文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「お客さまとともに発展する」、「事業を通じた国際社会への貢献」、「創造と挑戦を実践する人づくり」、「高い倫理観と公正性に基づいた健全な企業活動を行う」、「人と地球環境を大切にする」という5つの経営理念の下、市場環境の変化とともに急速に多様化するユーザーニーズに迅速・的確に対応し、経営資源を戦略的・効率的に活用することにより、金属加工機械、金属工作機械及びこれらに関連するソフトウエア・情報ネットワークシステム・技術サービスの各事業分野で質の高いソリューションを提供し続けることで、長期的な成長と社会に貢献できる会社づくりを進め、持続的な企業価値の向上に努めています。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「お客さまとともに発展する」をはじめとする5つの経営理念を基に、2030年に目指す姿として「長期ビジョン2030」を策定し、2022年5月に公表しました。また、2023年5月には持続的な成長と企業価値向上に向けた具体的なアクションプランとして、「まだないモノをアマダとつくる」をスローガンに2023年から2025年までの3か年の「中期経営計画2025」を策定し公表しました。
① 長期ビジョン2030の概要
当社グループは2030年に目指す姿とその実現に向けて「長期ビジョン2030」を策定しました。具体的な長期目標・長期経営目標は以下のとおりです。
長期ビジョン2030の達成に向け、以下の3つの成長戦略を柱に事業を推進してまいります。
ⓐ 環境対応ビジネス
・カーボンニュートラルに向けた社会・お客さまに価値を生み出す商品の展開
・産業構造の変化によるビジネスチャンスの拡大・環境対応型ビジネスへの変化
・働き方改革、労働環境への対応(自動化・スキルレスソリューションの展開)
ⓑ DX&サービス
・お客さまの製造現場におけるDX化・デジタル化への対応に向けた提案システム改革
・アフターサービスビジネスにおける新稼働保障体制構築によるサービス拡大
・DXによる効率化、コスト構造改革による収益性改善
ⓒ グローバル拡大
・日本、北米、欧州、アジアの4極体制における自主独立体制構築
・欧米先進国市場における地域ニーズに即した商品展開
・新興国市場での現地仕様の商品展開と新たなビジネスモデルの構築
② 中期経営計画2025の概要
ⓐ 重要経営指標とキャッシュアロケーション
ⓑ 基本戦略方針
(ⅰ)売上収益4,000億円の必達と収益性の改善
・労働環境の変化やカーボンニュートラル実現等の社会課題解決に対応した新商品の拡販によるシェア拡大・利益率向上
・顧客ニーズに即したアフターサービス事業の展開による収益力の向上
・誘客施設 Amada Global Innovation Center(AGIC)を活用したビジネス領域拡大と効率的な提案活動の推進
(ⅱ)長期成長戦略への活動
・当社グループで培ったレーザ技術の応用による新ビジネス分野への拡大
・グローバル製造改革による供給体制強化と収益力の改善
・DX、技術開発、環境、人財投資等を含めた戦略投資の実行
(ⅲ)資本政策(株主還元)の実施
・安定配当とROE向上を目指した株主還元方針の策定
(ⅳ)ESG経営・体制強化
・商品の省エネルギー化の推進と事業所・工場排出CO₂の削減
・人財能力開発、ダイバーシティ推進、働きがいのある職場づくり
・取締役会の多様性確保と機能強化、役員報酬制度の見直し、コンプライアンスの徹底、リスクマネジメントの強化
③ 中期経営計画の進捗状況
ⓐ 重要経営指標
2024年度における経営成績は、売上収益は3,966億円と前期比で微減となったものの、計画達成圏内で推移しております。一方、営業利益は前期比13.2%減の490億円(営業利益率12.4%)となり、利益率の改善が急務となっております。また、ROEは6.2%と計画に対して乖離があるものの、当初計画を見据えつつ、引き続き資本効率の改善に取り組んでまいります。

ⓑ 基本戦略方針
(ⅰ)売上収益4,000億円の必達と収益性の改善
新商品の販売については、景況感の悪化により従来商品と比較して利益率が高い新商品への切り替えに期間を要し、2024年度の業績において収益性改善効果が十分に得られなかった反面、2024年度中に従来商品の売り切り施策を実行したことにより、2025年度における売上計上の殆どが新商品となることから、収益性が改善していく見込みです。更に、DXや高度な自動化を求める顧客に訴求する高出力ファイバーレーザマシンの新商品のほか、価格を抑えつつ自動化・デジタル化を実現できる海外向けの新商品を2025年度中に市場投入することで量の拡大とともに収益性を改善させてまいります。また、アフターサービスの強化では、お客さまの工場の効率化を支援するソフト商品「V-factory」の接続台数を順調に伸ばしており、更なる提案活動へ展開することでサービス事業における増収効果を取り込むとともに、マシンのリピートオーダーを増やすことで収益全体の改善を図ってまいります。
(ⅱ)長期成長戦略への活動
