、都市計画法等により法的規制を受けております。最近における自然災害の多発やコンクリート構造物の老朽化等への対応策にかかる上記法律の改廃や新たな法規制の発生、適用基準の変更等によっては当社グループの事業が制約される場合があり、結果として業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害について

当社グループにおける千葉県、静岡県、奈良県所在の主要工場をはじめとする国内外の事業所所在地において、大規模な地震等の自然災害が発生した場合、当社グループの生産体制並びに営業活動に著しい支障が生じ、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) 業績の下期偏重に関するリスク

当社グループが主に製造・販売するアンカー、ファスナー等は建設業界向けの建設資材であり、年度を通じて建設投資の影響を受けやすく上半期実績を下半期実績が上回る傾向となっております。このため、期末の売上高等が翌期にずれ込む不安要素をはらんでおり、今後も同様の傾向が続く場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 過去3期(平成26年3月期~平成28年3月期)における上・下期の業績表

決算期

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

 

上期

下期

通期

上期

下期

通期

上期

下期

通期

売上高

(百万円)

7,779

9,429

17,209

8,433

9,401

17,835

7,926

8,721

16,648

比率

(%)

45.2

54.8

100.0

47.3

52.7

100.0

47.6

52.4

100.0

営業利益

(百万円)

564

948

1,513

710

800

1,511

540

798

1,338

比率

(%)

37.3

62.7

100.0

47.0

53.0

100.0

40.4

59.6

100.0

経常利益

(百万円)

537

934

1,472

689

819

1,509

513

742

1,256

比率

(%)

36.5

63.5

100.0

45.7

54.3

100.0

40.9

59.1

100.0

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、主に建設領域において長年培ってきたファスニング技術を活かして、作業効率・安全確保、環境保全に貢献する付加価値の高い製品・工法の研究開発及び改良活動を推進しております。研究開発体制としては、事業毎にプロジェクトチームを編成し、お客様の要望に柔軟に対応できるような体制を構築しております。

現在の研究開発は、ファスニング事業における新製品開発のみならず、効率的な施工方法の研究及び施工機器の開発にまで及んでおります。

当連結会計年度における研究開発費の総額は141,682千円であり、主な研究開発活動は以下の通りであります。

なお技術開発部門の研究開発費は、当社グループ全体としての製品の開発及び改良の目的で実施しているため、各セグメントに配分しておりません。(技術開発部門研究開発費 111,535千円)
 

①ファスニング事業

あと施工アンカーは、当社グループの基盤となる重要技術であり、分野毎(基礎・躯体・設備・仕上)の研究開発をゼネコン等との共同開発を含めて行っております。

その中でも当期は、土木分野に注力した製品開発として「メタルロックアンカー」や「サイズミックエコフィラー」を行いました。また、施工機器を含めた工法開発としてゼネコン等との共同開発を通じて接着系アンカーの抜取工法の確立を行いました。太陽光発電システム関連では、ダイレクトアース用として「ディー・アーススクリュー」の改良や、杭基礎用の試験機「テクノテスター DT-50TCL」の開発を行いました。(ファスニング事業研究開発費 1,089千円)

②機能材事業

燃料電池センサーの技術を持つ大手測定器メーカーとのタイアップにより、検知精度の高い燃料電池センサーを搭載したアルコール測定器の共同開発を行いました。また、紫外線硬化FRPシート用としてVOC(揮発性有機化合物)を含まない「eテクノプライマー」の開発を行いました。このほか、改良開発として電動油圧工具(ツライチカッターやアンカー打込み機等)のコードレス化を行いました。(機能材事業研究開発費 29,056千円)

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(財政状態の分析)

当連結会計年度(以下、「当期」という)末の総資産は、前連結会計年度(以下、「前期」)という)末比454百万円(3.0%)減少し、14,737百万円となりました。

流動資産は同318百万円(3.7%)減少の8,322百万円、固定資産は同136百万円(2.1%)減少の6,415百万円となりました。減少の主な要因は、受取手形及び売掛金の減少が270百万円、建設仮勘定の減少が181百万円となった一方、商品及び製品の増加が131百万円、機械装置及び運搬具の増加が114百万円となったことによるものであります。

当期末の負債の合計は、前期末比1,031百万円(18.4%)減少の4,587百万円となりました。流動負債は同736百万円(20.4%)減少の2,874百万円、固定負債は同295百万円(14.7%)減少の1,712百万円となりました。負債が減少した主な要因は、短期借入金の減少が590百万円、長期借入金の減少が294百万円となった一方、未払法人税等の増加が104百万円となったことによるものであります。

当期末の純資産は、10,150百万円となり、前期末に比較して576百万円(6.0%)の増加となりました。増加の主な要因は、利益剰余金の増加が688百万円となったことによるものであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性についての分析)

当社グループの当期の資金状況につきましては、営業活動による資金の増加は、1,239百万円となりました。これは主として税金等調整前当期純利益1,239百万円に加え、減価償却費が325百万円、売上債権の減少額が258百万円となった一方、法人税等の支払額が315百万円となったことによるものであります。投資活動による資金の減少は、290百万円となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出が261百万円となったことによるものであります。財務活動による資金の減少は、1,019百万円となりました。これは主として短期借入金の純減少額が595百万円、長期借入金の返済による支出が289百万円、配当金の支払額が122百万円となったことによるものであります。

 

(経営戦略の現状と見通し)

今後の見通しにつきましては、国内景気は穏やかな回復基調で推移しておりますが、世界経済の減速や円高・原油安の波及、さらには4月に発生した熊本の震災による実体経済への影響などが懸念され、先行き不透明な状況が続くものと思われます。建設業界におきましても、鋼材価格の上昇傾向や人員・資材不足による工事の遅れや着工の先送り等が予想されるほか、震災や円高の影響を受けた企業等による投資抑制のリスクが懸念されます。

当社グループを取り巻く環境は依然として厳しく不安定な状態で推移するものと予測されますが、オリンピック関連事業や震災復興事業、維持保全工事の需要拡大など、中期的には景気を押し上げる材料もみられます。

このような業界動向を踏まえ、当社グループにおきましては、「中期経営ビジョン 2020」のもと、成長戦略のキーワードとして掲げる「安定供給」、「安定品質」、「市場創出」を促進させ、更なる企業価値向上を目指してまいります。