当社は「たくましい創造性とすぐれた技術を磨きあげ、社会を豊かにする価値を提供し、人々との共生を願い、限りなく前進する」ことを企業理念として掲げております。
この企業理念のもと、『①お客様に満足いただける新しい商品とサービスの提供、②地球環境との調和のとれたグローバルな事業展開、③企業環境の変化に迅速に対応して適正な利益を確保できる、強靱で柔軟性のある企業体質と、活力に満ちた明るい企業風土の確立』を経営方針としております。この経営方針を実践することで、グループ各社が一体となった事業活動を展開し、顧客、株主、取引先そして従業員等当社に関わる皆様にとって大きな存在価値を認めていただける企業グループとして、さらなる発展・繁栄を目指していく所存であります。
当社グループでは、収益性と資本効率を重視する観点から、売上高営業利益率、自己資本利益率(ROE)を経営数値目標として掲げて企業経営に取り組んでおります。
現状評価で認識した当社課題を踏まえ2028年3月期までに営業利益74億円、ROE8.5%以上の達成、2031年3月期までに営業利益90億円、ROE9.5%以上の達成を目指します。
当社は、2022年11月に中長期ビジョン『POWER! FOR ALL beyond 2030』を公表し、2050年までの中長期的な事業戦略を示しました。次世代燃料への対応により海運業界・舶用業界におけるネットゼロエミッションに貢献し、さらにサービタイゼーションやより広範な新しいソリューションの提供を通じて、事業規模の拡大を目指してまいります。
事業戦略で①カーボンニュートラル、気候変動に向けた取り組み②環境変化に即した収益体質強化、③マネジメント改革の3項目を最優先課題と位置づけ、昨年11月に2031年3月期の財務目標を上方修正し、売上高1,200億円、営業利益90億円、ROE9.5%以上の達成を目指しております。
①カーボンニュートラル・気候変動に向けた取り組み
当社では、造船・海運業界では温室効果ガス(GHG)削減に貢献すべく、次世代燃料対応機関開発に現在注力しており、メタノール、アンモニアはそれぞれ2026年、2028年の商用出荷を進めております。2026年の次世代燃料機関組立、試運転工程を追加するため、姫路工場のエリア拡張投資を現在実施しております。
陸用分野では、公共インフラの老朽化とゲリラ豪雨等の気候変動が同時並行で進む中、人々の安心安全を確保する取り組みとして、機関納入、メンテナンスに加え、遠隔監視ソリューションや事業ノウハウを活用したインフラ整備にも業容を拡大してまいります。
②環境変化に即した収益体質強化
当社を取り巻く経営環境は目まぐるしく変化し続けています。機関販売では当社の主要市場である造船業界における中国造船所へのシェアシフト、船主の投資判断の動向、環境規制、地政学的事情に起因し、受注が活発な船種やその規模が短期的に大きく変動します。こうした状況にフレキシブルに対応しながら収益体質強化を図るため、ものづくりの面では調達安定化と内製化を推進し、プロダクトミックスに対応した守山・姫路の生産体制を再構築してまいります。
メンテナンス分野では、AIやIoTの活用により、営業活動への活用がメインとなっていた機関別データ統合基盤を生産・調達・販売・財務・アフターサービスの各プロセスのも拡張して再構築し、バリューチェーン全体の競争力強化を目指します。さらにこのデータ基盤を活用し、包括メンテナンス契約等を通じて、お客様への価値提供の機会を増やし、サービタイゼーション事業の強化を図ってまいります。
③マネジメント改革
当社は本年5月、商号を「ダイハツインフィニアース株式会社」へと改め、目指すべき企業像を明確に掲げ、経営体制の刷新に取り組んでおります。
この社名変更は、将来に向けた変革の意志を内外に示すものであり、企業風土そのものを変革するきっかけと捉えております。現在、ガバナンス体制の再整備を進めており、社外取締役の知見を積極的に経営判断に取り入れる等、経営の透明性と意思決定の質の向上を図っております。
また、次世代リーダーの育成を柱とした人材マネジメント改革にも着手しております。グローバル展開や事業領域の多様化に対応できる人材像を再定義し、役割・成果に基づく評価制度の見直しや、階層別・職能別の教育体系の再構築を進めております。社員一人ひとりが変革の担い手として自律的に動ける組織文化を醸成してまいります。
当社はこれからの10年を、「変化を恐れず、挑戦し続ける企業」へと進化する期間と位置づけております。新たな社名のもと、マネジメント改革を実行し、持続的な成長と健全な企業統治の両立を実現してまいります。
(1)サステナビリティの基本方針と取組
当社グループは、「たくましい創造性とすぐれた技術を磨きあげ、社会を豊かにする価値を提供し、人々との共生を願い、限りなく前進します」を企業理念に、「社会インフラの一端を担う」ことで使命を果たしてまいりました。また、地球環境を守るため、提供する商品やサービスを通じて、温室効果ガス削減や資源の有効利用等に取り組み「自然環境との調和を図る」という責任を負ってまいりました。
