第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当中間会計期間における我が国経済は、雇用情勢や企業収益が改善するなか、個人消費や設備投資で持ち直しの動きが見られ、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、米国の景気後退懸念や、中東情勢の緊迫化による地政学的なリスクの高まりなど、先行き不透明な状況も続いております。

 当社と関連性が高い我が国海運・造船業界は、海運業界では、新造船供給圧力が引き続き限定的であるなか、不安定な紅海情勢なども相俟って、船腹需給がタイトになり、市況は堅調に推移しました。また、造船業界では、世界経済の将来的な成長や人口増加による海上荷動きの伸長に備え、引き続き、新造船建造需要は旺盛であり、手持ち工事量を豊富に抱えつつ、超先物案件の商談対応を続けております。

 このような状況下、当社は、「開発から、設計、製造、販売、アフターサービスまでの一貫体制」を有するグローバルライセンサーとしてのメリットを活かしつつ、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、ESG経営を深化させ、持続的な成長と企業価値の向上に努めております。当社は、中期事業計画のもと、主機関、アフターサービス、ライセンス、部品供給の全ての事業領域で、適時・的確な打ち手を講じることで、売上高・利益ともに伸長し、「新たな成長ステージ」に突入しております。更に、GHG(温室効果ガス)排出量削減の取り組みを進める顧客や業界、社会の要請に応えるべく、ファーストムーバーとして世界に先駆けて、次世代アンモニア・水素燃料エンジンの開発、製造、社会実装に取り組むことで、新たな価値創出を進め、社会課題の解決と事業成長を両立させております。

 当中間会計期間における経営成績は、売上高は14,326百万円となり、前年同期比80.4%の増収、損益は、営業利益は3,003百万円となり、426.2%の増益、経常利益は3,242百万円となり、381.6%の増益、中間純利益は2,713百万円となり、338.7%の増益となりました。

 

 売上高、損益、受注高・受注残高の詳細は以下の通りです。

 

<売上高>

①舶用内燃機関

 舶用内燃機関の売上高は8,224百万円で、前年同期比6,026百万円(274.3%)の増収となりました。

 舶用内燃機関では、徹底したマーケットリサーチにより開発した新型省エネ主機関の販売が拡大しており、最新鋭LSH型を中心に受注は好調に推移しております。こうした中で、前年度上半期は、次世代脱炭素燃料エンジン生産に向けた設備工事の影響を受けましたが、今年度は、その影響も解消しており、先行組立ブロックも活用しつつ、同型エンジンの連続生産を進めたことなどで生産効率も向上し、販売台数も増加しました。また、マーケットの旺盛な需要に応えるべく、国内ライセンシーへの製造委託も継続しております。

 販売単価の面でも、資機材価格の高騰などを販売価格に転嫁する取組みを進めた結果、単価は上昇しており、また、窒素酸化物3次規制(NOxTierⅢ)に適合する環境対応設備(EGR/SCR)の搭載や、最先端技術である層状噴射技術を適用したLSJ型機関の販売も継続しております。

 こうしたことから、特に販売台数の増加が大きく寄与し、売上高は前年同期を大きく上回りました。

②修理・部品等

 修理・部品等の売上高は、6,102百万円で、前年同期比357百万円(6.2%)の増収となりました。

 修理・部品等のうち、アフターサービスでは、堅調な輸送需要に支えられ、船舶の高稼働運航が継続しております。このため、電子制御部品や燃焼室関連部品を中心に、メンテナンス需要も旺盛であり、当社は、きめ細かい客先対応を継続し、これらの需要を取り込んだ結果、売上高は、好調に推移した前年同期を更に上回って着地しました。

 また、ライセンスでは、UEエンジングローバル展開の成果として、中国ライセンシーでのUEエンジンの受注・製造・販売のサイクルが拡大しており、売上高は前年同期を上回って推移しました。中国では、新造船マーケットが活況を呈しており、当社はライセンシーと一体となったUEエンジンブランドプロモーションを展開することで、これら需要の取り込みを継続しております。この結果、新規ライセンス供与先の1社では、2022年3月の初号機完成から僅か2年4ヶ月となる2024年7月に、UEエンジン生産累計が100台を突破し、UEエンジンの連続生産体制に移行するなど、成果を順調に積み上げております。当社は、ライセンシーでのUEエンジン生産時に、エンジンのキーコンポーネントをライセンシーへ供給(販売)するとともに、エンジン完成時にはライセンシーからロイヤリティーを得ております。これらライセンス関連ビジネス(部品供給、ロイヤリティー)の売上高は、UEエンジンの世界シェア拡大に同調して伸長を続けております。

 

<損益>

 舶用内燃機関では、先行組立ブロックの活用や同型エンジンの連続生産などで効率的に生産を進めており、豊富な受注残高を背景に工場操業も高位に保つことで採算を改善させております。また、開発から設計、製造、販売、アフターサービスまでの一貫体制を有する当社独自の強みを活かし、UEファミリー(自社及びライセンシー)における戦略的なサプライチェーンマネージメントの構築を推進することで、自社およびライセンシー生産分をあわせた資機材のロット発注を実現し、メリットを享受しております。