レーザ技術による新領域拡大戦略については、当社は2025年1月に自動車業界向けの大型プレスマシンを手掛ける株式会社エイチアンドエフ、同年4月には半導体パッケージ基盤用穴あけ加工機を展開するビアメカニクス株式会社の2社の買収を発表しました。両社はレーザ技術を活用した商品ラインナップを有しており、当社の技術との融合によるシナジーが期待されます。2社の買収により、e-Mobilityや半導体といった成長分野への事業拡大に向けた取り組みが一段と加速することが見込まれます。グローバル市場拡大については、海外市場におけるシェア獲得を目的としたグローバル戦略機の市場投入を順次進めるとともに、現地生産体制の強化とグローバル調達の推進によるコスト削減に取り組んでいます。また、長期ビジョンの実現に向けた戦略投資については、前述の2社の買収を含め3か年累計で約1,160億円を想定しており、当初の計画通りの水準に達する見込みです。
(ⅲ)資本政策(株主還元)の実施
株主還元方針に基づき、2024年度の年間配当は前期比2円増配となる1株につき62円を提案するとともに、総額約200億円の自己株式の取得を実施しました。2025年度においても年間配当として1株につき62円を想定し、新たに総額200億円を上限とする自己株式の取得も発表いたしました。今後も安定した配当の継続とROEの向上を念頭においた株主還元を展開してまいります。
(ⅳ)ESG経営・体制強化
2024年度における非財務目標に対する進捗は次の表のとおりとなりました。環境面では事業所における運用改善や合理化による省エネ活動の推進、太陽光発電設備の設置を進めるなど、事業活動で排出されるCO₂の削減に取り組んでおります。ガバナンス面では、社内取締役を対象に中期経営計画に連動した株式報酬制度を導入しました。また、女性の社外監査役が就任したことで役員全体の多様性を向上させました。一方、社会面では女性管理職の登用が課題であり、引き続きキャリア採用を含めた女性採用の強化に加え、女性リーダー候補者に対するリーダー育成プログラムや意識改革をテーマとした教育カリキュラムを継続的に実施することで早期育成を図ってまいります。
(非財務目標の進捗状況)
(注) 表中の「国内主要グループ会社」は、当社、㈱アマダマシナリー、㈱アマダウエルドテック(2024年4月1日付で当社と合併し、消滅しております。)、㈱アマダプレスシステム、㈱アマダツールの5社を指します。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) サステナビリティに関する基本的な考え方
当社グループ経営理念の「お客さまとともに発展する」「事業を通じた国際社会への貢献」「創造と挑戦を実践する人づくり」「高い倫理観と公正性に基づいた健全な企業活動を行う」「人と地球環境を大切にする」は、すべての企業活動の根幹をなすものであり、この考えを基にサステナビリティ基本方針を定めています。そして、この方針を実行するために、ESGの各分野において当社グループが優先して取り組むべき重要課題と目標を設定し、取り組みを推進することで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上の両立を図っていきます。これらの課題は国連のSDGs(持続可能な開発目標)のゴールに対応しており、着実に取り組みを進めることによりSDGsの達成に貢献することができると考えています。当社グループは、すべてのステークホルダーとの対話を尊重し、モノづくりを通じた社会課題の解決に挑戦し続けることにより、持続可能な社会の実現に積極的な役割を果たすとともに、企業価値の向上に努めてまいります。
〔参照〕経営理念
〔参照〕行動規範
〔参照〕サステナビリティ基本方針
〔参照〕環境理念・方針
当社は、ESGの課題に対してグループ一体となって取り組みを行うために、2024年度にサステナビリティ推進体制の整備を進めました。サステナビリティに関する重要方針や施策の決定機関としてサステナビリティ推進委員会を新設しました。代表取締役 山梨貴昭を委員長とし、その他委員により構成されております。サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティに関するグループの方針や指標を決定するほか、目標や実行計画の進捗管理を行う機能を有し、取締役会はその運用状況を監督することとしております。サステナビリティ推進委員会の下に実務レベルで施策を企画、実行する役割を担うサステナビリティ推進プロジェクトを発足し、ESGの各課題を担当する部署が中心となり取り組みを推進しています。海外については、5つの地域をそれぞれ統括するリージョナル・サステナビリティ・コミッティ及びすべての海外グループ会社にESGの推進責任者を選任しグローバルで確実に活動を実行するためのガバナンス体制を構築しました。また、サステナビリティ推進室がグループ全体のサステナビリティを企画、推進するとともに、推進体制の事務局の役割を担っています。
(サステナビリティ推進体制)

2023年5月に当社グループは2030年に目指す姿として「長期ビジョン2030」を策定し、その実現に向けた重点項目の1つに「ESGの推進」を設定すると同時に、2025年度までの中期経営計画における基本戦略方針として「ESG経営・体制強化」を掲げました。そして当社の事業環境や各ステークホルダーにとって関連性の高いサステナビリティ課題を抽出し、社内の検討会議で事業への影響度とステークホルダーへの影響度の観点から議論を重ね、当社グループの重要課題を特定しました。取締役会にて、重要課題及び定量・定性指標に対する中期(2025年度)・長期(2030年度)目標の承認を受け、グループ横断でESGの各テーマに関する取り組みを開始しました。
一方、世界各国でサステナビリティ情報の開示に関する法規制の整備が進んでいます。そこで、2024年度にはサステナビリティ基準委員会(SSBJ)や欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)などへの対応を見据え、新たなサステナビリティ推進体制の下で、重要課題の再評価に着手しました。
