当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、“奉仕は真価の追求なり、啓発は未来の追求なり、協調は繁栄の追求なり”を経営理念とし、主に建設資材分野において、時代の要請に適合した価値ある製品・工法等を創り・活かしながら、人々がより安心して暮らせる社会の実現を目指しております。“人のお役に立つために、創造提案型企業をめざす”を基本方針として掲げ、経営を推進しております。
(2)中長期的な経営戦略
当社グループは、2016年3月期第1四半期よりセグメント区分を「ファスニング事業」、「機能材事業」の2つの事業に再編し、営業体制の強化や事務作業の効率化のほか、顧客の要望に即応できる「一気通貫体制」、環境の変化に即応できる「フレキシブル体制」へと組織の再編を進めてまいりました。2025年3月期よりスタートした新中期経営計画「S.T.GVision2026」“私たちは、安全・安心・環境・健康をキーワードに事業拡大とニッチトップを実現します”(最終年度2027年3月期)のもと、「人財育成」、「全体最適化」、「新事業創出」をはじめとした経営課題への取組みを通じて、企業価値の向上に努めております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、主な経営指標として売上高、売上高経常利益率を重視するほか、経営資源の有効活用や、さらなるコスト意識をもち、総資産利益率(ROA)・自己資本利益率(ROE)を重視しております。経営上の目標値については、上述(2)の「S.T.G Vision2026」のもと、売上高240億円以上、売上高経常利益率8%以上を目標として、企業価値の向上に努めております。
(4)経営環境
今後の見通しにつきましては、社会経済活動の正常化が進み、景気持ち直しの兆しが見られた一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴うエネルギー価格の高騰や為替の乱高下などにより、国内消費や設備投資の抑制など景気を下振れさせる懸念に加え、米国トランプ政権発足によって世界的に政治や経済の混乱が始まっており、先行きは不透明な状況が続くものと想定しております。
建設業界におきましては、インフラ整備を中心とした一定水準の需要に支えられ、公共投資は堅調に推移することが予想されますが、「2024年問題」と呼ばれる時間外労働規制の本格化により、これまでの建設技能労働者の不足に拍車がかかり工期遅延などへ波及しており、工事材料費・労務費の高止まりなど、厳しい経営環境が続くものと予想されます。
このような業界動向を踏まえ、当社グループにおきましては、“人のお役に立つために、創造提案型企業をめざす”という基本方針のもと、引き続き、顧客価値の最大化を目指してまいります。
(5)対処すべき課題
当社グループは、企業価値の向上を継続的に推進していくため、以下の課題に取り組んでまいります。
① 開発体制の強化
当社グループでは、ユーザーニーズの動向を適切に把握し、そのニーズに即応することを、事業継続・発展において重要な取組みとして認識しております。日々の営業活動やお客様相談に寄せられるユーザー情報をもとに、販売部門と開発部門・製造部門の連携を密にして、独自の製品・サービスを今まで以上にスピーディに実現することに注力してまいります。
② 生産性の向上
当社グループでは、競争力を維持し収益力を拡大していくために、最適な生産体制を追求し、コストダウンを積極的に進めてまいります。また、工事部門においては採算性の高い独自工法に特化した受注を推進してまいります。
③ 品質の向上
当社グループは、ユーザーに安全かつ安心な製品を継続して使用いただくため、品質管理部門の強化に努めてまいります。製造工程の品質の向上を図るとともに、各種試験等により品質の確認を徹底することで、使用現場で安定した性能が維持されるよう努めてまいります。
④ グループ戦略の推進
当社グループは、異なる事業分野において複数の事業を展開しております。各事業のミッションを明確化し、これに基づいた戦略を実践してまいります。安定的な収益を確保できる事業と中期の視点から成長を追求する事業が、それぞれの目的を果たせるよう、「全体最適化」をキーワードに、経営資源を適切に配分してまいります。
⑤ 人材の確保と育成
当社グループは、将来の持続的な成長を図る上で、優秀な人材の確保と育成は重要な経営課題であると認識しております。中途採用活動と新卒採用活動を並行して、バランスの良い人材構成を構築してまいります。また、社内外研修等に積極的に取組み人材育成を推進してまいります。
⑥ M&A等による事業拡大
当社グループは、グループ内の技術・ノウハウ等を結集し様々な顧客の課題解決に貢献し、「人(社会)のお役に立つこと」を基本方針としております。よって、当社グループの経営理念と合致するような企業とのM&A等の案件があった際には、中長期的に当社グループの企業価値向上に資するかどうかを慎重に見極めつつ、積極的に推進してまいります。
⑦ 法令及び社会ルールの遵守
当社グループが事業活動を継続する上で、法令・社会ルールを守り、不正や反社会的勢力を排除することは必要不可欠な取組みであると捉えております。今後とも、グループで定めているS.T.Gモラル憲章の浸透を強化し、コンプライアンスの徹底を推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しており、代表取締役社長 洞下英人がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有しております。ファスニング事業においては、あと施工アンカーを中心とした建設資材の企画・販売・施工を通じて、建築物・インフラ設備等の長寿命化等に貢献し持続可能な環境配慮型社会の実現を、機能材事業においては、FRPシートの活用による横断歩道橋の補修やアルコール検知器の販売を通じた飲酒運転ゼロに向けた貢献など、「安全」「安心」「環境」「健康」をキーワードに「人(社会)のお役に立つこと」を基本とした事業運営を行っております。
