第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における我が国経済は、個人消費の改善に遅れがみられたものの、政府による経済政策等により、企業収益や雇用情勢の改善がみられ、景気は緩やかな回復基調となりました。

当社グループが関連する建設市場におきましては、民間設備投資・公共投資ともに底堅い動きがみられた一方で、技能労働者の慢性的な不足等による建築着工量の減少・地域格差がみられました。加えて、太陽光発電設備の着工量の減少も影響し、当社グループを取り巻く経営環境は依然として厳しい状況が続きました。

この結果、当連結会計年度の売上高は15,497百万円(前連結会計年度年比6.9%減)、営業利益1,124百万円(同16.0%減)、経常利益1,119百万円(同10.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は790百万円(同2.4%減)となりました。

各セグメントの業績は以下のとおりであります。

 

① ファスニング事業

各種設備工事等の需要回復に伴い、当社の主力製品である金属系あと施工アンカーの販売は比較的堅調に推移いたしました。一方、太陽光関連の売上高が大幅に減少したほか、耐震工事等が減少したことで、接着系あと施工アンカーの販売が低調に推移いたしました。

この結果、当セグメントの売上高は11,859百万円(前連結会計年度比5.9%減)、セグメント利益は1,546百万円(同10.7%減)となりました。

② 機能材事業

アルコール測定器の販売は好調に推移いたしました。一方、電動油圧工具関連は、国内販売が低調に推移したほか、FRPシート関連に含まれる二重床等の複合材料の販売や、電子基板関連の販売が減少いたしました。

この結果、当セグメントの売上高は3,637百万円(同10.0%減)、セグメント利益は444百万円(同10.6%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度と比較して21百万円(1.4%)減少し、当連結会計年度末には1,536百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、860百万円(前連結会計年度は1,239百万円の増加)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益1,130百万円に加え、減価償却費が286百万円、仕入債務の増加額が171百万円となった一方、たな卸資産の増加額が172百万円、法人税等の支払額が470百万円となったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、586百万円(前連結会計年度は290百万円の減少)となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出が610百万円となったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、296百万円(前連結会計年度は1,019百万円の減少)となりました。これは主として短期借入金の減少額が142百万円、長期借入金の返済による支出が193百万円、配当金の支払額が146百万円となった一方、長期借入れによる収入が200百万円となったことによるものであります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成28年4月1日

至  平成29年3月31日)

生産金額
(千円)

前年同期比
(%)

ファスニング事業

2,752,031

89.4

機能材事業

1,198,107

93.0

合計

3,950,138

90.5

 

(注) 1.金額は製造原価によっております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループは、主に需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成28年4月1日

至  平成29年3月31日)

販売金額
(千円)

前年同期比
(%)

ファスニング事業

11,859,957

94.1

機能材事業

3,637,587

90.0

合計

15,497,545

93.1

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、“奉仕は真価の追求なり、啓発は未来の追求なり、協調は繁栄の追求なり”を経営理念とし、主に建設資材分野において、時代の要請に適合した価値ある製品・工法等を創り・活かしながら、人々がより安心して暮らせる社会の実現を目指しております。“人のお役に立つために、創造提案型企業を目指す”を基本方針として掲げ、経営を推進しております。

 

(2)中長期的な経営戦略

当社グループは、平成28年3月期第1四半期よりセグメント区分を「ファスニング事業」、「機能材事業」の2つの事業に再編し、営業体制の強化や事務作業の効率化のほか、顧客の要望に即応できる「一気通貫体制」、環境の変化に即応できる「フレキシブル体制」へと組織の再編を進めてまいりました。引き続き、当社グループ成長戦略のキーワードとして掲げる「安定供給」、「安定品質」、「市場創出」を促進させ、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。

 

以下の4つの視点で経営戦略を推進してまいります。

・ 安定成長の実現

平均成長率:5.0%以上・営業利益率:8.0%以上

・ メーカーとして魅了する

お客様(後工程)への魅せる化でブランド力アップ

・ 現場力アップ

4つのキーワードで現場力アップ

「開発力」、「技術力」、「品質力」、「供給力」

・ チーム人財力アップ

3つのマインド育成(マーケティング、コンプライアンス、コミュ二ケーション)

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、主な経営指標として売上高平均成長率、売上高営業利益率を重視するほか、経営資源の有効活用や、さらなるコスト意識をもち、総資産利益率(ROA)を重視しております。なお、今後は自己資本利益率(ROE)にも着目し、企業価値を高める指標として取り込んでまいる所存であります。

経営上の目標値については、上述(2)に記載の通りであり、売上高平均成長率は5%以上、売上高営業利益率は8%以上を目標としております。

 

(4)経営環境

今後の経済見通しにつきましては、海外情勢の大きな変化に伴う世界経済への影響が懸念されますが、国内景気
は緩やかな回復を続け、設備投資の増加や個人消費の改善につながることが期待されます。