中長期ビジョン「POWER! FOR ALL beyond 2030」の最終ゴールである2050年に向け、持続可能な社会を実現するためには、人々の豊かな暮らしのための技術革新と環境保全の両立は欠かせないものであると考えており、CO2削減、循環型社会への貢献、人権尊重など、社会の持続可能性に貢献する取り組みを進めております。
また、ダイバーシティ&インクルージョンの観点からも、多様な人材を積極的に採用し、それぞれの個性を尊重することで、イノベーションを生み出し強靭性ある組織形成を目指しております。
当社グループは、サステナビリティの観点でリスクと機会の分析を行うとともに、ステークホルダーとの対話を通して、取り組むべき課題を示す重要課題を、地球環境課題、社会的課題、ガバナンス強化の3つの側面から特定いたしました。
取締役会は、ESGに関する各プロジェクトを通じ、ESG経営の取り組みの進捗と課題等についての意見交換を行い、実効性を高めております。また、リスクに関する内容については、内部統制委員会にて審議し、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しております。
2025年5月2日より、当社は新たな社名「ダイハツインフィニアース」へ変更いたしました。新商号であるダイハツインフィニアースの「インフィニアース(INFINEARTH)」とは、永遠・無限(Infinity)と地球(Earth)の造語です。当社グループは、コーポレートステートメント「TECHNOLOGY FOR THE EARTH -技術は地球を守るために-」を掲げ、技術を通じて地球環境との調和を図りサステナブルな社会の実現に貢献しています。
(2)サステナビリティに関する取組
当社グループは、サステナビリティに関する取り組みの基本方針を実行するにあたり、事業を取り巻く経営環境や事業等のリスクを的確に把握するとともに、中長期ビジョン達成に向け、優先課題とする地球環境課題、社会的課題について取締役会で議論およびレビューしております。
社会価値の継続的な創出と企業価値の最大化を図るため、コーポレート・ガバナンスの強化が重要であると認識し、サステナビリティに関する取り組みの実施体制・事業評価の仕組み・情報開示のあり方および内容について継続的に検証しております。
②戦略
当社グループは、「社会インフラの一端を担う」ことを社会的使命として船舶用エンジンで海上物流を、陸用エンジンで常用・非常用の電力を確保する等、海のフィールドと陸のフィールドの両方から、人々の安心・安全な暮らしを支えております。
気候変動、エネルギー資源の枯渇、情勢不安等、さまざまな社会問題がある中、これらの問題に迅速かつ積極的に対応していくことが、企業価値と社会価値双方の向上に資すると認識しており、「人々の暮らしの安心・安全を支える:海と陸の社会インフラの一端を担う」、「豊かな自然環境を守る:クリーンなエネルギーへの転換」をミッションとして掲げております。
このミッションを基点とした事業展開について取締役会で審議・意思決定し、次世代燃料対応エンジンの開発、再生エネルギー活用および発電設備の高効率化、モーダルシフトの推進等、製品開発や事業活動を通してCO2排出量削減に取り組んでおります。
また、個人の価値観の多様化や企業を取り巻く環境が大きく変化する中で、当社グループが持続的な発展と成長を実現するためには、無形資産である人材を最適に活用することが重要であると認識しております。
当社グループは、全社リスク管理一覧表を毎年整備し、優先度の高いリスクに関する評価と対応について取締役会の報告事項とし議論しております。取締役会にて、内部統制システムの整備・運用状況を定期的に検討・評価し、改善を促して実効性を高めております。
不確実性の高い事業環境の中で適切なリスクテイクを促すことを目的に、投資実施等の取締役会決議に際しては決議事項の目標達成を阻害するトップリスクを特定し、それに対してどのように対応していくかについて、議論を尽くし意思決定を行います。その後も目標設定時からの環境変化等を勘案し、実施状況について継続的なモニタリングを実施し、適時適切に方針変更も含めた意思決定を行います。
また、『人の身体生命に悪影響を及ぼすような事態または財物を損壊または使用不能等たらしめる事態により、当社グループの経営または事業活動に重大な影響を与える、または与える可能性があるもの』を危機と定義し、事象によらず、すべて危機への対応について共通の基本ルールを定めております。基本ルールの中で危機対応の基本方針として、(1)人の生命・身体の安全の確保を最優先とする、(2)当社グループおよびステークホルダーの損失を最小化する、(3)危機発生時においても、誠実さ、公正さに留意し行動する、(4)平常時から危機に関する情報収集に努め、適宜、関係者間で情報共有をするものとし、危機発生時の報告ルートや報告項目、伝達方法、危機レベルの判定や対策本部設置基準、原因究明・復旧活動等の本対応体制を定めております。さらに危機発生時の広報ルールや全社リスク管理一覧表の中で当社グループへの影響が特に重要と認められた危機事象に関しては、個別の危機管理に対する対応ルールの整備・見直しを実施しました。危機レベルを影響の重要性に応じてA・B・C3段階に分け、A・Bレベルの場合は社長を本部長とする対策本部を立上げ、危機対応にあたることとしました。