取締役会は、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。内部統制の継続的改善によりガバナンスの強化を推進し、コンプライアンス活動や教育を通じ重大コンプライアンス違反のリスクの回避・軽減に努めております。「事業部長会議」、「経営計画策定会議」、「本部長会議」、「拠店長会議」をはじめとした全社会議や、各委員会・プロジェクトで協議・決議された内容の報告を受け、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての審議・監督を行っております。
(2)戦略
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、サンコーテクノグループの役員及び社員が遵守しているS.T.Gモラル憲章をもとに以下のとおり取り組んでおります。
人材育成方針
③ 従業員のスキルアップを図るため、通信教育やeラーニングをはじめとした自己啓発・教育プログラムの拡充や、定年後も継続して就労を希望する人財には活躍の場を提供する再雇用制度などを運用しております。
④ 企業における倫理観の向上に努め、倫理に基づいた経営(倫理経営)を実践し、「倫理法人会憲章」の理念を実現しようとする優れた企業に与えられる「倫理17000」の取得や、千葉県が取り組む「”社員いきいき!元気な会社”宣言企業」に登録するなど、一人ひとりが働きやすく、働きがいのある職場環境を目指しております。またグループ全従業員へ当社で制作した「コンプライアンスハンドブック」を配付しコンプライアンス教育の徹底を図っております。
社内環境整備方針
② 労働安全衛生法に準じ、安全衛生統括会議、安全衛生協議会を実施し、ヒヤリハットを積極的に出し合い、労働災害の防止、衛生管理の徹底を実施しております。
③ 公平な制度が働きがいのある魅力的な職場環境の実現につながるとの考えのもと、人事制度改革を実行しております。また、「みらい人財会議」を実施し、取締役・執行役員を中心としたメンバーが全従業員の評価について意見を出し合い、公平かつ働きがいのある人事制度構築に向けて一丸となって協議を行っております。
④ 有給休暇取得の推奨及び短時間休暇・時差出勤制度の運用、5S改善活動やDX導入を通じた業務の改善・効率化による労働時間の適正化のほか、従業員の健康診断受診の徹底やストレスチェックの実施、職場内のハラスメントに対する相談窓口の設置など、ワーク・ライフ・バランスの実現と従業員の心身の健康を守る取組みを行っております。これら全社一体となった健康づくり活動により、2025年3月に経済産業省とNPO法人 日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。
(3)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティに係るリスク管理も経営の重要課題の一つと位置付けております。全般的なリスク管理と同様に、方針、基本目的、行動指針等を明記した「リスクマネジメント規程」に基づき、各組織は経営課題や戦略に対し、戦略シート等を用いてリスク及び機会の分析、戦術の立案及び評価期間や目標値などを設定し実施しております。また、半期ごとに実施内容を監視、測定、評価した上で、レビューしております。また、本部長など組織の長をリスクマネジメント管理者とし、リスク管理を行なうとともに、内部監査室が客観的立場で検証・評価・報告しております。サステナビリティに係る特定の重要なリスク管理が必要になった場合には、緊急対策本部又は、全社会議、委員会・プロジェクト等の適切な組織をすみやかに発足し、その対応にあたることとしております。
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
当社グループの経営成績、財政状態及び株価等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1) 市場環境の動向等について
当社グループの売上高の大半が、「あと施工アンカー」をはじめとする建設関連製品の卸販売事業であることから、建設業界の動向や設備投資の動向等が急変し、主な販売先である卸問屋及び販売店の業績悪化等があった場合は、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原材料価格等の変動について
当社グループは、原材料として主に鋼材(スチール鋼、ステンレス鋼)を使用しており、これらの原材料を構成する鉄鉱石やニッケル価格の高騰などにより当社グループの仕入調達価格が上昇する場合があります。これに対処するため、状況に応じて販売価格へ転嫁させていく方針でありますが、十分に転嫁できなかった場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、建設技能労働者の不足や、工事材料費・労務費の上昇への対処が十分にできなかった場合にも、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 製品の品質管理について
当社グループは、製品の品質を重視しており、主力事業所においてはISO9001又はISO14001の認証を取得する等、品質管理体制には万全を期しております。なお、予測を超えた事象により製品に欠陥が生じた場合を想定し、PL保険へ加入しておりますが、リコール等に伴う費用が多額に発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 建設現場における労働災害時のリスクについて