(「中期経営計画2025」 ESG経営・体制強化:サステナビリティに関する重要な課題と取り組み)

サステナビリティを含む経営に影響を与える重要な事項は、リスクマネジメント部会及びリスク主管部署がそのリスクの洗い出しと評価を行い、対応策や対応範囲、目標、期限などを明確にしたうえで、各リスク対策の実施状況と効果などをモニタリングするとともに、必要な是正・改善を行います。リスク項目とその対策状況は内部統制・リスク管理委員会が一元的に管理を行い、優先度の高いリスク項目への対応状況は取締役会へ報告されます。
(リスク管理活動概要図)

④ 指標及び目標
上記の戦略に記した各重要課題に関するKPIは、以下に2024年度の実績と合わせて掲載しています。
〔参照〕
第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(2) 中長期的な会社の経営戦略 ③中期経営計画の進捗状況 ⓑ基本戦略方針 (iv)ESG経営・体制強化
(2) 気候変動への対応をはじめとする環境への貢献について
① ガバナンス
当社グループでは、代表取締役社長を委員長としたサステナビリティ推進委員会においてサステナビリティ全般の対応を行っており、そのうち気候変動を含む環境問題への対応はサステナビリティ推進委員会の監督の下でアマダグループ環境エコ委員会において実施しています。当委員会では、事業所における環境施策を立案する「工場分科会」「施設分科会」及び商品における環境施策を立案する「商品分科会」などの組織を設置し、国内外の各事業所より環境に関する情報を集約するとともに、進捗管理を行っています。
アマダグループ環境エコ委員会において決定した気候変動を含む環境のリスク・機会及びそれらに対応するための目標・計画、進捗状況などについては、サステナビリティ推進委員会を通じて取締役会に定期的に報告し、経営の意思決定に活用しています。
② 戦略
当社グループでは、気候変動がもたらす事業への影響を把握し、リスクと機会を踏まえた経営戦略の策定及びシナリオ分析を実施しています。気候変動に関するリスクと機会には、大きく分けてカーボンニュートラルに対応する法規制や技術の変化や市場の製品選好の変化などの「移行」によるものと、平均気温の上昇そのものやそれに伴って起こる異常気象や慢性的な気象の変化による「物理的」なものの2種類があります。当社グループでは、この2種類のリスクと機会の枠組みに応じて、それらの内容及び事業活動へのインパクト、影響を受ける期間などについて評価し、以下の一覧のとおり特定しました。さらに、リスクと機会を特定するにあたり、複数のシナリオ分析を行い、その結果を反映させています。

③ リスク管理
気候変動のリスク管理は、アマダグループ環境エコ委員会において管理・対応を図っております。特定されたリスク・機会は内部統制・リスク管理委員会に報告され、統合的なリスク管理プロセスの中で管理されます。
④ 指標及び目標
当社グループでは、気候変動に関するリスクと機会をマネジメントするための目標として「2030年度までに全事業所・工場(Scope1+2)を2013年度比でCO₂排出量75%削減」及び「2030年度までに全商品のCO₂排出量(Scope3-C11)を2013年度比で50%削減」というグループ目標を設定し、達成に向けて取り組みを進めています。
環境に関する2030年度に向けたKPIと2023年度の実績は以下をご参照ください。
また、2024年度の実績は7月中に当社ウェブサイトにおいて開示する予定です。
(アマダグループ2030中期環境計画「AMADA GREEN ACTION PLAN 2030」の重要課題と目標、実績)

※1 廃棄物の2019年基準値の一部関連会社データに2020年度データを使用
※2 ゼロエミッション率=(埋立廃棄物重量/全排出物重量)
また、当社グループは2022年11月に「SBT(科学と整合する温暖化ガス削減目標)」の認証を取得し、CO₂排出量削減目標を設定しました。「2030年度までに全事業所・工場(Scope1+2)のCO₂排出量を2019年度比で46.2%削減」及び「2030年度までにScope1+2以外の間接活動(Scope3=製品の原材料調達、販売、消費、廃棄に至るまでの過程)のCO₂排出量を27.5%削減」というグループ目標を設定し、達成に向けて取り組みを進めています。
その他、当社グループは、2023年8月にグループ会社を含む全拠点の事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す国際的な環境イニシアチブ「RE100」に加盟しました。「RE100」への加盟は国内の工作機械業界では初となります。
(3) 人的資本について
① 人的資本への投資について
アマダグループ経営理念の1つである「お客さまとともに発展する」は、創業時から現在に至るまで事業活動の原点として共有されています。そして、世界のお客さまのモノづくりに貢献することが地域社会や人々の生活の発展につながるとの考えが、金属加工機械のグローバルメーカーとして成長の礎となってきました。成長の原動力は人材にほかならず、「創造と挑戦を実践する人を育て、多様な人材が能力を発揮できる環境を作り、価値創造にチャレンジし続けること」をアマダグループの人材に関するあるべき姿に掲げています。