加えて、災害発生時を想定した事業継続計画策定を現在進めております。
(3)人的資本に関する取組
①人財戦略
1)ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループは、多様な人材を受け入れ、その個々の能力を最大限に発揮できる環境をつくることで、より革新的で長期的な成長につながると考えております。
国籍・人種・民族・宗教・思想・性別・年齢・障がい・性自認・性的指向・雇用形態などを含むいかなる理由であれ差別を認めない多様な価値観を尊重し、区別なく活躍できる環境を重視しております。
多様な視点、価値観を歓迎するためにも、新卒・キャリア採用の募集段階での当社グループの魅力付けにより女性や外国人の登用についても積極的に行い、いずれも現状より増加させるべく取り組んでおります。
2)ワークライフバランス
当社グループは、労働人口が減少する中でライフサイクルや生活環境を問わず、会社組織として、価値観の異なる多様な人材を受け入れる体制を整えるために、働き方に対する人々の意識が多様化することによるマネジメントのあり方や、業務プロセスの見直しなどを整備することが重要と考えております。
社員が時間や場所等にとらわれない多様な働き方を実現できるよう各種制度の整備を進めております。
3)安全衛生
当社グループは、社員の安全・健康に及ぼす影響が最小限となるよう企業活動の中で安全衛生管理を徹底しております。また、社員がいきいきと業務に従事できるよう、心身の健康が大変重要であるとの考えのもと、一人ひとりが安全衛生に対する意識を向上させ、自己の健康管理に努めることを推進するため、安全方針を策定しております。
安全衛生管理においては、安全衛生関係法令および社内基準を遵守し、職場の危険有害要因の明確化と対策の優先度を定めるリスクアセスメントを実施し、安全で快適な職場づくりを推進しております。安全衛生管理の確保に必要かつ十分な教育・訓練を継続的に実施し、全社で啓発を図っております。
4)健康経営
当社グループは、健康がすべての基本であることを認識し、健康増進推進体制を整え、社員のこころとからだの健康の維持増進を推奨しております。このような取り組みを積極的に推進した結果、当社は、経済産業省ならびに日本健康会議が共同で実施する健康経営優良法人認定制度「健康経営優良法人 2025(大規模法人部門)」に3年連続で認定されました。
中長期ビジョン「POWER! FOR ALL beyond 2030」を実現するためには、社員一人ひとりが心身ともに健康でその能力を最大限に発揮して、いきいきと働くことが重要と考えており、健康経営を推進し、快適に働ける環境や仕組みの整備等、社員の健康と安全に配慮した取り組みを進めております。
5)人材育成
当社グループは、イノベーションを生み出す組織風土の醸成ならびにグローバル人材育成は極めて重要なものであると位置づけ、人材への成長投資を加速させております。
人事情報基盤を活用し人材スキルを把握したうえで、求める人材を社内から選抜・育成するとともに、社員の継続的な学びや新たな分野のスキルを習得する学び直しも導入してまいります。
②指標及び目標
経営戦略と人的資本戦略が連動した経営戦略実現に向けて、策定した人的資本戦略が急速な環境変化においても効果的に推進させるために、適正に機能し、効果が得られているかを測定し、迅速かつ適切に次のアクションへ移すために人的資本戦略と連動したKPIを設定いたします。
KPI設定の要件としては、設定したKPIを定期的に検証・確認することで問題点の因果関係が把握できるよう、施策の妥当性を検証および見直しできる数値を設定いたします。
当社グループの事業の状況および経理の状況等に関する事項のうち、経営者がリスクとなる可能性があると認識している主要な事項(事業等のリスク)は以下のとおりであります。
事業等のリスクの洗い出しに際して、事業遂行上に起こりうるリスクの発生要因に基づき、ビジネスリスクとオペレーションリスクに分類し、各リスクに応じた対策を立案・遂行し、リスク管理の実効性を検証し、対応しております。
主要なビジネスリスク、オペレーションリスクの内容と対策は以下のとおりです。
本項に記載した予想、予見、見込み、見通し等の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もあります。
当連結会計年度における我が国経済は、雇用環境や所得水準の改善を背景に、概ね緩やかな回復基調を維持しました。一方で、エネルギー価格の高止まりや円安の長期化に伴うコスト負担の増加等が、企業収益や消費マインドに対して下押し圧力となっており、先行きは依然として不透明な状況が続いています。