当社グループは、工事管理者の教育を通じて、品質方針・安全衛生方針を浸透させるとともに、安全パトロールを実施することにより、建設現場における安全管理に万全を期しておりますが、重大な労災事故が発生し、発注者から指名停止等の処分を受ける等した場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) カントリーリスクについて
当社グループのあと施工アンカーの一部はタイ子会社のSANKO FASTEM (THAILAND) LTD.で生産し、そのほとんどを国内に輸入しております。このため、現地における法規制等の変更、政治又は経済要因さらには自然災害等が、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 貸倒れリスクについて
当社グループの売上先の大半は、卸問屋及び販売店が占めており、そのほとんどは中小企業となっております。 販売先への現金回収率は高く顧客に偏りも生じておりませんが、倒産により取引先から支払われるべき金銭の不払いにかかわるリスクが存在します。景気動向にかかわらず、今後も企業が倒産する懸念があり、信用状況が悪化する顧客が増大した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 知的財産等について
当社グループは、新製品・工法等について特許権等の知的財産の登録を行い、権利保護に努めておりますが、国内外において当社グループの権利が侵害される可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産を侵害しないように注意を払っておりますが、当社グループが認識していない範囲で第三者の知的財産を侵害する可能性があります。当社グループが仮に侵害し、第三者と知的財産権をめぐって損害賠償、対価の支払い等を請求された場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法的規制について
当社グループの主力事業は建設業界に属しており、建設業法、建築基準法、国土利用計画法、都市計画法等により法的規制を受けております。最近における自然災害の多発やコンクリート構造物の老朽化等への対応策にかかる上記法律の改廃や新たな法規制の発生、適用基準の変更等によっては当社グループの事業が制約される場合があり、結果として業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 自然災害について
当社グループにおける千葉県、静岡県、奈良県所在の主要工場をはじめとする国内外の事業所所在地において、大規模な地震等の自然災害が発生した場合、当社グループの生産体制並びに営業活動に著しい支障が生じ、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、未知の感染症の流行は、原材料の継続的な調達、生産体制の維持、市場への製品の安定供給やサプライチェーンに著しい支障をきたす場合があり、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、お客様、取引先及び従業員の安全を第一に考えるとともに、コロナ禍において感染拡大予防策に取り組んだ経験を生かし、感染症の流行に対するリスクの軽減に努めてまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a. 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が進み、景気持ち直しの動きが見られた一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴うエネルギー価格の高騰や、円安基調の継続による物価高騰が国内消費や設備投資の抑制など景気を下振れさせる懸念に加え、米国トランプ政権の対外政策によって世界的な政治・経済の混乱が強く懸念され、先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループが関連する建設市場におきましては、「2024年問題」と呼ばれる時間外労働規制の本格化により、これまでの建設技能労働者の不足に拍車がかかり工期遅延などへ波及しております。さらに鋼材価格が高止まりするなど厳しい状況で推移する一方、インフラ整備を中心とした一定水準の需要に支えられ、底堅く推移いたしました。
このような状況のなか、当社グループにおきましては、今年度よりスタートした新中期経営計画「S.T.G
Vision2026」“私たちは、安全・安心・環境・健康をキーワードに事業拡大とニッチトップを実現します”(最終年度2027年3月期)のもと、「人財育成」、「全体最適化」、「新事業創出」をはじめとした経営課題への取組みを通じて、企業価値の向上に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は21,250百万円(前連結会計年度比0.5%増)、営業利益1,282百万円(同38.0%減)、経常利益1,305百万円(同36.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,122百万円(同35.5%減)となりました。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
・ ファスニング事業
当社の主力製品であるあと施工アンカーの販売は、前年を上回る水準で堅調に推移いたしましたが、電動油圧工具関連の販売並びに完成工事高が前年を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は17,685百万円(前連結会計年度比0.7%減)、セグメント利益は2,465百万円(同10.5%減)となりました。