建設業界におきましては、首都圏を中心に東京オリンピック・パラリンピック関連や再開発事業への投資が見込
まれるものの、依然として技能労働者の不足や、工事材料費・労務費の上昇に対応するための体制確保が重要な課
題となっております。

このような業界動向を踏まえ、当社グループにおきましては、「中期経営ビジョン 2020」のもと、成長戦略のキ
ーワードとして掲げる「安定供給」、「安定品質」、「市場創出」を促進させ、さらなる企業価値向上を目指して
まいります。

 

(5) 対処すべき課題

当社グループは、企業価値の向上を継続的に推進していくため、以下の課題に取り組んでまいります。

① 開発体制の強化

当社グループでは、ユーザーニーズの動向を適切に把握し、そのニーズに即応することが、事業継続・発展において重要な取組みとして認識しております。日々の営業活動やお客様相談に寄せられるユーザー情報をもとに、販売部門と開発部門・製造部門の連携を密にして、独自の製品・サービスを今まで以上にスピーディに実現することに注力してまいります。

 

② 生産性の向上

当社グループでは、競争力を維持し収益力を拡大していくために、最適な生産体制を追求し、コストダウンを積極的に進めてまいります。また、工事部門においては採算性の高い独自工法に特化した受注を推進してまいります。

 

③ 品質の向上

当社グループは、ユーザーに安全かつ安心な製品を継続して使用いただくため、品質管理部門を強化します。製造工程の品質の向上を図ると共に、各種試験等により品質の確認を徹底することで、使用現場で安定した性能が維持されるよう努めてまいります。

 

④ グループ戦略の推進

当社グループは、異なる事業分野において複数の事業を展開しております。各事業のミッションを明確化し、これに基づいた戦略を実践してまいります。安定的な収益を確保できる事業と中期の視点から成長を追求する事業とが、それぞれの目的を果せるよう、当社グループは経営資源を適切に配分してまいります。

 

 

⑤ 人材の確保と育成

当社グループは、将来の持続的な成長を図る上で、優秀な人材の確保と育成は重要な経営課題であると認識しております。中途採用活動と新卒採用活動を並行して、バランスの良い人材構成を構築してまいります。また、社内外研修等に積極的に取り組み人材育成を推進してまいります。

 

⑥ 法令及び社会ルールの遵守

当社グループが事業活動を継続する上で、法令・社会ルールを守り、不正や反社会的勢力を排除することは必要不可欠な取組みであると捉えております。今後とも、グループで定めているモラル憲章の浸透を徹底してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態及び株価等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

(1) 市場環境の動向等について

当社グループの売上高の大半が、「あと施工アンカー」をはじめとする建設関連製品の卸販売事業であることから、建設業界の動向や設備投資の動向等が急変し、主な販売先である卸問屋及び販売店の業績悪化等があった場合は、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料価格の変動について

当社グループは、原材料として主に鋼材(スチール鋼、ステンレス鋼)を使用しており、これらの原材料を構成する鉄鉱石やニッケル価格の高騰などにより当社グループの仕入れ調達価格が上昇する場合があります。これに対処するため、状況に応じて販売価格へ転嫁させていく方針でありますが、十分に転嫁できなかった場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 製品の品質管理について

当社グループは、製品の品質を重視しており、主力事業所においてはISO9001の認証を取得する等、品質管理体制には万全を期しております。なお、予測を超えた事象により製品に欠陥が生じた場合を想定し、PL保険へ加入しておりますが、リコール等に伴う費用が多額に発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) カントリーリスクについて

当社グループのあと施工アンカーの一部はタイ子会社のSANKO FASTEM (THAILAND) LTD.で生産し、そのほとんどを国内に輸入しております。このため、現地における法規制等の変更、政治または経済要因さらには自然災害等が、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 貸倒れリスクについて

当社グループの売上先の大半は、卸問屋及び販売店が占めており、そのほとんどは中小企業となっております。販売先への現金回収率は高く顧客に偏りも生じておりませんが、倒産により取引先から支払われるべき金銭の不払いにかかわるリスクが存在します。景気動向に係わらず、今後も企業が倒産する懸念があり、信用状況が悪化する顧客が増大した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 知的財産等について

当社グループは、新製品・工法等について特許権等の知的財産の登録を行い、権利保護に努めておりますが、国内外において当社グループの権利が侵害される可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産を侵害しないように注意を払っておりますが、当社グループが認識していない範囲で第三者の知的財産を侵害する可能性があります。当社グループが仮に侵害し、第三者と知的財産権をめぐって損害賠償、対価の支払い等を請求された場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 法的規制について

当社グループの主力事業は建設業界に属しており、建設業法、建築基準法、国土利用計画法、都市計画法等により法的規制を受けております。最近における自然災害の多発やコンクリート構造物の老朽化等への対応策にかかる上記法律の改廃や新たな法規制の発生、適用基準の変更等によっては当社グループの事業が制約される場合があり、結果として業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害について