世界経済におきましては、中国では不動産市場の低迷や内需の回復の遅れが景気の重荷となる中、政府による景気刺激策が一定の下支えとなりました。米国では雇用の堅調さと個人消費の持ち直しを背景に緩やかな成長が続く一方で、欧州では外需低迷による製造業の不振やエネルギー価格の上昇が企業活動や消費に影響を与え、景気の減速感が広がりました。加えて、ウクライナ情勢や中東の地政学的リスク、米国の通商政策の不確実性などが重なり、全体としては引き続き不安定な状況にあります。
当社の主要な販売先である造船・海運業界におきましては、環境規制の強化や地政学的リスクの高まりを背景に、事業環境が大きく変化しました。造船業界では、省エネ性能や次世代燃料への対応が求められ、脱炭素に向けた技術開発と新造船の建造が引き続き堅調に推移しました。海運業界においても、LNG燃料船等などの導入を通じて、老朽化した船舶の代替や性能向上が図られるなど、船舶の刷新が進められています。
このような企業環境下、当社グループにおきましては、ばら積み船向けを中心とした中小型機関の需要拡大を着実に取り込むとともに、メンテナンス関連も引き続き堅調に推移しております。また、原材料価格の高騰が続く中、コスト競争力の強化を目的として内製化を進め、生産効率と収益率の向上を図っております。さらに、将来的な成長を見据え、次世代燃料対応機関の開発および柔軟な生産体制の構築に向けた設備投資を計画的に進めており、新造船需要への対応力を高めることで、持続的な収益基盤の強化に取り組んでおります。
その結果、当連結会計年度における連結売上高は88,781百万円(前期比8.6%増)となり、利益面におきましては、営業利益は7,634百万円(前期比47.0%増)、経常利益は7,603百万円(前期比37.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、5,717百万円(前期比11.0%増)になりました。
なお、当連結会計年度の当社および連結グループのセグメント別の業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) セグメント利益の調整額は全社費用であり、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
<内燃機関部門>
イ)舶用機関関連
機関売上および、メンテナンス関連売上の増加ならびに為替の影響等により、売上高は72,950百万円(前期比6.9%増)、セグメント利益は9,223百万円(前期比48.3%増)となりました。
ロ)陸用機関関連
機関売上は増加したものの、一部の物件の採算性が悪化したこと等により、売上高は11,543百万円(前期比15.9%増)、セグメント利益は1,712百万円(前期比3.7%減)となりました。
従いまして、当部門の売上高は84,493百万円(前期比8.0%増)、セグメント利益は10,936百万円(前期比36.8%増)となりました。
<その他の部門>
イ)産業機器関連
アルミホイール部門に関しましては、販売数の増加により売上高、セグメント利益とも増加となりました。
ロ)不動産賃貸関連
不動産賃貸関連に関しましては、売上高は微減となり、セグメント利益は減少となりました。
ハ)売電関連
売電関連に関しましては、売上高、セグメント利益とも増加となりました。
精密部品関連に関しましては、売上高は増加となり、セグメント利益は微増となりました。
従いまして、当部門の売上高は4,287百万円(前期比20.9%増)、セグメント利益は477百万円(前期比9.3%増)となりました。
当社グループは、「私たちは、たくましい創造性とすぐれた技術を磨き上げ、社会を豊かにする価値を提供し、人々との共生を願い、限りなく前進します」という企業理念を掲げ、舶用機関による海上物流の安定、陸用機関を通じた常用・非常用電源の確保等、海と陸の両方から人々の安心安全な暮らしを支えてまいりました。
この志のもと、急速に変化する外部環境の中にあっても、持続的な成長と社会的使命の両立を見据え、事業構造の進化と経営基盤の強化を着実に進めております。
企業競争力の根幹である人材については、自律的に考え行動できる企業文化の定着を目指すとともに、多様なバックグラウンドを持つ人材が能力を最大限に発揮できる環境づくりを進め、人的資本への戦略的な投資を本格化させております。
加えて、DXの推進にも注力し、AIやIoTの活用により業務効率の向上やサポート機能の拡充を図ると同時に、デジタル技術を活用した新たなソリューションの開発にも取り組み、業務改革と事業変革の両輪で競争力の強化を図っております。
技術開発では、次世代燃料対応機関の早期実用化と市場投入を目指し、全社横断の体制で開発を加速させております。さらに、品質管理体制の強化にも注力し、高い信頼性を得られる商品の安定供給にも取り組んでおります。
あわせて、ガバナンス体制の強化や経営の透明性向上にも努め、国内外のステークホルダーとの強固な信頼関係の構築を図っております。