・ 機能材事業
FRPシート関連、アルコール検知器関連並びに電子基板関連、包装・物流機器関連の販売は、前年を上回る水準で推移いたしましたが、アルコール検知器関連の販売が、期初の販売計画を大きく下回ったことにより、棚卸資産評価損を計上しました。また、子会社取得費用が発生しました。
この結果、当セグメントの売上高は3,564百万円(同7.2%増)、セグメント損失は260百万円(前期はセグメント利益295百万円)となりました。
b. 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して1,929百万円(7.8%)増加し、26,558百万円となりました。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末と比較して738百万円(10.5%)増加の7,803百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、18,755百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,191百万円(6.8%)の増加となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度と比較して727百万円(22.6%)増加(合併に伴う増加5百万円、その他の増加721百万円)し、当連結会計年度末には3,940百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,474百万円の増加(前連結会計年度1,431百万円の増加)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益が1,574百万円に加え、減価償却費が395百万円、売上債権の減少額が155百万円、棚卸資産の減少額460百万円となった一方、負ののれん発生益が145百万円、投資有価証券売却益が151百万円、未払消費税等の減少額が156百万円、法人税等の支払額が664百万円となったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,440百万円の減少(前連結会計年度は1,616百万円の減少)となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出が998百万円、投資有価証券の取得による支出が120百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が568百万円、子会社株式の取得による支出が200百万円、預け金の増加が180百万円となった一方、投資有価証券の売却による収入が552百万円、保険積立金の解約による収入が104百万円となったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、642百万円の増加(前連結会計年度は1,067百万円の増加)となりました。これは主として長期借入れによる収入が1,501百万円となった一方、短期借入金の減少額が170百万円、長期借入金の返済による支出が396百万円、配当金の支払額が269百万円となったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は製造原価によっております。
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しております。そのため、前連結会計年度の数値を変更後の事業区分に組替えて比較を行っております。
b. 受注状況
当社グループは、主に需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しております。そのため、前連結会計年度の数値を変更後の事業区分に組替えて比較を行っております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。当社グループの連結財務諸表作成に当たっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を使用することが必要となります。当社グループは、過去の実績値・状況等を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら、これらの見積り、予測は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して108百万円(0.5%)増加し21,250百万円となりました。これは主として、あと施工アンカーの販売が増加したことによるものであります。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度と比較して509百万円(7.7%)減少し6,116百万円となりました。これは主として、完成工事高の減少並びにアルコール検知器の棚卸資産評価損を計上したことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、給料及び手当、その他に含まれる支払手数料の増加により、前連結会計年度と比較して274百万円(6.0%)増加の4,834百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比較して784百万円(38.0%)減少し1,282百万円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度と比較して63百万円(67.4%)増加し157百万円となりました。当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度と比較して15百万円(13.3%)増加し134百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度と比較して736百万円(36.1%)減少し1,305百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、投資有価証券の売却益がありましたが負ののれん発生益が減少したため、前連結会計年度と比較して55百万円(15.7%)減少し299百万円となりました。当連結会計年度の特別損失は、固定資産除却損等により、前連結会計年度と比較して27百万円増加の30百万円となりました。(前連結会計年度は2百万円)