中期経営計画では、「まだないモノをアマダとつくる」をスローガンに掲げ、脱炭素、労働力不足、技能伝承などのお客さま課題や社会課題を技術で解決することを目指しています。その実現に向けて、重要な項目を「人材能力開発」「ダイバーシティ推進」「働きがいある職場づくり」と定め、戦略的に人材投資を行っていきます。
ⓐ 人材育成方針
中期経営計画におけるレーザをはじめとする技術開発、DX推進、グローバルビジネス強化といった成長戦略を実現するためには、多様な価値観、背景、環境にある人材が自ら成長し、活躍することが重要です。人材育成方針として、多様な人材の能力開発と自律的なキャリア形成支援を柱に取り組みを推進していきます。
本人のキャリア意向を踏まえたジョブローテーション、キャリアステージに応じた教育研修の機会を提供し、能力開発や成長のスピードアップを図ります。加えてビジネスリーダー(経営幹部・女性リーダー)、グローバル人材、先端・専門分野における技術人材の育成に注力していきます。
ⓑ 社内環境整備方針
経営理念の1つである「人と地球環境を大切にする」を基に、性別や年齢、国籍や人種、宗教、性的指向、障がいの有無などに関わらず、すべての人の対等・平等、人権を尊重し多様な価値観を受け入れる風土や環境づくりに役員・社員全員で取り組むことが重要です。社内環境整備方針として、アマダグループで働く社員一人ひとりが働きやすさと仕事のやりがいを実感できる活力ある職場づくりを軸に施策を推進していきます。
社員が心身ともに安全・健康に働ける環境づくりを進め、長期に渡り安心して働ける基盤強化を図ります。加えて、社員が置かれている環境や状況に応じた多様な働き方を整備するとともに、業務の適正な評価とそれに基づく処遇を定める人事制度改革を行い、働きがいの向上を図ります。
このような取り組みを統合的に進めることにより、社員の自律的なキャリア形成と成長への挑戦を後押しし、会社並びに社員双方にとっての価値創造を目指します。
② 人的資本に関するリスク管理
人的資本の重要性が増す一方で、労働人口の減少、人々の働き方や生活スタイルに対する価値観の変化に伴い労働市場の流動化が進んでいます。これらは、当社グループにとって多様な人材の確保と維持、あるいは成長戦略の推進にマイナス影響を与えるものと認識しております。こうしたリスクに対して、定期的な新卒採用や戦略に応じたキャリア人材の採用を行うとともに、職種ごとに能力開発の体系化を行い社員の着実な成長を促します。また、働きがいのある職場づくりをより一層推し進めることによって、多様な人材から選ばれ、その人材が長期に渡り活躍ができる企業となることを目指します。
リスク管理においては、アマダグループ内部統制・リスク管理委員会のリスクマネジメント部会にヒト関連の部会を設置し、人的資本に関する対応を行っています。当部会は人事、総務部門が中心となり、安全・衛生、労務、人材育成、働き方などの項目について、リスクの洗い出しと評価を行い、対応策や目標、期限などを記した基本計画を策定します。半期ごとにリスクマネジメント部会に対して活動内容と評価を報告し、対応策の改善などにつなげています。
③ 重要な項目への取り組み
3つの重要な項目である「人材能力開発」「ダイバーシティ推進」「働きがいある職場づくり」に応じた指標とその目標値を設定し、改善を図るための施策を計画し実行しています。
社員一人ひとりが働きやすさと仕事のやりがいを実感できる活力ある職場づくりを目指し、毎年社員意識調査を行っています。調査結果は経営層に報告するとともに社員に公開、共有しており、社員の意識改革や施策の浸透度などを測り、課題の抽出と対策の立案に活用しています。
ⓐ 人材能力開発
多様な人材の能力開発の一環として、グローバル人材及び若手から中堅層社員の育成に注力しています。
海外現地法人への赴任や海外関連業務への従事を希望する社員をプールし、配置や育成に活用しています。若手の育成を目的とした海外研修制度では、海外現地法人に毎年研修生を派遣しています。また、新入社員に対しては職務や業務に関わらず、商品、技術、ビジネスの流れを一定レベル理解した人材として配属部署で業務を執り行えるように、国内グループで統一したカリキュラムで実施しています。上述の取り組みを含めて育成対象や領域を拡充した結果、一人あたり教育研修時間は、2024年度の目標39.0時間に対し41.7時間(国内主要グループ4社)となりました。今後もさらなる人材能力開発の強化を図っていきます。
ⓑ ダイバーシティ推進
人権の尊重と女性活躍推進を重点テーマに取り組みを進めています。
アマダグループに従事するすべての役員及び従業員が人権を尊重する責任を示した「人権方針」を策定し、2024年2月に公表しました。人権に関する国際規範を理解したうえで、経営理念にある「お客さまとともに発展する」及び「人と地球環境を大切にする」や、サステナビリティ基本方針の「人権の尊重」並びに「社内環境整備方針」を踏まえ、あらゆる企業活動において人権侵害等を防止、軽減、救済することを宣言しています。2024年12月には人権デューディリジェンスを実施し、アマダグループを取り巻く人権課題の全体把握・課題対応策の検討をしました。人権デューディリジェンスは引き続き実施し、アマダグループとして取り組むべき優先課題を特定していきます。
女性活躍推進については、女性管理職の登用が課題と認識しており、女性のリーダー育成と母集団形成に注力しています。具体的には、女性管理職候補とその上司を対象とした研修プログラムを継続実施し、女性社員が持続的に活躍できる環境の整備を積極的に進めています。2024年度の女性管理職目標20名に対し17名(国内主要グループ4社)となりました。また、女性社員比率が低いことから、新卒の学卒採用者における女性比率の目標を毎年25%以上としており、2024年度は27.6%(国内主要グループ4社)でした。今後は、キャリア採用を含めた女性採用の強化に加え、女性リーダー候補者に対する研修等の教育カリキュラムを継続的に実施することで早期の育成と登用を図っていきます。