こうした変革を象徴する取り組みの一環として、2025年5月2日より、当社は新たな社名「ダイハツインフィニアース」へ変更いたしました。この名称は、「永遠・無限(Infinity)」と「地球(Earth)」を掛け合わせた造語であり、技術革新を追求し地球環境に新たな可能性を無限に与えるという強い意志を込めております。
今後も当社グループは、事業活動全般において環境と社会への配慮を重視しながら、グローバルな競争力を強化させ、サステナブルな企業としての責任を果たしてまいります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の増減は、営業活動によるキャッシュ・フローは9,354百万円の増加、投資活動によるキャッシュ・フローは6,513百万円の減少、財務活動によるキャッシュ・フローは10,797百万円の減少となりました。結果として、資金は8,095百万円の減少(前連結会計年度は3,295百万円の増加)となりました。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
舶用内燃機関を中心とした売上の計上により、税金等調整前当期純利益7,588百万円を確保し、減価償却費の計上(2,984百万円の増加)、売上債権の減少(456百万円の増加)、棚卸資産の減少(729百万円の増加)がありましたが、仕入債務の減少(4,134百万円の減少)、法人税等の支払額(1,673百万円の減少)等により、営業活動によるキャッシュ・フローは9,354百万円の増加(前連結会計年度は4,666百万円の増加)となりました。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
次世代燃料対応機関開発のための設備投資を継続しており、有形固定資産の取得による支出(6,326百万円の減少)等により、投資活動によるキャッシュ・フローは6,513百万円の減少(前連結会計年度は450百万円の増加)となりました。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
自己株式の取得による支出(11,185百万円の減少)、長期借入金の返済による支出(2,972百万円の減少)、配当金の支払額(1,549百万円の減少)等がありましたが、長期借入れによる収入(5,300百万円の増加)により、財務活動によるキャッシュ・フローは10,797百万円の減少(前連結会計年度は2,101百万円の減少)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 ( )内は輸出受注高、輸出受注残高を示し、内数であります。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 ( )内は輸出高を示し、内数であります。
2 主要な輸出地域およびその割合は次のとおりであります。
アジア(72.6%)、欧州(19.1%)、中南米(5.1%)、北米(2.3%)、その他(0.9%)
3 「その他の部門」には精密機器関連(2,474百万円)、産業機器関連(1,186百万円)および不動産賃貸関連等(626百万円)を含んでおります。
4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当連結会計年度末における資産の部では、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が8,095百万円減少しました。受取手形、売掛金及び契約資産は、前連結会計年度末に比べ456百万円減少し、売掛債権回転日数は87.2日(前連結会計年度は94.7日)となっております。棚卸資産は、前連結会計年度末に比べ729百万円減少し、棚卸資産回転日数は71.0日(前連結会計年度は72.0日)となっております。一方で、有形固定資産は、次世代燃料対応機関の製造を目的とした姫路工場の増設工事等に伴い、3,775百万円増加となりました。その結果、資産の部合計が、前連結会計年度末に比べ5,320百万円減少し、96,107百万円となりました。
負債の部では、下請代金支払遅延等防止法の対象取引先に対する支払サイト短縮の影響等により支払手形及び買掛金と電子記録債務の合計が前連結会計年度末に比べ4,152百万円減少し、買掛債務回転日数は59.4日(前連結会計年度は71.5日)となっております。一方で、借入金の合計は、長期運転資金のリファイナンス等により2,032百万円増加しました。流動負債その他は、主に前受金の増加により1,918百万円増加となりました。また、未払費用は811百万円増加となりました。その結果、負債の部合計が、前連結会計年度末に比べ1,316百万円増加し、51,901百万円となりました。