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較して617百万円(35.5%)減少し1,122百万円となりました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度(以下、「当期」という)末の総資産は、前連結会計年度(以下、「前期」という)末比1,929百万円(7.8%)増加し、26,558百万円となりました。
流動資産は同643百万円(4.3%)増加の15,777百万円、固定資産は同1,285百万円(13.5%)増加の10,781百万円となりました。増加の主な要因は、現金及び預金の増加が725百万円、電子記録債権の増加が121百万円、土地の増加が121百万円、建設仮勘定の増加が755百万円、投資有価証券の増加が279百万円となった一方、受取手形の減少が137百万円、商品及び製品の減少が231百万円となったことによるものであります。
当期末の負債の合計は、前期末比738百万円(10.5%)増加の7,803百万円となりました。流動負債は同179百万円(5.2%)減少の3,292百万円、固定負債は同918百万円(25.6%)増加の4,510百万円となりました。増加の主な要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加が144百万円、長期借入金の増加が960百万円となった一方、短期借入金の減少が170百万円、未払法人税等の減少が146百万円となったことによるものであります。
当期末の純資産は18,755百万円となり、前期末に比較して1,191百万円(6.8%)の増加となりました。増加の主な要因は、利益剰余金の増加が854百万円、為替換算調整勘定の増加が207百万円となったことによるものであります。
c.キャッシュ・フローの分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
e.当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、出資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資、出資等の長期的な資金の調達につきましても、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は、3,537百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,940百万円となっております。
f.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
中期経営計画1年目となる当期の達成・進捗状況は、以下のとおりであります。売上高は計画比750百万円(3.4%)減少の21,250百万円となりました。これは主に、あと施工アンカーの販売が堅調に推移したものの、完成工事高が計画を大きく下回ったことによるものであります。
また、経常利益は、完成工事高の影響に加え、棚卸資産評価損計上の影響等により、計画比545百万円(29.4%)減少の1,305百万円となりました。
(単位:百万円)
該当事項はありません。
当社グループは、主に建設領域において長年培ってきたファスニング技術を活かして、作業効率・安全確保、環境保全に貢献する付加価値の高い製品・工法の研究開発及び改良活動を推進しております。研究開発体制としては、事業毎にプロジェクトチームを編成し、お客様の要望に柔軟に対応できるような体制を構築しております。
現在の研究開発は、ファスニング事業における新製品開発のみならず、効率的な施工方法の研究及び施工機器の開発にまで及んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
なお、技術研究所の研究開発費は、当社グループ全体としての製品・工法・システム等の開発の目的で実施しているため、各セグメントに配分しておりません。(技術研究所研究開発費
(1) ファスニング事業
あと施工アンカーは、当社グループの基盤となる重要技術であり、分野毎(土木・建築)の研究開発をゼネコン等との共同開発を含めて行っております。
当期は、自穿孔式拡底アンカーの開発、「サイズミックエコフィラー」のシステム開発を継続したほか、「ITハンガー」「イージーアイアンカー」等のサイズバリエーション拡大や新タイプ開発など、主にこれまで培った技術を応用したあと施工アンカーの開発を行いました。(ファスニング事業研究開発費
(2) 機能材事業
FRPシート関連では、「e-シート」の改良開発・用途開発を継続したほか、アルコール検知器関連では、遠隔点呼システム「ALC Face Air(商品名:アルコフェイスエアー)」を開発いたしました。また、グループ各社が連携し新商品を開発するための取組みを推進しているところであります。(機能材事業研究開発費