ⓒ 働きがいある職場づくり
働き方改革の推進を重点テーマに掲げ、有給休暇の取得と男性の育児休業取得を推進しています。
有給休暇取得推進では「時間単位有休制度」や半期ごとに一定日数の有給休暇の取得を事前申請する「個人計画有休」を設定し、また有給休暇の推奨日の案内や「プラス1休暇」として連休取得を促進した結果、有給休暇取得率は2024年度の目標75.0%に対し77.1%(国内主要グループ4社)となりました。
男性の育児休業については、対象者に個別に制度の周知を図るほか、対象者の上長にマネジメントフローを案内し、上長から本人への取得奨励を必須化しています。役職者研修においては制度案内に留まらず育休期間中の引継ぎの具体例を示すなど、円滑な組織運営が図れるよう働きかけを行っています。対象者には「子育てプランシート」の活用や円滑な職場復帰を実現するため上長とのコミュニケーションをサポートする「育休復帰支援面談シート」を活用し、休業から復帰までの流れや具体的な役割、業務内容をお互い明確に理解できるよう働きかけています。また「長期取得を検討している男性社員」や「取得事例の少ない営業・サービス職の社員」をターゲットとして、取得者のモデルケースを社内報で周知することで、男性の育児休業を受け入れやすい風土の醸成を図っています。
こうした取り組みの結果、男性の育児休業取得率は、2025年度の最終目標70.0%を大きく上回る82.5%(国内主要グループ4社)となりました。また2023年8月には、子育てサポート企業の証である「くるみん認定」、2024年12月には、土岐事業所が岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業の認定を受けました。
2023年7月、従業員一人ひとりの健康保持・増進、活力向上を「長期に渡り安心して働く上での基盤」と捉え、健康経営に取り組むため「健康経営宣言」を公表し、健康経営推進体制を整備し、アマダ健康保険組合とコラボヘルスに取り組んでいます。また健康経営優良法人認定制度においては、2024年に引き続き「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。
④ 指標と実績
上記重要な項目や取り組みと連動する形で策定した2025年度と2030年度に向けたKPIは、以下に2024年度の実績と合わせて掲載しています。
〔参照〕
第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(2) 中長期的な会社の経営戦略 ③中期経営計画の進捗状況 ⓑ基本戦略方針 (iv)ESG経営・体制強化
〔参照〕
サステナビリティ/重要課題と指標・目標
当社グループの損失発生の防止及び損失の最小化を図ることを目的として「リスク管理基本規程」においてリスク管理に関する基本的な事項を定め、平常時から対応策を検討する等のリスク管理に努めております。内部統制・リスク管理委員会が当社グループのリスクを一元管理し全社的推進等を図り、個々のリスク管理は内部統制・リスク管理委員会の下部組織であるリスクマネジメント部会が、ヒト・モノ・カネ・情報等に係るグループレベルでの重要リスク管理シートに基づいたリスク評価と進捗状況を確認しております。これに加え、「サイバーセキュリティ委員会」、「輸出管理本部」、「統括安全衛生委員会」等の各専門委員会においてリスク管理を図っております。
また、緊急事態の発生時においては緊急対策本部等を設置して迅速に危機管理を行っております。
(リスク管理活動の概要)
リスクマネジメント部会又はリスク主管部署は、毎期リスクの見直しを行い、「損失規模」と「発生頻度」の観点から重要度を再評価し、主要リスクのリスクマップを作成しています。主要リスクの対応範囲や目標、期限等を明確にしたうえで各リスク対策を実施し、実施状況と効果等をモニタリングし必要な是正・改善を行います。識別されたリスク項目とその対策状況は内部統制・リスク管理委員会が全社的なリスク管理活動として一元管理し、主要リスク項目については取締役会へ報告されます。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、主に以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点で当社グループが判断したものであり、以下の記載事項は、当社グループの事業に関するすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社グループの販売する商品は、生産設備として輸送機器・家電製品・情報通信機器・一般機械・建築資材など幅広い分野の製造工程において使用されております。その結果、特定の産業の景況変動の影響は受けにくい傾向にありますが、産業全体の設備投資動向等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 海外展開について