純資産の部では、利益剰余金が前連結会計年度末に比べ4,166百万円増加し、49,298百万円となりました。一方で、自己株式の公開買付けを実施し、11,124百万円の自己株式を取得しました。その結果、純資産の部合計が、前連結会計年度末に比べ6,636百万円減少し、44,206百万円となりました。当連結会計年度末における自己資本比率は45.9%(前連結会計年度は50.1%)となりました。
② 当期の経営成績について
機関売上台数増に加えて、メンテナンス売上の好調継続により、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ8.6%増収となる88,781百万円となりました。
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度の64,766百万円に比べ3,113百万円増加し、67,879百万円となりました。なお、売上高原価率は、前連結会計年度から2.7ポイント低下して76.5%となっております。また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1,452百万円増加し、13,267百万円となりました。売上高販管費率は、前連結会計年度から0.5ポイント上昇して14.9%となっております。
この結果、営業利益は、前連結会計年度の5,194百万円から47.0%増益の7,634百万円となり、売上高営業利益率は、前連結会計年度から2.2ポイント上昇して8.6%となりました。経常利益は、前連結会計年度の5,546百万円から37.1%の増益となる7,603百万円となり、売上高経常利益率は、前連結会計年度から1.8ポイント上昇して8.6%となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の5,149百万円から567百万円の増益となる5,717百万円となりました。なお、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の162.87円に対し、当連結会計年度は180.92円となりました。自己資本利益率(ROE)は、前連結会計年度から1.4ポイント上昇して12.0%となっております。目標とする経営指標の推移につきましては、以下のとおりであります。
当社グループのキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源および資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。
当社グループは現在、必要な運転資金および設備投資資金につきましては、自己資金または金融機関からの借入金を基本としております。今後も原価低減等により利益確保に努め、併せて在庫の適正化や取引条件の改善等を通じて、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことで、事業運営上必要な資金の流動性を高めていく考えであります。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は前連結会計年度末に比べ、1,955百万円増加し、14,349百万円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ8,095百万円減少し、21,015百万円となりました。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(棚卸資産の評価)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(注) 2023年11月13日付で契約内容の一部変更に伴い、契約期間を変更しております。
当社グループの研究開発活動は、主力となるディーゼル機関については、将来的な環境規制の強化を見越して環境負荷低減技術や燃費向上、次世代燃料対応(水素、メタノール、アンモニア)などを進めております。
また、デュアルフューエル機関(DF機関)については、機関出力として890kWから4,080kWまでのDF機関のラインアップ化を完了し、舶用・陸用分野にかかわらず厳しい環境規制へ対応するために、機関の効率アップ、メタンスリップ低減などに取り組んでおり、舶用発電機関を市場に投入しました。
IoTやAIなどのデジタル技術活用に関しては、ディーゼル機関やDF機関等の不具合を未然に検知する異常診断技術の開発を行い、主にお客様の安心・安全な機関運用をサポートする技術開発を行っています。
また、船舶等に設置される当社製エンジンの異常診断・遠隔監視サービスの開発と提供を行っており、アフターサービス事業のさらなる充実に向けた技術開発を積極的に進めてまいります。
当連結会計年度における研究開発費は、
当部門に係る研究開発費は、3,461百万円であります。また、研究開発投資額は161百万円であります。
(注)1 有限要素法(Finite Element Methodの略)。微分方程式を近似的に解くための数値解析方法の一つ。
2 数値流体力学(Computational Fluid Dynamicsの略)を用いた計算手法。