当社グループにおける千葉県、静岡県、奈良県所在の主要工場をはじめとする国内外の事業所所在地において、大規模な地震等の自然災害が発生した場合、当社グループの生産体制並びに営業活動に著しい支障が生じ、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 業績の下期偏重に関するリスク

当社グループが主に製造・販売するアンカー、ファスナー等は建設業界向けの建設資材であり、年度を通じて建設投資の影響を受けやすく上半期実績を下半期実績が上回る傾向となっております。このため、期末の売上高等が翌期にずれ込む不安要素をはらんでおり、今後も同様の傾向が続く場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

過去3期(平成27年3月期~平成29年3月期)における上・下期の業績表

決算期

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期

 

上期

下期

通期

上期

下期

通期

上期

下期

通期

売上高

(百万円)

8,433

9,401

17,835

7,926

8,721

16,648

7,268

8,229

15,497

比率

(%)

47.3

52.7

100.0

47.6

52.4

100.0

46.9

53.1

100.0

営業利益

(百万円)

710

800

1,511

540

798

1,338

426

697

1,124

比率

(%)

47.0

53.0

100.0

40.4

59.6

100.0

38.0

62.0

100.0

経常利益

(百万円)

689

819

1,509

513

742

1,256

401

717

1,119

比率

(%)

45.7

54.3

100.0

40.9

59.1

100.0

35.9

64.1

100.0

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、主に建設領域において長年培ってきたファスニング技術を活かして、作業効率・安全確保、環境保全に貢献する付加価値の高い製品・工法の研究開発及び改良活動を推進しております。研究開発体制としては、事業毎にプロジェクトチームを編成し、お客様の要望に柔軟に対応できるような体制を構築しております。

現在の研究開発は、ファスニング事業における新製品開発のみならず、効率的な施工方法の研究及び施工機器の開発にまで及んでおります。

当連結会計年度における研究開発費の総額は125,201千円であり、主な研究開発活動は以下の通りであります。

なお、技術開発部門の研究開発費は、当社グループ全体としての製品・工法の開発及び改良の目的で実施しているため、各セグメントに配分しておりません。(技術開発部門研究開発費 89,910千円)

 

(1) ファスニング事業

あと施工アンカーは、当社グループの基盤となる重要技術であり、分野毎(基礎・躯体・設備・仕上)の研究開発をゼネコン等との共同開発を含めて行っております。

その中でも当期は、土木分野に注力した製品開発として無機系アンカーや「サイズミックエコフィラー」標準タイプおよび小容量タイプを開発いたしました。また、太陽光発電システム関連では、ダイレクトアース用として「ディー・アーススクリュー」の改良開発を行いました。さらに、太陽光関連で培った技術を応用し「マルチスクリュー」を開発いたしました。(ファスニング事業研究開発費 10,545千円)

 

(2) 機能材事業

紫外線硬化FRPシート用としてVOC(揮発性有機化合物)を含まない「e-シート」のシステム開発を行いました。このほか、改良開発として電動油圧工具(ツライチカッター・静音ベンダー)の高性能化を実現しました。(機能材事業研究開発費 24,745千円)

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(財政状態の分析)

当連結会計年度(以下、「当期」という。)末の総資産は、前連結会計年度(以下、「前期」という。)末比548百万円(3.7%)増加し、15,286百万円となりました。

流動資産は同153百万円(1.8%)増加の8,475百万円、固定資産は同394百万円(6.2%)増加の6,810百万円となりました。増加の主な要因は、建物及び構築物の増加が274百万円増加となったことによるものであります。

当期末の負債の合計は、前期末比148百万円(3.2%)減少の4,438百万円となりました。流動負債は同178百万円(6.2%)減少の2,695百万円、固定負債は同30百万円(1.8%)増加の1,743百万円となりました。負債が減少した主な要因は、短期借入金の減少が150百万円、未払法人税等の減少が107百万円となった一方、買掛金の増加が171百万円となったことによるものであります。

当期末の純資産は、10,847百万円となり、前期末に比較して697百万円(6.9%)の増加となりました。増加の主な要因は、利益剰余金の増加が644百万円となったことによるものであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性についての分析)

当社グループの当期の資金状況につきましては、営業活動による資金の増加は、860百万円となりました。これは主として税金等調整前当期純利益1,130百万円に加え、減価償却費が286百万円、仕入債務の増加額が171百万円となった一方、たな卸資産の増加額が172百万円、法人税等の支払額が470百万円となったことによるものであります。投資活動による資金の減少は、586百万円となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出が610百万円となったことによるものであります。財務活動による資金の減少は、296百万円となりました。これは主として短期借入金の減少額が142百万円、長期借入金の返済による支出が193百万円、配当金の支払額が146百万円となった一方、長期借入による収入が200百万円となったことによるものであります。