当社グループは、市場のグローバル化に対応して、生産及び営業拠点を北米、欧州、アジア等の海外にも展開しており、連結売上収益に占める海外売上比率は、当連結会計年度で63.6%であります。このため、進出国における紛争(戦争、内乱、クーデター等)・テロ、経済動向及び政治・社会情勢の変化、予期せぬ法規制等の変更などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループはロシア連邦(モスクワ市)に子会社を有しております。ロシア・ウクライナ情勢については、各国の対露制裁措置等により当社グループの業績に影響を及ぼすことが見込まれますが、当社グループの連結業績に与える影響は軽微であります。
(3) 価格競争について
当社グループが事業を展開する市場は、激しい価格競争下にあり、新商品の投入やソリューション提案型のエンジニアリングビジネスへの取り組みなどにより、適正な販売価格の維持に努めておりますが、競争のさらなる激化や長期化による販売価格の変動が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 為替相場の変動について
当社グループは、主に米ドルやユーロの現地通貨建てで商品を輸出しております。このため、為替相場の変動に備えて、為替予約取引などによるリスクヘッジや海外での生産比率の向上に努めております。また、海外連結子会社の資産及び負債等が円換算されることから、想定以上に為替相場が変動した場合は、為替差損益の発生や商品競争力の変化により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 資材調達について
当社グループは、部品や資材を複数の取引先から調達しております。これらは原材料価格や原油等のエネルギー価格の変動により、調達価格が大幅に変動する可能性があります。また業界の需給状況や調達先の事情、自然災害によって安定的な供給が困難になり、生産効率が低下することも想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 製品の品質について
当社グループは、国際標準化機構(ISO)の品質マネジメントシステムに基づき、万全の品質管理体制を整え、製品の設計・製造を行い欠陥の発生を抑えるように努めており、設計審査(デザインレビュー)においては、リスクアセスメントや試作機による製品安全チェックを実施しております。しかしながら、万が一製品に欠陥が発生した際のリコール費用や、事故につながった場合の損害賠償請求費用が加入している保険等で補えない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 環境問題の対応について
当社グループは、アマダグループ環境エコ委員会において気候変動を含む環境問題に対応し、環境保全に資する生産体制の構築や、商品・サービスの提供に心がけ、環境負荷の低減に努めております。環境に配慮した商品については、オイルやガスの使用量が少ない省資源機、騒音が小さい低騒音機、電気の使用量が少ない省エネ機等を社内基準により評価しアマダエコプロダクツとして市場投入しております。しかしながら各国の環境規制によっては、現在の商品の販売や部品の使用が困難になり、設計変更のための費用や研究開発費の増加につながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 知的財産権について
当社グループでは、新たな価値創造のために研究開発に重点をおき、そこで開発された技術やノウハウにおいては特許出願することで知的財産権の保護に努めております。しかしながら、これらの権利が第三者により侵害されることでの競争優位性の低下や、第三者から権利侵害を追及され、損害賠償請求や商品の販売差し止めを受けることで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 情報セキュリティについて
当社グループでは、事業活動に必要な機密情報・個人情報などを保有しており、これら情報の機密保持については厳格な管理体制を構築しております。しかしながら、サイバー攻撃やコンピュータウィルスにより、不正アクセスが発生した場合は、当社グループの業務システムの停止や機密情報・個人情報の外部流出、信頼の低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは「サイバーセキュリティ委員会」を設置し、セキュリティリスクに備えるため、リスクアセスメント・対策計画作成・実行・報告を循環プロセスとして継続的に行い、グループ・グローバルのITガバナンスの強化をするとともに従業員のセキュリティレベルに合わせた教育や訓練を行い、セキュリティリテラシーの向上を行っています。
(10) 自然災害、広範囲な感染症の流行などについて
当社グループは、生産及び営業拠点をグローバルに展開しております。それら周辺地域での地震・水害等の自然災害や広範囲な感染症の流行などにより甚大な被害が発生し、復旧、復興が長期化した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、事業継続計画(BCP)対策の一環として、伊勢原事業所内の一部の建物に免震装置の導入や防災エネルギーセンターの建設により自家発電設備、給水、食料備蓄などを整備しております。また、国内及び海外の製造拠点の拡充を推進し、生産活動や供給におけるリスク分散を図っております。
(11) 金融市場の変動について
当社グループは、一部でキャッシュ・マネジメント・システムの導入などを行うことで有利子負債の最適化に取り組んでおりますが、大幅な金利の上昇は支払利息の増加につながります。一方で金利の低下や株式市場の変動により、保有する有価証券の利回りの低下や評価額の変動及び、制度資産の割引率への影響による退職給付費用や債務が増加することも想定されます。これらの要因が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 人材について