 修理・部品等では、アフターサービス、ライセンスともに堅調・好調に推移することで、増収による増益を実現しました。

 研究開発については、グリーンイノベーション基金事業のご支援のもと、アンモニア・水素燃料エンジンの開発を予定通り進捗中です。この結果、開発進捗に応じた研究開発費を計上するとともに、基金事業から受け取る交付金を営業外収益に計上しております。なお、前年度は第4四半期に、水素燃料エンジン実機製造に向けた燃料供給装置・運転装置などを取得することで、研究開発費および営業外収益の計上が大きく伸びましたが、今年度については、開発投資は継続するものの、大型装置の取得は予定していないことから、通期では、研究開発費の計上は前年度比で減少する見通しです。

 

<受注高・受注残高>

 当中間会計期間における受注高は、16,317百万円で、前年同期比530百万円(3.4%)の増加、受注残高は、28,523百万円で、前年同期比3,594百万円(14.4%)の増加となりました。舶用内燃機関では、受注高は、前年同期比では減となりますが、売上高を上回って推移することで、受注残高は前年同期比増となりました。また、修理・部品等では、受注高・受注残高ともに前年同期比増となり、これらの結果、舶用内燃機関と修理・部品等の合計では、受注高、受注残高ともに前年同期比を上回る結果となりました。

 舶用内燃機関および修理・部品等の状況は以下の通りです。

 

①舶用内燃機関

 受注高は、9,808百万円で、前年同期比1,253百万円(11.3%)の減少、受注残高は、24,352百万円で、前年同期比3,068百万円(14.4%)の増加となりました。

 舶用内燃機関では、お客様から生産枠取りの内示を取得後、納入時期や、製品原価の動向などを勘案しながら、案件毎に都度、販売価格を交渉し、受注高として計上しております。内示については、造船所の手持ち工事量が積み上がっていることを背景に、先行き3年程度の案件まで既に取得しております。なお、受注高としての計上額については、交渉の開始時期や進捗状況などに応じて、四半期毎で一定の振れ幅が生じることとなります。

 受注残高については、受注高が売上高の伸びを上回って推移していることを背景に、前年同期比でも、前年度末比でも、増加しており、当中間会計期間での受注残高24,352百万円は、舶用内燃機関の前年度1年間の売上高9,493百万円と比較して、約2.6倍の水準となりました。

 

②修理・部品等

 受注高は、6,508百万円で、前年同期比1,783百万円(37.8%)の増加、受注残高は、4,170百万円で、前年同期比526百万円(14.5%)の増加となりました。

 アフターサービスは、船舶の高稼働運航を背景に、受注高および受注残高ともに堅調に推移しております。また、ライセンス(部品供給、ロイヤリティー)は、UEエンジンのグローバル展開、世界シェア拡大を背景に、受注高、受注残高ともに順調に増加しております。これらの結果、受注高および受注残高は、前年同期比増となりました。

 

③財政状態

 当中間会計期間末における流動資産は、前事業年度末に比べ12.5%増加し、22,678百万円となりました。これは主として現金及び預金が3,439百万円増加、製品が613百万円減少、その他流動資産が386百万円減少したことなどによるものであります。

 固定資産は、前事業年度末に比べ8.6%増加し、5,257百万円となりました。これは主として有形固定資産が85百万円増加、投資その他の資産が324百万円増加したことなどによるものであります。

 この結果、総資産は、前事業年度末に比べ11.7%増加し、27,935百万円となりました。

 当中間会計期間末における流動負債は、前事業年度末に比べ4.4%増加し、12,607百万円となりました。これは主として前受金が2,272百万円増加、電子記録債務が1,667百万円減少したことなどによるものであります。

 固定負債は、前事業年度末に比べ6.0%減少し、2,990百万円となりました。これは主として長期借入金が161百万円減少したことなどによるものであります。

 この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ2.3%増加し、15,597百万円となりました。

 当中間会計期間末における純資産合計は、前事業年度末に比べ26.5%増加し、12,337百万円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間会計期間における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ3,439百万円増加し、7,719百万円となりました。

 当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税引前中間純利益3,233百万円、前受金の増加2,272百万円などがあり、営業活動によるキャッシュ・フローは4,739百万円の収入(前年同期は398百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形固定資産の取得による支出767百万円などがあり、投資活動によるキャッシュ・フローは817百万円の支出(前年同期は678百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 配当金の支払等による支出278百万円などがあり、財務活動によるキャッシュ・フローは483百万円の支出(前年同期は706百万円の収入)となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当中間会計期間における当社の研究開発費の総額は、552百万円であります。

 なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)生産、受注及び販売の実績

 当中間会計期間において、販売の実績に著しい変動(増加)がありました。詳細につきましては、「(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。