当社グループは、製造・開発・販売等に携わる多様な人材を採用し育成することで、グローバルな事業活動の推進と競争力の維持向上を図っております。しかしながら、労働人口の減少、人々の働き方や生活スタイルに対する価値観の変化に伴い労働市場の流動化が進み、多様な社員が退職又は流出した場合には、競争力の低下により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、年末にかけて回復基調で推移したものの、年明け以降は米国新政権の政策変更への警戒感や、地政学的リスクの高まりを受け、不透明感が再び広がり始めております。
当連結会計年度における当社グループの経営成績は次のとおりです。
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は396,670百万円(前期比1.7%減)となりました。売上収益の内訳は、国内144,313百万円(前期比3.2%減)、海外252,357百万円(前期比0.8%減)となりました。詳細については、① 事業別・地域別の成績に記載のとおりです。
(営業利益)
営業利益は、販売価格改善効果に加えて為替の影響はあるものの、減収影響のほか、生産調整に伴う操業度の低下や人件費の増加などにより、49,076百万円(前期比13.2%減)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
親会社の所有者に帰属する当期利益については、32,386百万円(前期比20.3%減)となりました。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因については、3 事業等のリスクに記載のとおりであり、経営方針・経営戦略を達成するための客観的な指標については、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載のとおりです。
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
事業別売上収益及び地域別の状況は、以下のとおりです。
(事業別売上収益の状況)
(注)その他は、遊休地の有効利用を目的としたショッピングセンター等の不動産賃貸事業等です。
売上収益は330,201百万円(前期比1.3%減)、営業利益は40,396百万円(前期比16.6%減)となりました。
<板金部門>
(注) 本表の地域別売上収益は、顧客の所在地別の売上収益です。(以下の表も同様。)
なお、当連結会計年度における板金部門の地域別の経営環境は以下のとおりです。
日本:遅延していた受注残の消化が進む中、補助金や展示会効果を受けて巻き返しを図りましたが、年明け以降は関税措置への懸念から投資意欲の回復が限定的にとどまりました。業種別では、厨房・調理装置、エレベーター、半導体製造装置、トラック・バス・特殊車両向けが堅調に推移した一方、工作機械や農業用機械は引き続き軟調でした。その結果、売上収益は102,219百万円(前期比3.0%減)となりました。
北米:カナダではエネルギー関連を中心に引き続き堅調に推移したほか、米国ではデータセンター関連の需要が底支えとなりました。業種別では、データセンター関連のスイッチギアや配電盤、ラック、エアフロー、冷却システムなどが好調に推移しました。その結果、売上収益は89,749百万円(前期比0.4%増)となりました。
欧州:ドイツや東欧においては、自動車関連や建設業の需要低迷が続き、依然として厳しい環境にあります。一方で、イタリア、スペイン、北欧などでは、データセンター関連などの需要が堅調に推移し、これまでに積み上がっていた受注残の消化が進んだことにより、売上収益は前期比で増加しました。その結果、売上収益は69,674百万円(前期比1.2%増)となりました。
アジア他:インドではインフラ、航空宇宙関連などを中心に好調に推移しました。一方で、韓国では政治的にも混乱が生じ、依然として厳しい状況が続いています。ASEANでは、ベトナムでの配電盤、マレーシアの半導体・電子関連が下期の回復をけん引したものの、アジア全体としては上期の影響が残り、売上収益は36,598百万円(前期比0.6%減)となりました。
<微細溶接部門>
国内外ともに、自動車関連の回復の遅れや市況の鈍化により、電装品、電子部品、電装用モータなどの需要が伸び悩み、売上収益は低調に推移しました。一方、北米市場では医療機器及び航空宇宙分野が堅調に推移し、特に医療機器関連は安定した成長を維持して北米全体の業績を下支えしました。
(金属工作機械事業)
売上収益は65,213百万円(前期比3.5%減)、営業利益は6,899百万円(前期比6.2%減)となりました。
<切削・研削盤部門>
国内では、自動車関連や建設業の停滞により、主要取引先の鋼材卸売業者からの需要が減少しましたが、前期からの受注残や自動化対応の大型案件に支えられ、売上収益は前年を上回りました。海外では、研削盤は半導体や航空宇宙向けに堅調だったものの、切削分野では鋼材販売業や自動車関連の低迷により設備投資が抑制され、売上収益は前年を下回りました。
<プレス部門>
国内では自動車産業の低迷が続く中、建築関連が売上収益に寄与したものの、中小企業を中心に設備投資に慎重な姿勢が続いております。海外では、中国において自動車関連及び通信機器関連が堅調に推移している一方、北米及びASEANでは自動車関連の低迷が続き、総じて厳しい環境が続いております。
なお、各部門別の状況を合算した主要地域の状況は以下のとおりです。
(地域別売上収益の状況)
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりです。
財政状態の概要及び分析は以下のとおりです。
(総資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ31,161百万円減少し、649,891百万円となりました。流動資産は、生産調整に伴う棚卸資産の圧縮などにより、14,798百万円減少の414,511百万円となり、非流動資産は、主に投資有価証券の売却などにより、16,363百万円減少の235,380百万円となりました。
(負債及び資本)
負債は、主に国内でパートナーシップ構築宣言を行ったことによる営業債務の縮小を受けて、前連結会計年度末と比べ20,515百万円減少の126,141百万円となりました。また資本についても、自己株式の取得や期末時点の円高による在外営業活動体の換算差額の減少などから、10,646百万円減少の523,750百万円となり、これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末と比べ77.8%から79.9%と2.1%pt増加しました。
連結キャッシュ・フローの区分別状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の獲得、棚卸資産の減少、営業債務の支払いサイトの短縮等により、46,192百万円の収入(前連結会計年度は、47,595百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却や償還等により、7,851百万円の収入(前連結会計年度は、15,188百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや自己株式の取得等により、42,420百万円の支出(前連結会計年度は、38,145百万円の支出)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ11,420百万円増の104,841百万円となりました。
なお、連結キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。
親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
* 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
* 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。
* 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの主な資金の源泉は、営業活動からのキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、内部資金で構成され、運転資金や設備投資等の経常的な資金需要及びM&A等の機動的な資金需要に充当されています。このうち、金融機関からの借入は現金及び現金同等物を下回る残高水準である事から、今後必要となる資金を適切に調達するうえで特段の問題は生じないものと考えています。加えて、格付投資情報センターより信用格付(A+安定的)を取得、維持しており、幅広い手段で低利で安定的な資金調達が実施可能であると認識しています。なお、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、資金効率の向上、金融費用の抑制を図ると同時に、流動性確保の状況について継続的なモニタリングが可能な体制となっております。
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針及び、将来に関する仮定及び報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針及び4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
(株式会社エイチアンドエフの株式取得)
当社は、2025年1月24日開催の取締役会において、株式会社エイチアンドエフの発行済株式のすべてをカナデビア株式会社から取得し連結子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。この契約に基づき、2025年5月1日付で当該株式の取得を完了しております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 39.後発事象」をご参照ください。
当社グループにおける研究開発活動は、技術部門を中心に国内外の研究開発拠点において、マシン、ソフト、周辺装置等の新商品開発並びに未来志向型の基礎・応用研究を行っております。
商品開発におきましては、「品質の向上」、「コストの低減」及び「リードタイムの短縮」の追求を基本としており、その推進強化を図るため、開発におけるフロントローディング化を促進しております。さらに、すべての開発商品に対し「省エネルギー」、「省資源」、「再資源化」、「使用時の環境への配慮」等の環境に関する項目について、製品アセスメントを行っております。
当連結会計年度におきましては、市場創造のための技術開発の推進や、市場競争力のある商品の早期市場投入のため、開発の効率化・スピード化を図りながら